JPH0622618A - 移植機の昇降装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ 歩行形移植作業機における旋回作業での作
業性を向上させる。 ［構成］ 前後輪（６）（４）による機体の走行中苗
移植作業を行うようにした歩行形移植機において、前輪
（６）及び後輪（４）をそれぞれ別個に昇降する車輪昇
降部材（５７）（５６）を備え、機体に対し後輪（４）
を上げまた前輪（６）を下げとする旋回制御手段（８
０）を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は前後４輪による機体の走
行中、苗載台の苗トレイから苗取出爪によって取出した
苗を、苗植付爪に受継いで圃場に植付けるようにした歩
行形移植機の昇降装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種歩行形４輪移植機にあっては、旋
回する際前輪が抵抗となり邪魔となるため、後方側のハ
ンドル部を下に押し下げて前輪側を持上げる状態とさせ
て機体の旋回をその都度行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし乍らこのような
旋回操作の場合、極めて大きな操作力を必要として、作
業能率も悪く老人・婦女子には作業困難なものとさせる
などの欠点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】したがって本発明は、前
後輪による機体の走行中苗移植作業を行うようにした歩
行形移植機において、前輪及び後輪をそれぞれ別個に昇
降する車輪昇降部材を備え、機体に対し後輪を上げまた
前輪を下げとする旋回制御手段を設けることによって、
ハンドル部を押下げ前輪を地面より上げ状態とさせての
旋回を容易に行わしめて、この旋回での作業性向上を図
るものである。

【０００５】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
述する。図１は昇降部の説明図、図２は移植機の全体側
面図、図３は同全体平面図であり、図中（１）はエンジ
ン（２）を搭載する前フレーム、（３）は前記フレーム
（１）後端に連設するミッションケース、（４）は前記
ミッションケース（３）に左右伝動ケース（５）を介し
上下揺動可能に支持する左右の走行駆動輪である後輪、
（６）は前記前フレーム（１）の前端側にアクスルフレ
ーム（７）を介し上下揺動可能に支持する左右の前輪、
（８）は前記ミッションケース（３）の後方にシャーシ
フレーム（９）を介し装設する苗供給装置、（１０）は
左右の後輪（４）間で前記ミッションケース（３）に植
付伝動ケース（１１）を介して装設する苗植付装置、
（１２）は畝面（Ａ）を鎮圧する鎮圧ローラ、（１３）
は前記苗植付装置（１０）を上下揺動可能に支持するゲ
ージ輪であり、前記苗供給装置（８）における左右往復
移動する苗載台（１４）上の苗トレイ（１５）より１株
分のポット苗を苗取出爪（１６）でもって取出すと共
に、この取出されたポット苗を前記苗植付装置（１０）
のマルチカッタ（１７）と連動して上下動するホッパ形
植付爪（１８）に放出供給して、操向ハンドル（１９）
操作による機体の走行中畝面（Ａ）に一定間隔毎のポッ
ト苗の植付けつまり移植を行うように構成している。

【０００６】なお、（２０）は昇降レバー、（２１）は
植付クラッチレバー、（２２）は主変速レバー、（２
３）は株間変速レバー、（２４）は植付深さ調節レバ
ー、（２５）は左右サイドクラッチレバー、（２６）は
走行クラッチレバーである。

【０００７】図４にも示す如く、前記エンジン（２）の
出力軸（２ａ）に油圧ポンプ（２７）の入力軸（２７
ａ）と、前記ミッションケース（３）の入力軸（３ａ）
とを各伝達ベルト（２８）（２９）を介して連動連結さ
せ、前記ミッションケース（３）には後輪（４）を駆動
する走行出力軸（３０）を備えると共に、前記植付爪
（１８）の駆動を行う植付爪駆動系（３１）に出力する
植付出力軸（３２）を備え、前記エンジン（２）からの
出力をミッションケース（３）の入力軸（３ａ）に伝達
して左右後輪（４）と植付爪（１８）の駆動をそれぞれ
行うように構成している。

【０００８】また、前記苗取出爪（１６）のロータリケ
ース（３３）を駆動する苗取出爪駆動軸（３４）と、前
記苗載台（１４）の横送り軸（３５）の変速切替えを行
う横送り切替ギヤケース（３６）と、前記苗載台（１
４）の左右横送り終端時に苗トレイ縦送り用の搬送チェ
ンスプロケット（３７）の縦送り駆動を行う縦送りクラ
ッチ軸（３８）と、前記クラッチ軸（３８）を間欠回転
する縦送りカム（３９）の駆動カム軸（４０）などを有
する苗取出駆動系（４１）を備え、前記ミッションケー
ス（３）の上方に配設する植付クラッチケース（４２）
を介してミッションケース（３）の入力軸（３ａ）に苗
取出駆動系（４１）を連動連結させて、前記苗取出爪
（１６）や苗載台（１４）など苗取出駆動系（４１）の
それぞれの駆動を行うように構成している。

【０００９】図６に示す如く、前記植付クラッチケース
（４２）は苗取出駆動系（４１）に出力する植付クラッ
チ軸（４３）を備え、前記ミッションケース（３）内の
植付爪駆動用の１回転クラッチにも植付タイミングロッ
ド（４４）を介して該クラッチ軸（４３）を連動連結さ
せるもので、前記ミッションケース（３）の入力軸（３
ａ）に無段変速ベルト（４５）及び変速プーリ軸（４
６）及び伝達チェン（４７）を介しクラッチケース（４
２）の入力軸（４２ａ）を連動連結させると共に、該入
力軸（４２ａ）に第１及び第２減速ギヤ（４８）（４
９）及びカウンタ軸（５０）を介し植付クラッチ軸（４
３）を連動連結させ、安全クラッチでもある植付クラッ
チ（５１）と植付爪タイミングカム（５２）とを該植付
クラッチ軸（４３）に備え、前記植付クラッチ（５１）
を操作するクラッチカム（５３）を前記植付クラッチレ
バー（２１）に連動連結させる一方、該クラッチケース
（４２）のタイミングカム軸（５４）に枢支する従動カ
ム（５５）の先端ローラ部（５５ａ）を前記タイミング
カム（５２）の周面に摺接させて、該カム（５２）によ
ってロッド（４４）を介し前記ミッションケース（３）
内の１回転クラッチを入切することによって、苗取出爪
（１６）と植付爪（１８）の適正なタイミングによる苗
植付けを行わしめるように構成している。

【００１０】さらに図５にも示す如く、後輪（４）及び
前輪（６）をそれぞれ昇降させて機体の昇降制御を行う
車輪昇降部材である油圧昇降シリンダ（５６）・（５
７）（５７）と、機体の左右方向傾斜角度を修正する後
輪水平制御用油圧ローリングシリンダ（５８）を備える
もので、前記ミッションケース（３）の走行出力軸（３
０）の左右両端に遊転支持する左右スイングケース
（５）（５）の基端ボス（５９ａ）（５９ｂ）に左右の
固定枢着板（６０ａ）（６０ｂ）を設け、各枢着板（６
０ａ）（６０ｂ）にターンバックル（６１ａ）付き連結
リンク（６１ｂ）を介してローリング支点軸（６２）両
端の下及び上方向の揺動アーム（６３ａ）（６３ｂ）を
連結させ、前記支点軸（６２）中間を回転自在に貫挿さ
せるスイング軸（６４）を前記昇降シリンダ（５６）の
ピストンロッド（５６ａ）先端に連結させると共に、前
記支点軸（６２）にローリングアーム（６５）を介して
ローリングシリンダ（５８）のピストンロッド（５８
ａ）を連結させるもので、前記スイング軸（６４）にブ
ラケット（６６）を介して前記ローリングシリンダ（５
８）を取付けると共に、前記ミッションケース（３）上
側にガイドフレーム（６７）を固設させ、ガイドフレー
ム（６７）に前記昇降シリンダ（５６）を取付け、ガイ
ドフレーム（６７）の長溝（６８）によってスイング軸
（６４）を往復摺動案内するように設け、前記昇降シリ
ンダ（５６）のピストンロッド（５６ａ）を進退時、ス
イング軸（６４）を摺動させ、左右のスイングケース
（５）（５）を一体的に同一方向に上下動させて、後輪
（４）による機体の昇降制御を行う一方、前記ローリン
グシリンダ（５８）のピストンロッド（５８ａ）を進退
時、前記支点軸（６２）を回転させ、左右のスイングケ
ース（５）（５）を上下逆方向に上下動させて後輪
（４）による機体の左右傾斜角度を修正する水平制御を
行うように構成している。

【００１１】またさらに、ベースフレーム（１）前面に
前バンパ（６９）付きの前フレーム（７０）をボルト止
め固定し、前フレーム（７０）に固定軸（７１）を設
け、該軸（７１）両端に左右昇降支点軸（７２）（７
２）を回転自在に取付け、各軸（７２）（７２）に一端
を固定する左右スイングアーム（７）（７）他端に前車
軸（７３）（７３）を介して左右前輪（６）（６）を遊
転軸支させると共に、左右昇降支点軸（７２）（７２）
にリンク（７４）（７４）を介して前記昇降シリンダ
（５７）（５７）のピストンロッド（５７ａ）（５７
ａ）を連結させ、ベースフレーム（１）両側に固設する
左右ブラケット（７５）（７５）に昇降シリンダ（５
７）（５７）を支持させて、これら各シリンダ（５７）
（５７）のピストンロッド（５７ａ）（５７ａ）の進退
操作によって、左右前輪（６）（６）による機体の昇降
及び左右傾斜角度制御を可能に構成している。

【００１２】図８に示す如く、機体の昇降制御を行う昇
降シリンダ（５６）・（５７）（５７）をソレノイド
（７６ａ）（７７ａ）操作式油圧切換弁（７６）（７
７）及び分流器（７８）を介して油圧ポンプ（２７）に
回路接続させて、前記昇降レバー（２０）操作による各
ソレノイド（７６ａ）（７７ａ）の励磁動作でもって各
シリンダ（５６）・（５７）（５７）による機体の昇降
制御を行うように構成している。

【００１３】ところで図７に示す如く、前記昇降レバー
（２０）と植付クラッチレバー（２１）とは連動可能に
設けるもので、植付クラッチレバー（２１）の係合部材
（７９）に昇降レバー（２０）を係合させるとき連動状
態とさせて、昇降レバー（２０）で機体を下降（前後輪
（６）（４）を上げ）操作するとき植付クラッチレバー
（２１）も同時に「入」操作状態として前記植付クラッ
チ（５１）を「入」とするように構成している。

【００１４】そして図９に示す如く、前記昇降用ソレノ
イド（７６ａ）（７７ａ）を励磁操作する旋回制御手段
である昇降制御回路（８０）を備え、前記昇降レバー
（２０）の機体の上昇及び下降操作を検出する上昇・下
降検出スイッチ（８１ａ）（８１ｂ）と、前記植付クラ
ッチレバー（２１）の「入」「切」を検出する植付入切
検出スイッチ（８２ａ）（８２ｂ）と旋回スイッチ（８
３）とを前記制御回路（８０）に入力接続させて、前記
昇降レバー（２０）及び植付クラッチレバー（２１）操
作に基づく各スイッチ（８１ａ）（８１ｂ）（８２ａ）
（８２ｂ）のオンオフでもって機体の昇降制御を行う用
に構成している。

【００１５】本実施例は上記の如く構成するものにし
て、以下図１０のフローチャートを参照してこの作用を
説明する。植付作業に際し植付クラッチレバー（２１）
の係合部材（７９）に昇降レバー（２０）を係合させ連
動状態として該レバー（２０）で機体を下降操作すると
き、前記下降スイッチ（８１ｂ）がオンとなって制御弁
（７６）（７６）のソレノイド（７６ａ）（７７ａ）に
よる機体の下げ（前後輪（６）（４）は上げ）制御が行
われると同時に、植付クラッチ（５１）も入となって苗
の植付け作業が行われる。

【００１６】そしてこのような油圧昇降と植付クラッチ
（５１）の連動状態にあって、植付クラッチレバー（２
１）のみが切操作され切スイッチ（８２ｂ）がこれを検
出するとき、前輪側の左右切換弁（７７）のソレノイド
（７７ａ）によって前輪（６）のみの下げ制御が行われ
て、機体は前部側が上げ後部側が下げの傾斜姿勢とな
る。この結果操向ハンドル（１９）は極めて地上高の低
い且つ機体重心も後輪（４）側に移動するものとなっ
て、該ハンドル（１９）を押し下げ前輪（６）側を地上
より持上げ状態とさせての左右旋回においては、ハンド
ル操作力に大きな押し下げ力を必要としない安全にして
容易な旋回が行えるものである。

【００１７】また旋回後植付クラッチレバー（２１）に
よる植付クラッチ（５１）の入操作を前記スイッチ（８
２ａ）が検出するとき、前輪（６）のみの上げ制御が行
われて、機体は元の水平下げ姿勢に復帰する一方、作業
終了後などにあって、クラッチレバー（２１）に連動さ
せる昇降レバー（２０）の機体上げ操作を前記スイッチ
（８１ａ）が検出するとき前後輪（６）（４）の下げ制
御が行われると同時に、植付クラッチ（５１）も切とな
って、機体を上昇状態とさせて植付けを停止させる。

【００１８】またこのような機体を上昇保持させての路
上走行中において、前記旋回スイッチ（８３）をオン操
作するとき、後輪側切換弁（７６）のソレノイド（７６
ａ）による後輪（４）のみの上げ制御が行われて、機体
の前部側が上げ後部側が下げの傾斜姿勢となって、前述
作業中同様のこの路上走行中における容易な旋回を可能
にできるものである。

【００１９】図１１は前後輪用昇降シリンダ（５７）
（５６）を同調操作する単一のレバー式油圧切換弁（８
４）を設けると共に、該切換弁（８４）と前輪（６）側
のシリンダ（５７）間に後輪（７）側と上げ・下げを逆
とさせるロッド式方向制御弁（８５）を介設させて、前
述実施例同様昇降レバー（２０）とクラッチレバー（２
１）の連動状態にあって、植付作業中クラッチレバー
（２１）によって植付クラッチ（５１）を切としたとき
にのみ、前記方向制御弁（８５）のロッド（８５ａ）と
クラッチレバー（２１）とのリンク連結機構（８６）で
もって制御弁（８５）を切換操作させて、機体の前部側
が上げ・後部側が下げの傾斜姿勢に制御を行って、機体
の旋回を容易とさせるように構成したものである。

【００２０】

【発明の効果】以上実施例からも明らかなように本発明
は、前後輪（６）（４）による機体の走行中苗移植作業
を行うようにした歩行形移植機において、前輪（６）及
び後輪（４）をそれぞれ別個に昇降する車輪昇降部材
（５７）（５６）を備え、機体に対し後輪（４）を上げ
また前輪（６）を下げとする旋回制御手段（８０）を設
けたものであるから、ハンドル（１９）部を押下げ前輪
（６）を地面より上げ状態とさせての旋回を操作力を小
として安全且つ容易に可能なものとさせることができ
て、この旋回での作業性向上が図れるなど顕著な効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】昇降部の側面説明図である。

【図２】移植機の全体側面図である。

【図３】移植機の全体平面図である。

【図４】移植機の平面説明図である。

【図５】昇降部の平面説明図である。

【図６】植付クラッチケース部の断面説明図である。

【図７】レバー部の平面説明図である。

【図８】油圧回路図である。

【図９】制御回路図である。

【図１０】フローチャートである。

【図１１】他の変形例を示す油圧回路図である。

【符号の説明】

（４） 後輪 （６） 前輪 （５６）（５７）昇降シリンダ（昇降部材） （８０） 制御回路（制御手段）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和 田 俊 郎 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内 (72)発明者 中 島 英 夫 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内 (72)発明者 日 朝 正 俊 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内 (72)発明者 兼 崎 雅 弘 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内 (72)発明者 蔵 屋 芳 明 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後輪による機体の走行中苗移植作業を
   行うようにした歩行形移植機において、前輪及び後輪を
   それぞれ別個に昇降する車輪昇降部材を備え、機体に対
   し後輪を上げまた前輪を下げとする旋回制御手段を設け
   たことを特徴とする移植機の昇降装置。