JPH07118093A - ダイヤモンド結晶の形成方法 - Google Patents

ダイヤモンド結晶の形成方法

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JPH07118093A
JPH07118093A JP26251493A JP26251493A JPH07118093A JP H07118093 A JPH07118093 A JP H07118093A JP 26251493 A JP26251493 A JP 26251493A JP 26251493 A JP26251493 A JP 26251493A JP H07118093 A JPH07118093 A JP H07118093A
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diamond crystal
plasma
diamond
bias
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Keiji Hirabayashi
敬二 平林
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 気相合成法を用いた、ダイヤモンド結晶の形
成方法における基体への前処理法であって、少なくとも
炭素を含有する化合物のプラズマ中で基体にバイアスを
印加してダイヤモンド結晶核を形成するプラズマ処理法
において、前記プラズマ中に体積比10%以上、80%
以下のキセノンまたはクリプトンより選ばれた1種以上
のガスを添加することを特徴とするダイヤモンド結晶の
形成方法。 【効果】 ダイヤモンド結晶の核発生が増加し、平坦性
の良好なダイヤモンド結晶膜が得られる。更に、ダイヤ
モンド結晶の選択成長も可能となった。これらのダイヤ
モンド結晶は、特に電子材料、ヒートシンクとしてすぐ
れたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイヤモンド結晶の形
成方法、特に核発生増加のための基板前処理法に関す
る。更に、本発明はダイヤモンド結晶の選択成長法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは、大きなバンドギャップ
(5.5eV)、大きなキャリア移動度(電子1800
cm2 /V・S、正孔1600cm2 /V・S)、大き
な熱伝導度(20W/cm・K)を持ち、更に高硬度で
耐摩耗性に優れる等の他の材料では得られない種々の特
性を有している。
【0003】このため、近年、気相からのダイヤモンド
合成、特に化学的気相析出法(CVD法)での形成方法
に関して研究が進んでいる。 従来、CVD法で基体上
に形成されるダイヤモンド結晶は、基板前処理法によ
り、以下のような形態の析出物が得られる。 (1)基体としては天然、または人工ダイヤモンド結
晶、およびダイヤモンド結晶に近い結晶構造を持つ立方
晶窒化ホウ素(c−BN)を用いると、ダイヤモンド結
晶は、下地基体とエピタキシャル関係を持ち、非常に平
滑性の高い単結晶膜として析出する。 (2)基体前処理を施さないシリコン単結晶基体を用い
ると、ダイヤモンド結晶は独立の粒子として分散して析
出する。 (3)基体前処理としてダイヤモンド砥粒を用いて基体
表面を傷つけ処理を施すと、ダイヤモンド結晶の核発生
密度が向上し、多結晶ダイヤモンド膜が形成される。 (4)基体前処理として少なくとも炭素を含有するプラ
ズマ中で基体にバイアスを印加するプラズマ処理を施す
とダイヤモンド結晶の核発生が増加し、多結晶ダイヤモ
ンド結晶が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例で形成されたダイヤモンド結晶の成長法には以下の
ような問題点があった。 (1)ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素基体へのエピ
タキシャル成長で得られる単結晶膜は、平滑で結晶性も
良好であるが、基体が非常に高価であり実用的でない。 (2)基板前処理を施さない場合、核発生が非常に少な
く膜状ダイヤモンド結晶を形成するためには非常に長い
合成時間が必要になる。また膜の表面凹凸も大きくな
る。 (3)基板前処理として基板表面の傷つけ処理を行った
場合、多結晶膜が形成されるが、傷つけ処理法は再現性
が乏しく、また、ダイヤモンド結晶膜の膜ムラが生じ易
い。 (4)プラズマ処理法は、基板前処理法として再現性が
高く、また膜ムラも少なく好適な方法であるが、更に核
発生密度を増加させて、平滑性の高いダイヤモンド膜を
形成することが望まれていた。 本発明は、上記従来例の問題点を解決し、核発生密度を
向上させ、平滑性の高いダイヤモンド結晶膜を得るため
に鋭意検討した結果なされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、気相合成法を用いた、ダイヤモンド結晶
の形成方法における基体への前処理法であって、少なく
とも炭素を含有する化合物のプラズマ中で基体にバイア
スを印加してダイヤモンド結晶核を形成するプラズマ処
理法において、前記プラズマ中に体積比10%以上、8
0%以下のキセノン及び、又はクリプトンを添加するこ
とを特徴とする。
【0006】また、本発明は、少なくとも表面に電気伝
導層が形成されている基体上に絶縁性マスクパターンを
形成し、更に上記プラズマ中で前記基体にバイアスを印
加してダイヤモンド結晶核を形成するプラズマ処理にお
いてをプラズマ中に体積比10%以上、80%以下のキ
セノン及び、又はクリプトンを添加して施し、更にその
後に、気相合成法を用いて前記絶縁性マスクパターン以
外の部分に選択的にダイヤモンド結晶層を形成すること
を特徴とするものである。以下、本発明を詳細に説明す
る。
【0007】本発明者は、気相合成ダイヤモンド結晶の
基板前処理法、特にプラズマ処理法における添加ガスに
ついて詳細な検討を行った結果、プラズマへのキセノン
及びクリプトンガスの添加がダイヤモンド結晶の核発生
密度に及ぼす影響を見いだし、本発明に到達したもので
ある。
【0008】つまり、本発明は、気相合成法を用いた、
ダイヤモンド結晶の形成方法における基体への前処理法
であって、少なくとも炭素を含有する化合物のプラズマ
中で基体にバイアスを印加してダイヤモンド結晶核を形
成するプラズマ処理法において、前記プラズマ中に体積
比10%以上、80%以下のキセノン及び、又はクリプ
トンを添加することによりダイヤモンド結晶の核発生密
度向上を実現したものである。また、本発明は、少なく
とも表面に電気伝導層が形成されている基体上に絶縁性
マスクパターンを形成し、更に上記プラズマ中で前記基
体にバイアスを印加してダイヤモンド結晶核を形成する
プラズマ処理を施し、更にその後に、気相合成法を用い
て前記絶縁性マスクパターン以外の部分に選択的にダイ
ヤモンド結晶層を形成することを実現したものである。
【0009】また、本発明で言う少なくとも炭素を含有
する化合物のプラズマ中で基体にバイアスを印加するプ
ラズマ処理とは、少なくとも炭素を含有する化合物を含
む原料ガスをプラズマ化し、そのプラズマ中に基体を設
置し、更にその基体にバイアスを印加して、基体表面を
活性化してダイヤモンド結晶核を形成する方法である。
このプラズマ処理により、ダイヤモンド結晶核が多数形
成されるためダイヤモンド結晶の析出量が増加し、平坦
性の良好なダイヤモンド結晶膜が形成される。
【0010】本発明においては、プラズマ処理時に、プ
ラズマ中にキセノン及び、又はクリプトンガスを体積比
で10%以上、80%以下、好適には20%以上、60
%以下添加する。10%未満では、キセノン及びクリプ
トンの添加効果がなく核発生の増加が促進されない。ま
た80%より多い場合、水素及び炭素を含有する化合物
炭素の添加量が減少し、ダイヤモンド結晶核が形成され
なくなる。上記範囲内のキセノン及びクリプトンガスの
添加によりダイヤモンド結晶核の形成量が更に向上し、
膜の平坦性が上昇する。プラズマ処理時にキセノンおよ
びクリプトンガスの添加により核発生が増加する機構に
ついては不明な点が多いが、原子量の大きいこれらのガ
スのイオンが基体表面へ衝突することにより、基体表面
の活性化が促進されるものと考えられる。また、これら
のガスを添加することにより、プラズマの安定化、更に
プラズマ密度の向上の効果もあると考えられる。プラズ
マ処理時のキセノン、クリプトン以外の添加ガスとして
は、炭素を含有する化合物としてメタン、エタン、エチ
レン、アセチレン等の炭化水素やエチルアルコール、メ
チルアルコール、アセトン等の酸素含有の有機化合物、
更にはトリクロロエチレン、四塩化炭素等のハロゲン化
炭素を用いることができる。その他、適宜、水素、酸
素、アルゴン、ヘリウム等のガスを添加する。このと
き、炭素を含有する化合物の添加量は、全原料ガスの4
%から50%程度にする。
【0011】プラズマの発生方法としては、公知の高周
波プラズマ発生装置、マイクロ波プラズマ発生装置、E
CR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ発生装置等を
用いることができる。
【0012】基板に印加するバイアスは正及び負どちら
でも良い。このバイアス印加によるダイヤモンド結晶核
形成の機構には不明な点が多いが、負バイアスの場合、
炭素源イオンが基体に衝突し炭素が基体中に拡散してダ
イヤモンド結晶核を形成する、と考えられる。また正バ
イアスの場合、基体表面に電子照射が生じ、表面が活性
化されて反応性が進み、ダイヤモンド結晶核が形成され
易くなる、と考えられる。基体に印加するバイアスの値
は、負バイアスの場合、好ましくは−20V以上、−4
00V以下、より好ましく−40V以上、−200V以
下であり、−20V未満ではバイアス印加効果がなく、
ダイヤモンド核の形成が小さく、均一な膜を得ることが
できない。また−400Vより大きい場合は、基体のエ
ッチングの効果が大きくなり、ダイヤモンド結晶の核発
生が生じにくくなり、膜の平滑性が劣化する。なお、基
体に印加する負バイアスは、一般的に直流バイアスであ
るが、高周波バイアスを印加してもその自己バイアスに
より、負バイアスが生じ、実質的に直流の負バイアスを
印加したのと同様な効果を有する。この時、自己バイア
スの値は前記、直流バイアスの場合と同様にすることが
好ましい。このため、例えば、13.56MHzの高周
波バイアスを基体に印加しながら前記プラズマ処理を行
っても良い。更に、正バイアスの場合、好ましくは40
V以上、400V以下、より好ましく60V以上、20
0V以下出あり、40V未満ではバイアス印加効果がな
く、また400Vより大きい場合、基板が電子照射を受
け、基体温度が上昇しダイヤモンド結晶がグラファイト
化し易くなる。
【0013】プラズマ処理時の圧力は、プラズマが形成
可能な圧力であればいかなる範囲でも良いが、例えば、
マイクロ波プラズマCVD法の場合、好ましくは1Pa
から104 Pa、より好ましくは102Paから104
a程度にする。プラズマ処理時間は、プラズマ出力及び
炭素源濃度、更にはバイアス電圧等で変化し、一概に言
えないが、一般的には1分間から10時間程度である。
【0014】上記プラズマ処理により基体上にダイヤモ
ンド結晶核が106 個/cm2 から1010個/cm2
度形成され、その後に、通常ダイヤモンドの形成法を用
いることにより平坦性の良好なダイヤモンド結晶層が得
られる。
【0015】更に、少なくとも表面に電気伝導層が存在
する基体上に絶縁性マスクパターンを形成した後に、基
体のバイアスプラズマ処理を施してダイヤモンド結晶を
形成することにより、マスクパターン以外の部位に選択
的にダイヤモンド結晶を成長させる選択成長も可能とな
る。選択成長の模式図を図1に示す。まず、少なくとも
表面に電気伝導層が存在する基体1上に、絶縁性マスク
2を形成する(図1A)。次に、この基体にバイアスプ
ラズマ処理を施すと、バイアスの効果は、絶縁性マスク
形成部では生じないため、基体1上の絶縁性マスク2が
形成されていない部分のみにダイヤモンド結晶核3が形
成される(図1B)。更に通常のダイヤモンド形成を行
うことにより、絶縁性マスク形成以外の部分のみにダイ
ヤモンド結晶4が選択的に形成される(図1C)。この
時、絶縁性マスクパターンとしては、酸化けい素、窒化
けい素、酸化アルミ、窒化けい素、チタン酸ストロンチ
ウム、酸化ジルコニア等、種々の酸化物、窒化物及びこ
れらの含有物を用いることができる。これらのマスクパ
ターンの形成方法は、公知の光描画法等を用いることが
できる。また、少なくとも表面に電気伝導層が存在する
基体としては、種々の金属基体、半導体基体、更には絶
縁性基体上に種々の金属又は半導体層を形成した基体等
を用いることができる。絶縁性マスクパターン上にはプ
ラズマ処理時のバイアス印加の効果が生じず、前記、電
気伝導層のみに、ダイヤモンドの核発生が生じる。この
ためダイヤモンド結晶はマスクパターンを形成した以外
の部位にのみ選択的に形成される。
【0016】また、本発明のダイヤモンド結晶は、以下
で述べるCVD(化学的気相蒸着法)法及び燃焼炎法を
用いて形成することができる。
【0017】CVD法には熱フィラメントCVD法、マ
イクロ波CVD法、有磁場マイクロ波CVD法、直流プ
ラズマCVD法、RFプラズマCVD法等がある。上記
気相合成法に用いる原料ガスの炭素源としては、メタ
ン、エタン、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガス、
及びアルコール、アセトン等の液状有機化合物、一酸化
炭素またはハロゲン化炭素などを用いることができる。
さらに適宜、水素、酸素、塩素、フッ素を含むガスを添
加することができる。
【0018】しかしながら、高品質のダイヤモンド結晶
単結晶膜を形成する場合、原料ガスは、少なくとも水
素、炭素及び酸素元素を含んでいることが必要である。
この場合、1種の原料ガス中に上記全元素を含んでいて
もよく、またいずれかの元素を含む原料ガスの複数種を
組み合わせても良い。この場合、その原料ガス中の炭素
源濃度は20%以下とする必要がある。ここで言う炭素
源濃度とは、 (炭素源ガス流量)×(炭素源ガス中の炭素原子数)/
(全原料ガス流量)×100 である。炭素源ガス中の炭素源原子数は、たとえばメタ
ン(CH4 )なら1、プロパン(C38 )なら3、ア
セトン(CH3 COCH3 )なら3となる。この炭素源
濃度を20%以下とする理由は、ダイヤモンド結晶の過
飽和度を抑え、アモルファス炭素の成長を抑制するため
である。下限は特にないが0.01%以下では実用的な
ダイヤモンド結晶の形成速度が得られない場合がある。
【0019】更に、CVD法においては、原料ガス中の
酸素と炭素の原子数の比(O/C)を0.2≦O/C≦
1.2、望ましくは0.3≦O/C≦1.1とすること
が好ましい。0.2未満では添加効果がなく、良質のダ
イヤモンド結晶を得ることができず、また1.2を越え
ると酸素のエッチング効果で実用上使用可能なダイヤモ
ンド形成速度を得ることができないことがある。上記O
/C値を調節するには、例えば、O2 、H2 O、N2
などの酸素添加ガスを原料ガス中に添加することができ
る。
【0020】燃焼炎法では、酸素−アセチレン炎を用い
るがこの主たる原料ガス中の酸素とアセチレンとのモル
比の値は0.85≦O2 /C22 ≦1.0となるよう
に、好ましくは、0.9≦O2 /C22 ≦0.99と
することで、良質な結晶性を有し、さらに比較的高い成
長速度(数十μm/hr)でダイヤモンド結晶膜を形成
することができる。
【0021】本発明で用いられる基体は、種々の金属性
基体、半導体基体、セラミックス基体及び絶縁体基体で
ある。このうち、絶縁性基体においては少なくとも表面
には導電層を設け、プラズマ処理時のバイアス効果を生
じさせる必要がある。導電層としては種々の金属層及び
半導体層を用いることができる。
【0022】本発明のダイヤモンド結晶膜は、特にヒー
トシンク(脱熱材)及び半導体装置として好適である。
ダイヤモンド結晶は、常温で物質中一番の熱伝導率[2
000W/(m・K)]を有しているため、ダイヤモン
ド結晶上に種々の半導体装置、例えばマイクロ波発振
器、レーザーダイオード等を作成または装着することに
より、半導体装置の放熱効果を大幅に向上させることが
できる。また、自然界では、原子量12の12Cと原子量
13の13Cの2つの同位体がそれぞれ98.9%と1.
1%の割合で存在している。上述したダイヤモンド結晶
の熱伝導率は、「自然界の炭素」を用いた場合である
が、原子量12の12Cの割合を増やすことにより、更に
熱伝導率が向上する。例えば、13Cの割合を0.1%程
度まで減らすことにより熱伝導率は、3000W/(m
・K)まで向上する。本発明においても、同位体的な純
度の高い炭素原料を用いることにより更に熱伝導率の高
い好適なヒートシンクを作成することができる。
【0023】更に、ダイヤモンド結晶膜中に適度なドー
パントを添加することにより、半導体ダイヤモンド結晶
を形成することができる。この半導体ダイヤモンド結晶
層は、基体上に形成しても良いし、基体上に絶縁性ダイ
ヤモンド結晶層を形成した後に半導体ダイヤモンド結晶
層を積層しても良い。この半導体ダイヤモンド結晶層
は、単結晶層であるので、電子及び正孔の移動度が大き
く良好な半導体特性を有する。なお、p型半導体層を形
成するためには、原料ガス中にホウ素を含有するガスを
印加する方法、またアルコール等に液体炭素源を用いる
場合は液体炭素源中にほう酸等のホウ素源を添加する方
法、更にはホウ素イオンをダイヤモンド結晶に注入する
イオン注入法等を用いることができる。また、n型半導
体層を形成するためには、原料ガス中に燐、リチウム、
ナトリウムを含有するガスを印加する方法、またアルコ
ール等に液体炭素源を用いる場合は液体炭素源中に燐、
リチウム、ナトリウム等の含有物を添加する方法、更に
は燐、リチウム、ナトリウムイオンをダイヤモンド結晶
に注入するイオン注入法等を用いることができる。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。
【0025】実施例1 本実施例においてダイヤモンド結晶の合成は図2に示す
マイクロ波プラズマCVD法を用いておこなった。図2
中、21は石英製反応管、22は原料ガス導入口で不図
示のガスボンベ、ガス流量調節器、バルブが接続されて
いる。23はガス排気口で不図示のターボ分子ポンプ、
ドライポンプ及びバルブ、圧力調整用バルブが接続され
ている。24はマイクロ波導波管で不図示のマイクロ波
電源が接続されている。25はメッシュ電極でアースに
設置されている。26は基体、27は基体ホルダーで2
8のバイアス印加用電源が接続されている。基板として
はシリコン単結晶基板(1インチ径、{100}面)を
用いた。この基板をマイクロ波プラズマCVD装置に入
れ、まず、プラズマ処理を行う。プラズマ処理条件は、
メタン(25%)−クリプトン(25%)−水素系ガス
を用い、圧力:50Torr、マイクロ波出力:300
W、基板バイアス:−80V(バイアス印加用電源28
として直流電源を使用)、処理時間:30分間とした。
続いて、同一の装置を用いてダイヤモンド結晶を形成し
た。ダイヤモンド結晶の形成条件は、エチルアルコール
(1%)−水素系で、圧力:60Torr、マイクロ波
出力:600W、基板温度:800℃、合成時間は5時
間とした。この時、バイアス印加用電源28をはずし、
基体ホルダーをアース電位に接地した。以上のようにし
て得られたダイヤモンド結晶を走査型電子顕微鏡観察を
行った所、平坦性の良好な多結晶膜が約4μm厚形成さ
れていることが分かった。
【0026】実施例2 プラズマ処理時の添加ガスを、メタン(10%)−水素
−(アルゴン、クリプトン、キセノン、の内いずれか)
の系に変化させる以外は実施例1と同様にしてプラズマ
処理を行った。いづれのサンプルについても、ダイヤモ
ンド結晶の合成時間を30分のものと5時間のもの、2
サンプルづつ形成し(形成条件)は実施例1と同様)、
合成時間30分のダイヤモンド結晶について、走査型電
子顕微鏡を用いて核発生密度の測定を行い、合成時間5
時間のダイヤモンド結晶については膜表面の面粗さ測定
を行った。まず、核発生密度の測定結果を図3に示す。
図3は、アルゴン、クリプトン、キセノンガスの添加量
と、核発生密度との関係を示したものである。この図に
よれば、クリプトン、キセノンを10−80%の範囲内
で添加することにより核発生密度は107 個/mm2
上となり、大幅なダイヤモンド核形成密度の向上が認め
られた。これに対し、クリプトン、キセノンの添加量が
10%未満、及び80%より大きい場合は、核発生密度
は106 個/mm2 台であった。更に、クリプトン、キ
セノンの代わりにアルゴンを用いた場合、添加によりク
リプトン、キセノンと同様にダイヤモンド結晶核発生増
加の効果が観察されるが、やはり核発生密度は106
/mm2 台であった。また、各サンプルについて、ダイ
ヤモンド膜の面粗さ(Rmax)を測定した所、クリプ
トン、キセノンの添加量が10−80%の場合、50n
m以下と良好な平滑性を有していることが分かった。こ
れに対し、クリプトン、キセノンの添加量が0%、90
%のダイヤモンド膜の面粗さは、100nm以上であっ
た。このように本発明のキセノン、クリプトンの範囲内
にすることにより、ダイヤモンド結晶の核発生密度は、
クリプトン及びキセノンを添加しない場合又は添加量が
本発明の範囲外の場合と比べ、大幅に増加し、平坦性の
良好なダイヤモンド結晶膜を得ることができた。
【0027】実施例3−6、比較例1−2 基板前処理方法を変化させる以外は、実施例2と同様に
してダイヤモンド結晶を形成した。析出物は走査型電子
顕微鏡で観察した。なお、実施例5においては、バイア
ス印加用電源28として直流バイアスの代わりに、1
3.56MHzの高周波バイアスを印加し、その自己バ
イアスの値をバイアス電圧とした。実施例3−6におい
て、平坦性が良好なダイヤモンド結晶膜が観察された。
しかしながら、比較例1においては、核発生密度が小さ
く、膜状のダイヤモンド結晶は得られなかった。また、
比較例2においては、凹凸の大きい膜状ダイヤモンド結
晶が得られた。
【0028】実施例7 本実施例ではダイヤモンド結晶の選択堆積を行った。ま
ず、シリコン単結晶基板(1インチ径、{111}面)
上に、公知の光描画法を用いて、酸化けい素(SiO
2 )のパターンを形成する。パターン膜厚は0.2μm
で、線幅を10μmで10μmピッチとした。この基板
を公知のECRプラズマCVD装置に入れ、まず、プラ
ズマ処理を行う。プラズマ処理条件は、エチルアルコー
ル(15%)−水素−キセノン(40%)系ガスを用
い、圧力:1Torr、マイクロ波出力:300W、基
板バイアス:−200V、処理時間:30分間とした。
【0029】続いて、同一の装置を用いてダイヤモンド
結晶を形成した。ダイヤモンド結晶の形成条件は、一酸
化炭素(5%)−水素系で、圧力:0.5Torr、マ
イクロ波出力:750W、基板温度800℃、合成時間
は8時間、基板電位はアースとした。以上のようにして
得られたダイヤモンド結晶を走査型電子顕微鏡観察を行
った所、平坦性の良好なダイヤモンド結晶が酸化けい素
パターン以外の部分にのみ選択的に約4μm厚形成され
ていることが分かった。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明により、ダイヤモンド結晶の核発
生が増加し、平坦性の良好なダイヤモンド結晶膜が得ら
れる。更に、ダイヤモンド結晶の選択成長も可能となっ
た。これらのダイヤモンド結晶は、特に電子材料、ヒー
トシンクとしてすぐれたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイアモンド結晶の選択成長法の模式図であ
る。
【図2】マイクロ波プラズマを用いたプラズマ処理装置
の模式図である。
【図3】ダイヤモンド結晶核発生密度の基板前処理依存
性を示したグラフである。
【符号の説明】
1 基体 2 絶縁性マスク 3 ダイヤモンド結晶核 4 ダイヤモンド結晶 21 石英製反応管 22 ガス導入口 23 ガス排気口 24 マイクロ波導波管 25 メッシュ電極 26 基体 27 基体ホルダー 28 バイアス印加用電源

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相合成法を用いた、ダイヤモンド結晶
    の形成方法における基体への前処理法であって、少なく
    とも炭素を含有する化合物のプラズマ中で基体にバイア
    スを印加してダイヤモンド結晶核を形成するプラズマ処
    理法において、前記プラズマ中に体積比10%以上、8
    0%以下のキセノンまたはクリプトンより選ばれた1種
    以上のガスを添加することを特徴とするダイヤモンド結
    晶の形成方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面に電気伝導層が形成され
    ている基体上に絶縁性マスクパターンを形成し、更に特
    許請求項1記載のプラズマ中で前記基体にバイアスを印
    加してダイヤモンド結晶核を形成するプラズマ処理を施
    し、更にその後に、気相合成法を用いて前記絶縁性マス
    クパターン以外の部分に選択的にダイヤモンド結晶層を
    形成することを特徴とするダイヤモンド結晶の形成方
    法。
JP26251493A 1993-10-20 1993-10-20 ダイヤモンド結晶の形成方法 Pending JPH07118093A (ja)

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JP26251493A Pending JPH07118093A (ja) 1993-10-20 1993-10-20 ダイヤモンド結晶の形成方法

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JP (1) JPH07118093A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH107492A (ja) * 1996-06-25 1998-01-13 Kobe Steel Ltd 単結晶ダイヤモンド膜の形成方法

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