JPH0624432Y2 - 護岸構築物の防食構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、護岸構築物の防食構造、特に鋼矢板の海側を
複数のカバーパネルと側板パネルで被覆する防食構造に
関する。

［従来の技術］ 鋼矢板等の護岸構築物は、その干満域及び飛沫域が集中
的に腐食するので、第２図に示すように海側をＦＲＰ等
の防食カバー２で被覆し、カバー内にモルタルを充填し
て固化させている。防食カバー２は、複数のカバーパネ
ル２ａと側板パネル２ｂを接続してほぼ一直線に形成さ
れ、カバーパネル２ａの両端がブラケット３を介して鋼
矢板１に固定される。側板パネル２ｂは、カバーパネル
２ａ端の対向した二又部４の間に上方から差し込まれ、
図示してないがその下端は底板によって支持される。

モルタルの充填は、カバーパネル２ａに形成された注入
口５から行なわれ、モルタルの一部がブラケット３の切
欠き６を通って側板パネル２ｂ内にも流入する。モルタ
ルの注入後は、パネル７でこれらの注入口５が閉鎖され
る。

一方、既設の鋼矢板１を防食する場合には、上方に所定
のコンクリートが既に構築されているので、側板パネル
２ｂを一対の二又部４へ上方から落とし込めない難点が
ある。

このため、実開昭６０−５８６５０号の考案では、側板
パネル２ｂの中央にヒンジを取り付け、屈曲状態で前面
から二又部４の間に挿入し、中で一直線に広げている。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、ヒンジ式の側板パネルは、どうしてもぐらぐら
動くので取り付けや位置決めがしにくく、また運搬上も
不便である。

本考案は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、そ
の目的は、側板パネルが動かない状態でカバーパネル間
の前面から容易に挿入し得る護岸構築物の防食構造を提
供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案は、鋼矢板、鋼管矢板
等の護岸構築物を耐食性のカバーパネルで被覆し、各カ
バーパネルの間に側板パネルが連結されて成る防食構造
において、前記側板パネルに段違いの屈曲部を形成して
いる。

［作用］ この構成により、まず鋼矢板等の海側にブラケットや金
具を介してカバーパネルを取り付けた後、各カバーパネ
ルの端部間に前面から段違いの側板パネルの一端をやや
深く差し込み、他端を内側に入れてから中央に戻すこと
が可能となり、これで、側板パネルが適正位置に配置さ
れる。

［実施例］ 第１図には、本考案の防食構造が適用された鋼矢板１が
示されており、図中第２図と同じ部分には同一番号を付
してある。

カバーパネル２ａは、鋼矢板１の凹み空間１ａをそれぞ
れ被覆し、その二箇所がブラケット３，８によって鋼矢
板１に固着されている。ブラケット３は、従来と同様に
断面Ｌ字形の鋼材で上下方向に延びており、鋼矢板１側
は溶接、カバーパネル２ａ側はボルト止めされている。

一方、ブラケット８は、第３図に拡大して示すように凹
み側空間１ａと突出側空間１ｂを仕切っておらず、平板
部分８ａの一部が鋼矢板１に溶接されている。ブラケッ
ト８とカバーパネル２ａとは、重ね合わせた状態でボル
ト９及びナット１０により固着されている。

カバーパネル２ａの両端には、従来と同様に二又部４が
形成され、隣りの二又部４との間に側板パネル２ｃが差
し込まれている。側板パネル２ｃのほぼ中央には、第４
図に示すように段違いの屈曲部１１が形成されている。

カバーパネル２ａ及び側板パネル２ｃの下端は、図示し
てないがコンクリート袋やシール部材によってモルタル
が漏れないように密封され、上方には護岸用のコンクリ
ートが盛られている。

従って、一対の二又部４の上方から側板パネル２ｃを落
とせない場合は、第４図に示すようにその正面（図中下
方）から側板パネル２ｃの左端を二又部４にやや深く差
し込み、右端を右側の二又部４に入れて屈曲部１１がほ
ぼ中央へくるように位置決めする。このため、防食カバ
ー２は、側板パネル２ｃの段差によって完全な一直線と
はならないが、鋼矢板１やカバーパネル２ａの寸法に比
べるとこの段差は僅かであるため、実際の防食工事には
殆ど支障がない。

カバーパネル２ａ及び側板パネル２ｃとの取り付けを終
えたら、注入口５からモルタルをカバーパネル２ａ内に
注入する。このとき、空間１ａに入ったモルタルは、ブ
ラケット８に妨げられることなく空間１ｂに流入でき、
側板パネル２ｃはモルタルの膨張圧でしっかりと固定さ
れる。モルタルの注入が終了したら、カバーパネル２ａ
の各注入口５をパネル７で閉鎖する。

尚、上記実施例では、鋼矢板１の防食構造を示したが、
本考案は鋼管矢板等、他の護岸構築物にも適用が可能で
ある。また、側板パネル２ｃとカバーパネル２ａとの連
結は、二又式以外の構造にしてもよい。

［考案の効果］ 以上詳述したように、本考案の防食構造によれば、側板
パネルに段違いの屈曲部を形成するだけで、一対のカバ
ーパネル間にその前面から各側板パネルを容易に取り付
けられる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の防食構造が適用された鋼矢板の平面
図、第２図は従来品の平面図、第３図はブラケット取り
付け部分の拡大図、第４図は側板パネル取り付け状態の
拡大図である。 １……鋼矢板、２……防食カバー、２ａ……カバーパネ
ル、２ｃ……側板パネル、３，８……ブラケット、４…
…カバーパネルの二又部、５……モルタル注入口、１１
……段違い屈曲部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鋼矢板、鋼管矢板等の護岸構築物を耐食性
   のカバーパネルで被覆し、各カバーパネルの間に側板パ
   ネルが連結されて成る防食構造において、 前記側板パネルに段違いの屈曲部を形成したことを特徴
   とする護岸構築物の防食構造。