JP3613636B2 - 3,4−カランジオールの製造法 - Google Patents
3,4−カランジオールの製造法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、害虫忌避剤等として有用な3,4−カランジオールの製造法に関する。
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、特開平 5−4901 号公報に、下記式 化6で示される3,4−カランジオールが害虫忌避剤の有効成分として優れた効力を有することが記載されており、該3,4−カランジオールの工業的にも有利な製造法が望まれていた。
【0002】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、下記式 化4で示される3−カレンに、弱塩基性含水アルコール中、過酢酸を作用させて、式 化5で示される3−カランエポキシドとしたのち、該3−カランエポキシドに、加圧下含水エタノール中でアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩を作用させることにより、下記式 化6で示される3,4−カランジオールを容易にしかも工業的にも有利に製造することができることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(工程a) 式 化4
【化4】
〔式中、飛楔型表示は相対立体配置を表す。〕
で示される3−カレンに、弱塩基性含水アルコール中、過酢酸を作用させて、式
化5
【化5】
〔式中、飛楔型表示は相対立体配置を表す。〕
で示される3−カランエポキシドとしたのち、
(工程b) 該3−カランエポキシドに、加圧下、含水エタノール中でアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩を作用させることを特徴とする、式 化6
【化6】
で示される3,4−カランジオールの製造法を提供する。
〔式中、飛楔型表示は相対立体配置を表す。〕
【0003】
本発明において、原料化合物である式 化4の3−カレン、中間体の式 化5の3−カランエポキシドおよび目的物の式 化6のカランジオールにおける飛楔型表示はシス/トランスの相対立体配置を表し、式 化4の3−カレン、式 化5の3−カランエポキシドおよび式 化6のカランジオールは各々光学活性体でもラセミ体でもよい。本発明の方法において、工程aにおいて、式 化4の3−カレンは立体選択的に式 化5の3−カランエポキシドにエポキシ化され、工程bにおいて、式 化5の3−カランエポキシドは立体選択的に式 化6のカランジオールに変換される。
本発明の方法によれば、良好な収率で目的物を取得することができるだけでなく、工程aのエポキシ化反応においては、反応系が均一であって、操作性および反応制御性に優れており、また、安価でかつ反応後の後処理も容易な過酢酸を用いており、工程bにおいては、含水エタノール中で反応を行うことにより、反応の容積効率も良好な状態で行うことができ、工業的規模の実施においても有利である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。尚、%は特に断りのないかぎり重量%を示す。
【0004】
まず、工程aについて詳しく説明する。
用いられるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等があげられ、アルコールと水との混合比は容量比で通常50:50〜90:10である。反応温度は0℃から室温の範囲が望ましく、特に0℃から10℃の範囲が望ましく、反応時間は通常3〜48時間である。
過酢酸としては通常その酢酸溶液または酢酸水溶液を用い、該溶液としては25〜60%濃度のものを通常用いるが、特に35〜50%濃度のものを使用するのが良い。また、過酢酸として、酢酸もしくは無水酢酸と過酸化水素水からin
situ で得られるものを用いることもできる。式 化4の3−カレンと過酢酸の使用比率としては、式 化4の3−カレン1モルに対して、過酢酸を 1.0〜2.0 モルの割合用いるのが良く、特に 1.0〜1.2 モルの割合用いるのが望ましい。
溶液を弱塩基性に保つためには、過酢酸1モルに対し、通常0.2〜2.0モルの割合、好ましくは0.8〜1.2モルの割合の、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム等の塩基をあらかじめ含水アルコールに加える。反応は、式 化4の3−カレンの弱塩基性含水アルコール溶液に、溶液中のpHを8〜9に保ちながら、過酢酸を滴下することにより行うのが好ましい。溶液中のpHを8〜9に保つのは、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水を過酢酸と別々に同時に滴下する事などにより達成することができる。
反応終了後の反応液は、必要に応じ水酸化ナトリウム水溶液等で過剰の過酢酸を分解したのち、水洗、濃縮等の通常の後処理を行って、式 化5の3−カランエポキシドを単離することができる。
【0005】
次に、工程bについて詳しく説明する。
反応は100〜200℃の温度範囲で行うことが望ましく、特に120〜180℃の温度範囲で行うのが良い。反応圧力は通常5〜15kg/cm2 である。反応時間は通常6〜48時間である。
用いられるアルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられ、アルカリ金属炭酸塩としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等があげられるが、水酸化ナトリウムを使うのが望ましい。
用いられるエタノール量は、広範囲で有効であるが、特に全容量の10〜40%となるように加えるのが望ましい。水の量は、式 化5の3−カランエポキシド1容量に対し、1〜3容量という少量で目的を達することができるが、3容量以上使用してもよい。
反応終了後の反応液は、水洗、濃縮等の通常の後処理を行い、必要に応じ精留操作に付すことにより、式 化6の3,4−カランジオールを単離することができる。
【0006】
【実施例】
以下、実施例等をあげて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
500ml容5口フラスコにN2 雰囲気下、(+)−3−カレン40.8g、エタノール180ml、水90mlおよび炭酸ナトリウム30gを仕込み攪拌した。反応温度を0℃にpHを 8.5〜9.0 に保ちながら(40%水酸化ナトリウム水溶液を後記過酢酸と別々に同時に滴下して達成)6時間かけて38.4%過酢酸の酢酸溶液(約10%の水を含む)65gを滴下し、その後室温にて18時間反応させた。その後、40%水酸化ナトリウム水溶液を加えて未反応の過酢酸を分解した。次に、減圧下でエタノールを留去した後、飽和食塩水50gを加えて油層を2回水洗してから静置、分液した。
分液により得た油層(粗3α−エポキシカラン)36gを1リットル容のオートクレーブ装置(SUS−316)にエタノール30gおよび5%水酸化ナトリウム水溶液70gとともに仕込み、170℃で20時間(11kg/cm2 )反応させた。反応混合物を静置、分液後、油層を取り出し、50mlの飽和食塩水および蒸留水で順次洗浄してから濃縮し、37gの粗生成物を得た。
これをワイドボアGCキャピラリーカラムであるHR−20M(長さ30m:内径0.53mm)を用いたガスクロマトグラフ(条件:カラム温度:100℃から5℃/min で160℃まで昇温し、以後一定;injection およびdetection temp. =240℃)で分析し、1S,3S,4S,6R−カラン−3,4−ジオール(保持時間:31分/面百率80%)が生成していることを確認した。尚、異性体である1S,3R,4R,6R−カラン−3,4−ジオール(保持時間:30分/面百率8%)が副生していた。
反応粗生成物を精留し、145℃、10〜12mmHgで留出される1S,3S,4S,6R−カラン−3,4−ジオールと1S,3R,4R,6R−カラン−3,4−ジオールの混合物31g(含有比率10:1;トータルで純度96%;(+)−3−カレンからの純収率60%)を得た。
【0007】
参考比較例1
実施例1に記載の方法により得た粗3α−エポキシカラン36gを1リットル容のオートクレーブ装置(SUS−316)にメタノール30gおよび5%水酸化ナトリウム水溶液70gとともに仕込み、130℃で20時間(4kg/cm2 )反応させた。反応混合物を静置、分液後、油層を取り出し、50mlの飽和食塩水および蒸留水で順次洗浄してから濃縮し、37gの粗生成物を得た。
これをガスクロマトグラフ(条件は実施例1と同じ)で分析し、1S,3S,4S,6R−カランジオール(保持時間:31分/面百率40%)が生成していることを確認した。尚、異性体である1S,3R,4R,6R−カランジオール(保持時間:30分/面百率4%)が副生していた。また、実施例1においては、殆ど副生しなかったアルキルエーテル体(1S,3S,4S,6R−3−メトキシ−4−ヒドロキシカラン:保持時間:10.5分/面百率32%)も生成していた。
粗生成物を精留し、アルキルエーテル体(1S,3S,4S,6R−3−メトキシ−4−ヒドロキシカラン:精留での留出条件;105℃、10〜12mmHg、純度90%)約13.5gおよび1S,3S,4S,6R−カランジオールと1S,3R,4R,6R−カランジオールの混合物16g(含有比率10:1;精留での留出条件;145℃、10〜12mmHg;トータル純度96%;(+)−3−カレンからの純収率31%)を得た。
このように、実施例1の工程bにおいてエタノールに替えてメタノールを用いた場合には、エタノールを用いた場合よりも収率が劣った。
【0008】
参考比較例2
実施例1に記載の方法により得た粗3α−エポキシカラン36gを1リットル容のオートクレーブ装置(SUS−316)にイソプロパノール30gおよび5%水酸化ナトリウム水溶液70gとともに仕込み、160℃で20時間(8kg/cm2 )反応させた。反応混合物を静置、分液後、油層を取り出し、50mlの飽和食塩水および蒸留水で順次洗浄してから濃縮し、34gの粗生成物を得た。
これをガスクロマトグラフ(条件は実施例1と同じ)で分析し、1S,3S,4S,6R−カランジオール(保持時間:31分/面百率36%)が生成していることを確認した。尚、異性体である1S,3R,4R,6R−カランジオール(保持時間:30分/面百率3%)が副生していた。また、原料の3α−エポキシカラン(保持時間: 6.5分/面百率50%)が残存していた。
粗生成物を精留し、1S,3S,4S,6R−カランジオールと1S,3R,4R,6R−カランジオールの混合物約13.6g(含有比率10:1;精留での留出条件;145℃、10〜12mmHg;トータル純度96%;(+)−3−カレンからの純収率28%)を得た。尚、精留の際に80℃、10〜12mmHgの条件で留出する16gの3α−エポキシカランを回収した。
このように、実施例1の工程bにおいてエタノールに替えてイソプロパノールを用いた場合には、エタノールを用いた場合よりも収率が劣った。
【0009】
参考比較例3
実施例1に記載の方法により得た粗3α−エポキシカラン46gを1リットル容のオートクレーブ装置(SUS−316)に5%水酸化ナトリウム水溶液100gとともに仕込み、170℃で20時間(6kg/cm2 )反応させた。反応混合物を静置、分液後、油層を取り出し、50mlの飽和食塩水および蒸留水で順次洗浄してから濃縮し、41gの粗生成物を得た。
これをガスクロマトグラフ(条件は実施例1と同じ)で分析し、1S,3S,4S,6R−カランジオール(保持時間:31分/面百率27%)が生成していることを確認した。尚、異性体である1S,3R,4R,6R−カランジオール(保持時間:30分/面百率3%)が副生していた。また、原料の3α−エポキシカラン(保持時間: 6.5分/面百率60%)が残存していた。
粗生成物を精留し、145℃、10〜12mmHgで留出する1S,3S,4S,6R−カランジオールと1S,3R,4R,6R−カランジオールの混合物10g(含有比率10:1;トータル純度96%;(+)−3−カレンからの純収率19%)を得た。尚、精留の際に、22gの3α−エポキシカラン(80℃、10〜12mmHgで留出)を回収した。
このように、実施例1の工程bにおいてエタノールを用いない場合には、エタノールを用いた場合よりも収率が劣った。
【0010】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、式 化6で示される3,4−カランジオールを工業的にも有利に製造することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、害虫忌避剤等として有用な3,4−カランジオールの製造法に関する。
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、特開平 5−4901 号公報に、下記式 化6で示される3,4−カランジオールが害虫忌避剤の有効成分として優れた効力を有することが記載されており、該3,4−カランジオールの工業的にも有利な製造法が望まれていた。
【0002】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、下記式 化4で示される3−カレンに、弱塩基性含水アルコール中、過酢酸を作用させて、式 化5で示される3−カランエポキシドとしたのち、該3−カランエポキシドに、加圧下含水エタノール中でアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩を作用させることにより、下記式 化6で示される3,4−カランジオールを容易にしかも工業的にも有利に製造することができることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(工程a) 式 化4
【化4】
〔式中、飛楔型表示は相対立体配置を表す。〕
で示される3−カレンに、弱塩基性含水アルコール中、過酢酸を作用させて、式
化5
【化5】
〔式中、飛楔型表示は相対立体配置を表す。〕
で示される3−カランエポキシドとしたのち、
(工程b) 該3−カランエポキシドに、加圧下、含水エタノール中でアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩を作用させることを特徴とする、式 化6
【化6】
で示される3,4−カランジオールの製造法を提供する。
〔式中、飛楔型表示は相対立体配置を表す。〕
【0003】
本発明において、原料化合物である式 化4の3−カレン、中間体の式 化5の3−カランエポキシドおよび目的物の式 化6のカランジオールにおける飛楔型表示はシス/トランスの相対立体配置を表し、式 化4の3−カレン、式 化5の3−カランエポキシドおよび式 化6のカランジオールは各々光学活性体でもラセミ体でもよい。本発明の方法において、工程aにおいて、式 化4の3−カレンは立体選択的に式 化5の3−カランエポキシドにエポキシ化され、工程bにおいて、式 化5の3−カランエポキシドは立体選択的に式 化6のカランジオールに変換される。
本発明の方法によれば、良好な収率で目的物を取得することができるだけでなく、工程aのエポキシ化反応においては、反応系が均一であって、操作性および反応制御性に優れており、また、安価でかつ反応後の後処理も容易な過酢酸を用いており、工程bにおいては、含水エタノール中で反応を行うことにより、反応の容積効率も良好な状態で行うことができ、工業的規模の実施においても有利である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。尚、%は特に断りのないかぎり重量%を示す。
【0004】
まず、工程aについて詳しく説明する。
用いられるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等があげられ、アルコールと水との混合比は容量比で通常50:50〜90:10である。反応温度は0℃から室温の範囲が望ましく、特に0℃から10℃の範囲が望ましく、反応時間は通常3〜48時間である。
過酢酸としては通常その酢酸溶液または酢酸水溶液を用い、該溶液としては25〜60%濃度のものを通常用いるが、特に35〜50%濃度のものを使用するのが良い。また、過酢酸として、酢酸もしくは無水酢酸と過酸化水素水からin
situ で得られるものを用いることもできる。式 化4の3−カレンと過酢酸の使用比率としては、式 化4の3−カレン1モルに対して、過酢酸を 1.0〜2.0 モルの割合用いるのが良く、特に 1.0〜1.2 モルの割合用いるのが望ましい。
溶液を弱塩基性に保つためには、過酢酸1モルに対し、通常0.2〜2.0モルの割合、好ましくは0.8〜1.2モルの割合の、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム等の塩基をあらかじめ含水アルコールに加える。反応は、式 化4の3−カレンの弱塩基性含水アルコール溶液に、溶液中のpHを8〜9に保ちながら、過酢酸を滴下することにより行うのが好ましい。溶液中のpHを8〜9に保つのは、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水を過酢酸と別々に同時に滴下する事などにより達成することができる。
反応終了後の反応液は、必要に応じ水酸化ナトリウム水溶液等で過剰の過酢酸を分解したのち、水洗、濃縮等の通常の後処理を行って、式 化5の3−カランエポキシドを単離することができる。
【0005】
次に、工程bについて詳しく説明する。
反応は100〜200℃の温度範囲で行うことが望ましく、特に120〜180℃の温度範囲で行うのが良い。反応圧力は通常5〜15kg/cm2 である。反応時間は通常6〜48時間である。
用いられるアルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられ、アルカリ金属炭酸塩としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等があげられるが、水酸化ナトリウムを使うのが望ましい。
用いられるエタノール量は、広範囲で有効であるが、特に全容量の10〜40%となるように加えるのが望ましい。水の量は、式 化5の3−カランエポキシド1容量に対し、1〜3容量という少量で目的を達することができるが、3容量以上使用してもよい。
反応終了後の反応液は、水洗、濃縮等の通常の後処理を行い、必要に応じ精留操作に付すことにより、式 化6の3,4−カランジオールを単離することができる。
【0006】
【実施例】
以下、実施例等をあげて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
500ml容5口フラスコにN2 雰囲気下、(+)−3−カレン40.8g、エタノール180ml、水90mlおよび炭酸ナトリウム30gを仕込み攪拌した。反応温度を0℃にpHを 8.5〜9.0 に保ちながら(40%水酸化ナトリウム水溶液を後記過酢酸と別々に同時に滴下して達成)6時間かけて38.4%過酢酸の酢酸溶液(約10%の水を含む)65gを滴下し、その後室温にて18時間反応させた。その後、40%水酸化ナトリウム水溶液を加えて未反応の過酢酸を分解した。次に、減圧下でエタノールを留去した後、飽和食塩水50gを加えて油層を2回水洗してから静置、分液した。
分液により得た油層(粗3α−エポキシカラン)36gを1リットル容のオートクレーブ装置(SUS−316)にエタノール30gおよび5%水酸化ナトリウム水溶液70gとともに仕込み、170℃で20時間(11kg/cm2 )反応させた。反応混合物を静置、分液後、油層を取り出し、50mlの飽和食塩水および蒸留水で順次洗浄してから濃縮し、37gの粗生成物を得た。
これをワイドボアGCキャピラリーカラムであるHR−20M(長さ30m:内径0.53mm)を用いたガスクロマトグラフ(条件:カラム温度:100℃から5℃/min で160℃まで昇温し、以後一定;injection およびdetection temp. =240℃)で分析し、1S,3S,4S,6R−カラン−3,4−ジオール(保持時間:31分/面百率80%)が生成していることを確認した。尚、異性体である1S,3R,4R,6R−カラン−3,4−ジオール(保持時間:30分/面百率8%)が副生していた。
反応粗生成物を精留し、145℃、10〜12mmHgで留出される1S,3S,4S,6R−カラン−3,4−ジオールと1S,3R,4R,6R−カラン−3,4−ジオールの混合物31g(含有比率10:1;トータルで純度96%;(+)−3−カレンからの純収率60%)を得た。
【0007】
参考比較例1
実施例1に記載の方法により得た粗3α−エポキシカラン36gを1リットル容のオートクレーブ装置(SUS−316)にメタノール30gおよび5%水酸化ナトリウム水溶液70gとともに仕込み、130℃で20時間(4kg/cm2 )反応させた。反応混合物を静置、分液後、油層を取り出し、50mlの飽和食塩水および蒸留水で順次洗浄してから濃縮し、37gの粗生成物を得た。
これをガスクロマトグラフ(条件は実施例1と同じ)で分析し、1S,3S,4S,6R−カランジオール(保持時間:31分/面百率40%)が生成していることを確認した。尚、異性体である1S,3R,4R,6R−カランジオール(保持時間:30分/面百率4%)が副生していた。また、実施例1においては、殆ど副生しなかったアルキルエーテル体(1S,3S,4S,6R−3−メトキシ−4−ヒドロキシカラン:保持時間:10.5分/面百率32%)も生成していた。
粗生成物を精留し、アルキルエーテル体(1S,3S,4S,6R−3−メトキシ−4−ヒドロキシカラン:精留での留出条件;105℃、10〜12mmHg、純度90%)約13.5gおよび1S,3S,4S,6R−カランジオールと1S,3R,4R,6R−カランジオールの混合物16g(含有比率10:1;精留での留出条件;145℃、10〜12mmHg;トータル純度96%;(+)−3−カレンからの純収率31%)を得た。
このように、実施例1の工程bにおいてエタノールに替えてメタノールを用いた場合には、エタノールを用いた場合よりも収率が劣った。
【0008】
参考比較例2
実施例1に記載の方法により得た粗3α−エポキシカラン36gを1リットル容のオートクレーブ装置(SUS−316)にイソプロパノール30gおよび5%水酸化ナトリウム水溶液70gとともに仕込み、160℃で20時間(8kg/cm2 )反応させた。反応混合物を静置、分液後、油層を取り出し、50mlの飽和食塩水および蒸留水で順次洗浄してから濃縮し、34gの粗生成物を得た。
これをガスクロマトグラフ(条件は実施例1と同じ)で分析し、1S,3S,4S,6R−カランジオール(保持時間:31分/面百率36%)が生成していることを確認した。尚、異性体である1S,3R,4R,6R−カランジオール(保持時間:30分/面百率3%)が副生していた。また、原料の3α−エポキシカラン(保持時間: 6.5分/面百率50%)が残存していた。
粗生成物を精留し、1S,3S,4S,6R−カランジオールと1S,3R,4R,6R−カランジオールの混合物約13.6g(含有比率10:1;精留での留出条件;145℃、10〜12mmHg;トータル純度96%;(+)−3−カレンからの純収率28%)を得た。尚、精留の際に80℃、10〜12mmHgの条件で留出する16gの3α−エポキシカランを回収した。
このように、実施例1の工程bにおいてエタノールに替えてイソプロパノールを用いた場合には、エタノールを用いた場合よりも収率が劣った。
【0009】
参考比較例3
実施例1に記載の方法により得た粗3α−エポキシカラン46gを1リットル容のオートクレーブ装置(SUS−316)に5%水酸化ナトリウム水溶液100gとともに仕込み、170℃で20時間(6kg/cm2 )反応させた。反応混合物を静置、分液後、油層を取り出し、50mlの飽和食塩水および蒸留水で順次洗浄してから濃縮し、41gの粗生成物を得た。
これをガスクロマトグラフ(条件は実施例1と同じ)で分析し、1S,3S,4S,6R−カランジオール(保持時間:31分/面百率27%)が生成していることを確認した。尚、異性体である1S,3R,4R,6R−カランジオール(保持時間:30分/面百率3%)が副生していた。また、原料の3α−エポキシカラン(保持時間: 6.5分/面百率60%)が残存していた。
粗生成物を精留し、145℃、10〜12mmHgで留出する1S,3S,4S,6R−カランジオールと1S,3R,4R,6R−カランジオールの混合物10g(含有比率10:1;トータル純度96%;(+)−3−カレンからの純収率19%)を得た。尚、精留の際に、22gの3α−エポキシカラン(80℃、10〜12mmHgで留出)を回収した。
このように、実施例1の工程bにおいてエタノールを用いない場合には、エタノールを用いた場合よりも収率が劣った。
【0010】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、式 化6で示される3,4−カランジオールを工業的にも有利に製造することができる。
Claims (3)
- 工程aの反応をpH 8〜9 に保ちながら行なう請求項1記載の製造法。
- アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩が水酸化ナトリウムである請求項1記載の製造法。
Priority Applications (6)
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