JP2000177046A - ダイヤモンド状炭素膜を被覆した部材 - Google Patents
ダイヤモンド状炭素膜を被覆した部材Info
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Abstract
した部材において、高温条件下の使用にても、母材とダ
イヤモンド状炭素膜との密着性を向上させ、その寿命を
向上させる。 【解決手段】 母材とダイヤモンド状炭素膜との間に、
周期表第5A族金属、第6A族金属、Ti、Zrを主成
分とする金属膜(母材側)とSiおよびCを含有する炭
化けい素系膜(ダイヤモンド状炭素膜側)の積層膜を中
間層として介在させたダイヤモンド状炭素膜を被覆した
部材とする。
Description
ル、耐摩耗性および耐衝撃性を必要とする各種部材に用
いられるダイヤモンド状炭素膜を被覆した部材に関す
る。
成法によっては、硬度が高く摩擦係数が低くなるため、
耐摩耗性を必要とする金型等に用いられ、金型の寿命向
上に効果が得られているケースがいくつか見られる。
るが、金属との密着性が悪く、使用できる母材材質や用
途がかなり制限されていた。
の間に介在させることにより、密着性を改善する試みが
いくつかなされてきた。例えば、特開昭61−1040
78号には、周期表第4A〜6A族(4〜6族)金属の
炭化物、炭窒化物、炭酸化物、炭窒酸化物、炭硼化物あ
るいはSiの炭化物、炭窒化物(いずれも非化学量論的
化合物)、またはこれらの相互固溶体で形成した単層ま
たは多重層の中間層、および中間層を2層構成とし、D
LC膜側を上記と同じ構成の層とし、母材側を周期表第
4A〜6A族金属の炭化物、窒化物、酸化物、硼化物、
またはこれらの相互固溶体で形成された単層または多重
層とした構成の層とすることが開示されている。また、
特開昭62−116767号(特公平6−60404
号)には、母材側のクロムまたはチタンを主体とする下
層とDLC膜側のシリコンまたはゲルマニウムを主体と
する上層とからなる中間層が開示されている。さらに、
特開平2−120245号にはTi、Cr、Hf、Bま
たはSiの炭化物からなる膜で形成された中間層が、ま
た、特開平5−124875号には、けい素と炭素の非
晶質混合物からなる中間層が、また、特開平5−311
444号には、母材側の周期表第4A〜6A族金属の炭
化物、窒化物あるいは窒炭化物からなる硬質化合物膜の
層と、DLC膜側のシリコン膜またはゲルマニウム膜の
層とを積層した中間層がそれぞれ開示されている。
使用する必要があるなど、それ自体または雰囲気の温度
が高い条件(250℃以上)で、DLC膜を被覆した部
材が使用される用途のニーズが高くなってきた。そのよ
うな用途の場合、前記中間層を介在させても未だ密着力
は充分とは言えず、膜の剥離が発生することが問題とな
っている。
条件下で使用されるダイヤモンド状炭素膜を被覆した金
型や工具等のような部材において、母材とダイヤモンド
状炭素膜との密着性を向上させ、その寿命を向上させる
ことにある。
明によって達成される。 (1) 母材上にダイヤモンド状炭素膜を被覆した部材
であって、母材上に周期表第5A族(5族)金属、第6
A族(6族)金属、TiおよびZrから選ばれる少なく
とも1種を主成分とする金属膜を有し、この金属膜上に
けい素および炭素を含有する炭化けい素系膜を有し、こ
の炭化けい素系膜上にダイヤモンド状炭素膜を有するダ
イヤモンド状炭素膜を被覆した部材。 (2) 前記炭化けい素系膜の基本組成をSiCpHq
で表したとき、モル比を表すpおよびqがそれぞれ、 0.3≦p≦25 0≦q≦20 である上記(1)のダイヤモンド状炭素膜を被覆した部
材。
本発明のダイヤモンド状炭素膜(DLC膜)を被覆した
部材は、母材とDLC膜との間に中間層を設けたもので
あり、このような中間層は、母材側の周期表第5A族
(5族)金属、第6A族(6族)金属、TiおよびZr
から選ばれる少なくとも1種を主成分とした金属膜(中
間層1)と、DLC膜側のけい素および炭素を含有する
炭化けい素系膜(中間層2)とが積層されたものであ
る。このような積層構造の中間層を設けることによっ
て、鋼材等を材質とする母材とDLC膜との密着性が向
上し、250〜700℃程度の高温条件下の使用におい
ても寿命が長くなる。これは、母材と上記金属膜との
間、上記金属膜と上記炭化けい素系膜との間、および上
記炭化けい素系膜とDLC膜との間におけるそれぞれの
強固な密着性によって得られると考えられる。これに対
し、上記金属膜あるいは炭化けい素系膜のいずれか一方
のみでは寿命が短くなる。また、積層順を反対にしても
本発明の効果は得られず、特開昭62−116767号
(特公平6−60404号)のように、Ti膜とSi膜
との積層構造の中間層とした場合であっても充分な寿命
の延びは望めない。
ず、母材側に形成される周期表第5A族(5族)金属
膜、第6A族(6族)金属、TiおよびZrから選ばれ
る少なくとも1種を主成分とした金属膜について説明す
る。ここで、周期表第5A族金属としてはV、Nb、T
a等が、また第6A族(6族)金属としてはCr、M
o、W等が挙げられる。上記の金属のなかでも、特にT
aが好ましい。このような金属膜は、2種以上の金属を
含有するものであってもよい。また母材界面付近におい
ては母材材料が拡散していてもよく、炭化けい素系膜界
面付近においてはその構成成分が拡散していてもよい。
上記の金属膜における上記金属の含有量は75原子%以
上であることが好ましい。
することが好ましい。この場合、目的とする金属組成に
応じたターゲットを用いて高周波電力、交流電力、直流
電力のいずれかを付加し、ターゲットをスパッタし、こ
れを母材(基板)上にスパッタ堆積させることにより金
属膜を形成する。スパッタガスとしてはAr、Kr等が
用いられる。例えば高周波スパッタ電力は通常50〜5
000W程度である。動作圧力は通常0.002〜0.
5Torrが好ましい。また基板温度は10〜150℃であ
ることが好ましい。
イオンプレーティング法や真空蒸着法などのPVD法に
よって形成してもよく、具体的には公知の方法による。
さらには、CVD法や湿式メッキ法によってもよい。
素系膜について説明する。炭化けい素系膜はSiとCと
を主成分とするアモルファス状態であることが好まし
く、SiとCのほかHが含まれていてもよい。このよう
な膜組成としては、基本組成をSiCpHqと表したと
き、モル比を表すpおよびqがそれぞれ、 0.3≦p≦25 0≦q≦20 であることが好ましい。
が均一なものであってもよく、また金属膜界面とDLC
膜界面との間の領域でSiとCとの組成比が異なってい
てもよく、良好な密着性を得る上では、金属膜界面でS
i成分が多く、DLC膜界面でC成分が多いような濃度
勾配をもつものであってもよい。
金属が拡散していてもよく、DLC膜の界面付近にはD
LC膜の構成成分が拡散していてもよい。
よって好ましく形成される。一般的にはSiCをターゲ
ットとし、高周波電力、交流電力、直流電力のいずれか
を印加し、ターゲットをスパッタし、これを母材の金属
膜(金属膜を有する母材を基板という。)上にスパッタ
堆積させることにより成膜する。スパッタガスとしては
Ar、Kr等が用いられる。例えば高周波スパッタ電力
は、通常、50〜5000W程度である。動作圧力は通
常0.002〜0.5Torrが好ましい。また、基板温度
は10〜150℃であることが好ましい。
とCをターゲットとする多元スパッタとしてもよく、さ
らには、Cをターゲットとし、上記のスパッタガスに加
えてSi源となるシランガス等を導入するか、あるいは
Siをターゲットとし、上記のスパッタガスに加えてC
源となるCH4等を導入する、などの方法によってもよ
い。
素系膜は、特願平2−14480号に記載されているバ
イアス印加プラズマCVD法、または特開昭58−17
4507号および特開平1−234396号に記載され
たイオン化蒸着法が使用できる。
法においては、下記の単独または混合ガスを用いる。す
なわち、下記(1)の炭素およびけい素を共に含有する
低分子量の化合物のガス、(2)と(3)、(1)と
(2)、(1)と(3)または(1)と(2)と(3)
の低分子量の化合物の混合ガスである。
H3SiH3、ジメチルシラン(CH3)2SiH2、トリ
メチルシラン(CH3)3SiH、テトラメチルシランS
i(CH3)4 (2)けい素化合物−シランSiH4、ジシランSi2H
6 (3)炭素化合物−メタンCH4、エタンC2H6、プロ
パンC3H8、エチレンC2H4、アセチレンC2H2
は、特開平5−124875号に開示されており、これ
らを好ましく用いることができる。
CVD法では高周波電源を用いることが好ましく、高周
波電力としては50w〜2kw程度である。また、通常、
バイアス電圧は−50V〜−5kV、全圧は0.02〜
0.2Torr、反応時間は10〜60分、電極間距離は例
えば4cm程度、ガス流量は0.2〜100SCCMであり、
基板温度は10〜300℃である。
器内を10-6Torr程度までの高真空とする。この真空容
器内には交流電源によって加熱されて熱電子を発生する
フィラメントが設けられ、このフィラメントを取り囲ん
で対電極が配置され、フィラメントとの間に電圧Vdを
与える。また、フィラメント、対電極を取り囲んでイオ
ン化ガス閉じこめ用の磁界を発生する電磁コイルが配置
されている。原料ガスはフィラメントからの熱電子と衝
突して、プラスの熱分解イオンと電子を生じ、このプラ
スイオンはグリッドに印加された負電位Vaにより加速
される。この、Vd,Vaおよびコイルの磁界を調整す
ることにより、組成や膜質を変えることができる。ま
た、バイアス電圧を印加してもよい。
じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常、0.01
〜0.5Torr程度が好ましい。
型においても密着性がよいことからスパッタ法により形
成することが好ましく、また膜欠陥の少ない成膜が可能
となることからプラズマCVD法により形成することが
好ましい。
構成される中間層は、合計で20A(2nm)〜5μm の
厚さであることが好ましく、さらには50A(5nm)〜
1μmの厚さであることが好ましい。金属膜および炭化
けい素系膜の各厚さは10A(1nm)〜2.5μm が好
ましく、さらに好ましくは25A(2.5nm)〜0.5
μm である。このような厚さとすることで密着性が向上
する。これに対し、薄すぎると密着性向上効果が十分で
はなく、厚すぎると耐衝撃性が悪くなり、例えば高温で
の成型を行うような用途において膜が割れることがあ
る。
は、生産性の点などから、通常、各1層ずつ設けること
が好ましいが、場合によっては、各膜を多層構成として
もよい。多層構成とする場合は合計で上記範囲の厚さと
なるようにすればよい。
モンド状炭素膜について述べる。ダイヤモンド状炭素
(DLC:Diamond Like Carbon)膜は、ダイヤモンド
様炭素膜、i−カーボン膜等と称されることもある。ダ
イヤモンド状炭素膜については、例えば、特開昭62−
145646号公報、同62−145647号公報、Ne
w Diamond Forum,第4巻第4号(昭和63年10月25
日発行)等に記載されている。
m)に記載されているように、ラマン分光分析におい
て、1550cm-1にブロードな(1520〜1560cm
-1)ラマン吸収のピークを有し、1333cm-1に鋭いピ
ークを有するダイヤモンドや、1581cm-1に鋭いピー
クを有するグラファイトとは、明らかに異なった構造を
有する物質である。
アモルファス状態の薄膜であって、炭素同士のsp3結
合がランダムに存在することによって形成されている。
DLCの原子比C:Hは、通常、95〜60:5〜40
程度である。
常、1〜10000nm、好ましくは10〜3000nmで
ある。
i,N,O,Fの1種または2種以上を含有していても
よい。この場合、DLC膜は、基本組成をCHxSiyO
zNvFwと表したとき、モル比を表すx,y,z,v,
wがそれぞれ、0.05≦x≦0.7、0≦y≦3.
0、0≦z≦1.0、0≦v≦1.0、0≦w≦0.2
であることが好ましい。
ークは、上記のように1550cm-1にブロード(152
0〜1560cm-1)な吸収を有するが、炭素および水素
以外の上記元素を含有することにより、これから±10
0cm-1程度変動する場合もある。
蒸着法、スパッタ法などで形成することができる。
る場合、例えば特開平4−41672号公報等に記載さ
れている方法により成膜することができる。プラズマC
VD法におけるプラズマは、直流、交流のいずれであっ
てもよいが、交流を用いることが好ましい。交流として
は数ヘルツからマイクロ波まで使用可能である。また、
ダイヤモンド薄膜技術(総合技術センター発行)などに
記載されているECRプラズマも使用可能である。ま
た、バイアス電圧を印加してもよい。
る場合、原料ガスには、下記化合物を使用することが好
ましい。
ン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、
エチレン、プロピレン等の炭化水素が挙げられる。
メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テ
トラメチルシラン、ジエチルシラン、テトラエチルシラ
ン、テトラブチルシラン、ジメチルジエチルシラン、テ
トラフェニルシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメ
チルジフェニルシラン、トリメチルフェニルシラン、ト
リメチルシリル−トリメチルシラン、トリメチルシリル
メチル−トリメチルシラン等がある。これらは併用して
もよく、シラン系化合物と炭化水素を用いてもよい。
OH、C2H5OH、HCHO、CH3COCH3等があ
る。
化アンモニウム、シアン化水素、モノメチルアミン、ジ
メチルアミン、アリルアミン、アニリン、ジエチルアミ
ン、アセトニトリル、アゾイソブタン、ジアリルアミ
ン、エチルアジド、MMH、DMH、トリアリルアミ
ン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニ
ルアミン等がある。
あるいはSi+C+H+Nを含む化合物等と、O源ある
いはON源、N源、H源等とを組み合わせてもよい。
て、CO、CO2等、Si+H源として、SiH4等、H
源として、H2等、H+O源として、H2O等、N源とし
て、N2N+H源として、NH3等、N+O源として、N
O、NO2、N2OなどNOxで表示できるNとOの化合
物等、N+C源として、(CN)2等、N+H+F源と
して、NH4F等、O+F源として、OF2、O2F2、O
3F2等を用いてもよい。
じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常、0.01
〜0.5Torr、投入電力は、通常、10W〜5kW程度が
好ましい。
てもよい。イオン化蒸着法は、例えば特開昭58−17
4507号公報、特開昭59−174508号公報等に
記載されている。ただし、これらに開示された方法、装
置に限られるものではなく、原料用イオン化ガスの加速
が可能であれば他の方式のイオン蒸着技術を用いてもよ
い。この場合の装置の好ましい例としては、例えば、実
開昭59−174507号公報に記載されたイオン直進
型またはイオン偏向型のものを用いることができる。
10-6Torr程度までの高真空とする。この真空容器内に
は交流電源によって加熱されて熱電子を発生するフィラ
メントが設けられ、このフィラメントを取り囲んで対電
極が配置され、フィラメントとの間に電圧Vdを与え
る。また、フィラメント、対電極を取り囲んでイオン化
ガス閉じこめ用の磁界を発生する電磁コイルが配置され
ている。原料ガスはフィラメントからの熱電子と衝突し
て、プラスの熱分解イオンと電子を生じ、このプラスイ
オンはグリッドに印加された負電位Vaにより加速され
る。この、Vd,Vaおよびコイルの磁界を調整するこ
とにより、組成や膜質を変えることができる。また、バ
イアス電圧を印加してもよい。
場合、原料ガスには、プラズマCVD法と同様のものを
用いればよい。上記原料ガスの流量はその種類に応じて
適宜決定すればよい。動作圧力は、通常、0.01〜
0.5Torr程度が好ましい。
ともできる。この場合、Ar、Kr等のスパッタ用のス
パッタガスに加えて、O2 、N2、NH3、CH4、H2等
のガスを反応性ガスとして導入すると共に、C、Si、
SiO2、Si3 N4、SiC等をターゲットとしたり、
C、Si、SiO2 、Si3N4、SiCの混成組成をタ
ーゲットとしたり、場合によっては、C、Si、N、O
を含む2以上のターゲットを用いてもよい。また、ポリ
マーをターゲットとして用いることも可能である。この
ようなターゲットを用いて高周波電力、交流電力、直流
電力のいずれかを印加し、ターゲットをスパッタし、こ
れを基板上にスパッタ堆積させることによりDLC膜を
形成する。高周波スパッタ電力は、通常、50W〜2kW
程度である。動作圧力は、通常、10-5〜10-3Torrが
好ましい。
が被覆される母材としては、このようなDLC膜が、力
が加わる部材、すなわち耐衝撃性および耐摩耗性が要求
される部材、例えば金型(特にパンチ等)や工具類に用
いられることから、このような部材の構成材料となりう
るものであれば特に制限はない。こうした構成材料とし
ては、種々の金属系の材料があり、鉄鋼や非鉄金属をは
じめ、その他サーメット等が挙げられる。鉄鋼として
は、ステンレス鋼(JISに規定されるSUS303、304、31
6、420J、440C、およびELMAXやSTAVAXとして市販されて
いるもの等)、工具鋼(JISに規定されるSK2、SKH2、
3、4、51、SKS2、3、4、11、SKD11、61、およびDC53と
して市販されているもの等)、合金鋼(JISに規定され
るSCM、SNCM、SNC、SCr等)、ダイス鋼などがある。ま
た、非鉄金属としては、アルミニウム合金、銅合金(り
ん青銅、洋白等)、チタン合金、マグネシウム合金、超
硬合金(JISに規定されるG種、S種、D種、およびM4
5、46、63Sとして市販されているもの等)、ステライト
などがある。このようななかでも、上記に例示したよう
な各種ステンレス鋼、工具鋼としてJISに規定されるSKS
2、3、4、11、SKH2、3、4、51、SKD11、61や、DC53、上
記に例示したような超硬合金、ステライト、合金鋼とし
てJISに規定されるSNCM、銅合金としてりん青銅等が好
ましい。
て、種々の形状にして用いられる。
する。 実施例1 表1に示すように、母材として工具等SKS2(JI
S)を用い、以下のようにしてDLC膜を成膜した。種
々のサンプルを作製した。サンプルの形状は直方体と
し、大きさは縦20mm、横20mm、厚さ2mmとした。
ち、Si、C、H、Oを含有する化合物の原料ガスとし
てSi(OCH3)4を流量5SCCM、CH4を流量6SCCM
にて導入した。動作圧力0.05Torrでプラズマ発生用
の交流として、RF電力500Wを加え、セルフバイア
ス電圧−400Vにて、膜厚1μmとなるように成膜
し、DLC膜を設層した。DLC膜の組成はCH0.17S
i0.1O0.17であった。
スパッタ法によりSi膜を0.3μm 厚に成膜して中間
層1を形成してから、サンプルNo.1と同様にしてDL
C膜を成膜した。この場合のスパッタ条件は、周波数1
3.56MHz、電力500W、動作圧力0.1Torrとし
た。
法によりSiC膜を0.3μm 厚に成膜して中間層1を
形成してから、サンプルNo.1と同様にしてDLC膜を
成膜した。この場合のスパッタ条件は、周波数13.5
6MHz、電力500W、動作圧力0.1Torrとした。
によりTi膜を0.1μm 厚に成膜して中間層1を形成
し、さらにArガス中でSiのターゲットを用い、RF
スパッタ法によりSi膜を0.3μm 厚に成膜して中間
層2を形成してから、サンプルNo.1と同様にしてDL
C膜を成膜した。この場合のTi膜成膜時のスパッタ条
件は、周波数13.56MHz、電力500W、動作圧力
0.1Torrとした。また、Si膜成膜時のスパッタ条件
は、サンプルNo.2のSi膜の場合と同様とした。
構成した中間層1を形成し、さらにArガス中でSiC
のターゲットを用い、RFスパッタ法によりSiC膜を
0.3μm 厚に成膜して中間層2を形成してから、サン
プルNo.1と同様にしてDLC膜を成膜した。スパッタ
条件は、Ti膜の場合はサンプルNo.4のTi膜と同様
とし、SiC膜の場合はサンプルNo.3のSiC膜と同
様とした。
りに、Nb膜、V膜,Ta膜、Cr膜、Mo膜、Zr
膜、W膜とするほかは同様にしてサンプルNo.6〜12
を得た。これら各中間層1のスパッタ条件は各金属のタ
ーゲットを用いるほかは同様にした。
を形成し、さらにArガス中でSiO2のターゲットを
用い、RFスパッタ法によりSiO2膜を0.3μm 厚
に成膜して中間層2を形成するほかは同様にして得た。
SiO2膜成膜時のスパッタ条件は、周波数13.56M
Hz、電力500W、動作圧力0.1Torrとした。
を形成し、さらにArガス中でSi3N4のターゲットを
用い、RFスパッタ法によりSi3N4膜を0.3μm 厚
に成膜して中間層2を形成するほかは同様にして得た。
Si3N4膜成膜時のスパッタ条件は、周波数13.56
MHz、電力500W、動作圧力0.1Torrとした。
した中間層1のみを形成し、中間層2を形成しないもの
とするほかは同様にして得た。
成し、Ti膜を中間層2として形成するほかは同様にし
て得た。なお、上記におけるSi膜、SiC膜はいずれ
もX線測定からアモルファス状態であることがわかっ
た。上記の各サンプルを用いて、以下の耐熱性試験を行
った。
い、炉1内のセラミック台2上にサンプル3を載置し、
炉1内にガス導入口4を介してArガスを導入し、炉1
内の雰囲気温度が550℃となるように加熱した。な
お、Arガスの排気は排気口5を介してロータリーポン
プにて行った。サンプル3の温度が550℃に達した時
点を起点にし、サンプル3での膜の剥離面積が膜全体の
10%に達した時点を不可とし、この不可の時点に達す
るまでの時間を寿命とし、耐熱性を評価した。
合の剥離面を併記する。表中の「>1000」は100
0時間の段階で微小な剥離は生じるが、10%の面積に
は達しないものであり、「>2000」は1000時間
では剥離が生ぜず、2000時間の段階でも10%の剥
離面積には達しないものである。「1<」は1時間以内
に10%の剥離面積に達するものである。
程度の高温条件下で使用する金型の下型に適用して、シ
ョットを繰り返し、膜剥離までのショット数を調べ、耐
久性を評価したところ、実用レベルにあることがわかっ
た。特にTaを中間層1としたものが好ましかった。
パッタ法により形成するかわりに、バイアス印加プラズ
マCVD法により表2に示すような膜組成の炭化けい素
系の中間層2を形成した。Ti膜を用いたサンプルをサ
ンプルNo.23、Ta膜を用いたサンプルをサンプルNo.
24とする。
−800V、流量60cm3/分、全圧0.025Torr、R
F電力500W、反応時間10分、基板温度200℃、
電極間距離4.0cmの条件で0.3μm 厚に成膜した。
このような中間層2はX線測定からアモルファス状態で
あることがわかった。
実施例1に同様にして耐熱性試験を行った。結果を表2
に示す。
示すことがわかる。
したところ、実用レベルにあることがわかった。特に、
バイアス印加プラズマCVD法によって形成した炭化け
い素系の中間層2は膜欠陥が少ないためピンホール的な
剥離が少ないという利点がある。
殊鋼(株)製)にかえるほかは同様にして各サンプルを
得、同様にして評価したところ、用いたDLC膜構成に
応じて同様の結果が得られた。このなかで、実施例1の
サンプルNo.1、No.8に準じたものをサンプルNo.1
7、No.18として表1に併記する。
S)にかえるほかは同様にして各サンプルを得、同様に
して評価したところ、用いたDLC膜構成に応じて同様
の結果が得られた。このなかで、実施例1のサンプルN
o.1、No.8に準じたものをサンプルNo.19、No.20
として表1に併記する。
電気工業(株)製)にかえるほかは同様にして各サンプ
ルを得、同様にして評価したところ、用いたDLC膜構
成に応じて同様の結果が得られた。このなかで、実施例
1のサンプルNo.1、No.8に準じたものをサンプルNo.
21、No.22として表1に併記する。
いても、DLC膜を被覆した部材の寿命を長くすること
ができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 母材上にダイヤモンド状炭素膜を被覆し
た部材であって、母材上に周期表第5A族(5族)金
属、第6A族(6族)金属、TiおよびZrから選ばれ
る少なくとも1種を主成分とする金属膜を有し、この金
属膜上にけい素および炭素を含有する炭化けい素系膜を
有し、この炭化けい素系膜上にダイヤモンド状炭素膜を
有するダイヤモンド状炭素膜を被覆した部材。 - 【請求項2】 前記炭化けい素系膜の基本組成をSiC
pHqで表したとき、モル比を表すpおよびqがそれぞ
れ、 0.3≦p≦25 0≦q≦20 である請求項1のダイヤモンド状炭素膜を被覆した部
材。
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