JPH06211822A - 光学活性エピクロルヒドリンの製造法 - Google Patents

光学活性エピクロルヒドリンの製造法

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JPH06211822A
JPH06211822A JP479493A JP479493A JPH06211822A JP H06211822 A JPH06211822 A JP H06211822A JP 479493 A JP479493 A JP 479493A JP 479493 A JP479493 A JP 479493A JP H06211822 A JPH06211822 A JP H06211822A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 光学活性な2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ールとアルカリ水溶液とを100Torr以下の減圧下
で攪拌しつつ反応させ、生成する光学活性エピクロルヒ
ドリンを反応系外に留出させる。 【効果】 光学活性エピクロルヒドリンを高収率かつ光
学純度を損なうことなく大量に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性な医薬品等の製
造に有用な光学活性エピクロルヒドリンの製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、医
薬品の光学活性化が急速に進行しつつあり、その中でも
β−ブロッカーと呼ばれる一群の不整脈治療剤、血圧降
下剤は、その多くがエピクロルヒドリンを原料として製
造できることから、光学活性エピクロルヒドリンの重要
性が増してきており、需要も漸増している。例えば、特
開平4−198175号公報ではアテノロールの製造
に、また、Chem. Pharm. Bull., 38,2092-6 (1990) で
はニプラジオールの製造に光学活性エピクロルヒドリン
が用いられている。
【0003】従来、比較的光学純度の良い光学活性エピ
クロルヒドリンを製造するには、D−マンニトール由来
の不斉炭素を利用する方法(J. Org. Chem., 43, 4876-
8 (1978).)や、酵素法によって得られた光学活性な2,
3−ジクロロ−1−プロパノール(特開昭61−132
196号公報、特開平3−180197号公報)を大気
圧下、アルカリによって脱塩化水素する方法(特開昭6
2−6697号公報、特開平3−180196号公報)
等が用いられてきた。
【0004】しかしながら上記の方法には、工業的にエ
ピクロルヒドリンを製造するに当たり、スケールアップ
を行うことを考えるといくつかの問題点があった。すな
わち、前者においては、以下の3点が挙げられる。 1)工程が煩雑で長い。 2)用いる試剤が高価である。 3)毒性の有る四酢酸鉛を多量に用いる必要があり危険
である。
【0005】また、後者においては、以下の3点が挙げ
られる。 1)光学活性エピクロルヒドリンのラセミ化は系中に塩
化物イオンが存在することにより1,3−ジクロロ−2
−プロパノールを経て進行すると考えられるが、スケー
ルアップを行うと一般に反応時間が長くなる傾向にあ
り、エピクロルヒドリンと塩化物イオンの接触時間が長
くなることによるラセミ化の進行が助長される。それと
同時に、アルカリの水への溶解熱と遊離する塩化水素と
の中和熱により温度制御が困難となり、その結果、エピ
クロルヒドリンと塩化物イオンの反応速度が増大し、さ
らにラセミ化を招くこととなる。 2)生成する塩の濾別工程と分液後の乾燥工程(塩化物
イオンの濃度をできるだけ低くし、ラセミ化を防ぐた
め)における塩や乾燥剤へのエピクロルヒドリンの吸
着、および分液後も残存するアルカリと生成したエピク
ロルヒドリンとの副反応により収率が低下するため、反
応終了後にジエチルエーテル、ジクロロメタン等の低沸
点溶媒でエピクロルヒドリンを抽出する必要がある。し
かしながら、工業的にはジエチルエーテルやジクロロメ
タン等の低沸点溶媒を使用することは、換気や排水処理
の煩雑さを考えると困難である。また、ジエチルエーテ
ルは引火点も低く、危険性も大きい。その点を踏まえ、
実際に溶媒抽出を行わずにエピクロルヒドリンを製造し
てみると、収率はわずか33%に低下し、特開平3−1
80196号公報の84%と比べるとその差は歴然とし
ている。 3)上記1)に述べた様に反応温度の制御が困難となる
と、アルカリがアルカリ金属またはアルカリ土類金属の
水酸化物の場合、生成したエピクロルヒドリンとアルカ
リが反応して3−クロロ−1,2−プロパンジオール、
さらにグリシドール、グリセリンへと副反応が進行し、
エピクロルヒドリンの収率が低下する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの様な状
況に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、収率良く、しかも光
学純度を低下させることなくエピクロルヒドリンを製造
する方法を見いだし、本発明を完成したものである。
【0007】すなわち本発明は、光学活性な2,3−ジ
クロロ−1−プロパノールとアルカリ水溶液とを100
Torr以下の減圧下で攪拌しつつ反応させて生成する
光学活性エピクロルヒドリンを反応系外に留出せしめる
ことを特徴とする光学活性エピクロルヒドリンの製造法
である。
【0008】反応に用いられるアルカリ水溶液として
は、アルカリ金属の水酸化物(例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム)、アルカリ金属の炭酸塩(例えば
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)が挙げられる。これら
のうちでアルカリ金属の水酸化物が好ましく、それらの
中でも水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが特に好まし
い。
【0009】ここで用いられるアルカリ水溶液の濃度は
重量%で5〜50%が好ましく、より好ましくは10〜
40%である。5%より低濃度であると反応時間が長く
なってラセミ化の一因となり、50%より高濃度である
と粘度が上昇し、攪拌が困難となる。
【0010】また、反応に用いられるアルカリの使用量
は、光学活性2,3−ジクロロ−1−プロパノール1モ
ルに対して0.5モル以上が好ましく、より好ましくは
1.1〜1.6モルである。2,3−ジクロロ−1−プ
ロパノールに対して十分な量のアルカリを使用せずに
2,3−ジクロロ−1−プロパノールが残存した場合
は、2,3−ジクロロ−1−プロパノールを適当な溶媒
(例えばクロロホルム)で抽出して回収すれば再利用で
きる。
【0011】本反応を行う際の圧力は100Torr以
下であり、好ましくは5〜80Torrである。100
Torrより高い圧力では反応温度が55℃を越え、ラ
セミ化が進行する。
【0012】本発明においては光学活性2,3−ジクロ
ロ−1−プロパノールに直接アルカリ水溶液を添加して
もよいが、光学活性2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ルと水との混合液にアルカリ水溶液を添加してもよい。
この場合、2,3−ジクロロ−1−プロパノールと水と
の混合比は特に限定されないが、2,3−ジクロロ−1
−プロパノール5〜99.9重量%に対し水95〜0.
1重量%の範囲が好ましい。またアルカリ水溶液に光学
活性2,3−ジクロロ−1−プロパノール又はその水と
の混合液を添加してもよく、両者を同時に滴下反応させ
てもよい。
【0013】本反応は通常2〜24時間で終了し、留出
した光学活性エピクロルヒドリンは蒸留により精製され
る。
【0014】
【実施例】以下、参考例、実施例、比較例により本発明
を具体的に説明する。例中組成%はいずれも重量基準で
ある。なお、光学活性2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ールおよび光学活性エピクロルヒドリンの諸物性の測定
方法は次の通りである。 (1)旋光度 日本分光製DIP−360型旋光計により測定した。 (2)光学純度 ガスクロマトグラムの面積比により決定した。 ガスクロマトグラフ:島津製作所製ガスクロマトグラフ
GC−14A カラム:長さ30m、内径0.25mmキャピラリーカ
ラム キラル相:Cobalt(II)-bis-[(1R)-3-(heptafluorobutyr
yl)camphorate] in SE-54 データ処理装置:島津製作所製クロマトパックC−R5
A (3)化学純度 ガスクロマトグラムの面積比により決定した。 ガスクロマトグラフ:島津製作所製ガスクロマトグラフ
GC−9A カラム:長さ2m、内径3mmガラスカラム 充填剤:Uniport HPにPEG−20Mを5w
t%担持したもの データ処理装置:島津製作所製クロマトパックC−R5
【0015】参考例1 (S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノール
の製造 特開昭61−132196号公報に記載の方法に従い、
R−(+)−2,3−ジクロロ−1−プロパノール資化
能を有するシュードモナス属に属する細菌を使用して、
光学純度99%e.e.以上、化学純度98.2%以上
の(S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ルを製造した。
【0016】参考例2 (R)−(+)−2,3−ジクロロ−1−プロパノール
の製造 特開平3−180196号公報に記載の方法に従い、S
−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノール資化能
を有するアルカリゲネス属に属する細菌を使用して、光
学純度99%e.e.以上、化学純度98.2%以上の
(R)−(+)−2,3−ジクロロ−1−プロパノール
を製造した。
【0017】実施例1−1 (R)−(−)−エピクロルヒドリンの製造 参考例1で得られた(S)−(−)−2,3−ジクロロ
−1−プロパノール(光学純度99.9%e.e.以
上)200g(1.55mol)を容量500mlの三
口フラスコに入れた。この三口フラスコに、ジムロート
冷却管とつながる水分定量受器(目盛り容器10m
l)、容量300mlの滴下漏斗、温度計およびマグネ
チックスターラー攪拌子を装着した。滴下漏斗には、3
6%水酸化ナトリウム水溶液224g(2.02mo
l)を入れた。ジムロートには0℃の冷却液を送液、循
環させた。水浴(水温50℃)で加熱しながら攪拌し、
アスピレーターにて内圧が40Torrとなるように調
圧後、36%水酸化ナトリウム水溶液を150分で滴下
した。その間、生成したエピクロルヒドリンは水と共沸
して水分定量受器内に溜り、一定量毎に抜き取っていっ
た。反応温度は40℃前後であり、異常発熱等は観察さ
れなかった。滴下終了後もさらに60分間攪拌を継続し
た。抜き取ったエピクロルヒドリンは126gで化学純
度は93%であった。他にグリシドールが1%、2,3
−ジクロロ−1−プロパノールが6%検出された。この
粗製物を減圧蒸留で精製し、化学純度99.2%、光学
純度99.6%e.e.の(R)−(−)−エピクロル
ヒドリン110gを得た。収率は77%と良好であっ
た。なお、この(R)−(−)−エピクロルヒドリンの
比旋光度は〔α〕D 22−35.8°(c=1、メタノー
ル)であった。
【0018】実施例1−2 (R)−(−)−エピクロルヒドリンの製造 参考例1で得られた(S)−(−)−2,3−ジクロロ
−1−プロパノール(光学純度99.9%e.e.以
上)13.11kg(101.6mol)を攪拌棒と羽
根を備えた容量30lの四口フラスコに入れた。この四
口フラスコにジムロート冷却管とつながる水分定量受器
(目盛り容器500ml)、容量25lの滴下漏斗およ
び温度計を装着した。滴下漏斗には、36%水酸化ナト
リウム水溶液14.7kg(132.3mol)を入れ
た。ジムロートには0℃の冷却液を送液、循環させた。
水浴(水温50℃)で加熱しながら攪拌し、真空ポンプ
にて内圧が20Torrとなるように調圧後、36%水
酸化ナトリウム水溶液を7時間で滴下した。その間、生
成したエピクロルヒドリンは水と共沸して水分定量受器
内に溜り、一定量毎に抜き取っていった。反応温度は2
7℃前後であり、異常発熱等は観察されなかった。滴下
終了後もさらに60分間攪拌を継続した。抜き取ったエ
ピクロルヒドリンは8.57kgで化学純度は93%で
あった。他にグリシドールが1%、2,3−ジクロロ−
1−プロパノールが5%検出された。この粗製物を減圧
蒸留で精製し、化学純度99.3%、光学純度99.5
%e.e.の(R)−(−)−エピクロルヒドリン7.
78kgを得た。収率は83%と良好であった。なお、
この(R)−(−)−エピクロルヒドリンの比旋光度は
〔α〕D 22−35.8°(c=1、メタノール)であっ
た。
【0019】実施例1−3 (R)−(−)−エピクロルヒドリンの製造 24%水酸化カリウム水溶液475g(2.03mo
l)を攪拌棒と羽根を備えた容量500mlの四口フラ
スコに入れた。この四口フラスコに、ジムロート冷却管
とつながる水分定量受器(目盛り容器10ml)、容量
25lの滴下漏斗および温度計を装着した。滴下漏斗に
は、参考例1で得られた(S)−(−)−2,3−ジク
ロロ−1−プロパノール(光学純度99.9%e.e.
以上)200g(1.55mol)を入れた。ジムロー
トには0℃の冷却液を送液、循環させた。水浴(水温5
0℃)で加熱しながら攪拌し、アスピレーターにて内圧
が25Torrとなるように調圧後、(S)−(−)−
2,3−ジクロロ−1−プロパノールを2時間で滴下し
た。その間、生成したエピクロルヒドリンは水と共沸し
て水分定量受器内に溜り、一定量毎に抜き取っていっ
た。反応温度は29℃前後であり、異常発熱等は観察さ
れなかった。滴下終了後もさらに30分間攪拌を継続し
た。抜き取ったエピクロルヒドリンは125gで化学純
度は96%であった。他に2,3−ジクロロ−1−プロ
パノールが3%検出された。この粗製物を減圧蒸留で精
製し、化学純度99.7%、光学純度99.4%e.
e.の(R)−(−)−エピクロルヒドリン119gを
得た。収率は83%と良好であった。なお、この(R)
−(−)−エピクロルヒドリンの比旋光度は〔α〕D 22
−35.7°(c=1.0、メタノール)であった。
【0020】実施例1−4 (R)−(−)−エピクロルヒドリンの製造 参考例1で得られた(S)−(−)−2,3−ジクロロ
−1−プロパノール(光学純度99.3%e.e.)1
82.5g(1.41mol)と水17.5gを混合し
(2,3−ジクロロ−1−プロパノールの混合比率は9
1.3%)、容量11の三口フラスコに入れた。この三
口フラスコに、ジムロート冷却管とつながる水分定量受
器(目盛り容器10ml)、容量500mlの滴下漏
斗、温度計およびマグネチックスターラー攪拌子を装着
した。滴下漏斗には、30%水酸化ナトリウム水溶液2
63g(1.97mol)を入れた。ジムロートには0
℃の冷却液を送液、循環させた。水浴(水温50℃)で
加熱しながら攪拌し、アスピレーターにて内圧が30T
orrとなるように調圧後、30%水酸化ナトリウム水
溶液を2時間で滴下した。その間、生成したエピクロル
ヒドリンは水と共沸して水分定量受器内に溜り、一定量
毎に抜き取っていった。反応温度は35℃前後であり、
異常発熱等は観察されなかった。滴下終了後もさらに6
0分間攪拌を継続した。抜き取ったエピクロルヒドリン
は105.2gで化学純度は92%であった。他にグリ
シドールが1%、2,3−ジクロロ−1−プロパノール
が6%検出された。この粗製物を減圧蒸留で精製し、化
学純度99.1%、光学純度98.7%e.e.の
(R)−(−)−エピクロルヒドリン100.6gを得
た。収率は77%と良好であった。なお、この(R)−
(−)−エピクロルヒドリンの比旋光度は〔α〕D 22
35.5°(c=1、メタノール)であった。
【0021】実施例2−1 (S)−(+)−エピクロルヒドリンの製造 参考例2で得られた(R)−(+)−2,3−ジクロロ
−1−プロパノール(光学純度99.1%e.e.)2
00g(1.55mol)を容量500mlの三口フラ
スコに入れた。この三口フラスコに、ジムロート冷却管
とつながる水分定量受器(目盛り容器10ml)、容量
300mlの滴下漏斗、温度計およびマグネチックスタ
ーラー攪拌子を装着した。滴下漏斗には、30%水酸化
カリウム水溶液377g(2.02mol)を入れた。
ジムロートには0℃の冷却液を送液、循環させた。水浴
(水温50℃)で加熱しながら攪拌し、アスピレーター
にて内圧が100Torrとなるように調圧後、30%
水酸化カリウム水溶液を180分で滴下した。その間、
生成したエピクロルヒドリンは水と共沸して水分定量受
器内に溜り、一定量毎に抜き取っていった。反応温度は
54℃前後であり、異常発熱等は観察されなかった。滴
下終了後もさらに60分間攪拌を継続した。抜き取った
エピクロルヒドリンは140gで化学純度は91%であ
った。他にグリシドールが1%、2,3−ジクロロ−1
−プロパノールが7%検出された。この粗製物を減圧蒸
留で精製し、化学純度99.0%、光学純度97.4%
e.e.の(S)−(+)−エピクロルヒドリン115
gを得た。収率は80%と良好であったが、光学純度は
やや低下した。なお、この(S)−(+)−エピクロル
ヒドリンの比旋光度は〔α〕D 22+35.5°(c=
1、メタノール)であった。
【0022】実施例2−2 (S)−(+)−エピクロルヒドリンの製造 参考例2で得られた(R)−(+)−2,3−ジクロロ
−1−プロパノール(光学純度99.1%e.e.)8
4.5g(0.66mol)と水925gを混合し
(2,3−ジクロロ−1−プロパノールの混合比率は
8.4%)、容量2000mlの三口フラスコに入れ
た。この三口フラスコに、ジムロート冷却管とつながる
水分定量受器(目盛り容器10ml)、容量300ml
の滴下漏斗、温度計およびマグネチックスターラー攪拌
子を装着した。滴下漏斗には、48%水酸化ナトリウム
水溶液70.3g(0.84mol)を入れた。ジムロ
ートには0℃の冷却液を送液、循環させた。水浴(水温
50℃)で加熱しながら攪拌し、アスピレーターにて内
圧が50Torrとなるように調圧後、48%水酸化ナ
トリウム水溶液を90分で滴下した。その間、生成した
エピクロルヒドリンは水と共沸して水分定量受器内に溜
り、一定量毎に抜き取っていった。反応温度は37℃前
後であり、異常発熱等は観察されなかった。滴下終了後
もさらに60分間攪拌を継続した。抜き取ったエピクロ
ルヒドリンは64.2gで化学純度は88%であった。
他にグリシドールが2%、2,3−ジクロロ−1−プロ
パノールが9%検出された。この粗製物を減圧蒸留で精
製し、化学純度99.1%、光学純度98.2%e.
e.の(S)−(+)−エピクロルヒドリン53.6g
を得た。収率は88%と良好であった。なお、この
(S)−(+)−エピクロルヒドリンの比旋光度は
〔α〕D 22+35.8°(c=1、メタノール)であっ
た。
【0023】実施例2−3 (S)−(+)−エピクロルヒドリンの製造 容量500mlの四口フラスコに、水100gを入れ
た。この四口フラスコに、ジムロート冷却管とつながる
水分定量受器(目盛り容器10ml)、容量300ml
の滴下漏斗を2個、温度計およびマグネチックスターラ
ー攪拌子を装着した。滴下漏斗には、それぞれ参考例2
で得られた(R)−(+)−2,3−ジクロロ−1−プ
ロパノール(光学純度99.8%e.e.)200g
(1.55mol)と36%水酸化ナトリウム水溶液2
24g(2.02mol)を入れた。ジムロートには0
℃の冷却液を送液、循環させた。水浴(水温50℃)で
加熱しながら攪拌し、アスピレーターにて内圧が28T
orrとなるように調圧後、36%水酸化ナトリウム水
溶液と(R)−(+)−2,3−ジクロロ−1−プロパ
ノールを同時に同じ割合で2時間かけて滴下した。その
間、生成したエピクロルヒドリンは水と共沸して水分定
量受器内に溜り、一定量毎に抜き取っていった。反応温
度は31℃前後であり、異常発熱等は観察されなかっ
た。滴下終了後もさらに30分間攪拌を継続した。抜き
取ったエピクロルヒドリンは135gで化学純度は95
%であった。他に2,3−ジクロロ−1−プロパノール
が4%検出された。この粗製物を減圧蒸留で精製し、化
学純度99.6%、光学純度99.2%e.e.の
(S)−(+)−エピクロルヒドリン130gを得た。
収率は91%と良好であった。なお、この(S)−
(+)−エピクロルヒドリンの比旋光度は〔α〕D 22
36.3°(c=1、メタノール)であった。
【0024】実施例2−4 (S)−(+)−エピクロルヒドリンの製造 参考例2で得られた(R)−(+)−2,3−ジクロロ
−1−プロパノール(光学純度99.5%e.e.)1
0.9kg(84.5mol)と水1.5kgを混合し
(2,3−ジクロロ−1−プロパノールの混合比率は8
7.9%)、攪拌棒と羽根を備えた容量301の四口フ
ラスコに入れた。この四口フラスコに、ジムロート冷却
管とつながる水分定量受器(目盛り容器500ml)、
容量25lの滴下漏斗および温度計を装着した。滴下漏
斗には、36%水酸化ナトリウム水溶液12.2kg
(109.8mol)を入れた。ジムロートには0℃の
冷却液を送液、循環させた。水浴(水温50℃)で加熱
しながら攪拌し、真空ポンプにて内圧が17Torrと
なるように調圧後、36%水酸化ナトリウム水溶液を8
時間で滴下した。その間、生成したエピクロルヒドリン
は水と共沸して水分定量受器内に溜り、一定量毎に抜き
取っていった。反応温度は25℃前後であり、異常発熱
等は観察されなかった。滴下終了後もさらに30分間攪
拌を継続した。抜き取ったエピクロルヒドリンは6.6
2kgで化学純度は92%であった。他にグリシドール
が1%、2,3−ジクロロ−1−プロパノールが7%検
出された。この粗製物を減圧蒸留で精製し、化学純度9
9.3%、光学純度98.9%e.e.の(S)−
(+)−エピクロルヒドリン6.35kgを得た。収率
は81%と良好であった。なお、この(S)−(+)−
エピクロルヒドリンの比旋光度は〔α〕D 22+36.2
°(c=1、メタノール)であった。
【0025】比較列1 (R)−(−)−エピクロルヒドリンの製造 参考例1で得られた(S)−(−)−2,3−ジクロロ
−1−プロパノール(光学純度99.5%e.e.)1
4.55kg(112.8mol)を攪拌棒と羽根を備
えた容量301の四口フラスコに入れた。この四口フラ
スコに、25lの滴下漏斗、温度計およびマグネチック
スターラー攪拌子を装着した。滴下漏斗には、36%水
酸化ナトリウム水溶液16.3kg(146.7mo
l)を入れた。水浴(水温20℃)中で内温が25℃を
越えないように注意しながら攪拌し、大気圧下、36%
水酸化ナトリウム水溶液を5時間で滴下した。反応温度
は20〜25℃であり、異常発熱等は観察されなかっ
た。滴下終了後もさらに60分間攪拌を継続した。析出
した塩化ナトリウムを濾過して除き、濾液を分液して
6.44kgの有機層を得た。この有機層にはエピクロ
ルヒドリンが73%含まれていた。この有機層を硫酸マ
グネシウム0.6kgで乾燥後、硫酸マグネシウムを濾
過して除くと5.20kgになった。減圧蒸留で精製
し、化学純度99.7%、光学純度98.2%e.e.
の(R)−(−)−エピクロルヒドリン3.47kgを
得た。収率は33%と極めて悪かった。なお、この
(R)−(−)−エピクロルヒドリンの比旋光度は
〔α〕D 22−35.3°(c=1、メタノール)であっ
た。
【0026】実施例と比較例の結果を表1にまとめる。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】以上の実施例、比較例に示したように、
本発明によれば光学活性エピクロルヒドリンは生成する
と同時に系外に取り出されるため、塩化物イオンによる
ラセミ化やアルカリによる副反応は起らず、生成する塩
の濾別工程はもちろん乾燥工程も不必要となり、蒸留に
よる精製のみで高純度の光学活性エピクロルヒドリンを
製造することができる。すなわち光学活性エピクロルヒ
ドリンを高収率で、かつ光学純度を損なうことなく大き
なスケールで製造することが可能となるので多数の光学
活性医薬品の製造に大量に供給することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学活性な2,3−ジクロロ−1−プロ
    パノールとアルカリ水溶液とを100Torr以下の減
    圧下で攪拌しつつ反応させて生成する光学活性エピクロ
    ルヒドリンを反応系外に留出せしめることを特徴とする
    光学活性エピクロルヒドリンの製造法。
  2. 【請求項2】 アルカリ水溶液がアルカリ金属水酸化物
    の水溶液である請求項1に記載の光学活性エピクロルヒ
    ドリンの製造法。
  3. 【請求項3】 光学活性な2,3−ジクロロ−1−プロ
    パノールとして水との混合液を用いることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の光学活性エピクロルヒドリンの
    製造法。
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