JP3666029B2 - 硬質物質被覆ウエハ−及びその製造方法 - Google Patents

硬質物質被覆ウエハ−及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、SAW(弾性表面波素子)、サ−ミスタ、半導体デバイス用基板或いはディスク保護膜、X線窓などに利用できる硬質物質被覆ウエハ−とその製造方法に関する。ここで硬質物質というのは、ダイヤモンド、c−BN、ダイヤモンド状炭素などを意味する。バルクの状態であれば、いずれもビッカ−ス硬度Hvが3000以上である。これらの硬質物質はヤング率と密度の比で決まる音速が極めて大きい。このため、表面弾性波の速度も抜群に速い。SAWの基板素子として期待されている。SAWはフィルタ、位相シフタ、コンボルバなどの用途がある。ダイヤモンド、c−BNは不純物をド−プすることにより半導体とすることができる。
【0002】
これらの硬質物質は優れた物理的、化学的性質を持つ。しかし、大面積で安価な材料ができないので、実用的に広く利用されていない。Si半導体の技術を転用し様々な用途に利用できるようになることが望まれる。このため、大面積のウエハを作製する必要がある。
【0003】
【従来の技術】
ダイヤモンド、c−BN、ダイヤモンド炭素は、気相合成法により薄膜ができるようになっている。これは加熱された適当な基板の上に原料ガスを流して、硬質物質の薄膜を気相成長させる方法である。水素ガスと炭化水素ガス、或いは水素ガスとホウ素を含むガス、窒素を含むガスを原料ガスとして導入し、加熱された基板に与えて、化学反応により薄膜合成し、これを基板の上に積んでゆくものである。
【0004】
ガスを励起する方法として幾つかの方法が知られている。熱フィラメント法、マイクロ波プラズマCVD法、高周波プラズマCVD法、DCプラズマジェットCVD法などがある。方法によっては面積の広い硬質物質の膜を製造することもできる。しかし合成速度が遅いので、あまり厚い膜は作りにくい。時間をかければ、かなり厚い膜を作ることもできる。
しかし現在のところ、これらの硬質物質のウエハは存在しない。ダイヤモンドウエハ、c−BNウエハというものはない。従来の技術によっては製造できないからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
エレクトロニクスの分野にダイヤモンド、c−BN、ダイヤモンド状炭素を応用しようとすると、大面積の硬質物質のウエハ−が必要である。従来小さい寸法の基板に、表面弾性波素子などが作られたことがある。しかし、5mm角〜10mm角の小さい基板にそのような素子を製作し、それが優れた効果を奏したとしても、工業的な意義に乏しい。小面積の基盤に僅かな数の素子を製作したとしても、生産性が悪く、実用的でない。
【0006】
Si半導体の成功は、大面積ウエハ−に同一の処理を一括して行い、多数の等価な素子を同時に大量に製作できるところにある。ダイヤモンド、c−BN、ダイヤモンド状炭素膜などの硬質物質もデバイスをその上に製造する基板として実用的な意義を持つようになるためには、広い面積があり、しかも円形のウエハとして製造されなければならない。そうしてはじめて、Si半導体などで円熟した技術を応用することができるようになる。
Siウエハの場合は、大きい単結晶が幾らでも引き上げることができるので、8インチのウエハも製造できる。しかしダイヤモンドやc−BNの場合、引き上げ法で単結晶を製造できない。ためにSiやGaAsのように全体が同一の材料からなる一様材料ウエハを作ることは現在のところ望み難いことである。
【0007】
そこでバルクの単結晶から出発せずに、他の材料の上に薄膜形成した複合構造を採用する。例えば、Si、GaAs、などありふれた入手しやすい単結晶の材料の上に、硬質物質の薄膜を形成するのである。このような基板+硬質物質薄膜の複合体とすれば、面積の広いウエハを製造できる可能性が生ずる。基板は薄膜形成の際、反応生成物の堆積する台として機能する。
純粋の硬質物質だけからなるウエハを得ようとすると、薄膜を厚く形成し、この後、基板材料をエッチングして除去する必要がある。しかし、これも現在のところできていない。自立膜とするには余程厚い被膜を作らなくてはならないが、そうすると時間と材料が膨大になるので、現実的でない。
【0008】
それで下地の基板を残したままの複合的なものを硬質物質ウエハとせざるを得ない。つまり基板を付けたままの複合材料ウエハとするのである。表面の性質だけを利用することが多いので、1表面だけに硬質物質があり、他の表面はSi、GaAsなどであっても差し支えない。こうすることにより、バルク単結晶製造をすることが困難であるという問題を克服できる。薄膜製造技術によりウエハを作ることができるからである。
だから、ここで硬質物質ウエハと言っても、Siなどのようにバルク単結晶を薄く輪切りにしてウエハとするのとは全く違う。ここに提案する複合ウエハは、Siなどのウエハとは製造法からして違うのである。
【0009】
さらに条件がある。先述のように、従来でも3mm角や、5mm角の硬質物質の基盤上に表面弾性波素子などを作った例はある。技術的な試みとしての意義は認められる。しかし、このように小さい基板では工業的には役に立たない。工業的には、円形であって、一様な厚さを持ち、平坦で反りがなく、大口径であることが切に望まれる。
面積について言えば、電子材料などとして応用するには少なくとも1インチ径の円形、角型のウエハが必要である。このぐらいの大きさ、広さがないとウエハプロセスに乗らない。
【0010】
また1インチ径よりも2インチ径、これよりも3インチ径若しくはそれ以上の大きいウエハ−の方が良い。大きくて平坦で、平滑なウエハが望ましい。
幸いなことに気相合成法の進歩により、適当な基板の上にかなり広いダイヤモンド膜、c−BN膜を形成できるようになってきている。しかし単に広い薄膜が基板の上に形成できただけではウエハとはならない。
その表面が凹凸の激しいものであると役に立たない。また平坦であることが必要である。反りがなく、鏡面でなければならない。
ウエハ−の上にフォトリソグラフィ−によってデバイスを作ろうとすると、ウエハ−は平坦で鏡面であることが要求される。平坦でないと光学的手段によって正確にパタ−ンを描くことができないからである。
【0011】
気相成長によって作った薄膜であるので、表面に凹凸がある。波状の表面が形成されたり、粒子状の突起が多数点在したりする。このように気相成長による硬質物質の被膜は凹凸が激しく、そのままではとても使いものにならない。
凹凸があれば研磨すればよいのである。研磨により、突起や波状の表面や凹凸構造を除き平滑、平坦なウエハができる筈である。現にSiの場合も、インゴットを薄く切った後、エッチングし鏡面研磨する。これと同じことのように思える。ところがそうでない。いくつかの問題がある。
表面の凹凸を研磨により除去するのであるから、始めの薄膜はかなり厚くなければならない。厚くするには成長時間が必要で、材料も余分に必要になる。
【0012】
これは経済的な問題で時間、材料を十分に使えば克服できる。
さらに大きい困難がある。硬質物質はとても堅い膜を作るので研磨が難しい。ダイヤモンドもc−BNも最強の物質であるだけに、研磨の難しさはSiなどとは比較にならない程である。研磨はダイヤモンド砥粒を使い、共ずりということをして、時間をかけて研磨する。砥粒も対象薄膜も共に削られるので共ずりというのである。
【0013】
しかし、もっと大きい難点がある。薄膜と基板は熱膨張率などが異なるので、気相成長後に冷却して外部に取り出すと、大きく反ってしまう。薄膜側が凸に反ることもあるし、薄膜側が凹に反ることもある。全体的には平坦であることもある。薄膜側に着眼し、薄膜側が凸に反るものを凸反り、薄膜側が凹に反るものを凹反りと呼ぶことにする。面積が小さい場合は、反りの問題は隠れている。従来のように、3mm角や5mm角の基板の場合、反りは発生しない。
【0014】
本発明は1インチ、2インチのオ−ダ−の面積のウエハを与えようとするものである。基板と薄膜の熱膨張率の違い及び、膜自身の真性応力による反りが大きく現れる。直径が大きいので反りの問題が大きくなる。これは深刻である。Siウエハの場合は、大きくても平坦度の良いものが作られるが、硬質物質の場合は複合系となるので、反りが重大な問題になる。反りがあると、フォトリソグラフィ−により正確にパタ−ンを転写できないという欠点がある。しかしそれよりも何よりも、反りがあると、研磨ができないのである。研磨できないとミラ−ウエハにならない。
本発明はこのように硬質物質をウエハにする場合、数多く存在する問題を克服し、実用的な大きさ、広さを持つ平滑な硬質物質ウエハを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の硬質物質ウエハ−は、基板の上に気相合成法により、ダイヤモンド膜、c−BN膜あるいはダイヤモンド状炭素膜を膜厚が5μm〜100μmになるように形成し(好ましくは15μm〜50μmが良い)、薄膜側に凸に反り、反り量が2μm〜150μmであるようにし、この硬質物質の薄膜を研磨して、Rmax500Å(50nm)以下、Ra200Å(20nm)以下にしたものである。
【0016】
薄膜形成のために用いる気相合成法は、フィラメントCVD法、プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、火炎法などである。圧力は1Torr〜300Torrである。原料は、ダイヤモンドやダイヤモンド状炭素膜の場合は、水素ガスと、炭化水素ガスなどである。c−BNの場合は、水素ガス、ホウ素化合物ガス、窒素化合物ガスなどである。
原料ガスは、ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素膜の場合、主に水素と炭化水素を用いるが、水素の全て、若しくは一部を不活性ガスに置換してもかまわない。又、炭素を含む、有機・無機ガスを炭化水素のかわりに置き換えることもできる。又、酸素を含む有機・無機ガスを添加することも可能である。
【0017】
気相成長後の試料は薄膜側に凸反りであるようにする。平坦なものは不可である。薄膜側に凹反りのも不可である。凸反りでなければ一様に研磨できない。研磨によりRmax500Å(50nm)、Ra200Å(20nm)以下の面粗度にする。この程度の面粗度であればこの上にフォトリソグラフィ−により電極形成、不純物打ち込み、拡散、選択エッチングなどのウエハ−プロセスを行なうことができる。
【0018】
【作用】
図1に本発明の硬質物質ウエハ−の断面図を示す。基板と硬質物質膜との熱膨張率が違うし厚い膜を形成するので、常温に冷却した時、強い応力が発生する。ためにウエハ−は膜側に凹反りになるか、または膜側が凸になる。前者を凹反り、後者を凸反りと呼ぶことにする。
凹反りの場合の反り量を正とし、凸反りの場合の反り量を負とする。本発明は、ウエハの反りが−2μm〜−150μmの範囲にあるようにする。つまり薄膜側に凸反りになるようにする。図1は凸反りを示し、反りΔHは負である。
【0019】
反りは気相成長の条件により制御することができる。条件により平坦なウエハ−ができることもある。平坦なウエハ−が最も望ましいように見えるがそうでない。これは図2のようにねじれており、研磨すると未研磨部が残るのでかえって良くないのである。本発明は平坦なウエハ−を用いない。また薄膜側に凹反りのものを採用しない。凹反りのものはうまく研磨することができないからである。
【0020】
硬質物質、基板、反りについて次に説明する。
[A.硬質物質被膜]
ダイヤモンド膜、ダイヤモンド状炭素膜、c−BN膜は、次の特性を持つべきである。
1.膜厚:5μm〜100μm、特に15μm〜50μmが望ましい。
膜厚が大きいと膜形成のコストが増大する。1000μmの膜でも良いのであるが膜生成の時間、材料の点で不利である。膜厚が少ないと、研磨が困難である。研磨の際に研磨面と偏当たりして割れることもある。
Figure 0003666029
面粗度がこれ以上大きいと、デバイス用ウエハ、耐磨ウエハとして利用できない。なぜなら、面粗度が大きいと微細配線をその表面に形成することができない。また摩擦係数も大きくなり耐磨工具などにも利用できない。
【0021】
[B.基板(基体)]
この硬質物質薄膜を形成する基板としては、Si、GaAs、GaP、AlN、SiC、Si34 、LiTaO3 、LiNbO3 、水晶などを利用できる。この内特にSiウエハ−が望ましい。さらにSiの中でも(100)Siウエハ−が最適である。
材料にもよるが板厚tは、0.1mmt〜1mmtの程度が良い。これより薄いと、反りが大きいし、割れる確率も増える。反対にこれらより厚いと半導体プロセスに乗らない。デバイスをその上に作製できない。たとえできたとしても研磨して薄くしてからでないと実装できない。
【0022】
ウエハの基板は円形のものが良い。しかし矩形状の基板でもよい。半導体プロセスに乗せるためには、Siウエハ−のように円形ウエハ−が取り扱い易い。直径は任意であるが、ウエハ−プロセスでの効率を考えると、1インチ以上は必要である。2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、あるいは8インチの直径でも差し支えない。
【0023】
[C.反り]
ウエハ−の外周から中心にかけて薄膜側が凸になるように単調に反っていることが必要である。さらに反りの絶対値は2μm〜150μmの間とする。ここで反りは、基体の周辺部を含む平面からの中央部の高さによって表現する。薄膜が凸反りであるものは負とし、薄膜が凹反りであるものは正とする。前記の条件は−150μm≦ΔH≦−2μmとして表現することができる。
より好ましくは、−50μm≦ΔH≦−5μmとする。
【0024】
本発明では反りが0のウエハ−を否定している。反りがないのが一番良いように思える。しかし反りが0の場合は、図2に示すようにうねりを持つ場合が多く、反りの構造が複雑になり、うまく研磨できない。ランダムに未研磨部が残ったり、研磨不十分な領域が発生する。ある程度の反りがあっても反りが単純である方が良い。それで反りの最小値を2μmとしている。反対に反りが150μmよりも大きいと、研磨した時に未研磨の領域が必ず残る。全体を均一に研磨する必要性があるが、これができないので反りが150μmよりも大きいものは除かれる。
【0025】
【実施例】
図3に示すような工程により本発明のダイヤモンドウエハ−、c−BN、ダイヤモンド状炭素膜を作り、電極を形成して断線歩留まりを調べた。3つの材料について後に示す表の条件、方法で作った。結果も表に列挙している。ここではダイヤモンド膜を代表にして、ダイヤモンド膜の場合について説明する。
図3の▲1▼のように平坦な円板状基板を用意する。円板状の基板にダイヤモンド膜を、マイクロ波プラズマCVD法、フィラメントCVD法、プラズマジェットCVD法、火炎法によりコ−ティングした。圧力は1〜300Torr、メタン/水素比(CH4 /H2 )は、0.1vol%〜10vol%である。図3▲2▼のように凹凸のあるダイヤモンド膜が形成される。また応力のために基板が反る。凹凸のあるダイヤモンド膜を機械式研磨機により研磨した。図3▲3▼のように表面は凹凸のない平滑な面になる。
【0026】
さらにアルミ膜を蒸着した(図3▲4▼)。フォトリソグラフィ−によりアルミの一部をエッチングし、微細配線を形成した。線幅は、0.6μm〜2μmの間で変化させた。図3▲5▼のような微細平行線パタ−ンを有するダイヤモンドウエハ−になる。これはSAWとする時の櫛形電極と同じような寸法である。そして断線歩留まりを調べた。その結果を表1、表2、表3に示す。またダイヤ膜のヤング率を振動リ−ド法により測定した。その結果を表3に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0003666029
【0028】
ここで試料番号1〜8は実施例であり、9〜12は比較例である。基板の厚みの単位はmm、直径の単位はインチである。基体は試料1がSi(100)、試料2がSi(111)、試料3がSi(poly)、試料4がGaAs、試料5がAlN、試料6がLiNbO3 である。試料7はLiTaO3 、試料8は水晶である。比較例の試料9はpolySi、試料10はSi(100)、試料11はLiNbO3 、試料12はGaAsである。
【0029】
基体の厚みは0.1mm〜1mmである。基体の直径は1インチ〜8インチである。硬質物質膜の膜厚の単位はμmである。
硬質物質の膜は2μm〜1000μmのものを成長させている。試料5はダイヤモンド状炭素膜を成長させている。試料6はc−BN膜を形成している。試料12はc−BN膜を形成する。その他の試料は硬質物質としてダイヤモンド膜を成長させる。
【0030】
図4はフィラメントCVD装置の概略構成図である。真空チャンバ11の内部にサセプタ12が設けられる。この上に基板13が戴置される。チャンバ11にはガス排出口14があり、真空排気装置(図示しない)につながっている。電極15がサセプタ12の周辺部に設けられる。電極15の間にフィラメント17が取り付けられる。チャンバ11のガス導入口18から原料ガスである水素や炭化水素ガスなどが導入される。19は真空計である。電源21によりフィラメントに通電し、これを加熱する。フィラメント17の熱により基板とガスが強く加熱される。冷却媒体20がサセプタの内面を通過し、サセプタ12を冷却し、基板を適当な温度に保持する。フィラメントの熱により原料ガスが励起されて気相反応が起こり反応生成物が基板の上に堆積する。
【0031】
図5はマイクロ波CVD装置の概略構成図である。縦長の真空チャンバ22には原料ガスが上から下へと送られる。支持棒23の上端にサセプタ24があり、ここに基板25が戴置される。原料ガス26は真空チャンバ22の上方から導入される。これは基板25の近傍を通り、下方の出口27から排出される。プラズマの生成される部分は冷却装置28により冷却される。マグネトロン29で発振したマイクロ波33は横長の真空導波管30を伝搬する。原料ガスの流れと直交する方向に進行し、原料ガスを励起してプラズマ31とする。ピストン32により共鳴板34が動き、適当なモ−ドの定在波を立たせることができる。
【0032】
図6はプラズマジェットCVD装置を示す。チャンバ35の内部下方にサセプタ36があり、この上に基体(基板)37を戴置してある。チャンバ35の上方にはプラズマト−チ38が設置される。これは中心の陰極と、外周部をなす陽極の間にガス40を通し、電源39により直流電圧を印加して放電を起こさせて、プラズマとする。ガスはアルゴン、水素などのプラズマ点灯維持のためのガス、キャリヤガスなどと原料となる炭化水素ガスなどである。
【0033】
ダイヤモンド膜、ダイヤモンド状炭素膜、c−BN膜の合成は、このように、真空容器に原料ガスを流しこれを熱、マイクロ波などにより励起し、加熱した基体の上に膜形成させるものである。原料ガスは炭化水素ガスと水素ガスよりなる。硬質物質の被膜形成はこれ以外の方法でも行なうことができるが、ここではマイクロ波プラズマCVD法、フィラメントCVD法、プラズマジェットCVD法のいずれかを使っている。
【0034】
合成した後、表面の面粗度Rmax、Raを測定した。さらに反りが発生するので、周辺部を含む面に対する中心部の高さとしての反りを測定した。負号のついているのが、薄膜側に凸反りを表している。合成後の硬質物質膜の面粗度と反り量ΔHを表2に示す。反りというのは、ウエハ−の縁と、中央部の高さとの差である。同じ曲率でも直径が大きいと反りは大きい。反りの曲率半径をR、ウエハ−の直径をDとすると、もしも反りが球面に沿うものであるとすれば、反りHは、H=D2 /8Rの関係にある。
【0035】
【表2】
Figure 0003666029
【0036】
合成後の硬質物質膜のRmaxは0.15μm〜100μmの間に広く分布している。Raは0.05μm〜40μmの間に分布する。
試料1は2インチSi基板にダイヤモンドを30μm成長させている。合成後の面粗度はRmax2.5μm、Ra0.5μmである。かなり平滑である。反りは−15μmである。膜が凸になるように反っている。
試料2は4インチのSi基板を使っているが、これも膜側凸になるように50μmの反りがある。
【0037】
試料3のSiの8インチ基板を使っている。これは膜側凸に150μm反っている。基板が大きいと反りが大きくなるのは当然である。
試料5は3インチAlN基板の上にダイヤモンド状炭素膜を形成したものである。これもRmax0.4μm、Ra0.18μmであった。きわめて平滑であることがわかる。凸反りであり、反り量は−5μmである。凹凸、反り共に少ない。
【0038】
試料6は2インチのLiNbO3 の基板の上に30μm厚のc−BNを形成したものである。Rmax1.6μm、Ra0.5μmであり−50μmの反り(膜側に凸)である。これも平滑である。試料7は5インチのLiTaO3 の基板の上に100μm厚のダイヤモンドを形成したものである。Rmax7μm、Ra4.2μmであり、−5μmの反り(膜側に凸)である。凹凸はあるが、反りは少ない。
【0039】
試料8は厚み1mm、4インチ径の水晶基体の上にダイヤモンドを成長させたものである。これはRmax0.3μm、Ra0.1μmで極めて面粗度が低い。しかし反面反りが−50μmでかなり大きくなっている。
試料9は50μm厚の薄い2インチSiウエハに、ダイヤモンド膜を厚く(150μm)形成したものである。膜の方が厚いこの試料は基板にクラックが入った。反りは測定していない。これを研磨することができないので以後の工程を実施しない。
【0040】
試料10はRmax0.15μm、Ra0.05μmで平滑である。これは膜厚が薄い(2μm)ことにもよるのであろう。しかし反りが大きい、膜側凹に200μmも反っている。Si基板の直径が8インチと大きいから反りも大きくなるのであろう。
試料11はRmax100μm、Ra40μmで非常に面が粗い。膜厚が厚い(1000μm)ということも影響しているのであろう。しかも基板が割れてしまっている。以後の研磨などを行なうことができない。
【0041】
試料12は反りが0である。この試料はGaAsの上にダイヤモンドを形成したものであるが、熱膨張率が近似しているので反りが小さくなるのであろう。この試料は面粗度もRmax2.1μm、Ra0.9μmと小さいので良好な試料であるように思える。しかしそうでないことが後で判明する。
気相成長した硬質物質膜は、面粗度が大きいので、そのままではフォトリソグラフィ−により硬質物質膜に電子デバイスを作ることができない。どうしても研磨しなければならない。ところがSiやGaAsを研磨するような装置では反りのあるウエハを研磨することはもちろんできない。反りのあるウエハを平坦な研磨ヘッドに付けて、研磨盤に押しつけて研磨しても、周縁部が未研磨になるか、中心部、あるいは中間部が未研磨になる。特別な研磨装置が必要である。
【0042】
特別な研磨装置により、硬質物質膜を基板に付けたままの状態で機械的に研磨した。そして研磨後の面粗度と反り量を測定した。さらに凹凸があるので完全に研磨できない試料もある。そこで研磨できた領域の割合も調べた。研磨するので面粗度は減少する。反り量は研磨により減る場合もあるし増える場合もある。大体減少する傾向にある。
研磨方法も従来のSi、GaAsの場合とは異なるので、先ずこれについて説明する。
【0043】
研磨装置の概略を図7に示す。ホルダ−の部分の拡大断面図を図8に示す。回転定盤41は回転主軸42の上に支持されて回転する。この上にダイヤモンドの砥粒が固着されている。ダイヤモンドを研磨するので、研磨板である定盤にもダイヤモンド粒子が固着され、ダイヤモンド粒子が摩滅しながら、ウエハ−のダイヤモンドを研磨してゆくのである。数百時間の長い時間がかかる。ホルダ−43に緩衝板(ゴムのような板材)44を接着し、この上にウエハ−(基板の上にダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素、c−BNの膜を成長させたもの)を張り付ける。緩衝材を使うのが一つの工夫である。ホルダ−43の中心にはホルダ−軸46が取り付けられる。固着しているのではなくて、回転トルクを伝えるが、軸に対してホルダ−面が自在に傾くことができるようになっている。ホルダ−は自転し、回転定盤41が公転する。
【0044】
ホルダ−43の上面の一点を加圧シャフト47によって押さえるようになっている。加圧シャフト47、ホルダ−軸46の上端はア−ム48により支持されている。ア−ム48にはホルダ−軸46に圧力をかけるための油圧シリンダ49が取り付けられる。ホルダ−軸46に強い力を加えて、ダイヤモンド砥粒とダイヤモンド膜が共に消耗するようにして研磨する。ア−ム48にはモ−タ50があり、これの回転力がホルダ−軸46を回転させる。モ−タの出力軸53に取り付けたプ−リ54から、ベルト55を経て、ホルダ−軸46に固着したプ−リ56に回転トルクが伝達される。これによりホルダ−が軸回りに自転する。ア−ム48の上には加圧シャフト47に圧力を加えるための油圧シリンダ51が設けられる。図8に示すように、ホルダ−43の上面には円形の溝59があり、加圧シャフト47は溝を押さえている。
【0045】
ホルダ−軸46はホルダ−の中心を押さえ回転させるが、ホルダ−の傾きを許す。加圧シャフト47の圧力によりホルダ−43面が、回転定盤面に対して傾斜する。ウエハ−45は凸に反っているが、ホルダ−が傾く。傾き角は加圧シャフトの加圧力による。加圧シャフトの加圧力を変化させて、ウエハ−の回転定盤との接触点を変更することができる。接触点を中心から周辺まで移動させることにより、周辺部まで均一に研磨することができる。あるいは周辺部から中心に向かって研磨することができる。
【0046】
ホルダ−軸とホルダ−を固定した通常の研磨装置により、ウエハ−を研磨するとダイヤモンド膜の全体を研磨することができない。どこかに研磨できない部分が必ず残る。研磨量を増やせば削れるわけであるがそうすると他の部分でダイヤモンドが完全に除去され基板が露呈する部分が生ずる。
通常の軸固定ホルダ−を使った研磨と、図7、図8の軸傾斜ホルダ−を用いた本発明の研磨の結果を図9によって説明する。図9(1)〜(3)は軸固定ホルダ−により研磨したものである。合成直後のウエハ−の反りの状態により,研磨後の状態が異なる。
【0047】
(1)平坦なウエハの場合…合成直後に平坦なウエハ−は平坦に研磨されそうに思えるがそうではない。図9の(1)のように、研磨できない部分がどこかにランダムに発生する。未研磨部はざらざらしており、光の反射が弱いのでくすんで見える。肉眼でよく分かる。むらになって未研磨部が残るから、合成後平坦なウエハ−はかえって良くない。これは以外な結果である。
(2)凹反りの場合…凹反り(ΔH>0)の場合は図9の(2)に示すように中間部にリング状の未研磨部が残存する。
【0048】
(3)凸反りの場合…凸反りの場合(ΔH<0)は、図9の(3)に示すように外周部に未研磨部が残る。
ところが本発明のように、軸とホルダ−面が固定されず、ホルダ−面が軸に対して傾斜するようなホルダ−を使い凸反りのウエハ−(ΔH<0)を研磨すると、全体を研磨することができる。一様に研磨されているので、本発明による研磨結果は図示しない。全体が鏡面になる。そこで図7、図8の装置によって試料ウエハ−を研磨し、研磨後の面粗度、研磨面積、反り量を測定した。これの結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
Figure 0003666029
【0050】
研磨後の面粗度はRmax10Å〜1000Å、Ra3Å〜400Åである。面粗度の単位が違うことに注意するべきである。研磨前の表2ではμm、研磨後の表3ではÅを単位にしている。
試料1は合成直後の面粗度が中程度であるが、研磨後はRmax80Å、Ra10Åに減っている。反りは−14μmで研磨の前後で殆ど変わらない。
試料2は合成後の面粗度は中程度である。これは研磨後に、Rmax100Å、Ra20Åとなり、やはり中程度の面粗度になる。この程度の面粗度なら十分にフォトリソグラフィ−によりパタ−ンを描くことができる。反りは−48μmで研磨の前のものと同じ程度である。
【0051】
合成直後に面粗度の大きい試料3は研磨後Rmax400Å、Ra80Åになっている。研磨の前に面粗度の大きいものは研磨後も面粗度が大きい。反りも研磨前に−150μmであって、研磨後は−139μmになる。反りは殆ど変わらない。
試料4はGaAs基板の上のダイヤモンドで、始めから面粗度が少ないが、研磨後はRmax50Å、Ra4Åになっている。反りは合成直後は−30μmであったが、研磨後も−30μmで変わらない。
【0052】
試料5はダイヤモンド状炭素膜で、もともと面粗度の小さい試料であるが、研磨後Rmax10Å、Ra3Åに減っている。極めて平滑である。反りは研磨の前に−5μmで、研磨後も−5μmで変わらない。
試料6はc−BNを成長させている例である。これも面粗度の小さい試料であって研磨後は、Rmax30Å、Ra6Åになっている。反りも−50μmで変わらない。
【0053】
試料7はLiTaO3 基板の上に100μmのダイヤモンドを形成したものである。研磨前の面粗度が悪かったが、研磨の後も面粗度が劣る。Rmax500Å、Ra200Åである。
試料8は4インチ水晶基板の上にダイヤモンドを形成したものである。面粗度が極めて小さかったが、研磨後も面粗度が小さく平滑である。Rmax10Å、Ra3Åである。
【0054】
試料10は合成後(研磨前)の面粗度が小さい。Rmax0.15μm、Ra0.05μmである。そのときの反りが+200μmである。もともと面粗度が低いので研磨すると面粗度は一層小さくなるように思われよう。そころがそうでない。研磨後の面粗度がRmax700Å、Ra250Åである。研磨が効果を挙げていないのである。さらに未研磨部が50%も残っている。もともと面粗度が低いものがどうして研磨により平滑にならないのか?これは膜が凹になるようにひずんでいるので、強い圧力をかけても膜面が研磨盤と十分に接触せず、研磨が殆どできないのである。反りの正負が、研磨に影響することが試料10によって誠に顕著に分かるであろう。
【0055】
試料12は、GaAs基板に、c−BNを成長させたものである。研磨前の面粗度が低い。Rmax2.1μm、Ra0.9μmであった。しかも反りが0である。理想的に見える。これを研磨すると極めて平滑なウエハができそうである。ところがそうでない。研磨により、面粗度がRmax1000Å、Ra400Åになる。しかも10%の未研磨部が残る。反りがない場合は、未研磨部がランダムに残るのである。全体的な反りがない場合はうねりがあり、基板が不規則な歪みを持つのである。研磨盤との接触がむらになり研磨できない部分が残る。
【0056】
研磨により面粗度が1/30〜1/100程度に減少する。しかしこれも反り量が小さい場合のことであって、反りが大きいと十分に研磨できない。
研磨により反り量が多少減少する傾向にある。凹反りのものは凹反りのまま、凸反りのものは凸反りのままであるが、反り量は約0〜20%程度減少する。試料1〜試料8は凸反りである(硬質物質膜の側が突出している)。比較例試料10は凹反り(ダイヤモンド膜が凹んでいる)。
【0057】
次に、硬質物質被膜面の上にアルミニウムを蒸着し、フォトリソグラフィ−により櫛形電極を形成した。電極の線幅は0.6μm〜2μmにしてある。厚さは1500Å(150nm=0.15μm)である。凹凸があるので電極が断線することがある。そこで断線しなかったサンプルの割合(断線歩留まり)も調べた。結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
Figure 0003666029
【0059】
実施例(試料1〜試料8)である膜に形成したAl電極パタ−ンは線幅が0.6μm〜2μmである。
試料1は2インチ(100)Si基板の上にダイヤモンド30μmを被覆したものである。これに1μm線幅のアルミ電極パタ−ンを形成すると歩留まりは98%である。
試料2は4インチ(111)Siウエハに50μm厚のダイヤモンド被膜を成長させている。線幅が0.8μmのアルミ櫛形電極を形成すると断線歩留まりは96%であった。サブミクロンの電極が高い歩留まりで形成できるということである。
【0060】
試料3は8インチポリSiウエハの上に、100μmものダイヤモンド膜を積み重ねたものである。これは反りが大きいのであるが1.2μm幅の電極の歩留まりが97%である。満足できる結果である。
試料4は1インチGaAsウエハに、15μm厚のダイヤモンド膜を被覆したものである。これに1.5μm線幅の電極を形成すると、95%の歩留まりになる。これも良い結果である。
試料5は3インチのAlNウエハの上に5μm厚のダイヤモンド状炭素膜を被覆したものである。平坦度(反り−5μm)も平滑度(Rmax10Å、Ra3Å)も良い。0.6μm幅の櫛形電極を作ると歩留まりは94%であった。これは最も幅の狭い電極であるが、このような狭さでこの歩留まりは驚異的である。
【0061】
試料6は2インチΦLiNbO3 基板の上にc−BNを30μm形成したものであろう。反りはかなり大きい(−50μm)。1μm幅の電極を形成した時の歩留まりは99%である。反りが大きくても細い電極を作ることができるということである。またc−BNでも優れたウエハを作ることができるということを意味している。
試料7は5インチLiTaO3 基板の上に100μmもの厚みのダイヤモンド膜を作った例である。これは面粗度が悪い(Rmax50nm、Ra20nm)0.8μm幅の電極の歩留まりが94%である。満足できるデ−タである。
【0062】
試料8は4インチΦ水晶の上に5μmのダイヤモンド膜を形成したものである。面粗度は良いのであるが、反りがかなりある(−50μm)。この上に、2μm線幅の櫛形電極を形成すると、断線歩留まりが97%になった。
これらの実施例に係る硬質物質ウエハ−は櫛形電極形成に関して、何れも90%を上回る断線歩留まりを示す。つまり殆ど断線しないということである。これは膜面が平滑で凹凸が少ないからである。表面弾性波素子に使うと極めて特性の優れたものが高歩留まりで得られるということである。半導体素子に用いる場合でも細い電極パタ−ンができるということはリソグラフィ−技術を用いて様々な構造が作製できるということである。
【0063】
比較例のうち、試料9は合成時に基板にクラックが入ったので研磨できず、電極形成できない。試料11はダイヤモンド合成時に基板が割れているので、研磨、電極形成ができない。
試料10は8インチSi基板の上に、2μm厚のダイヤモンドを形成したものであるが、これは研磨後の面粗度が悪い(研磨部で:Rmax70nm、Ra25nm)。また反りも+200μmであって凹反りである。しかも未研磨部が50%もある。これの研磨した領域に1μm幅の櫛形電極を形成すると、なんと歩留まりは3%に過ぎない。殆ど電極ができないということである。これは反りが凹反りであり、研磨が不十分であることに起因するのであろう。
【0064】
試料12は3インチGaAsウエハに30μmのc−BNを被覆したものである。かなり厚い被覆である。反りは0であるが、これは先にも繰り返し述べているように、実はうねりが存在しねじれがあって、平滑に研磨することができない。面粗度が悪い(Rmax100nm、Ra40nm)。研磨の残りが10%ある。これに0.6μmの幅の電極を付けようとすると、歩留まりが15%であった。これは実用的な成績ではない。これも研磨ができず、研磨後の面粗度が劣ることによると思われる。
【0065】
【発明の効果】
ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素、c−BNなど硬質材料のバルクの基板はさまざまな方法で作られたことがある。しかしいずれも面積が小さくて、実験用には意味があろうが実用的意義には乏しいものであった。本発明は、ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素、c−BNなどの最高の硬度を持つ材料の大面積ウエハを初めて与えるものである。これは、入手しやすい結晶基板の上にこれらの硬質物質の膜を形成した複合構造である。この点、従来のSi半導体、GaAs半導体などにおけるウエハとは意味が違う。全体を硬質物質で作っていない。しかし硬質物質を電子材料として利用しようとする場合、ウエハの上層だけが必要であるということが多い。このような用途に対しては、本発明の硬質物質ウエハは十分に有効である。
【0066】
硬質物質は気相成長により作るので、面積の制限がなく広いものができる。基板材料に大きいものを使えば、幾らでも大きいウエハを製作することができる。しかし複合材料にすると、熱膨張率などが著しく違うので、合成後に反りが発生する。従来の技術思想では、反りのあるものは研磨できない。平坦なもののみが研磨できる、ということであった。しかし、本発明者はそうでないと考える。膜の方に凸であるような反りであって、−150μm≦ΔH≦−2μmであれば揺動、歳差運動をするホルダ−により、均一に研磨することができる。反りのある板の研磨の可能性に気付いたのが本発明の重要な点である。凸反りの場合、図7、図8の装置により全面を均一に研磨できる。
【0067】
研磨することができるので初めて硬質物質のミラ−ウエハを作ることができるようになる。硬質物質の研磨であるから、ダイヤモンド砥粒を消費しながら時間をかけて削ってゆくのであるが、中央部から周辺部にかけて少しずつ、ホルダ−の面を傾けながら削る。あるいは周辺部から中央部にかけて少しずつホルダ−の面を斜めから水平に近付けながら削ってゆく。
反りのあるウエハ−の全体を、Rmax500Å(50nm)、Ra200Å(20nm)以下の面粗度まで平滑にすることができる。これぐらいの面粗度まで下げることができると、様々のデバイスをフォトリソグラフィ−により製作することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板の上に硬質物質膜を形成した反りのある硬質物質ウエハ−の構造を示す断面図。
【図2】全体としての反りが0であるが、凹凸の反りが混在しうねりを持つ硬質物質ウエハ−の一例を示す断面図。
【図3】基体の上に硬質物質膜を被覆し研磨しさらに電極形成する工程を示す概略断面図。
【図4】本発明において、硬質物質膜合成に用いるフィラメントCVD装置の概略構成図。
【図5】本発明において、硬質物質膜合成に用いるマイクロ波プラズマCVD装置の概略構成図。
【図6】本発明において、硬質物質膜合成に用いるプラズマジェットCVD装置の概略構成図。
【図7】本発明において、硬質物質膜を研磨するために用いる研磨装置の概略正面図。
【図8】図7の研磨装置のホルダ−の部分のみの拡大断面図。
【図9】平坦なホルダ−に硬質物質被覆ウエハを張りつけて研磨した時に、未研磨部が残ることを説明するための研磨後のウエハの面を示す底面図。(1)は合成後平坦なウエハを研磨したもの、(2)は凹反りのウエハを研磨したもの、(3)は凸反りのウエハを研磨したものである。
【符号の説明】
11 真空チャンバ
12 サセプタ
13 基板
14 ガス排出口
15 電極
16 電流導入端子
17 フィラメント
18 ガス導入口
19 真空計
20 冷却媒体
21 電源
22 真空チャンバ
23 支持棒
24 サセプタ
25 基板
26 原料ガス
27 出口
28 冷却装置
29 マグネトロン
30 真空導波管
31 プラズマ
32 ピストン
33 マイクロ波
34 共鳴板
35 真空チャンバ
36 サセプタ
37 基板(基体)
38 プラズマト−チ
39 直流電源
40 原料ガス
41 回転定盤
42 回転主軸
43 ホルダ−
44 緩衝板
45 ウエハ
46 ホルダ−軸
47 加圧シャフト
48 ア−ム
49 油圧シリンダ
50 モ−タ
51 油圧シリンダ
53 出力軸
54 プ−リ
55 ベルト
56 プ−リ
59 溝

Claims (8)

  1. わずかな反りのある基板と、気相合成法により基板の少なくとも1面に被覆されたビッカ−ス硬度Hvが3000以上の硬質物質よりなる被膜とよりなり、板厚が0.1mm〜2.1mmであり、外径が1インチΦ以上であって、硬質物質被膜の面粗度が、Rmax500Å(50nm)以下であり、Raが200Å(20nm)以下である部分が50%以上存在し、かつ、基板が硬質物質被膜の側に凸に反っており、周辺部の中央部に対する高さΔHが、−150μm≦ΔH≦−2μmであるようにしたことを特徴とする硬質物質被覆ウエハ−。
  2. ウエハ−が円形であり、外周から中心に向かって単調に被膜側に凸に反っていることを特徴とする請求項1に記載の硬質物質被覆ウエハ−。
  3. 基板の厚みをT2 、硬質物質被膜の厚みをT1 とし、硬質物質被覆の厚みT1 と基板の厚みT2 の比(T1 /T2 )が、0.05〜1であり、基板厚みT2 が、0.1mm〜2mmであって、被膜厚みT1 が0.002mm〜0.2mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬質物質被覆ウエハ−。
  4. 硬質物質が、ダイヤモンド、c−BN、ダイヤモンド状炭素膜のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬質物質被覆ウエハ−。
  5. 基板が、単結晶または多結晶であるSi、GaAs、GaP、AlN、SiC、Si34 、LiTaO3 、LiNbO3 、水晶の何れかであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の硬質物質被覆ウエハ−。
  6. 基板が(100)Si単結晶であることを特徴とする請求項5に記載の硬質物質被覆ウエハ−。
  7. 平坦な基板の上に、気相合成法により、硬質物質の被膜を、被膜側が凸になり基板の周辺部を含む面に対する中央部の高さΔHが2μm〜150μmであるように形成し、基板側を研磨ホルダ−に取付け、回転定盤に当て、研磨ホルダの面を傾斜させて、硬質物質の凸面を、中央から外に向かって、或は周辺部から中央部に向かって徐々に研磨してゆき全面を研磨することを特徴とする硬質物質被覆ウエハ−の製造方法。
  8. 研磨後の面粗度が、Rmax500Å(50nm)以下でかつRa200Å(20nm)以下であるようにすることを特徴とする請求項7に記載の硬質物質被覆ウエハ−の製造方法。
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