JPH062061B2 - N−アセチルノイラミン酸リア−ゼの製法 - Google Patents

N−アセチルノイラミン酸リア−ゼの製法

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JPH062061B2
JPH062061B2 JP59122818A JP12281884A JPH062061B2 JP H062061 B2 JPH062061 B2 JP H062061B2 JP 59122818 A JP59122818 A JP 59122818A JP 12281884 A JP12281884 A JP 12281884A JP H062061 B2 JPH062061 B2 JP H062061B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はN−アセチルノイラミン酸リアーゼ産生遺伝子
を含有する新規な大腸菌を用いるN−アセチルノイラミ
ン酸リアーゼの製造法に関する。
従 来 技 術 N−アセチルノイラミン酸リアーゼ(EC4.1.3.3,以
下NAリアーゼと略記する)N−アセチルノイラミン酸
をN−アセチルマンノサミンとピルビン酸に分解する酵
素である。また、このNAリアーゼは血清等の生体中の
シアル酸含有物質の定量に用いられることはよく知られ
ている。
NAリアーゼは、動物組織およびガス壊疽菌(Clostrid
ium perfringens),コレラ菌(Vibrocholerae)等の病
原性微生物、および各種の非病原性微生物等に存在する
ことが知られている。
発明が解決しようとする問題点 これらの微生物は、一般の酵素生産に利用される培地で
培養してもその生産量は極めて少量に留まり、培地中に
N−アセチルノイラミン酸を存在させるときにのみ本酵
素の生産量が上昇することが報告されている。(特公昭
56−54153,特公昭56−51751)。然る
に、このN−アセチルノイラミン酸を大量に使用するこ
とは経済的に不利であり、NAリアーゼの生産にN−ア
セチルノイラミン酸を必要としない微生物を用いる方法
の開発が望まれている。
問題点を解決するための手段 かかる状況に鑑み、工業的に安価にNAリアーゼを製造
する方法について種々検討した結果、NAリアーゼ活性
を有するエシェリヒア・コリよりNAリアーゼの遺伝情
報を担うデオキシリボ核酸(DNA)を単離し、次いで
このNAリアーゼの遺伝情報を担うDNAをベクターに
組み込ませ、この組み換えDNAをエシェリヒア・コリ
に導入することによって得られた微生物がN−アセチル
ノイラミン酸の培地への添加なしにNAリアーゼを生産
することが見出された。
以下に本発明を詳細に説明する。
〔本発明微生物の調製〕
NAリアーゼの遺伝情報を担うDNA(以下、染色体D
NAと称する)のエシェリヒア・コリからの単離は常法
に従って、例えばBiochim.Biophys.Acta,Vol.72pp619-6
29(1963)に記載のフェノール法により行うことができ
る。上記のDNA供与体としては、NAリアーゼ生産能
を有するエシェリヒア・コリであれば、すべて使用可能
である。
次いで、上記で得られたDNAをベクターDNAに組み
込んで組み換えDNAを調製する。染色体DNAのベク
ターDNAの組み込みは常法に従って、例えば染色体D
NA及びベクターDNAを制限酵素で切断して染色体D
NA断片及びベクターDNA断片を調製したのち、両者
の混合物をDNAリガーゼで処理することにより行うこ
とができる。ここで用いられるベクターDNAとして
は、エシェリヒア・コリを宿主とするpBR322プラ
スミド,コリシンE1プラスミド,ラムダヒファージな
どが挙げられ、とりわけpBR322プラスミドが好適
に用いられる。また制限酵素としては、例えばHind
III,BamHI,EocRI,PstI,SalIな
どが挙げられ、とりわけHindIIIが好適に用いられ
る。更にDNAリガーゼとしては、T4ファージ由来の
DNAリガーゼが好適に用いられる。
次いで、上記方法で得られた組み換えDNAは常法によ
ってNAリアーゼ欠損株に導入することができる。
NAリアーゼの欠損した変異株を取得するに当たって
は、まずエシェリヒア・コリ野生株(例えばエシェリヒ
ア・コリC600−SF8)に変異を誘起せしめて、N
−アセチルノイラミン酸を資化できない変異株を取得す
る。変異の誘起は通常の変異誘起処理、例えばN−メチ
ル−N′−ニトロソ−N−ニトロソグアニジンの如き変
異誘起剤で処理することにより実施できる。
N−アセチルノイラミン酸を資化できない変異株の取得
は変異処理して得られた菌体をグルコース最少培地(例
えば、グルコース2g/,(NH4)2SO41g/,K2HPO
47g/,K2HPO43g/,MgSO4・7H2O0.1g/,
チアミン5μg/ml,スレオニン0.2mM,ロイシン0.2
mM,寒天15g/の組成の培地)で培養する。その
後、生じたコロニーをグルコース最少培地とN−アセチ
ルノイラミン酸最少培地(例えば、N−アセチルノイラ
ミン酸0.2%,(NH4)2SO41g/,K2HPO47g/,K2
HPO43g/,MgSO4・7H2O0.1g/,チアミン5μg
/ml,スレオニン0.2mM,ロイシン0.2mM,寒天15
g/の組成の培地)にレプリカレ,グルコース最少培
地で生育できて、N−アセチルノイラミン酸最少培地生
育できないコロニーを釣菌分離することにより行う。か
くして得られたNAリアーゼ欠損株の例としては、例え
ばエシェリヒア・コリ(Escherichia Coli)0−2が挙げ
られる。
組み換えDNAの上記NAリアーゼ欠損株への導入は常
法に従って行うことが出来、例えばJ.Bacteriol.,Vo
l.119,pp1072-1074(1974)に記載のカルシウムイオン処
理法により行うことができる。組み換えDNA(すなわ
ち、NAリアーゼの遺伝情報を担うDNAを組み込んだ
ベクターDNA)を含有する菌株の選択方法は、当該組
み換えDNAを調製するに際して使用した制限酵素やベ
クターDNAの種類によっても異なるが、制限酵素とし
てHindIIIを用い、ベクターDNAとしてpBR3
22プラスミドを用いた場合には、次の如くして行うこ
とができる。すなわち、菌株をアンピシリンを含むN−
アセチルノイラミン酸最少培地に培養し、生じたコロニ
ーを釣菌分離することにより第一次選択する。次いでN
Aリアーゼ活性の有無で最終的に確認する。かくして得
られた組み換えDNAを含有する微生物の例としては、
例えばエシェリヒア・コリ(Escherichia Coli)H3−4
(微工研条寄第513号)が挙げられる。
〔N−アセチルノイラミン酸リアーゼの製造〕
上記の如くして取得した本発明の微生物は培養すれば菌
体内にNAリアーゼを著量生成蓄積する。
本発明微生物の培養に用いられる培地としては、炭素
源,窒素源,無機物を含有する合成培地または天然培地
のいずれも使用できる。炭素源としては、例えばグルコ
ール,シュクロース,フラクトース,でん粉,でん粉加
水分解別,糖蜜などの種々の炭水化物が用いられ、その
使用量は5〜50g/程度が好ましい。また窒素源と
しては、例えば硫酸アンモニウム,リン酸アンモニウ
ム,炭酸アンモニウム,酢酸アンモニウムなどの各種の
無機および有機アンモニウム塩類,あるいはペプトン,
酵母エキス,コーンスチープリカー,カゼイン加水分解
物などの窒素含有有機物などが用いられ、その使用量は
5〜20g/程度が好ましい。更に無機物としては、
例えばリン酸第一水素カリウム,リン酸第二カリウム,
硫酸マグネシウム,硫酸マンガンなどが用いられ、その
使用量は0.05〜5g/程度が好ましい。
培養は振とう培養あるいは通気撹拌培養などの好気的条
件下に行われる。培養温度は25〜37℃が好適であ
り、培養期間は通常16〜48時間程度で完了する。
培養を終了した菌体からNAリアーゼを精製するに当た
っては、上記培養液から遠心分離等の方法で菌体を集
め、得られた菌体を超音波処理,ガラスビーズを用いた
摩砕処理,フレンチプレス処理等によって破砕し、酵素
を抽出する。抽出液はこれを硫安塩析法,イオン交換樹
脂を用いるクロマトグラフィー,ゲル濾過法等の常法に
より処理して、精製N−アセチルノイラミン酸リアーゼ
を得ることができる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
実施例1. (1) NAリアーゼの遺伝情報を担う染色体DNAの調
製 エシェリヒア・コリKY8482をL−培地(グルコー
ス1g/,トリプトン10g/,酵母エキス5g/
,塩化ナトリウム5g/,pH7.2)300ml中、
28℃で16時間振とう培養して得られた菌体を集洗菌
後、Saito&Miuraの方法〔Biochim.Biophys.Acta,72,61
9-629(1963)〕でフェノール処理し、染色体DNA約2m
gを得た。
(2) 染色体DNA断片のベクターへの挿入 (1)で得た染色体DNA2.6μgをとり、制限エンドヌク
レアーゼHindIIIと2時間反応させた。また、ベク
ターとして使用するpBR322(Bethesda Research
Laboratories社製,USA)2.6μgもHindIIIと2
時間反応させ、完全に切断した。両反応液を各々65
℃,10分間加熱処理した後、両反応液を混合し、T
ファージ由来のDNAリガーゼで4℃,16時間連結反
応を行った。次いで、反応液を65℃,10時間加熱し
た後、この溶液をDNA溶液とした。
(3) NAリアーゼの遺伝情報を担ったプラスミドによ
る形質転換 エシェリヒア・コリC600−SF8より変異誘導した
NAリアーゼ欠損株0−2をL−培地40mlにて対数増
殖中間(CD660=約0.40)まで生育させた後、0.1M塩
化カルシウム溶液で洗浄後、同溶液1mlに再懸濁させ
た。この懸濁液0.15mlに(2)で得たDNA溶液を加え、
0℃にて30分間保持した後、37℃で20分間加熱し
てDNAを細胞内に取り込ませた。次いで、この懸濁液
をL−培地1.5mlに接種し、2時間振とう培養した。菌
体を集洗菌後、20μg/mlのアンピシリンを含むN−
アセチルノイラミン酸最少培地(N−アセチルノイラミ
ン酸2g/,(NH4)2SO41g/,K2HPO47g/,K
2HPO43g/,MgSO4・7H2O0.1g/,チアミン5μ
g/ml,スレオニン0.2mM,ロイシン0.2mM,寒天1
5g/,pH7.0)に塗布し、30℃で2日間培養し
た。生じたコロニーについて更に菌体内のNAリアーゼ
活性を検討し、形質転換株H3−4を取得した。
実施例2. 下記第1表に示す菌株をL−培地および1g/,のN
−アセチルノイラミン酸を含むL−培地に接種し、30
℃で18時間振とう培養した。培養終了後、遠心分離に
より菌体を集め、0.85%生理食塩水で洗浄後、菌体を超
音波処理により破砕し、菌体抽出液を調製し、その抽出
液中のNAリアーゼ活性を測定した。その結果は下記第
1表の通りであり、形質転換株H3−4は培地中にN−
アセチルノイラミン酸を添加しなくてもNAリアーゼを
生産することができた。
実施例3. H3−4株をグルコース1g/,トリプトン10g/
,酵母エキス5g/,塩化5g/,アンピシリン
20μg/mlより成る培地(pH7.0)300mlを含む
2エルレンマイヤーフラスコに植菌し、30℃で18
時間振盪培養する。この培養液より遠心分離法にて菌体
を集める。得られた菌体を0.01Mリン酸緩衝液(pH7.
0)20mlに懸濁して超音波処理を行い細胞を破砕し、
菌体内の酵素を抽出する。次いで、ここに得られた抽出
液に硫安を加え、硫安30〜80%飽和で沈殿する部分
を採取する。この沈殿を少量(5ml)の0.01Mリン酸緩衝
液(pH7.0)に溶解する。この溶液を同緩衝液1で
24時間透析する。透析液を同緩衝液で平衡化したDE
AE−セファデックス(250ml、口径2.5cm)に通塔
する。この操作でNAリアーゼはDEAE−セファデッ
クスに吸着される。さらに同緩衝液で不純蛋白質を洗い
流す。次に0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)から1.0M食
塩を同緩衝液までの食塩の濃度匂配液で溶出を行う。溶
出してくる活性画分をあわせ、これに硫安を加えて硫安
90%飽和で沈殿する部分を遠心分離(12,000×g,2
0分)で集め、0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)5mlに
溶解する。この溶液を同緩衝液1で24時間透析す
る。透析液を凍結乾燥し、NAリアーゼの粉末精製酵素
標品20mg(比活性 3.0単位/mg)を得る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エシェリヒア属に属する微生物由来のN−
    アセチルノイラミン酸リアーゼ産生遺伝情報を担うDN
    Aを制限酵素HindIIIで切断して得た染色体DNA
    断片を組み込んだベクターを導入したエシェリヒア属に
    属する微生物で、かつN−アセチルノイラミン酸非存在
    下においてN−アセチルノイラミン酸リアーゼを生産す
    る能力を有する微生物を栄養培地に培養し、培養物中に
    N−アセチルノイラミン酸リアーゼを蓄積させ、これを
    採取することを特徴とするN−アセチルノイラミン酸リ
    アーゼの製法。
JP59122818A 1984-06-14 1984-06-14 N−アセチルノイラミン酸リア−ゼの製法 Expired - Lifetime JPH062061B2 (ja)

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