JPH0220204B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、歩行型田植機における走行装置の構
造に関するものである。

〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕

従来の歩行型田植機における走行装置では、エ
ンジンから走行車輪に至る動力伝達部に、操作レ
バーによつてON・OFFされる主クラツチ機構
と、走行変速機構とを設けることにより、この主
クラツチ機構によつて走行車輪への動力伝達を断
続操作する一方、走行速度を、前記走行変速機構
によつて変速するように構成している（例えば、
特開昭48−75315公報等を参照）。

しかし、圃場における田植え作業に際しての走
行速度は、可成り遅いので、田植機を圃場におけ
る次の植付け条の箇所に移動したり、次の田圃に
移動したりすることの作業性が低いのである。

そこで、前記従来のものでは、前記主クラツチ
機構を、当該主クラツチ機構に対する操作レバー
の操作によつてOFFにして、田植機を手で押し
て走行するとか、或いは、走行変速機構に対する
変速レバーを、走行速度を早くするように操作し
なければならないから、その操作がきわめて面倒
であるばかりか、前記主クラツチ機構の断続及び
走行速度の変速操作に際して、動力伝達部に衝撃
が発生して、耐久性の低下を招来するのである。

特に、車体フレームを一つの走行車輪にて支持
した一輪式の走行型田植機の場合においては、片
手で、車体フレームを支持した状態で、他方の手
で主クラツチ操作レバー又は変速レバーを操作し
なければならず、この間において、車体フレーム
が左右方向に傾き、苗載台及び予備苗台上におけ
る苗マツトが横ずれすると云う問題があつた。

本発明は、この問題を解消した走行装置を提供
することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本発明は、エンジンを
搭載した車体フレームに、苗載台と操縦ハンドル
とを配設すると共に、当該車体フレームを支持す
る走行車輪を装着して成る走行型田植機におい
て、前記エンジンから前記走行車輪に至る動力伝
達部に、エンジン側から走行車輪への方向には動
力の伝達を行うが、走行車輪からエンジン側への
方向には動力の伝達を行なわないように構成した
一方向クラツチを設ける構成にした。

〔作用〕

このように、エンジンから走行車輪に至る動力
伝達部に、エンジン側から走行車輪への方向には
動力の伝達を行うが、走行車輪からエンジン側へ
の方向には動力の伝達を行なわないように構成し
た一方向クラツチを設けると、田植機をエンジン
の駆動によつて前進走行している状態において、
田植機を、手で前方向に押すと、走行車輪は、前
記一方クラツチの存在により、エンジンによる回
転速度よりも早い速度で空回転するから、走行速
度を変速したり、或いは、主クラツチ機構を切り
操作したりすることなく、田植機を、エンジンに
よる走行速度よりも早い速度で前進移動すること
ができる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を、一輪式歩行型田植機
に適用した場合の図面について説明すると、図に
おいて符号１は、田植機の車体フレームを示し、
該車体フレーム１は、上面にエンジン２が取付く
伝動ケース３と、該伝動ケース３の左右両端から
後方に延びる左右一体の中空状サイドフレーム
４，５にて、平面コ字状に構成され、その伝動ケ
ース３に一体形に設けた走行ミツシヨンケース６
には、前記両サイドフレーム４，５間を後方に延
びるスイングケース７の前端が回動自在に枢着さ
れ、該スイングケース７の先端には、車体フレー
ム１の中心線上に位置する走行車輪８が設けられ
ている。

前記両サイドフレーム４，５の後端には、苗植
付ケース９，１０を各々固着して、該両苗植付ケ
ース９，１０間を門型の連結フレーム１１にて連
結し、この門型連結フレーム１１には、詳しくは
後述する車輪昇降装置１２を設けて、前記走行車
輪８を上下動することにより田植機の全体を昇降
するようになつている。

符号１３，１４は、前記両苗植付けケース９，
１０から後方に延びる左右一対の操縦ハンドルを
示し、該両操従ハンドル１３，１４は斜め上向き
の傾斜状に折曲され、その傾斜部上面には、当該
両ハンドル１３，１４間に水平横向きに装架した
ガイドレール１５とレール機構１６とによつて、
左右の横方向に移動自在に支持した後傾式の苗載
台１７が設けら、該苗載台１７の裏面箇所におけ
る両ハンドル１３，１４には、外周に往復ねじ溝
１９を有する横送り軸１８を、苗載台１７の移動
方向と平行に軸受し、この横送り軸１８に摺動自
在に被嵌したボス体２２には、往復ねじ溝１９に
係合する舟型キー２３を設け、ボス体２２を苗載
台１７に係合することにより、横送り軸１８の回
転で苗載台１７を左右に往復して横送りするよう
に構成する。なお、横送り軸１８の両端には、苗
載台１７の横送りの終端で苗マツトを縦送りする
ためのカム４４，４５を備えている。

前記両苗植付けケース９，１０内には、水平横
方向に爪軸２４，２５を各々軸支し、該両爪軸２
４，２５の内側端には、上下揺動式の苗植機構２
６，２７を各々設け、右側の苗植付ケース１０に
おける爪軸２５上の傘歯車２８には、右側のサイ
ドフレーム５内に挿通した軸２９先端の傘歯車３
０を、左側の苗植付ケース９における爪軸２４上
の傘歯車３１には、左側のサイドフレーム４内に
挿通した軸３２先端の傘歯車３３を各々噛合し
て、前記エンジン２から動力を両爪軸２４，２５
に伝達して、その苗植機構２６，２７を駆動し、
且つ、左側の苗植付ケース９における爪軸２４の
外端部のスプロケツト３５と、前記横送り軸１８
の外端部のスプロケツト３５とにチエンケース３
６内のチエン３７を巻掛けて、爪軸２４から前記
横送り軸１８に回転伝動するように構成する。

また、符号３８，３９は、前記走行車輪８の両
側面で且つ両サイドフレーム４，５及び両苗植付
ケース９，１０の下部に位置する左右一対のフロ
ートを示し、該両フロート３８，３９の後部は、
前記両ハンドル１３，１４の基部に植付け深さ調
節杆４０を介して取付けられ、前端は両サイドフ
レーム４，５に対してリンク４１を介して上下動
自在に取付けられている。

この場合、両フロート３８，３９の内側面には
平面三角形状の均平部４２，４３を一体的に備え
ており、その各後方の部位に苗植機構２６，２７
で植付けるようになつている。

そして、前記右側サイドフレーム５には、ベル
クランクレバー４６の基端を回動自在にピン４７
枢着し、該ベルクランクレバー４６の先をリンク
を介して、前記スイングケース７の上面に連結
し、クランクハンドル４８の回動により軸方向に
伸縮する車輪昇降装置１２を前記門型連結杆１１
に取付けし、該車輪昇降装置１２の雌ねじ管４９
の下端を前記クランクレバー４６の他端に連結す
ると共に、前記雌ねじ管４９に被嵌し、クランク
レバー４６と昇降装置１２との間に装架する圧縮
ばね（図示せず）を介してスイングケース７を下
向き弾性付勢する。

前記エンジン２から前記走行車輪８への動力伝
達は、後述する伝動機構５０を介して行われる。
即ち、エンジン２の出力軸５１が突出する側面
２′と、前記走行ミツシヨンケース６への入力軸
５２が突出する側面６′とを対面させるようにエ
ンジン２と走行ミツシヨンケース６とを対向配設
し、前記出力軸５１のプーリ５３と、走行ミツシ
ヨンケース６における入力軸５２のプーリ５４と
の間にベルト５５を巻掛けする。

前記走行ミツシヨンケース６内においては、入
力軸５２と中間軸５６との間を歯車５７，５８に
て伝達すると共に、その中間軸５６上における小
径歯車５９と、動力取出軸６１上における大径歯
車６０とを噛合する。前記伝動軸６１にはその軸
線方向にのみ、摺動自在で且つ大径歯車６０側面
方向にばね６３付勢された主クラツチ６４を設け
てハンドル１３部等からON、OFF操作できるよ
うにし、更に、スイングケース７の基端を前記伝
動軸６１に回動自在に枢着すると共に、ケース７
内に臨んだ伝動軸６１先端に取付くスプロケツト
６５及びチエン６６により前記走行車輪８に動力
伝達する。

そして、前記中間軸５６と、これに嵌まる前記
小径歯車５９との間には、一方向クラツチ６２を
設けることにより、エンジン２から走行車輪８へ
の方向には動力の伝達を行うが、走行車輪８から
エンジン２への方向には動力の伝達を行なわない
ように構成する。

なお、左右両サイドフレーム４，５内の軸２
９，３２には、走行ミツシヨンケース６と一体的
な伝動ケース３内において、前記中間軸５６から
第５図に示す軸６７，６８を介して動力伝動する
のであり、軸６８には、苗植機構２６，２７等へ
の動力伝達を断続するための植付けクラツチ６９
が設けられている。

この構成において、苗載台１７に苗マツトを供
給し、エンジン２を始動させると、その出力軸５
１から走行ミツシヨンケース６の入力軸５２にベ
ルト５５を介して動力伝達され、走行ミツシヨン
ケース６内では、入力軸５２から中間軸５６及び
伝動ケース３内の軸６８等を経て苗植機構２６，
２７を駆動すると共に、前記中間軸５６から伝動
軸６１及びスイングケース７内のチエン６６等を
経て走行車輪８を駆動するから、田植機は、走行
車輪８により前進走行する一方、苗載台１７が横
送り軸１８の回転によつて左右に往復して横送り
され、苗載台１７上の苗マツトは上下揺動の苗植
機構２６，２７によつて１株づつ分割されたの
ち、予めフロート３８，３９の各均平部４２，４
３で整地したあとの圃場面に順次２条に沿つて植
付けされるのである。

そして、田植え作業が畦際まで進行すると、苗
植機構２６，２７のクラツチ６９を切り、走行車
輪８のみを駆動させることにより、田植機を、次
の植付け条に、また、次の田圃に移動するのであ
るが、この田植え作業に際しての走行速度は、人
の歩行速度より十分遅いのが普通であるから、田
植え作業を行つているときの走行速度のままで田
植機を移動するときには、田植機の移動に時間が
かかることになる。

これに対して、本発明に従えば、走行車輪８を
エンジン２によつて回転駆動した状態で、作業者
がハンドル１３，１４を持つて田植機を、当該田
植機の前進走行速度よりも早い速度で前方向に押
すと、走行車輪８と連動する小径歯車５９が、中
間軸５６との間に一方クラツチ６２を設けたこと
により空転するから、田植機を、走行用主クラツ
チ６４を切ることなく、エンジン２による前進走
行速度よりも速い速度で移動できるのである。

〔発明の効果〕

以上の通り本発明によれば、田植機を、エンジ
ンによる前進走行中において前進方向に押すだけ
で、田植機を、エンジンによる走行速度よりも早
い速度で前進移動できて、前記従来のように、走
行速度を変速したり、或いは、主クラツチ機構を
切つたりする操作を必要としないから、田植機
を、エンジンによる前進走行中において、エンジ
ンによる走行速度よりも早い速度で前進移動する
ことが、衝撃を発生することなく、従つて、耐久
性の低下を招来することなく、至極簡単に、且
つ、迅速にできるのであり、特に、一輪式歩行型
田植機の場合においては、走行速度を変速した
り、或いは、主クラツチ機構を切つたりすること
の操作のために機体が左右方向に傾くことを、確
実に回避できる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は一輪
式歩行型田植機の側面図、第２図はその平面図、
第３図は第１図の−線拡大断面図、第４図は
第１図の−線拡大断面図、第５図は第１図の
−線拡大断面である。 １……車体フレーム、２……エンジン、３……
伝動ケース、４，５……サイドフレーム、６……
走行ミツシヨンケース、７……スイングケース、
８……走行車輪、１３，１４……ハンドル、１７
……苗載台、２６，２７……苗植機構、５２……
入力軸、５６……中間軸、５９……小径歯車、６
０……大径歯車、６２……一方向クラツチ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ エンジンを搭載した車体フレームに、苗載台
   と操縦ハンドルとを配設すると共に、当該車体フ
   レームを支持する走行車輪を装着して成る歩行型
   田植機において、前記エンジンから前記走行車輪
   に至る動力伝達部に、エンジン側から走行車輪へ
   の方向には動力の伝達を行うが、走行車輪からエ
   ンジン側への方向には動力の伝達を行なわないよ
   うに構成した一方向クラツチを設けたことを特徴
   とする歩行型田植機の走行装置。