JPH06263355A - エレベータシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 非常事態発生時に、搭乗者に対して非常事態
の発生を適確に伝えることが出来るエレベータシステム
を提供する。 【構成】 乗りかご１内には、映像表示装置２と、エレ
ベータの運転に非常事態が発生したとき、これを検知す
る非常事態検知装置３とが取り付けられている。エレベ
ータの正常な運転状態にて、前記映像表示装置２へ第１
の映像信号を供給すべき通常時映像発生装置４と、非常
事態が発生したとき、前記映像表示装置２へ非常事態に
関する第２の映像信号を供給すべき非常時映像発生装置
５とが、切換え装置６を介して映像表示装置２へ接続さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エレベータの乗りかご
内に映像表示装置を設置したエレベータシステムに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】エレベータに乗り合わせる搭乗者はお互
いに知合いでないのが通常であり、然もエレベータ内の
搭乗スペースは限られているから、特に大勢の搭乗者で
混雑した場合には、お互いが接近或いは接触することと
なって、不快感や緊張感を生む。

【０００３】そこで、従来はストレス解消策として、乗
りかご内に心地好い照明を施したり、音楽を流す等の工
夫が為されている。

【０００４】又、乗りかご内の垂直壁面に映像表示装置
を設けて、搭乗者の視線を映像に集めることによって、
ストレスを軽減せんとするエレベータシステムが提案さ
れている(特開平3-182489号〔B66B11/02〕)。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、エレベータ
の運転中に火災や地震等の非常事態が発生した場合、従
来のエレベータシステムにおいては、乗りかご内に設置
されたインターホンを通じて運転管理係員との交信が可
能となり、運転管理係員からの指示に従うことによっ
て、非常事態に対処することが出来る。

【０００６】しかしながら、従来のエレベータシステム
においては、非常事態が発生したとき、搭乗者の注意が
映像表示装置に引き付けられたままとなって、非常事態
の発生に気付くのが遅れてしまう虞れがある。又、非常
事態の発生によって極度の緊張状態に陥った搭乗者に対
し、音声のみによる交信では、不安を和らげる効果が十
分でなく、運転管理係員の指示が搭乗者へ正確に伝わら
ない虞れがある。

【０００７】本発明の目的は、非常事態発生時に、搭乗
者に対して非常事態の発生を適確に伝えることが出来る
エレベータシステムを提供することである。

【０００８】

【課題を解決する為の手段】本発明に係るエレベータシ
ステムは図１に示す如く、エレベータの運転に非常事態
が発生したとき、これを検知する非常事態検知装置(３)
と、エレベータの正常な運転状態にて、前記映像表示装
置(２)へ第１の映像信号を供給すべき通常時映像発生装
置(４)と、非常事態が発生したとき、前記映像表示装置
(２)へ非常事態に関する第２の映像信号を供給すべき非
常時映像発生装置(５)と、通常時映像発生装置(４)及び
非常時映像発生装置(５)の出力端を映像表示装置(２)の
入力端へ切換え接続すべき切換え装置(６)と、非常事態
検知装置(３)からの非常事態検知信号に基づいて、前記
切換え装置(６)を切換え制御する主制御回路(７)とを具
えている。

【０００９】ここで、非常時映像発生装置(５)は、エレ
ベータの運転状態を監視すべき管理センター(42)内に設
置されて運転管理係員を撮影する映像撮影装置(18)によ
って構成することが出来、この場合、管理センター(42)
内には、運転管理係員の音声を入力するための音声入力
装置(19)が配備される。一方、乗りかご(１)内には、映
像表示装置(２)と共に音声出力装置(８)が配備され、前
記映像撮影装置(18)からの映像信号が映像表示装置(２)
へ供給されると同時に、音声入力装置(19)からの音声信
号が音声出力装置(８)へ供給される。

【００１０】

【作用】エレベータの正常な運転状態においては、切換
え装置(６)が通常時映像発生装置(４)側へ切り換えら
れ、通常時映像発生装置(４)からの第１の映像信号が映
像表示装置(２)へ供給される。これによって、搭乗者の
視線が映像表示装置(２)の映像に集められ、複数人が乗
り合わせたことに伴う緊張感が和らげられる。

【００１１】火災や地震等の非常事態が発生した場合
は、例えば乗りかご(１)内に設置された非常監視センサ
ー(12)等の非常事態検知装置(３)が動作して、該非常事
態検知装置(３)による検知信号が主制御回路(７)へ送出
される。該主制御回路(７)の制御によって、切換え装置
(６)が非常時映像発生装置(５)側へ切り換えられ、非常
時映像発生装置(５)からの第２の映像信号が映像表示装
置(２)へ供給される。これによって、映像表示装置(２)
に映出される映像が非常事態に関する内容に切り換わ
り、該映像によって搭乗者は非常事態の発生を認識する
ことが出来ると共に、対処の方法を正確に把握すること
が出来る。

【００１２】特に、管理センター(42)内に映像撮影装置
(18)及び音声入力装置(19)を設置した構成においては、
非常事態発生時に、運転管理係員の映像が乗りかご(１)
内に映出されると同時に、運転管理係員の音声が乗りか
ご(１)内に放音される。これによって緊張状態の搭乗者
は安心して、運転管理係員の指示に従うことが出来る。

【００１３】

【発明の効果】本発明に係るエレベータシステムによれ
ば、非常事態の発生を遅滞なく認識出来、映像を通じて
対処の方法を正確に把握することが出来る。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例につき、図面に沿っ
て詳述する。図１は本発明に係るエレベータシステムの
基本的な構成を表わしており、乗りかご(１)内には、映
像表示装置(２)と、エレベータの運転に非常事態が発生
したとき、これを検知する非常事態検知装置(３)とが取
り付けられている。エレベータの正常な運転状態にて、
前記映像表示装置(２)へ第１の映像信号を供給すべき通
常時映像発生装置(４)と、非常事態が発生したとき、前
記映像表示装置(２)へ非常事態に関する第２の映像信号
を供給すべき非常時映像発生装置(５)は、切換え装置
(６)を介して映像表示装置(２)へ接続されている。

【００１５】通常時映像発生装置(４)及び非常時映像発
生装置(５)の動作と、切換え装置(6)の切換え動作は、
主制御回路(７)によって制御されており、非常事態検知
装置(３)が非常事態の発生を検知すると、該検知信号が
主制御回路(７)へ送出され、これによって主制御回路
(７)は非常時映像発生装置(５)を動作させると同時に、
切換え装置(６)を非常時映像発生装置(５)側へ切り換え
て、映像表示装置(２)に非常時の映像を映出するのであ
る。

【００１６】図２及び図３は、上記エレベータシステム
の更に具体的な構成を示しており、エレベータ装置(41)
と管理センター(42)が外部回線によって互いに連結され
ている。

【００１７】図２の如く、エレベータ装置(41)を構成す
る乗りかご(１)内には、液晶プロジェクター、ＣＲＴ等
の映像表示装置(２)が設置されると共に、管理センター
(42)からの音声を出力するための音声出力装置(８)、搭
乗者の音声を管理センター(42)へ送るための音声入力装
置(10)、更に必要に応じて乗りかご(１)内の映像を管理
センター(42)へ送るための映像撮影装置(９)が設置され
ている。

【００１８】映像表示装置(２)及び音声出力装置(８)に
は映像・音声処理装置(13)が接続され、該映像・音声処
理装置(13)には、正常な運転状態にて搭乗者の視線を引
き付けたり、緊張を和らげるための環境映像やバックグ
ラウンドミュージック等の映像・音声ソースが予め収録
されている。尚、映像・音声ソースは外部回線を通じて
エレベータシステムの外部から供給することも可能であ
る。

【００１９】映像・音声処理装置(13)からの映像信号及
び音声信号は、伝送路を通じて、乗りかご(１)内の映像
表示装置(２)及び音声出力装置(８)へ送られる。

【００２０】又、乗りかご(１)の昇降動作を制御するエ
レベータ制御回路(17)からは、乗りかご(１)の停止した
フロア番号等、エレベータの運転状況を表わす情報が映
像・音声処理装置(13)へ供給される。該映像・音声処理
装置(13)は、前記映像・音声ソースの映像に運転状況情
報をスーパーインポーズし、その映像信号を映像表示装
置(２)へ送出すると共に、前記映像・音声ソースの音声
信号を音声出力装置(８)へ送出する。

【００２１】これによって、乗りかご(１)内には、階数
表示を含む映像が映出されると同時に、心地良い音楽等
が流れて、搭乗者の緊張感を和らげる。

【００２２】一方、非常事態が発生したときには、乗り
かご(１)内に設置された非常呼び出しキー(11)による通
報信号や、乗りかご(１)の内外の適所に設置された非常
監視センサー(12)からの警報信号(以下、通報信号及び
警報信号を非常信号と総称する)が、エレベータ制御回
路(17)を経て、運転管理係員が常駐する管理センター(4
2)へ送出される。

【００２３】又、エレベータ制御回路(17)からの非常信
号は、前記切換え装置(６)としての非常時映像・音声切
換制御回路(16)へ送出され、該切換制御回路によって映
像・音声処理装置(13)、非常時映像・音声入力装置(1
4)、及び非常時映像・音声送出装置(15)の動作が制御さ
れる。

【００２４】即ち、非常事態発生時には、映像・音声処
理装置(13)の動作を停止させる一方、非常時映像・音声
入力装置(14)及び非常時映像・音声送出装置(15)を動作
させて、管理センター(42)から送られてくる映像信号及
び音声信号を非常時映像・音声入力装置(14)に受け入れ
ると共に、映像撮影装置(９)及び音声入力装置(10)から
送られてくる映像信号及び音声信号を、非常時映像・音
声送出装置(15)を通じて管理センター(42)へ送出する。

【００２５】非常時映像・音声入力装置(14)に受け入れ
られた映像信号及び音声信号は映像・音声処理装置(13)
を通じて夫々映像表示装置(２)及び音声出力装置(８)へ
供給される。

【００２６】これによって、映像表示装置(２)には、管
理センター(42)からの映像が映出されると同時に、音声
出力装置(８)からは、管理センター(42)からの音声が放
音されることになる。

【００２７】一方、管理センター(42)には、図３に示す
如く運転管理係員自身を撮影するための映像撮影装置(1
8)や運転管理係員の音声を入力するための音声入力装置
(19)が設けられ、この映像や音声は、非常時映像・音声
処理装置(24)を経て、映像・音声送出装置(25)へ供給さ
れる。ここで、非常時映像・音声処理装置(24)は、例え
ばＶＴＲ等の記録装置を含むことが出来、この場合、非
常時の映像及び音声は、予めＶＴＲに収録しておくこと
が可能である。映像・音声送出装置(25)へ供給された映
像信号及び音声信号は外部回線を通じてエレベータ装置
(41)へ送出される。

【００２８】又、前述の如く乗りかご(１)内に映像撮影
装置(９)が設置されている場合には、管理センター(42)
に、映像撮影装置(９)からの映像を映出するための映像
表示装置(20)が設置される。更に管理センター(42)には
スピーカ等の音声出力装置(21)が設置される。

【００２９】エレベータ装置(41)から送られてくる非常
信号は管理センター(42)のエレベータ制御状況入力装置
(28)を通じてエレベータ制御状況表示装置(23)へ供給さ
れると同時に、非常時映像・音声送出制御装置(27)へ供
給される。これによって、エレベータ制御状況表示装置
(23)はエレベータの運転状況を管理センター(42)内に表
示する。

【００３０】又、非常時映像・音声送出制御装置(27)
は、非常時映像・音声処理装置(24)、映像・音声送出装
置(25)及び映像・音声入力装置(26)の動作を制御する。
即ち、非常事態発生時には、非常時映像・音声処理装置
(24)からの映像信号及び音声信号を映像・音声送出装置
(25)からエレベータ装置(41)へ送出すると同時に、エレ
ベータ装置(41)から送られてくる映像信号及び音声信号
を映像・音声入力装置(26)から映像表示装置(20)及び音
声出力装置(21)へ供給する。

【００３１】これによって、図２に示す映像表示装置
(２)には、運転管理係員の映像が映出されると同時に、
運転管理係員の音声が音声出力装置(８)から放音され
る。これに応じて、乗りかご(１)内の搭乗者は安心し
て、運転係員の指示に従うことが出来る。

【００３２】尚、管理センター(42)には非常時手動切換
制御装置(22)が設置されており、エレベータ制御状況入
力装置(28)からの非常信号に拘わらず、手動によって非
常時のモードに切り換えることが出来る。

【００３３】次に、前記映像表示装置(２)の取り付け位
置及び取り付け姿勢について説明する。図４に示す如
く、乗りかご(１)内の出入口ドア(29)の上方位置に、両
側壁(30)(30)に跨がると共に、天井(31)に対して所定角
度(例えば３０度〜４０度)だけ傾斜した傾斜壁(32)を設
け、該傾斜壁(32)内に表示画面(33)を設置する。

【００３４】この場合、乗りかご(１)内にて出入口ドア
(29)側に向いた搭乗者は、そのまま斜め上方に視線を向
ければ、視線が表示画面(33)に対して略垂直に対向する
こととなり、無理な姿勢をとることなく、表示画面(33)
の映像を観賞することが出来る。非常時においては、表
示画面(33)に図示の如く運転管理係員の顔が映出され、
搭乗者の不安感を効果的に軽減させるのである。

【００３５】尚、図４の例では、出入口ドア(29)の上方
位置に、従来と同様に階数インジケータ(34)が設置され
ており、該階数インジケータ(34)と表示画面(33)とは搭
乗者の同一視野内に入ることとなる。

【００３６】又、図５に示す例は、出入口ドア(29)の上
方位置に平面型のディスプレイ(35)(35)を設置したもの
である。

【００３７】図６に示す如く映像表示装置(２)を映像投
射装置(36)と光反射器(37)によって構成する場合、乗り
かご(１)には、第１天井(31ａ)の下方に第２天井(31ｂ)
と傾斜壁(32)を設け、該傾斜壁面内に背面投射型の表示
画面(33)を設置する。又、映像投射装置(36)は、第２天
井(31ｂ)の上に水平に設置し、該映像投射装置(36)から
の投写映像を光反射器(37)にて反射させて、表示画面(3
3)へ導く。

【００３８】図６の構成によれば、第１天井(31ａ)と第
２天井(31ｂ)の間の扁平な空間を利用して、映像投射装
置(36)から光反射器(37)を経て表示画面(33)へ至る光路
長を充分に長くとることが出来るので、表示画面(33)の
大型化が可能である。

【００３９】上記実施例の説明は、本発明を説明するた
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本
発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲
に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは
勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るエレベータシステムの構成を示す
ブロック図である。

【図２】エレベータ装置の具体的な構成を示すブロック
図である。

【図３】管理センターの具体的な機器構成を示すブロッ
ク図である。

【図４】乗りかご内における表示画面の位置及び姿勢を
示す斜視図である。

【図５】表示画面の他の構成例を示す図４対応の斜視図
である。

【図６】図４の例における光学系の配置を示す一部破断
側面図である。

【符号の説明】

(１) 乗りかご (２) 映像表示装置 (３) 非常事態検知装置 (４) 通常時映像発生装置 (５) 非常時映像発生装置 (６) 切換え装置 (７) 主制御回路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西垣 敦郎 大阪府守口市京阪本通２丁目18番地 三洋 電機株式会社内 (72)発明者 山下 明俊 大阪府守口市京阪本通２丁目18番地 三洋 電機株式会社内 (72)発明者 津村 知彦 大阪府茨木市庄１丁目28番10号 フジテッ ク株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータの乗りかご(１)内に映像表示
   装置(２)を設置したエレベータシステムであって、 エレベータの運転に非常事態が発生したとき、これを検
   知する非常事態検知装置(３)と、 エレベータの正常な運転状態にて、前記映像表示装置
   (２)へ第１の映像信号を供給すべき通常時映像発生装置
   (４)と、 非常事態が発生したとき、前記映像表示装置(２)へ非常
   事態に関する第２の映像信号を供給すべき非常時映像発
   生装置(５)と、 通常時映像発生装置(４)及び非常時映像発生装置(５)の
   出力端を映像表示装置(２)の入力端へ切換え接続すべき
   切換え装置(６)と、 非常事態検知装置(３)からの非常事態検知信号に基づい
   て、前記切換え装置(６)を切換え制御する主制御回路
   (７)とを具えたことを特徴とするエレベータシステム。
2. 【請求項２】 非常時映像発生装置(５)は、エレベータ
   の運転状態を監視すべき管理センター(42)内に設置され
   て運転管理係員を撮影する映像撮影装置(18)によって構
   成されると共に、管理センター(42)内には、運転管理係
   員の音声を入力するための音声入力装置(19)が配備され
   る一方、乗りかご(１)内には、映像表示装置(２)と共に
   音声出力装置(８)が配備され、前記映像撮影装置(18)か
   らの映像信号が映像表示装置(２)へ供給されると同時
   に、音声入力装置(19)からの音声信号が音声出力装置
   (８)へ供給される請求項１に記載のエレベータシステ
   ム。