JPH06220760A - 伸縮性ポリエステル系極細繊維不織布及びその製造方法 - Google Patents

伸縮性ポリエステル系極細繊維不織布及びその製造方法

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JPH06220760A
JPH06220760A JP5027249A JP2724993A JPH06220760A JP H06220760 A JPH06220760 A JP H06220760A JP 5027249 A JP5027249 A JP 5027249A JP 2724993 A JP2724993 A JP 2724993A JP H06220760 A JPH06220760 A JP H06220760A
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JP
Japan
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polyester
ultrafine
polypropylene
nonwoven fabric
fiber
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JP5027249A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nishimura
弘 西村
Yoshimoto Miyahara
芳基 宮原
敏 ▲かせ▼谷
Satoshi Kaseya
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 伸縮性に優れたポリエステル系極細繊維不織
布を提供する。 【構成】 ポリエステル系極細繊維不織布は、ポリエス
テル系極細繊維が集積されてなるものである。この極細
繊維は、非結晶質ポリエステルを母体とし、この母体中
に結晶質ポリプロピレンが分散されてなるものである。
また、極細繊維の平均直径は、0.1〜10.0μである。そ
して、極細繊維不織布の30%伸長時の弾性率は、60%以
上である。このような極細繊維不織布は、以下のように
して製造することができる。即ち、まず、ポリエステル
とポリプロピレンとが混合されてなる溶融樹脂を準備す
る。この溶融樹脂を吐出孔より吐出すると同時に高速ガ
スを吹き付けて、ポリエステル系極細繊維を得る。そし
て、高速ガスによって極細繊維を捕集材上へ搬送し集積
して繊維ウェブを得る。この後、繊維ウェブに熱処理を
施して、伸縮性ポリエステル系極細繊維不織布を得るの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル系極細繊
維が集積されてなる伸縮性に優れた不織布及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱可塑性樹脂系極細繊維が集
積されてなる不織布は知られている。この不織布は、い
わゆるメルトブローン法によって、容易に製造すること
ができる。メルトブローン法は、溶融させた熱可塑性樹
脂を、直径の小さい吐出孔より吐出すると同時に高速且
つ高温のガス(一般的には空気)を吹き付けて、吐出し
た溶融樹脂を細化して極細繊維を得、この極細繊維を高
速且つ高温のガスで捕集材上へ搬送して集積するという
方法である[インダストリアル アンド エンジニアリ
ング ケミストリー(Industrial and Engineering Che
mistry)の第48巻第8号(1342〜1346頁)、1956年]。
【0003】そして、熱可塑性樹脂としてポリオレフィ
ン,ポリエステル,ポリアミド等を採用し、メルトブロ
ーン法で種々の不織布を製造することが行なわれてい
る。特に、ポリエステルは、他の熱可塑性樹脂と比較し
て耐熱性に優れているため、耐熱性が要求される用途に
は、ポリエステル極細繊維よりなる不織布を使用するこ
とが試みられている。例えば、フィルターとしての用途
に、このポリエステル極細繊維不織布を使用する場合に
は、ポリエステル繊維よりなるスパンボンド不織布上
に、ポリエステル極細繊維不織布を積層し、その後、加
熱凹凸ロールと平滑ロールとの間にこの積層体を導入
し、加熱凹凸ロールの凸部によってポリエステル繊維又
はポリエステル極細繊維を軟化又は溶融させ、両者を熱
接着することがある。この場合、加熱凹凸ロールの熱に
よって、ポリエステル極細繊維不織布が激しく収縮し、
スパンボンド不織布と均一に積層接着できないという憾
みがあった。即ち、ポリエステル極細繊維不織布は、耐
熱性に優れている反面、熱を与えると大きく収縮すると
いう性質があった。
【0004】ポリエステル極細繊維不織布のこのような
性質を改良するため、以下のような提案がなされてい
る。即ち、ポリエステル極細繊維ウェブに、高圧柱状流
を作用させて極細繊維相互間を三次元交絡させた後、こ
の繊維ウェブに樹脂含浸を施し、更にその後熱処理し
て、ポリエステル極細繊維不織布を得る方法が提案され
ている(特開昭54-147276号公報、特開昭54-147278号公
報)。この方法によって得られた不織布は、既に熱処理
がされており、且つ極細繊維相互間が強固に結合されて
いるため、前記の如くスパンボンド不織布と熱接着して
も、収縮しにくく均一に積層接着しうるものである。し
かしながら、このような方法は、高圧柱状流による処
理,樹脂含浸処理,熱処理の如き多工程を要するため、
不合理であり且つ経済的でないという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このため、本発明者等
は、メルトブローン法によって得ただけで、即ち得られ
たポリエステル極細繊維不織布に種々の処理を施さなく
ても、ポリエステル極細繊維ウェブの熱収縮を抑制させ
る技術を開発しようとした。そこで、まず、メルトブロ
ーン法によって得られたポリエステル極細繊維不織布
が、熱によって激しく収縮する原因を追求した。ポリエ
ステル極細繊維不織布が収縮するのは、ポリエステル極
細繊維自体が収縮するからであり、したがってポリエス
テル極細繊維の状態を観察した。その結果、メルトブロ
ーン法によって形成されたポリエステル極細繊維は、メ
ルトブローン法によって形成されたポリプロピレン極細
繊維と比較して、高分子鎖の配向及び結晶化が殆ど起こ
っていないことが判明した。そして、各高分子鎖は、高
速且つ高温ガスによる極細繊維形成過程において、大き
な内部歪を持った状態で存在していることが判明した。
従って、ポリエステル極細繊維に熱を与えると、この内
部歪が除去され、且つ配向及び結晶化する方向に高分子
鎖が移動するため、ポリエステル極細繊維が激しく収縮
するのである。
【0006】そこで、本発明者等は、高分子鎖が大きな
内部歪を持たず、且つ配向及び結晶化した状態で存在し
うるようにして、ポリエステル極細繊維を得ようとし
た。しかし、メルトブローン法を採用している限り、こ
のようなポリエステル極細繊維を得ることができなかっ
た。これは、高分子鎖の存在状態が、メルトブローン法
の基本的な製造条件に起因しているからであり、一般の
ポリエステル繊維製造時の如く、十分な冷却及び延伸工
程が存在しないからである。しかしながら、本発明者等
が研究を続けた結果、ポリエステル中に、メルトブロー
ン法においても結晶化しやすいポリプロピレンを少量混
合させておくと、メルトブローン法によって得られるポ
リエステル系極細繊維の熱収縮を抑制しうることが判明
したのである。更に、驚くべきことに、このポリエステ
ル系極細繊維よりなる不織布に、熱処理を施して、抑制
された熱収縮を発現させて得られる不織布は、優れた伸
縮性を発揮することが分かったのである。本発明は、こ
のような知見に基づいてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、非結晶
質ポリエステルを母体とし、結晶質ポリプロピレンが該
母体中に分散されてなり、且つ平均直径が0.1〜10.0μ
であるポリエステル系極細繊維が集積されてなる不織布
であって、該不織布の30%伸長時の弾性率が60%以上で
あることを特徴とする伸縮性ポリエステル系極細繊維不
織布に関するものである。また、ポリエステルとポリプ
ロピレンとが混合されてなる溶融樹脂を、吐出孔より吐
出すると同時に高速ガスを吹き付けて、ポリエステル系
極細繊維を得ると共に、該高速ガスによって該ポリエス
テル系極細繊維を捕集材上へ搬送し集積して繊維ウェブ
を得た後、該繊維ウェブに熱処理を施すことを特徴とす
る伸縮性ポリエステル系極細繊維不織布の製造方法に関
するものである。
【0008】まず、本発明において使用するポリエステ
ルは、テレフタル酸やイソフタル酸の酸成分と、エチレ
ングリコールやブチレングリコールのジオール成分とを
重縮合させて得られる、ポリエチレンテレフタレート,
ポリエチレンイソフタレート,ポリブチレンテレフタレ
ート等が使用される。また、前記した酸成分及びジオー
ル成分以外の他の酸成分若しくはジオール成分を、10重
量%以下の割合で共重合させたポリエステルも使用しう
る。
【0009】使用するポリエステルの相対粘度は、1.22
〜1.32であるのが好ましく、特に1.23〜1.30であるのが
より好ましく、更には1.24〜1.28であるのが最も好まし
い。これは、メルトブローン法で製造する場合、ポリエ
ステルの溶融粘度が、得られる繊維ウェブの品位及び収
率に大きな影響を与えるためである。即ち、ポリエステ
ルの相対粘度が1.22未満であると、あまりにも粘度が低
すぎて、製造したポリエステルをチップ化するのが困難
であり、ポリプロピレンと均質に混合して溶融させにく
くなる傾向が生じる。また、メルトブローン法で得られ
たポリエステル系極細繊維の強度等が比較的低く、極細
繊維ウェブの機械的性能が不十分となる傾向が生じる。
逆に、ポリエステルの相対粘度が1.32を超えると、メル
トブローン法を適用しても、繊維の細化が起こりにく
く、極細繊維が得られにくくなる傾向が生じる。また、
メルトブローン法を適用した場合、吐出孔付近にポリマ
ー玉が発生しやすくなって、長時間に亙って連続操業で
きなくなる恐れがある。なお、ポリエステルの相対粘度
は、フェノールと四塩化エタンの1/1重量比の混合溶媒
(温度20℃)に、ポリエステルを0.5g/100ccの濃度と
なるように溶解させて測定したものである。
【0010】一方、ポリエステルと混合されるポリプロ
ピレンとしては、通常工業的に使用されているポリプロ
ピレンや8重量%以下のエチレンがランダム共重合され
ているエチレン/プロピレン共重合体等が用いられる。
このようなポリプロピレンは、メルトブローン法を適用
した場合、ポリエステルに比べて結晶化の程度の高いも
のである。また、ポリプロピレンの流動性は、そのメル
トフローレートが30〜1200であるのが好ましい。ポリプ
ロピレンのメルトフローレートが30未満であると、流動
性が低すぎて、メルトブローン法を適用しても、連続し
たポリエステル系極細繊維が得られにくく、切断しやす
くなって、切断端が玉状となり、したがって玉状物が含
有されている不均質で低品位な繊維ウェブしか得られな
い傾向が生じる。逆に、ポリプロピレンのメルトフロー
レートが1200を超えると、流動性が悪くなって、メルト
ブローン法を適用しても、繊維の細化が起こりにくく、
極細繊維が得られず、本発明の目的とする風合の柔らか
い極細繊維ウェブが得られない傾向が生じる。ここで、
メルトフローレートは、ASTM-D-1238(L)に規定された方
法で測定したものである。なお、本発明において使用す
るポリエステル及びポリプロピレンには、必要に応じて
各種の添加剤、例えば艶消し剤,顔料,光安定剤,熱安
定剤,酸化防止剤等を添加しておいても良い。
【0011】以上の如き、ポリエステルとポリプロピレ
ンとを混合して溶融樹脂を得る。または、溶融させたポ
リエステルと溶融させたポリプロピレンとを混合して溶
融樹脂を得る。ポリエステルとポリプロピレンを混合す
る際、両者の粘度にあまり差がないことが望ましい。即
ち、ポリプロピレンの溶融流量に対するポリエステルの
溶融流量の比(ポリエステルの溶融流量/ポリプロピレ
ンの溶融流量)が、0.8〜1.2であることが好ましく、特
に0.85〜1.15であるのがより好ましく、更には0.90〜1.
10であるのが最も好ましい。この比が0.8未満[(ポリ
エステルの溶融流量/ポリプロピレンの溶融流量)<0.
8]であると、メルトブローン法を適用して極細繊維を
得た場合、ポリエステルを芯としポリプロピレンを鞘と
する芯鞘構造の極細繊維が多く得られる傾向となる。逆
に、この比が1.2を超える[(ポリエステルの溶融流量
/ポリプロピレンの溶融流量)>1.2]と、メルトブロ
ーン法を適用して極細繊維を得た場合、ポリエステルを
鞘としポリプロピレンを芯とする芯鞘構造の極細繊維が
多く得られる傾向となる。即ち、ポリエステルとポリプ
ロピレンの如き非相溶性の樹脂の混合物であって、両者
の溶融流量の差が大きいと、この混合物にメルトブロー
ン法を適用した場合、溶融流量の小さい樹脂が流路抵抗
の高い吐出孔の菅壁付近を流れ、溶融流量の大きい樹脂
が流路抵抗の低い吐出孔の中心付近を流れることになっ
て、芯鞘構造の極細繊維となってしまうのである。この
ように、極細繊維が芯鞘構造になると、本発明の目的と
する極細繊維の収縮を抑制する効果が少なくなるのであ
る。従って、ポリエステルとポリプロピレンの溶融流量
の比を、上記した一定範囲に設定しておくと、ポリエス
テルを母体とし、この母体中にポリプロピレンが分散し
た、収縮抑制効果に優れた極細繊維が得られるのであ
る。なお、ここで言う溶融流量は、以下のようにして測
定されるものである。即ち、メルトインデクサー溶融流
量測定装置を用い、荷重2160g,吐出孔径0.4mm,吐出
孔長さ1.2mm,温度は溶融紡糸温度と同一として、10分
間の樹脂(ポリエステル又はポリプロピレン)の吐出量
を溶融流量としたものである。
【0012】本発明において、ポリエステルとポリプロ
ピレンとを混合する際、ポリエステルが95〜70重量部
で、ポリプロピレンが5〜30重量部の割合となるように
混合するのが好ましい。より好ましい混合割合は、ポリ
エステルが92〜75重量部で、ポリプロピレンが8〜25重
量部であり、最も好ましい混合割合は、ポリエステルが
90〜80重量部で、ポリプロピレンが10〜20重量部であ
る。ポリプロピレンが5重量部未満になると、両樹脂を
混合した効果が低下し、得られるポリエステル系極細繊
維の熱収縮率が大きくなって、その伸縮性が低下する傾
向がある。また、ポリエステルが70重量部未満になる
と、ポリエステルの特徴である高ヤング率や耐熱性とい
う性質を、得られるポリエステル系極細繊維が発揮しに
くくなる傾向が生じる。
【0013】このようにして得られた溶融樹脂に、従来
公知のメルトブローン法を適用して、ポリエステル系極
細繊維不織布を得るのである。即ち、溶融樹脂を、ダイ
に設けられた孔径0.1〜1.0mm程度の吐出孔より吐出す
る。そして、吐出孔の両側に設けられた、幅0.1〜0.5mm
程度のスリットから噴出している高速且つ高温のガス
(一般的には空気)を、吐出した溶融樹脂に吹き付け
て、この樹脂を細化してポリエステル系極細繊維を得
る。この際、ガスの温度は、ダイの温度よりも20℃以上
高い温度に設定するのが好ましい。ダイの温度は、混合
した溶融樹脂のメルトフローレートに合わせて適宜決定
すればよいが、一般的に290〜350℃程度が好ましい。ダ
イの温度が290℃未満になると、溶融樹脂の吐出が困難
になって、ポリエステル系極細繊維が切断しやすくなる
傾向が生じる。逆に、ダイの温度が350℃を超えると、
ポリエステルやポリプロピレンが分解してしまう恐れが
生じる。また、ガスの流速は80〜300m/秒程度が好ま
しく、溶融樹脂の吐出方向に対して5〜45度の角度で、
吐出した溶融樹脂に吹き当てるのが好ましい。このよう
にして得られたポリエステル系極細繊維は、この高速且
つ高温のガスによって、ネットコンベアー等で構成され
る捕集材上へ搬送され、そこで集積されてポリエステル
系極細繊維よりなる繊維ウェブが得られるのである。
【0014】以上の方法で得られたポリエステル系極細
繊維は、その横断面が図1に示す如き状態となってい
る。そして、ポリエステルを母体とし、ポリプロピレン
はこの母体中に分散した状態となっている。また、前述
したように、メルトブローン法を適用して得られたポリ
エステル極細繊維は、結晶化しにくく、一方ポリプロピ
レン極細繊維は結晶化しやすいものである。従って、相
対的に言って、母体となっているポリエステルは非結晶
質となっており、母体中に分散しているポリプロピレン
は結晶質となっている。この説明から明らかなように、
本発明において、非結晶質と言うのは、ポリエステルの
結晶化の程度がポリプロピレンよりも低いことを意味し
ており、また結晶質と言うのは、ポリプロピレンの結晶
化の程度がポリエステルよりも高いことを意味してい
る。
【0015】また、得られたポリエステル系極細繊維の
平均直径は、0.1〜10.0μである。これは、メルトブロ
ーン法を適用して得られた極細繊維の一般的な平均直径
である。ポリエステル系極細繊維の平均直径を0.1μ未
満にすると、メルトブローン法によって連続した極細繊
維が得られにくくなり、極細繊維が切断しやすくなっ
て、均質な繊維ウェブが得られず、また生産性が低下す
るので好ましくない。逆に、平均直径が10.0μを超える
と、得られた繊維の剛性が大きくなり、繊維ウェブの風
合が硬くなるので、好ましくない。なお、ポリエステル
系極細繊維の平均直径は、得られた繊維ウェブを電子顕
微鏡写真によって撮影し、そこに現われた各極細繊維の
直径を単純平均したものである。
【0016】以上の如きポリエステル系極細繊維が集積
されて、ポリエステル系極細繊維ウェブが得られる。極
細繊維ウェブの目付は、5〜250g/m2程度であるのが
好ましい。次いで、この繊維ウェブに熱処理を施す。熱
処理としては、加熱凹凸ロールと平滑ロール又は凹凸ロ
ールとの間に繊維ウェブを導入するエンボス法,加熱さ
れた平滑ロールと平滑ロールとの間に繊維ウェブを導入
するカレンダー法,熱水に繊維ウェブを浸漬する熱水処
理法等を採用することができる。特に、この中でもエン
ボス法を採用するのが好ましい。エンボス法を採用する
場合、加熱凹凸ロールの温度は40〜100℃が好ましく、
特に50〜70℃が好ましい。また、加熱凹凸ロールの凸部
が繊維ウェブに当接する割合(圧接面積率)は、繊維ウ
ェブの総面積に対して4〜50面積%であるのが好まし
く、特に5〜20面積%であるのが好ましい。加熱凹凸ロ
ールと平滑ロール又は凹凸ロール間の線圧は、10〜200k
g/cmであるのが好ましく、特に30〜150kg/cmであるの
が好ましい。なお、繊維ウェブに熱処理を施す際、繊維
ウェブは緊張状態であってもよいし、また無緊張状態で
あってもよい。しかし、無緊張状態で熱処理を施す方
が、得られる不織布の伸縮性が大きくなるので、好まし
い。
【0017】以上のようにして熱処理を施した後、所望
に応じて、ポリエステル系極細繊維相互間を何らかの手
段で結合させて不織布を得る。例えば、高圧柱状流処
理、二ードルパンチ処理,バインダー含浸処理等の従来
公知の手段で、極細繊維相互間を結合させればよい。ま
た、熱処理の際に、ポリエステル系極細繊維相互間を結
合させて、熱処理と同時に不織布を得るのも好ましいこ
とである。例えば、エンボス法を採用して熱処理を施し
た場合、加熱凹凸ロールの凸部が当接した繊維ウェブの
箇所において、ポリエステル系極細繊維を軟化又は溶融
させ、極細繊維の融着によって、極細繊維相互間を結合
してもよい。以上の如き方法によって、30%伸長時の弾
性率が60%以上に調整された、本発明に係る伸縮性に優
れたポリエステル系極細繊維不織布が得られるのであ
る。弾性率が60%未満になると、本発明の目的とする良
好な伸縮性を得ることができないので、好ましくない。
なお、本発明に係るポリエステル系極細繊維不織布の30
%伸長時の弾性率は、以下の如き方法によって測定され
るものである。即ち、JIS L-1096 6.13.1Aに従い、試料
幅5.0cm,試料長10cmの試料片を引張速度10cm/分で伸
長し、伸度が30%になった時点における伸び(E0)を
測定する。そして、伸度が30%になった時点で引張力を
解除し、試料片を回復させる。回復後における試料片の
伸び(E1)を測定し、[(E0−E1)/E0]×100な
る式で算出される値を、不織布の30%伸長時の弾性率と
するのである。
【0018】
【実施例】
実施例1〜5及び比較例1〜3 ポリエステルの相対粘度,ポリエステル/ポリプロピレ
ンの混合重量比(重量部),ポリエステルの溶融流量/
ポリプロピレンの溶融流量及び紡糸温度を、表1及び表
2に示したように種々変更し、エクストル−ダ−型溶融
紡糸装置を使用して溶融させ、孔径0.15mmの吐出孔を20
0個持つ口金から、吐出量80g/分の割合で吐出した。
この際、紡糸温度よりも20℃高い温度の空気を、170m
/秒の速度で、溶融樹脂の吐出方向に対して25度の角度
で当てた。これによって、口金から吐出された溶融樹脂
は細化され、ポリエステル系極細繊維が得られた。この
ポリエステル系極細繊維を、口金の下方10cmの位置に配
置したネットコンベアー上に搬送して集積し、ポリエス
テル系極細繊維ウェブを得た。この際、ポリエステル系
極細繊維ウェブの目付が50g/m2となるように調整し
た。
【0019】以上のようにして得られたポリエステル系
極細繊維ウェブを、60℃に加熱された凹凸ロールと常温
の平滑ロールとの間に導入して熱処理を行ない、伸縮性
ポリエステル系極細繊維不織布を得た。この際、凹凸ロ
ールと平滑ロール間の線圧は100kg/cmであり、凹凸ロ
ールの表面積に対する凸部の総面積は10面積%であっ
た。また、この際、極細繊維ウェブに当接した凸部の熱
及び押圧によって、ポリエステル系極細繊維が軟化し
て、極細繊維相互間が熱接着された。以上のようにして
得られた伸縮性ポリエステル系極細繊維不織布中の極細
繊維の平均直径及び不織布の30%伸長時の弾性率は、表
1及び表2に示すとおりであった。また、表1及び表2
に示した面積収縮率は、ポリエステル系極細繊維ウェブ
を熱処理して、不織布を得る場合において、極細繊維ウ
ェブの面積が収縮する程度を表わすものである。また、
表1及び表2に示した操業性は、得られたポリエステル
系極細繊維不織布中に、極細繊維の切断によって生じる
玉状物が存在するか否かを評価したものであり、玉状物
が存在する場合を「操業性不良」とし、玉状物が存在し
ない場合を「操業性良好」とした。
【0020】
【表1】
【表2】
【0021】以上の実施例と比較例1とを比較すれば、
比較例1に係るものは、極細繊維がポリエステルのみで
形成されているため、極細繊維ウェブを熱処理した際の
面積収縮率が非常に高く、且つ得られた不織布の30%伸
長時の弾性率が低く、実施例で得られた不織布に比べ
て、伸縮性に劣るものであった。また、比較例2に係る
ものは、極細繊維中におけるポリプロピレンの含有量が
多すぎて、ポリエステルが母体となりにくく、したがっ
て得られた不織布の30%伸長時の弾性率が低く、実施例
で得られた不織布に比べて、伸縮性に劣るものである。
また、比較例3に係るものは、30%伸長時の弾性率や操
業性は良好であるものの、極細繊維の平均直径が太すぎ
て、本発明で言う極細繊維不織布とは言えないものであ
る。
【0022】
【作用】本発明に係るポリエステル系極細繊維不織布の
伸縮性が大きい理由は、定かではないが、以下のとおり
であると推察しうる。即ち、メルトブローン法によって
得られたポリエステル系極細繊維は、前に説明したよう
に、非結晶質ポリエステルを母体とし、この母体中に結
晶質ポリプロピレンが分散されてなるものである。そし
て、このポリエステル系極細繊維が集積されてなる繊維
ウェブに、熱処理を施すと、このポリエステル系極細繊
維に熱が与えられ、非結晶質ポリエステルの高分子鎖は
結晶化を進行させようとして、収縮する方向に移動しよ
うとする。しかしながら、非結晶質ポリエステルの高分
子鎖の間には、結晶質ポリプロピレンが存在している。
そして、この結晶質ポリプロピレンは既に結晶化の進ん
だものであるため、もはやポリプロピレン高分子鎖は移
動しにくいものである。従って、ポリエステルの高分子
鎖が移動するのを、移動しにくいポリプロピレンの高分
子鎖が阻止するのである。そうすると、ポリエステルの
高分子鎖は、結晶化したポリプロピレンの高分子鎖間に
おいて、若干収縮した状態で且つ結晶化しない状態で存
在することになる。即ち、結晶化したポリプロピレンの
高分子鎖間に、屈曲しているけれども結晶化せずに、バ
ネの如き状態でポリエステルの高分子鎖が存在すること
になる(図2参照)。従って、引張力を与えると、ポリ
エステルの高分子鎖が伸びて伸長し、引張力を解除する
と、このポリエステルの高分子鎖が元の状態に戻ること
になって、伸縮性を発現するのである。
【0023】
【発明の効果】以上の如き作用で、ポリエステル系極細
繊維が伸縮性を発揮する結果、このポリエステル系極細
繊維相互間が結合されてなる、本発明に係るポリエステ
ル系極細繊維不織布は、良好な伸縮性を発揮するという
効果を奏するのである。また、本発明に係る方法を採用
すれば、ポリエステルとポリプロピレンとを混合した樹
脂を用い、メルトブローン法を適用するだけで、良好な
伸縮性を持つポリエステル系極細繊維不織布を得ること
ができ、合理的で且つ経済的に風合の良好な伸縮性不織
布を得ることができるという効果を奏する。なお、以上
説明した本発明に係るポリエステル系極細繊維ウェブ
は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の衛生材料の表
面材,合成紙,フィルター材,人工皮革の基布,中入れ
綿等の衣料用断熱素材等として好適に使用されるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるポリエステル系極細繊維の横断
面の模式図である。
【図2】本発明におけるポリエステル系極細繊維中のポ
リエステルとポリプロピレンとの結晶状態を示した模式
図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非結晶質ポリエステルを母体とし、結晶
    質ポリプロピレンが該母体中に分散されてなり、且つ平
    均直径が0.1〜10.0μであるポリエステル系極細繊維が
    集積されてなる不織布であって、該不織布の30%伸長時
    の弾性率が60%以上であることを特徴とする伸縮性ポリ
    エステル系極細繊維不織布。
  2. 【請求項2】 ポリエステルとポリプロピレンとが混合
    されてなる溶融樹脂を、吐出孔より吐出すると同時に高
    速ガスを吹き付けて、ポリエステル系極細繊維を得ると
    共に、該高速ガスによって該ポリエステル系極細繊維を
    捕集材上へ搬送し集積して繊維ウェブを得た後、該繊維
    ウェブに熱処理を施すことを特徴とする請求項1記載の
    伸縮性ポリエステル系極細繊維不織布の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリエステルの溶融流量/ポリプロピレ
    ンの溶融流量が0.8〜1.2であり、且つ相対粘度が1.22〜
    1.32であるポリエステル95〜70重量部と、ポリプロピレ
    ン5〜30重量部とが混合されてなる溶融樹脂を使用する
    請求項2記載の伸縮性ポリエステル系極細繊維不織布の
    製造方法。
JP5027249A 1993-01-22 1993-01-22 伸縮性ポリエステル系極細繊維不織布及びその製造方法 Pending JPH06220760A (ja)

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