JPH0630598Y2 - ステアリングコラムの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ステアリングコラムの取付構造に関するもの
である。

（従来の技術） 従来、ステアリングコラムの取付構造には、第５図に示
すものが知られている。

この例の場合、略水平方向に延在するエアーボックス１
の下壁部を形成するダッシュアッパーパネル２の下面２
ａには、ステアリングコラム３の下部を保持するための
ロアマウントブラケット４が固着され、ロアマウントブ
ラケット４にはステアリングコラム３の下部を保持する
コラムクランプ３ａが取付けられている。ステアリング
コラム３の上部はダッシュアッパーパネル２から運転席
側に突出するアッパーマウントブラケット５が取付けら
れ、このアッパーマウントブラケット５にステアリング
コラム３の上部を保持するコラムクランプ３ｂが固着さ
れている。尚、ステアリングコラム３は軸方向に荷重が
加わると縮んでエネルギー吸収する構造になっている。

（考案が解決しようとする問題点） 一般に、車体が衝突した時などのように、車体の前方か
ら後方に向かう衝撃力が加わってエンジンが車体後方に
変位する場合、ダッシュロアパネル６が運転席側に接近
するように変形することがある（第５図一点鎖線参
照）。

このような場合、従来のステアリングコラムの取付構造
では、ダッシュアッパーパネルの略延在方向と同じ方向
から衝撃力が入力されると、この衝撃力は直接ロアマウ
ントブラケット４の前側の傾斜壁部４ａの延在方向に作
用するので、図中の一点鎖線Ａに示すようにダッシュア
ッパーパネル２が下方に向かって変形する。その結果、
第４図一点鎖線で示すように、ロアマウントブラケット
４の下端部が車体下方に変形する一方、図中一点鎖線Ｂ
に示すように、ステアリングコラム３の上部が上方に変
位し、ステアリングコラム３の縮み方向のエネルギー吸
収作用を阻害してしまうことが考えられる。

（考案の目的） 本考案にかかるステアリングコラムの取付構造は、かか
る問題に着目してなされたものであり、車体の正面衝突
時にステアリングコラムの姿勢変化を防ぎ、ステアリン
グコラムの縮み方向のエネルギー吸収を確実に行うこと
を目的としている。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案にかかるステアリン
グホイールの取付構造は、ダッシュアッパーパネルの底
壁部下面にロアマウントブラケットを取付け、前記ダッ
シュアッパーパネルの運転席側にアッパーブラケットを
設け、このロアマウントブラケットとアッパーマウント
ブラケットとに、ステアリングコラムを支承させたステ
アリングコラムの取付け構造において、 前記ダッシュアッパーパネルの底壁部にダッシュアッパ
ーパネルを上方に変形させる上方変形部を形成したこと
を特徴とする。

（作用） かかる構成によれば、車体衝突時にエンジンが車体後方
に変位してダッシュロアパネルが車室側に変位すると、
ダッシュアッパーパネルの底壁部が座屈する。このと
き、上方変形部の凸面部が底壁部の周縁部より上方に位
置しているので、凸面部は底壁部の上方に変形しようと
し、凸面部の下面に固着されたロアマウントブラケット
の基部が上方に変位しようとする。

一方、車体衝突時には前輪部の後方変位によりステアリ
ングコラムの前端部には下方に曲がろうとする力が作用
する。このため、ロアマウントブラケットの基部には下
方に作用する応力と上方に変位しようとする応力と作用
するので、両者が相殺されることとなる。このため、ス
テアリングコラムの姿勢変化がなくステアリングコラム
のエネルギー吸収が確実に行える。

（実施例） 以下、本考案のステアリングコラムの取付構造の実施例
を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案の第１実施例にかかるステアリングコラ
ムの取付構造を示しており、エンジンルーム１０と車室
１１とを画成するダッシュロアパネル１２の上部にはダ
ッシュアッパーパネル１３が略水平方向に延在してお
り、ダッシュアッパーパネル１３の底壁部１３ａ上方は
カウルトップパネル１４で閉成され、エアボックス１５
が形成されている。

ダッシュアッパーパネル１３の底壁部１３ａは、エアボ
ックス１５側に突出するように上方に湾曲形成されてお
り、本実施例では、この底壁部１３ａが上方変形部とし
て構成されている。勿論、この上方変形部は、ダッシュ
アッパーパネル１３の底壁部１３ａ全体で構成されるこ
とに限定されないのであって、底壁部１３ａのステアリ
ングコラム１６直上の部位を上方に突出させて構成して
も良い。

ダッシュアッパーパネル１３の底壁部１３ａの下面１３
ｂには、ロアマウントブラケット１７の前側壁部１７ａ
が固着されている。ロアマウントブラケット１７は大略
「Ｖ」字型の断面形状を有しており、ダッシュアッパー
パネル１３の底壁部１３ｂに沿って車幅方向に延在して
いる。ロアマウントブラケット１７の後側壁部１７ｂは
ダッシュアッパーパネル１３の底壁部１３ａと縦壁部１
３ｃとの角部に固着されている。前側壁部１７ａと後側
壁部１７ｂとを連設する底部１７ｃにはロアコラムラン
プ１８ａが固着され、ロアコラムクランプ１８ａにステ
アリングコラム１６の下部１６ａが保持されている。ダ
ッシュアッパーパネル１３の縦壁部１３ｃには、アッパ
ーマウントブラケット１９が取付けられ、このアッパー
マウントブラケット１９のアッパーコラムクランプ１８
ａにステアリングコラム１６の上部１６ｂが保持されて
いる。

次に本実施例にかかるステアリングコラムの取付構造の
作用を説明する。車体の正面衝突時にエンジンが車体後
方に変位してダッシュロアパネル１２が車室１１側に変
位すると、ダッシュアッパーパネル１３の底壁部１３ａ
が衝撃力を受けて上方に屈曲し、ロアマウントブラケッ
ト１７の前側壁部１７ａが上方に変位する（第１図中一
点鎖線Ｘ参照）。一方、車体衝突時には前輪部の後方変
位によりステアリングコラム１６ａの前方部位には下方
に曲がろうとする力が作用するため、この下方に作用す
る応力とロアマウントブラケット１７の前側壁部１７ａ
が上方に変位しようとする応力とが相殺される。このた
め、ステアリングコラム１６の取付け角度が変化しない
こととなり、ステアリングコラム１６の軸方向のエネル
ギー吸収作用を妨げない。

従って、本実施例にかかるステアリングコラムの取付構
造では、車体衝突時にステアリングコラム１６の取付角
度が変化せず、ステアリングコラム１６のエネルギー吸
収作用を妨げないので、安全性が向上すると共に、エア
ボックス１５の車幅方向の剛性が強化される。

第２図は、本考案の第２実施例にかかるステアリングコ
ラムの取付構造を示しており、この実施例では、ダッシ
ュアッパーパネル１３の底壁部１３ａにエアボックス１
５′側に突出するエンボス３０が突設され、このエンボ
ス３０が上方変形部とされている。

本実施例にかかるステアリングコラムの取付構造によれ
ば、ダッシュアッパーパネル１３の底壁部１３ａに折曲
時の稜線α、βが形成されるので、この稜線α、βに応
力が集中し、ロアマウントブラケット１７の上方変形が
第１実施例にかかるものに比べて、運転者の顔面をより
す早く回避出来ると共に、第１実施例のエアボックス１
５に比べてこの実施例のエアボックス１５′の車幅方向
の剛性が強化されている。その他の構成、作用、効果は
大略第１実施例と同様であるので、説明を省略する。

第３図は、本考案の第３実施例にかかるステアリングコ
ラムの取付構造を示しており、この実施例では、カウル
トップパネル４０が第１実施例のダッシュアッパーパネ
ル１３の底壁部１３ａ（上方変形部）と略同じ曲率で湾
曲しており、カウルトップパネル４０とダッシュアッパ
ーパネル１３の底壁部１３ａとの間に縦板状のブレース
４１が立設されている。

本実施例にかかるステアリングコラムの取付構造によれ
ば、第１実施例及び第２実施例にかかるステアリングコ
ラムの取付構造の効果に加えて、エアボックス１５″の
上下方向及び車幅方向の剛性が更に強化される。

第４図は第４実施例を示し、この実施例では、アッパマ
ウントブラケット１９がダッシュアッパパネルではな
く、インストルメンバ３１に固定される構成とされてい
る。

（考案の効果） 本考案は、以上説明したように構成したので、車体の衝
突時にステアリングコラムの軸方向のエネルギー吸収作
用を妨げることがないので、衝突時における安全確保が
一段と向上するという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例にかかるステアリングコラ
ムの取付構造の側面構成図、第２図は第２実施例にかか
るステアリングコラムの取付構造の側面構成図、第３図
は第３実施例にかかるステアリングコラムの取付構造の
側面構成図、第４図は第４実施例にかかるステアリング
コラムの取付構造の側面構成図、第５図は従来のステア
リングコラムの取付構造の側面構成図である。 １２……ダッシュロアパネル １３……ダッシュアッパーパネル １３ａ……底壁部（上方変形部） １６……ステアリングコラム １７……ロアマウントブラケット １９……アッパーマウントブラケット ２０……ステアリングホイール ３０……エンボス（上方変形部） ４０……カウルトップパネル ４１……ブレース

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ダッシュアッパーパネルの底壁部下面にロ
   アマウントブラケットを取付け、前記ダッシュアッパー
   パネルの運転席側にアッパーマウントブラケットを設
   け、前記ロアマウントブラケットと前記アッパーマウン
   トブラケットとに、ステアリングコラムを支承させたス
   テアリングコラムの取付構造において、 前記ダッシュアッパーパネルの底壁部に、前記底壁部の
   周縁部よりも上方に突出する凸面部を有する上方変位部
   を形成し、前記ロアマウントブラケットの基部を前記凸
   面部の下面に固着したことを特徴とするステアリングコ
   ラムの取付構造。