JPH06212429A - 硬質炭素膜 - Google Patents

硬質炭素膜

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JPH06212429A
JPH06212429A JP5142101A JP14210193A JPH06212429A JP H06212429 A JPH06212429 A JP H06212429A JP 5142101 A JP5142101 A JP 5142101A JP 14210193 A JP14210193 A JP 14210193A JP H06212429 A JPH06212429 A JP H06212429A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた耐摩耗性と高い導電性とを併せ持つ硬
質炭素膜を提供する。 【構成】 炭素、または炭素と水素を主成分とし、炭
素、水素以外の1種類以上の不純物元素を含有する非晶
質の硬質炭素膜において、室温での電気抵抗率が1×1
-6Ω・cm以上1×102 Ω・cm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬質炭素膜に関し、よ
り特定的には、摺動材料のコーティング材として耐摩耗
性、低摩擦摺動特性を有するコーティング硬質炭素膜に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】硬質炭素膜は、ダイヤモンド状炭素(D
LC)、アモルファスカーボン(a−C:H)、i−C
などとも呼ばれている。その成分は、炭素を主成分とす
るほか水素が含まれており、その水素の量は炭素原子に
対し0.05〜0.5原子含まれている。硬質炭素原子
構造は、sp3結合を多く含む非晶質構造で、水素原子
は炭素原子の不対結合手を終端とする形で取込まれてい
るものと考えられる。また、その性質は、ヌープ硬度が
一般に数千と非常に硬く、電気抵抗率は106 〜1014
Ω・cmと非常に高い絶縁性を示し、赤外線に対して透
明であるなど、ダイヤモンドに類似した点が多い。こう
した特性を利用することにより、表面保護膜や光学材料
など種々の応用開発が行なわれている。
【0003】なお、硬質炭素膜の電気抵抗率について
は、特公昭61−53955号公報、特公平4−287
85号公報に記載されているように、硬質炭素膜にII
I族、V族の元素を微量に添加して、電気抵抗率を10
2 〜106 Ω・cm程度まで下げる試みもなされてい
る。
【0004】上記のような硬質炭素膜の製造方法として
は、以下のような手法が挙げられる。
【0005】(1) 炭化水素ガスをプラズマで分解し
て基板上に堆積させるプラズマCVD(Chemical Vapor
Deposition )法。
【0006】(2) プラズマ状態から導き出されるイ
オンの衝撃で、カーボンターゲットからスパッタリング
される炭素粒子を基板上に堆積させるスパッタ法、イオ
ンビームスパッタ法。
【0007】(3) 固体カーボンを蒸着させる際にプ
ラズマ中を通して炭素を活性化させ堆積させるイオンプ
レーティング法。
【0008】(4) プラズマ状態から数100eV〜
1keV程度のエネルギーを有する炭素または炭化水素
イオンを照射して成膜するイオンビーム蒸着法。
【0009】(5) カーボンターゲットにレーザを照
射してプラズマ中に放出される炭素粒子を堆積させるレ
ーザアブレーション法。
【0010】これらの方法を用いて形成された硬質炭素
膜の表面は極めて平滑で、その摩擦係数は小さな値とな
る。さらに、硬質炭素膜コーティングを施した表面と摩
擦させた場合、相手材の損傷も小さい傾向がある。こう
したことから、近年、摺動材料の表面コーティング処理
として、硬質炭素膜は非常に注目を集めている。
【0011】具体的には、ビデオやオーディオ関係など
AV機器、ハードディスクやプリンタ、ファクシミリ、
コピー機などの事務用機器など各方面で硬質炭素膜の応
用開発が進められている。
【0012】一方、導電性の要求される摺動材料として
現在最も一般的な材料にグラファイトが挙げられる。グ
ラファイトは電気抵抗率が0.2×10-3〜4×10-3
Ω・cmと低い値を有している。これは、sp2結合に
より余ったπ電子が関与していることに起因する。ま
た、グラファイトの金属との摩擦係数は一般に0.1前
後であり、これは六方晶のc軸方向の結合が弱く、c面
方向に滑りが起こるためと考えられている。こうした特
異な性質を生かし、グラファイトはカーボンブラシなど
の電気的な接触を要求される摺動部分に利用されてい
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来の硬質炭素膜は、
無潤滑摺動を要求される摺動部に対しては理想的な材料
である。すなわち、その摩擦係数が0.05〜0.2と
小さく、高硬度であるがゆえ極めて摩耗しにくい。しか
も、摺動の相手材料への攻撃性も極めて小さい特異な材
料でもある。しかしながら、従来の硬質炭素膜には、
電気抵抗率、膜応力、において以下に述べる問題点が
あった。
【0014】 電気抵抗率における問題点 従来の硬質炭素膜では、電気抵抗率が106 〜1014Ω
・cmと大きいため、電気的接触が要求される摺動部へ
の適用は不可能であった。
【0015】また、絶縁体同士の摺動では帯電がしばし
ば問題となる。硬質炭素膜は高い絶縁性を有しているた
め、摺動の相手材が絶縁体の場合、帯電が起こることが
多い。近年急激に市場が拡大している磁気記録媒体など
においては、こうした帯電は、埃の付着、ノイズの発
生、媒体の破壊につながる。それゆえ、硬質炭素膜は優
れた摺動特性を有しているにもかかわらず、磁気記録媒
体などへの適用が困難であった。また、帯電によるクー
ロン引力が摺動の相手材との間に生じ、見かけ上摩擦荷
重が増加して、摩擦力が高くなるという問題点もあっ
た。
【0016】このような現象を解消するために、カーボ
ンブラシなどによって帯電を解放させることも試みられ
ている。しかしながら、技術的には帯電防止が可能であ
っても、部品点数が増加するという結果につながるの
で、この対策は十分満足できる方法になり得ていない。
【0017】また摺動部にグラファイトを用いることも
考えられる。このグラファイトは、硬質炭素膜のような
帯電の問題はなく、電気的接触を達成し得る良摺動材料
である。しかし、グラファイトは自らが摩耗しながら滑
る自己潤滑性材料であり、硬質炭素膜に比べるとはるか
に摩耗量が大きい。したがって、グラファイトを摺動部
分に用いると、部品交換を頻繁に行なわなければならな
いという問題があった。
【0018】一方、上述した2つの公報(特公昭61−
53955号公報、特公平4−28785号公報)に記
載されている硬質炭素膜を摺動部に適用することも可能
である。すなわち、電気抵抗率が102 〜106 Ω・c
mという低い値を有する硬質炭素膜を摺動部に用いるこ
とによって、帯電による問題を防止することができる。
しかしながら、実用的にはさらに低い電気抵抗率を有す
る硬質炭素膜を摺動部に用いなければ、上記のような帯
電を十分に防止することは不可能であった。
【0019】以上より、従来においては優れた耐摩耗性
と高い導電性を併せ持つ硬質炭素膜は得られていなかっ
た。
【0020】 膜応力における問題点 一般に、硬質炭素膜は5×109 〜3×1010dyne
/cm2 という非常に大きな膜応力を有している。この
ため、硬質炭素膜の膜厚を数1000Å以上と厚くする
と、応力の蓄積により硬質炭素膜の剥離が生じやすくな
る。それゆえ、硬質炭素膜は1000〜3000Å程度
の比較的薄い膜厚で用いられている。
【0021】この硬質炭素膜が形成される基板として超
硬合金やSiCセラミックスなどの硬度の高い材料が用
いられる場合には、基板の上にコーティングされる硬質
炭素膜の膜厚が薄くても、低摩擦係数の摺動特性は比較
的長く持続され得る。たとえば、SiC基板の上に硬質
炭素膜が形成される場合、その摩擦係数は、硬質炭素膜
が形成されない場合の半分以下であり、摩耗量は数十分
の1である。
【0022】ところが、硬質炭素膜の形成される基板が
アルミニウム合金やステンレスなどの軟らかい材料から
なる場合、この基板は、摺動時の荷重によって容易に変
形してしまう。このように基板自体が変形してしまう
と、良好な低摩擦係数の摺動特性を十分に維持すること
ができなくなる。この摺動時の荷重を基板に伝えないよ
うにするには、硬質炭素膜の膜厚を厚くすることが考え
られる。しかし、上述の膜応力による制約によって、硬
質炭素膜の膜厚を1000〜3000Å以上にすること
はできない。このように硬質炭素膜の膜応力が大きいた
め、膜厚の硬質炭素膜を形成できず、ゆえに軟らかい材
料からなる基板の上に硬質炭素膜が形成される場合に
は、良好な低摩擦係数の摺動特性を十分に維持すること
が困難となる。
【0023】以上より、従来の硬質炭素膜では、良好な
摺動特性を十分に維持させることが困難であった。特に
軟らかい材料からなる基板の上に硬質炭素膜を形成する
場合には、それが特に顕著であり、硬質炭素膜の特性を
十分に発揮することができなかった。
【0024】それゆえ、本発明の一の目的は、優れた耐
摩耗性と高い導電性とを併せ持つ硬質炭素膜を提供する
ことである。
【0025】また本発明の他の目的は、膜応力が小さく
良好な摺動特性を十分維持できる硬質炭素膜を提供する
ことである。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、硬質炭素膜に炭素、水素以外の不純物を添加
することで、優れた耐摩耗性と高い導電性とを併せ持つ
硬質炭素膜が得られることを見出した。
【0027】それゆえ、本発明の一の局面に従う硬質炭
素膜は、炭素、または炭素と水素を主成分とし、炭素、
水素以外の1種類以上の不純物元素を含有する非晶質の
硬質炭素膜において、室温での電気抵抗率が1×10-6
Ω・cm以上1×102 Ω・cm以下である。
【0028】また本発明の硬質炭素膜の好ましい局面に
従えば、不純物元素は0.001原子%以上40原子%
以下の濃度で含有されている。
【0029】また本願発明者らは、鋭意検討した結果、
炭素、水素以外の不純物を硬質炭素膜に所望量添加する
ことで所定の範囲内の膜応力を有する硬質炭素膜の得ら
れることを見出した。
【0030】それゆえ、本発明の他の局面に従う硬質炭
素膜は、炭素、または炭素と水素を主成分とし、炭素、
水素以外の1種類以上の不純物元素を含有する非晶質の
硬質炭素膜において、炭素、水素以外の不純物元素を
0.001原子%以上40原子%以下の濃度で含有して
おり、その膜応力が1×108 dyne/cm2 以上7
×109 dyne/cm2 以下である。
【0031】また本発明の硬質炭素膜の好ましい一の局
面に従えば、炭素、水素以外の不純物元素が0.001
原子%以上1原子%以下の濃度で含有されている。
【0032】また本発明の硬質炭素膜の好ましい他の局
面に従えば、不純物元素のうち少なくとも1種類の元素
がビッカース硬度1000kg/mm2 以上の炭化物、
窒化物、炭窒化物の少なくともいずれかを形成する元素
である。
【0033】また本発明の硬質炭素膜の好ましいさらに
他の局面に従えば、不純物元素が、Ti(チタン)、V
(バナジウム)、Cr(クロム)、Zr(ジルコニウ
ム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Hf(ハ
フニウム)、Ta(タンタル)、W(タングステン)の
群から選ばれる少なくとも1種の元素からなっている。
【0034】また本発明の硬質炭素膜の好ましいさらに
他の局面に従えば、不純物元素が、B(ホウ素)、Au
(金)、Pt(白金)、Ag(銀)の群から選ばれる少
なくとも1種の元素からなっている。
【0035】また本発明の硬質炭素膜の好ましいさらに
他の局面に従えば、鋼に対する摩擦係数が0.25以下
である。
【0036】また基板の表面上に本発明の硬質炭素膜を
形成する場合には、基板側に炭素、水素以外の不純物元
素を0.001原子%未満の濃度で含有する硬質炭素膜
を形成し、外表面側に、炭素、水素以外の不純物元素を
0.001原子%以上1原子%以下の濃度で含有し、か
つ膜応力が1×108 dyne/cm2 以上7×10 9
dyne/cm2 以下である硬質炭素膜を積層化しても
よい。
【0037】
【作用】本発明による硬質炭素膜が導電性を持つ理由に
ついては詳しくはわかっていないが、不純物濃度により
2種類の伝導によるメカニズムが存在するものと考えら
れる。
【0038】第1の伝導は、不純物含有量の少ない領域
における、不純物伝導、あるいはホッピング伝導による
ものである。硬質炭素膜中に不純物が導入されると不純
物準位ができる。この不純物準位を介して、不純物伝導
あるいはホッピング伝導が起こるようになる。すなわ
ち、添加された不純物原子に局在する電子または正孔が
不純物原子の間をジャンプすることによって輸送される
のである。不純物元素の濃度が高くなれば、ホッピング
の確率が大きくなり、一般に電気抵抗は小さくなる。し
たがって、添加する不純物元素の量を制御することによ
り容易に硬質炭素膜の抵抗率を変えることができる。
【0039】第2の伝導は、不純物含有量の大きい領域
における伝導で、いわゆる自由電子による通常の伝導で
ある。不純物含有量の大きい領域では、膜中に添加した
不純物は、準連続的、あるいは連続的なマトリクスを形
成する。このマトリクスを通じて自由電子の輸送が起こ
るものである。
【0040】このように硬質炭素膜の電気抵抗率を下げ
ることにより、絶縁体からなる材料と摺動する際に摩擦
面で帯電が生じても、低い抵抗率を有する硬質炭素膜を
通して電荷が中和されるため、埃の付着やノイズの発生
を防ぐことができる。
【0041】本発明の一の局面に従う硬質炭素膜は、室
温での電気抵抗率が1×10-6Ω・cm以上1×102
Ω・cm以下となるものである。炭素膜の抵抗率は、添
加する不純物量を限りなく小さくすることで、無添加の
硬質炭素膜の抵抗率(106Ω・cm〜1014Ω・c
m)に限りなく近い値となる。本発明をするにあたり問
題となっていた帯電の防止には、102 Ω・cmから1
6 Ω・cm程度以下の抵抗率であればよいと言われて
いる。よって、抵抗率の上限は、帯電防止が可能な最大
の抵抗値をもって1×102 Ω・cm以下とする。しか
し、帯電防止という意味では、抵抗率は低い方が有利で
ある。一般の金属は、室温で1×10-6Ω・cmから3
×10-4Ω・cm程度の抵抗率を有している。本発明の
一の局面に従う硬質炭素膜は、不純物の添加量を増加さ
せれば限りなくその不純物の持つ抵抗率に近づく。そし
て原理的にこれらの値より低い抵抗率を持つことはでき
ない。そこで、抵抗率の下限は1×10-6Ω・cm以上
とした。
【0042】なお、摺動部に電気的接触を持たせるブラ
シに使用されるグラファイトの抵抗率は10-4Ω・cm
から10-3Ω・cm程度である。電極や電線などに使用
されるAu、Ag、Cu(銅)などは1×10-6Ω・c
mから3×106 Ω・cm程度、抵抗体に使用される
W、Ta、ニクロムなどは、5×10-6Ω・cmから1
-4Ω・cmである。それゆえ、本発明の一の局面に従
う硬質炭素膜は、摺動部のほかにも、金属が主に使用さ
れている電極や電極接点、抵抗体などにも適用すること
ができる。
【0043】ところで、抵抗率を下げるべく不純物添加
量を多くすると、一方で耐摩耗性や摩擦係数などの摺動
特性が悪化する傾向がある。耐摩耗性、摺動特性を低下
させることなく導電性を得るには、添加される不純物元
素の濃度は、40原子%以下であることが好ましい。不
純物添加量の下限は、たとえばプラズマCVD法による
W添加の場合は、0.0001原子%以上添加しないと
抵抗率は1×106 Ω・cm以下にならない。一方、A
uをイオン注入法で添加する場合、0.000001原
子%の添加でも抵抗率は1×106 Ω・cm以下にな
る。このように、添加する元素や方法により抵抗率の下
限は異なってくる。したがって、本発明の硬質炭素膜に
おける不純物添加量の下限は、各添加元素を考慮して
0.001原子%以下を好ましい値とする。
【0044】ただし、イオン注入法以外の不純物元素の
添加方法では、0.00001原子%未満の濃度コント
ロールは困難なため、不純物濃度は0.00001原子
%以上の範囲で用いることが好ましい。
【0045】また本願発明者らは、実験の結果、本発明
の他の局面に従う硬質炭素膜においてその膜応力が不純
物の添加量とともに低下することを見出した。具体的に
は、添加元素をMo(モリブデン)とした場合、Moの
濃度が0.001原子%より小さいと、膜応力は7×1
9 dyne/cm2 より大きくなり4μmの膜厚で剥
離が生じた。またMoを40原子%を超えて添加する
と、膜応力は1×108dyne/cm2 より小さくな
り4μmの膜厚でクラックを生じた。この結果より、硬
質炭素膜の膜応力は1×108 dyne/cm2 以上7
×109 dyne/cm2 以下の範囲内であることが必
要とされることが判明した。また、この膜応力の範囲内
を実現する不純物元素の添加濃度は、実験の結果より
0.001原子%以上40原子%以下であることが必要
とされることが判明した。
【0046】特に、不純物の添加量が40原子%以下で
良好な特性を示したのは以下の理由によるものと考えら
れる。すなわち、不純物元素の添加量が増えることによ
り、一般に硬質炭素膜中の不純物元素が膜中にクラスタ
ー状に成長し、存在し始める。これにより、硬質炭素膜
に金属的な特性が現われ、摩擦係数の増大による摺動特
性の低下、膜硬度の低下を引起こす。しかし不純物の添
加量が40原子%以下であれば、この膜中の不純物元素
のクラスター状の成長が抑制され、これに伴う摺動特性
の劣化、膜硬度の低下を抑制できるためと考えられる。
【0047】また、本願発明者らは、実験の結果、不純
物元素の添加量を0.001原子%以上1原子%以下に
することが好ましいことを見出した。具体的にはTi
(チタン)を添加不純物元素とした場合、無添加のとき
の膜応力2.2×1010dyne/cm2 に対して、添
加量0.001原子%で膜応力は5×109 dyne/
cm2 程度、また添加量約1原子%で膜応力は6×10
8 dyne/cm2 程度に低減される。チタンの添加量
が1原子%の場合、アルミニウム合金の上に膜厚10μ
mの硬質炭素膜を形成しても、剥離は生じない。しか
し、膜応力が1×108 dyne/cm2 よりも小さく
なると、外力が加わったときに硬質炭素膜にクラックが
入りやすくなる。一方、膜応力が7×109 dyne/
cm2 よりも大きくなると、5μm程度以上の膜厚で硬
質炭素膜を形成した場合、剥離が生ずる。したがって、
Tiを添加した場合においても硬質炭素膜の膜応力は1
×10 8 dyne/cm2 〜7×109 dyne/cm
2 の範囲内であることが必要とされる。
【0048】また、不純物元素にTiを用いた場合に
は、上記の硬質炭素膜の膜応力を実現するためには、不
純物元素の添加量は0.001原子%以上1原子%以下
である。それゆえ、不純物元素の添加量は0.001原
子%以上1原子%以下であることが好ましい。
【0049】硬質炭素膜への不純物添加による膜応力の
低減のメカニズムは十分に解明されていない。しかしな
がら、膜中の炭素原子のダングリングボンド(不対結合
手)に不純物が結合して安定化すること、不純物原子が
膜中の炭素原子の位置で炭素原子と置換わって取込まれ
平均の原子間結合距離が変化して応力緩和につながって
いることなどが膜応力の低減のメカニズムと考えられて
いる。
【0050】硬質炭素膜を摺動部分に使用する場合に
は、膜に要求される特性は低い摩擦係数を有することで
ある。摺動の相手材が鋼の場合、SiCやSi3 4
どのセラミックスの摩擦係数は0.5程度である。これ
に対して、摺動の相手材が鋼の場合、従来の硬質炭素膜
の摩擦係数は0.2前後とセラミックスに比べて半分以
下になる。このような硬質炭素膜の特性は、その表面エ
ネルギが低いことに起因するものと考えられている。表
面エネルギが小さいと、摺動時において相手材料が表面
に吸着または凝着し難いため、摩擦抵抗が大きくならな
い。
【0051】しかしながら、硬質炭素膜に不純物が添加
されることにより、硬質炭素膜の摩擦係数はやや増加す
る傾向にある。不純物の添加量が少ない場合には、摩擦
係数の変化はほとんど見られない。ところが、不純物の
添加量が0.1原子%を超えると、硬質炭素膜の摩擦係
数は徐々に増加する。これは、添加された不純物元素が
クラスター状に存在し始め、金属的な摺動特性が現われ
るためと考えられる。硬質炭素膜コーティングによる低
摩擦係数化のメリットを十分に得るためには、摩擦係数
が0.25以下であることが望ましい。このためには、
不純物の添加量は1原子%程度以下であることが好まし
い。
【0052】なお、不純物元素を添加した硬質炭素膜の
硬度は、通常、不純物元素を添加していない硬質炭素膜
よりもやや低い。添加元素がB、Wなどの硬質の炭化物
を形成する元素の場合には、硬度の低下はほとんど無視
され得る。しかし、添加元素がAuのように炭化物を形
成しない元素の場合や、不純物元素の添加量が多いため
に不純物元素が膜中に金属クラスターの状態で分散する
場合には、硬度の低下は著しい。
【0053】上述のように摩擦係数の上昇と硬度の低下
を考慮すれば、不純物元素の添加量は1原子%以下であ
ることが望ましい。また、不純物元素の添加量は0.0
01原子%未満であると膜応力が大きくなり、5μm程
度以下の膜厚を有する硬質炭素膜の形成が不可能とな
る。このことから、不純物元素の添加量は0.01原子
%以上1原子%以下の範囲内であることが好ましい。
【0054】添加する不純物元素は、不純物準位を形成
して電荷を輸送し得るもの、あるいは単体または化合物
の状態で自由電子を有するものならいかなるものでもよ
い。しかし、好ましくはビッカース硬度が1000kg
/mm2 以上の炭化物を形成し得る元素であることが望
ましい。こうした元素は、硬質炭素膜中に硬度の高い炭
化物として取込まれやすく、不純物添加による硬度低下
を小さくすることができる。すなわち、硬質炭素膜が本
来有する優れた耐摩耗性を維持しやすいからである。炭
化物を形成する元素の中でも、具体的にはTi、V、C
r、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wがより好まし
い。また、これらの元素は単体でも炭化物を形成し、そ
の炭化物の電気抵抗が10-4〜10-6Ω・cmと低い値
を有しており、炭素膜の電気抵抗率を低減させるのに好
都合である。
【0055】さらに、こうした不純物元素のほかに、窒
素を同時に添加して、窒化物、または、炭窒化物の形で
含有させてもよい。この場合も、好ましくはビッカース
硬度が1000kg/mm2 以上となる窒化物または炭
窒化物を形成し得る元素がよい。なお、炭化物を形成す
る元素の多くは窒化物も形成し、電気抵抗率が小さいも
のが多い。特にCrの窒化物は摺動特性にも優れてお
り、そうした意味でも好ましい材料である。
【0056】一方、硬質炭素膜は一般的に化学的に安定
な物質としても知られており、湿潤な雰囲気、NaCl
の存在する環境、酸、アルカリなどの劣悪環境下などで
その優位性を発揮する材料でもある。こうした環境下
で、本発明による導電性の硬質炭素膜を適用する場合、
添加した不純物も安定な材料であることが望ましい。前
述のTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、
Wの炭化物または窒化物または炭窒化物はいずれも安定
な材料であるが、これ以外にも単体で安定なAu、P
t、Agなどの金属元素を添加する方法もある。さらに
これらの元素は自己湿潤性のある材料でもあり、硬質炭
素膜に添加された場合、摺動材として有利な方へ働く。
また、Bを添加した場合においても、優れた摺動特性の
得られることが実験により判明した。以上に示した元素
および炭化物、窒化物の各特性を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】また不純物元素を添加した硬質炭素膜をコ
ーティングするにあたり、通常、基板上に直接成膜、ま
たは密着強度を向上させるためにSiやGeなどのIV
族の元素やその化合物を中間層として成膜し、その上に
硬質炭素膜を形成する。さらに、不純物元素を添加した
硬質炭素膜のすぐ下層に、従来の硬質炭素膜または結晶
質ダイヤモンド層を設けてもよい。これは、不純物元素
を添加した硬質炭素膜が従来の硬質炭素膜に比べて硬度
がやや劣る場合に適用すると効果的である。硬度の高い
層を下層に設けることにより、外力に対する基板の変形
を小さく抑えることが可能になる。また、この構造は、
不純物無添加の硬質炭素膜またはダイヤモンド層が絶縁
層となり、上層の導電層の不純物を添加した硬質炭素膜
に電気的な機能を持たせる場合に好都合である。さら
に、この構造は耐摩耗性が要求される配線や抵抗体など
にも適用され得る。
【0059】なお、本発明の硬質炭素膜の形成において
不純物を添加する方法として以下に示すような方法が適
用され得る。
【0060】(a) 公知の方法で硬質炭素膜を形成中
に、不純物元素を含むガスを反応系に供給して膜中に添
加する方法。特にプラズマCVD法、スパッタ法、イオ
ンプレーティング法、レーザアブレーション法などにお
いてこの方法は有効である。
【0061】(b) 公知の方法で硬質炭素膜を形成中
に不純物元素を含む固体源を、加熱蒸発、スパッタ蒸
発、またはアブレーションさせ、膜中に添加する方法。
この方法は、特にスパッタ法、イオンプレーティング
法、イオンビームスパッタ法、レーザアブレーション法
などにおいて有効である。
【0062】(c) 公知の方法で硬質炭素膜を形成中
に、不純物元素を含むイオンビームを照射することによ
り、膜中に不純物を添加する方法。
【0063】(d) 公知の方法で硬質炭素膜を形成し
た後、不純物を含むイオンを注入して不純物を添加する
方法。
【0064】不純物を添加した硬質炭素膜の形成には、
上記の方法を単独で適用してもよく、複数の方法を併用
してもよい。また、上記の方法とそれ以外の方法とを併
用してもよい。
【0065】
【実施例】実施例1 平行平板型の高周波プラズマCVD装置を用いて、メタ
ンガス流量2000cc/min.、ガス圧0.1To
rr、基板温度300℃、高周波出力300Wの条件で
硬質炭素膜の形成を行なった。さらに、これらの条件を
固定して、雰囲気中に六フッ化タングステンガス(WF
6 )を添加しながら、膜中にWが添加された硬質炭素膜
を形成した。基板にはSi、SUJ2、ガラスを使用
し、膜厚は2μm〜3μmとなるようにした。得られた
硬質炭素膜に関して、不純物濃度測定、電気抵抗率測
定、帯電試験、摩擦係数の測定、摩耗量測定を行なっ
た。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】ここで、不純物濃度の測定は、Si基板上
に成膜したものを用い、濃度の低いものに関してはSI
MSで、濃度の高いものはXPSで行なった。電気抵抗
率は、ガラス基板上に幅1mm、長さ12mmの短冊状
に成膜した炭素膜について、四端子法で室温における抵
抗率を測定した。帯電試験は、SUJ2基板上に成膜し
たものを使用し、炭素膜表面をポリエチレンで20回摩
擦し、帯電により単位面積当りの表面に付着した10μ
m以上のサイズの埃の数を光学顕微鏡で数えた。摩擦係
数、摩耗深さの測定は、OA機器、音響・映像機器の摺
動部品等を想定してSUJ2基板上に成膜したものにつ
いて、ピン−オン−ディスク試験器により測定した。相
手ピン材質をSUS 304、ピンの曲率半径を3m
m、荷重10N、摺動速度200mm/sec.摺動回
数100000回とした。なお、X線回折で構造分析を
したところ、膜中のWは、金属WおよびWCの両者が確
認された。
【0068】実施例2 イオンプレーティング装置を用いて、メタンガス2×1
-3Torrまで導入し、電子ビーム蒸発源より各種不
純物元素を蒸発させながら反応性イオンプレーティング
法による炭素膜を形成した。基板温度は400℃とし、
高周波電力を200Wとした。電子ビーム蒸発源の電子
ビーム電流を調節して蒸発速度をコントロールし、膜中
の不純物濃度が約2%となるようにした。またさらに、
一部の不純物を添加する際に、雰囲気にN2 ガスを5×
10-4Torr導入し、全体として2.5×10-3To
rrにして成膜を行なった。得られた硬質炭素膜に関し
て、帯電試験、摩擦係数、摩耗深さを測定した。測定の
方法は実施例1に準ずる。結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】実施例3 平行平板型の高周波プラズマCVD装置を用いて、メタ
ンガス流量2000cc/min.、ガス圧0.1To
rr、基板温度300℃、高周波出力300Wの条件で
硬質炭素膜の形成を行なった。この硬質炭素膜に、イオ
ン注入法により各種不純物元素を注入した。注入条件
は、加速エネルギが80keV、注入量は1×1016
-2とした。注入された不純物元素の濃度は最大で0.
5原子%、表面から深さ0.1μmまでの平均で約0.
03原子%であった。不純物を注入した硬質炭素膜に関
して、電気抵抗率、ビッカース硬度、摩擦係数を測定し
た。結果を表4に示す。
【0071】
【表4】
【0072】実施例4 実施例2と同様の方法で、SUJ2基板上に、Ti、A
u、Feの各元素を5原子%添加した炭素膜を形成し
た。各炭素膜について各種耐環境試験を行なった。結果
を表5に示す。表中○は試験前後で変化のないもの、×
は変色、剥離などの異常のあったものを示す。
【0073】
【表5】
【0074】実施例5 電気部品、特に電気接点への応用を想定して摩擦、摩耗
試験を実施した。直径20mmのステンレス製円柱ブラ
シの表面に、実施例1の方法でMoを10原子%添加し
て電気抵抗率を8.1×10-4Ω・cmとした硬質炭素
膜を10μmの厚みでコーティングした。これを回転軸
に取付け、回転数30r.p.m.でブラシとして24
時間動作させた。これとは別に、同じ形状のコーティン
グを施していないグラファイト製のブラシを準備し、同
様の試験を行なった。両者とも導通は良好であったが、
試験終了後取出して表面を調べると、炭素膜コートステ
ンレスはほとんど摩耗は見られなかったが、グラファイ
ト製ブラシは0.4mmの摩耗が生じていた。
【0075】実施例6 イオンプレーティング装置を用いて、メタンガスを2×
10-3Torrまで導入し、電子ビーム蒸発源よりMo
を蒸発させながら、反応性イオンプレーティング法によ
る炭素膜を形成した。基板温度は200℃とし、高周波
電力を300Wとした。電子ビーム蒸発源の電子ビーム
電流を調節して蒸発速度をコントロールした。得られた
硬質炭素膜に関して、Mo濃度、膜応力、摩擦係数を測
定した。Mo濃度、摩擦係数の測定の方法は実施例1に
準ずる。膜応力については膜を形成した基材の反りを測
定することにより算出した。なお、成膜方法は基本的に
実施例2と同じとした。結果を表6に示す。
【0076】
【表6】
【0077】実施例7 イオンプレーティング装置を用いて、メタンガスを2×
10-3Torrまで導入し、電子ビーム蒸発源より各種
不純物元素を蒸発させながら、反応性イオンプレーティ
ング法による炭素膜を形成した。基板温度を400℃と
し、高周波電力を200Wとした。電子ビーム蒸発源の
電子ビーム電流を調節して蒸発速度をコントロールし、
膜中の不純物濃度が約25%となるようにした。またさ
らに、一部の不純物を添加する際に、雰囲気にN2 ガス
を5×10-4Torr導入し、全体として2.5×10
-3Torrにして成膜を行なった。得られた硬質炭素膜
に関して、膜応力、電気抵抗率、摩擦係数を測定した。
不純物濃度、電気抵抗率、摩擦係数の測定方法は実施例
1に準ずる。膜応力は膜を形成した基材の反りから算出
することにより測定した。なお、成膜方法は基本的に実
施例2と同じとした。結果を表7に示す。
【0078】
【表7】
【0079】実施例8 平行平板型電極の高周波プラズマCVD装置を用いて、
メタンガス流量300cc/min.、ガス圧0.1T
orr、基板温度200℃、高周波出力300Wの条件
で硬質炭素膜の形成を行なった。さらに、これらの条件
を固定し、雰囲気中に1%アルゴン希釈ジボランガス、
または5%水素希釈四塩化チタンを添加しながら、不純
物が添加された硬質炭素膜を形成した。
【0080】このようにして得られた硬質炭素膜に関し
て、不純物濃度、膜応力、鋼に対する摩擦係数、ビッカ
ース硬度、電気抵抗率を測定した。さらに、得られた硬
質炭素膜に関して、膜厚5μm以上の成膜が可能か否か
について調べた。これらの結果を表8と表9に示す。
【0081】
【表8】
【0082】
【表9】
【0083】実施例9 平行平板型電極の高周波プラズマCVD装置を用いて、
メタンガス流量300cc/min.、ガス圧0.1T
orr、基板温度200℃、高周波出力300Wの条件
でアルミニウム基板上に硬質炭素膜を形成した。まず、
40分間の成膜で膜厚5000Åの硬質炭素膜をアルミ
ニウム基板上に成長させた。この硬質炭素膜の幅1mm
×長さ20mmの領域にイオン注入装置を用いてAuイ
オンを注入した。このときのイオン注入条件として加速
エネルギは80keV、注入量は1×1016個/cm2
であった。注入された不純物元素としてのAuは、硬質
炭素膜の表面から0.1μm以下の深さの範囲内に分布
していた。硬質炭素膜の不純物濃度(Au濃度)は最大
でも0.5原子%であった。
【0084】得られた硬質炭素膜の不純物が注入された
領域の両端の電気抵抗を調べたところ、120Ωであっ
た。この領域の硬質炭素膜の電気抵抗率は10数Ω・c
m程度であった。また、その硬質炭素膜の領域とアルミ
ニウム基板とは800MΩの抵抗で絶縁されていた。す
なわち、不純物イオンが注入された領域の表面のみが導
電性膜になっており、アルミニウム基板側の不純物イオ
ンの達していない領域は従来の高抵抗の硬質炭素膜のま
まであった。なお、硬質炭素膜の摩擦係数は、不純物イ
オンの注入された領域でも注入されていない領域でも
0.21であった。硬質炭素膜のビッカース硬度は、不
純物イオンの注入された領域で4800、注入されてい
ない領域で6200であった。
【0085】
【発明の効果】以上より、本発明によれば、優れた耐摩
耗性と高い導電性とを併せ持つ硬質炭素膜を得ることが
できた。
【0086】これにより、AV、OA機器部品もしくは
伝送部品などの電気的接触を要求される摺動部、あるい
は帯電を嫌う無潤滑摺動部へ適用できる理想的な摺動材
料を提供することが可能となる。
【0087】また本発明によれば、膜応力が小さく、良
好な摺動特性を十分維持できる硬質炭素膜を得ることが
できた。
【0088】これにより、良好な摺動特性を十分に維持
しながら硬度の低い基板上においても比較的薄膜で硬質
炭素膜を形成することが可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C30B 29/04 Q 8216−4G (72)発明者 吉岡 剛 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素、または炭素と水素を主成分とし、
    炭素、水素以外の1種類以上の不純物元素を含有する非
    晶質の硬質炭素膜において、室温での電気抵抗率が1×
    10-6Ω・cm以上1×102 Ω・cm以下であること
    を特徴とする、硬質炭素膜。
  2. 【請求項2】 前記不純物元素を0.001原子%以上
    40原子%以下の濃度で含有していることを特徴とす
    る、請求項1に記載の硬質炭素膜。
  3. 【請求項3】 炭素、または炭素と水素を主成分とし、
    炭素、水素以外の1種類以上の不純物元素を含有する非
    晶質の硬質炭素膜において、炭素、水素以外の不純物元
    素を0.001原子%以上40原子%以下の濃度で含有
    しており、膜応力が1×108 dyne/cm2 以上7
    ×109 dyne/cm2 以下であることを特徴とす
    る、硬質炭素膜。
  4. 【請求項4】 炭素、水素以外の前記不純物元素を0.
    001原子%以上1原子%以下の濃度で含有しているこ
    とを特徴とする、請求項3に記載の硬質炭素膜。
  5. 【請求項5】 前記不純物元素のうち少なくとも1種類
    の元素がビッカース硬度1000kg/mm2 以上の炭
    化物、窒化物、炭窒化物の少なくともいずれかを形成す
    る元素であることを特徴とする、請求項1および3のい
    ずれかに記載の硬質炭素膜。
  6. 【請求項6】 前記不純物元素が、Ti、V、Cr、Z
    r、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの群から選ばれる少な
    くとも1種の元素からなることを特徴とする、請求項5
    に記載の硬質炭素膜。
  7. 【請求項7】 前記不純物元素が、B、Au、Pt、A
    gの群から選ばれる少なくとも1種の元素からなること
    を特徴とする、請求項1および3のいずれかに記載の硬
    質炭素膜。
  8. 【請求項8】 鋼に対する摩擦係数が0.25以下であ
    ることを特徴とする、請求項1および3のいずれかに記
    載の硬質炭素膜。
  9. 【請求項9】 基板の表面上に形成された炭素、または
    炭素と水素を主成分とする非晶質の硬質炭素膜におい
    て、 前記基板側には、炭素、水素以外の不純物元素を0.0
    01原子%未満の濃度で含有する第1の硬質炭素膜が形
    成されており、外表面側には、炭素、水素以外の不純物
    元素を0.001原子%以上の濃度で含有し、かつ膜応
    力が1×108dyne/cm2 以上7×109 dyn
    e/cm2 以下である第2の硬質炭素膜が形成されてい
    ることを特徴とする、硬質炭素膜。
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