JPH06267829A - X線マスクおよびその形成方法 - Google Patents

X線マスクおよびその形成方法

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JPH06267829A
JPH06267829A JP4951793A JP4951793A JPH06267829A JP H06267829 A JPH06267829 A JP H06267829A JP 4951793 A JP4951793 A JP 4951793A JP 4951793 A JP4951793 A JP 4951793A JP H06267829 A JPH06267829 A JP H06267829A
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JP
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film
crystal
diamond
diamond crystal
substrate
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JP4951793A
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English (en)
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Keiji Hirabayashi
敬二 平林
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Canon Inc
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ダイヤモンド結晶形成時の基体温度を400
〜900℃とすることによって形成される結晶を{11
1}面配向性とし、選択堆積法等によって結晶核の発生
密度を制御しながら、CVD法、燃焼炎法などの方法を
用いて平板ダイヤモンド結晶を形成し、その結晶を成
長、合体および膜状成長させることによって、ダイヤモ
ンド多結晶膜とし、その結晶膜を用いてX線露光マスク
を形成する。 【効果】 本発明の方法で形成される配向性の高い平板
ダイヤモンド結晶を、成長、合体および膜状成長させて
得られるダイヤモンド結晶膜を用いて、熱伝導率および
膜の平坦性の非常に優れたX線マスクを製造することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線露光によって半導
体等に微細なパターンを形成する際に用いられるX線マ
スクおよびその形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】X線露光用マスクに要求される性質とし
ては、X線吸収材料によって形成された微細パターンを
支えるX線透過膜が、(1)高いX線透過性を有するこ
と、(2)剛性の大きい基板材料を有すること、(3)
小さい熱膨張係数および大きい熱伝導率を有すること、
(4)優れた耐薬品性および耐湿性を有すること、
(5)アライメント光としての近赤外光または可視光を
高い透過率で透過すること、(6)丈夫でかつ作製容易
であること、などがある。
【0003】従来、このX線リソグラフィー用マスクの
X線透過膜としては、例えばSi,Si34,Al
23,BN,SiC,SiNxなどの無機透過膜あるい
はポリイミド、カプトン、パリレンなどの有機高分子薄
膜が検討されてきた。
【0004】無機薄膜を利用したものとしては、特開昭
61−32425号公報にダイヤモンドもしくはダイヤ
モンド状薄膜と有機高分子薄膜との構成が記載され、特
開昭62−256428号公報には高分子重合体の薄膜
をイオン注入により変成させた炭素質薄膜の記載があ
り、特開昭63−27018号公報には非晶質の透明カ
ーボン膜、さらに特開昭63−254727号公報には
ダイヤモンド結晶を含む炭素系薄膜がX線リソグラフィ
ー用のX線透過膜として示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
材料のうち、例えばSiは近赤外または可視光の透過率
が低く、光を用いたアライメント方式が困難になるとい
う欠点がある。また、Al23および有機高分子薄膜
は、熱膨張係数が大きいため、熱膨張によるマスクパタ
ーンの位置のずれが問題となる。
【0006】さらに、Si34の場合、内部応力が大き
いため、実用上必要な寸法の薄膜を形成することが困難
であるという問題がある。この問題を解決するべく採用
された、SiとNの化学量論的組成を制御したSiNx
膜は、適度な引っ張り応力を有し、かつX線透過膜に要
求される諸特性を比較的よく満足するが、熱伝導率が小
さいため、X線露光に伴うX線透過膜の熱膨張による転
写パターンの位置ずれが大きいという問題点がある。
【0007】このほか、SiC、BN、さらにはダイヤ
モンド膜、カーボン膜も比較的よく、X線透過膜に要求
される性質を満足しているが、要求される全ての性質を
同時に満足するものではない。
【0008】例えば、特開昭61−32425号公報に
開示されているダイヤモンド膜は、これらの中でX線透
過膜としての性質を最も良く満たす材料である。しかし
ながら、この膜は多結晶膜であるため、膜表面に数百n
m程度の凹凸があり、ダイヤモンド膜をX線透過膜とし
て使用するにはポリイミド等の有機高分子膜を塗布し、
平坦化する工程あるいはダイヤモンド膜を研磨して平坦
化する工程等が必要となる。
【0009】また、特開昭62−256428号公報の
高分子重合体薄膜をイオン注入により変成させた炭素薄
膜および特開昭63−254727号公報記載のダイヤ
モンド結晶を含む炭素系薄膜、さらには特開昭63−2
7018号公報記載の透明カーボン薄膜は、純粋なダイ
ヤモンド薄膜に比べて熱伝導率が小さくなり、X線透過
膜の熱膨張による転写パターンの位置ずれを生じるとい
う上記の問題点がある。
【0010】このように、X線露光マスクのX線透過材
料がX線リソグラフィー技術上の大きな問題点となって
いる。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解決
し、サブミクロンあるいはそれ以下の超微細パターンの
高精度での転写を可能とする優れたX線露光マスクを提
供することを目的としてなされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ダイヤモンド
結晶を用いるX線マスクにおいて、ダイヤモンド結晶
が、基体面に垂直な方向の長さの基体面に平行な方向の
長さに対する比の値が1/4ないし1/1000であ
り、該基体面と結晶上面とがなす角が0ないし10度で
ある平板ダイヤモンド結晶が多数合体した形態の多結晶
膜であることを特徴とするX線マスクおよびその形成方
法を提供する。
【0013】以下、本発明を詳細に述べる。
【0014】本発明のX線露光マスクの模式的断面図を
図1に示す。図中、1は基体、2は平板ダイヤモンド結
晶を成長合体させた絶縁性ダイヤモンド膜、3はX線吸
収体である。
【0015】また、本発明で言う平板ダイヤモンド結晶
の断面の模式図を図2に、また従来の粒子状ダイヤモン
ド結晶の模式的断面図を図3に示す。
【0016】図2中、21は基体で、その上面に本発明
にかかる平板ダイヤモンド結晶22が形成されている。
この平板ダイヤモンド結晶22の基体面に垂直な方向の
長さ(高さ)hと、基体面に平行な方向の長さ(横幅)
Lとの比の値(h/L)は、1/4以下、一般的には1
/4.5以下、好ましくは1/5〜1/1000であ
る。また、結晶上面22aは{111}面であり、その
面が基体面21aとなす角θは0〜10度であり、両者
は実質的に平行である。
【0017】それに対して図3の従来例の粒子状ダイヤ
モンド結晶32の場合、h/Lの値は1/3以上、一般
的には1/2以上となり、θは一般的にはランダムとな
る。このような平板ダイヤモンド結晶の形成は、CVD
法、燃焼炎法などの高品質のダイヤモンド結晶を形成す
る方法によってのみ可能である。CVD法には、熱フィ
ラメントCVD法、マイクロ波CVD法、有磁場マイク
ロ波CVD法、直流プラズマCVD法、RFプラズマC
VD法などがある。
【0018】CVD法に用いる原料ガス中の炭素源ガス
としては、メタン、エタン、エチレン、アセチレンなど
の炭化水素ガス、アルコール、アセトンなどの常温で液
体の有機化合物、一酸化炭素またはハロゲン化炭素など
を用いることができる。さらに、適宜、水素、酸素、塩
素、フッ素原子を含むガスを添加することもできる。 (1)CVD法による平板ダイヤモンド結晶の形成 原料ガスは、組成式中に少なくとも水素、炭素および酸
素を含んでいることが必要で、1つの原料ガスの組成式
中にこれらの元素が全て含まれていてもよく、あるいは
これらのいずれかの元素を組成式中に含むガスを複数組
み合わせてもよい。この場合、その原料ガス中の炭素源
濃度は10%以下とする必要がある。ここで言う炭素源
濃度は、(炭素源ガス流量)×(炭素源ガス組成式中の
炭素原子数)/(全原料ガス流量)×100の計算式で
得られる。炭素源ガス中の炭素原子数は、たとえばメタ
ン(CH4)なら1、プロパン(C38)なら3、アセ
トン(CH3COCH3 )なら3となる。この炭素源濃
度を10%以下とする理由は、ダイヤモンド結晶の過飽
和度を抑え、アモルファス炭素の成長を抑制するためで
ある。炭素源濃度に対する下限は特にないが、0.01
%以下ではダイヤモンド結晶の実用的な形成速度が得ら
れない場合がある。
【0019】さらに、CVD法においては、原料ガス中
の酸素原子数と炭素原子数の比(O/C)を0.5≦O
/C≦1.2、望ましくは0.7≦O/C≦1.1とす
る。0.5未満では酸素添加の効果がなく、平板ダイヤ
モンド結晶の生成が見られない。また1.2を越えると
酸素のエッチング効果のため、実用上使用可能なダイヤ
モンド形成速度を得ることができない。O/C値を調節
するには、例えば、O 2、H2O、N2Oなどの酸素添加
ガスを原料ガス中に添加することができる。
【0020】また、アルコールなどの酸素含有有機化合
物を炭素源として用いる場合は、比較的低いO/C値で
も平板ダイヤモンド結晶の形成が可能である。例えば、
原料ガスとして水素とエタノール(C25OH)を用い
た場合、O/C=0.5で良質の平板ダイヤモンド結晶
が形成可能である。この理由の詳細は不明であるが、酸
素含有化合物は、酸素の活性種(OHラジカル)を形成
しやすいためと考えられる。
【0021】また、本発明の平板ダイヤモンド結晶は、
比較的核発生密度が小さい場合に形成される。例えば、
プラズマCVD法、フィラメントCVD法などのCVD
法により結晶形成する場合、核発生密度が2×106
/mm2以下の場合のみ、平板ダイヤモンド結晶が形成
される。この理由の詳細は不明であるが、高さ方向の結
晶成長を抑制するために十分な量のエッチングガス(水
素ラジカルまたはOHラジカル)が必要であり、また横
方向の成長を促進させるため、側面にも十分な量のダイ
ヤモンド形成に関与する活性種(CHx ラジカル種な
ど)が到達することが必要であるためと考えられる。
【0022】また、基体温度は400〜900℃とする
ことによって、{111}面を上面とする平板ダイヤモ
ンド結晶となる。 (2)燃焼炎法による平板ダイヤモンド結晶の形成 燃焼炎法では、酸素−アセチレン炎を用いるが、その主
たる原料ガス中の酸素とアセチレンとのモル比の値は、
0.9≦O2/C22≦1.0となるように、好ましく
は、0.95≦O2/C22 ≦0.99とすることで、
再現性よく、比較的高い成長速度(数十μm/hr: 横
方向の成長速度)でダイヤモンドを形成することができ
る。
【0023】燃焼炎法の場合は、ダイヤモンド結晶の核
発生密度は1×105個/mm2以下、好ましくは1×1
2−1×105個/mm2 とする。燃焼炎法において、
CVD法の場合に比べて核発生密度をこのように低くす
る必要があるのは、燃焼炎法では熱フィラメントCVD
法あるいはマイクロ波CVD法に比べて平板ダイヤモン
ド結晶の横方向の成長速度が10倍以上大きい(数十μ
m/hr)ためである。必要な間隔は形成条件によって
異なり得るため一概に言えないが、形成する平板ダイヤ
モンド結晶の横幅程度である(横幅が10μmであれば
10μm間隔とする)。
【0024】また、基体温度を400〜900℃、好適
には500〜750℃、さらに好適には600〜700
℃とすることにより、上面が3角形あるいは6角形のモ
ルフォロジーの{111}面よりなる平板ダイヤモンド
結晶が形成される。
【0025】本発明の平板ダイヤモンド結晶は、単結晶
あるいは平板中に双晶面が形成された双晶結晶である
が、平板ダイヤモンド結晶には、上面に平行に双晶面が
形成されているものが多い。これは、双晶面の形成によ
り凹入角が形成され、凹入角効果と呼ばれる効果によ
り、凹入角のある方向に結晶の成長が促進されやすく、
形成されるダイヤモンド結晶が平板形となるためである
と考えられる。なお、上面に平行に形成される双晶面は
1つとは限らず、2個以上の場合もある。
【0026】本発明において用いられるダイヤモンド膜
は、少なくとも結晶成長期には、平板状形状を有する平
板ダイヤモンド結晶であり、かつ該平板ダイヤモンド結
晶を成長、合体させ、さらに膜状成長させたものである
ことが必要である。このようなダイヤモンド結晶膜は、
ダイヤモンド粒子同士の高さが比較的揃った平板ダイヤ
モンドが成長合体してできたものであることから、膜の
凹凸が小さく、例えば最大表面粗さが100nm以下の
平滑性の高い膜である。
【0027】またさらに、本発明のダイヤモンド結晶膜
は、結晶性の良好な平板ダイヤモンド結晶が成長合体し
たものであるため、膜中にアモルファス相あるいはグラ
ファイト相をほとんど含まない。そのため、膜の熱伝導
率は非常に良好である。天然ダイヤモンド結晶(タイプ
IIa)は常温で物質中最大の熱伝導率[(2000W
/(m・K)]を有しているが、本発明のダイヤモンド
結晶膜も、ほぼこれに近い値を与える。
【0028】また自然界では、原子量12の12Cと原子
量13の13Cの2つの同位体がそれぞれ98.9%およ
び1.1%の割合で存在している。上述したダイヤモン
ド結晶の熱伝導率は、このような同位体比を有する「自
然界の炭素」を用いた場合であるが、原子量12の12
の割合を増すことにより、さらに熱伝導率を向上させる
ことができる。例えば、13Cの割合を0.1%程度まで
下げることにより、熱伝導率は3000W/(m・K)
まで向上する。本発明のダイヤモンド結晶を用いたX線
マスクにおいても、同位体純度の高い炭素原料を用いる
ことにより、さらに熱伝導率の高い好適なX線マスクを
作製することができる。
【0029】本発明のダイヤモンド結晶形成に使用され
る基体としては、シリコン、ゲルマニウム、GaAs、
InPなどの半導体基板、アルミナ・ジルコニアのよう
な酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒化珪素、炭化チ
タン、窒化チタン、炭化タングステンなどの炭化物、窒
化物系セラミックスなどを用いることができる。
【0030】平板ダイヤモンド結晶は、例えば本発明者
らの特開平2−30697号公報に基づくダイヤモンド
結晶の選択堆積法によって所望の部位のみに形成するこ
とができる。さらに、この公報の記載に基づいて核発生
サイトを10μm2以下と十分に小さくすることによ
り、単一核よりなるダイヤモンド結晶を形成することも
できる。ただし、燃焼炎法において単一核より成るダイ
ヤモンド結晶を形成する場合は、その他の合成法より核
発生密度が小さく、核発生サイトを10μm2 とすると
析出抜けを生じやすいため、核発生サイトを100μm
2以下10μm2以上、望ましくは25μm2から80μ
2とする。
【0031】ダイヤモンドの選択堆積法は、上記特開平
2−30697号公報の方法に限定されるものではない
が、その公報に記載の方法によれば、基体表面に傷つけ
処理を施した後、基体にパターン状マスクを形成し、エ
ッチング処理を行い、次にマスクを除去することによっ
て基体表面に傷つけ処理した部位をパターン状に形成す
る。なお、基体にパターン状にマスクを施し、次にマス
クを除去することにより傷つけ処理部位をパターン状に
形成することもできる。さらに、基体表面に傷つけ処理
を施した後、耐熱性材料によるパターン状のマスクを行
い、傷つけ処理した部位を基体表面にパターン状に形成
することもできる。ダイヤモンド砥粒を用いる傷つけ処
理の方法は、特定の方法に限定されるものではなく、例
えばダイヤモンド砥粒を用いた研磨、超音波処理、サン
ドブラストなどの方法を挙げることができる。
【0032】基体上にダイヤモンド砥粒を用いて傷つけ
処理した部位をパターン状に形成することによってダイ
ヤモンド結晶の選択的堆積を行う方法の一例を、図4の
A〜Fの模式図に従って説明する。
【0033】先ず、基体41の表面にダイヤモンド砥粒
を用いて均一に傷つけ処理を施し(図4A)、この基体
表面にマスク42を形成する(図4B)。このマスクの
材料としてはどのようなものでも構わないが、例えばフ
ォトリソグラフィー法(光描画法)を用いてパターン状
に形成したレジストなどがある。次にマスク42を施し
た基体をエッチングすることにより、傷つけ処理した部
位をパターン状に形成する(図4C)。
【0034】この場合、エッチングはドライエッチング
とウエットエッチングのいずれでも良い。ウエットエッ
チングには、例えばフッ酸−硝酸混液によるエッチング
などをあげることができる。またドライエッチングに
は、プラズマエッチング、イオンビームエッチングなど
を挙げることができる。プラズマエッチングのエッチン
グガスとしては、Ar,He,Neなどの希ガス、酸
素、フッ素、水素、CF4などのガスも使用できる。エ
ッチング深さは10nm以上、好ましくは50〜100
0nm、最も好ましくは80〜200nm程度である。
【0035】次に、マスク42を除去し(図4D)、気
相合成法を用いて平板ダイヤモンドを形成すると、傷つ
け処理を施した部位のみに選択的に平板ダイヤモンド結
晶43が形成される(図4E)。さらに、この選択成長
させたダイヤモンド結晶を成長、合体及び膜状成長させ
ることにより、表面の平坦性の高いダイヤモンド結晶膜
44を形成することができる(図4F)。
【0036】また本発明のダイヤモンド膜は、何ら不純
物を添加せず作製し、絶縁性の高い膜として用いること
もできるが、例えば、X線吸収体形成に電子線描画装置
を用いる場合に、チャージアップを防止するため、ダイ
ヤモンド膜に不純物を添加して導電性(半導体化)を持
たせてもよい。
【0037】半導体化は、(1)原料ガス中への、ホウ
素、リン、リチウム、ナトリウムなどを含有するガスの
添加、(2)炭素源として常温で液体の有機化合物(ア
ルコール、アセトン、エーテルなど)を用いる場合、こ
の有機化合物中への、ホウ素、リン、リチウム、ナトリ
ウムを含有する化合物の溶解、などの方法で行うことが
できる。
【0038】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0039】<実施例1>ダイヤモンド結晶の合成を図
5に示した酸素−アセチレン炎バーナーによる燃焼炎法
を用いて行った。図中、51はバーナー、52は基体、
53は内炎、54は外炎、55は基体ホルダーで、この
基体ホルダーを水冷することにより基体を冷却する。
【0040】基体52としてはシリコン単結晶基板
({100}面、1インチφ×0.5mmt )を用い
た。この基板を平均粒径15μmのダイヤモンド粒子を
分散させたエチルアルコール中に入れ、超音波振動を印
加して傷つけ処理を施した。次いで、この基板上に露光
装置を用いて、直径3μmのPMMA系レジストパター
ンを10μmピッチで形成した。この基板をアルゴンイ
オンビームエッチング装置を用いて約100nmの深さ
にエッチングした。なお、その際のエッチング条件は、
加速電圧:500V、エッチング時間:10分間であっ
た。次いで、有機溶媒を用いてレジストを除去し、基体
を図5の燃焼炎法装置に設置した。
【0041】ガス流量はアセチレン:2リットル/mi
n,酸素:1.9リットル/minとし、基板温度は7
00℃、合成時間は2時間とした。このようにして得ら
れたダイヤモンド結晶は、平坦性の高い、膜厚約5μm
の柱状成長した多結晶膜であった。なお、同様の条件で
作製したサンプルの熱伝導率を、公知の熱伝導率測定法
であるACカロリメトリーによって測定したところ、約
1800W/(m・K)と非常に高い値であった。
【0042】なお、合成時間を20分とする以外は、前
記と同様の条件で観察用サンプルを形成し、表面を走査
型電子顕微鏡観察したところ、6角形の{111}面が
基板に対して平行に配向成長した平均粒子径約8μmの
平板ダイヤモンド粒子がマスクパターン形成部のみに選
択的に形成されているのが観察された。
【0043】次に、シリコン基板の裏面周辺部のみにレ
ジストを塗布し、フッ酸−硝酸混液で処理し、レジスト
塗布した周辺部以外をエッチングした。さらに、ダイヤ
モンド薄膜上にX線吸収体として金のパターンを形成す
ることにより、X線露光用マスクを製造した。このX線
マスクを用いてX線の露光を行ったところ、所望のパタ
ーンを作成することができた。
【0044】<比較例1>ダイヤモンド結晶形成時の酸
素流量を1.75リットル/min(O2/C2 2
0.875)とする以外は、実施例1と同様にして基板
前処理およびダイヤモンド結晶形成を行った。得られた
ダイヤモンド結晶膜は、凹凸の大きい多結晶膜であっ
た。なお、同様の条件で作製したサンプルの熱伝導率
を、実施例1同様のACカロリメトリーによって測定し
たところ、約1200W/(m・K)であることがわか
った。
【0045】なお、合成時間を20分とする以外は、前
記と同様の条件で観察用サンプルを形成し、表面を走査
型電子顕微鏡観察したところ、ランダムな方向を向いた
平均粒子径約10μmの粒子状ダイヤモンド結晶が観察
された。次に、シリコン基板の裏面周辺部のみにレジス
トを塗布し、フッ酸−硝酸混液で処理し、レジスト塗布
した周辺部以外をエッチングした。さらに、ダイヤモン
ド薄膜上にX線吸収体として金のパターンを形成するこ
とにより、X露光用マスクを製造した。このX線マスク
を用いてX線の露光を行ったところ、マスクの温度上昇
によるダイヤモンド膜の熱膨張により、パターンの位置
ずれが観察された。
【0046】<実施例2>次に、図6に示す熱フィラメ
ントCVD法を用いてダイヤモンド結晶の合成を行っ
た。図6は、水素−エチルアルコールを原料ガスとする
熱フィラメントCVD法の例を示す模式図である。61
は石英反応管、62は電気炉、63はタンタル製フィラ
メント、64は基体、65は原料ガス導入口で、不図示
のガスボンベおよびアルコール気化装置、流量調整器、
バルブなどが接続されている。66はガス排気口で、不
図示の圧力調整用バルブおよび排気系(メカニカルブー
スターポンプにロータリーポンプが接続されたもの)が
接続されている。
【0047】基体としては、シリコン単結晶{100}
面基体(直径2インチ、厚さ500μm)を用いた。こ
の基板を平均粒径15μmのダイヤモンド粒子を分散さ
せたエチルアルコール中に入れ、超音波振動を印加して
傷つけ処理を施した。次いで、この基板上に露光装置を
用いて、直径1.5μmのPMMA系レジストパターン
を10μmピッチで形成した。この基板をアルゴンイオ
ンビームエッチング装置を用いて約100nmの深さに
エッチングした。なお、その際のエッチング条件は、加
速電圧:500V、エッチング時間:10分間であっ
た。次いで、有機溶媒を用いてレジストを除去し、基体
を図6の熱フィラメントCVD装置に設置した。
【0048】合成条件としては、原料ガスおよび流量が
水素:200ml/min、エチルアルコール:4ml
/minで、フィラメント温度:2000℃、基体温
度:650℃、圧力:1.3×104 Pa、合成時間:
6時間であった。このようにして得られたダイヤモンド
結晶は、平坦性の高い、膜厚約4μmの多結晶膜であっ
た。なお、同様の条件で作製したサンプルの熱伝導率
を、実施例1同様にACカロリメトリーによって測定し
たところ、約1850W/(m・K)であることがわか
った。
【0049】なお、合成時間を1時間とする以外は、前
記と同様の条件で観察用サンプルを形成し、表面を走査
型電子顕微鏡観察したところ、6角形の{111}面が
基板に対して平行に配向成長した平均粒子径約5μmの
平板ダイヤモンド粒子が観察された。
【0050】次に、ダイヤモンド膜を形成したシリコン
基板の裏面周辺部のみにレジストを塗布し、フッ酸−硝
酸混液で処理し、レジスト塗布した周辺部以外をエッチ
ングした。さらに、ダイヤモンド薄膜上にX線吸収体と
して金のパターンを形成することにより、X線露光用マ
スクを製造した。このX線マスクを用いてX線の露光を
行ったところ、所望のパターンを作成することができ
た。 <実施例3>次に、公知のマイクロ波プラズマCVD法
により、ダイヤモンド結晶形成を行った。先ず実施例2
と同様にしてシリコン基板に前処理(傷つけ処理、パタ
ーニング、露光、レジスト除去)を施した。ダイヤモン
ド合成条件としては、原料ガスおよび流量が水素:10
0ml/min、一酸化炭素:5ml/minで、マイ
クロ波出力:400W、基体温度:630℃、圧力:
6.65×103Pa、合成時間:5時間とした。 この
ようにして得られたダイヤモンド結晶を走査型電子顕微
鏡観察したところ、平坦性の良好な(最大面粗さ約80
nm以下)均一膜であることがわかった。なお、同様の
条件で作製したサンプルの熱伝導率を、実施例1同様に
ACカロリメトリーによって測定したところ、約190
0W/(m・K)であることがわかった。
【0051】なお、合成時間を1時間とする以外は、前
記と同様の条件で観察用サンプルを形成し、表面を走査
型電子顕微鏡観察したところ、6角形の{111}面が
基板に対して平行に配向成長した平均粒子径約5μmの
平板ダイヤモンド粒子が観察された。
【0052】次に、ダイヤモンド膜を形成したシリコン
基板の裏面周辺部のみにレジストを塗布し、フッ酸−硝
酸混液で処理し、レジスト塗布した周辺部以外をエッチ
ングした。さらに、ダイヤモンド薄膜上にX線吸収体と
して金のパターンを形成することにより、X線露光用マ
スクを製造した。このX線マスクを用いてX線の露光を
行ったところ、所望のパターンを作成することができ
た。
【0053】<比較例2>ダイヤモンド結晶形成時の一
酸化炭素流量を15ml/minとする以外は、実施例
3と同様にして基板前処理およびダイヤモンド結晶形成
を行った。得られたダイヤモンド結晶膜は、凹凸の大き
い多結晶膜であった。なお、同様の条件で作製したサン
プルの熱伝導率を、実施例1同様のACカロリメトリー
によって測定したところ、約1250W/(m・K)で
あることがわかった。
【0054】なお、合成時間を1時間とする以外は、前
記と同様の条件で観察用サンプルを形成し、表面を走査
型電子顕微鏡観察したところ、ランダムな方向を向いた
平均粒子径約3μmの粒子状ダイヤモンド結晶が観察さ
れた。
【0055】前記ダイヤモンド膜は、そのままでは凹凸
が大きくX線露光マスクとして使用することはできない
ので、機械研磨法を用いて膜の平坦化を行った。
【0056】次に、シリコン基板の裏面周辺部のみにレ
ジストを塗布し、フッ酸−硝酸混液で処理し、レジスト
塗布した周辺部以外をエッチングした。さらに、ダイヤ
モンド薄膜上にX線吸収体として金のパターンを形成す
ることにより、X線露光用マスクを製造した。このX線
マスクを用いてX線の露光を行ったところ、マスクの温
度上昇によるダイヤモンド膜の熱膨張により、パターン
の位置ずれが観察された。
【0057】
【発明の効果】平板ダイヤモンド結晶を成長、合体、さ
らに膜状成長させて得られるダイヤモンド結晶膜をX線
透過膜として用いることにより、熱伝導率および平坦性
の非常に優れたX線マスクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線マスクの模式的断面図である。
【図2】本発明の平板ダイヤモンド結晶の一例の模式的
断面図である。
【図3】従来法で形成される粒子状ダイヤモンド結晶の
模式的断面図である。
【図4】選択堆積法による本発明のダイヤモンド膜形成
の手順を示す図であり、Aは、傷つけ処理を施した基
体、Bは、Aの基体にパターン状マスクを施したもの、
Cは、Bの基体をエッチングしたもの、Dは、Cの基体
のマスクを除去したもの、Eは、Dの基体上に平板ダイ
ヤモンド結晶を選択的に堆積させたもの、Fは、Eの結
晶が成長、合体して多結晶膜となったもの、の図であ
る。
【図5】燃焼炎法によるダイヤモンド結晶形成時の形成
部付近の模式的断面図である。
【図6】熱フィラメント式CVD装置の模式的断面図で
ある。
【符号の説明】
1,21,31,41,52,64 基体 2,44 ダイヤモンド結晶膜 3 X線吸収体 22,43 平板ダイヤモンド結晶 32 粒子状ダイヤモンド結晶 42 マスク 51 バーナー 53 内炎 54 外炎 55 基体ホルダー 61 石英反応管 62 電気炉 63 フィラメント 65 原料ガス導入口 66 ガス排気口

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンド結晶を用いるX線マスクに
    おいて、ダイヤモンド結晶膜が、基体面に垂直な方向の
    長さの基体面に平行な方向の長さに対する比の値が1/
    4ないし1/1000であり、該基体面と結晶上面とが
    なす角が0ないし10度である平板ダイヤモンド結晶が
    多数合体した形態の多結晶膜であることを特徴とするX
    線マスク。
  2. 【請求項2】 選択堆積法を用いて結晶密度を制御し、
    基体温度を400℃ないし900℃とする気相合成法に
    よって平板ダイヤモンド結晶を形成し、該結晶を成長合
    体および膜状成長させてダイヤモンド結晶膜とし、該結
    晶膜上にX線吸収体によるパターンを形成する、請求項
    1に記載のX線マスクの形成方法。
  3. 【請求項3】 結晶形成密度を2×106個/mm2以下
    とし、気相合成法をCVD法とし、該合成法における原
    料ガスの炭素源濃度を10%以下および単位量当りの酸
    素原子数の炭素原子数に対する比の値を0.5ないし
    1.2とする、請求項2に記載のX線マスク形成方法。
  4. 【請求項4】 結晶形成密度を1×105個/mm2以下
    とし、気相合成法を燃焼炎法とし、該合成法における原
    料ガス中の酸素ガス/アセチレンの値を0.9ないし
    1.0とする、請求項2に記載のX線マスク形成方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100437963B1 (ko) * 1997-05-21 2004-07-16 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 X선리소그래피용다이아몬드막및그제조방법

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