JPH06272117A - 活性炭素繊維の製造方法 - Google Patents

活性炭素繊維の製造方法

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JPH06272117A
JPH06272117A JP5059224A JP5922493A JPH06272117A JP H06272117 A JPH06272117 A JP H06272117A JP 5059224 A JP5059224 A JP 5059224A JP 5922493 A JP5922493 A JP 5922493A JP H06272117 A JPH06272117 A JP H06272117A
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JP
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pitch
fiber
spinning
optically isotropic
carbon fiber
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Toshio Tamaki
敏夫 玉木
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PETOCA KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学的等方性ピッチから得られたものに匹敵
するほど比表面積が大きく、かつ繊維強度の高い活性炭
素繊維を提供すること。 【構成】 異方性化しにくい光学的等方性ピッチと、熱
処理により容易に異方性化する光学的等方性ピッチとの
溶融混合物を熱処理して得られた、光学的等方性ピッチ
中に光学的異方性成分がピッチ全重量に基づき5〜30
重量%の割合で均一に分散してなる軟化点220〜29
0℃の紡糸用ピッチを紡糸してピッチ繊維を作成したの
ち、不融化次いで賦活処理することにより、活性炭素繊
維を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は活性炭素繊維の製造方法
に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、光学
的等方性ピッチから得られる活性炭素繊維と同程度に比
表面積が大きく、かつ繊維強度の高い活性炭素繊維を効
率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、活性炭素繊維は、粒状活性炭より
表面積が大きいために、織物,フェルト,マット状など
に加工し、溶剤回収装置や空気洗浄装置などの吸着材,
フィルターなどに用いられるようになり、脚光を浴びて
きている。
【0003】この活性炭素繊維の製造方法としては、例
えばポリアクリロニトリル系繊維,フェノール樹脂繊
維,セルロース系繊維及びピッチ系繊維などを原料とす
る方法が知られている。ポリアクリロニトリル系活性炭
素繊維については、例えば鉄化合物を含有するアクリロ
ニトリル繊維を特定の温度で酸化処理したのち、賦活処
理することにより、製造する方法が提案されている(特
公昭63−53294号公報)。しかしながら、この方
法においては、得られる活性炭素繊維は繊維強度が20
〜50kg/mm2 と比較的高強度であるものの、比表
面積が700〜1200m2 /gと小さい上、ポリアク
リロニトリル繊維は原料として高価であるなどの欠点を
有している。
【0004】一方、ピッチ系活性炭素繊維については、
例えば光学的等方性の石油系又は石炭系ピッチを原料と
して、紡糸,不融化,炭化賦活処理することにより、製
造する方法が提案されている(特開昭61−13262
9号公報,特開昭62−27315号公報)。しかしな
がら、この方法においては、ピッチは原料として安価で
あり、かつ得られる活性炭素繊維は比表面積が1000
〜2000m2 /gと大きいものの、繊維強度が20k
g/mm2 以下と低いという欠点を有している。
【0005】このように、従来のピッチ系活性炭素繊維
は、ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維に比べて、製
造コストが安価で、かつ比表面積や吸着性能について優
れているものの、繊維強度に劣るという問題があった。
ところで、ピッチ系炭素繊維の力学的性能は紡糸用ピッ
チの性能に大きく左右され、光学的等方性ピッチからは
強度及び弾性率の低い汎用(GP)炭素繊維が得られ、
一方光学的異方性相を含むメソフェーズ(液晶)ピッチ
からは強度及び弾性率の高い高性能(HP)炭素繊維が
得られることが知られている。
【0006】しかしながら、従来ピッチ系活性炭素繊維
は、非晶質の光学的等方性ピッチを紡糸,不融化,炭化
賦活処理して得ており、光学的異方性ピッチを原料とす
る手法は用いられていなかった。これは、光学的異方性
ピッチを原料とする場合、繊維強度は発現するものの、
賦活が容易でないからである。そこで、このような問題
を解決する方法として、光学的等方性ピッチと光学的異
方性ピッチとを溶融混合処理した紡糸用ピッチを用い
て、表層部が光学的等方性を示し、内部が光学的異方性
を示す二重構造からなる、高比表面積で高強度の活性炭
素繊維を製造する方法が提案されている(特開平3−8
2820号公報)。
【0007】しかしながら、この方法においては、光学
的等方性ピッチに、光学的異方性ピッチを単に溶融混合
して紡糸用ピッチとするために、光学的異方性成分が均
質に分散しにくく、その結果紡糸性が悪い上、充分に満
足しうる上記二重構造の活性炭素繊維が得られないとい
う問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、光学的等方性ピッチから得られる活性炭
素繊維と同程度に比表面積が大きく、かつ繊維強度の高
い活性炭素繊維を、安価で豊富なピッチを原料として効
率よく製造する方法を提供することを目的としてなされ
たものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、異方性化しに
くい光学的等方性ピッチと熱処理により容易に異方性化
する光学的等方性ピッチとの溶融混合物を所定の温度で
熱処理することにより、光学的等方性ピッチ中に光学的
異方性成分が特定の割合で均一に分散した紡糸性に優れ
る紡糸用ピッチが得られること、そしてこの紡糸用ピッ
チを紡糸、不融化、賦活処理することにより、表層部が
実質的に光学的等方性を示し、内部が実質的に光学的異
方性を示す二重構造の表面積が大きく、かつ繊維強度の
高い活性炭素繊維が得られることを見出した。本発明
は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0010】すなわち、本発明は、(A)(a)ピッチ
に酸素含有ガスを吹き込みながら熱処理して得られた軟
化点230〜300℃の光学的等方性ピッチと、(b)
ナフタレンをルイス酸触媒の存在下に重合して得られた
軟化点200〜270℃の光学的等方性ピッチ及び/又
は軟化点130〜200℃の光学的等方性熱処理ピッチ
との溶融混合物を320〜450℃の温度で熱処理し
て、光学的異方性成分5〜30重量%を含有する軟化点
220〜290℃の紡糸用ピッチを製造する工程、
(B)該紡糸用ピッチを紡糸する工程、(C)紡糸され
たピッチ繊維を不融化する工程及び(D)不融化繊維を
賦活処理する工程を順次施すことを特徴とする活性炭素
繊維の製造方法を提供するものである。
【0011】本発明における(A)工程の紡糸用ピッチ
の製造工程において、(a)成分として用いられる光学
的等方性ピッチは、原料ピッチに酸素含有ガスを吹き込
みながら熱処理して得られた軟化点が230〜300℃
のものである。原料ピッチの種類については、酸素含有
ガスを吹き込みながら熱処理することにより、光学的等
方性で上記軟化点を有するピッチを与えるものであれば
よく特に制限はないが、例えば原油蒸留残渣油,流動接
触分解(FCC)重質油,ナフサ分解残渣油,エチレン
ボトム油などの石油系ピッチ(重質油)、コールター
ル,石炭液化油などの石炭系ピッチ(重質油)をろ過,
蒸留,水添,接触分解などの処理工程を経て調製された
ものが挙げられる。
【0012】これらの原料ピッチの処理方法について
は、酸素含有ガスを吹き込みながら熱処理することによ
り、光学的等方性で、上記軟化点を有するピッチを与え
る方法であればよく、特に制限はないが、以下に示す処
理方法が好ましく用いられる。すなわち、まず原料ピッ
チに酸素含有ガスを吹き込みながら、常圧ないし0.3k
g/cm2 ・G程度の微圧下で、好ましくは300〜3
70℃の範囲の温度において熱処理を行い、光学的異方
性成分が生成する直前で、該熱処理を停止する。この場
合、熱処理時間は、通常5〜12時間程度である。この
熱処理により、キノリン不溶分(以下、QIと称する)
の含有量が0〜15重量%程度と低く、かつ光学的異方
性成分をほとんど含まないある程度重合・架橋の進んだ
230〜300℃程度の軟化点を有する光学的等方性ピ
ッチが得られる。
【0013】次に必要に応じて、このようにして得られ
た光学的等方性ピッチに、さらに酸素含有ガスを吹き込
みながら、通常100Torr以下、好ましくは5〜3
0Torrの減圧下にし、300〜370℃程度の温度
で、10分間ないし3時間、好ましくは20分間ないし
1時間の熱処理を行い、ピッチの軟化点を250〜30
0℃に高めてもよい。
【0014】上記の熱処理に用いられる酸素含有ガスと
しては、例えば空気や酸素リッチ気体などが挙げられる
が、入手の容易さなどの点から空気が好適である。ま
た、酸素の使用量は、通常ピッチ1kg当たり、0.2〜
5NL/分、好ましくは0.5〜2NL/分であり、空気
の場合は酸素の量の約4倍量である。酸素含有ガスを用
いず、窒素などの不活性ガスを用いると、光学的等方性
構造が保持しにくく、光学的異方性成分が多くなり、本
発明の目的が達せられない。
【0015】この処理はバッチ式、連続式のいずれの方
式で行ってもよく、連続的に熱処理を行う場合、装置と
しては、脱気孔付き押出機であれば特に制限されない
が、例えば、プラスチックの成形粒子製造用のペレタイ
ザー、混合・混練機などや、縮重合に伴う種々の副生物
などの脱気・除去をも兼ねるセルフクリーニングタイプ
の押出機などを挙げることができる。
【0016】このようにして得られた(a)成分の光学
的等方性ピッチは、QI含有量が0〜25重量%程度、
一般的には5重量%以下と低く、かつ230〜300℃
の高軟化点(メトラー法で測定)を有している。該軟化
点が230℃未満では不融化が困難となるし、300℃
を超えると粘度が高すぎ紡糸が困難になる。該(A)工
程においては、(b)成分として、ナフタレンをルイス
酸触媒の存在下、重合して得られた軟化点200〜27
0℃の実質上光学的等方性ピッチ及び/又は軟化点13
0〜200℃の光学的等方性熱処理ピッチが用いられ
る。
【0017】ナフタレンの重合にあたっては、ナフタレ
ンをルイス酸触媒の存在下に、230〜300℃程度の
温度で加熱処理する。処理時間については、温度及び触
媒の種類や量によって左右され、一概に定めることがで
きないが、重合物が光学的等方性ピッチであり、かつ2
00〜270℃の軟化点になるまで加熱処理する。処理
時間は一般的には10分ないし5時間程度である。この
際用いられるルイス酸触媒としては、例えばフッ化水
素、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、無水塩化
第二鉄などが挙げられ、これらは一種用いてもよいし、
二種以上を組み合わせて用いてもよい。このナフタレン
をルイス酸触媒の存在下で重合して得られた光学的等方
性ピッチは、低温で光学的異方性成分が生成しやすい上
に、本発明で用いる他の光学的等方性ピッチ及び/又は
光学的等方性熱処理ピッチとの相溶性が良いため好まし
く用いられる。なお,本ピッチは紡糸時の応力によって
光学的異方性に転化し易いが、320℃以上で加熱処理
すると光学的異方性成分を生成し、紡糸時の光学的異方
性成分への転化はほとんどなくなる。
【0018】一方、軟化点130〜200℃の光学的等
方性熱処理ピッチとは、350〜450℃の温度範囲に
おいて10分ないし3時間程度の熱処理によって光学的
異方性成分を5〜30重量%生成させ得る光学的等方性
ピッチであり、原料ピッチを常圧又は加圧下で、非酸化
性ガス又は不活性ガスを通じながら300〜360℃程
度の温度で攪拌加熱処理して得られた光学的異方性成分
を含まないものである。原料ピッチとしては、上記
(a)成分における原料ピッチの説明において例示した
ものと同じものを挙げることができ、石油系ピッチ及び
石炭系ピッチのいずれも用いることができる。加熱処理
時間については処理温度や原料ピッチの種類などによっ
て左右され、一概に定めることができないが、光学的異
方性成分が生成せず、かつ軟化点が130〜200℃の
範囲になるまで加熱処理する。処理時間は一般的には1
〜24時間程度である。なお、(b)成分としては、軟
化点200〜270℃の実質上光学的等方性ピッチ及び
軟化点130〜200℃の光学的等方性熱処理ピッチの
いずれか一方、あるいは両者を用いることができる。こ
こで両者を用いる場合は、その混合割合は特に制限はな
く、状況に応じて適宜選定すればよい。
【0019】このようにして得られた(b)成分の光学
的等方性のピッチは、熱処理によって容易に異方性化す
る。これに対して、上記(a)成分の光学的等方性ピッ
チは、酸素含有ガスを吹き込みながら加熱処理されたも
のであるので、三次元構造が生成し、異方性化しにくい
性質を有している。
【0020】本発明の(A)工程においては、上記
(a)成分のピッチ100重量部に対して、(b)成分
のピッチを好ましくは10〜50重量部の割合で溶融混
合したのち、この混合物を320〜450℃の範囲の温
度において10分ないし3時間程度熱処理する。この熱
処理によって光学的等方性ピッチ中に、光学的異方性成
分がピッチ全重量に基づき5〜30重量%の割合で均一
に分散した紡糸用ピッチが得られる。この光学的異方性
成分の含有量が5重量%未満では繊維強度の高い活性炭
素繊維が得られないし、30重量%を超えると比表面積
の大きい活性炭素繊維が得にくい傾向がみられる。
【0021】このようにして得られた紡糸用ピッチの軟
化点は、220〜290℃の範囲にあり、またQI含有
量は、通常0〜15重量%の範囲にある。なお、光学的
異方性成分の量は、偏光顕微鏡直交ニコル下で観察し、
写真撮影して光学的異方性相又は光学的等方性相の占め
る割合から求めることができる。また、該紡糸用ピッチ
は光学的異方性成分が均一に分散しているため、紡糸性
が良好である。
【0022】本発明においては、次の(B)工程におい
て、上記紡糸用ピッチを紡糸してピッチ繊維を作成す
る。紡糸方法については特に制限はなく、従来公知の溶
融紡糸法により紡糸される。
【0023】このようにして得られたピッチ繊維は、通
常表層部が実質的に光学的等方性を示し、内部が実質的
に光学的異方性を示す二重構造を有している。この二重
構造は、該繊維の断面を偏光顕微鏡による観察によって
確認することができる。なお、紡糸条件によっては、光
学的異方性成分を繊維全体に分散させることも可能であ
る。
【0024】次いで、(C)工程において、上記ピッチ
繊維の不融化処理を行なう。この不融化処理は酸素、酸
素リッチガス、空気、NO2 などの雰囲気下、通常1〜
15℃/分の昇温速度で昇温したのち、200〜400
℃、好ましくは260〜360℃の温度で5〜300分
間程度熱処理することにより行なわれる。このようにし
て不融化処理されたピッチ繊維は、次の(D)工程にお
いて、賦活処理が施される。賦活処理の方法については
特に制限はなく、従来活性炭素繊維の製造において慣用
されている方法を用いることができる。例えば水蒸気、
二酸化炭素、酸素などの賦活ガス雰囲気下に、好ましく
は700〜1000℃の範囲の温度において10〜15
0分間程度処理することにより賦活が行なわれる。賦活
処理前に、不融化処理されたピッチ繊維を低温で炭化し
ておいてもよい。賦活装置としては回分式及び連続式賦
活炉など、公知の装置を適宜用いることができる。
【0025】不融化されたピッチ繊維は、表層部が賦活
されやすい実質的に光学的等方性で、内部が賦活されに
くい実質的に光学的異方性の二重構造を有しているた
め、表層部のみが賦活され、内部はあまり賦活されず繊
維強度の増加に寄与する。このようにして得られた活性
炭素繊維は、比表面積が通常の賦活条件では1000〜
2000m2 /g程度と、光学的等方性ピッチから得ら
れたものに匹敵するほど大きく、かつ繊維強度が30〜
90kgf/mm2 程度と高い。
【0026】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
【0027】実施例1 (1)(a)成分ピッチの調製 FCCデカントオイルをフラッシュ蒸留し、常圧換算4
95℃以下の留分をカットして得られたFCC重質油
(軟化点70℃)を原料ピッチとして用い、これを35
0℃で1NL/kg・分の空気を吹き込みながら、9時
間熱処理することにより、軟化点250℃(メトラー軟
化点)、QI含有量3重量%の光学的等方性ピッチが収
率70重量%で得られた。このピッチを偏光顕微鏡で観
察したところ、光学的異方性成分が含まれていないこと
が分かった。 (2)(b)成分ピッチの調製 ナフタレン1モルに対して、フッ化水素2モル及び三フ
ッ化ホウ素0.5モルの割合で混合し、240℃で30分
間重合させた。重合後、ルイス酸触媒を除去することに
より、軟化点230℃(メトラー軟化点)の光学的等方
性ピッチが得られた。このピッチを偏光顕微鏡で観察し
たところ、光学的異方性成分が含まれていないことが分
かった。 (3)紡糸用ピッチの調製 上記(1)において得られた光学的等方性ピッチ100
重量部に対して、上記(2)において(b)成分ピッチ
としてナフタレンから得られた光学的等方性ピッチ30
重量部を添加し、280℃で30分間溶融混合攪拌した
のち、この混合物を400℃で30分間熱処理して、紡
糸用ピッチを調製した。このピッチを偏光顕微鏡で観察
したところ、光学的等方性ピッチ中に、光学的異方性成
分がピッチ全重量に基づき23重量%の割合で均一に分
散していることが確認された。
【0028】また上記紡糸用ピッチは、軟化点が245
℃(メトラー軟化点)、QI含有量が3重量%であっ
た。 (4)活性炭素繊維の製造 上記(3)において得られた紡糸用ピッチを、紡糸温度
270℃で内径0.3mmのノズルからメルトスピニング
法により巻取速度500m/分で紡糸して糸径18μm
のピッチ繊維を作成した。このピッチ繊維の断面を偏光
顕微鏡により観察したところ、表層部が実質的に光学的
等方性を示し、繊維断面の中心部23%が光学的異方性
を示す二重構造を有することが確認された。
【0029】次に、このピッチ繊維を空気雰囲気下に、
3℃/分の昇温速度で昇温し、320℃で10分間熱処
理して不融化したのち、水蒸気により950℃で20分
間賦活処理して、活性炭素繊維を製造した。このように
して得られた活性炭素繊維は、比表面積が1500m2
/gで、繊維強度が80kgf/mm2 であった。
【0030】比較例1 実施例1(1)で得られた光学的等方性ピッチを紡糸用
ピッチとして用い、実施例1(4)と同様にして、紡
糸,不融化及び賦活処理を行ったところ、比表面積15
20m2 /g、繊維強度10kgf/mm2 の活性炭素
繊維が得られた。
【0031】実施例2 (1)紡糸用ピッチの調製 実施例1の(1)において得られた光学的等方性ピッチ
100重量部に対して、実施例1の(2)において
(b)成分ピッチとしてナフタレンから得られた光学的
等方性ピッチ10重量部を添加し、280℃で30分間
溶融混合攪拌したのち、この混合物を400℃で30分
間熱処理して、紡糸用ピッチを調製した。このピッチを
偏光顕微鏡で観察したところ、光学的等方性ピッチ中
に、光学的異方性成分がピッチ全重量に基づき9重量%
の割合で均一に分散していることが確認された。また上
記紡糸用ピッチは、軟化点が248℃(メトラー軟化
点)、QI含有量が1重量%であった。 (2)活性炭素繊維の製造 上記の様に調製された紡糸用ピッチを、紡糸温度270
℃で内径0.3mmのノズルからメルトスピニング法によ
り巻取速度500m/分で紡糸して糸径18μmのピッ
チ繊維を作成した。このピッチ繊維の断面を偏光顕微鏡
により観察したところ、表層部が実質的に光学的等方性
を示し、繊維断面の中心部9%が光学的異方性を示す二
重構造を有することが確認された。次に,このピッチ繊
維を空気雰囲気下に、3℃/分の昇温速度で昇温し、3
20℃で10分間熱処理して不融化したのち、水蒸気に
より950℃で20分間賦活処理して、活性炭素繊維を
製造した。このようにして得られた活性炭素繊維は、比
表面積が1620m2 /gで、繊維強度が45kgf/
mm2 であった。
【0032】実施例3 (1)光学的等方性熱処理ピッチの調製 実施例(1)(a)成分ピッチの調製に用いたFCC重
質油(軟化点70℃)を原料ピッチとし、これを350
℃で1NL/kg・分のN2 を吹き込みながら5時間熱
処理することにより、軟化点150℃(メトラー軟化
点)、QI含有量0重量%の光学的等方性ピッチが収率
60重量%で得られた。このピッチを偏光顕微鏡で観察
したところ、光学的異方性成分が含まれていないことが
分かった。 (2)紡糸用ピッチの調製 実施例1の(1)において得られた光学的等方性ピッチ
100重量部に対して、上記において得られた光学的等
方性熱処理ピッチ30重量部を添加し、280℃で30
分間溶融混合攪拌したのち、この混合物を400℃で3
0分間熱処理して、紡糸用ピッチを調製した。このピッ
チを偏光顕微鏡で観察したところ、光学的等方性ピッチ
中に、光学的異方性成分がピッチ全重量に基づき23重
量%の割合で均一に分散していることが確認され、軟化
点は238℃であって、QIは5重量%であった。 (3)活性炭素繊維の製造 上記において調製された紡糸用ピッチを、紡糸温度27
0℃で内径0.3mmのノズルからメルトスピニング法に
より巻取速度500m/分で紡糸して糸径18μmのピ
ッチ繊維を作成した。このピッチ繊維の断面を偏光顕微
鏡により観察したところ、表層部が実質的に光学的等方
性を示し、繊維断面の中心部23%が光学的異方性を示
す二重構造を有することが確認された。
【0033】次に、このピッチ繊維を空気雰囲気下に、
3℃/分の昇温速度で昇温し、320℃で10分間熱処
理して不融化したのち、水蒸気により950℃で20分
間賦活処理して、活性炭素繊維を製造した。このように
して得られた活性炭素繊維は、比表面積が1500m2
/gで、繊維強度が60kgf/mm2 であった。
【0034】実施例4 (1)紡糸用ピッチの調製 実施例1の(1)で得られた(a)成分ピッチである光
学的等方性ピッチ100重量部に対して、実施例1の
(2)で得られたナフタレンからの(b)成分ピッチで
ある光学等方性ピッチ15重量部を加え、さらに実施例
3で得られた光学的等方性熱処理ピッチ15重量部を添
加し、280℃で30分間溶融混合攪拌したのち、この
混合物を400℃で30分間熱処理して、紡糸用ピッチ
を調製した。このピッチを偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、光学的等方性ピッチ中に、光学的異方性成分がピッ
チ全重量に基づき23重量%の割合で均一に分散してい
ることが確認された。また上記紡糸用ピッチは、軟化点
が242℃(メトラー軟化点)、QI含有量が2重量%
であった。 (2)活性炭素繊維の製造 上記の様に調製された紡糸用ピッチを、紡糸温度263
℃で内径0.3mmのノズルからメルトスピニング法によ
り巻取速度500m/分で紡糸して糸径18μmのピッ
チ繊維を作成した。このピッチ繊維の断面を偏光顕微鏡
により観察したところ、表層部が実質的に光学的等方性
を示し、繊維断面の中心部23%が光学的異方性を示す
二重構造を有することが確認された。次に,このピッチ
繊維を空気雰囲気下に、3℃/分の昇温速度で昇温し、
320℃で10分間熱処理して不融化したのち、水蒸気
により950℃で20分間賦活処理して、活性炭素繊維
を製造した。このようにして得られた活性炭素繊維は、
比表面積が1500m2 /gで、繊維強度が70kgf
/mm2 であった。
【0035】
【発明の効果】本発明によると、光学的等方性ピッチ中
に光学的異方性成分が均一に分散した紡糸用ピッチを用
いることにより、光学的等方性ピッチから得られたもの
に匹敵するほど比表面積が大きく、かつ繊維強度の高い
活性炭素繊維が容易に得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 9/145 7199−3B

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)ピッチに、酸素含有ガスを
    吹き込みながら熱処理して得られた軟化点230〜30
    0℃の光学的等方性ピッチと、(b)ナフタレンをルイ
    ス酸触媒の存在下に重合して得られた軟化点200〜2
    70℃の光学的等方性ピッチ及び/又は軟化点130〜
    200℃の光学的等方性熱処理ピッチとの溶融混合物を
    320〜450℃の温度で熱処理して、光学的異方性成
    分5〜30重量%を含有する軟化点220〜290℃の
    紡糸用ピッチを製造する工程、(B)該紡糸用ピッチを
    紡糸する工程、(C)紡糸されたピッチ繊維を不融化す
    る工程及び(D)不融化繊維を賦活処理する工程を順次
    施すことを特徴とする活性炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 活性炭素繊維が、表層部が実質的に光学
    的等方性を示し、内部が実質的に光学的異方性を示す二
    重構造を有するものである請求項1記載の活性炭素繊維
    の製造方法。
JP5059224A 1993-03-19 1993-03-19 活性炭素繊維の製造方法 Pending JPH06272117A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103352276A (zh) * 2013-07-27 2013-10-16 山西永东化工股份有限公司 一种高模量高强度短切炭纤维制造方法
JP2023008989A (ja) * 2021-07-01 2023-01-19 コリア リサーチ インスティチュート オブ ケミカル テクノロジー ヘテロ相バインダーピッチの製造方法、及びこれから製造されたヘテロ相バインダーピッチ

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CN103352276A (zh) * 2013-07-27 2013-10-16 山西永东化工股份有限公司 一种高模量高强度短切炭纤维制造方法
JP2023008989A (ja) * 2021-07-01 2023-01-19 コリア リサーチ インスティチュート オブ ケミカル テクノロジー ヘテロ相バインダーピッチの製造方法、及びこれから製造されたヘテロ相バインダーピッチ

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