JP3296134B2 - ダイヤモンドウエハ−とその製造方法 - Google Patents

ダイヤモンドウエハ−とその製造方法

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JP3296134B2 JP09981295A JP9981295A JP3296134B2 JP 3296134 B2 JP3296134 B2 JP 3296134B2 JP 09981295 A JP09981295 A JP 09981295A JP 9981295 A JP9981295 A JP 9981295A JP 3296134 B2 JP3296134 B2 JP 3296134B2
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明彦 池ケ谷
直治 藤森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、SAW(弾性表面波素
子)、サ−ミスタ、半導体デバイス用ダイヤモンド基板
或いは、耐圧デイスク、デイスク保護膜、X線窓などに
利用できるダイヤモンドウエハ−とその製造方法に関す
る。ダイヤモンドはヤング率と密度の比で決まる音速が
極めて大きい。このため、表面弾性波の速度も抜群に速
い。SAWの基板素子として期待されている。SAWは
フィルタ、位相シフタ、コンボルバなどの用途がある。
ダイヤモンドは不純物をド−プすることにより半導体と
することができる。
【0002】ダイヤモンドは半導体としても優れた性質
を持つ。ダイヤモンドの将来的な用はさまざまである
が、未だ面積の広いダイヤモンドウエハ−が存在しな
い。このため、ダイヤモンドを利用したデバイスは殆ど
未だに実用化されていない。単結晶で広い面積のウエハ
−が切実に希求される。
【0003】
【従来の技術】天然ダイヤモンドは産出量が少ないし、
大きいものは得られない。研磨しても大面積のウエハ−
にはならない。ダイヤモンドを超高圧高温で合成するこ
とはできる。しかしこれも小粒のダイヤモンドに過ぎ
ず、大径のダイヤモンドは生成できない。超高圧ダイヤ
モンドは塊状であるから、薄片にするには研磨しなくて
はならない。ダイヤモンドの研磨は極めて困難である。
できないことはないが、塊状のものを薄板になるまで研
磨しようとすれば、時間や研磨剤の消費は著しくコスト
的に不可能である。
【0004】ダイヤモンドは気相合成法により薄膜がで
きるようになっている。これは適当な基板の上にダイヤ
モンドの薄膜を気相成長させる方法である。水素ガスと
炭化水素ガスを加熱された基板に与えて、化学反応によ
りダイヤモンドを合成し、これを基板の上に積んでゆく
ものである。ガスを励起する方法により幾つかの方法が
知られている。熱フィラメント法、マイクロ波プラズマ
CVD法、高周波プラズマCVD法、DCプラズマジェ
ット法などがある。方法によっては面積の広いダイヤモ
ンド膜を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】エレクトロニクスの分
野にダイヤモンドを応用しようとすると、大面積のダイ
ヤモンドウエハ−が必要である。Si半導体の成功は、
大面積ウエハ−に同一の処理を一括して行い、多数の等
価な素子を同時に大量に製作できるところにある。ダイ
ヤモンドもデバイスとして応用するには1インチ径より
も2インチ径、これよりも3インチ径もしくはそれ以上
の大きいウエハ−の方が良い。気相合成法の進歩により
大面積ダイヤモンド膜を形成できるようになってきてい
る。
【0006】しかし大面積ダイヤモンド膜ができたとし
ても、その表面が凹凸の激しいものであると役に立たな
い。またウエハ−の上にフォトリソグラフィ−によって
デバイスを作ろうとすると、ウエハ−は平坦で鏡面であ
ることが要求される。平坦でないと光学的手段によって
正確にパタ−ンを描くことができないからである。この
ために成長させたダイヤモンド膜を研磨する必要があ
る。
【0007】適当な基体(基板)の上に気相合成法によ
り広い膜を作製することができる。従来は薄い膜を基板
の上に作っていた。薄い場合は力学的にあまり問題がな
い。しかし厚い膜を成長させると、ダイヤモンド膜のた
めに基板が反るという問題がある。基板が反ると、研磨
できない。このため、エレクトロニクスの分野で要求さ
れる平坦度、面粗度に仕上げることができない。反りの
あるウエハ−を無理に研磨すると、ウエハ−が割れた
り、片当たりするため、一様に研磨できない。気相合成
法によりダイヤモンドを薄く形成した場合、従来は研磨
しないので、反りや配向が問題にならなかった。しか
し、デバイスにするには研磨が不可欠である。反りがあ
っても研磨するようにしなければならないし、配向も問
題である。
【0008】従来の気相合成によるダイヤモンド成長は
多結晶ダイヤモンドを基板の上に作っている。多結晶で
あるからさまざまの方向に結晶粒が基体の上に形成され
る。基体の面に平行な面の結晶面をもってダイヤモンド
粒子の配向を表現することにする。単結晶の膜ができれ
ば、これを適当な面指数(klm)により一義的に表す
ことができる。これは基体面に平行な面が(klm)面
であるということである。多結晶であるが、大部分の結
晶粒の基板に直角な方向の方位だけ決まっている場合、
基板に直角な方位を取って多結晶の異方性を表現でき
る。
【0009】このために配向という言葉を使う。(kl
m)配向というのは、基板面に直角な方向の方位が多く
の粒子で(klm)であるということである。基板に平
行な方位は揃っていない。粒界があって小さい単結晶の
集まりではあるが、1方向だけは結晶方位が決まってい
るのである。これを(100)配向とか、(110)配
向とか、(111)配向という。(100)、(01
0)、(001)、(−100)、(0−10)、(0
0−1)は等価な面である。
【0010】ダイヤモンドの(110)配向面は結晶性
が悪く、反りも大きくなりすぎる。ダイヤモンドの(1
11)配向面はダイヤモンドの真性応力が大きく反りが
さらに大きい。また研磨が極めて困難である。研磨でき
なければ凹凸が大きいままになり、デバイスを作ること
ができない。また、双晶が発生しやすく、デバイスに不
適である。ダイヤモンドの(100)配向面は結晶性が
良い。デバイスを作るならこれが最適の面であろう。し
かし(100)配向面を持った多結晶ダイヤモンドによ
る基板コ−テイングは安定性が悪く、配向しにくい。ま
たたとえできても研磨ができないという難点がある。研
磨ができないので、面粗度の要求を満たすウエハ−を作
製することはできなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のダイヤモンドウ
エハ−は、基板の上に気相合成法により、(100)配
向のダイヤモンド膜を形成し、反りが2μm〜150μ
mであるようにし、このダイヤモンド膜を研磨して、R
max500Å以下、Ra200Å以下にしたものであ
る。
【0012】気相合成法は、フィラメントCVD法、プ
ラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、火炎法
などである。圧力は1Torr(130Pa)〜300
Torr(4×104 Pa)である。炭化水素/水素の
比率は0.1〜10体積%である。炭化水素/水素の比
率は初め高くし、後に低くするのが望ましい。(原料ガ
ス)原料ガスは、主に水素と炭化水素を用いるが、水素
の全て、もしくは一部を不活性ガスに置換してもかまわ
ない。又、炭素を含む、有機・無機ガス、液体を炭化水
素のかわりに用いても良い。又、酸素を含む有機・無機
ガスを添加することも可能である。Rmax500Å、
Ra200Å以下の面粗度であればこの上にフォトリソ
グラフィ−により微細電極形成、不純物打ち込み、拡
散、選択エッチングなどのウエハ−プロセスを行なうこ
とができる。
【0013】
【作用】図1に本発明のダイヤモンドウエハ−の断面図
を示す。基板とダイヤモンド膜との熱膨張率が違うの
で、常温に冷却したとき応力が発生する。ためにウエハ
−は膜側に凹反りになるか、または膜側が凸になる。前
者を凹反り、後者を凸反りと呼ぶことにする。凹反りの
場合の反り量を正とし、凸反りの場合の反り量を負とす
る。反りが2μm〜150μmというのは正負両方を含
む。図1は凸反りを示し、反りΔHは負である。ダイヤ
モンド、基板、反りについて次に説明する。
【0014】[A.ダイヤモンド被膜]ダイヤモンド被
膜は(100)配向していることが必要である。結晶の
状態はX線回折によって調べられる。Cu管球、Niフ
ィルタ−のX線回折装置で2θ−θスキャンをする。こ
れは基体面に対してθの角度をなす方向からX線を当
て、反対側のθの角度をなす方向への回折線の強度を測
定するものである。入射X線と回折X線が面法線に関し
て対称になる。ために基体面に平行な面の面間隔が分か
る。これはブラッグの条件2dsinθ=λによって決
まる。dが面間隔で、λがX線の波長(既知)である。
基板面と垂直な方向の結晶方位を求めるので、入射X線
と回折X線の傾斜角θを等しくし、基体と平行な面の集
合の面間隔を求めるのである。
【0015】面方位を(klm)とすると、d=a(k
2 +l2 +m2-1/2となる。aは格子定数である。格
子定数は既知であるし、X線の回折角θから格子間隔d
が分かるので、整数である面指数k、l、mが決まる。
つまり回折角θ(入射角でもある)と面指数が一対一で
対応する。横軸に回折角θを取り、縦軸にその回折角で
のX線回折線強度を表すと、そのグラフは、その面指数
の面が、基体表面に平行に存在する確率を表現する。
【0016】この装置で、2θ=20°〜149°ま
で、2θスキャンすると、ダイヤモンドの(111)、
(220)、(311)、(400)、(331)面の
回折が現われる。(100)配向膜というのは、これら
の面からの回折線の強度が(400)面において最も大
きいものをいう。(400)面回折というのは(10
0)面からの回折に等価である。角度範囲が20°以上
と大きいので、面間隔の小さいもの(面指数の大きいも
の)しか検出できない。もちろん回折角をもっと小さい
範囲まで検出するようにすれば(100)回折線を検知
できる。(400)回折を対象にするのは検出器による
制限で一般的なものではない。
【0017】(400)面からの回折は(100)面の
回折に比例する。ダイヤモンド構造において、(10
0)面に平行な面が単位胞に4つあるので(400)回
折が出現するのである。(400)回折が最も優勢であ
る時これを(100)配向膜とする。それ故(100)
面からの回折の代わりに(400)面からの回折により
(100)配向かどうかを判定する。であるからここで
は(400)配向というのは(100)配向と同義に使
っている。
【0018】そして2θを(400)の角度に合わせた
時、θをスキャンさせたロッキングカ−ブのFWHM
(半価幅、半値幅)が20°以下であることを条件とす
る。あるピ−クの半値幅が狭いということは、その結晶
面がきれいに形成されているということである。半値幅
が広いとその面間隔が揺らいでいるということである。
ピ−クの高さ自体が高いということと、半値幅が狭いと
いうことでその面の形成確率が分かるのである。(40
0)ロッキングカ−ブの半価幅が20°以上であると、
ダイヤモンドの結晶性が悪く、エレクトロニクスデバイ
ス用のウエハ−としては不適である。具体的には、SA
W(表面弾性波素子)フィルタ−などのデバイスを作製
した場合の伝搬ロスが大きくなる。それ故(400)ピ
−クの半値幅を20°以下とする。このように本発明で
は、X線回折により、(400)のピ−クの高さとFW
HMの狭さという二つの条件により(100)配向かそ
うでないかを判断する。
【0019】(400)配向していないということは、
(110)面、(111)面などが表面に平行に存在す
るということである。(110)面は研磨しにくく、ま
た構造が無秩序であるという欠点がある。(111)面
は硬度が極めて高く、ヤング率も高いので研磨が極めて
困難という難点がある。その他に、(400)配向して
いないと、ダイヤモンドを基体に被覆した時の反りΔH
が200μm以上になりやすい。また反り方が不均一で
ある。単純な凸反り、凹反りではなく、図2に示すよう
に、断面において中間にいくつかの変曲点ができてしま
う。断面でみるとS字型、W字型になるのである。この
ように複雑な断面形状であると研磨が十分に行なえな
い。
【0020】[B.基板(基体)]基板としては、S
i、GaAs、GaP、AlN、SiC、Si34
LiTaO3 、LiNbO3 、水晶などが利用できる。
この内特にSiウエハ−が望ましい。さらにSiの中で
も(100)ウエハ−が、ダイヤが(100)配向しや
すく最適である。材料にもよるが板厚tは、0.1mm
t〜1mmtの程度が良い。これより薄いと、反りが大
きいし、割れる確率も増える。反対にこれらより厚いと
半導体プロセスに乗らない。デバイスをその上に作製で
きない。たとえできたとしても研磨して薄くしてからで
ないと実装できない。
【0021】矩形状の基体でもよい。望ましくは円形の
基板が良い。半導体プロセスに乗せるためには、Siウ
エハ−のように円形ウエハ−が取り扱い易い。直径は任
意であるが、ウエハ−プロセスでの効率を考えると、1
インチ以上は必要である。2インチ、3インチ、4イン
チ、5インチ、あるいは8インチの直径でも差し支えな
い。
【0022】[C.反り]ウエハ−の外周から中心にか
けて単調に反っていることが必要である。被膜の側に凹
(ΔH正)であっても、被膜の側が凸(ΔH負)であっ
ても良い。凹凸が混在してはならない。任意の断面にお
いて変曲点(2階微分が0)が存在するようではいけな
い。任意の断面における任意の点での2階微分が正なら
正、負なら負であって符号が変わってはならない。
【0023】さらに反りの絶対値は2μm〜150μm
の間とする。ここで反りは、基体の周辺部を含む平面か
らの中央部の高さによって表現する。ウエハ−の直径に
より曲率と反りの関係が代わり、反りが同一でも変形の
曲率は違う。しかし反り量として中央部の高さが最も測
定し易いのでこれを測定し、反りを表現するパラメ−タ
と採用する。反りをΔHで表現するが、前記の関係は2
μm<|ΔH|<150μmによって表すことができ
る。より好ましくは反りの絶対値は3μm〜50μmの
間がよい。3μm<|ΔH|<50μmによって表現で
きる。
【0024】本発明では反りが0のウエハ−を否定して
いる。反りがないのがいちばん良いように思える。しか
し反りが0の場合は先述のようにうねりを持つ場合が多
く、反りの構造が複雑になり、うまく研磨できない。未
研磨部が残ったり、研磨不十分な領域が発生する。ある
程度の反りがあっても反りが単純である方が良い。それ
で反りの最小値を2μmとしている。反対に反りが15
0μmよりも大きいと、研磨した時に未研磨の領域が必
ず残る。全体を均一に研磨する必要性があるが、これが
できないので反りが150μm以上のものは除かれる。
さらに被覆の方に凸型に反っている方がよい(ΔH<
0)。この場合の範囲は、−150μm<ΔH<−2μ
mというふうに表現できる。さらに−50μm<ΔH<
−3μmがより好ましい範囲である。
【0025】
【実施例】図3に示すような工程により本発明のダイヤ
モンドウエハ−を作り、電極を形成して断線歩留まりを
調べた。図3ののように平坦な円板状基板を用意す
る。電解研磨や傷つけ処理により基板の表面粗度をRa
50Å〜Ra1000Åにすることが望ましい。これは
ダイヤモンド結晶の核発生密度を高めるためである。具
体的には核発生密度は、1010個/cm2 以上あること
が望まれる。円板状の基板にダイヤモンド膜を、マイク
ロ波プラズマCVD法、フィラメントCVD法、プラズ
マジェットCVD法、火炎法によりコ−テイングした。
圧力は1〜300Torr、メタン/水素比(CH4
2 )は、0.1〜10vol%である。図3のよう
に凹凸のあるダイヤモンド膜が形成される。また応力の
ために基板が反る。凹凸のあるダイヤモンド膜を機械式
研磨機により研磨した。図3のように表面は凹凸のな
い平滑な面になる。
【0026】ダイヤモンド膜の配向性はX線回折法によ
り調べた。2θ−θスキャンにより各面の回折強度比を
測定した。θスキャンにより(400)面のロッキング
カ−ブを求めFWHM(半価幅)を測定した。さらにア
ルミ膜を蒸着した(図3)。フォトリソグラフィ−に
よりアルミの一部をエッチングし、微細配線を形成し
た。線幅は、0.6μm〜2μmの間で変化させた。図
3のような微細平行線パタ−ンを有するダイヤモンド
ウエハ−になる。これはSAWとするときの櫛形電極と
同じような寸法である。そして断線歩留まりを調べた。
その結果を表1、表2、表3に示す。
【0027】(100)配向させるためには次のような
手段が有効であることが分かった。 ダイヤモンドコ−テイングの最初にメタン濃度を2%
(vol%)以上に高くしておく。これはダイヤモンド
の核発生を促進させるためである。 30分程度ダイヤモンド膜の形成を行なった後メタン
濃度を下げる。以後低いメタン濃度で合成を続ける。
【0028】高いメタン濃度のまま合成を続けると、
(110)配向したダイヤモンド膜や炭素成分の多い膜
質の悪いダイヤモンド膜が成長する。反対にメタン濃度
が低いままで合成すると(111)配向する。(11
1)面は硬度が高くヤング率も大きいために反りも大き
くなる。反りが大きく高硬度であるので、研磨が難しく
未研磨部分が残ってしまう。(100)配向のダイヤモ
ンドは、硬度が(111)に比べやや低く、反りもやや
小さい。ために研磨がより容易で一様に研磨することが
できる。
【0029】
【表1】
【0030】ここで試料番号1〜8は実施例であり、9
〜12は比較例である。合成法の欄でマイクロ波という
のはマイクロ波プラズマCVD法、フィラメントという
のはフィラメントCVD法である。基板の厚みの単位は
mm、直径の単位はインチである。基体はSi(10
0)、Si(111)、GaAs、AlN、LiNbO
3、LiTaO3、水晶などを使っている。基体の厚みは
0.1mm〜1mmである。基体の直径は1インチ〜8
インチである。ダイヤモンド膜の膜厚の単位はμmであ
る。ダイヤモンド膜は5μm〜1000μmのものを成
長させている。
【0031】ダイヤモンド膜の合成は、真空容器に原料
ガスを流しこれを熱、マイクロ波などにより励起し、加
熱した基体の上に膜形成させるものである。原料ガスは
炭化水素と水素ガスよりなる。原料ガスの炭化水素の割
合を初めから終わりまで一様にせず、途中で変更する方
が望ましい配向膜が得られるということが分かった。そ
こで実施例においては、原料ガス中の炭化水素(ここで
はメタン)の水素に対する割合を途中で変更している。
比較例では終始同一の炭化水素濃度である。初めに炭化
水素濃度を高くするとダイヤモンド核発生が盛んにな
る。途中で炭化水素濃度を下げて(100)配向で膜質
の良いものを作る。試料1の基板の表面粗度はRa10
0Åであった。核発生密度は試料に近接して置いた同材
料のモニタ基板によって調べた。試料1の核発生密度
は、5×1011個/cm2 であった。試料10の基板の
表面粗度はRa2500Åであった。核発生密度は、6
×103 個/cm2 であった。試料11の基板の表面粗
度はRa10Åであった。核発生密度は8×106 個/
cm2 であった。
【0032】
【表2】
【0033】原料ガスというのは水素ガスとメタンガス
である。総流量は両者の和の流量で単位は毎分の供給量
をccで表している。総ガス供給量は50cc/m〜1
500cc/mである。メタン比率は体積%(vol
%)で表現する。メタン比率はこれらの試料において、
0.5vol%〜10vol%である。
【0034】実施例である試料1〜8については最初の
30分の間メタン比率を大きくして以後は小さくしてい
る。最初は核形成を促進するためにメタン比率を増や
す。以後は(100)配向させるためにメタン濃度を減
らしている。実施例において、最初のメタン濃度は2%
〜10%である。以後のメタン濃度は0.5%〜3%で
ある。減少比は1/2のものが多いが(試料1、2、
4)、もっと大きい比率で減少させているものもある。
試料3は10%→0.5%としているので、減少比は1
/20である。試料5は約1/4に減らしている。試料
6は約1/6にしている。試料8は1/12に減らして
いる。比較例である試料9〜12は初めから終わりまで
同じメタン比率としている。これは0.5%〜10%で
ある。合成時の圧力は20Torr〜300Torrで
ある。こうして合成されたダイヤモンドをX線回折法に
よって分析した。
【0035】
【表3】
【0036】回折角2θと、面間隔dはブラッグの条件
2dsinθ=λを満足する。面に対してθの角度をな
す方向からX線を当て、反対側にθの角度をなす位置で
の回折強度を測定する。回折角が2θで面に対してなす
角がθである。いずれも最大の回折強度を示す方向の比
率を100として、その比の値で示す。実施例ではいず
れも(400)面からの回折強度が最大である。(40
0)面というのは(100)面を4等分した面である
が、ダイヤモンドの場合は、1格子定数の中に4層の炭
素原子があるので、(400)回折がある。これが強い
ということは、表面に平行に(100)面が形成されて
いるということである。
【0037】試料3は(111)面も存在しているとい
うことである。試料7、8では(111)面が基体表面
平行になっている粒子が多くなっていることがわかる。
試料7、8は(110)面が表面に平行なものも多くな
っている。試料7は(111)と(220)とからの回
折の和が90になり、(400)からの回折と拮抗す
る。2θを(400)面に固定して、θをスキャンさせ
(400)面からの回折についてピ−クの半値幅FWH
Mを測定している。これが狭いほうが(100)面の比
率が高いということである。試料3、7、8はこれが広
くなっている。基体表面に平行な(100)以外の面も
存在するということである。
【0038】比較例は、(400)からの回折が弱い。
つまり多結晶粒子の基体面と平行な面が(100)面で
はないということである。試料9、10では(111)
面からの回折が最大で、これを100として他の面から
の回折を計っている。試料9は原料ガス中のメタン濃度
が1.5vol%である。試料10はメタン濃度が0.
5vol%。いずれもメタン濃度が低いので(111)
配向するのであろう。試料11、12は(220)面の
回折が強い。これらは原料ガスの供給量が多く圧力も高
いという製造条件で作られている。また試料11は膜厚
も大きくて1000μmである。原料ガス中のメタンは
終始10vol%である。これは他の面からの回折が殆
どなく、ほば完全に(110)配向している。
【0039】
【表4】
【0040】ダイヤモンド膜のRmaxは0.5μm〜
230μmの間に広く分布している。Raは0.15μ
m〜18μmの間に分布する。試料8は水晶基体の上に
ダイヤモンドを成長させたものである。これはRmax
0.8μm、Ra0.34μmで極めて面粗度が低い。
試料5はAlN基板の上にダイヤモンド膜を形成したも
のである。これもRmax0.5μm、Ra0.25μ
mであった。極めて平滑であることがわかる。
【0041】試料11はRmax230μm、Ra18
μmで非常に面が粗い。膜厚が厚い(1000μm)と
いうことも影響しているのであろう。試料10はRma
x0.6μm、Ra0.15μmで平坦である。これは
膜厚が薄い(2μm)ことによろう。反りというのは、
ウエハ−の縁と、中央部の高さの差である。同じ曲率で
も直径が大きいと反りは大きい。反りの曲率半径をR、
ウエハ−の直径をDとすると、もしも反りが球面に沿う
ものであるとすれば、反りHは、H=D2 /8Rの関係
にある。
【0042】基体とダイヤモンド膜の熱膨張率が異なる
ので、基体と膜の間に圧縮応力または引張り応力が発生
する。ダイヤモンド膜側が凸になるのを負、凹になるの
を正と定義する。試料1〜6は膜側が凸になる。反りは
負数によって表現されている。ダイヤモンド膜が圧縮応
力を、基体が引張り応力を持っている。これら凸反りの
ウエハ−の反りは−2.5μm〜−142μmの間にあ
る。試料3は反りが−142μmにも達している。
【0043】比較例の内試料9は反りが+200μm、
試料10は反りが+400μmであって極めて大きい凹
反りになっている。ダイヤモンド膜が引張り応力を、基
体が圧縮応力を持つ。試料10は膜厚が2μmに過ぎな
いのであるが、反りは大きい。薄いダイヤモンド膜が強
い引張り力を発生している。試料11は基板が割れてし
まっている。膜厚(1000μm)が厚いから応力も大
きい。
【0044】試料12は反りが0である。この試料はG
aAsの上にダイヤモンドを形成したものであるが、熱
膨張率が近似しているので反りが小さくなるのであろ
う。この試料は面粗度も小さいので良好な試料であるよ
うに思える。しかし、このように大きな面粗度とフォト
リソグラフィ−によりダイヤモンド膜に電子デバイスを
作ることができない。そこでこれらのダイヤモンド膜を
基板に付けたままの状態で機械的に研磨した。研磨後の
面粗度と反り量を測定した。さらに凹凸があるので完全
に研磨できない試料もある。そこで研磨できた領域の割
合も調べた。研磨するので面粗度は減少する。反り量は
研磨により減る場合もあるし増える場合もある。大体減
る傾向にある。
【0045】
【表5】
【0046】面粗度はRmax5Å〜1500Åの間の
値を取る。Ra1.5Å〜700Åの間の値を取る。試
料5はもともと面粗度の小さい試料であるが、研磨後R
max5Å、Ra1.5Åに減っている。試料1は、研
磨後はRmax40Å、Ra5Åに減っている。研磨に
より面粗度が1/30〜1/2000程度に減少する。
しかしこれも反り量が小さい場合のことであって、反り
が大きいと十分に研磨できない。
【0047】試料9は反りが+200μmであるが、研
磨後の面粗度がRmax900Å、Ra700Åであ
る。これはもともと面粗度が悪い試料であるが、研磨し
ても十分に平滑にならない。(111)配向面で研磨困
難という理由もある。さらに反りが大きいので研磨しに
くい。30%もの未研磨部が発生する。大きい荷重をか
けてウエハ−を平坦に延ばしても十分にウエハ−が研磨
定盤に接触しない。
【0048】試料10は、反りが+380μmにも達す
る。初めの面粗度は極めて低い(Rmax6000Å、
Ra1500Å)にも拘らず、研磨後のRmax150
0Å、Ra600Åである。研磨の効果が少ないという
ことがわかる。これも(111)配向で研磨が進行しな
い。試料9と10から、表面に(111)面が出るとこ
れは研磨によって面粗度を小さくできないということが
わかる。(111)面を研磨困難面と呼ぶことができよ
う。ダイヤモンド膜は(100)配向するようにしなけ
ればならないということである。
【0049】試料11は膜形成の時に基板が割れたので
研磨していない。試料12はGaAsの上にダイヤモン
ド膜形成したものである。これは面粗度も初めから小さ
い。にも拘らず、研磨後の面粗度がRmax1200
Å、Ra500Åにもなる。これは研磨前の面粗度のパ
ラメ−タの値の約1/20程度にしか過ぎない。しかも
未研磨部が10%ある。試料12は全体として反りがな
く、面粗度も低いので良質のダイヤモンド膜になりそう
であるがそうでない。ひとつには平坦といってもうねり
があって理想的に平坦でないということがある。また配
向面が(110)であるから研磨が均一に進行しにく
い。
【0050】研磨により反り量が多少減少する傾向にあ
る。凹反りのものは凹反りのまま、凸反りのものは凸反
りのままであるが、反り量は減少する。試料1〜試料6
は凸反りである(ダイヤモンド膜の側が突出してい
る)。試料7、8は凹反り(ダイヤモンド膜が凹んでい
る)。比較例9、10、12も凹反りである。先述のよ
うに、比較例9、10、12はいずれも面粗度が大きく
凹凸が激しい。Rmaxが900Å〜1500Åであ
る。Raは500Å〜700Åである。実施例の試料は
研磨後がRmaxは5Å〜480Åである。Raは1.
5Å〜180Åである。比較例に比べて著しく平滑であ
ることが分かる。
【0051】次に、ダイヤモンド面の上にアルミニウム
を蒸着し、フォトリソグラフィ−により櫛形電極を形成
した。電極の線幅は0.6μm〜2μmにしてある。厚
さは500Å(50nm=0.05μm)である。凹凸
があるので電極が断線することがある。そこで断線しな
かったサンプルの割合も調べた。結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】実施例である膜に形成したAl電極パタ−
ンは線幅が0.6μm〜2μmである。実施例に係るダ
イヤモンドウエハ−は何れも90%を上回る断線歩留ま
りを示す。つまり殆ど断線しないということである。こ
れは膜面が平滑で凹凸が少ないからである。特に試料2
は線幅が0.8μmであるのに歩留まりが97%に達す
る。試料1、試料6は歩留まりが99%である。極めて
高い歩留まりである。本発明のダイヤモンドウエハ−は
表面弾性波素子に使えるということが分かる。
【0054】比較例のうち、試料11はダイヤモンド合
成時に基板が割れているので、研磨、電極形成ができな
い。試料9は未研磨部が多いので電極形成していない。
試料10は未研磨部が広いが、研磨部に電極を作製して
調べた。線幅が1μmであるが、歩留まりは2%であり
殆どの電極が断線したということである。試料12は未
研磨部が10%あるが、研磨された部分に電極を形成し
た。歩留まりは12%で極めて歩留まりが悪い。
【0055】試料10、12のダイヤモンドウエハ−
は、電極配線歩留まりが低く、殆どの試料が断線してし
まった。これは膜の面粗度が大きく凹凸が激しくて、蒸
着によってAlが膜に強く付着できないからである。面
粗度の低いことが必要である。平坦なダイヤモンド面が
強く要望される。
【0056】[表面弾性波フィルタ]次に基板として本
発明のダイヤモンドウエハを利用し表面弾性波フィルタ
を製作した。3インチSi(100)ウエハを基板とす
る。基板の抵抗率は10-5Ωcm〜103 Ωcmのもの
を選んだ。これを電解研磨によって傷つけ処理した。傷
つけ処理後のウエハの表面粗度はRa50Å〜Ra10
00Åである。傷つけによりダイヤモンド結晶核発生密
度が高まる。1×1010個/cm2 以上の核発生密度を
実現できる。
【0057】この上に、マイクロ波プラズマCVD法に
よってダイヤモンド薄膜を成長させた。反応室に基板S
iをセットし、基板を加熱した。基板温度は、300℃
〜900℃である。反応室にH2 とCH4 の混合ガスを
原料ガスとして供給した。最初の10分間は、H2 とC
4 を、10:1の比率で与えた(CH4 比率は9vo
l%)。それは基板上でのダイヤモンドの核発生を促進
するためである。ガスの総流量は20sccmである。
反応室の圧力は約40Torrである。
【0058】ここにマイクロ波を導入し原料ガスを励起
した。マイクロ波の電力は制御変数である。10分以後
の原料ガスの比率は、H2 :CH4 =200:1とし
た。CH4 濃度は0.5vol%である。
【0059】こうして厚みが25μmのダイヤモンド薄
膜を成長させた。反りは凸反りであった。X線回折によ
りダイヤモンド薄膜は(100)に配向していることを
確かめた。
【0060】ダイヤモンド薄膜内の、ダイヤモンド結晶
粒径は次の3つのパラメ−タを制御することにより変化
させることができる。 基板の傷つけ処理による面粗度Ra…面粗度Raの大
きいものの方が粒径は大きくなる。面粗度Raの小さい
ものは粒径が小さくなる。 基板の温度…基板温度が高い(800℃〜900℃)
と核発生密度が低く、大きい粒径の結晶が成長する。基
板温度を低くすると(300℃〜500℃)微粒のダイ
ヤモンド結晶を成長させることができる。 マイクロ波パワ−
【0061】次に、ダイヤモンド薄膜の上に、抵抗加熱
法により、Alを500Åの厚みで蒸着した。これをフ
ォトリソグラフィを用い、ウエットエッチングにより、
電極幅及び電極間隔が、0.5μm()、1μm
()、2μm()の3とおりのダブル型櫛形電極を
作製した。これにより表面弾性波の波長λが、各々4μ
m()、8μm()、16μm()になる。表面
弾性波の波長λは電極の幅と間隔により決まる。
【0062】櫛形電極とダイヤモンド膜の上に、圧電体
薄膜としてZnO薄膜を、マグネトロンスパッタリング
法により形成した。波長により膜厚を次のように決め
る。 波長λ=4μmの時ZnO膜厚=0.32μm 波長λ=8μmの時ZnO膜厚=0.64μm 波長λ=16μmの時ZnO膜厚=1.28μm の厚みに形成した。これにより表面弾性波フィルタを製
作した。1枚のウエハ上に数多くの表面弾性波フィルタ
ができるのでこれを縦横に切断し個々の素子に分離す
る。図4はこのような表面弾性波素子の概略断面図であ
る。
【0063】上記の3種類の波長に対して、それぞれ、
14種類のSiウエハの上に、結晶粒径の異なる、14
種類のダイヤモンド薄膜を形成し、表面弾性波の波長を
4、8、16μmになるような3とおりの処理をして表
面弾性波フィルタを作った。異なる試料ウエハ−の数は
42個である。そしてダイヤモンド薄膜のダイヤモンド
結晶粒径の平均値を求めた。ダイヤモンド膜の粒径によ
って13〜26の試料番号を付ける。だから同じ試料番
号でも3種類の波長の違う試料がある。さらにそのダイ
ヤモンド薄膜上に作られた表面弾性波素子の伝搬損失を
測定した。伝搬損失はダイヤモンド膜の他に圧電材料に
よる分も含まれる。そこで既知の圧電材料の損失分を差
し引いてダイヤモンド膜だけに起因する伝搬損失を求め
た。
【0064】3種類の波長を持つ、試料13〜試料26
について平均結晶粒径Daと伝搬損失の関係を測定し
た。結果を表7に示す。ここで伝搬損失は一波長あたり
の伝搬損失によって示す。単位はdBである。表では
[dB/λ]または[dB/波長]と表現する。「/
λ」は伝搬損失(dB)を波長で割った物を意味しな
い。一波長当たりであることを示すだけである。これは
単位長さ当たりの損失に波長を掛けたものである。単位
長さ当たりの伝搬損失[dB/μm]はこれを波長で割
ったものであるがこの値は意味がないので示さない。
【0065】
【表7】
【0066】λ=4μmの場合はダイヤモンド粒径Da
=5μm(試料19)で伝搬損失が最大になる。λ=8
μmの場合はダイヤモンド粒径Da=10μm(試料1
8)で伝搬損失が最大になる。λ=16μmの場合はダ
イヤモンド粒径Da=18μm(試料17)で伝搬損失
が最大になる。ダイヤモンド粒界の大きさが、これらの
値より増えても減っても損失が減少する。
【0067】表面弾性波素子とするには、伝搬損失が少
ない程良い。これは当然である。多くの場合、伝搬損失
が0.02[dB/波長]以下であることが望まれる。
表面弾性波波長λが4μmの時は試料13〜試料17
と、試料23〜試料26がこの条件を満足する。波長λ
が8μmの時は試料13〜15と試料21〜26がこの
条件を満足する。波長λが16μmの時は試料13と1
4、試料20〜試料26がこの条件を満たす。
【0068】伝搬損失が0.02[dB/λ]以下であ
るためには、 λ=4μmの場合、ダイヤモンドの平均粒径Daが、
Da≦0.8μm又はDa≧20μmであれば良い。 λ=8μmの場合、ダイヤモンドの平均粒径Daが、
Da≦1.6μm又はDa≧40μmであれば良い。 λ=16μmの場合、ダイヤモンドの平均粒径Da
が、Da≦3.2μm又はDa≧80μmであれば良
い。 いずれの波長においても、伝搬損失が所望の値(0.0
2[dB/λ]以下)であるためには、ダイヤモンド平
均粒径が、波長λ(ここでは8μm)の5倍より大きい
か、1/5より小さいかということである。不等式Da
≧5λとDa≦λ/5によって纏めて表現できる。
【0069】次に表面弾性波の伝搬損失と表面弾性波フ
ィルタの挿入損失の関係を試料27〜試料33について
調べた。結果を表8に示す。
【0070】
【表8】
【0071】フィルタの挿入損失は3.0dB以下であ
ることが望ましい。表8の試料30〜試料33がこれに
適合している。これらは伝搬損失が0.02[dB/波
長]以下である。つまり伝搬損失が0.02[dB/波
長]以下であれば、フィルタの挿入損失を3.0dB以
下に抑えることができる。こうである為には、ダイヤモ
ンド結晶粒径の平均値Daが、波長λの5倍以上(Da
≧5λ)か、波長λの1/5以下である必要がある(D
a≦λ/5)。
【0072】
【発明の効果】本発明により、基体の上に(100)配
向した平滑な表面を有するダイヤモンド膜を有するウエ
ハ−を得ることができる。多様な結晶方位の粒子が混ざ
らない。(100)配向の表面の面粗度はRmax50
0Å以下、Ra200Å以下であって平滑である。この
上にフォトリソグラフィ−により細かい電極を形成する
ことができる。櫛形電極を形成することにより表面弾性
波素子として利用することができる。ウエハ−のまま電
極形成しこれを切断して個々の素子にすることができる
ので、半導体技術を応用することができる。
【0073】ダイヤモンドの配向が(100)に揃って
いるので、このように研磨することができるのである。
単に多結晶ダイヤモンド被膜を成長させたのでは、(1
11)、(110)方向も表面に出る。特に(111)
膜は容易に研磨できないから、全体として研磨できな
い。平滑な面を持たないとフォトリソグラフィ−などウ
エハ−プロセスを実施することができない。
【0074】本発明のウエハ−は基体とダイヤモンド膜
よりなる複合体である。この点Siウエハ−などのよう
に一様材料からなるものとは異なる。しかし半導体素子
などを制作する場合、必要なのはチップ表面の極僅かな
厚みであるから、ダイヤモンド層が薄くても差し支えな
く、ダイヤモンドウエハ−として利用することができ
る。
【0075】また本発明によりウエハ−は凸反り、凹反
りなど反りを伴うものである。平坦なものは得にくい
が、平坦にしても、うねりがあるので研磨が難しい。反
りのあるものは従来の方法では研磨しにくいが、本発明
では凸反りにして研磨可能にしている。反りのあるウエ
ハ−の全体を、Rmax500Å、Ra200Å以下の
面粗度まで平滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板の上にダイヤモンド膜を形成した反りのあ
るダイヤモンドウエハ−の構造を示す断面図。
【図2】凹凸の反りが混在しうねりを持つダイヤモンド
ウエハ−の一例を示す断面図。
【図3】基体の上にダイヤモンドを被覆し研磨しさらに
電極形成する工程を示す概略断面図。
【図4】表面弾性波素子の断面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤森 直治 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 中幡 英章 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 鹿田 真一 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/02 C30B 25/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、気相合成法により基板上にコー
    ティングされた(100)配向したダイヤモンド膜とよ
    りなり、ダイヤモンド膜は気相合成法により形成された
    後、研磨によりRmax500Å、Ra200Å以下の
    面粗度に仕上げてあることを特徴とするダイヤモンドウ
    エハー。
  2. 【請求項2】 ウエハーが円形であり、外周から中心に
    向かって単調に反っていることを特徴とする請求項1に
    記載のダイヤモンドウエハー。
  3. 【請求項3】 外周面からウエハー中央部の反り量ΔH
    が、2μm≦|ΔH|≦150μmであることを特徴と
    する請求項1、2に記載のダイヤモンドウエハー。
  4. 【請求項4】 Si(100)ウエハーを基板とするこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    ダイヤモンドウエハー。
  5. 【請求項5】 ダイヤモンド膜が5μm〜1000μm
    の厚みを持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載のダイヤモンドウエハー。
  6. 【請求項6】 ダイヤモンド膜の上に、圧電材料膜と、
    櫛形電極が電極/圧電材料の順に複数組形成され、表面
    弾性波素子がダイヤモンド膜上に縦横に複数個作製され
    ていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の
    ダイヤモンドウエハー。
  7. 【請求項7】 ダイヤモンド膜の多結晶ダイヤモンド粒
    子の平均粒径Daが、櫛形電極によって決まる表面弾性
    波の波長λの5倍以上であることを特徴とする請求項6
    に記載のダイヤモンドウエハー。
  8. 【請求項8】 ダイヤモンド膜の多結晶ダイヤモンド粒
    子の平均粒径Daが、櫛形電極によって決まる表面弾性
    波の波長λの5分の1以下であることを特徴とする請求
    項6に記載のダイヤモンドウエハー。
  9. 【請求項9】 表面弾性波のダイヤモンド膜部分での一
    波長当たりの伝搬損失が、0.02[dB/波長]以下
    であることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の
    ダイヤモンドウエハー。
  10. 【請求項10】 水素と炭化水素を含む原料ガスを真空
    容器に導入し原料ガスを励起することにより気相反応を
    起こさせる気相合成法により、基板の上に(100)配
    向したダイヤモンド膜を成長させる工程と、ダイヤモン
    ド膜を研磨により、面粗度Rmax500Å、Ra20
    0Å以下に仕上げる工程とを含むことを特徴とするダイ
    ヤモンドウエハーの製造方法。
  11. 【請求項11】 気相合成の初期における炭化水素の濃
    度を高くし、以後は炭化水素の濃度を低くしたことを特
    徴とする請求項10に記載のダイヤモンドウエハーの製
    造方法。
  12. 【請求項12】 ダイヤモンド膜形成後の反りの絶対値
    が2μm〜150μmであり、研磨後の反りの絶対値が
    2μm〜150μmであることを特徴とする請求項11
    に記載のダイヤモンドウエハーの製造方法。
  13. 【請求項13】 基板を傷つけ処理し、表面粗度をRa
    50Å〜Ra1000Åにしてから気相反応を起こさせ
    核発生密度を1010個/cm 以上にしたことを特
    徴とする請求項12に記載のダイヤモンドウエハーの製
    造方法。
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