JPH0769792A - ダイヤモンド結晶のエピタキシャル成長法及び選択エピタキシャル成長法 - Google Patents

ダイヤモンド結晶のエピタキシャル成長法及び選択エピタキシャル成長法

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JPH0769792A
JPH0769792A JP21401093A JP21401093A JPH0769792A JP H0769792 A JPH0769792 A JP H0769792A JP 21401093 A JP21401093 A JP 21401093A JP 21401093 A JP21401093 A JP 21401093A JP H0769792 A JPH0769792 A JP H0769792A
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diamond crystal
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Keiji Hirabayashi
敬二 平林
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 半導体または絶縁体単結晶基体上にニッケル
層を1〜200nm厚でエピタキシャル成長させた後
に、少なくとも炭素を含有するプラズマ中で前記基体に
−20V〜−400Vまたは40V〜400Vのバイア
ス電圧を印加してダイヤモンド結晶核を形成するプラズ
マ処理を施し、更にその後に、気相合成法を用いてダイ
ヤモンド結晶のエピタキシャル層を形成する。 【効果】 多数のダイヤモンドエピタキシャル核を発生
させることにより、ダイヤモンド結晶のエピタキシャル
成長効果を向上させることができるので、均一で平坦性
の良好なダイヤモンド結晶単結晶薄膜を形成することが
可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイヤモンド結晶のエ
ピタキシャル成長法またはダイヤモンド結晶の選択エピ
タキシャル成長に関し、特に、均一で平滑性の高いダイ
ヤモンドエピタキシャル単結晶膜を形成する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは、大きなバンドキャップ
(5.5eV)、大きなキャリア移動度(電子1800
cm2 /V・S、正孔1600cm2 /V・S)、大き
な熱伝導度(20W/cm・K)を持ち、更に高硬度で
耐摩耗性に優れる等の他の材料では得られない種々の特
性を有している。
【0003】このため、近年、気相からダイヤモンド合
成、特に化学的気相析出法(CVD法)でのエピタキシ
ャル単結晶膜の研究が進んでいる。
【0004】従来の、CVD法で基体上に形成されるダ
イヤモンド結晶のエピタキシャル成長法には以下のよう
なものがあった。 (1)基体としては天然、または人工ダイヤモンド結晶
への、ホモエピタキシャル成長、およびダイヤモンド結
晶に近い結晶構造を持つ立方晶窒化ホウ素(c−BN)
へのヘテロエピタキシャル成長によるもので、これらは
共に、下地基体とエピタキシャル関係を持ち、非常に平
滑性の高い単結晶膜が得られる。 (2)基体としてニッケルを用いた場合、ダイヤモンド
結晶が粒子状にエピタキシャル成長する(第4回ダイヤ
モンドシンポジウム講演要旨集、13ページ、平成3年
1月22−23日)。 (3)また、特開平2−160695号公報によれば、
銅単結晶基板を用いることで、基板と同じ結晶方位を持
ったダイヤモンド結晶が形成されることが開示されてい
る。
【0005】しかしながら、上記従来例で形成されたダ
イヤモンド結晶のエピタキシャル成長法には以下のよう
な問題点があった。 (1)ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素基体へのエピ
タキシャル成長で得られる単結晶膜は、平滑で結晶性も
良好であるが、基体が非常に高価であり実用的でない。 (2)ニッケル基体上へのダイヤモンド結晶のエピタキ
シャル成長では、ダイヤモンド結晶の核発生密度が小さ
いため、均一なエピタキシャル膜が得られない。更に
は、ニッケルにダイヤモンド結晶が侵食されダイヤモン
ド結晶の成長が阻害される。 (3)銅単結晶基板上に形成されたダイヤモンド結晶
は、基板とエピタキシャル関係をもって析出するもの
の、銅単結晶基板は基体が非常に高価であり実用的でな
い。また、核発生が小さく、均一なダイヤモンド膜が得
られにくい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来例
の問題点に鑑み、気相合成ダイヤモンド結晶のエピタキ
シャル成長法について、基板前処理法が及ぼす影響につ
いて詳細な検討を行い、ニッケル層の膜厚及び、炭素源
プラズマ中でのバイアスプラズマ処理のダイヤモンド結
晶のエピタキシャル成長に及ぼす影響を規定することに
より、均一で平滑性の高いエピタキシャル単結晶膜また
は選択エピタキシャル単結晶膜を得ることを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、気相合成法を用いた、ダイヤモンド結晶のエピタ
キシャル成長法において、半導体または絶縁体単結晶基
体上にニッケル層を1〜200nm厚でエピタキシャル
成長させた後に、少なくとも炭素を含有するプラズマ中
で前記基体に−20V〜−400Vまたは40V〜40
0Vのバイアス電圧を印加してダイヤモンド結晶核を形
成するプラズマ処理を施し、更にその後に、気相合成法
を用いてダイヤモンド結晶のエピタキシャル層を形成す
ることを特徴とするダイヤモンド結晶のエピタキシャル
成長法である。特定厚みのニッケル単結晶薄膜を用いて
炭素源プラズマ中で基体のバイアスプラズマ処理を施
し、多数のダイヤモンドエピタキシャル核を発生させる
ことにより、ダイヤモンド結晶のエピタキシャル成長効
果を向上させることができるので、均一で平坦性の良好
なダイヤモンド結晶単結晶薄膜を形成することが可能と
なる。
【0008】また、本発明は、気相合成法を用いた、ダ
イヤモンド結晶の選択エピタキシャル成長法において、
半導体または絶縁体単結晶基体上にニッケル層を1〜2
00nm厚でエピタキシャル成長させた後に、前記ニッ
ケル層上に絶縁性マスクパターンを形成し、更に少なく
とも炭素を含有するプラズマ中で前記基体に−20V〜
−400Vまたは40V〜400Vのバイアス電圧を印
加してダイヤモンド結晶核を形成するプラズマ処理を施
し、更にその後に、気相合成法を用いて前記絶縁性マス
クパターン以外の部分に選択的にダイヤモンド結晶のエ
ピタキシャル層を形成することを特徴とするダイヤモン
ド結晶の選択エピタキシャル成長法である。特定厚みの
ニッケル単結晶薄膜上に絶縁性マスクパターンを形成
し、前述と同様に炭素源プラズマ中で基体のバイアスプ
ラズマ処理を施し、マスクパターン以外の部位に多数の
ダイヤモンドエピタキシャル核を発生させることによ
り、ダイヤモンド結晶のエピタキシャル成長効果を選択
的に向上させることができるので、選択的に均一で平坦
性の良好なダイヤモンド結晶単結晶薄膜を形成すること
が可能となる。
【0009】以下、本発明を模式図を用いて説明する。
図1はダイヤモンド結晶エピタキシャル成長の模式図で
ある。まず、基体1上に、ニッケル単結晶層2を蒸着し
[図1(a)]、その後バイアスプラズマ処理を施すと
ダイヤモンドエピタキシャル結晶核3が形成され[図1
(b)]、更に通常のダイヤモンド結晶成長を行うこと
によりダイヤモンド結晶エピタキシャル膜4が形成され
る。また、図2はダイヤモンド結晶選択エピタキシャル
成長の模式図である。まず、基体21上に、ニッケル単
結晶層22を蒸着[図1(a)]した後、絶縁性マスク
パターン23を形成し[図2(b)]、その後バイアス
プラズマ処理を施すとダイヤモンドエピタキシャル結晶
核24がマスクパターン形成部位以外の領域に形成され
る[図2(c)]。更に通常のダイヤモンド結晶成長を
行うことによりダイヤモンド結晶エピタキシャル層25
がマスクパターン形成部位以外の領域に形成される[図
2(d)]。
【0010】本発明で言うエピタキシャル成長とは、下
地の単結晶基体上にその結晶方位と一定の方位関係を有
する結晶が成長することを言う。例えば、本発明で用い
られるニッケル単結晶薄膜上においては、ニッケル{1
00}面上にはダイヤモンド結晶{100}面が、また
ニッケル{111}面上にはダイヤモンド結晶{11
1}面が形成される。
【0011】また、本発明で言う炭素源プラズマ中で基
体にバイアスを印加するプラズマ処理とは、少なくとも
炭素を含有する原料ガスをプラズマ化し、そのプラズマ
中に基体を設置し、更にその基体にバイアスを印加し
て、基体表面を活性化してダイヤモンド結晶核を形成す
る方法である。このプラズマ処理により、ダイヤモンド
結晶のエピタキシャル核が多数形成されるためダイヤモ
ンド結晶の析出量が増加し、平坦性の良好なダイヤモン
ド単結晶膜が形成される。
【0012】プラズマ処理法の原料ガスとしては、少な
くとも炭素源を有するものであり、炭素源としてメタ
ン、エタン、エチレン、アセチレン等の炭化水素やエチ
ルアルコール、メチルアルコール、アセトン等の酸素含
有の有機化合物、更にはトリクロロエチレン、四塩化炭
素等のハロゲン化炭素を用いることができ、適宜、水
素、酸素、アルゴン、ヘリウム等のガスを添加する。こ
のとき、炭素源ガスの添加量は、全原料ガスの4%から
50%程度にするとよい。炭素源のガス添加量が、4%
未満ではプラズマ処理の効果がなく、結晶核形成が見ら
れない。また50%を超えるとグラファイト結晶核が形
成される等、ダイヤモンド結晶の結晶性の劣化が観察さ
れる。
【0013】プラズマの発生方法としては、公知の高周
波プラズマ発生装置、マイクロ波プラズマ発生装置、E
CR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ発生装置等を
用いることができる。
【0014】基板に印加するバイアスは正及び負どちら
でも良い。このバイアス印加によるダイヤモンド結晶核
形成の機構には不明な点が覆いが、負バイアスの場合、
炭素源イオンが基体に衝突し炭素がニッケル層中に拡散
してダイヤモンド結晶核を形成する、と考えられる。ま
た正バイアスの場合、基体表面に電子照射が生じ、表面
が活性化されて反応性が進み、ダイヤモンド結晶核が形
成され易くなる、と考えられる。基体に印加するバイア
スの値は、負バイアスの場合、−20V以上、−400
V以下が好ましい。−20V未満ではバイアス印加効果
がなく、ダイヤモンド核の形成密度が小さく、均一な膜
を得ることができない。また−400Vより大きい場合
はニッケル層及び基体のエッチングの効果が大きくな
り、ダイヤモンド結晶のエピタキシャル成長が生じず、
多結晶ダイヤモンドが析出する。なお、基体に印加する
負バイアスは、一般的に直流バイアスであるが、高周波
バイアスを印加してもその自己バイアスにより、負バイ
アスが生じ、実質的に直流の負バイアスを印加したのと
同様な効果を有する。この時、自己バイアスの値は前記
直流バイアスの場合と同様にすることが好ましい。この
ため、例えば、13.56MHzの高周波バイアスを基
体に印加しながら前記プラズマ処理を行っても良い。更
に、正バイアスの場合、40V以上、400V以下が好
ましい。40V未満ではバイアス印加効果がなく、また
400Vより大きい場合、基板が電子照射を受け、基体
温度が上昇しダイヤモンド結晶がグラファイト化し易く
なる。
【0015】プラズマ処理時間は、プラズマ出力及びニ
ッケル膜厚及び炭素源濃度、更にはバイアス電圧等で変
化し、一概に言えないが、一般的には1分間から1時間
程度である。
【0016】上記プラズマ処理により基体上にダイヤモ
ンド結晶核が106 個/cm2 から1010個/cm2
度形成され、その後、通常の気相合成ダイヤモンド形成
法を用いることにより平坦性の良好なダイヤモンド結晶
エピタキシャル層が得られる。このダイヤモンド結晶核
の大きさは径が約10〜100nmのものであり、走査
型電子顕微鏡等により確認することができる。
【0017】本発明でニッケル単結晶膜を膜厚を1−2
00nmの範囲に設定することが望ましい。これは1n
m未満ではプラズマ処理中にニッケル膜が飛散する等、
ニッケル膜形成の効果がなくなダイヤモンド結晶のエピ
タキシャル成長が見られなくなるためである。このた
め、ニッケル膜厚は1nm以上、好ましくは2nm以上
とする。また、200nmより大きい場合は、ダイヤモ
ンド結晶とニッケルが反応して侵食されるため、ダイヤ
モンド結晶の成長が阻害されダイヤモンド結晶析出量が
減少する。本発明では、ダイヤモンド形成に先立ち、プ
ラズマ処理法で炭素をニッケル中に拡散させるためニッ
ケルによるダイヤモンド結晶の侵食は抑制されるが、ニ
ッケル膜厚は200nm以下、好ましくは100nm以
下とする。ニッケル単結晶薄膜の形成方法は、公知の真
空蒸着法、及び高周波スパッタ法、直流スパッタ法、マ
グネトロンスパッタ法、対向スパッタ法等を用いること
ができる。形成条件は合成法、下地基板により一概には
決めることができないが、例えば、真空蒸着法の場合、
単結晶基板を用い、圧力10-7Torr以下、基板温度を3
00℃として、電子銃でニッケルを溶解して蒸着するこ
とにより単結晶ニッケル膜を形成することができる。
【0018】更に、ニッケル単結晶膜上に絶縁性マスク
パターンを形成した後に、基体のバイアスプラズマ処理
を施してダイヤモンド結晶を形成することにより、前記
マスクパターン以外の部位に選択的にダイヤモンド結晶
をエピタキシャル成長させる選択エピタキシャル成長も
可能となる。絶縁性マスクパターンとしては、比抵抗1
8Ω・cm程度以上のものであり、酸化けい素、窒化
けい素、酸化アルミ、窒化けい素、チタン酸ストロンチ
ウム、酸化ジルコニア等、種々の酸化物、窒化物及びこ
れらの含有物を用いることができる。モリブデンや炭化
けい素等は用いることができない。これらのマスクパタ
ーンの形成方法は、公知の光描画法等を用いることがで
きる。これらの絶縁性マスクパターン上にはプラズマ処
理時のバイアス印加の効果が生じないため、ダイヤモン
ドの核発生が生じない。このためダイヤモンド結晶はマ
スクパターンを形成した以外の部位(ニッケル単結晶膜
が露出し、バイアス電位が印加されている部位)にのみ
選択的に形成される。
【0019】また、本発明において気相合成法によるダ
イヤモンド結晶は、以下で述べるCVD(化学的気相蒸
着法)法及び燃焼炎法を用いて形成することができる。
【0020】CVD法としては熱フィラメントCVD
法、マイクロ波CVD法、有磁場マイクロ波CVD法、
直流プラズマCVD法、RFプラズマCVD法等を採用
することができる。
【0021】上記CVD法を用いる原料ガスの炭素源と
してはメタン、エタン、エチレン、アセチレン等の炭化
水素ガス、及びアルコール、アセトン等の液状有機化合
物、一酸化炭素またはハロゲン炭素などを用いることが
できる。さらに適宜、水素、酸素、塩素、フッ素を含む
ガスを添加することができる。
【0022】しかしながら、高品質のダイヤモンド結晶
エピタキシャル単結晶膜を形成する場合、原料ガスは、
少なくとも、炭素及び酸素元素を含んでいることが必要
である。この場合、1種の原料ガス中に上記全元素を含
んでいてもよく、またいずれかの元素を含む原料ガスの
複数種を組み合わせても良い。この場合、その原料ガス
中の炭素源濃度は20%以下とするとよい。ここで言う
炭素源濃度とは、 (炭素源ガス流量)×(炭素源ガス中の炭素原子数)/
(全原料ガス流量)×100 で表わされる濃度である。炭素源ガス中の炭素原子数
は、たとえばメタン(CH 4 )なら1、プロパン(C3
8 )なら3、アセトン(CH3 COCH3 )なら3と
なる。この炭素源濃度を20%以下とする理由は、ダイ
ヤモンド結晶の過飽和度を抑え、アモルファス炭素の成
長を抑制するためである。下限は特にないが0.01%
以下では実用的なダイヤモンド結晶の形成速度が得られ
ない場合がある。
【0023】更に、CVD法において、良好な結晶性を
有するダイヤモンド結晶を形成するため、原料ガス中の
酸素と炭素の原子数の比(O/C)を0.2≦O/C≦
1.2、望ましくは0.5≦O/C≦1.1とすること
が好ましい。0.2未満では添加効果がなく、良質のダ
イヤモンド結晶を得ることができず、また1.2を越え
ると酸素のエッチング効果で実用上使用可能なダイヤモ
ンド形成速度を得ることができないことがある。上記O
/C値を調節するには、例えば、O2 ,H2 O,N2
などの酸素添加ガスを原料ガス中に添加することができ
る。
【0024】燃焼炎法では、酸素−アセチレン炎を用い
るが、この主たる原料ガス中の酸素とアセチレンとのモ
ル比の値は0.85≦O2 /C22 ≦1.0となるよ
うに、好ましくは、0.9≦O2 /C22 ≦0.99
とすることで、良質な結晶性を有し、さらに比較的高い
成長速度(数十μm/hr)でダイヤモンド結晶エピタ
キシャル単結晶膜を形成することができる。
【0025】本発明で用いられる基体は、半導体単結晶
基体及び絶縁体単結晶基体であり、半導体単結晶基体と
しては、シリコン単結晶、ゲルマニウム単結晶、SiC
単結晶、ガリウムひ素単結晶、インジウム燐単結晶等を
用いることができる。更に、絶縁体基体としては、水晶
単結晶、アルミナ単結晶、酸化マグネシウム単結晶、ス
ピネル単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶、タンタル酸リ
チウム単結晶、チタン酸ストロンチウム単結晶等を用い
ることができる。
【0026】本発明のダイヤモンド結晶エピタキシャル
膜は、特にヒートシンク(脱熱材)及び半導体装置とし
て好適である。ダイヤモンド結晶は、常温で物質中一番
の熱伝導率[2000W/(m・k)]を有しているた
め、ダイヤモンド結晶エピタキシャル膜上に種々の半導
体装置、例えば、マイクロ波発振器、レーザーダイオー
ド等を作成または装着することにより、半導体装置の放
熱効果を大幅に向上させることができる。また、自然界
では、原子量12の12Cと原子量13の13Cの2つの同
位体がそれぞれ98.9%と1.1%の割合で存在して
いる。上述したダイヤモンド結晶の熱伝導率は、「自然
界の炭素」を用いた場合であるが、原子量12の12Cの
割合を増やすことにより、更に熱伝導率が向上する。例
えば13Cの場合を0.1%程度まで減らすことにより熱
伝導率は、3000W/(m・K)まで向上する。本発
明においても、同位体的な純度の高い炭素原料を用いる
ことにより更に熱伝導率の高い好適なヒートシンクを作
成することができる。
【0027】更に、ダイヤモンド結晶エピタキシャル単
結晶膜中に適度なドーバンドを添加することにより、半
導体ダイヤモンド結晶を形成することができる。この半
導体ダイヤモンド結晶層は、基体上に形成しても良い
し、基体上に絶縁性ダイヤモンド結晶層を形成した後に
半導体ダイヤモンド結晶層を積層しても良い。この半導
体ダイヤモンド結晶層は、単結晶層であるので、電子及
び正孔の移動度が大きく良好な半導体特性を有する。な
お、p型半導体層を形成するためには、原料ガス中にホ
ウ素を含有するガスを印加する方法、またアルコール等
に液体炭素源を用いる場合は液体炭素源中にほう酸等の
ホウ素源を添加する方法、更にはホウ素イオンをダイヤ
モンド結晶に注入するイオン注入法等を用いることがで
きる。また、n型半導体層を形成するためには、原料ガ
ス中に燐、リチウム、ナトリウムを含有するガスを印加
する方法、またアルコール等の液体炭素源を用いる場合
は液体炭素源中に燐、リチウム、ナトリウム等の含有物
を添加する方法、更には燐、リチウム、ナトリウムイオ
ンをダイヤモンド結晶に注入するイオン注入法等を用い
ることができる。
【0028】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。
【0029】<実施例1>本実施例においてダイヤモン
ド結晶の合成は図3に示すマイクロ波プラズマCVD法
を用いておこなった。
【0030】図3中、31は石英製反応管、32は原料
ガス導入口で不図示のガスボンベ、ガス流量調節器、バ
ルブが接続されている。33はガス排気口で不図示のタ
ーボ分子ポンプ、ドライポンプ及びバルブ、圧力調整用
バルブが接続されている。34はマイクロ波導波管で不
図示のマイクロ波電源が接続されている。35はメッシ
ュ電極でアースに設置されている。36は基体、37は
基体ホルダーで38のバイアス印加用電源が接続されて
いる。
【0031】まず、酸化マグネシウム単結晶基板(1イ
ンチ径、{100}面)上に公知の真空蒸着法を用いて
ニッケル単結晶膜を50nmの厚さで形成した。この基
板を前記マイクロ波プラズマCVD装置に入れ、まず、
プラズマ処理を行う。プラズマ処理条件は、メタン(2
5%)−水素系ガスを用い、圧力:50Torr、マイクロ
波出力:300W、基板バイアス:−80V(バイアス
印加用電源38として直流電源を使用)、処理時間:3
0分間とした。得られたニッケル単結晶膜上のダイヤモ
ンド結晶核を走査型電子顕微鏡により観察した結果、径
10〜50nmのダイヤモンド結晶核が約2×108
/cm2形成されていた。
【0032】続いて、同一の装置を用いてダイヤモンド
結晶を形成した。ダイヤモンド結晶の形成条件は、エチ
ルアルコール(1%)−水素系で、圧力:60Torr、マ
イクロ波出力:600W、基板温度:800℃,合成時
間は5時間とした。また、バイアス印加用電源38をは
ずし、基体ホルダーをアース電位に接地した。以上のよ
うにして得られたダイヤモンド結晶を走査型電子顕微鏡
観察を行った所、平坦性の良好な均一膜が約4μm厚形
成されていることが分かった。更に、ダイヤモンド結晶
膜を反射型電子線回析装置を用いて調べた所、ダイヤモ
ンド{100}面にエピタキシャル成長した単結晶膜で
あることが確認された。
【0033】<実施例2−5,比較例1−2>ニッケル
膜厚を変化させる以外は、実施例1と同様にしてプラズ
マ処理及びダイヤモンド結晶を形成した。析出物は走査
型電子顕微鏡で観察し、更に、結晶性は反射型電子線回
析法により評価した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】 表1に明らかなように、実施例2−5において、平坦性
が良好なエピタキシャルダイヤモンド結晶膜が観察され
た。また、比較例1においては、凹凸の大きい多結晶ダ
イヤモンド膜となった。比較例2においては、ダイヤモ
ンド結晶の核発生密度が減少し、均一な膜が得られなか
った。更に、結晶面の荒れ(ニッケルとダイヤモンド結
晶が反応し結晶面を侵食したものと考えられる)も見ら
れた。
【0035】<実施例6−9,比較例3−4>プラズマ
処理時の基板バイアスを変化させる以外は実施例1と同
様にしてダイヤモンド結晶の形成を行った。なお、実施
例9においては、バイアス印加用電源38として直流バ
イアスの換わりに、13.56MHzの高周波バイアス
を印加し、その自己バイアスの値をバイアス電圧とし
た。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】 表2に明らかなように、実施例6−11において、平坦
性の良好なダイヤモンド結晶エピタキシャルを得ること
ができた。また、比較例3−5に示すように基板バイア
スが0または低い場合、ダイヤモンド核発生の増加は認
められず、平坦性の良い均一膜を得ることができなかっ
た。
【0037】<実施例12>まず、シリコン単結晶上に
炭化けい素単結晶膜を形成した基板(1インチ径、{1
11}面)上に公知の真空蒸着法を用いてニッケル単結
晶膜を20nmの厚さで形成した。
【0038】次に、この基板上にも、公知の光描画法を
用いて、酸化けい素のパターンを形成する。パターン膜
厚は0.5μmで、線幅:10μmで10μmピッチと
した。
【0039】この基板を公知のECRプラズマCVD装
置に入れ、まず、プラズマ処理を行う。プラズマ処理条
件は、エチルアルコール(15%)−水素−アルゴン系
ガスを用い、圧力:1Torr、マイクロ波出力:300
W、基板バイアス:−50V、処理時間:30分間とし
た。得られたニッケル単結晶膜上のダイヤモンド結晶核
を走査型電子顕微鏡により観察した結果、径10〜50
nmのダイヤモンド結晶核が約5×108個/cm2形成
されていた。
【0040】続いて、同一の装置を用いてダイヤモンド
結晶を形成した。ダイヤモンド結晶の形成条件は、一酸
化炭素(5%)−水素系で、圧力:0.5Torr、マイク
ロ波出力:750W、基板温度:800℃、合成時間は
8時間、基板電位はアースとした。以上のようにして得
られたダイヤモンド結晶を走査型電子顕微鏡観察を行っ
た所、平坦性の良好なダイヤモンド結晶が酸化けい素パ
ターン以外の部分にのみ選択的に約4μm厚形成されて
いることが分かった。更に、このダイヤモンド結晶膜を
反射型電子線回析装置を用いて調べた所、ダイヤモンド
{111}面にエピタキシャル成長した単結晶膜である
ことがわかった。
【0041】
【発明の効果】以上、説明したように、特定厚みのニッ
ケル単結晶薄膜を用いて炭素源プラズマ中で基体のバイ
アスプラズマ処理を施し、多数のダイヤモンドエピタキ
シャル核を発生させることにより、ダイヤモンド結晶の
エピタキシャル成長効果を向上させることができたの
で、均一で平坦性の良好なダイヤモンド結晶単結晶薄膜
を形成することが可能となった。
【0042】また、特定厚みのニッケル単結晶薄膜上に
絶縁性マスクパターンを形成し、前述と同様に炭素源プ
ラズマ中で基体のバイアスプラズマ処理を施し、マスク
パターン以外の部位に多数のダイヤモンドエピタキシャ
ル核を発生させることにより、ダイヤモンド結晶のエピ
タキシャル成長効果を選択的に向上させることができた
ので、選択的に均一で平坦性の良好なダイヤモンド結晶
単結晶薄膜を形成することが可能となった。
【0043】このようなダイヤモンド結晶は、特に電子
材料、ヒートシンクとしてすぐれたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるダイヤモンド結晶エピタキシャル
成長法の模式図である。
【図2】本発明によるダイヤモンド結晶の選択エピタキ
シャル成長法の模式図である。
【図3】本発明の実施例におけるマイクロ波プラズマC
VD法によるダイヤモンド形成の模式図である。
【符号の説明】
1,21 基体 2,22 ニッケルエピタキシャル膜 3,24 ダイヤモンドエピタキシャル結晶核 23 絶縁製マスタパターン 31 石英製反応管 32 ガス導入口 33 ガス排出口 34 マイクロ波導波管 35 メッシュ電極 36 基体 37 基体ホルダー 38 バイアス印加用電源

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相合成法を用いた、ダイヤモンド結晶
    のエピタキシャル成長法において、半導体または絶縁体
    単結晶基体上にニッケル層を1〜200nm厚でエピタ
    キシャル成長させた後に、少なくとも炭素を含有するプ
    ラズマ中で前記基体に−20V〜−400Vまたは40
    V〜400Vのバイアス電圧を印加してダイヤモンド結
    晶核を形成するプラズマ処理を施し、更にその後に、気
    相合成法を用いてダイヤモンド結晶のエピタキシャル層
    を形成することを特徴とするダイヤモンド結晶のエピタ
    キシャル成長法。
  2. 【請求項2】 気相合成法を用いた、ダイヤモンド結晶
    の選択エピタキシャル成長法において、半導体または絶
    縁体単結晶基体上にニッケル層を1〜200nm厚でエ
    ピタキシャル成長させた後に、前記ニッケル層上に絶縁
    性マスクパターンを形成し、更に少なくとも炭素を含有
    するプラズマ中で前記基体に−20V〜−400Vまた
    は40V〜400Vのバイアス電圧を印加してダイヤモ
    ンド結晶核を形成するプラズマ処理を施し、更にその後
    に、気相合成法を用いて前記絶縁性マスクパターン以外
    の部分に選択的にダイヤモンド結晶のエピタキシャル層
    を形成することを特徴とするダイヤモンド結晶の選択エ
    ピタキシャル成長法。
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