JPH06262525A - 研削砥石及びその製造方法 - Google Patents

研削砥石及びその製造方法

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JPH06262525A
JPH06262525A JP5049528A JP4952893A JPH06262525A JP H06262525 A JPH06262525 A JP H06262525A JP 5049528 A JP5049528 A JP 5049528A JP 4952893 A JP4952893 A JP 4952893A JP H06262525 A JPH06262525 A JP H06262525A
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JP
Japan
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substrate
diamond
abrasive grains
cvd method
grinding wheel
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JP5049528A
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English (en)
Inventor
Keiji Hirabayashi
敬二 平林
Junji Takashita
順治 高下
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 基体上に気相合成法によりダイヤモンドを形
成し、これを砥粒として用いた研削砥石において、前記
砥粒及び基体表面にCVD法により金属酸化物、窒化
物、炭化物またはその複合体からなる充填層を形成する
際に、基体に垂直方向の析出量をA、水平方向の析出量
をBとした時、B/Aが0.7以上となるように前記充
填層を形成することを特徴とする。 【効果】 従来の研削砥石に比べて、砥粒と基体との密
着力が良好で、耐久性よく研削を行うことができる研削
砥石を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス、セラミック
ス、結晶材料等の硬脆材料を精密に研削加工するため
の、気相合成ダイヤモンドを砥粒として用いた研削砥石
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、気相合成ダイヤモンドを砥粒とし
て用いた研削砥石は、特開平2−279278号、特開
平3−208560号公報に見られるように、気相合成
ダイヤモンドを単結晶粒子あるいは多結晶膜状に成長さ
せ、場合によってはダイヤモンドの周囲にメッキまたは
スパッタ蒸着法を用いて金属層を設けてダイヤモンドを
保持して研削砥石としている。また、特開平4−157
157号公報では、ダイヤモンド膜をプラズマエッチン
グして柱状ダイヤモンドを形成し、その隙間にCVD法
で充填層を形成して基材と強固に結合させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、メッキ
またはスパッタ蒸着法で形成した金属層は、砥粒ダイヤ
モンド粒子の下部(基材部との界面付近)へのまわり込
みが少なく強固にダイヤモンド砥粒と基材とを固定する
ことができない、という問題点があった。このため、砥
粒の保持力が低く、研削時に砥粒の脱落を生じ易かっ
た。これは、メッキ法では、砥粒ダイヤモンド粒子の下
部に、泡(空気)が残り、メッキ液が行き渡らない、ま
た、蒸着法では蒸発金属が基材表面に降り注いで来るだ
けのため、基本的に金属層の回り込みが悪い、との理由
による。また、メッキ材料として主に用いられている
銅、ニッケル等の金属層は、硬度が低く(ビッカース硬
度で400−500)、耐摩耗性が悪い、更に、懸濁液
として用いられている水系の液体と反応するため、耐久
性に劣る、等の欠点がある。また、CVD法において
も、ダイヤモンド砥粒下部への回り込みは、形成方法、
形成条件により異なり、必ずしも砥粒と基材が強固に固
定できるとは限らない。
【0004】本発明は、上記問題点に鑑み成されたもの
で、基材上にダイヤモンド砥粒を強固に固着させ、かつ
耐摩耗性が高く、耐久性の高い、ダイヤモンド砥粒固定
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の研削砥石は、基
体表面に気相合成法によりダイヤモンドを形成し、これ
を砥粒として用いる研削砥石で、前記砥粒及び基体表面
にCVD法(化学的気相蒸着法)による充填層により、
ダイヤモンド砥粒を基材に強固に保持する研削砥石にお
いて、前記CVD法により形成された充填層が金属酸化
物、窒化物、炭化物またはその複合体で、かつ、ダイヤ
モンド砥粒表面上で基体に垂直方向の析出量をA、基体
に水平方向の析出量をB、とした時、B/Aが0.7以
上であることを特徴とする。
【0006】更に、本発明の研削砥石は、CVD法によ
り金属酸化物、窒化物、炭化物またはその複合体を形成
するに先立ち、エッチング処理により、基体表面の面粗
度を大きくすることを特徴とする。
【0007】
【作用】以下、本発明の作用を、本発明を成すに際して
得た知見と共に説明する。
【0008】本発明者は、従来の研削砥石の問題点に鑑
み、ダイヤモンド砥粒の固定方法について、その固定の
ための材料とその形成方法及び条件、更に、その前処理
条件について詳細な検討を行った結果、これらのダイヤ
モンド砥粒に対する保持力、また研削時の耐摩耗性、耐
久性への関与を明らかにすることができた。
【0009】すなわち、CVD法(化学的気相蒸着法)
により形成された、金属酸化物、窒化物、炭化物、また
はそれらの複合体で、かつ、ダイヤモンド砥粒表面上で
基体に垂直方向の析出量をA、基体に水平方向の析出量
をB、とした時、B/Aが0.7以上である充填層を用
いてダイヤモンド砥粒を固定することにより、ダイヤモ
ンド砥粒の保持力、及び研削時の耐摩耗性、耐久性が大
幅に向上するという知見を得たものである。
【0010】この理由として、まず、金属酸化物、窒化
物、炭化物及びその複合体は、銅、ニッケル等の金属層
に比べて硬度が高く(例えば、SiO2,Si34,T
iC等はビッカース硬度で2000−3000)、耐摩
耗性が良い、また、懸濁液として用いられる水系の液体
に対しても反応性が低く、耐久性が良いことが挙げられ
る。
【0011】本発明で言う金属酸化物、窒化物、炭化物
及びその複合体とは、Si,Al,Ti,Mo,W,T
a,Hf,等の種々の金属の酸化物、窒化物、炭化物及
びその複合体(SiON等の酸窒化物等を指す)であ
る。
【0012】また、CVD法は、一般的に、メッキ法、
スパッタ蒸着法に比べて砥粒側面や砥粒下部への蒸着物
質の回り込みが良く、砥粒保持力が高いことが挙げられ
る。しかしながら、本発明者の検討結果によれば、CV
D法で形成されたある特定の条件の充填層を用いた場合
のみ、砥粒保持力が向上することが分かった。すなわ
ち、CVD法により形成される金属酸化物、窒化物、炭
化物またはその複合体がダイヤモンド砥粒表面上で基体
に垂直方向の析出量をA、基体に水平方向の析出量を
B、とした時、一般的に、このB/Aはカバレージ・フ
ァクターと呼ばれているが、このカバレージ・ファクタ
ーを0.7以上、望ましくは0.8以上とした時、砥粒
保持力が向上することが明らかになったものである。こ
のカバレージ・ファクターが、0.7未満では砥粒下部
への回り込みが小さく、研削加工に適するような砥粒保
持力向上の効果が得られない。
【0013】本発明で用いられるCVD法とは、特定の
方法に限定されるものでなく、原料としてガス種(液体
を気化させた蒸気を用いる場合も含む)を用いるもので
あれば、いかなる方法でも良い。例えば、熱CVD法、
光CVD法、高周波ブラズマCVD法、光アシスト高周
波プラズマCVD法、直流プラズマCVD法、ECRプ
ラズマCVD法、等を挙げることができる。
【0014】カバレージ・ファクターを0.7以上にす
る合成条件は、合成方法により異なり、一概には言えな
いが、例えば、熱CVD法の場合、Si(OC264
を原料ガスとして、圧力:数百Pa、反応温度:700
−800℃でSiO2を合成することにより、カバレー
ジ・ファクターが0.7以上のSiO2を形成すること
ができる。また、プラズマCVD法の場合、SiH4
NH3系混合ガスを原料ガスとして、圧力:数百Pa、
反応温度:300−400℃、高周波出力:500Wで
SiN膜を合成することにより、カバレージ・ファクタ
ーが0.7以上のSiNを形成することができる。更
に、熱CVD法で、C38−SiH2Cl2−H2系混合
ガスを原料ガスとし、圧力:常圧、反応温度:1000
℃でSiCを合成することにより、カバレージ・ファク
ターが0.7以上のSiCを形成することができる。
【0015】また、本発明においては、CVD法により
金属酸化物、窒化物、炭化物及びその複合体を形成する
に先立ち、エッチング処理により、基材表面の面粗度を
大きくすることにより、基材とCVD法により形成され
た析出物の密着力が向上し、これにより更に砥粒の保持
力が向上する。この処理による面粗度は、100nmか
ら5μm程度が望ましい。これは、100nm未満では
密着力向上の効果がなく、また5μmを越えると砥粒と
基材との密着力を悪化させてしまうためである。また、
エッチング方法は、ウェットエッチング、ドライエッチ
ングのいずれの方法でも良い。ウェットエッチング法
は、例えば、塩酸、フッ酸、硝酸等の種々の酸及びその
混合液、水溶液、更に水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等の種々のアルカリ及びその混合液、水溶液が使用可
能である。また、ドライエッチング法は、イオンビーム
エッチング、反応性イオンエッチング、更に反応性イオ
ンビームエッチング装置を用いて、アルゴン、ヘリウ
ム、等の希ガスや酸素、水素、更に、CF4等種々のハ
ロゲン炭化物を1種又は2種以上混合してエッチングガ
スとして用いることができる。これらのエッチング処理
により基体表面がエッチングされ面粗度が大きくなる。
これに対し、ダイヤモンド砥粒は、一般的に、ウェット
エッチングに対しては基材よりエッチング速度が遅く表
面の面粗度劣化は小さい。また、ドライエッチングに対
しては、酸素系ガスを用いた場合、ダイヤモンド砥粒の
エッチング速度が基材より大きくなることがあり、基材
との関係でエッチングガスを適宜選ぶ必要がある。
【0016】本発明で用いられる基体は、アルミナ,ジ
ルコニアのような酸化物系セラミックス、炭化珪素,窒
化珪素,炭化チタン,窒化チタン,炭化タングステンな
どの炭化物,窒化物系セラミックス、更に、WC系の超
硬合金、シリコン、銅、鉄、ニッケル、チタン、モリブ
デン,タングステン,タンタル等の金属及びこれらの合
金等を用いることができる。また、これらの基材表面に
中間層を形成し、ダイヤモンド結晶との密着力を向上さ
せても良い。中間層としては、特に限定されるものでは
ないが、例えば、シリコン、チタン、タンタル、タング
ステン、モリブデン、ニオブの単体及びそれらの合金、
更にはそれらの炭化物及び窒化物等を用いることができ
る。中間層の形成方法は、直流スパッタ法、高周波スパ
ッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、及び種
々のCVD法を挙げることができる。また、基体の形状
は、用途や研削物の材質,形状により任意に決めること
ができるが、例えば、レンズ形状のガラス等を研削する
場合は、そのレンズ径の曲率に合わせて、曲面形状に
し、その曲面上に気相合成法を用いてダイヤモンド砥粒
を形成する。
【0017】本発明で用いるダイヤモンド砥粒の気相合
成法は、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマ
CVD法、直流プラズマCVD法、高周波プラズマCV
D法、有磁場マイクロ波プラズマCVD法、燃焼炎法等
を挙げることができる。この時、原料ガスは炭素源とし
てメタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、アセ
チレン等の炭化水素ガス、CO,CO2,CCl4,CH
Cl3,CH2Cl2,CH3Cl,CF4,CClF3,C
HF3,等の炭素と酸素、塩素、フッ素の化合物、さら
にはメタノール、エタノール、アセトン、酢酸等の有機
化合物を用いることができ、これに、水素、酸素、ハロ
ゲンガス、希ガス等を適宜混合する。
【0018】ダイヤモンド結晶の形成条件は、合成方法
により異なるが、例えば、マイクロ波プラズマCVD法
により水素−メタン系原料ガスでダイヤモンド砥粒を形
成した場合、メタンガス濃度を0.1〜8%とし、基板
温度を400〜1200℃、圧力を13.3〜1×10
6Pa、更に全ガス流量は、10〜10000ml/m
inとすることが望ましい。更に、燃焼炎法により酸素
−アセチレン系原料ガスでダイヤモンド砥粒を形成する
場合、酸素−アセチレン比(O2/C22)を、0.7
≦O2/C22≦1.2とし、基板温度を400〜12
00℃とする。また、熱フィラメントCVD法のより水
素−メタン系でダイヤモンド砥粒を合成する場合、メタ
ン濃度を0.1〜6%とし、基板温度を300〜120
0℃、圧力を13.3〜106Pa、更に全ガス流量
は、10〜5000ml/minとすることが望まし
い。また、有磁場マイクロ波ブラズマCVD法により一
酸化炭素−水素系でダイヤモンド砥粒を形成した場合、
一酸化炭素濃度を2〜80%とし、基板温度を250〜
1250℃、マイクロ波出力を1〜5kWとすることが
望ましい。また、いずれの合成方法においても、ダイヤ
モンド粒子は合体することなしに、分散して存在する必
要があるため、核発生密度は低くする必要がある。
【0019】核発生密度の調整方法として、例えば核発
生増加方法は、基体表面をダイヤモンド砥粒やダイヤモ
ンドペースト、炭化珪素砥粒で傷つけ処理を行う、また
は、1μm以下のダイヤモンド、炭化珪素、窒化ホウ
素、窒化炭素等の微粒子を基体表面に塗布する、鉄,コ
バルト,ニッケル等の鉄系金属を基体表面にごく薄く
(数nm〜数十nm)形成する、等を挙げることができ
る。また、核発生密度低下方法は、基体表面をメカノケ
ミカルポリッシングにより鏡面研磨する、大気中または
酸素雰囲気中で600〜1000℃でアニール処理す
る、反応性イオンエッチング法やイオンビームエッチン
グ法によりドライエッチング処理を行う、種々の酸,ア
ルカリによりウェットエッチング処理を行う、等を挙げ
ることができる。以上のような核発生密度調整法によ
り、ダイヤモンド砥粒を基体上に分散して形成させるこ
とができる。
【0020】更に、本発明においては、ダイヤモンド砥
粒を選択堆積法により、基体上の予め設定された位置に
形成することが望ましい。気相合成ダイヤモンドの選択
堆積法は、例えば、本発明者らの特開平2−30697
号公報に開示した方法を挙げることができるが、特に係
る方法に限定されるものではない。
【0021】特開平2−30697号公報に開示した方
法は、基板表面の傷つけ処理を施した後、基板にパター
ン状にマスクを形成し、エッチング処理を行い、マスク
を除去することにより傷つけ処理した部位をパターン状
に形成する方法である。なお、基体にパターン状にマス
ク部材を形成し、基体表面に傷つけ処理を施し、更にエ
ッチング処理によりパターン状に形成した該マスク部を
除去することにより、傷つけ処理した部位をパターン状
に形成する方法でも良い。更に、基体表面に傷つけ処理
を施した後、耐熱性を有するマスク部材をパターン状に
形成することにより傷つけした処理した部位をパターン
状に形成する方法でも良い。いずれの方法においても、
ダイヤモンド砥粒は傷つけ処理されたパターン部に選択
的に形成される。
【0022】本発明において、前記選択堆積法の傷つけ
処理されたパターン部の面積は、1〜10μm2の範囲
とすることが望ましい。このパターン部の面積が、1μ
2未満では、析出の抜けが生じやすいく、また、10
μm2を越えると、ダイヤモンド砥粒が半球状の粒子形
状ではなく、平坦な膜状になり砥粒として適さなくな
る。また、ダイヤモンド砥粒は、基体上に分散形成され
ている必要があるため、パターン間隔は、ダイヤモンド
砥粒粒子径より、十分大きくする必要がある。例えば、
砥粒粒子径が20μmの場合、パターン間隔は、25μ
m以上とすることが望ましい。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。
【0024】実施例1 本実施例では、図1に示すような研削砥石について説明
する。図1において、1は基材、2はダイヤモンド砥
粒、3は充填層であり、CVD法により形成された、金
属酸化物、窒化物、炭化物またはその複合体よりなる。
【0025】図2は、ダイヤモンド砥粒を形成する為に
用いる熱フィラメントCVD法による装置の模式図であ
り、図中、4は石英反応管、5は電気炉、6はタンタル
製フィラメント、7は基体、8は原料ガス導入口で不図
示のガスボンベ、ガス流量調整器、バルブに接続されて
いる。9はガス排気口で不図示のメカニカルブースター
ポンプ、ロータリーポンプ、及びバルブに接続されてい
る。
【0026】本実施例では、基体7としてタングステン
基板(40mmφ×8t、曲率R=35の凹面形状)を
用い、基板前処理として炭化珪素砥粒(1〜2μm)に
よる傷つけ処理を行った。
【0027】この基体を、図2の装置に入れ、不図示の
真空ポンプで排気した後、不図示のガスボンベより、メ
タン2.5ml/min,水素250ml/minの流
量で石英反応管4へ原料ガスを導入し、反応管内の圧力
を、不図示の圧力調整バルブで6.65kPaに調整
し、また、電気炉5を用いて反応管内を820℃に、更
にフィラメントを2000℃に加熱してダイヤモンド形
成を行った。このとき、合成時間は10時間とした。
【0028】このダイヤモンド形成により、走査型電子
顕微鏡観察によれば、粒子径約20μmのダイヤモンド
砥粒が、基体上に、約1000個/mm2の割合で分散
して形成されていた。
【0029】このダイヤモンド砥粒が形成された基体
に、光CVD法によりSiN膜を形成した。形成条件
は、光源として低圧水銀ランプ、原料ガスとしてSiH
4−NH3系混合ガス、圧力:1000Pa,基板温度:
350℃、で行い、膜厚を4μmとした。このSiN膜
を別途、同様の方法で形成し、そのカバレージ・ファク
ターを電子顕微鏡を用いて観察したところ、0.82で
あることが分かった。
【0030】この研削砥石を、以下の方法で研削性能の
テストを行った。研削は、定圧研削機を用い、押しつけ
圧力を1kg/cm2、砥石回転数を3000rpm、
研削材は光学ガラス、とした。30秒間の研削加工した
ところ、取り代:20μm、加工表面粗さ:0.2μm
Rmaxの均一な精研削面を得た。更に、光学ガラスを
交換し、繰り返し同様の研削を連続50回続けたが、砥
粒の脱落もほとんどなく、良好な研削性能は維持されて
いた。
【0031】実施例2 図3は、ダイヤモンド形成に用いたマイクロ波プラズマ
CVD装置の模式図である。図中、10は石英反応管、
11は基体、12は原料ガス導入系、13はマイクロ波
電源、14はマイクロ波導波管、15は真空排気系であ
る。
【0032】本実施例では、基体11としてWC系超硬
基板(30mmφ×10t、曲率R=28の凸面形状)
を用い、中間層として、基板表面に高周波スパッタ法に
より、シリコン膜を100nm形成した。また、基板前
処理として炭化珪素砥粒(1μm以下)による傷つけ処
理を行った。
【0033】この基体を、図3の装置に入れ、真空排気
系15で排気した後、原料ガス導入系12より、一酸化
炭素25ml/min,水素200ml/minの流量
で石英反応管10へ原料ガスを導入し、反応管内の圧力
を、圧力調整バルブで10.64kPaに調整し、マイ
クロ波電源13よりマイクロ波出力1kW、基体温度9
20℃でダイヤモンド形成を行った。このとき、合成時
間は10時間とした。
【0034】このダイヤモンド形成により、走査型電子
顕微鏡観察によれば、粒子径約18μmのダイヤモンド
砥粒が、基体上に、約800個/mm2の割合で分散し
て形成されていた。
【0035】このダイヤモンド砥粒が形成された基体
に、光アシストプラズマCVD法を用いてSiO2膜を
形成した。合成条件は、高周波周波数:13.56MH
z、光源:低圧水銀灯、原料ガスをSiH4−N2O系混
合ガス、圧力:100Pa、基板温度:300℃、膜
厚:6μm、で行った。このSiO2膜を、別途同様の
方法で形成し、そのカバレージ・ファクターを電子顕微
鏡を用いて観察したところ、0.78であることが分か
った。
【0036】この研削砥石を、実施例1と同様の方法で
研削性能のテストを行った。その結果、実施例1と同様
の良好な研削性能であることが分かった。
【0037】比較例1 実施例2と同様の基材及びダイヤモンド砥粒形成方法で
作製された基体を、高周波スパッタ法を用いて、SiO
2膜を形成して砥粒を固定し、研削砥石とした。SiO2
膜の合成条件は、SiO2ターゲット使用、スパッタガ
ス:Ar、圧力:1Pa、基板加熱無し、膜厚:5μ
m、とした。このSiO2膜を、別途形成し、そのカバ
レージ・ファクターを電子顕微鏡を用いて観察したとこ
ろ、0.6であることが分かった。
【0038】この研削砥石を実施例1と同様の方法で研
削性能のテストを行ったところ、35回目から砥粒の脱
落が目立つようになり、研削性能が劣化した。
【0039】比較例2 実施例1と同様の基材及びダイヤモンド砥粒形成方法で
作製された基体を、無電解メッキ法によりダイヤモンド
砥粒の周囲にニッケルを形成して砥粒を固定し、研削砥
石とした。このニッケルメッキ層を、別途同様の方法で
形成し、そのカバレージ・ファクターを電子顕微鏡を用
いて観察したところ、0.55であることが分かった。
この研削砥石を実施例1と同様の方法で研削性能のテス
トを行ったところ、25回目から砥粒の脱落が目立つよ
うになり、研削性能が劣化した。
【0040】比較例3 実施例2と同様の基材及びダイヤモンド砥粒形成方法で
作製された基体を、高周波プラズマCVD法によるSi
2膜によりダイヤモンド砥粒を固定して研削砥石とし
た。高周波プラズマCVD法によるSiO2膜の形成条
件は、SiH4−O2系原料ガスで、高周波周波数:1
3.56MHz、基体温度:250℃、圧力:13P
a、膜厚6μmとした。このSiO2膜を、別途同様の
方法で形成し、そのカバレージ・ファクターを電子顕微
鏡で観察したところ、0.65であることが分かった。
この研削砥石を実施例1と同様の方法で研削性能テスト
を行ったところ、42回目から砥粒脱落が目立ち、研削
性能の劣化が観察された。
【0041】実施例3 本実施例では、選択気相合成法を用いて形成した研削砥
石について説明する。ダイヤモンド形成には実施例2で
用いたマイクロ波プラズマCVD装置を用いた。
【0042】選択堆積法については、図4を参照して説
明する。
【0043】本実施例では、基体16としてWC系超硬
基板(25mmφ×10t、曲率R=20の凸面形状)
を用い、中間層としてTiC膜を、イオンプレーティン
グ法で200nm形成した。また、基板前処理としてダ
イヤモンド砥粒(15−30μm)を分散させたアルコ
ール中に基体を入れ、超音波発振器を用いて傷つけ処理
を行った(図4(A))。
【0044】次いで、この基板にフォトリソグラフィー
(光描画法)を用いて、直径2μmのPMMA系レジス
トパターン17を50μmピッチで形成した(図4
(B))。
【0045】この基板を、イオンビームエッチング装置
へ入れ(エッチングガス:アルゴン)、約100nmエ
ッチングを行った(図4(C))。
【0046】次いで、有機溶媒を用いてレジストを除去
(図4(D))することにより、基体上に、傷つけ処理
を施した部分を、所定の部位にパターン状に形成するこ
とができた。最後に、図3に示す装置に基体を入れ、ダ
イヤモンド形成を行った(図4(E))。
【0047】ダイヤモンド形成は、一酸化炭素30ml
/min,水素200ml/minの流量で石英反応管
へ原料ガスを導入し、反応管内の圧力を、圧力調整バル
ブで13.3kPaに調整し、マイクロ波電源よりマイ
クロ波出力0.8kW、基体温度800℃で行った。こ
のとき、合成時間は10時間とした。
【0048】このダイヤモンド形成により、走査型電子
顕微鏡観察によれば、粒子径約18μmのダイヤモンド
砥粒18が、基体上に、所定のパターン部位にに50μ
mピッチで選択的に形成されていた。
【0049】このダイヤモンド砥粒が形成された基体
を、熱CVD法を用いてSiC膜を形成した。合成条件
は、原料ガスをC38−SiH2Cl2−H2系混合ガ
ス、圧力:105Pa、基板温度:1100℃、膜厚:
10μm、で行った。このSiC膜を、別途同様の方法
で形成し、そのカバレージ・ファクターを電子顕微鏡を
用いて観察したところ、0.9であることが分かった。
【0050】この研削砥石を、実施例1と同様の方法で
研削性能のテストを行った。その結果、実施例1と同様
の良好な研削性能であることが分かった。
【0051】実施例4 本実施例では、選択堆積法により、ダイヤモンド結晶粒
子を形成した研削砥石について説明する。
【0052】本実施例では、実施例1と同様の図2に示
す、熱フィラメントCVD法を用いてダイヤモンドを形
成した。
【0053】また、本実施例では、基体としてタングス
テン基板(30mmφ×8t、曲率R=25の凹面形
状)を用い、基板前処理として実施例3と同様のダイヤ
モンド砥粒を用いた傷つけ処理を行った。
【0054】更に、実施例3と同様の、フォトリソグラ
フィ法、及びイオンビームエッチング法を用いて、傷つ
け処理を施した部分を、所定の部位にパターン状に形成
することができた(パターン径及びピッチは、それぞれ
2.5μm及び40μmとした)。
【0055】この基体を、図2の装置に入れ、不図示の
真空ポンプで排気した後、不図示のガスボンベより、メ
タン3ml/min,水素200ml/min,酸素1
ml/minの流量で石英反応管へ原料ガスを導入し、
反応管内の圧力を、不図示の圧力調整バルブで20kP
aに調整し、また、電気炉を用いて反応管内を910℃
に、更にフィラメントを2000℃に加熱してダイヤモ
ンド形成を行った。このとき、合成時間は8時間とし
た。
【0056】このダイヤモンド形成により、走査型電子
顕微鏡観察によれば、粒子径約25μmのダイヤモンド
砥粒が、基体上に所定の部位に選択的に形成されてい
た。
【0057】このダイヤモンド砥粒が形成された基体
を、フッ化水素酸−硝酸混液でタングステン基材表面を
エッチングして表面粗度を高くした。
【0058】このダイヤモンド砥粒が形成された基体
を、熱CVD法を用いてTiC膜を形成した。合成条件
は、原料ガスをCH4−TiCl4−H2系混合ガス、圧
力:104Pa、基板温度:1000℃、膜厚:11μ
m、で行った。このTiC膜を、別途形成して、そのカ
バレージ・ファクターを電子顕微鏡を用いて観察したと
ころ、0.92であることが分かった。
【0059】この研削砥石を、実施例1と同様の方法で
研削性能のテストを行った。その結果、80回の研削テ
スト後でも初期と同様の良好な研削性能であることが分
かった。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の研削砥石
は、基材表面に気相合成法によりダイヤモンドを形成
し、これを砥粒として用いる研削砥石において、前記砥
石及び基材表面にCVD法(化学的気相蒸着法)により
形成された、金属酸化物、窒化物、炭化物、および/ま
たはそれらの複合体で、かつ、ダイヤモンド砥粒表面上
で基体に垂直方向の析出量をA、基体に水平方向の析出
量をB、とした時、B/Aが0.7以上である充填層を
用いてダイヤモンド砥粒を固定することにより、従来の
研削砥石に比べて、砥粒と基材との密着力が良好で、耐
久性良く研削を行うことができるという効果がある。
【0061】これらの研削砥石は、ガラス、セラミック
ス、結晶材料等の硬脆材料を精密に研削加工するための
研削砥石として優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、研削砥石の断面模式図である。
【図2】本発明の実施例で、ダイヤモンド形成に用いた
熱フィラメントCVD装置の模式図である。
【図3】本発明の実施例で、ダイヤモンド形成に用いた
マイクロ波プラズマCVD装置の模式図である。
【図4】ダイヤモンドの選択堆積法の模式図である。
【符号の説明】
1 基材 2 ダイヤモンド砥粒 3 充填層 4 石英反応管 5 電気炉 6 フィラメント 7 基体 8 原料ガス導入口 9 排気口 10 石英反応管 11 基体 12 原料ガス導入系 13 マイクロ波電源 14 マイクロ波導波管 15 真空排気系 16 基体 17 レジストパターン 18 ダイヤモンド砥粒
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/14 X C23C 16/30 7325−4K C30B 29/04 X 8216−4G

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体表面に気相合成法によりダイヤモン
    ドを形成し、これを砥粒として用いる研削砥石で、前記
    砥粒及び基体表面にCVD法(化学的気相蒸着法)によ
    り形成される充填層により、ダイヤモンド砥粒を基体に
    強固に保持した研削砥石において、前記CVD法により
    形成された充填層が金属酸化物、窒化物、炭化物または
    その複合体で、かつ、ダイヤモンド砥粒表面上で基体に
    垂直方向の析出量をA、基体に水平方向の析出量をB、
    とした時、B/Aが0.7以上とすることを特徴とする
    研削砥石。
  2. 【請求項2】 CVD法により金属酸化物、窒化物、炭
    化物またはその複合体を形成するに先立ち、エッチング
    処理により、基体表面の面粗度を大きくすることを特徴
    とする、請求項1記載の研削砥石。
  3. 【請求項3】 基体表面に気相合成法によりダイヤモン
    ドを形成し、これを砥粒として用いる研削砥石で、前記
    砥粒及び基体表面にCVD法(化学的気相蒸着法)によ
    り形成される充填層により、ダイヤモンド砥粒を基体に
    強固に保持して研削砥石を製造するにあたり、前記CV
    D法により形成される充填層が金属酸化物、窒化物、炭
    化物またはその複合体で、かつ、ダイヤモンド砥粒表面
    上で基体に垂直方向の析出量をA、基体に水平方向の析
    出量をB、とした時、B/Aが0.7以上となるように
    形成することを特徴とする研削砥石の製造方法。
  4. 【請求項4】 CVD法により金属酸化物、窒化物、炭
    化物またはその複合体を形成するに先立ち、エッチング
    処理により、基体表面の面粗度を大きくすることを特徴
    とする、請求項3記載の研削砥石の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002115057A (ja) * 2000-10-06 2002-04-19 Ulvac Japan Ltd 熱cvd法によるグラファイトナノファイバー薄膜の選択形成方法
JP2007138048A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Bussan Nanotech Research Institute Inc 研磨材
JP2010234507A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Add:Kk ダイヤモンド砥石及びその製造方法
JP2011156612A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Kazuyoshi Shimoda ダイヤモンドブレード及びその製造方法
CN116141212A (zh) * 2022-08-04 2023-05-23 华侨大学 一种金刚石磨削金属陶瓷砂轮的制备方法

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