JPH06272267A - ソイルセメント柱列壁を利用した合成地下躯体の構築方法 - Google Patents

ソイルセメント柱列壁を利用した合成地下躯体の構築方法

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JPH06272267A
JPH06272267A JP5066288A JP6628893A JPH06272267A JP H06272267 A JPH06272267 A JP H06272267A JP 5066288 A JP5066288 A JP 5066288A JP 6628893 A JP6628893 A JP 6628893A JP H06272267 A JPH06272267 A JP H06272267A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ソイルセメント柱列壁の芯材を合成地下躯体
の本設柱の一部に利用する合成地下躯体の構築方法を提
供する。 【構成】 ソイルセメント柱列壁1の芯材2にソイルセ
メントの漏出し防止材3を予め取付けて設置し、ソイル
セメント柱列壁1の構築を完成した後、地盤の根切り時
に、地下外壁部分は芯材の内側面までソイルセメントを
除去し、柱部分は前記漏出し防止材3の内側面まで除去
する。ソイルセメント柱列壁1の各芯材2の内側面にス
タッドボルト4等のコネクタを取付ける。地下外壁部分
に壁用の縦横筋5を配筋し、柱部分には柱用の縦筋6と
帯筋7を配筋し、更に地下躯体の内面位置に型枠8を設
置しコンクリート9を打設する。 【効果】 合成効果によって、従来よりも柱部分の断面
が小さくなり、柱は従来よりも外側に形成されるので、
地下階空間を広くすることができ、柱型部分の突き出し
がない分だけ地下階空間の有効利用が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、山留め壁工法の一つ
として採用されるソイルセメント柱列壁の芯材(通常は
H形鋼)を合成地下躯体の本設柱の一部に利用する、合
成地下躯体の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地下躯体を構築するための山留め
壁工法としてソイルセメント柱列壁工法が多く採用され
てきた。地下躯体をソイルセメント柱列壁の内側に合成
壁として構築することも種々公知に属する(例えば特公
昭48−11607号、特開昭58−29922号、特
開昭63−247423号公報などに記載された工法を
参照。)具体的には図8A,Bに例示したように、建物
を建設する敷地境界線aの内側に、仮設物としてH形鋼
bを芯材とするソイルセメント柱列壁cを連続状態に構
築し、前記のソイルセメント柱列壁cによって外部地盤
を支持させながら、その内側に、柱型部分dと梁型部分
e及び外壁部分fとから成る地下躯体を構築していた。
前記地下躯体をソイルセメント柱列壁と合成化する場合
は、ソイルセメント柱列壁の各芯材の内側面にスタッド
等のコネクタを取付けて両者の一体化が行なわれてい
る。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】従来の上述したよう
な合成地下躯体の構築方法によれば、ソイルセメント柱
列壁cは仮設物としてのみ使用され、その応力負担材で
ある芯材bは、地下躯体の施工完了後は活用されること
なく埋設されたままとなっており、不経済である。ま
た、地下躯体の柱型部分dは外壁部分fから大きく内側
に突き出すため、その分だけ地下空間が狭められ、駐車
等の有効利用に障害となっている。更に、地下躯体の柱
型部分dは、上述したようにソイルセメント柱列壁cの
内側にのみ施工されているので、地上階部分の床面積を
より広くしようとすると、図8Bに点線で図示した如く
地上1階の柱gを外方へ傾斜させる必要があり、施工上
及び構造上のネックになっている。
【0004】従って、本発明の目的は、ソイルセメント
柱列壁の応力負担材を地下躯体の本設柱の一部に活用す
ることによってその有効利用度を高めると共に柱型部分
の突出による不具合を解消することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解
決するための手段として、この発明に係るソイルセメン
ト柱列壁を利用した合成地下躯体の構築方法は、ソイル
セメント柱列壁1の施工に際し、地下躯体の柱部分の芯
材2にソイルセメントの漏出し防止材3を予め取付けて
設置しておくこと(図1A)、ソイルセメント柱列壁1
の構築を完成した後、地盤の根切り時に、地下外壁部分
は芯材の内側面までソイルセメントを除去し、柱部分は
柱面となる前記漏出し防止材3の内側面まで除去するこ
と(図1B)、ソイルセメント柱列壁1の各芯材2の内
側面にスタッドボルト4等のコネクタを取付けること
(図1C)、地下外壁部分に壁用の縦横筋5を配筋し
(図1D)、柱部分には柱用の縦筋6と帯筋7を配筋
し、更に地下躯体の内面位置に型枠8を設置しコンクリ
ート9を打設すること(図1E)、をそれぞれ特徴とす
る。
【0006】
【作用】漏出し防止材3は、地盤の根切り時に、ソイル
セメントを同漏出し防止材3の内側面まで除去すること
を可能ならしめ、その際にソイルセメントが漏出する
(又は抜け出す)ことをきっちり防止する。その結果、
柱部分において、芯材2の内側部分は前記漏出し防止材
3の位置まで大きく露出される。そして、柱部分は前記
漏出し防止材3の位置まで外側へ寄った位置に、芯材2
の一部分を本設柱の一部(応力負担材)として構築さ
れ、地下外壁部分と柱部分との段差(凹凸)はなくなる
か、又は極く小さいものとなる。一方、柱部分において
は芯材2と後打ち鉄筋コンクリート部分とが一体化する
(図1E)ので、その合成効果によって従来よりも柱部
分の断面が小さくなる。ひいては柱部分の鉄筋量及びコ
ンクリート量が減る。
【0007】
【実施例】次に、図示した本発明の実施例を説明する。
図1A〜Eは本発明に係る合成地下躯体の構築方法の工
程図を順に示し、図2は本発明の方法により構築された
建物の地下階構造部分を示し、図4は図2の4−4線矢
視図である。図1A,Bで明らかなように、本発明で
は、ソイルセメント柱列壁1の施工に際し、地下躯体の
柱部分に位置する芯材たるH形鋼2のウエブのほぼ中間
部位に、隣接するH形鋼のウエブ間をフランジと同方向
につなぐソイルセメントの漏出し防止材3を予め取付け
て建込んでおく。前記の漏出し防止材3には鋼板又は形
鋼材などを使用し、工場加工として溶接その他の手段で
H形鋼に精度及び品質の良い状態に取付けておく。
【0008】ソイルセメント柱列壁1の構築を完成した
後、地盤の根切り時には、図1Bに示したように、地下
外壁部分はH形鋼2の内側のフランジ面までソイルセメ
ントを除去し、柱部分については前記漏出し防止材3の
内側面まできれいにソイルセメントを除去する。更に、
各H形鋼2の内側のフランジ表面をグラインダー等によ
って研磨し、その後にスタッドボルト4等のコネクタを
溶接などの手段で取付ける(図1C)。
【0009】つづいて、地下外壁部分に壁用の縦横筋5
を内外にダブル筋として設置し(図1D)、更に柱部分
の前記漏出し防止材3の位置まで凹んだ部分には柱用の
縦筋6と帯筋7を配筋する(図3)。なお、帯筋7が図
3のように中央のH形鋼2のウエブに突き当る場合に
は、同ウエブに孔をあけて帯筋を貫通させるか、又はウ
エブに帯筋の両端を当接させ溶接により接合する方法な
どで処理する。
【0010】上記のようにして全ての配筋作業を終了し
た後に、地下外壁の内面位置に型枠8を組立て、コンク
リート9を打設して合成地下躯体を構築する(図1
E)。地下躯体の柱部分の内側面は地下外壁部分の内側
面と略同一平面になるので(図4参照)、型枠8の加工
が単純となり、工費の削減、工期の短縮が達成される。
図4中に従前工法による合成地下躯体の内面形状10を
点線で例示したように、本発明の構築方法による合成地
下躯体は断面がはるかに小さくなり、鉄筋量及びコンク
リート量が減り、工費の削減が図れる。のみならず、地
下階空間が広くなり、使用上じゃまな柱型部分が突出し
ないので有効利用が図れる。更に、地下躯体の柱部分は
H形鋼2を応力負担材の一部に活用して従前より外側に
形成されるので、図5に示したとおり、H形鋼2の上に
地上1階の本設柱鉄骨11を真直ぐに接合して建てても
地上階の床面積を広く作ることができる。
【0011】図6は合成地下躯体の柱部分が、ソイルセ
メント柱列壁1のH形鋼2を実質2本利用して構築され
た実施例を示し、図7はH形鋼2を実質3本利用して構
築された実施例を示している。要はソイルセメントの漏
出し防止材3を何本のH形鋼のウエブ間に設置しておく
かの相違である。
【0012】
【本発明が奏する効果】本発明に係るソイルセメント柱
列壁を利用した合成地下躯体の構築方法は、大要、次の
ような効果を奏する。 ソイルセメント柱列壁の芯材(H形鋼2)と地下躯
体の鉄筋コンクリートとが一体化する合成効果によっ
て、従来よりも柱部分の断面が小さくなる。しかも柱は
従来よりも外側に形成されるので、地下階空間を広くす
ることができる。そして、柱型部分の突き出しがない分
だけ地下階空間の有効利用が図れる。 地下躯体の断面が小さくなるので、鉄筋量及びコン
クリート量が減り、工費の削減を図れる。 地下躯体の柱部分及び地下外壁部分は各々の内側面
の凹凸がなくなるので、型枠の加工が単純となり、工費
の削減、工期の短縮が可能となる。 地下躯体の柱が従来よりも外側に形成されるので、
地上1階部分の柱を傾斜させないでも、地上階部分の床
面積を十分広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A〜Eは本発明の構築方法を枢要な工程順に示
した工程図である。
【図2】本発明の方法で構築した合成地下躯体の垂直な
断面図である。
【図3】図2の4−4線矢視図に相当し、根切り後柱部
分の鉄筋を組立てた状態の断面図である。
【図4】図2の4−4線矢視断面図である。
【図5】図2の段階から地上階部分の建設に進んだ状態
の垂直断面図である。
【図6】図2の4−4線矢視に相当する異なる実施例の
断面図である。
【図7】図2の4−4線矢視に相当する異なる実施例の
断面図である。
【図8】Aは従来方法により構築した地下躯体の水平断
面図で、Bは同垂直断面図である。
【符号の説明】
1 ソイルセメント柱列壁 2 芯材(H形鋼) 3 漏出し防止材 4 スタッドボルト 5 壁用の縦横筋 6 柱の縦筋 7 柱の帯筋 8 型枠 9 コンクリート
フロントページの続き (72)発明者 井ノ上 一博 東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式会 社竹中工務店東京本店内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ソイルセメント柱列壁の施工に際し、地下
    躯体の柱部分の芯材にソイルセメントの漏出し防止材を
    予め取付けて設置しておくこと、 ソイルセメント柱列壁の構築を完成した後、地盤の根切
    り時に、地下外壁部分は芯材の内側面までソイルセメン
    トを除去し、柱部分は柱面となる前記漏出し防止材の内
    側面まで除去すること、 ソイルセメント柱列壁の芯材の内側面にスタッドボルト
    等のコネクタを取付けること、 地下外壁部分に壁用の縦横筋を配筋し、柱部分には柱用
    の縦筋と帯筋を配筋し、地下躯体の内面位置に型枠を設
    置しコンクリートを打設すること、をそれぞれ特徴とす
    る、ソイルセメント柱列壁を利用した合成地下躯体の構
    築方法。
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