JPH06234078A - チップドレッサの刃具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 刃具先端の厳格な位置合わせが不要で、か
つ、溶接チップの先端面に削り残しや毟れ等が発生しな
い品質精度の高い仕上げ面を得ることができ、後処理の
不要なチップドレッサの刃具を得る。 【構成】 溶接チップ３の先端面４を略平面状に切削整
形する場合には、刃具１の切刃２を基端部側から先端側
にかけて僅かに傾斜させ、前記切刃２により切削整形さ
れる溶接チップ３の先端面４が円錐状となるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、溶接電極となる溶接チ
ップの切削整形を行うチップドレッサの刃具に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】図３および図４は従来の溶接チップの切
削整形の状態を示す概略図である。図３に示すように、
溶接チップ１２，１２の先端面１３を平面状に切削整形
するためのチップドレッサの刃具１０は、対向する溶接
チップ１２，１２の先端面１３，１３を同時に切削整形
できるように、両面に平行な切刃１１を有している。こ
の刃具１０の切刃１１を先端面１３にあてがい、回転中
心Ｃの周りに回転させると、先端面１３は平面状に切削
整形される。

【０００３】溶接チップの先端面形状としては、溶接チ
ップが使用される装置の種類や被溶接部材の違いによっ
て種々あるが、図４に示すように、溶接チップ１６の先
端面２０を半球面状に切削整形する場合は、凹形円弧状
の切刃１８を有する刃具１７を先端面２０にあてがい、
回転中心Ｃの周りに回転させる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな従来の刃具においては、刃具先端を溶接チップの回
転中心に正確に位置合わせする必要がある。すなわち、
刃具先端が溶接チップの回転中心に届かない状態で切削
を行うと、溶接チップの回転中心部が切削されずに残っ
てしまい（図３（Ａ）の符号１４および図４の符号１９
参照）、反対に、刃具先端が溶接チップの回転中心を超
えた状態で切削を行うと、刃具先端部では切刃の切削方
向に対して逆方向の切削を行うことになり、切削面に毟
れが生じやすいという不具合がある。しかし、刃具の先
端を正確に溶接チップの中心に位置させることは困難
で、刃具の位置合わせに多大な時間と労力を要するとい
う問題がある。

【０００５】本発明はこの問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、刃具先端の厳格な位置合
わせが不要で、かつ、溶接チップの先端面に削り残しや
毟れ等が発生しない品質精度の高い仕上げ面を得ること
ができ、後処理の不要なチップドレッサの刃具を得よう
とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明のチップドレッサの刃具は、溶接チップの先
端面を略平面状に切削整形するチップドレッサの刃具で
あって、前記刃具の切刃を基端部側から先端側にかけて
僅かに傾斜させ、前記切刃により切削整形される前記溶
接チップの先端面が円錐状となるようにしたことを特徴
とする。また溶接チップの先端面を略半球面状に切削整
形するチップドレッサの刃具であって、前記刃具の切刃
を凹形円弧状として形成し、かつ、この切刃の曲率中心
を刃具の回転中心から芯ずれした位置に設けたことを特
徴とするものである。

【０００７】

【作 用】本発明によれば、次のように作用する。溶接
チップの先端面を平面状に切削整形する場合には、切刃
を基端部側から先端側にかけて僅かに傾斜させた刃具を
使用する。この切刃が溶接チップの中心を超えるように
前記刃具を溶接チップの先端面にあてがい回転させる
と、刃具の切刃により溶接チップの先端面が円錐状に切
削整形される。刃具の先端側は、溶接チップの回転中心
を超えて位置しているので先端面を削り残しなく切削す
ることができる。また、溶接チップの中心を超える刃具
の先端側では、切刃は溶接チップの先端面から浮かび上
がるので、切削方向に対して逆方向の切削を行うことが
なく毟れも生じない。

【０００８】また、先端面を略球面状に切削整形する場
合には、切刃が凹形円弧状に形成された刃具を使用す
る。前記切刃の曲率中心は回転中心から芯ずれした位置
に設けられているので、溶接チップの先端面は、中心に
曲率の変移点を有する略半楕円球状に形成される。従っ
て、先端面を削り残しなく切削することができ、また、
溶接チップの中心を超える刃具の切刃は溶接チップの先
端面より浮かび上がるので逆切削による毟れも生じな
い。

【０００９】

【実施例】本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本発明の第１実施例にかかり、溶接チップ
の先端面を略平面状に切削整形する状態を示す側面図で
ある。図１に示すように、チップドレッサの刃具１は基
端側から先端側に向けて細くなる先細形状に形成されて
いる。この刃具１の両側に設けられた切刃２は、刃具１
の基端部側から先端側に向けて、刃具１の回転中心Ｃに
直交する軸線に対して微小角度αだけ傾斜している。従
って、この刃具１を使って溶接チップ３，３の先端面４
を切削すると、溶接チップ３の先端面４は回転中心Ｃ上
に尖頭部を有する円錐形状に形成される。先端面４のテ
ーパ角度は前記切刃２の傾斜角度αによって決定される
が、この傾斜角度が微小であれば溶接仕上げ面に与える
影響も少なくてすむ。すなわち、切刃２の傾斜角度αは
０．１度〜２度程度であることが望ましい。

【００１０】上記のように形成された刃具１を使って先
端面４，４の切削整形を行うには、刃具１を溶接チップ
３，３の間に挿入し、一方の溶接チップ３を回転軸線Ｃ
と平行方向に移動させて前記切刃２に先端面４，４を当
接させる。次に、図示しないチップドレッサの駆動源を
駆動させて刃具１を回転中心Ｃの周りに回転させると、
溶接チップ３，３の先端面４，４は切刃２により切削整
形される。溶接チップ３，３の中心を超える位置では、
微小角度αが設けられていることにより切刃２が先端面
４から浮かび上がり、従って切刃２，２で先端面４を逆
切削することがなく、毟れも生じない。

【００１１】図２は、本考案の他の実施例にかかり、溶
接チップの先端面を略半球形状に切削整形する状態を示
す側面図である。溶接チップ５を切削整形する刃具６の
切刃７は凹形円弧状に形成されている。この切刃７の曲
率中心Ｏは、回転中心Ｃを挟んで刃具６の反対側であっ
て回転中心Ｃから僅かに芯ずれした位置に設けられてい
る。これにより、切刃７を先端面８に当てがって刃具６
を回転中心Ｃの周りに回転させると、溶接チップ５の先
端面８は、回転中心Ｃ上に尖頭部を有する略半楕円球状
に形成される。

【００１２】この実施例においても、第１の実施例と同
様に、切刃７の先端は先端面８の中心を超えて位置して
いるので、先端面８の削り残しがなく、また、切刃７の
先端側は先端面８から僅かに浮かび上がっているので、
逆切削による毟れも生じない。なお、切刃７の曲率中心
Ｏは、回転中心Ｃから僅かにずれていれば足りる。すな
わち、曲率中心Ｏの芯ずれが僅かであれば、切刃７によ
り切削整形される先端面８の変形の度合いも僅かである
ので、溶接仕上げ面にも悪影響を及ぼすことがない。

【００１３】

【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、次
のような効果がある。刃具の位置合わせが極めて簡単で
あるので、作業時間の短縮および作業労力の軽減を図る
ことができる。また、削り残しや逆切削による毟れも生
じないので、良好な仕上げ面を得ることができ、後処理
の必要がなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例にかかり、溶接チップの先
端面を略平面状に切削整形する状態を示す側面図であ
る。

【図２】本考案の他の実施例にかかり、溶接チップの先
端面を略半球形状に切削整形する状態を示す側面図であ
る。

【図３】従来の刃具を使用して溶接チップの先端面を略
平面状に切削整形する状態を示す側面図で、（Ａ）は刃
具先端が溶接チップの中心に達せず、削り残しが生じた
場合を示す図、（Ｂ）は刃具先端で逆切削を行う状態を
示す図である。

【図４】従来の刃具を使用して溶接チップの先端面を略
球面状に切削整形する状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１，６ 刃具 ２，７ 切刃 ３，５ 溶接チップ Ｏ 曲率中心 Ｃ 回転中心

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶接チップの先端面を略平面状に切削整
   形するチップドレッサの刃具であって、 前記刃具の切刃を基端部側から先端側にかけて僅かに傾
   斜させ、前記切刃により切削整形される前記溶接チップ
   の先端面が円錐状となるようにしたことを特徴とするチ
   ップドレッサの刃具。
2. 【請求項２】 溶接チップの先端面を略半球面状に切削
   整形するチップドレッサの刃具であって、 前記刃具の切刃を凹形円弧状に形成し、かつ、この切刃
   の曲率中心を刃具の回転中心から芯ずれした位置に設け
   たことを特徴とするチップドレッサの刃具。