JP2000017526A - 炭素繊維の製造法 - Google Patents

炭素繊維の製造法

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JP2000017526A
JP2000017526A JP10182288A JP18228898A JP2000017526A JP 2000017526 A JP2000017526 A JP 2000017526A JP 10182288 A JP10182288 A JP 10182288A JP 18228898 A JP18228898 A JP 18228898A JP 2000017526 A JP2000017526 A JP 2000017526A
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mesophase pitch
spinning
pitch
carbon fiber
temperature
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JP10182288A
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Yukio Sakai
幸男 酒井
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ピッチ系炭素繊維の製造法において高性能炭素
繊維を、長時間連続的に安定して製造する方法を提供す
る。 【解決手段】光学的異方性含有量が90%以上で、軟化
点が190〜280℃であり、かつ紡糸温度での熱重量
減少が0.7重量%以下であるメソフェーズピッチを溶
融紡糸した後、不融化し、炭化処理する炭素繊維の製造
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高性能ピッチ系炭素
繊維を長時間連続的に安定して製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高性能の炭素繊維は、工業的には一般に
PAN(ポリアクリロニトリル)を原料として製造され
ている。しかし、PANは高価であり、またその炭化収
率が低いことが欠点である。近年、ピッチを原料として
高性能炭素繊維を製造できることが見出されている。炭
素材料用ピッチには、光学的に等方性のピッチと異方性
のピッチがある。等方性ピッチから製造された炭素繊維
は安価であるが、分子配向が悪いため強度が低く、高性
能品が得られない。これに対してメソフェーズピッチと
呼ばれる異方性ピッチから製造される炭素繊維は、高度
の分子配向性を有しており、強度と弾性率において優れ
た機械的性質を示す。
【0003】このため石油の接触分解油からのピッチ、
石油タールピッチ、あるいはコールタールピッチから高
性能炭素繊維の原料であるメソフェーズピッチを製造す
る方法が開発されている。このメソフェーズピッチを用
いて溶融紡糸法により繊維を製造すると、発達した芳香
族平面分子がノズル孔を通過する際に加えられるせん断
応力により繊維軸方向に配列する。この構造は、その後
の不融化、炭化処理の際も乱れることなく維持されるた
め、配向性のよい高性能炭素繊維が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ピッチ系炭素繊維は炭
化工程での歩留まりが大きい、弾性率が高いなどの特徴
を有しているが、PAN系炭素繊維に比べて紡糸性は格
段に落ちる。これはメソフェーズピッチが複雑な化合物
から構成されているので、紡糸時の熱変質、発煙により
紡糸ノズルが汚れ、長時間の紡糸が困難になるためであ
る。そこでピッチ系炭素繊維の製造において、より安定
して炭素繊維を製造しようとする試みがなされている
が、未だPAN系炭素繊維に匹敵する炭素繊維は得られ
ていない。
【0005】本発明者らは先に HF-BF3 を用いてナフタ
レン等の縮合多環芳香族炭化水素を重合することで、不
融化性が良好で、軟化点が低くかつメソフェーズ含有量
の高いメソフェーズピッチの製造法を提案した(特第5
26585号、特第2621253号)。しかし、この
ピッチは軟化点は低いもののまだ揮発分が多く、長時間
の連続紡糸を行うための改善が求められている。本発明
の目的は、ピッチ系炭素繊維の製造法において、高性能
炭素繊維を長時間連続的に安定して製造する方法を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き
課題を有するピッチ系炭素繊維の製造法について鋭意検
討した結果、光学的異方性含有量が高く、特定範囲の軟
化点で、紡糸温度での熱重量減少の少ないメソフェーズ
ピッチを用いて紡糸し、不融化、炭化することで、紡糸
性が良好で長時間の連続紡糸を安定して行うことがで
き、繊維特性に優れたピッチ系炭素繊維が得られること
を見出し、本発明に到達した。紡糸の安定化にはメソフ
ェーズピッチが熱的に安定な分子で構成されることと軽
質分を完全に除くことが必要である。即ち本発明は、光
学的異方性含有量が90%以上で、軟化点が190〜2
80℃であり、かつ紡糸温度での熱重量減少が0.7重
量%以下であるメソフェーズピッチを溶融紡糸した後、
不融化し、炭化処理することを特徴とする炭素繊維の製
造法である。
【0007】
【発明の実施形態】本発明の方法により製造される炭素
繊維の原料には光学的異方性含有量の高いメソフェーズ
ピッチが用いられる。そのメソフェーズピッチの原料に
は、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン等の
縮合多環芳香族炭化水素及びこれらの骨格を有する種々
の石油留分、石油加工工程の残油及び石炭タール留分が
用いられる。メソフェーズピッチの製法は、従来の熱重
合でも可能であるが、弗化水素、三弗化硼素を触媒とし
て重合したものが特に適している。
【0008】弗化水素、三弗化硼素を触媒として重合す
る場合、原料の縮合多環芳香族炭化水素1モルに対して
弗化水素0.2〜1モル、三弗化硼素0.05〜0.5
モルである。弗化水素が1モル、三弗化硼素が0.5モ
ルを超える量を使用しても触媒の循環量が多くなり、反
応器も大きくなり有利でない。また弗化水素0.2モ
ル、三弗化硼素0.05モル未満では光学的異方性含有
量が90%以上のメソフェーズピッチが得られない。重
合に要する時間は、原料の種類、反応温度及び触媒の量
により変化するが、通常30〜300分である。重合終
了後、触媒を分離し、不活性ガスの存在下、300〜5
00℃、好ましくは340〜450℃の温度範囲で、1
分から60時間軽質分の除去を行いメソフェーズピッチ
を得る。
【0009】本発明では、炭素繊維の原料に用いるメソ
フェーズピッチの光学的異方性含有量が90%以上、好
ましくは100%であり、軟化点が190〜280℃、
好ましくは200〜260℃であって、紡糸温度での熱
重量減少が0.7重量%以下であり、このようなメソフ
ェーズピッチが得られるように、反応条件、軽質除去条
件等を設定する必要がある。メソフェーズピッチの溶融
紡糸、不融化処理および炭化処理は常法により行われる
が、その一例を示すと次の通りである。先ず溶融紡糸に
は0.25μ程度のノズルを用い 1〜3kg/cm2 G の窒素圧下
265〜355 ℃で約 500m/min の速度で行う。不融化処理
は通常空気流通下、常温より 250〜300 ℃まで 1〜5 ℃
/minで昇温することにより行われる。炭化処理は不活性
気流中、約10℃/minで昇温することにより行われる。
【0010】本発明において「メソフェーズ」とは、偏
光顕微鏡で観察した際に光学的異方性を示す相成分を指
し、偏光顕微鏡で観察した際の光学的異方性相の面積分
率を「メソフェーズ含有量」と称する。このメソフェー
ズ含有量が少ない場合、溶融状態で異方性相と等方性相
が分離し紡糸操作を妨害するので、メソフェーズ含有量
は90%以上、できれば100%であることが望まし
い。しかし、このメソフェーズ含有量を高くすると一般
にピッチの軟化点と粘度が高くなり、安定した紡糸が困
難となる。すなわち軟化点と粘度が高いので高温での紡
糸が必要となり、ピッチの熱分解・熱縮合反応が起こり
やすく、ガス及び不融性の高分子物質が生成するので、
安定な紡糸を長時間継続することが困難である。
【0011】本発明においてメソフェーズピッチの軟化
点は、フローテスター(島津製作所製)を用いて10kg
の荷重下、毎分6℃の昇温速度で測定される。この軟化
点が280℃より高い場合には、上記の如く高温での紡
糸が必要となり、安定な紡糸を長時間継続することが困
難となる。また軟化点が190℃より低くなると光学的
異方性相の高いメソフェーズを得られず、高性能の炭素
繊維を得ることが困難となる。紡糸温度での熱重量減少
は、窒素雰囲気下、毎分10℃の昇温速度で常温より紡
糸温度まで昇温後、その温度で2時間保持することによ
り得られる。紡糸温度での熱重量減少が0.7重量%よ
り大きい場合には、紡糸時ピッチの熱変質や発煙により
長時間安定して紡糸を行うことが困難となる。従来、こ
のような熱重量減少でピッチを規定したものもあるが
(特開平3−14625号)、温度が紡糸温度とはかけ
離れた高温での熱重量減少を規定しており、実際の紡糸
時の発煙性とは関係がない。メソフェーズピッチによっ
ては、紡糸温度からガス発生のあるもの、紡糸温度では
ガス発生は少ないが、より高温でガス発生のあるものな
ど種々のものがあるが、問題となるのは紡糸時のガス発
生であり、そのためには紡糸温度での熱安定性が重要で
ある。
【0012】本発明は、光学的異方性含有量が90%以
上で、軟化点が190〜280℃であり、かつ紡糸温度
での熱重量減少が0.7重量%以下のメソフェーズピッ
チを用いるものであり、該メソフェーズピッチは紡糸性
に優れているので、高性能炭素繊維を長時間連続的に安
定して製造することができる。また弗化水素、三弗化硼
素を触媒として縮合多環芳香族炭化水素を熱重合するこ
とにより製造されたメソフェーズピッチを用いることに
より、不融化処理を有利に行うことができ、炭素繊維を
高収率で得ることができる。
【0013】
【実施例】次に実施例により更に具体的に説明する。も
ちろん本発明はこれらの実施例により制限されるもので
はない。
【0014】実施例1 ナフタレン1モル、弗化水素0.3モル、三弗化硼素
0.1モルを0.5Lのオートクレーブに仕込み、25
0℃で4時間反応後、触媒を回収した。その後、350
℃で24時間不活性ガスを吹き込むことで軽質分を除
き、メソフェーズピッチを得た。このメソフェーズピッ
チは光学的異方性含有量が100%、軟化点が226
℃、紡糸温度での熱重量減少は0.6重量%であった。
このメソフェーズピッチを301℃で紡糸したところ、
2時間以上糸切れなく紡糸できた。空気中、 5℃/分の
昇温速度で270℃まで昇温して不融化した後、10℃/
分の昇温速度で1000℃まで昇温して炭化処理を行っ
た。得られた炭素繊維の引張強度は 300kgf/mm2 、弾性
率は 18tf/mm2 であった。
【0015】実施例2 ナフタレン1モル、弗化水素0.3モル、三弗化硼素
0.1モルを0.5Lのオートクレーブに仕込み、25
0℃で4時間反応後、触媒を回収した。その後、400
℃、3Torrで軽質分を除き、メソフェーズピッチを得
た。このメソフェ−ズピッチは光学的異方性含有量が1
00%、軟化点が240℃、紡糸温度での熱重量減少は
0.5重量%であった。このメソフェーズピッチを 315
℃で紡糸したところ、3時間以上糸切れなく紡糸でき
た。実施例1と同様に不融化、炭化処理を行った。得ら
れた炭素繊維の引張強度は 320kgf/mm2 、弾性率は 20t
f/mm2 であった。
【0016】比較例1 ナフタレン1モル、弗化水素0.7モル、三弗化硼素
0.2モルを0.5Lのオートクレーブに仕込み、27
0℃で2時間反応後、触媒を回収した。その後、340
℃で12時間不活性ガスを吹き込むことで軽質分を除
き、メソフェーズピッチを得た。このメソフェーズピッ
チは光学的異方性含有量が100%、軟化点が248
℃、紡糸温度での熱重量減少は1.2重量%であった。
このメソフェーズピッチを 333℃で紡糸したところ、1
0分以上連続して紡糸することができなかった。実施例
1と同様に不融化、炭化処理を行った。得られた炭素繊
維の引張強度は 230kgf/mm2 、弾性率は 18tf/mm2 であ
った。
【0017】比較例2 ナフタレン7モル、弗化水素3モル、三弗化硼素1.4
モルを3Lのオートクレーブに仕込み、260℃で2時
間反応後、触媒を回収した。その後、340℃で18時
間不活性ガスを吹き込むことで軽質分を除き、メソフェ
ーズピッチを得た。このメソフェーズピッチは光学的異
方性含有量が100%、軟化点が237℃、紡糸温度で
の熱重量減少は1.0重量%であった。このメソフェー
ズピッチを 312℃で紡糸したところ、15分以上連続し
て紡糸することができなかった。実施例1と同様に不融
化、炭化処理を行った。得られた炭素繊維の引張強度は
250kgf/mm2 、弾性率は 20tf/mm2 であった。
【0018】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、光
学的異方性含有量が90%以上、軟化点が190〜28
0℃で、かつ紡糸温度での熱重量減少が0.7重量%以
下のメソフェーズピッチは紡糸性に優れており、本発明
によりこのようなメソフェーズピッチを原料とすること
によって、高性能炭素繊維を長時間連続的に安定して製
造することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的異方性含有量が90%以上で、軟
    化点が190〜280℃であり、かつ紡糸温度での熱重
    量減少が0.7重量%以下であるメソフェーズピッチを
    溶融紡糸した後、不融化し、炭化処理することを特徴と
    する炭素繊維の製造法。
  2. 【請求項2】 メソフェーズピッチの光学的異方性含有
    量が100%である請求項1に記載の炭素繊維の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 メソフェーズピッチが、弗化水素、三弗
    化硼素を触媒として縮合多環芳香族炭化水素を熱重合す
    ることにより得られたものである請求項1に記載の炭素
    繊維の製造方法。
JP10182288A 1998-06-29 1998-06-29 炭素繊維の製造法 Pending JP2000017526A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114959949A (zh) * 2022-04-27 2022-08-30 北京化工大学 一种稠环芳烃基碳纤维及其制备方法

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