JPH06262522A - 研削砥石及びその製造方法 - Google Patents

研削砥石及びその製造方法

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JPH06262522A
JPH06262522A JP4952493A JP4952493A JPH06262522A JP H06262522 A JPH06262522 A JP H06262522A JP 4952493 A JP4952493 A JP 4952493A JP 4952493 A JP4952493 A JP 4952493A JP H06262522 A JPH06262522 A JP H06262522A
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JP
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diamond
grinding wheel
diamond crystal
flat
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JP4952493A
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Inventor
Keiji Hirabayashi
敬二 平林
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 基体上に気相合成法により形成されたダイヤ
モンド結晶を砥粒として用いた研削砥石において、前記
ダイヤモンド結晶として平板状ダイヤモンド結晶を用い
たことを特徴とする。 【効果】 砥粒先端部の形状が均一となり、従来の研削
砥石に比べて、研削時に被加工物を塑性流動加工条件の
下で良好な表面粗さで、効率よく研削を行うことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガラス、セラミックス、
結晶材料等の硬脆材料を精密に研削加工するための、気
相合成ダイヤモンド結晶を砥粒として用いた研削砥石及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、気相合成ダイヤモンド結晶を砥粒
として用いた研削砥石は特開平2−279278、特開
平3−208560号公報に見られるように、気相合成
ダイヤモンド結晶を単結晶粒子あるいは多結晶膜状に成
長させ、場合によってはダイヤモンド粒子の周囲にメッ
キ等の金属層を設けてダイヤモンド結晶粒子を保持して
研削砥石としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の気相合成ダイヤ
モンド結晶を基体上に分散粒子状に析出させ砥粒として
用いた研削砥石においては、析出するダイヤモンド結晶
は、基体表面状態の不均一性のため基体上にさまざまな
方位を持った結晶として析出する。そのため、砥粒とし
て作用するダイヤモンドの先端形状の違い、作用部の結
晶方位差による硬度摩耗度の違いにより、一個一個の砥
粒に加わる力が異なり、また、先端形状差による砥粒高
さのばらつきにより、数多く成長させた砥粒の一部しか
砥粒として作用しない、という現象が生じる。このよう
な研削砥石を用いてガラス、セラミックス、結晶材料等
の硬脆材料を加工すると、一部の砥粒に無理な力が加わ
るため、被加工物が脆性破壊を起こし、表面粗さが悪く
なる、クラックが入る、等の問題を起こす。
【0004】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、基体上に先端形状の揃った砥粒を配置することによ
り、ガラスや半導体等の硬脆材料を良好な表面粗さで研
削するための研削砥石を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の研削砥石は、基
体上に気相合成法により形成されたダイヤモンド結晶を
砥粒として用いた研削砥石において、前記砥粒として平
板状ダイヤモンド結晶を用いたことを特徴とする。
【0006】また、本発明の研削砥石において、前記平
板状ダイヤモンド結晶がその基体面の上方向に沿った長
さと基体面方向に沿った長さの比が1:4から1:10
00で、かつ基体面と結晶上面とがなす角が0〜10度
である平板状ダイヤモンド結晶であることを特徴とす
る。
【0007】本発明の研削砥石の製造方法において、原
料ガス中の炭素源濃度を0.01〜10%、前記原料ガ
ス中の酸素と炭素との原子数の比(O/C)を0.5≦
(O/C)≦1.2としたCVD法により平板状ダイヤ
モンド結晶を堆積して前記ダイヤモンド砥粒とすること
を特徴とする。
【0008】また、本発明の研削砥石の製造方法におい
て、ダイヤモンド結晶の製造方法が、酸素−アセチレン
炎を用いた燃焼炎法であり、その主たる原料ガス中の酸
素とアセチレンとのモル比を0.9≦(O2/C22
≦1.0とした前記燃焼炎法により平板状ダイヤモンド
結晶を堆積して前記ダイヤモンド砥粒とすることを特徴
とする。
【0009】また、更に本発明の研削砥石の製造方法に
おいて、ダイヤモンド結晶の核発生密度を1×102
1×105/mm2とした燃焼炎法により平板状ダイヤモ
ンド結晶を形成して前記ダイヤモンド砥粒とすることを
特徴とする。
【0010】更に、本発明の研削砥石の製造方法におい
て、選択堆積法を用いて基体上に選択的に前記平板状ダ
イヤモンド結晶を形成したことを特徴とする。
【0011】
【作用】以下、本発明の作用を本発明をなすに際して得
た知見と共に説明する。
【0012】本発明者は、従来の研削砥石の問題点に鑑
み、砥粒として用いられる気相合成ダイヤモンド結晶の
形態が、研削性能に及ぼす影響について詳細な実験を続
けた結果、ダイヤモンド砥粒の結晶性、形状、粒子径の
研削性能への関与を明らかにすることができた。
【0013】すなわち、気相合成中の原料ガス中に酸素
を特定の割合で添加することにより、結晶中の転位、欠
陥量が少ない結晶性の良好な平板状ダイヤモンド結晶
(高さと横幅の比が1:4以上、一般的には1:4.5
以上でかつ基体面と結晶上面とがなす角度が0〜10
度)が得られ、該平板状ダイヤモンド結晶を用いること
により、研削時に被加工物に脆性破壊が起こらない微小
切込の加工条件下で、良好な表面粗さで、しかも効率よ
く研削を行うことができることを見いだし、本発明に到
達したものである。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明に用いられる平板状ダイヤモンド結
晶の断面の模式図を図1に、また従来の粒子状ダイヤモ
ンド結晶の断面の模式図を図2に示す。
【0016】図1中、1は基体で、その上面に本発明に
かかる平板状ダイヤモンド結晶2が形成されている。こ
の平板状ダイヤモンド結晶2の基体面上方向に沿った長
さ(高さ)Hと、基体面方向に沿った長さ(横幅)Lの
比は1:4以上、一般的には1:4.5以上、好ましく
は、1:5〜1:1000である。また、基体面1aと
結晶上面2aとがなす角θは10度以下、好ましくは5
度以下である。
【0017】以下、このような形態を持つダイヤモンド
結晶を平板状ダイヤモンド結晶と言う。
【0018】また、従来例の粒子状ダイヤモンド結晶2
1は、高さHと横幅Lの比が1:3以下、一般的には
1:2以下となる。なお、22は基体である。
【0019】以下、このような形態のダイヤモンド結晶
を粒子状ダイヤモンド結晶と言う。このとき、結晶上面
と基体面とがなす角θは、一般的にはランダムとなる。
【0020】本発明の平板状ダイヤモンド結晶を用いた
砥粒は、上面の向きが揃っているため、砥粒先端の形状
及び砥粒高さがが均一となる。更に、高さに比べ、横幅
が大きいため、粒子状ダイヤモンド結晶に比べて、基体
との密着力が大きく研削時の砥粒の脱落が減少する。こ
のため、本発明のように平板状ダイヤモンド結晶を砥粒
として用いることにより、従来の気相合成ダイヤモンド
結晶を砥粒として用いた研削砥石に比べ研削性能が大幅
に向上する。
【0021】また、特に上面を{111}面となるよう
に形成すると(後述するが基体温度を調節することによ
り上面を{111}面とすることができる)、{11
1}面の高硬度のために、更に研削性能を向上させるこ
とが可能である。
【0022】本発明で述べる、平板状ダイヤモンド結晶
は非常に高品質な結晶を形成する条件でのみ形成するこ
とができる。たとえば、以下で述べるCVD法及び燃焼
炎法により平板状ダイヤモンド結晶を形成することがで
きる。
【0023】CVD法には熱フィラメントCVD法、マ
イクロ波CVD法、有磁場マイクロ波CVD法、直流プ
ラズマCVD法、RFプラズマCVD法等がある。
【0024】上記気相合成法に用いる原料ガスの炭素源
としては、メタン、エタン、エチレン、アセチレン等の
炭化水素ガス、及びアルコール、アセトン等の液状有機
化合物、一酸化炭素またはハロゲン化炭化水素などを用
いることができる。さらに適宜、水素、酸素、塩素、フ
ッ素を含むガスを添加することができる。
【0025】 (1)CVD法による平板状ダイヤモンド結晶の形成 原料ガスは、少なくとも水素、炭素及び酸素元素を含ん
でいることが必要で、1種の原料ガス中に上記全元素を
含んでいてもよく、またいずれかの元素を含む原料ガス
の複数種を組み合わせても良い。この場合、その原料ガ
ス中の炭素源濃度は10%以下とする必要がある。ここ
で言う炭素源濃度とは、(炭素源ガス流量)×(炭素源
ガス中の炭素原子数)/(全原料ガス流量)×100で
ある。炭素源ガス中の炭素原子数は、たとえばメタン
(CH4)なら1、プロパン(C3 8)なら3、アセト
ン(CH3COCH3)なら3となる。この炭素源濃度を
10%以下とする理由は、ダイヤモンド結晶の過飽和度
を抑え、特に高さ方向の結晶成長を抑制するためであ
る。下限は特にないが0.01%以下では実用的な平板
状ダイヤモンド結晶の形成速度が得られない場合があ
る。
【0026】更に、CVD法においては、原料ガス中の
酸素と炭素の原子数の比(O/C)を0.5≦O/C≦
1.2、望ましくは0.7≦O/C≦1.1とするもの
である。0.5未満では酸素添加効果がなく平板状ダイ
ヤモンド結晶の生成が見られず、また1.2を越えると
酸素のエッチング効果で実用上使用可能なダイヤモンド
形成速度を得ることができない。上記O/C値を調節す
るには、例えば、O2、H2O、N2Oなどの酸素添加ガ
スを原料ガス中に添加することで行うことができる。
【0027】また、アルコールなどの酸素含有有機化合
物を炭素源として用いる場合は、比較的低いO/C値で
も平板状ダイヤモンド結晶が形成可能である。例えば、
原料ガスとして水素とエタノール(C25OH)を用い
た場合、O/C=0.5で、良質の平板状ダイヤモンド
結晶が形成可能である。この理由の詳細は不明である
が、酸素含有化合物は、酸素の活性種(OHラジカル)
が形成されやすいため、と考えられる。
【0028】また、本発明の平板状ダイヤモンド結晶
は、比較的核発生の少ないときのみに形成される。プラ
ズマCVD法及び熱フィラメントCVD法では、2×1
6個/mm2以下の時のみ、好ましくは、1×102
1×105個/mm2で、平板状ダイヤモンド結晶が形成
される。この理由の詳細は不明であるが、本発明の平板
状ダイヤモンド結晶の形成には高さ方向の成長を抑える
ために、十分な量のエッチングガス(水素ラジカル、ま
たはOHラジカル)が必要であり、また横方向の成長を
促進させるため、側面にも十分な量のダイヤモンド形成
に関与する活性種(CHxラジカル種等)が到達するこ
とが必要なためである。このため、核発生密度を、低く
しなければならないと考えられる。
【0029】 (2)燃焼炎法による平板状ダイヤモンド結晶の形成 燃焼炎法では、酸素−アセチレン炎を用いるが、この主
たる原料ガス中の酸素とアセチレンとのモル比の値は
0.9≦O2/C22≦1.0となるように、好ましく
は、0.95≦O2/C22≦0.99とすることで、
再現性良く、さらに比較的高い成長速度(数十μm/h
r:横幅の成長速度)でダイヤモンド結晶を形成するこ
とができる。
【0030】上述の燃焼炎法の場合、ダイヤモンド結晶
の核発生密度は1×105個/mm2以下、好ましくは1
×102〜1×105個/mm2とする。燃焼炎法で、特
に核発生密度を下げなければならない理由は、燃焼炎法
では熱フィラメントCVD法や、マイクロ波CVD法に
比べて、平板状ダイヤモンド結晶の横方向成長速度が1
0倍以上(数十μm/hr)速いためである。熱フィラ
メントCVD法や種々のプラズマCVD法においても、
広い横幅の平板状ダイヤモンド結晶の間隔を十分開ける
必要がある。必要な間隔は、形成条件により一概には言
えないが、平板状ダイヤモンド結晶の横幅分(横幅が1
0μmなら10μm間隔)程度である。
【0031】いずれの合成方法においても、平板状ダイ
ヤモンド結晶は基体上に、合体することなしに、分散し
て存在する必要があるため、核発生密度は低くする必要
がある。
【0032】核発生密度の調整方法として、例えば核発
生増加方法は、基体表面をダイヤモンドペーストや炭化
珪素砥粒で傷つけ処理を行う、または、1μm以下のダ
イヤモンド、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化炭素等の微粒
子を基体表面に塗布する、鉄、コバルト、ニッケル等の
鉄系金属を基体表面にごく薄く(数nm〜数十nm)形
成する、等を挙げることができる。また、核発生密度低
下方法は、基体表面をメカノケミカルポリッシングによ
り鏡面研磨する、大気中または酸素雰囲気中で600〜
1000℃でアニール処理する、反応性イオンエッチン
グ法やイオンビームエッチング法によりドライエッチン
グ処理を行う、種々の酸、アルカリによりウェットエッ
チング処理を行う、等を挙げることができる。以上のよ
うな核発生密度調整法により、ダイヤモンド砥粒を基体
上に分散して形成させることができる。
【0033】また、本発明の平板状ダイヤモンド結晶の
上面は、3角形または6角形のモルフォロジィーを持つ
{111}面、さらには4角形または8角形のモルフォ
ロジィーを持つ{100}面である。また側面は{11
1}面または{100}面よりなっている。
【0034】この上面のモルフォロジィーは、主として
結晶形成時の基体温度に依存する。この基体温度が40
0℃以上、900℃以下のとき、望ましくは600℃以
上、700℃以下のときに、上面は3角形または6角形
の{111}面となる。また、950℃以上、1300
℃以下のとき、望ましくは1000℃以上、1200℃
以下のとき、上面は4角形または8角形の{100}面
となる。また、ダイヤモンド合成雰囲気中の炭素源濃度
が低い場合、上面が{111}面に、また高い場合に、
上面が{100}面になる傾向がある。
【0035】本発明の平板状ダイヤモンド結晶は、単結
晶、または平板中に双晶面が形成された双晶結晶であ
る。特に、基体温度が400℃以上、900℃以下で形
成された、上面が{111}面の平板状ダイヤモンド結
晶は、上面に平行に双晶面の形成されているものが多
い。これは、双晶面の形成により凹入角が形成されるた
めで、凹入角効果と呼ばれる働きにより、凹入角のある
方向に結晶の成長が促進され易く、平板状ダイヤモンド
結晶の形成が進むためと考えられる。なお、上面に平行
に形成された双晶面は一つだけでなく、2個以上形成さ
れることもある。
【0036】本発明で用いられる基体は、アルミナ、ジ
ルコニアのような酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒
化珪素、炭化チタン、窒化チタン、炭化タングステンな
どの炭化物または窒化物系セラミックス、更に、WC系
の超硬合金、モリブデン、タングステン、タンタル等の
金属等を用いることができる。基体の形状は、用途や研
削物の材質、形状により任意に決めることができるが、
例えば、レンズ形状のガラス等を研削する場合は、その
レンズ径の曲率に合わせて、曲面形状にし、その曲面上
に気相合成法を用いてダイヤモンド砥粒を形成する。
【0037】また、平板状ダイヤモンド結晶は、たとえ
ば本発明者らの特開平2−30697号公報に基づくダ
イヤモンド結晶の選択堆積法により所望の部位のみに形
成してもかまわない。また、上記特開平2−30697
号公報に基づき、核発生サイトを10μm2以下と十分
小さくすることにより、単一核よりなるダイヤモンド結
晶を用いてもよい。ただし、燃焼炎法において単一核よ
りなるダイヤモンド結晶を形成する場合は、その他の合
成法より核発生密度が小さく、核発生サイトを10μm
2以下とすると析出抜けが生じやすいため、核発生サイ
トを100μm2以下10μm2を越えた値、望ましくは
25μm2から80μm2とすることが好ましい。
【0038】ダイヤモンドの選択堆積法は、例えば本発
明者らの特開平2−30697号公報に開示された方法
を挙げることができるが、特にこの方法に限定されるも
のではない。
【0039】特開平2−30697号公報に開示されて
いる方法は、基体表面の傷つけ処理を施した後、基体に
パターン状マスクを形成し、エッチング処理を行い、マ
スクを除去することにより傷つけ処理した部位をパター
ン状に形成する方法である。なお、基体にパターン状に
マスク部材を設け、基体表面に傷つけ処理を施し、更に
エッチング処理によりパターン状に形成した該マスク部
材を除去することにより、傷つけ処理した部位をパター
ン状に形成する方法でもよい。また、基体表面に傷つけ
処理を施した後、耐熱性を有するマスク部材をパターン
状に形成することにより傷つけ処理した部位をパターン
状に形成する方法でもよい。ダイヤモンド砥粒を用いた
傷つけ処理の方法は、特定の方法に限定されるものでは
なく、例えばダイヤモンド砥粒を用いて研磨を行う、超
音波処理を行う、またはサンドブラストを行う、等の方
法がある。
【0040】基体上にダイヤモンド砥粒を用いて傷つけ
処理した部位をパターン状に形成することでダイヤモン
ドの選択堆積を行う方法の一例について、図5A〜Eの
模式図に従って説明する。
【0041】まず、基体51表面にダイヤモンド砥粒を
用いて均一に傷つけ処理を施す(工程A)。この基体表
面にマスク52を形成する(工程B)。このマスクの材
料としてはどのようなものでもかまわないが、例えばフ
ォトリソグラフィー法(光描画法)を用いてパターン状
に形成されたレジストなどがあげられる。次にマスク5
2を介して基体51をエッチングすることにより傷つけ
処理した部位をパターン状に形成する(工程C)。上記
エッチングはドライエッチングでもウェットエッチング
でもどちらでもよい。ウェットエッチングの場合、例え
ばフッ酸、硝酸混液によるエッチングなどを挙げること
ができる。またドライエッチングの場合、プラズマエッ
チング、イオンビームエッチングなどを挙げることがで
きる。プラズマエッチングのエッチングガスとしては、
CF4ガス及び、CF4ガスに酸素、アルゴンなどのガス
を加えたものを用いることができる。イオンビームエッ
チングのエッチングガスとしてはAr,He,Ne等の
希ガスや酸素、フッ素、水素、CF4等のガスも可能で
ある。エッチング深さは10nm以上、望ましくは50
〜1000nm、最適には80〜200nm程度が好ま
しい。次に、マスク52を除去し(工程D)、気相合成
法を用いて平板状ダイヤモンド結晶を形成すると、傷つ
け処理を施した部位のみに選択的に平板状ダイヤモンド
結晶53が形成される(工程E)。
【0042】また、本発明において、ダイヤモンド砥粒
の形成後、金属等のメッキ処理により、ダイヤモンド砥
粒を基体に強固に固定することもできる。メッキ処理は
電解メッキ、無電解メッキいずれの方法でもでも良い。
また、メッキ材料としては、ニッケル、銅、コバルト、
クロム、銀およびこれらの合金を用いることができる。
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づき本発明を具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定され
るものではない。
【0044】実施例1 本実施例では、燃焼炎法を用いて平板状ダイヤモンド結
晶を形成した。
【0045】図3は酸素−アセチレン炎バーナーを用い
た燃焼炎法を示す模式図であり、31はバーナー、32
は基体、33は内炎、34は外炎、35は基体ホルダー
で、水冷により基体を冷却している。
【0046】基体としては、タングステン多結晶基体
(φ10mm×8t、曲率R=8の凹形状)を用いた。
【0047】ガス流量はアセチレン:1.5l/mi
n,酸素:1.45l/min(O2/C22=0.9
7)とし、基体温度は620℃、合成時間は4時間とし
た。以上のように形成したダイヤモンド結晶は、粒子径
が約20μmで6角形の{111}面を上面とし、更に
高さと横幅の比が1:4以上の平板状ダイヤモンド結晶
であった。また、析出密度は、約1000個/mm2
基体上に分散して形成されていた。
【0048】この平板状ダイヤモンド結晶が形成された
基体を無電解メッキにより平板状ダイヤモンド結晶の周
囲にニッケルを形成して砥粒を固定し、これを研削砥石
としてR8mm凸面形状のガラスレンズの研削テストを
行った。
【0049】研削テストの方法は、公知の球心揺動研磨
機で、砥石回転数3000rpm、加圧力1kg/cm
2で30秒間の定圧力加工を行った。この結果、ガラス
レンズの表面粗さは、0.1μmRmaxの均一なクラ
ックのない光沢面となり、レンズの除去量も約15μm
と通常の精研削ペレットと同等の値が得られた。また研
削テスト後の研削砥石表面を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、砥粒の脱離や摩耗は見られなかった。
【0050】比較例1 O2/C22=0.85とする以外は実施例1と同様に
してダイヤモンド結晶の形成を行った。この場合のダイ
ヤモンド結晶析出物は、平板状ダイヤモンド結晶となら
ず、粒子状ダイヤモンド結晶であった。この粒子状ダイ
ヤモンド結晶に実施例1と同様にメッキ処理を施し、研
削砥石とし、研削テストを行った。
【0051】その結果、本比較例の研削砥石で研削した
ガラスレンズにおいては、表面が全域脆性破壊を起こし
ていることが分かった。また、研削テスト後の研削砥石
表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒子ごとの
砥粒先端形状は大きく異なっており、更に砥粒先端高さ
もばらつきが多かった。また、砥粒の脱落も一部観察さ
れた。
【0052】比較例2 実施例1と同様なタングステン基体をダイヤモンド砥粒
が分散されたエタノール中に入れ、超音波発振器を用い
て傷つけ処理を行った以外は実施例1と同様にしてダイ
ヤモンド形成を行った。この場合、走査型電子顕微鏡観
察によれば、析出ダイヤモンド結晶は粒子状ダイヤモン
ド結晶であり、更に、傷つけ処理によりダイヤモンド結
晶の核発生密度が大幅に増加し、約2×106/mm2
なり、析出したダイヤモンド結晶の一部が合体している
のが観察された。この基体に実施例1と同様にメッキ処
理を施し、研削砥石とし、研削テストを行った。
【0053】その結果、本比較例の研削砥石で研削した
ガラスレンズにおいては、表面が全域脆性破壊を起こし
ていることが分かった。また、研削テスト後の研削砥石
表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒子ごとの
砥粒先端形状は大きく異なっており、更に砥粒先端高さ
もばらつきが多かった。また、砥粒の脱落も一部観察さ
れた。
【0054】実施例2 本実施例では、熱フィラメントCVD法を用いて平板状
ダイヤモンド結晶を形成した。
【0055】図4は、水素−エチルアルコールを原料ガ
スとする熱フィラメントCVD法の例を示す模式図であ
る。41は石英反応管、42は電気炉、43はタンタル
製フィラメント、44は基体、45は原料ガス導入口
で、不図示のガスボンベ及びアルコール気化装置、流量
調整器、バルブ等が接続されている。46はガス排気口
で、不図示の圧力調整用バルブ及び排気系(メカニカル
ブースターポンプにロータリーポンプが接続)が接続さ
れている。
【0056】基体としては、WC系超硬合金基体(φ3
0mm×10t、曲率R=25の凸面形状)を用い、基
体前処理として炭化珪素砥粒(1μm以下)による傷つ
け処理を行った。
【0057】原料ガス流量としては、水素:200ml
/min、エチルアルコール:2ml/minで、フィ
ラメント温度は2000℃、基体温度は670℃、圧力
は1.3×104Pa,合成時間は10時間とした。以
上のようにして形成したダイヤモンド結晶は、6角形の
{111}面を上面とし、更に高さと横幅の比が1:4
以上の平板状ダイヤモンド結晶であった。
【0058】この平板状ダイヤモンド結晶が形成された
基体に、無電解メッキ法によりニッケルを形成して砥粒
を固定し、これを研削砥石として実施例1と同様な装置
でR25mm凹面形状のガラスレンズの研削テストを行
った。
【0059】研削テストの条件は、砥石回転1500r
pm、加圧力1kg/cm2で30秒間の定圧力加工を
行った。この結果、ガラスレンズの表面粗さは、0.1
μmRmaxの均一で、かつクラックのない光沢面とな
り、レンズの除去量も約20μmと通常の精研削ペレッ
トと同等の値が得られた。また研削テスト後の研削砥石
表面を走査型電子顕微鏡で観察した所、砥粒の脱離や摩
耗は見られなかった。
【0060】実施例3 本実施例では、マイクロ波CVD法により平板状ダイヤ
モンド結晶を形成した。
【0061】基体としては、WC系超硬合金(φ30m
m×10t,曲率R=28の凸面形状)を用いた。ガス
流量は、水素:100ml/min,一酸化炭素:5m
l/minとし、基体温度は650℃、圧力は1.3×
104Pa、マイクロ波出力は500W、合成時間は1
2時間とした。以上のようにして形成したダイヤモンド
結晶は、6角形の{111}面を上面とし、更に高さと
横幅の比が1:4以上の平板状ダイヤモンド結晶であっ
た。
【0062】この平板状ダイヤモンド結晶が形成された
基体に、無電解メッキ法によりニッケルを形成して砥粒
を固定し、これを研削砥石として実施例1と同様な装置
でR28mm凹面形状のSiCの研削テストを行った。
【0063】研削テストの条件は、砥石回転1500r
pm、加圧力1kg/cm2で30秒間の定圧力加工を
行った。この結果、SiCの表面粗さは、0.15μm
Rmaxの均一で、かつクラックのほとんどない光沢面
となり、除去量も約22μmと通常の精研削ペレットの
約2倍の値が得られた。また研削テスト後の研削砥石表
面を走査型電子顕微鏡で観察した所、砥粒の脱離や摩耗
は見られなかった。
【0064】比較例3 COガス流量を15ml/minとする以外は実施例3
と同様にしてダイヤモンド結晶の形成を行った。この場
合のダイヤモンド結晶析出物は、平板状ダイヤモンド結
晶とならず、粒子状ダイヤモンド結晶であった。この粒
子状ダイヤモンド結晶に実施例1と同様にメッキ処理を
施し、研削砥石とし、研削テストを行った。
【0065】その結果、本比較例の研削砥石で研削した
ガラスレンズにおいては、表面が全域脆性破壊を起こし
ていることが分かった。また、研削テスト後の研削砥石
表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒子ごとの
砥粒先端形状は大きく異なっており、更に砥粒先端高さ
もばらつきが多かった。また、砥粒の脱落も一部観察さ
れた。
【0066】実施例4 本実施例では、平板状ダイヤモンド結晶を選択堆積法で
任意の部位に形成した。
【0067】基体として、WC系超硬合金基体(φ25
mm×10t、R=20の凸面形状)を用いた。この基
体をダイヤモンド砥粒が分散されたエタノール中に入
れ、超音波洗浄器を用いて、傷つけ処理を行った。次
に、マスクアライナーを用いて、基体上にレジストパタ
ーン(PMMA系レジスト)を2μm径、50μmピッ
チで形成した。更に、この基体をイオンビームエッチン
グ装置に入れ、アルゴンガスを用いてエッチング処理を
行った。条件は、2×10-4Paで加速電圧500V、
電流密度0.5mA/cm2,処理時間は10分であっ
た。この処理で約100nmのエッチングが行われた。
更に、有機溶媒を用いてレジストの除去及び洗浄を行っ
た後、実施例2と同様な熱フィラメントCVD装置を用
いてダイヤモンド結晶合成を行った。合成条件は、原料
ガス流量は、水素:200ml/min、エチルアルコ
ール:2ml/minで、フィラメント温度は2000
℃、基体温度は650℃、圧力は1.3×104Pa,
合成時間は10時間とした。以上のようにして形成した
ダイヤモンド結晶は、粒子径約20μmで、6角形の
{111}面を上面とし、更に高さと横幅の比が1:4
以上の平板状ダイヤモンド結晶であった。また、この平
板状ダイヤモンド結晶は、マスクパターンが形成された
位置上に選択的に形成されていた。
【0068】この平板状ダイヤモンド結晶が形成された
基体に、無電解メッキ法によりニッケルを形成して砥粒
を固定し、これを研削砥石として実施例1と同様な装置
でR20mm凹面形状のガラスレンズの研削テストを行
った。
【0069】研削テストの条件は、砥石回転2000r
pm、加圧力1kg/cm2で30秒間の定圧力加工を
行った。この結果、ガラスレンズの表面粗さは、0.1
μmRmaxの均一で、かつクラックのない光沢面とな
り、レンズの除去量も約20μmと通常の精研削ペレッ
トと同等の値が得られた。また研削テスト後の研削砥石
表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、砥粒の脱離
や摩耗は見られなかった。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の研削砥石
は、砥粒として、平板状ダイヤモンド結晶を用いること
により、砥粒先端部の形状が均一となり、従来の研削砥
石に比べて、研削時に被加工物を塑性流動加工条件の下
で、良好な表面粗さで、しかも効率よく研削を行うこと
ができるという効果がある。これらの研削砥石は、ガラ
ス、セラミックス、結晶材料等の硬脆材料を精密に研削
加工するための研削砥石として優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平板状ダイヤモンド結晶の一例を示す
模式的断面図である。
【図2】従来例の粒子状ダイヤモンド結晶の模式的断面
図である。
【図3】燃焼炎法によるダイヤモンド形成の模式図であ
る。
【図4】熱フィラメントCVD法によるダイヤモンド形
成の模式図である。
【図5】選択堆積法の模式図である。
【符号の説明】
1 基体 2 平板状ダイヤモンド結晶 21 基体 22 粒子状ダイヤモンド結晶 31 バーナー 32 基体 33 内炎 34 外炎 35 基体ホルダー 41 石英反応管 42 電気炉 43 フィラメント 44 基体 45 原料ガス導入口 46 ガス排気口 51 基体 52 マスク 53 平板状ダイヤモンド結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/14 X C30B 25/02 Z 9040−4G 29/04 X 8216−4G

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に気相合成法により形成されたダ
    イヤモンド結晶を砥粒として用いた研削砥石において、
    前記砥粒として平板状ダイヤモンド結晶を用いたことを
    特徴とする研削砥石。
  2. 【請求項2】 請求項1の平板状ダイヤモンド結晶がそ
    の基体面の上方向に沿った長さと基体面方向に沿った長
    さの比が1:4から1:1000で、かつ基体面と結晶
    上面とがなす角が0〜10度である平板状ダイヤモンド
    結晶であることを特徴とする研削砥石。
  3. 【請求項3】 ダイヤモンド結晶を砥粒として用いた研
    削砥石の製造において、原料ガス中の炭素源濃度を0.
    01〜10%、前記原料ガス中の酸素と炭素との原子数
    の比(O/C)を0.5≦(O/C)≦1.2とし、C
    VD法により基体上に平板状ダイヤモンド結晶を堆積し
    てダイヤモンド砥粒とすることを特徴とする研削砥石の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 ダイヤモンド結晶を砥粒として用いた研
    削砥石の製造において、ダイヤモンド結晶の製造方法
    が、酸素−アセチレン炎を用いた燃焼炎法であり、その
    主たる原料ガス中の酸素とアセチレンとのモル比を0.
    9≦(O2/C22)≦1.0とした前記燃焼炎法によ
    り基体上に平板状ダイヤモンド結晶を堆積してダイヤモ
    ンド砥粒とすることを特徴とする研削砥石の製造方法。
  5. 【請求項5】 ダイヤモンド結晶の核発生密度を1×1
    2〜1×105個/mm2としたことを特徴とする請求
    項4記載の研削砥石の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれか1項に記載の研
    削砥石の製造方法を用いて基体上に平板状ダイヤモンド
    結晶を形成する方法であって、前記平板状ダイヤモンド
    結晶を選択堆積法により基体上の所望の部位に選択的に
    形成することを特徴とする研削砥石の製造方法。
JP4952493A 1993-03-10 1993-03-10 研削砥石及びその製造方法 Pending JPH06262522A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011156612A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Kazuyoshi Shimoda ダイヤモンドブレード及びその製造方法

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