JPH06226610A - トーリック面を有する眼用レンズの製造方法 - Google Patents

トーリック面を有する眼用レンズの製造方法

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JPH06226610A
JPH06226610A JP4463793A JP4463793A JPH06226610A JP H06226610 A JPH06226610 A JP H06226610A JP 4463793 A JP4463793 A JP 4463793A JP 4463793 A JP4463793 A JP 4463793A JP H06226610 A JPH06226610 A JP H06226610A
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plane
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Yasushi Matsuda
靖 松田
Koichi Inada
幸一 稲田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 レンズ材料の被加工面の全面を連続的に切削
加工することができ、目的とするトーリック形状のレン
ズ面を、容易に且つ高精度に得ることのできる眼用レン
ズの製造方法を提供すること。 【構成】 回転軸:L回りに回転せしめられる切削刃1
2により、レンズ材料14の被加工面18をトーリック
形状に切削加工するに際して、該切削刃12の回転軸:
Lと、レンズ材料14の被加工面18におけるレンズ
軸:Mとのなす角:(90−α)を、常に一定に保ちつ
つ、かかる切削刃12の回転軸:Lを、該回転軸:Lお
よびレンズ材料14の被加工面18におけるレンズ軸:
Mを含む面内で、レンズ材料14に対して相対的に移動
せしめて、前記被加工面18を切削加工することを特徴
とするトーリック面を有する眼用レンズの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、レンズ凸面または凹面をトーリ
ック形状をもって切削加工する方法に係り、特に一軸回
りに回転せしめられる切削刃によってレンズ材料の被加
工面の全面を連続して切削加工することのできる眼用レ
ンズの製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】コンタクトレンズや眼鏡レンズ等の眼用レ
ンズの一種として、乱視矯正用等に用いられるトーリッ
クレンズがある。かかるトーリックレンズは、レンズ凸
面および凹面の少なくとも一方が、トーリック形状とさ
れており、それによって互いに直交する径方向におい
て、異なる屈折度が設定されたものである。
【0003】ところで、このようなトーリックレンズの
製造は、従来、一般に、図4に示されているように、レ
ンズ材料2の被加工面4を、一軸回りに回転せしめられ
る切削工具6の切削刃8にて切削するに際し、それらレ
ンズ材料2と切削工具6とを、切削刃8の回転中心より
軸方向および軸直角方向に所定距離だけオフセットされ
た旋回中心点:Oの回りに相対回転させることによっ
て、実施されていた。なお、図4は、レンズ材料2を切
削工具6に対して旋回させた場合について、示すもので
ある。
【0004】ところが、かくの如き切削方法において
は、レンズ材料2の被加工面4を切削加工しようとする
と、図示されている如く、レンズ材料2と切削工具6と
が接触してしまうことがあるために、かかる被加工面4
の全面を一度に連続して切削加工することが、極めて困
難であった。
【0005】そのために、例えば、レンズ材料2の被加
工面4を、旋回方向の両側から半分ずつ加工する方法に
よって対処していたが、かかる方法では、被加工面4の
中央部分まで加工して、一旦、加工を中断し、レンズ材
料2を回転させた後、被加工面4の残りの部分を加工し
なければならないために、作業が面倒で非能率的である
ばかりか、被加工面4の中央部分(加工の非連続部分)
に段差を生じ易いという問題をも、内在していたのであ
る。また、発生した段差を取り除くことは極めて困難で
あり、非常に面倒な研磨作業が必要となることに加え、
かかる研磨作業によって切削形成された加工面の形状が
崩れてしまい、目的とするレンズの光学的特性が得られ
なくなるおそれもあったのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、レンズ材料の被加工面の全面を連続的に切
削加工することができ、目的とするトーリック形状のレ
ンズ面を、容易に且つ高精度に得ることのできる眼用レ
ンズの製造方法を、提供することにある。
【0007】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の特徴とするところは、一軸回りに回転せしめられ
る切削刃により、レンズ材料の被加工面をトーリック形
状に切削加工するに際して、前記切削刃の回転軸と、前
記レンズ材料の被加工面におけるレンズ軸とのなす角
を、常に一定に保ちつつ、かかる切削刃の回転軸を、該
回転軸および前記レンズ材料の被加工面におけるレンズ
軸を含む面内で、該レンズ材料に対して相対的に移動せ
しめて、前記被加工面を切削加工するトーリック面を有
する眼用レンズの製造方法にある。
【0008】
【発明の具体的構成】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の具体的構成とその作用を、図
面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0009】先ず、図1には、本発明に従う眼用レンズ
の切削方法を具体的に説明するための概略図が示されて
いる。かかる図において、10は、切削工具であり、図
示しない駆動手段により、回転軸:L回りに回転せしめ
られるようになっている。そして、この切削工具10の
先端部には、ダイヤモンドチップ等の切削刃12が、該
切削工具10から軸直角方向および軸方向において外方
に突出するようにして、固着されている。
【0010】一方、図中、14は、レンズ材料であり、
レンズ保持部材16によって把持されて、固定的に保持
されている。そして、このレンズ材料14の被加工面1
8に対して、上記切削工具10の切削刃12による切削
加工が施されることにより、かかる被加工面18がトー
リック形状に加工されることとなる。
【0011】かかる切削加工を実施するに際しては、先
ず、レンズ材料14を、目的とする被加工面18におけ
るレンズ軸:Mが、切削工具10の回転軸:Lに対して
所定の角度:(90−α)°で交差するように、位置せ
しめる。
【0012】なお、この交差角度は、後述するように、
目的とする被加工面18の形状に応じて設定される。ま
た、かかる被加工面18のレンズ軸:Mは、レンズ材料
14の軸心と必ずしも一致している必要はなく、例えば
光軸が偏心したレンズを加工するような場合には、被加
工面18のレンズ軸:Mがレンズ材料14の軸心から所
定距離だけ離隔するように設定される。
【0013】そして、かかる状態下、切削工具10を、
回転軸:L回りに回転せしめると共に、図示されている
如く、該切削工具10を、その切削刃12が目的とする
レンズ面の軌跡を描くように、移動せしめる。その際、
切削工具10の回転軸:Lとレンズ材料14の被加工面
18におけるレンズ軸:Mとの交差角度:(90−α)
°が、常に一定となるように、該切削工具10を、その
回転軸:Lとレンズ材料14の被加工面18のレンズ
軸:Mとを含む面内で平行移動させる。なお、かかる切
削工具10の移動制御は、例えば、図1に示されている
ように、直交座標によって制御可能な数値制御旋盤を用
いて、円弧補間し、切削工具10を一定の曲率半径:R
を有する円弧に沿って移動させることにより、実施され
る。
【0014】すなわち、これによって、図2に示されて
いるように、レンズ材料14の被加工面18のレンズ
軸:MをY軸とし、Y軸に直交する軸をX軸とした場合
の、X−Y平面上における被加工面18の曲率半径が、
Rとされるのである。尤も、かかる被加工面18のX−
Y平面上における形状は、必ずしも円弧形状である必要
はなく、予め算出された複数の座標点間を円弧補間する
ことにより、楕円形状等をもって形成することも可能で
ある。なお、円弧形状以外の形状を設定する場合には、
予め算出された座標点において、その両側の円弧が共通
接線を持つように、円弧補間することが望ましく、それ
によって各座標点における不連続部の発生が防止され
る。
【0015】また一方、かくの如くレンズ材料14を切
削加工した際、Z−Y平面上における被加工面18の形
状は、レンズ材料14における被加工面18のレンズ
軸:Mに対する切削工具10の回転軸:Lの傾斜角度:
αが0°でなければ、非球面となり、X=0のときの切
削刃12の刃先:Pの位置として表されるものと考えら
れる。
【0016】ここにおいて、切削刃12の刃先:Pの回
転半径をrとすると共に、該切削刃12の刃先:PのX
−Y平面上およびZ−Y平面上における位置を、それぞ
れ、図2および図3に示されている如く、βおよびθで
表すこととすると、幾何学的関係より、かかる刃先:P
の座標:(x,y,z)は、下記(1),(2),
(3)式の如く、表される。
【0017】 x=R sinβ+r sinα−r sinα・ cosθ ・・・(1) y=R cosβ−r cosα+r cosα・ cosθ ・・・(2) z=r sinθ ・・・(3)
【0018】従って、得られる被加工面18のZ−Y平
面上における形状は、上式においてx=0として得るこ
とができ、下記(4)式の如く、表される。
【0019】 z2 +〔y cosα+r−√(R2 −y2 ・ sin2 α)〕2 =r2 ・・・(4)
【0020】すなわち、この(4)式より、得られる被
加工面18のZ−Y平面上における曲率半径は、前記被
加工面18のX−Y平面上における曲率半径:Rとは、
明らかに異なるものであり、このことから、上述の如き
切削加工によって形成されるレンズ面(被加工面)18
は、充分に、トーリック面としての機能を有しているこ
とが理解されるところである。
【0021】また、かかる被加工面18のZ−Y平面上
における曲率半径は、上記(4)式より明らかなよう
に、Rおよびαの値によって、容易に調節することが可
能であり、特に、被加工面18のX−Y平面上における
曲率半径:Rに対して、αを変化させることにより、Z
−Y平面上における曲率半径を相対的にチューニングす
ることも、容易にできるのである。
【0022】そして、上述の如き製造方法によれば、切
削工具10の回転軸:Lが、レンズ材料14の被加工面
18におけるレンズ軸:Mに対して、一定の交差角度:
(90−α)°を保ったまま移動せしめられるところか
ら、切削加工時における切削工具10のレンズ材料14
に対する当接が極めて有利に回避され得るのである。な
お、特に、上記具体例の如く、α>0°となるように設
定することによって、切削工具10に対するレンズ材料
14の当接が、より有利に回避され得ることとなる。
【0023】それ故、かかる方法においては、切削工具
10を連続的に移動させ、切削刃12を、レンズ材料1
4の被加工面18におけるX−Y平面上において、その
一端側から他端側にまで連続的に移動させることによ
り、かかる被加工面18の全面を、一度に連続的に切削
加工することができるのである。
【0024】従って、このような方法によれば、レンズ
面(被加工面)に切削跡の段差が生ずるようなことがな
く、段差除去のための研磨加工等が不要となって、加工
手間が大幅に削減され得るのであり、それによって、作
業の容易化や加工時間の短縮および生産効率の向上が極
めて有効に図られ得ると共に、製造されるレンズの光学
的品質の向上とその安定化も、有利に図られ得るのであ
る。
【0025】以上、本発明の構成および作用を、具体的
に説明してきたが、本発明は、上述の具体例に基づく説
明によって限定解釈されるものでは決してなく、当業者
の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた
態様において実施され得るものであり、また、そのよう
な実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れ
も、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言う
までもないところである。
【0026】例えば、上述の説明は、レンズの凹面を切
削加工する場合の具体例に基づいて行なったが、本発明
は、レンズの凸面をトーリック形状に切削加工する場合
にも、同様に適用され得るものである。
【0027】また、上述の具体例では、固定的に保持さ
れたレンズ材料14に対して、切削刃12を備えた切削
工具10が移動せしめられるようになっていたが、それ
とは逆に、回転軸:L回りに回転せしめられる切削刃1
2を備えた切削工具10に対して、レンズ材料14を移
動させることにより、該レンズ材料14の被加工面18
を切削加工することも、可能である。
【0028】加えて、本発明を実施するに際して使用す
る切削工具等の具体的構造も、適宜に選定され、上述の
具体例の記載によって限定的に解釈されるものではな
い。例えば、切削工具の先端部における切削刃の回転軸
対称位置に所定の回転バランスを設けたり、切削工具の
先端部を中空の逆円錐形状をもって構成し、該逆円錐形
状部分の端面に切削刃を設けたりしても良いのであり、
そうすることによって、切削工具の回転バランスを有利
に安定化せしめることが出来る。
【0029】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
方法においては、一軸回りに回転せしめられる切削刃を
レンズ材料の被加工面上で連続的に相対移動させること
によって、かかる被切削面の全面を、連続して切削加工
することができるところから、目的とするトーリック形
状のレンズ面を極めて容易に切削加工することが可能と
なると共に、レンズ面の高精度化とその光学的品質の安
定化も、有利に達成され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を具体的に説明するための説明図で
ある。
【図2】図1に示されている切削方法によって形成され
るレンズ面の形状を明らかにするために、レンズのX−
Y平面上の被加工面と切削刃との関係を示すモデル図で
ある。
【図3】図1に示されている切削方法によって形成され
るレンズ面の形状を明らかにするために、レンズのZ−
Y平面上の被加工面と切削刃との関係を示すモデル図で
ある。
【図4】従来のトーリック形状を有するレンズ面の切削
方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 切削工具 12 切削刃 14 レンズ材料 16 レンズ保持部材 18 被加工面

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一軸回りに回転せしめられる切削刃によ
    り、レンズ材料の被加工面をトーリック形状に切削加工
    するに際して、 前記切削刃の回転軸と、前記レンズ材料の被加工面にお
    けるレンズ軸とのなす角を、常に一定に保ちつつ、かか
    る切削刃の回転軸を、該回転軸および前記レンズ材料の
    被加工面におけるレンズ軸を含む面内で、該レンズ材料
    に対して相対的に移動せしめて、前記被加工面を切削加
    工することを特徴とするトーリック面を有する眼用レン
    ズの製造方法。
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