JP2012188688A - ダイヤモンドライクカーボン薄膜の製造方法及び該薄膜が金属基板上に形成された電極材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素源として炭化水素を、ホウ素源として有機ホウ素化合物を用い、反応調整ガスとしてアルゴンガスを混在させ、高周波プラズマCVDにより基板上にホウ素ドープダイヤモンドライクカーボンを形成させる。
【選択図】図1
Description
本発明に用いる原料ガスとしては炭素源として炭化水素が用いられる。例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、アセチレンの如く常温下に気体の炭化水素ガスは勿論、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の飽和鎖状炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン等の環状飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが用いられる。
高周波プラズマ装置は、従来から公知の方式、すなわち容量結合方式であっても、誘導結合方式であってもよい。
以下実施例及び応用例を示す。
〔装置、原料について〕
B−DLC薄膜は、容量結合型高周波プラズマCVD装置(SAMCO Inc., Model BP−10)を使用して作製した。トリメトキシホウ素(TMOB)に対してn−ヘキサンとを6.3体積倍で混合した液体を、常温で真空引きし気化させたものを原料ガスとして使用した。成膜時の真空チャンバ内の原料ガス分圧は20Paとした。
Si基板をCVD装置のチャンバ内に導入するに先立ち、O2プラズマによりステージの加熱およびクリーニングを行った。この時、Si基板を設置するステージが200℃なるまで加熱を行った。Si基板をチャンバに導入した後、基板表面の自然酸化膜を除去するためにArプラズマをRF出力200Wで15分間照射した(Arガス流量60sccm、チャンバ内圧力20Pa)。Arプラズマ照射に続いて、B−DLC薄膜の成膜を行った。成膜条件は、原料ガス分圧20Pa(全圧40Pa)、Arガス流量100sccm、RF出力350W、成膜時間40分である。成膜終了後、チャンバ内圧力を15分間かけて大気圧まで戻し、チャンバ内からサンプルを取りだした。
散乱分光測定(JASCO Corporation,RMP−310)によりB−DLC薄膜の組成の確認を行った(図4)。測定により得たスペクトルは、DLC特有のG−bandピーク(1560cm−1付近)とD−bandピーク(1360cm−1付近)を有する。従って、作製した薄膜において、ホウ素を添加してもDLCのミクロな構造変化は起こらない事が確認された。またドープされたホウ素は、X線光電分光分析により1.05atm.%であった。
B−DLC薄膜の耐食性を調べるために、1M HNO3+0.1MKF水溶液中で2時間電位サイクル(−0.65〜1.3V vs.Ag/AgCl,at50mV/s)を行い、表面形態を光学顕微鏡により確認した。比較のために使用したGC電極では、サイクル後に強酸中における腐食を伴う数10μm程度のピンホールが表面に形成する事が確認されたが、B−DLC薄膜では、ボロンドープダイヤモンド電極同様、ピンホールは確認されなかった。そのため、B−DLC電極は、BDD同様に、強酸中および酸性溶液中での電気化学的利用に対して高い安定性を示す電極材料である事が確認された。
〔使用した装置等〕
全ての電気化学測定(サイクリックボルタンメトリー;CV)は3電極セルを使用して行った。対極(CE)に白金ワイヤ、参照極(RE)にAg/AgCl(sat.KCl)電極、作用極(WE)にはB−DLC、または、比較用のN−DLC、BDD、GCを使用した。作用極と電解質溶液の接触面積(電極面積)は、Oリングを使用して0.1cm2とした。電気化学測定装置には、ポテンショ/ガルバノスタット(Hokuto Denko Corporation,HZ−3000system)を使用した。
電位窓および残余電流の測定には、0.1M H2SO4水溶液を使用した。
B−DLC薄膜電極の0.1M H2SO4水溶液中での電位窓(電流密度<0.2mA/cm2,走査速度100mV/s)をBDD(ボロンドープダイヤモンド),N−DLC,GC(グラッシーカーボン)電極と比較し、図2および表1に示す。B−DLC薄膜電極は、3.55VとN−DLC薄膜電極、および、BDD電極と同等の広い電位窓を示した。従って、BDD電極と同様にB−DLC電極上では水の電解によるO2,H2発生の反応性が低く、高い電位でしか両反応が起こらないことが確認できた。そのため、広い電位範囲での電気化学測定が可能な分極性電極として機能する事が確認できた。
B−DLC薄膜電極の0.1M H2SO4中での残余電流(at 0.4V vs. Ag/AgCl)をBDD,N−DLC,GC電極と比較した。B−DLC薄膜電極の残余電流は、N−DLC電極の1/5,GC電極の1/16と低い値を示す。この値は、BDD電極の値に近い。これは、B−DLCがN−DLCよりもsp3炭素成分を多く含み、静電容量成分に大きく寄与するsp2炭素表面に生成する表面官能基が少ないことに由来すると考えられる。このB−DLCの低残余電流特性は、B−DLCを電気化学的なセンサー電極として利用した場合、高いS/B比での電気化学測定が可能にするものと考えられる。
成膜時のArガス添加量に対するB−DLC薄膜のシート抵抗値の変化の検証を行った(図1)。Arガス添加流量の増加に伴いシート抵抗値は減少した。Arガス添加量100sccm(原料ガス:Arガス=100:100)では無添加時に比較してシート抵抗値は1/165まで減少した。また、Arガスではなく、H2ガスを希釈ガスとして使用した際にはシート抵抗値の増加が見られた(無添加:11.8×104Ω/sq→H2 20 sccm:16.6×105Ω/sq)。
なお、図2,3において比較のために用いたN−DLC及びGCについては次の条件で作製したものを用いた。
N−DLC:基板PハイドープSi基板
原料アセトン(5SCCM)プラズマ出力230W、基板温度2
80℃、全圧10Pa、製膜時間40分
GC : 東海カーボン(株)社製 品番:GC−3000
BDD: 基板PハイドープSi基板、原料10000PPmB2O3を加えたアセトン+メタノールH2ガス532sccmを加え、全圧115Pa、プラズマ出力5000W、成膜600分、基板温度600℃
<応用例>
生体関連物質である1mMドーパミン(DA,in 0.1 M HClO4),1mMアスコルビン酸(AA,in 0.1 M HClO4),50μM(UA,in 0.1 M HClO4)の検出を行った。測定結果を図6〜8に示す(走査速度10mV/s)。B−DLC電極上では、DAに対しては可逆的な酸化および還元ピークが、AA、UAに対しては、それぞれ明瞭な酸化ピークが観察されている。これらの結果からB−DLC薄膜はBDD薄膜やN−DLCと同様に電気化学活性な生体関連物質も検出することが可能な電気化学センサー電極として応用が可能な材料である。
Claims (7)
- 炭素源として、炭化水素を、ホウ素源として有機ホウ素化合物を、それぞれ原料ガスとして用い、反応調整ガスとしてアルゴンガスを、該原料ガスに混在させ、高周波プラズマCVDにより基板上に析出させることを特徴とするホウ素をドープした導電性を有するダイヤモンドライクカーボン薄膜の製造方法。
- 前記炭化水素が飽和炭化水素であり、有機ホウ素化合物がトリアルキルボロン又はトリアルコキシボロンである請求項1記載の導電性を有するダイヤモンライクカーボン薄膜の製造方法。
- 前記炭化水素がn−ヘキサンであり、有機ホウ素化合物がトリメトキシボロンである請求項1又は2記載の導電性を有するダイヤモンドライクカーボン薄膜の製造方法。
- 前記反応調整ガスを原料ガスに対して、0.1〜10体積倍混在させることを特徴とする請求項1〜3記載の導電性を有するダイヤモンドライクカーボン薄膜の製造方法。
- 原料ガス中の炭素源とホウ素源はホウ素源に対して炭素源を1〜100体積倍とし、全圧は150Pa以下で反応させることを特徴とする請求項1〜4記載の導電性を有するダイヤモンドライクカーボン薄膜の製造方法。
- 前記高周波ブラズマCVDは100〜500W、温度100〜400℃の条件下に反応させることを特徴とする請求項1〜5記載の導電性を有するダイヤモンドライクカーボン薄膜の製造方法。
- 前記基板が金属であり、該基板上に前記請求項1〜6記載の方法により、導電性を有するダイヤモンドライクカーボン薄膜が一体に形成された電極材料。
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