JPH0623462Y2 - 燃料タンクの液音防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ．産業上の利用分野 本考案は自動車等の車両に搭載された燃料タンクの液音
防止装置に関する。

ｂ．従来の技術 自動車用燃料タンクにあっては、車両の発進，制動時あ
るいはコーナリング時等に、タンク本体内の燃料の液動
に伴う液音発生を防止するために、該タンク本体内にバ
ッフルプレートを付設するようにしている。第５，６図
はこのようなバッフルプレートを備えた燃料タンクを示
すもので、図中１はアッパーシエル２とロアシエル３と
からなるタンク本体を示し、このタンク本体１内にバッ
フルプレート４を配設してある。このバッフルプレート
４は平面ハット状に曲折成形されていてその上縁にはフ
ランジ５を延設してあり、このフランジ５をアッパーシ
エル２の上壁２ａにスポット溶接等により接合して、タ
ンク本体１内に車幅方向に、つまり、タンク本体１の前
後方向と略直交するように前記アッパーシエル２の上壁
２ａに垂設してある。この類似構造は、例えば実公昭54
-22807号公報に示されている。

ｃ．考案が解決しようとする問題点 液音発生は、液動による燃料のアッパーシエル上壁２ａ
との衝突が大きな要因となっているが、前述のようにバ
ッフルプレート４をタンク本体１内に車幅方向に垂設し
てあるのでは、車両の発進，制動時等の燃料の前，後方
向液動規制には効果があるが、燃料満タン付近において
燃料のアッパーシエル上壁２ａとの衝突により発生する
衝撃打音（いわゆる「ドスン音」）の抑制には直接的に
寄与することがなく、期待するほどの液音防止効果が得
られないのが実状である。

そこで本考案は液動による燃料のアッパーシエル上壁と
の衝突を抑制して衝撃打音防止性を向上すると共に、通
常の車両発進，制動時の液動による揺動音いわゆる
（「ピシャピシャ音」）防止性をも確保できるようにし
た燃料タンクの液音防止装置を提供するものである。

ｄ．問題点を解決するための手段 本考案はかかる目的を達成するため、アッパーシエルと
ロアシエルとから成るタンク本体内に、前記アッパーシ
ェルの上壁と略平行になる一般面部分及び該一般面部分
に対して断面略Ｌ字状をなす後面部分よりなるバッフル
プレートが配され、且つ該バッフルプレートの一般面部
分の前縁に前縁フランジが、該バッフルプレートの後面
部分の上縁に後縁フランジが前記一般面部分及び後面部
分に対して略直角に曲折されると共に該前縁フランジ及
び後縁フランジによりアッパーシェルの上壁と、アッパ
ーシェルの前壁とに跨がって溶接により配設すると共に
少なくとも後面部分には開口を有するように配設し、か
つ前記一般面部分よりロアシエル底面側に略直角に垂下
片を突設するようにしたものである。

ｅ．実施例 以下、本考案の実施例を図面と共に前記従来の構成と同
一部分に同一符号を付して詳述する。

第１図及び第２図において、符号１０は前記アッパーシ
ェル２とロアシェル３とからなるタンク本体１内に配設
されたバッフルプレートである。このバッフルプレート
１０は、前記アッパーシェル２の上壁２ａと略平行にな
る一般面部分１０ａ及び該一般面部分１０ａに対し断面
略Ｌ字状をなす後面部分１０ｂよりなる。該一般面部分
１０ａの前縁には前縁フランジ１２が、該後面部分１０
ｂの上縁には後縁フランジ１３が、前記一般面部分１０
ａ及び後面部分１０ｂに対して夫々略直角に曲折形成さ
れてなる。該前縁フランジ１２は、アッパーシェル２の
上壁２ａと、アッパーシェル２の前壁２ｂとに跨がって
溶接により配設される。該後縁フランジ１３は、アッパ
ーシェル２の上壁２ａに溶接により配設される。前記一
般面部分１０ａ及び後面部分１０ｂには、夫々開口部た
る小孔１１及び切り欠き１７が複数形成してある。

そして、バッフルプレート一般面部分１０ａの略中央部
にはロアシエル３の底面側に突出する垂下片１４がスポ
ット溶接等により接合してあり、この垂下片１４は一般
面部分１０ａと略直角をなして配設されている。

かかる構成により、タンク本体１内に燃料が満タン近く
入っている状態での車両の発進，制動，コーナリング時
には、タンク本体１内の燃料が液動するが、燃料はバッ
フルプレート１０に衝突することと、このバッフルプレ
ート１０の小孔１１及び切り欠き１７を流通することに
よって大きな消波作用を受けてアッパーシエル上壁２ａ
への衝突が規制され、衝撃打音の発生防止性を安定的に
発揮する。また、バッフルプレート１０上に流出した燃
料は、小孔１１及び切り欠き１７より速やかに流下され
るため、バッフルプレート１０上に燃料が滞留して、こ
の滞留燃料の液動によって液音を発生するような事態を
生ずるのを回避することができる。また、前記開口部と
しての切り欠き１７により満タン付近における燃料が発
進時などに移動して生ずる後面部分１０ｂへの衝撃を和
らげることができる。

また、タンク本体１内の燃料残量があまり多くない状態
での通常の液動に対しては垂下片１４が燃料の揺動によ
る液音（いわゆる「ピシャピシャ音」）の発生を規制す
る。しかも、垂下片１４に燃料の衝突による入力が作用
してもこの入力がアッパーシエル２やロアシエル３に直
接伝わらず、バッフルプレート１０に伝達され吸収され
るため、アッパーシエル２、ロアシエル３の耐久強度に
何ら影響を及ぼさない。

しかもバッフルプレート１０をアッパーシエル上壁２ａ
とアッパーシエル前壁２ｂとに跨がって配設することに
よって、該バッフルプレート１０がアッパーシエル２の
レインフオースとしても機能し、アッパーシエル２の剛
性向上にも寄与することができる。

第３図，第４図に他の実施例を示す。

この実施例では、バッフルプレート１０の一般面部分１
０ａの数ケ所に切欠１５を設けると共にこの切欠かれた
部分をロアシエル３の底面側に略直角に切り起こして垂
下片１６を形成している。

この実施例によっても第１図，第２図の実施例と同様の
効果を発揮する他に、板材の追加がないため、コストア
ップせず安価に製作できるという効果も発揮する。

ｆ．考案の効果 以上、本考案によれば、アッパーシエル上壁との衝突を
抑制して衝撃打音防止性を向上すると共に通常の液動に
よる揺動音防止性もあわせて確保できるという実用的効
果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２図は同実
施例のバッフルプレートを示す斜視図、第３図，第４図
は本考案の他の実施例を示すそれぞれ第１図，第２図と
同様の図、第５図は従来の装置を示す断面図、第６図は
第５図のVI-VI線に沿う断面図である。 １……タンク本体、２……アッパーシエル、２ａ……ア
ッパーシェルの上壁、２ｂ……アッパーシェルの前壁、
３……ロアシェル、１０……バッフルプレート、１０ａ
……バッフルプレートの一般面部分、１０ｂ……バッフ
ルプレートの後面部分、１１、１５、１７……開口部、
１２、１３……前縁フランジ及び後縁フランジ、１４、
１６……垂下片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アッパーシェルとロアシェルとから成るタ
   ンク本体内に、前記アッパーシェルの上壁と略平行にな
   る一般面部分及び該一般面部分に対し断面略Ｌ字状をな
   す後面部分よりなるバッフルプレートが配され、且つ該
   バッフルプレートの一般面部分の前縁に前縁フランジ
   が、該バッフルプレートの後面部分の上縁に後縁フラン
   ジが前記一般面部分及び後面部分に対して略直角に曲折
   されると共に該前縁フランジ及び後縁フランジによりア
   ッパーシェルの上壁と、アッパーシェルの前壁とに跨が
   って溶接により配設すると共に少なくとも後面部分には
   開口部を有するように配設し、かつ前記一般面部分より
   ロアシェル底面側に略直角に垂下片を突設したことを特
   徴とする燃料タンクの液音防止装置。