JP2010234507A - ダイヤモンド砥石及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭化珪素などの硬質材料を効率良く加工することができるとともに、寿命が長いダイヤモンド砥石及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材と、該基材の表面で成長したダイヤモンドと、を含み、基材上に、3μm以上、好ましくは45μm以下の粒径を有するダイヤモンド粒子が、好ましくは10%以上50%以下の占有率で点在しているダイヤモンド砥石。表面粗さR(a)が0.01μm以上1.0μm以下の平坦面を有する基材を用意し、好ましくはメタンを0.5%〜8%、水素を91%〜99%、及び酸素を0.1%〜1.8%含む原料ガスを用い、マイクロ波プラズマCVD法により基材の平坦面にダイヤモンド粒子を成長させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ダイヤモンド砥石及びその製造方法に関し、特に、炭化珪素等の加工が難しい材料の加工に用いられるダイヤモンド砥石及びその製造方法に関する。
硬質材料、脆性材料、延性材料、樹脂材料等の機械加工が難しい材料(難加工性材料)の面粗さを向上させるための加工工具として、基材の表面に合成したダイヤモンド(人工ダイヤモンド)を設けたダイヤモンド砥石が広く利用されている。
このようなダイヤモンド砥石を製造する方法としては、例えば、合成したダイヤモンドを粉砕してダイヤモンド粒子を作製し、粒径をある程度揃えたダイヤモンド粒子を樹脂によって基材(支持体)に接着固定する方法、セラミックスなどによって焼結固定する方法、電着固定する方法などがある。
また、ダイヤモンドを成長(合成)させる方法としては、高温・高圧法、化学気相法(CVD)などがある。例えば、高温・高圧法によるダイヤモンド合成では、粒径を揃えた粒子を多量に成長させることは困難であるため、合成したダイヤモンドを粉砕して粒子を揃えてダイヤモンド砥石用の研磨粒子として用いている。
一方、化学気相法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、燃焼炎法等があり、例えば、プラズマCVD法によって基材表面にダイヤモンド粒子を成長させたダイヤモンド砥石が提案されている(特許文献1、2参照)。
特開2007−136650号公報 特開2008−73832号公報
高温・高圧法により合成したダイヤモンドを粉砕してダイヤモンド粒子を作製する場合、ダイヤモンドの合成工程では、供給原料の不純物等に起因して、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、窒素などの不純物が混入し、また、粉砕工程では粉砕されたダイヤモンド粒子の表面に微細な亀裂が生じ、天然ダイヤモンド粒子に比較して機械的特性が劣ってしまう。特に硬さで比較すると、例えば、天然ダイヤモンドがビッカース硬度Hv10000に対して、粉砕された合成ダイヤモンドはHv4000〜5000と非常に低くなる。このようなダイヤモンド砥石は硬さが炭化珪素に近いため、例えば半導体ウエハ用炭化珪素材の研磨加工に用いた場合、加工に時間が掛かり、寿命が非常に短いといった問題のほか、加工中に研磨抵抗が大きくなり、被加工物である炭化珪素材の端部が欠けたり、被加工物の厚みが薄くなると割れ易いなどの問題がある。
また、粉砕したダイヤモンド粒子の固定に樹脂、セラミックス、あるいは電着法を用いると、ダイヤモンドの高い剛性(ヤング率)が固定材料の剛性に支配されるため、被加工物の形状精度が悪化したり、脱落したダイヤモンド粒子により被加工物表面にスクラッチ(キズ)が生じ易いなどの問題がある。このような問題を解消するには、独自の研磨加工技術によって対応する必要がある。
一方、CVD法によって基材表面にダイヤモンド粒子を成長させる場合、ダイヤモンド粒子の密着性が高く、ダイヤモンド粒子を樹脂などによって固定する場合に比べて粒子の脱落が少ないダイヤモンド砥石を得ることができる。しかし、ダイヤモンド粒子が密集した形態で成長するため、目詰まりが生じて加工速度が低下し、ドレッシングを頻繁に行う必要がある、寿命が短い、ダイヤモンド粒子の異常成長が生じる、といった問題がある。
本発明は、炭化珪素などの硬質材料を効率良く加工することができるとともに、寿命が長いダイヤモンド砥石及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、以下のダイヤモンド砥石及びその製造方法が提供される。
<1> 基材と、
該基材の表面で成長したダイヤモンドと、を含み、
前記基材上に、3μm以上の粒径を有するダイヤモンド粒子が点在しているダイヤモンド砥石。
<2> 前記ダイヤモンド粒子の粒径が45μm以下である<1>に記載のダイヤモンド砥石。
<3> 前記ダイヤモンド粒子が、前記基材上に10%以上50%以下の占有率で点在している<1>又は<2>に記載のダイヤモンド砥石。
<4> 前記基材の少なくとも前記ダイヤモンド粒子が点在している面が、炭化珪素又はモリブデンからなる<1>〜<3>のいずれかに記載のダイヤモンド砥石。
<5> 表面粗さR(a)が0.01μm以上1.0μm以下の平坦面を有する基材を用意する工程と、
メタン、水素、及び酸素を含む原料ガスを用い、マイクロ波プラズマCVD法により前記基材の平坦面にダイヤモンド粒子を成長させる工程と、
を含むダイヤモンド砥石の製造方法。
<6> 前記原料ガスが、メタンを0.5%〜8%、水素を91%〜99%、及び酸素を0.1%〜1.8%含む<5>に記載のダイヤモンド砥石の製造方法。
<7> 前記基材の少なくとも前記ダイヤモンド粒子を成長させる面が、炭化珪素又はモリブデンからなる<5>又は<6>に記載のダイヤモンド砥石の製造方法。
<8> 前記基材の平坦面にダイヤモンド粒子を成長させる工程において、該基材の表面温度を750℃〜830℃の範囲にして前記ダイヤモンド粒子を成長させる<5>〜<7>のいずれかに記載のダイヤモンド砥石の製造方法。
本発明によれば、炭化珪素などの硬質材料を効率良く加工することができるとともに、寿命が長いダイヤモンド砥石及びその製造方法が提供される。
炭化珪素基板上に点在化して成長した多面体ダイヤモンド粒子を示すレーザー顕微鏡像である。 本発明に係るダイヤモンド砥石を製造する方法の工程の一例を示す図である。 マイクロ波プラズマCVD装置の構成の一例を示す概略図である。 基板表面温度を1000℃にしてダイヤモンド成長を行った場合のレーザー顕微鏡像である。 水素ガスを低く抑えて(水素:91%)ダイヤモンド成長を行った場合のレーザー顕微鏡像である。 メタンガスと水素ガスの混合ガスを用いてダイヤモンド成長を行った場合のレーザー顕微鏡像である。 図1の矢印Aで示されるダイヤモンド粒子のラマンスペクトルを示す図である。 図1の矢印Bで示される部分のラマンスペクトルを示す図である。 シリコン基材上に成長させたダイヤモンド粒子を示すレーザー顕微鏡像である。 ダイヤモンド電着砥石を示すSEM画像である。
本発明者は、ダイヤモンド砥石において、(1)ダイヤモンド粒子の硬さが低いこと、(2)研磨抵抗が大きいこと、(3)被加工物表面の形状精度が悪化すること、(4)ダイヤモンド粒子が脱落し易いこと、などの問題を解決するため鋭意研究を行った。
例えば、合成したダイヤモンドを粉砕して得たダイヤモンド粒子を利用したダイヤモンド砥石では、粒子の硬度が低く、脱落し易い。一方、CVD法によって基材全面にダイヤモンドを膜状に成長させると、被加工物の研磨屑の排出が難しくなり、研磨抵抗が大きくなるため、多量の研磨液を必要とし、目詰まりが発生し易く、ドレッシングを頻繁に行う必要があるほか、寿命も短い。
そこで、本発明者は、基材の面粗さを制御して成長の核になる核発生ポイントを少なくした上でダイヤモンド成長を行えば、硬度が高く、密着性も高いダイヤモンド粒子が点在化して成長し、研磨屑の排出路も確保されて目詰まりの抑制や長寿命化を図ることができると考えた。そして、鋭意実験及び検討を繰り返した結果、本発明者は、特定の条件下でマイクロ波プラズマCVD法によりダイヤモンド成長を行えば、粒径のばらつきが小さく、硬さが天然ダイヤモンドに近いHv9000〜10000を有するダイヤモンド粒子が基材の表面に点在した形態で成長し、特に天然ダイヤモンドの結晶構造に近い炭化珪素を用いた場合はダイヤモンド粒子と基材の密着強度がより一層高いダイヤモンド砥石が得られることを見出した。
図1は、本発明に係るダイヤモンド砥石の一例を示すレーザー顕微鏡像である。このダイヤモンド砥石は、基材となるSiC基板の表面において3μm〜10μm程度の粒径を有する多面体のダイヤモンド粒子が点在した状態で成長している。このように基材表面にダイヤモンド粒子が点在するように成長したダイヤモンド砥石であれば、粉砕に起因する亀裂が無く、硬度が非常に高いため、SiC等の硬質材料の研磨(研削)加工に用いても効率良く加工することができる。また、ダイヤモンド粒子は基材との密着性が高く、ほとんど脱落せず、ダイヤモンド粒子間には適度な間隙を有するため、目詰まりが発生し難い。このようなダイヤモンド砥石であれば、研磨液の使用量を少なくして被研磨物を効率的に加工することができ、また、ドレッシングの回数も少なくて済むため、加工コストを低く抑えることもでき、さらに、長期間にわたって使用することができる。
次に、本発明に係るダイヤモンド砥石について、その製造方法とともに詳しく説明する。図1に示すようなダイヤモンド砥石は、表面粗さR(a)が0.01μm以上1.0μm以下の平坦面を有する基材を用意し、メタン、水素、及び酸素を含む原料ガスを用いてマイクロ波プラズマCVD法で基材の平坦面にダイヤモンド粒子を成長させることによって製造することができる。
図2は、本発明に係るダイヤモンド砥石の製造方法の一例の工程を示している。
(A)基材の用意
まず、ダイヤモンド砥石の支持体となる基材を用意する。基材は、砥石としての機械的強度を有するほか、表面粗さR(a)が0.01μm〜1.0μmの平坦面を有し、マイクロ波プラズマCVD法によって表面にダイヤモンド粒子を成長させることができるものを選択する。
基材を構成する具体的な材料としては、モリブデン、チタン、炭化珪素(SiC)、シリコンなどの各種金属あるいは無機材料が挙げられ、機械的強度、ダイヤモンドの成長などの観点から、炭化珪素及びモリブデンがより好ましく、炭化珪素が特に好ましい。炭化珪素は天然ダイヤモンドの結晶構造に近く、炭化珪素からなる基材を用いれば、基材表面により強固に密着したダイヤモンド粒子を成長させることができる。
例えば、円柱状のSiCを切断して円盤状の基材を得る。このときの基材の直径及び厚みは特に限定されないが、砥石としての機械的強度を十分得るため、基材の厚みは2mm以上とすることが好ましく、砥石として取扱性や製造コストの抑制の観点から、8mm以下であることが好ましい。
(B)平坦化(表面粗さの調整)
次いで、基材のダイヤモンド粒子を成長させる側の面を平坦化して表面粗さを調整する(図2(B))。基材表面の平坦度(表面粗さ)はダイヤモンド粒子の成長及び成長速度に大きく影響する。例えば、切り出したSiC基材の片面を公知のダイヤモンド粒子・砥石を用いてラッピング又は研磨によって平坦化し、表面粗さR(a)を0.01μm以上1.0μm以下、好ましくは0.01μm以上0.5μm以下となるように平坦化を行う。ここで、表面粗さは、レーザー顕微鏡用測定ソフトによって測定される値である。
また、基材の表面を上記範囲の表面粗さに調整する方法は特に限定されず、例えば、公知の高温・高圧法又はCVD法によってダイヤモンド粒子を合成して得たダイヤモンド砥石、あるいは合成ダイヤモンドを粉砕して得たダイヤモンド粒子を基材に接着、電着、焼結などによって固定して得たダイヤモンド砥石を使用して研磨等を行えばよい。
(C)スクラッチング
上記のように、円柱状のSiCから円盤状に切り出したSiC基材の片面をラッピング、研磨等によって平坦化を行うが、基材の表面が鏡面又はそれに近い状態となった場合はダイヤモンドが成長し難くなる可能性がある。そこで、平坦化処理後、次工程のマイクロ波プラズマCVDによってダイヤモンドの成長を促すため、必要に応じてスクラッチングを行う(図2(C))。例えば、基材の平坦化した面(鏡面)をダイヤモンドの微粒子でキズを付ける。このようなスクラッチングにより、基材表面に微小な凹凸が生じるとともに、ダイヤモンド粒子の成長を促進することができる。
(D)洗浄
基材表面を平坦化して、必要に応じてスクラッチングを行った後、洗浄を行う(図2(D))。基材表面に研磨カス等で汚れていたり、異物が付着していると、ダイヤモンドの成長速度の低下や成長不良などの影響を与えるため、洗浄液を用いて基材表面の汚れや異物を除去する。
洗浄液としては水、アルコール、アセトン等を用いることができる。例えば、アセトン液中に基材を入れて30分間超音波洗浄を行えばよい。
(E)マイクロ波プラズマCVD(ダイヤモンド粒子の成長)
洗浄後、マイクロ波プラズマCVDによって基材表面にダイヤモンド粒子を成長させる(図2(E))。使用するマイクロ波プラズマCVD装置は、マイクロ波導波管と、プラズマ発生用ガス導入口を有し、マイクロ波励起によるプラズマ放電室とを備えていれば特に限定されず、例えば図3に示すような構成を有する装置10を用いることができる。この装置10は、チャンバー12内に、支持台18と、支持台18の上方に設けられたガス導入口14と、支持台18の下方に設けられた排気口16を有している。
支持台18は、複数のガス導入口14からチャンバー12内に導入された原料ガスが基材30表面に均一に流れるようにチャンバー12内の略中央に配置されている。また、支持台18は基材30を加熱するための加熱手段(ヒータ)を有し、支持台18を支持する支柱20は内部で水が循環して水冷する機能を備えている。
また、チャンバー12の上方にはマイクロ波発生手段22が設けられている。マイクロ波出力はプラズマ領域に影響を与え、出力を大きくすることで、比較的大きな面積を有する基材30を用いても基材30の片面(上面)全体にダイヤモンド粒子を成長させることができる。例えば、直径9mm程度の基材であれば、マイクロ波出力は1.2kWにすればよい。
このようなマイクロ波プラズマCVD装置10を用いてダイヤモンド成長を行う場合、まず、洗浄後の基材30を例えばMoで形成された環状の保持部材に収容し、平坦化処理した面(表面粗さR(a):0.01μm以上0.5μm以下)をガス導入口14側に向けて支持台18にセットする。
次いで、支持台18を加熱して基材30を加熱する。ここでは、基材30の表面温度が700℃未満ではダイヤモンドが成長し難い。一方、1000℃を超えると例えば図4に示すようにダイヤモンド粒子が密集した状態で成長し易くなるため、基材30の表面温度が好ましくは700℃以上1000℃以下、より好ましくは750℃以上850℃以下、特に好ましくは750℃以上830℃以下となるように加熱する。例えば、基材温度を750℃〜830℃の範囲に設定してマイクロ波プラズマCVDを行えば、図1に示したように、八面体のダイヤモンド粒子が点在した状態でより確実に成長させることができる。
基材30の温度が所定の温度(例えば750℃)に到達したら、ガス導入口14から原料ガス(反応ガス)を導入する。ここで、原料ガスとしては、メタン、水素、及び酸素をそれぞれ一定の割合で含む混合ガスを用いる。
メタンガスは、ダイヤモンドの構成元素(C)の供給源であり、メタン濃度が低過ぎるとダイヤモンド粒子の成長が不十分となったり、成長に長時間を要するなどの問題が生じる可能性がある。一方、メタン濃度が高過ぎると、ダイヤモンド粒子の成長速度が速過ぎて粒子径の制御が困難となる、砥石としてほとんど寄与しない極微細粒子(例えば粒径2μm未満)が成長し易い、異常成長粒子(例えば粒径100μm超)が発生し易い、基材温度が高くなり易い、などの問題が生じる可能性がある。
水素ガスは、キャリアーガス、基材のエッチング、成長粒子のエッチング、微細粒子の成長抑制、メタン分子のプラズマ化の促進などに寄与する。水素濃度が低過ぎると、例えば図5に示すように極微細粒子の成長が顕著となって目詰まりが生じ易くなるとともに、ダイヤモンド粒子の先端の欠けが発生し易いなどの問題が生じる。一方、水素濃度が高過ぎると、成長したダイヤモンドに対するエッチング速度が速くなり、極微細粒子の成長が抑制される反面、砥石として寄与する3μm以上、好ましくは45μm以下の粒径を有するダイヤモンド粒子の成長も抑制されたり、ダイヤモンド粒子のエッジが平坦となって砥石として研削能力が低下してしまう。
酸素ガスは、基材及び成長したダイヤモンド面をエッチングする作用を有する。酸素ガスによるエッチング作用は水素よりも顕著であり、水素によるエッチング作用を補うために使用する。なお、酸素ガスの濃度が低過ぎると、図6に示すような異常成長粒子C(例えば粒径100μm超)が発生し易い。
本発明者は、原料ガス濃度について実験を繰り返して研究した結果、原料ガス中の各成分の濃度は、より好ましくはメタンを0.1%〜8.0%、水素を90%〜99%、酸素を0.1%〜1.9%、特に好ましくはメタンを0.5%〜8%、水素を91%〜99%、酸素を0.1%〜1.8%の範囲でそれぞれ含む原料ガスを用いてマイクロ波プラズマCVDを行うことで、粒径のばらつきが小さいダイヤモンド粒子が点在した状態、具体的には、粒径が3μm以上45μm以下の範囲にあるダイヤモンド粒子を、占有率5〜75%の数密度でより確実に成長させることができることを見出した。ここで、ダイヤモンド粒子の粒径は、レーザー顕微鏡によって測定される値であり、ダイヤモンド粒子の数密度及び占有率は、顕微鏡倍率1000倍によって測定される値である。具体的には、ダイヤモンド粒子を成長させた基材をレーザー顕微鏡(倍率:1000倍)で観察したときに、各ダイヤモンド粒子を囲む最小の円の直径(すなわち、最大差し渡し径)がそのダイヤモンド粒子の粒径であり、単位面積当たりに占めるダイヤモンド粒子(例えば粒径が3μm以上45μm以下)の面積を算出することにより占有率を算出することができる。
そして、このような粒径及び数密度(占有率)のダイヤモンド粒子が基材表面に形成されたダイヤモンド砥石であれば、研磨屑が目詰まりし難く、研磨液の使用量が少なくて済み、長期間にわたって使用することができる。
なお、本発明における「点在」とは、一定の範囲内の粒径を有するダイヤモンド粒子が基材の表面の一部にランダムに存在していることを意味し、必ずしも全てのダイヤモンド粒子が互いに間隔を開けて存在している必要はなく、図1に示すように、一部のダイヤモンド粒子は互いに接触して存在してもよい。
一方、ダイヤモンドを成長させた基材表面におけるダイヤモンド粒子の占有率は、目詰まりによる研磨抵抗の低下を抑制すること、長寿命化を図ることなどの観点から、好ましくは5%〜75%であり、より好ましくは8%〜60%であり、特に好ましくは10%〜50%である。
チャンバー12内の圧力は、投入ガス量に影響し、目標とするダイヤモンド粒子の粒径及び数密度(占有率)にもよるが、例えば100〜150Torrに設定する。
マイクロ波出力は、チャンバー12の大きさ等によって異なるが、例えば、1.0〜5.0kWに設定する。
処理時間(成長時間)も目標とするダイヤモンド粒子の粒径及び数密度(占有率)にもよるが、例えば、粒径が3μm以上45μm以下の範囲にあるダイヤモンド粒子を、50個/mm以上12000個/mm以下の数密度で成長させる場合は、3時間〜10時間程度行う。
上記のようにして基材30の平坦面にダイヤモンドを成長させることで、例えば、図1に示したように、SiC基材の表面に10μm程度の粒径を有するダイヤモンド粒子Aが適度な間隔で点在したダイヤモンド砥石(ダイヤモンドチップ)を得ることができる。
得られたダイヤモンド砥石は、例えばアルミ合金製のホイールなの保持治具に固定し、これを研磨装置にセットしてSiC基板、シリコンウエハなどの研磨あるいは研削に好適に使用することができる。
<実施例1>
図3に示した構成を有するマイクロ波プラズマCVD装置を用い、以下の条件下で炭化珪素基板上にダイヤモンドを成長させた。
基板;炭化珪素、直径9mm、厚さ5mm
基板表面粗さ;R(a)0.01μm
基板温度;830℃
処理時間;6時間
原料ガス;メタン4%、水素95%、酸素1%の割合の混合ガス
チャンバー内圧力;120Torr
マイクロ波出力;1.2kW
上記のような条件下でSiC基板上にダイヤモンド成長を行った後、レーザー顕微鏡によって表面(ダイヤモンド成長面)を観察したところ、図1に示すように、粒径が10μm前後の多面体のダイヤモンド粒子がSiC基板表面に点在するように成長していた。粒径3μm以上のダイヤモンド粒子の占有率を測定したところ、20%の占有率であった。
図7は図1中の矢印Aで指されたダイヤモンド粒子のラマン分光による測定結果を示し、図8は図1中の矢印Bで指された微細部分(ダイヤモンド膜)のラマン分光による測定結果を示している。図1において点在しているダイヤモンド粒子Aは、天然ダイヤモンドと同等のラマンスペクトル(Raman shift;1332cm−1)を示している。また、図8のラマンスペクトルから、ダイヤモンド粒子間にもダイヤモンド膜(極微細粒子)が成長していることが伺える。
<実施例2>
以下の条件下でSiC基板上にダイヤモンド成長を行った。
基板;炭化珪素、直径9mm、厚さ5mm
基板表面粗さ;R(a)1.0μm
基板温度;825℃
処理時間;6時間
原料ガス;メタン4%、水素95%、酸素1%の割合(容積比)の混合ガス
チャンバー内圧力;120Torr
マイクロ波出力;1.2kW
ダイヤモンド成長後、レーザー顕微鏡によって表面(ダイヤモンド成長面)を観察したところ、粒径が3〜45μmのダイヤモンド粒子が成長していた。粒径3μm以上のダイヤモンド粒子の占有率を測定した結果、25%であった。
<実施例3>
基材として、炭化珪素基板に代えてシリコン基板を用いたこと以外は実施例1と同様にしてダイヤモンド成長を行った。図9に示すように、基板の表面には粒径8μm程度のダイヤモンド粒子が点在していた。粒径3μm以上のダイヤモンド粒子の占有率を測定したところ、21%であった。
<実施例4>
基材として、炭化珪素基板に代えてチタン基板を用いたこと以外は実施例1と同様にしてダイヤモンド成長を行った。粒径3μm以上のダイヤモンド粒子の占有率を測定したところ、31%であった。
<実施例5>
基材として、炭化珪素基板に代えてモリブデン基板を用いたこと以外は実施例1と同様にしてダイヤモンド成長を行った。粒径3μm以上のダイヤモンド粒子の占有率を測定したところ、22%であった。
−評価−
実施例1〜5で作製したダイヤモンドチップ(砥石)をそれぞれアルミ合金製のホイールに固定した。また、比較のため、図10に示すように、ニッケル合金からなる保持材50に対し、合成ダイヤモンドを粉砕して得たダイヤモンド粒子52を電着して製造したダイヤモンド電着砥石(比較例1)を用意し、アルミ合金製のホイールに固定した。
これらの砥石をそれぞれ株式会社岡本工作機械製作所製研磨機にセットし、炭化珪素基板(直径9mm、厚み5mm)及び半導体用シリコンウエハ(直径150mm、厚み0.7mm)をそれぞれ9分間研磨した。
被加工物(シリコンウエハ)の研磨前後の厚みを測定して研磨量とした。
研磨液としては、蒸留水を用い、比較例1で使用した研磨液量を10とした。
結果を表1に示す。
さらに、各砥石を用いて研磨液を用いずにシリコンウエハの研磨加工を行った。研磨加工後、砥石面(ダイヤモンド面)をSEMで観察したところ、比較例1のダイヤモンド砥石では非常に多数のダイヤモンド粒子の脱落が観察されたが、実施例1−5の各ダイヤモンド砥石ではダイヤモンド粒子の脱落はほとんど観察されなかった。
以上、実施形態及び実施例を説明したが、本発明に係るダイヤモンド砥石及びその製造方法は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。
例えば、本発明に係るダイヤモンド砥石を用いた被加工物はSiC基板及びSi基板に限定されず、例えば、他の難加工性材料の研磨加工に用いてもよい。
10 マイクロ波プラズマCVD装置
12 チャンバー
14 ガス導入口
16 排気口
18 支持台
20 支柱
22 マイクロ波発生装置
30 基材

Claims (8)

  1. 基材と、
    該基材の表面で成長したダイヤモンドと、を含み、
    前記基材上に、3μm以上の粒径を有するダイヤモンド粒子が点在しているダイヤモンド砥石。
  2. 前記ダイヤモンド粒子の粒径が45μm以下である請求項1に記載のダイヤモンド砥石。
  3. 前記ダイヤモンド粒子が、前記基材上に10%以上50%以下の占有率で点在している請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド砥石。
  4. 前記基材の少なくとも前記ダイヤモンド粒子が点在している面が、炭化珪素又はモリブデンからなる請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のダイヤモンド砥石。
  5. 表面粗さR(a)が0.01μm以上1.0μm以下の平坦面を有する基材を用意する工程と、
    メタン、水素、及び酸素を含む原料ガスを用い、マイクロ波プラズマCVD法により前記基材の平坦面にダイヤモンド粒子を成長させる工程と、
    を含むダイヤモンド砥石の製造方法。
  6. 前記原料ガスが、メタンを0.5%〜8%、水素を91%〜99%、及び酸素を0.1%〜1.8%含む請求項5に記載のダイヤモンド砥石の製造方法。
  7. 前記基材の少なくとも前記ダイヤモンド粒子を成長させる面が、炭化珪素又はモリブデンからなる請求項5又は請求項6に記載のダイヤモンド砥石の製造方法。
  8. 前記基材の平坦面にダイヤモンド粒子を成長させる工程において、該基材の表面温度を750℃〜830℃の範囲にして前記ダイヤモンド粒子を成長させる請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載のダイヤモンド砥石の製造方法。
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