JPH06262524A - 研削砥石及びその製造方法 - Google Patents

研削砥石及びその製造方法

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JPH06262524A
JPH06262524A JP4952793A JP4952793A JPH06262524A JP H06262524 A JPH06262524 A JP H06262524A JP 4952793 A JP4952793 A JP 4952793A JP 4952793 A JP4952793 A JP 4952793A JP H06262524 A JPH06262524 A JP H06262524A
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diamond
grinding wheel
grinding
crystal
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JP4952793A
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Yasushi Taniguchi
靖 谷口
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 予め第1の基体上に予め設定した砥粒サイ
ズ、間隔、密度で気相合成法によりダイヤモンド結晶砥
粒を選択的に成長させ、該砥粒を研削砥石の基体に反転
し、接合により前記砥粒を固定する。 【効果】 砥粒先端部の形状が一様となり、砥石基体と
の密着性が向上し、従来の研削砥石に比べて、研削時の
砥粒の保持力、耐摩耗性、耐久性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガラス、セラミックス、
結晶材料等の硬脆材料を精密に研削加工するための、気
相合成ダイヤモンド結晶を砥粒として用いた研削砥石及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、気相合成ダイヤモンド結晶を砥粒
として用いた研削砥石は特開平2−279278、同3
−208560号公報に見られるように、気相合成ダイ
ヤモンドを単結晶粒子あるいは多結晶膜状に成長させ、
場合によってはダイヤモンド砥粒の周囲にメッキ等の金
属層を設けて砥粒を保持して研削砥石としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の気相合成ダイヤ
モンド結晶を砥粒として用いた研削砥石においては、砥
粒として結晶性の良いダイヤモンド結晶を形成させて研
削砥石として用いている。しかしながら、結晶性の良い
ダイヤモンド結晶を成長させた場合、基体表面状態の不
均一性のため基体上にさまざまな方位を持った結晶が成
長する。そのため、砥粒として作用するダイヤモンドの
先端形状の違い、作用部の結晶方位差による硬度摩耗度
の違いにより、一個一個の砥粒に加わる力が異なり、ま
た、先端形状差による砥粒高さのばらつきにより、数多
く成長させた砥粒の一部しか砥粒として作用しない、と
いう現象が生じる。また、特開平2−279278号公
報、同3−208560号公報に開示されている研削砥
石は、ダイヤモンド結晶を砥石となる基体に直接もしく
は中間層を設けて形成しているが、基体とダイヤモンド
結晶の密着性が十分でないため、研削時に結晶粒の脱落
を生じてしまう。このため、このような研削砥石を用い
てガラス、セラミックス、結晶材料等の硬脆材料を加工
すると、一部の砥粒に無理な力が加わり、被加工物が脆
性破壊を起こし、表面粗度の低下やクラックの発生等の
問題を生じる。
【0004】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、基体上に先端形状の揃った砥粒を高密着強度で配置
することにより、ガラスや半導体等の硬脆材料を良好な
表面粗さで研削するための研削砥石を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の研削砥石は、研
削砥石の形状に嵌合する第1基体の表面に予め設定した
砥粒サイズ、間隔、密度でダイヤモンド結晶を気相合成
法により選択的に形成した後、研削砥石の基体となる第
2の基体に反転し、接合したことを特徴とする。
【0006】更に本発明の研削砥石は、前記ダイヤモン
ド結晶砥粒間に該砥粒を強固に固定する充填層を設けた
ことを特徴とする。
【0007】
【作用】以下、本発明の作用を本発明をなすに際して得
た知見と共に説明する。
【0008】本発明者は、従来の研削砥石の問題点に鑑
み、ダイヤモンド砥粒の固定方法について詳細な実験を
続けた結果、ダイヤモンド砥粒の保持力、研削時の耐摩
耗性、耐久性への関与を明らかにすることができた。
【0009】すなわち、第1の基体表面に高研削性能が
得られる砥粒サイズ、間隔、密度で気相合成法によりダ
イヤモンド結晶砥粒を選択的に形成し、これを研削砥石
の基体となる第2の基体に反転、接合した後、ダイヤモ
ンド結晶砥粒間に充填層を設け強固に固定することによ
り、ダイヤモンド砥粒の保持力、研削時の耐摩耗性、耐
久性が格段に改善されるという知見を得たものである。
【0010】この理由として、反転させたダイヤモンド
結晶の先端形状が各結晶粒において一様であり、またダ
イヤモンド結晶を接合することにより基体に対する密着
性が改善されたためと考えられる。即ち、反転したダイ
ヤモンド結晶の表面(気相合成させたダイヤモンド結晶
の裏面)は、基体表面の粗さをトレースしているため
に、表面粗さが各結晶で一様であり、その大きさもP−
Vで100nm以下にすることができる。また、接合に
よりダイヤモンド結晶砥粒を基体に固定する時に、各結
晶の先端位置を揃えることができ、基体との密着強度も
改善されるためである。
【0011】本発明で述べるダイヤモンド結晶とは、例
えば、X線回折や電子線回折、さらにはラマン分光等の
分析方法でダイヤモンド結晶として確認できるものであ
る。具体的には、ラマン分光分析法では、例えば図1に
示されるように1333cm -1付近にダイヤモンドの鋭
いピークを有し、1360cm-1及び1550cm-1
近に非晶質炭素に起因するブロードなピークを有するも
のである。ダイヤモンドと非晶質炭素の存在の割合をラ
マン分光分析の非晶質炭素ピーク(1550cm-1付近
のブロードなピーク)とダイヤモンドピーク(1333
cm-1)との強度比(I1550/I1333)で表すと、0≦
1550/I1333≦10となる。I1550/I1333<10で
は、ダイヤモンドの結晶性が悪くなり、硬度が低下し研
削性能の劣化を生じる。また、本発明におけるダイヤモ
ンド結晶は単結晶だけでなく、双晶、多結晶であっても
良い。
【0012】本発明で研削砥石の基体として用いられる
第2の基体は、アルミナ、ジルコニアのような酸化物系
セラミックス、炭化珪素、窒化珪素、炭化チタン、窒化
チタン、炭化タングステンなどの炭化物、窒化物系セラ
ミックス、更にWC系の超硬合金、モリブデン、タング
ステン、タンタル等の金属等を用いることができる。第
2の基体の形状は、用途や研削物の材質、形状により任
意に決定できるが、例えば、球面レンズ形状のガラス等
を研削する場合は、その球面レンズの曲率半径に合わせ
て、曲面形状にし、その曲面上にダイヤモンド結晶を形
成する。
【0013】図2に本発明の研削砥石1の一例の模式断
面図を示す。図中、2は砥石基体である第2の基体、3
はダイヤモンド結晶、4は接着層、5はダイヤモンド結
晶を固定する充填層である。
【0014】以下、本発明の研削砥石の製造方法につい
て説明する。
【0015】まず、第1の基体上に高研削性能が得られ
る砥粒サイズ、間隔、密度にダイヤモンド結晶を気相合
成法により形成する。
【0016】この第1の基体としては、ダイヤモンドを
形成するために適した材料であると同時に、研磨、エッ
チング等が可能な材料であること、且つ表面粗さがRm
axで0.5μm以下に加工できるものであることが望
ましい。このような材料として、Si,Ta,Mo,
W,WC,SiC,SiO2,Al23,Si34等が
挙げられる。
【0017】本発明で用いるダイヤモンド結晶の気相合
成法は、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマ
CVD法、直流プラズマCVD法、高周波プラズマCV
D法、有磁場マイクロ波プラズマCVD法、燃焼炎法等
を挙げることができる。この時、原料ガスは炭素源とし
て、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、ア
セチレン等の炭化水素ガス、CO,CO2,CCl4,C
HCl3,CH2Cl2,CH3Cl,CF4,CClF3
CHF3,等の炭素と酸素、塩素、フッ素の化合物、さ
らには、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸等の
有機化合物を用い、これに水素、酸素、ハロゲンガス、
希ガス等を適宜混合すれば良い。
【0018】ダイヤモンド結晶の形成条件は、合成方法
により異なるが、例えば、マイクロ波プラズマCVD法
により水素−メタン系原料ガスを用いる場合、メタンガ
ス濃度を0.3〜5%とし、基板温度を600〜900
℃、圧力を1.33〜26.6kPa、更に全ガス流量
は、100〜1000ml/分、とすることが望まし
い。
【0019】更に、本発明において、ダイヤモンド結晶
は選択堆積法により、基体上の予め設定された位置に形
成する。気相合成ダイヤモンドの選択堆積法は、たとえ
ば本発明者らの特開平2−30697号公報に開示した
方法を挙げることができるが、特にこの方法に限定され
るものではない。
【0020】特開平2−30697号公報に開示されて
いる方法は、基体表面の傷つけ処理を施した後、基体に
パターン状マスクを形成し、エッチング処理を行い、マ
スクを除去することにより傷つけ処理した部位をパター
ン状に形成する方法である。なお、基体にパターン状に
マスク部材を設け、基体表面に傷つけ処理を施し、更に
エッチング処理によりパターン状に形成した該マスク部
材を除去することにより、傷つけ処理した部位をパター
ン状に形成する方法でもよい。また、基体表面に傷つけ
処理を施した後、耐熱性を有するマスク部材をパターン
状に形成することにより傷つけ処理した部位をパターン
状に形成する方法でもよい。傷つけ処理の方法は、特定
の方法に限定されるものではなく、例えばダイヤモンド
砥粒を用いて研磨を行う、超音波処理を行う、またはサ
ンドブラストを行う、等の方法がある。
【0021】本発明において、前記選択堆積法の傷つけ
処理されたパターン部の面積は、1μm2以上とするこ
とが望ましい。このパターン部の面積が、1μm2未満
では、析出の抜けが生じ易く適していない。また、ダイ
ヤモンド結晶は、基体上に分散して形成されることが必
要であるため、パターン間隔は、形成されるダイヤモン
ド結晶粒子径より、十分大きくする必要がある。例え
ば、粒子径が、20μmの場合、パターン間隔は25μ
m以上とすることが望ましい。
【0022】本発明において、選択的に形成したダイヤ
モンド結晶を研削砥石の基体となる第2の基体と接合す
るには、前記第1の基体のダイヤモンド結晶が形成され
た面と第2の基体とを接合した後、第1の基体を研磨、
あるいはエッチングにより除去する。
【0023】ダイヤモンド結晶の接合に用いる接合材と
しては、ダイヤモンドと濡れ性が良く、研削砥石の使用
条件において十分な機械的強度と幾何学的寸法精度を保
証できるものが好ましい。このような材料として、T
i,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,F
e,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,P
t,Cu,Ag,Au,Si,Ge,Sn,Pb等の元
素、あるいはこれらの1種あるいは2種以上の組み合わ
せからなる化合物、混合物、合金が好ましく、合金とし
ては、Ag−Cu,Ag−Sn,Ti−Ag,Ti−C
u,Ti−Co,Ti−Ni,Au−Nb,Au−Ta
等の合金が好ましい。また、接合する第2の基体と密着
性が良く、接合により十分な強度を持つと同時に、研削
条件において十分な接合強度を持つものが好ましい。特
に、接合材と第2の基体との熱膨張係数が近似している
ことが好ましい。例えば、第2の基体としてWCを用い
る場合、Ti,Ta,Ni等が適している。
【0024】接合の方法としては、第1の基体のダイヤ
モンド結晶が形成されている面上に前記接合材の層を形
成し、これと第2の基体とを嵌合し加熱して接合する、
あるいは第2の基体上にも接合材の層を形成して嵌合し
加熱して接合する方法のどちらでも良いが、第2の基体
に接合材層を形成する場合には、接合される接合材同士
が同種の材料であることが好ましい。
【0025】接合材は、真空蒸着、スパッタ、イオンプ
レーティング、CVD法、あるいはメッキ法等により形
成される。接合材の層厚は、ダイヤモンド結晶の凹凸が
平坦化でき、且つ、十分な密着性が得られ、膜の内部応
力により密着性が低下しない程度で有れば良い。通常、
1〜10μmの範囲であり、好ましくは2〜4μmであ
る。尚、接合に際しては、反転後のダイヤモンド結晶の
先端位置が揃うように調整する必要がある。
【0026】更に、ダイヤモンド結晶を反転、接合した
後、ダイヤモンド結晶間に金属等をメッキ処理で充填す
ることにより、ダイヤモンド結晶を強固に固定する。メ
ッキ処理は電解メッキ、無電解メッキのいずれの方法で
も良い。また、メッキ材料としては、ニッケル、コバル
ト、クロム、銀及びこれらの合金を用いることができ
る。また、これら金属の他に、樹脂、ゴムなどを充填し
てダイヤモンド結晶の固定を行っても良い。
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づき本発明を具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定され
るものではない。
【0028】実施例1 本実施例における研削砥石の製造プロセスを図3に基づ
いて説明する。まず、研削砥石と嵌合する形状を有する
第1の基体としてSi基体31(40mmφ×8t、曲
率R=35の凸面形状)を用い、基体前処理として粒径
15〜30μmのダイヤモンド砥粒を分散させたアルコ
ール溶液中に基体を浸漬し、超音波発振器を用いて傷つ
け処理を行った(図3(a))。
【0029】次に、この基体31にフォトリソグラフィ
ー(光描画法)により、直径2μmのPMMA系レジス
トパターン32を50μmピッチで形成した(図3
(b))。
【0030】この基体をイオンビームエッチング装置に
設置し、エッチングガスとしてアルゴンを用いて、10
0nmエッチングを行った(図3(c))。
【0031】次いで、有機溶媒を用いてレジストパター
ンを除去(図3(d))することにより、基体上に傷つ
け処理を施した部分33を、所定の部位にパターン状に
形成することができた。最後に図4に示す装置に傷つけ
処理を施した基体を入れ、ダイヤモンド形成を行った
(図3(e))。図4はダイヤモンド形成を行う熱フィ
ラメントCVD法による装置の模式図であり、図中、4
1は石英反応管、42は電気炉、43はタンタル製フィ
ラメント、44は前記第1の基体、45は原料ガス導入
口で不図示のガスボンベ、ガス流量調整器、バルブに接
続されている。46はガス排気口で不図示のメカニカル
ブースターポンプ、ロータリーポンプ、及びバルブに接
続されている。基体44を、石英反応管41中に入れ、
不図示の真空ポンプで排気した後、不図示のガスボンベ
よりメタン5ml/min、水素995ml/minの
流量で原料ガス導入口45を介して石英反応管41へ原
料ガスを導入し、反応管内の圧力を不図示の圧力調整バ
ルブで6.65kPaに調整し、また、電気炉42を用
いて反応管内を900℃に、更にフィラメント43を2
000℃に加熱してダイヤモンド形成を行った。この時
の処理時間は10時間とした。
【0032】走査型電子顕微鏡により、第1の基体表面
を観察したところ、約20μm径の自形面の明瞭なダイ
ヤモンド結晶34が基体上のパターン部位33上に50
μmピッチで選択的に形成されていた(図3(e))。
【0033】次に、ダイヤモンド結晶表面にプラズマ処
理を施した後、接合材層35の形成を行った。まず、ス
パッタ法によりTiを3μm厚で形成し、更にその上に
Niを3μm厚で形成した。同様に、第1の基体と嵌合
する形状を有するWC系超硬合金製の研削砥石の基体と
なる第2の基体37表面にもNi層36を10μm厚で
形成した。
【0034】双方の基体を嵌合させた後、真空中で85
0℃に加熱することにより接合を行った(図3
(f))。この時、約0.15kg/mm2の均一な力
で約3時間固定して接合を行った。また、固定に際して
は、各基体間のギャップが一様になるように調整して行
った。この後、Si基体を研磨してSiを完全に除去し
た(図3(g))。Si基体の除去は、研磨以外に、水
酸化カリウムあるいはHNO3:HF:CH3COOH=
5:3:3等の溶液によりウェットエッチングを行うこ
とによっても良い。Siを除去した後のダイヤモンド結
晶は、Si基体上にエッチングにより形成されたパター
ンを反転した形状であった。このダイヤモンド結晶粒を
反転接合された基体上に、無電解メッキ法によりダイヤ
モンド結晶粒の周囲にニッケルの充填層38を形成し
て、ダイヤモンド結晶粒の固定を行い、研削砥石を完成
させた(図3(h))。この時、ダイヤモンド結晶の先
端が充填層38の表面から10μm以上突出するように
充填層38を形成した。
【0035】この研削砥石を用いて、R35mmの凸面
形状のガラスレンズの研削テストを行い、研削性能を評
価した。
【0036】研削テストの方法は、公知の球心振動研磨
機で、砥石回転数3000rpm、加圧力1kg/cm
2で30秒間の定圧力加工を行った。この結果、ガラス
レンズの表面は粗さ0.1μmRmaxの均一な塑性流
動面となり、レンズの除去量も約20μmと、通常の精
研削ペレットと同等の値が得られた。また研削テスト後
の研削砥石のダイヤモンド結晶先端部を走査型電子顕微
鏡で観察した結果、結晶先端部の摩耗は見られなかっ
た。
【0037】実施例2 実施例1と同様にして、Si基体上にダイヤモンド結晶
を選択的に形成した。ダイヤモンド形成に用いたマイク
ロ波プラズマCVD装置の模式図を図5に示す。図中、
51は石英反応管、52は基体、53は原料ガス導入
系、54はマイクロ波電源、55はマイクロ波導波管、
56は真空排気系である。まず、基体52を該装置内に
設置し、真空排気系56で石英反応管51内を排気した
後、原料ガス導入系53より一酸化炭素30ml/mi
n、水素370ml/minの流量で原料ガスを石英反
応管51へ導入し、反応管内の圧力を不図示の圧力調整
バルブで5.3kPaに調整し、また、マイクロ波電源
55よりマイクロ波出力3kW、基体温度920℃でダ
イヤモンド形成を行った。この時の処理時間は10時間
とした。
【0038】走査型電子顕微鏡により第1の基体表面を
観察したところ、約40μm径の自形面の明瞭なダイヤ
モンド結晶が基体上の所定のパターン部位に50μmピ
ッチで選択的に形成されていた。
【0039】次に、ダイヤモンド結晶表面にプラズマ処
理を施した後、Ti−Ag合金(鑞材)を用い、実施例
1と同様に第1の基体と嵌合する研削砥石基体とを接合
した。接合後、Si基体を研磨により除去し、実施例1
と同様にNiをダイヤモンド結晶間に充填してダイヤモ
ンド結晶を固定し、研削砥石とした。
【0040】この研削砥石を用いて、実施例1と同様の
方法、条件で研削性能を評価した結果、実施例1と同様
の結果が得られた。
【0041】実施例3 実施例1と同様に、研削砥石と嵌合する形状を有する第
1の基体としてSi基体(25mmφ×10t、曲率R
=20の凸面形状)を用い、基体前処理として粒径15
〜30μmのダイヤモンド砥粒を分散させたアルコール
溶液中に基体を浸漬し、超音波発振器を用いて傷つけ処
理を行った。
【0042】次に、この基体にフォトリソグラフィー
(光描画法)により、直径20μmのPMMA系レジス
トパターンを30μmピッチで形成した。この基体をイ
オンビームエッチング装置に設置し、エッチングガスと
してアルゴンを用いて、約100nmエッチングを行っ
た。次いで、有機溶媒を用いてレジストパターンを除去
することにより、基体上に傷つけ処理を施した部分を、
所定の部位にパターン状に形成することができた。この
後、図5に示す装置に傷つけ処理を施した基体を入れ、
ダイヤモンド形成を行った。原料ガスとしてメタン7m
l/min、水素700ml/min、酸素1ml/m
inの流量で石英反応管内へ導入し、反応管内の圧力を
10.64kPaに調整し、マイクロ波出力5kW、基
体温度900℃でダイヤモンド形成を行った。この時、
処理時間は5時間とした。
【0043】走査型電子顕微鏡により第1の基体表面を
観察したところ、約25μm径の自形面の明瞭なダイヤ
モンド結晶が基体上の所定のパターン部位に30μmピ
ッチで選択的に形成されていた。
【0044】次に、ダイヤモンド結晶表面にプラズマ処
理を施した後、Ti−Ag合金(鑞材)を用い、実施例
1と同様に第1の基体と嵌合する研削砥石基体とを接合
した。接合後、Si基体を研磨により除去し、エポキシ
系接着剤をダイヤモンド結晶間に充填してダイヤモンド
結晶を固定し、研削砥石とした。
【0045】この研削砥石を用いて、R20mmの凸面
形状のガラスレンズの研削テストを実施例1と同様にし
て行い、研削性能を評価した。この結果、ガラスレンズ
の表面は粗さ0.1μmRmaxの均一な塑性流動面と
なり、レンズの除去量も約20μmと、通常の精研削ペ
レットと同等の値が得られた。また研削テスト後の研削
砥石のダイヤモンド結晶先端部を走査型電子顕微鏡で観
察した結果、結晶先端部の摩耗は見られなかった。
【0046】実施例4 本実施例における研削砥石の製造プロセスを図6を参照
して説明する。基体として厚さ500μmのTi箔61
を用い、基体前処理として粒径15〜30μmのダイヤ
モンド砥粒を分散させたアルコール溶液中に基体を浸漬
し、超音波発振器を用いて傷つけ処理を行った(図6
(a))。
【0047】次に、この基体61にフォトリソグラフィ
ー(光描画法)により、直径2μmのPMMA系レジス
トパターン62を30μmピッチで形成した(図6
(b))。
【0048】この基体をイオンビームエッチング装置に
設置し、エッチングガスとしてアルゴンを用いて、約1
00nmエッチングを行った(図6(c))。次いで、
有機溶媒を用いてレジストパターンを除去することによ
り、基体上に傷つけ処理を施した部分を、所定の部位6
3にパターン状に形成することができた(図6
(d))。この後、図4に示す装置に傷つけ処理を施し
た基体を入れ、実施例1と同一条件でダイヤモンド形成
を行い、前記パターン部位63上にダイヤモンド結晶6
4を形成した(図6(e))。走査型電子顕微鏡により
第1の基体表面を観察したところ、実施例1と同様に約
20μm径の自形面の明瞭なダイヤモンド結晶が基体上
の所定のパターン部位に50μmピッチで選択的に形成
されていた。
【0049】次に、ダイヤモンド結晶表面にプラズマ処
理を施した後、接合材層65の形成を行った。まず、ス
パッタ法によりTiを3μm厚で形成し、更にその上に
Niを3μm厚で形成した(図6(f))。同様に、W
C系超硬合金製の研削砥石の基体となる第2の基体(2
0mmφ×8t、曲率R=35の凹面形状)67表面に
もNi層66を10μm厚で形成し、この砥石基体67
とTi箔61のダイヤモンド結晶を形成した面を対峙さ
せ、砥石基体67に嵌合するWC系超硬合金製の型68
(20mmφ×8t、曲率R=35の凸面形状)を用い
てTi箔61を砥石基体67に圧接して実施例1と同様
にして接合した(図6(g))。その後、砥石表面に存
在するTiを機械的研磨により除去した後(図6
(h))、ダイヤモンド結晶が反転転写された基体に無
電解メッキ法によりダイヤモンド結晶の周囲にニッケル
により充填層69を形成して砥粒を固定し、研削砥石と
した(図6(i))。この時、ダイヤモンド結晶の先端
が充填層69の表面から10μm以上突出するように充
填層69を形成した。
【0050】この研削砥石を用いて、R35mmの凸面
形状のガラスレンズの研削テストを行い、研削性能を評
価した。
【0051】研削テストの方法は、公知の球心振動研磨
機で、砥石回転数3000rpm、加圧力1kg/cm
2で30秒間の定圧力加工を行った。この結果、ガラス
レンズの表面は粗さ0.1μmRmaxの均一な塑性流
動面となり、レンズの除去量も約20μmと、通常の精
研削ペレットと同等の値が得られた。また研削テスト後
の研削砥石のダイヤモンド結晶先端部を走査型電子顕微
鏡で観察した結果、結晶先端部の摩耗は見られなかっ
た。
【0052】以上の実施例では、球面レンズの加工につ
いてのみ記述したが、本発明の研削砥石はかかるか工法
に限定されるものではなく、例えば、平面研削、円筒研
削、内面研削、非球面研削等の加工法にも適用できる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の研削砥石
は、研削砥粒であるダイヤモンド結晶の砥粒先端形状が
一様であり、砥石基体との密着性が向上するために、従
来の研削砥石に比べて、研削時におけるダイヤモンド砥
粒の保持力、耐摩耗性、耐久性を格段に向上させる効果
がある。
【0054】また、これらの研削砥石は、ガラス、セラ
ミックス、結晶材料等の硬脆材料を精密に研削加工する
ための研削砥石として優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイヤモンド結晶のラマン分光分析の測定の結
果を示すグラフである。
【図2】本発明のダイヤモンド研削砥石の一例を示す模
式的断面図である。
【図3】本発明の研削砥石の製造プロセスの一例を示す
模式図である。
【図4】熱フィラメントCVD法によるダイヤモンド形
成装置の模式図である。
【図5】実施例において、ダイヤモンド形成に用いたマ
イクロ波プラズマCVD装置の模式図である。
【図6】本発明の研削砥石の製造プロセスの一例を示す
模式図である。
【符号の説明】
1 研削砥石 2 砥石基体(第2の基体) 3 ダイヤモンド結晶 4 接合層 5 充填層 31、61 第1の基体 33、63 パターン部位 34、64 ダイヤモンド結晶 35、65 接合材層 37、67 砥石基体 38、69 充填層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C30B 29/04 X 8216−4G

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 研削砥石の形状に嵌合する第1基体の表
    面に予め設定した砥粒サイズ、間隔、密度でダイヤモン
    ド結晶を気相合成法により選択的に形成した後、研削砥
    石の基体となる第2の基体に反転し、接合したことを特
    徴とする研削砥石。
  2. 【請求項2】 前記ダイヤモンド結晶砥粒間に該砥粒を
    強固に固定する充填層を設けたことを特徴とする請求項
    1記載の研削砥石。
  3. 【請求項3】 研削砥石の形状に嵌合する第1基体の表
    面に予め設定した砥粒サイズ、間隔、密度でダイヤモン
    ド結晶を気相合成法により選択的に形成した後、研削砥
    石の基体となる第2の基体に反転し、接合することを特
    徴とする研削砥石の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ダイヤモンド結晶砥粒間に該砥粒を
    強固に固定する充填層を設けることを特徴とする請求項
    3記載の研削砥石の製造方法。
JP4952793A 1993-03-10 1993-03-10 研削砥石及びその製造方法 Pending JPH06262524A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009195992A (ja) * 2008-02-19 2009-09-03 Hitachi Koki Co Ltd メタルボンド砥石
JP2010234507A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Add:Kk ダイヤモンド砥石及びその製造方法

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