JPH0622645Y2 - 縦型回転棚装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、回転棚を、水平軸回り
に、縦長楕円形の軌跡をもって、上下方向に回転走行さ
せるようにした縦型回転棚装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の縦型回転収納庫は、上下１対の
水平軸にそれぞれ設けたスプロケットに、無端チェーン
を巻装するとともに、この無端チェーンに、複数のトレ
ー（もしくは水平棚）を取付け、前記無端チェーンを回
転させることによって、各トレーを、上下方向に走行さ
せるようになっている。 このような縦型回転収納庫は、例えば特公昭５３−３７
７９２号公報により公知であり、工場や倉庫あるいは事
務所において、部品あるいは書類等の整理や収納用とし
て、広く使用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする問題点】上述した従来のもの
では、すべてのトレーは一体的に回転させられるため、
ピッキング作業のためには、先の出庫作業を終えてか
ら、すべてのトレーを回転させる必要があり、連続的な
出庫作業はできなかった。 また、取出し用窓孔に到着したトレーから、物品を取出
すのは、手作業によることとなるため、時間がかかると
いう問題点があった。

【０００４】

【問題点を解決するための手段】本考案による縦型回転
棚装置は、上下１対の水平軸に固着したスプロケットに
掛け回わされ、縦長楕円形の軌跡をなして走行する無端
チェーンと、無端チェーンに係止されて、ほぼ水平を保
った状態で循回走行させられる多数のトレーと、トレー
の走行軌跡外の下方に設けた荷受け棚と、トレー上の荷
を荷受け棚上へ押し出すべく、トレーの走行軌跡内の下
部に設けられ、後部ケースと中間アームに押出しアーム
を入れ子式に嵌挿してなるモータ駆動式の延び出し式の
水平方向の荷押し出し装置と、荷受け棚上の荷の有無を
検知し、荷受け棚上に荷が存在するときには、トレーが
荷受け棚と対応する位置へ来ても、前記荷押し出し装置
を作動させないようになっている光センサーと、荷受け
棚に設けられ、荷が荷受け棚上から移送されたときに
は、光センサを作動させることなく、荷押し出し装置を
作動させるようになっている操作ボタンとを備えること
を特徴としている。

【０００５】

【作用】所定のトレーが、荷押出し装置と対向すると、
荷押出し装置が自動的に作動し、トレー上から荷が押し
出される。

【０００６】

【実施例】以下、本考案を、図示の一実施例に基いて、
詳細に説明する。 図２において、（１）は、縦長立方体状の中空ケース
で、複数（実施例では５台）のユニットケース（２）
を、左右方向に並列し、一体的に連結して構成されてい
る。

【０００７】各ユニットケース（２）の前面下部には、
窓孔（３）が切設され、各窓孔（３）の下縁の前側に
は、前方を向く荷受け棚（４）を有する棚台（５）が設
けられている。

【０００８】図２における中空ケース（１）の左側に
は、制御手段、例えば操作盤（６）が設けられている。
操作盤（６）は、キーボード等の操作部（６ａ）及び表
示部（６ｂ）を備え、下部のボックス（６ｃ）内には、
後述するように、各ユニットケース（２）の棚台（５）
内に収められた制御機器を集中制御するためのコンピュ
ータ等が内蔵されている。

【０００９】図３に示すように、各ユニットケース
（２）内の上下には、それぞれ、水平をなす従動軸
（７）と駆動軸（８）が設けられ、各軸には、それぞれ
左右１対のスプロケット（９）（９）及び（１０）（１
０）が固着され、上下に対応するスプロケット（９）
（１０）には、無端チェーン（１１）が巻装されてい
る。

【００１０】前面及び上面が開口する箱状のトレー（１
２）の左右の側板（１２ａ）（１２ａ）の外面中央部に
は突軸（１３）（１３’）が設けられ、各突軸（１３）
（１３’）に一端を枢支した上下１対の支持アーム（１
４ａ）（１４ｂ）の他端は、前記無端チェーン（１１）
に、所定の開角度をもって枢着されている。

【００１１】各ユニットケース（２）の左右内面には、
それぞれ、前後のガイドレール（１９）（１５）が取付
けられている。

【００１２】右側の後方ガイドレール（１５）は、上部
後隅及び下部前隅を切欠した側面視縦長円状をなすよう
に、間隙（１６）（１７）を有する前後の２本ずつを組
み合せた、４本の溝材（１５ａ）（１５ｂ）（１５ｃ）
（1５ｄ）からなっている。左側の前方ガイドレール
（１９）は、右側後方ガイドレール（１５）と対称形を
なし、間隙（１６’）（１７’）を有する前後の２本ず
つを組み合わせた４本の溝材（１９ａ）（１９ｂ）（１
９ｃ）（１９ｄ）からなっている。

【００１３】トレー（１２）の右方の突軸（１３）に下
端を固着したガイドアーム（２０）は、後上り４５度に
傾斜し、その遊端部に枢着されたローラ（２１）は、前
記右側の後方ガイドレール（１５）に嵌合して案内され
るようになっている。

【００１４】トレー（１２）の左方の突軸（１３’）に
下端が固着され、かつ前上がり４５度に傾斜するガイド
アーム（２０’）の遊端部に枢着されたローラ（２２）
は、左側の前方ガイドレール（１９）に嵌合して案内さ
れるようになっている。多数のトレー（１２）を、無端
チェーン（１１）に、等間隔をもって直列状に取付け
て、多段棚（２３）が形成されている。

【００１５】図示を省略した回転駆動手段及びコンピュ
ータの制御により、駆動軸（８）を正逆回転させること
によって、各トレー（１２）は、水平状態を保ったま
ま、側面視縦長楕円形の走行軌跡（Ｌ）に沿って回転走
行し、窓孔（３）に、所望のトレー（１２）が呼び出さ
れるようになっている。 各トレー（１２）には、積み込み、あるいは積み降ろし
自在な荷、例えば部品等を収納した箱状のコンテナ（２
４）が積まれる。

【００１６】図１に示すように、トレー（１２）の走行
軌跡（Ｌ）内の下部には、荷押出し装置（２５）が設け
られている。 荷押出し装置（２５）について、図４乃至図６に基いて
説明する。

【００１７】荷押出し装置（２５）は、水平をなして前
後方向を向き、かつ前方のものほど順次小寸となってい
る、後部ケース（２６）と中間アーム（２７）と押出し
アーム（２８）を、入れ子式に嵌挿して構成されてい
る。 後部ケース（２６）は、前記ユニットケース（２）内を
左右に横切る前後１組の水平杆（２９）（２９）上に固
着されている。

【００１８】後部ケース（２６）は、正面視下向きコ形
をなし、その天板（２６ａ）の下面には、前後を向くガ
イドレール（３０）が設けられ、かつ天板（２６ａ）の
上面の前端、中間部及び後端には、従動スプロケット
（３１ａ）（３１ｂ）（３１ｃ）が、間隔をへだてて設
けられている。前後の従動スプロケット（３１ｂ）（３
１ｃ）の上側、中間の従動スプロケット（３１ｂ）の下
側、及びガイドレール（３０）に沿って、無端チェーン
（３２）が巻装されている。

【００１９】後部ケース（２６）の上面に取付けた駆動
手段としてのモータ（３３）の出力軸に取付けた駆動ス
プロケット（３３ａ）は、前記無端チェーン（３２）の
上面走行部の下側と噛合している。

【００２０】中間アーム（２７）は、ガイドレール（３
０）に案内されて、後部ケース（２６）内へ摺動して進
入することができる。中間アーム（２７）の上面後端に
設けたブラケット（２７ａ）は、前記無端チェーン（３
２）に係止されている。

【００２１】押出しアーム（２８）の後端に枢着された
垂直ローラ（３４）（３４）及び水平ローラ（３５）
（３５）は、中間アーム（２７）の内壁を転動する。押
出しアーム（２８）の後端は、中間アーム（２７）の前
端に取付けた矩形枠（３５）に挿通されている。

【００２２】図６に示すように、押出し用チェーン（３
６）の前端は、押出しアーム（２８）の後部左端に止着
され、中間アーム（２７）の前端部下側に枢着したスプ
ロケット（３７）を巻回した後、その後端は、後部ケー
ス（２６）の前端下部に設けた止具（３８）に止着され
ている。

【００２３】収納用チェーン（３９）の前端は、押出し
アーム（２８）の前部右端に止着され、中間部は、中間
アーム（２７）の後端部右側に枢着したスプロケット
（４０）の後側を経てして上昇した後、後端は、後部ケ
ース（２６）の右側前端に設けた止め具（４１）に止着
されている。

【００２４】このように、押出し用チェーン（３６）
と、収納用チェーン（３９）とは、互いに逆向きに牽引
されるようになっており、モータ（３３）が正転して、
中間アーム（２７）が中空ケース（１）内から前方へ繰
り出されると、それと同時に、前部アーム（２８）は、
中間アーム（２７）から入れ子式に繰り出され、図４及
び図５に示すように、最終的な全長は、中空ケース
（１）の約３倍の長さとなる。モータ（３３）を逆転さ
せると、押出しアーム（２８）及び中間アーム（２７）
は、中空ケース（１）内に入れ子式に収納される。

【００２５】実施例の如く、縦長円形の軌跡をなして走
行する縦型回転棚においては、前後のトレー（１２）間
の間隔が狭く、荷押し出し用に、通常のピストン型エア
シリンダを設けることは困難である。 従って、設置長さより２倍の繰り出し長さを有する上記
荷押出し装置（２５）は、有効なものである。

【００２６】図１に示すように、各トレー（１２）の垂
直の後板（１２ｂ）には、矩形状の貫通孔（１２ｃ）が
切設されており、自動または手動によるスイッチ操作に
より、窓孔（３）と対向して停止したトレー（１２）内
のコンテナ（２４）を、この窓孔（１２ｃ）を経て前方
へ繰り出される前記押出しアーム（２８）（想像線で示
す）によって、荷受け棚（４）上へ押出すことができ
る。

【００２７】先の読出しによって、荷受け棚（４）上に
コンテナ（２４’）がすでに取出されていた場合に、次
のコンテナ（２４）が、荷押出し装置（２５）によっ
て、到着と同時に押出されると危険である。そのために、 荷受け棚（４）上の荷の有無を検知する検
知手段、例えば荷受け棚（４）に埋込まれた光センサー
（４２）が、各窓孔（３）に対応して設けられている。

【００２８】光センサー（４２）の信号は、制御器（４
３）を介して、作動装置（４４）に送られる。 したがって、荷受け棚（４）上にコンテナ（２４’）が
存在する場合には、呼び出されたトレー（１２）が窓孔
（３）に到着しても、荷押出し装置（２５）は、光セン
サー（４２）の信号で作動しない。

【００２９】コンテナ（２４’）を他へ移してから、操
作ボタン（４５）を押すと、荷押出し装置（２５）は作
動して、次のコンテナ（２４）は荷受け棚（４）上へ押
出される。

【００３０】上記実施例では、ユニットケースの前側に
窓孔を設けて、トレー上の荷を前方に取出すようにした
が、代わりに、ケースの後方に窓孔を設け、後方から、
荷を積み込んだり、取出したりするようにしてもよい。 この場合には、前方あるいは後方いずれにも押出しアー
ムが突出しうる荷押出し装置を設ける。

【００３１】

【考案の効果】所望のトレーが窓孔に到達したとき、荷
押出し装置が作動して、自動的にトレーから荷が押し出
されるため、作業能率が向上する。

【００３２】荷受け棚上にすでに荷が存在する場合に
は、光センサーにより、荷押し出し装置は作動せず、安
全である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の要部を示す縦断側面図であ
る。

【図２】本考案の縦型回転棚装置の外観を示す斜視図で
ある。

【図３】ユニットケースの内側面のレールとトレーの走
行軌跡を示す概略側面図である。

【図４】荷押出し装置の一部切欠平面図である。

【図５】同じく側面図である。

【図６】同じく一部切欠した正面図である。

【符号の説明】

（１）中空ケース
（２）ユニットケース （３）窓孔
（４）荷受け棚 （５）棚台
（６）操作盤 （７）従動軸
（８）駆動軸（９）（１０）スプロケット （１
１）無端チェーン （１２）トレー （１
３）（１３’）突軸 （１４ａ）（１４ｂ）支持アーム （１
５）後方ガイドレール （１６）（１６’）（１７）（１７’）間隙 （１
９）前方ガイドレール （２０）（２０’）ガイドアーム （２
１）（２２）ローラ （２３）多段棚 （２
４）コンテナ （２５）荷押出し装置 （２
６）後部ケース （２７）中間アーム （２
８）押出しアーム （３２）無端チェーン （３
３）モータ （３６）押出し用チェーン （３
９）収納用チェーン （４２）光センサー （４
３）制御器 （４５）操作ボタン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下１対の水平軸に固着したスプロケッ
   ト（９）（１０）に掛け回わされ、縦長楕円形の軌跡を
   なして走行する無端チェーン（１１）と 無端チェーン（１１）に係止されて、ほぼ水平を保った
   状態で循回走行させられる多数のトレー（１２）と、 トレー（１２）の走行軌跡外の下方に設けた荷受け棚
   （４）と、 トレー（１２）上の荷を荷受け棚（４）上へ押し出すべ
   く、トレー（１２）の走行軌跡内の下部に設けられ、後
   部ケース（２６）と中間アーム（２７）に押出しアーム
   （２８）を入れ子式に嵌挿してなるモータ（３３）駆動
   式の延び出し式の水平方向の荷押し出し装置（２５）
   と、 荷受け棚（４）上の荷の有無を検知し、荷受け棚（４）
   上に荷が存在するときには、トレー（１２）が荷受け棚
   （４）と対応する位置へ来ても、前記荷押出し装置（２
   ５）を作動させないようになっている光センサー（４
   ２）と、 荷受け棚（４）に設けられ、荷が荷受け棚（４）上から
   移送されたときには、光センサー（４２）を作動させる
   ことなく、荷押し出し装置（２５）を作動させるように
   なっている操作ボタン（４５） とを備えることを特徴とする縦型回転棚装置。