JP2645702B2 - アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼの製造法 - Google Patents

アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼの製造法

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JP2645702B2 JP20278096A JP20278096A JP2645702B2 JP 2645702 B2 JP2645702 B2 JP 2645702B2 JP 20278096 A JP20278096 A JP 20278096A JP 20278096 A JP20278096 A JP 20278096A JP 2645702 B2 JP2645702 B2 JP 2645702B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エシェリヒア属に属す
るアシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ
(Acylneuraminatecytidylyl
transferase)生産菌由来のアシルノイラミ
ネートシチジリルトランスフェラーゼ遺伝子を含む染色
体DNA(以下、染色体DNAと略称する)断片を組込
んでなる新しい組換え体プラスミド、該プラスミドを導
入して形質転換した微生物、及び該微生物を用いてアシ
ルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼを製造
する方法に関する。
【0002】アシルノイラミネートシチジリルトランス
フェラーゼ[EC2.7.7.43]はシチジントリホ
スフェートとシアル酸からシチジンモノホスホシアル酸
を合成する酵素であり、シチジンモノホスホシアル酸、
なかんずくシチジンモノホスホN−アセチルノイラミン
酸は、中枢神経及び末梢神経系における神経刺激の障
害、及び癌等の治療に有用である。
【0003】
【従来の技術】アシルノイラミネートシチジリルトラン
スフェラーゼは、ウシ、ブタの顎下腺、その他の動物組
織、あるいは髄膜炎菌(Neisseria meni
ngitidis)、大腸菌(Escherichia
coli)等の微生物の一部に存在することが知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アシルノイラミネート
シチジリルトランスフェラーゼを動物組織から調製する
にあたっては、該酵素の失活を免れるために、屠殺後速
やかに該組織を摘出し、酵素を抽出する必要があるこ
と、また、原料の動物組織を確保しなければならないと
いう規模的な難点があり、大量調製が難しい。
【0005】他方、前記の微生物から調製する場合は微
生物の大量培養は可能であるが、微生物菌体中のアシル
ノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ含量は極
めて低いものであり、該菌体中にシチジントリホスフェ
ート分解酵素が含まれているため、シチジンモノホスホ
シアル酸の合成に使用するに際しては、その収量を上げ
るためにはアシルノイラミネートシチジリルトランスフ
ェラーゼをイオン交換クロマトグラフィー等で高度に精
製して該分解酵素を除去した後、使用する必要がある等
の難点を有している。
【0006】このような煩雑な精製操作をしなくても、
アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ生
産能が高い微生物によるアシルノイラミネートシチジリ
ルトランスフェラーゼの製造法、即ちシチジンモノホス
ホシアル酸合成収率の高い該酵素の製造法の開発が望ま
れている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる欠
点を解決するために種々検討した結果、本発明を完成す
るに至った。即ち本発明は、エシェリヒア属に属するア
シルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ生産
菌由来のアシルノイラミネートシチジリルトランスフェ
ラーゼ遺伝子を含む染色体DNA断片を組込んでなる組
換え体プラスミドを導入したエシェリヒア属に属する微
生物を、栄養培地に培養し、培養物中にアシルノイラミ
ネートシチジリルトランスフェラーゼを蓄積させる、ア
シルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼの製
造法を提供するものである。
【0008】以下、本発明を詳述する。エシェリヒア属
に属するアシルノイラミネートシチジリルトランスフェ
ラーゼ生産菌、例えばアシルノイラミネートシチジリル
トランスフェラーゼ活性を有する大腸菌等から染色体D
NAを単離する方法は常法に従って、例えばBioch
imica et Biophysica Acta
Vol.72,pp619−629(1963)記載の
フェノール法により行うことができる。
【0009】染色体DNAのプラスミドへの組込みは常
法に従って、例えば染色体DNA及びプラスミドを制限
酵素でそれぞれ切断してDNA断片を調製した後、両D
NA断片を混合し、DNAリガーゼで処理することによ
って行うことができる。
【0010】ここでベクターDNAとして用いられるプ
ラスミドとしては、適当な選択マーカーを有し、多コピ
ーのものが好適で、例えば、pBR322,pUC1
8,ラムダファージ等が挙げられる。
【0011】また、制限酵素としては、例えばBamH
I,EcoRI,HindIII,PstI,SalI
等が例示されるが、HindIIIが好適に用いられ
る。
【0012】また、DNAリガーゼとしては例えばT4
ファージ由来のT4−DNAリガーゼが好適に用いられ
る。
【0013】次いで、上記方法で得られた組換え体プラ
スミドは常法、例えばMolecular Cloni
ng,A Laboratory Manual,Co
ldSpring Harbor Laborator
y pp250−253(1982)に記載の塩化カル
シウム処理法や塩化カルシウム−塩化ルビジウム処理法
等により、宿主菌細胞となるエシェリヒア属に属する微
生物菌体内、例えば大腸菌内に導入する。
【0014】所望の組換え体プラスミド(即ち、アシル
ノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼの遺伝情
報を担う染色体DNA断片を組込んだプラスミド)を含
有する菌株は、菌体をトルエン処理し、その懸濁液を酵
素試料として常法、例えばMethods in En
zymology Vol.8,pp208−210
(1966)に記載の方法でアッセイすることにより、
選択し、取得することができる。
【0015】かくして得られた組換え体プラスミドを含
有する微生物としては、例えばエシェリヒア・コリKJ
537(微工研菌寄第9682号)が挙げられる。
【0016】上記の如くして取得した本発明の微生物
は、培養すれば培養物中に著量のアシルノイラミネート
シチジリルトランスフェラーゼを蓄積する。
【0017】本発明の微生物の培養に用いられる培地と
しては、炭素源、窒素源、無機塩等を含む天然培地また
は合成培地のいずれも使用できる。炭素源としては、例
えばグルコース、フラクトース、シュークロース等、ま
た窒素源としては、例えば塩化アンモニウム、硝酸アン
モニウム、硫酸アンモニウム等の無機態窒素の他、酵母
エキス、ペプトン、肉エキス等の有機態窒素を使用でき
る。また、無機塩としては、例えば塩化マグネシウム、
塩化マンガン等の添加が効果的である。用いる炭素源の
濃度は0.05−5WT%、好適には0.5WT%、窒
素源の濃度は0.05−5WT%、好適には0.5WT
%、また、無機塩は0.005WT%程度添加するのが
好ましい。
【0018】培養は振とう培養、あるいは通気攪拌培養
等の好気的条件下に行われ、培養温度は20−42℃、
好適には37℃、また、培養pHは6−8、好適には7
が好ましく、培養時間は通常12−48時間で完了す
る。
【0019】次に、上記培養液から遠心分離等での方法
で培養した菌体を集め、更に、この菌体からアシルノイ
ラミネートシチジリルトランスフェラーゼを抽出する場
合は、超音波処理、フレンチプレス処理、凍結融解処理
等よって細胞を破砕し、該酵素を抽出する。更に、この
菌体破砕抽出液から、アシルノイラミネートシチジリル
トランスフェラーゼを精製する場合は硫安塩析法、イオ
ン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過法等の常法によ
り、精製酵素を得ることができる。
【0020】シチジンモノホスホN−アセチルノイラミ
ン酸等のシチジンモノホスホシアル酸の製造に際して
は、遠心分離等の方法で集めた上記の培養菌体を各種界
面活性剤等で処理し、その処理菌体を直接使用すること
によっても、また上記の菌体破砕抽出液を何ら処理する
ことなく使用することによっても、シチジントリホスフ
ェートとシアル酸から高効率で生産することができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0022】実施例1 (1)染色体DNAの調製 アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ活
性を有する大腸菌、エシェリヒア・コリATCC130
27をLB−培地(トリプトン10g/L,酵母エキス
5g/L,塩化ナトリウム10g/L,pH7)200
ml中、37℃で16時間振とう培養した後、遠心分離
により菌体を分離した。かくして得られた1.2gの菌
体(湿重量)より、フェノール法[Biochimic
a etBiophysica Acta Vol.7
2,pp619−629(1963)]で染色体DNA
を抽出し、約1.6mgの染色体DNAを得た。
【0023】(2)染色体DNA断片を組込んだ組換え
体プラスミドの調製 (1)で得られた染色体DNA2μgに、制限酵素Hi
ndIIIを37℃で2時間反応させて断片化し、フェ
ノール処理、次いでエーテル処理し、染色体DNA断片
溶液を得た。別にベクターとして使用するプラスミドp
UC18 1μgをHindIIIで37℃、2時間処
理し、更に、Ullrichらの方法[Science
Vol.196,pp1313−1319(197
7)]でアルカリホスファターゼ処理した後、フェノー
ル処理、次いでエーテル処理してHindIII切断p
UC18溶液を得た。かくして得たプラスミドpUC1
8断片溶液と前記の染色体DNA断片溶液を混合し、T
4−DNAリガーゼで10℃、16時間処理し、組換え
体プラスミドを調製した。
【0024】(3)組換え体プラスミドによる大腸菌の
形質転換 アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ活
性を有しない大腸菌、エシェリヒア・コリJM109を
LB−培地20mlで37℃、3時間振とう培養して得
た菌体を30mM塩化カルシウム溶液10mlに懸濁
し、0℃、1時間保持した。次いで、遠心分離により菌
体を分離し、2mlの30mM塩化カルシウム溶液に再
懸濁した。この菌体の懸濁液0.2mlに(2)で調製
した組換え体プラスミド溶液を加え、0℃で1時間保持
した後、42℃で90秒間熱処理して該プラスミドを該
菌体の細胞内に取り込ませ形質転換させた。次に、この
形質転換させた菌体の懸濁液に1mlのLB−培地を加
えて37℃、1時間放置した後、アンピシリン50mg
/L、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−
チオガラクトピラノシド30mg/Lを添加したLB−
培地の寒天平板に塗布し、37℃で18時間培養した。
【0025】(4)アシルノイラミネートシチジリルト
ランスフェラーゼ生産能を有する形質転換体の分離 (3)の寒天平板上に生じた白色コロニーを、2mlの
LB−培地で37℃、16時間振とう培養した後、遠心
分離で菌体を分離した。この得られた菌体を0.5ml
の蒸留水と5μlのトルエンを添加して懸濁し、この懸
濁液0.35mlを用いてMethods in En
zymology Vol.8,pp208−210
(1966)に記載の方法により、アシルノイラミネー
トシチジリルトランスフェラーゼ活性の有無を判定し
た。かくして、アシルノイラミネートシチジリルトラン
スフェラーゼ生産能を有する形質転換体エシェリヒア・
コリKJ537(微工研菌寄第9682号)を取得し
た。この形質転換体KJ537が保有する組換え体プラ
スミドpKJC7のアガロースゲル電気泳動法により作
製した制限酵素切断地図は図1に示すとおりであり、該
プラスミドには染色体DNA断片が1個組込まれてい
た。
【0026】実施例2 実施例1で得られた形質転換体KJ537から実施例1
と同様にしてフェノール法によって組換え体プラスミド
pKJC7を抽出し、更に実施例1と同様にしてHin
dIII処理、次いでT4−DNAリガーゼ処理し、新
たなる組換え体プラスミドを得た。この新たなる組換え
体プラスミドでエシェリヒア・コリJM109を実施例
1と同様にして形質転換することによって形質転換体エ
シェリヒア・コリKJ404(微工研菌寄第9681
号)を取得した。この形質転換体KJ404が保有する
組換え体プラスミドpKJC77Rの実施例1と同様な
方法により作製した制限酵素切断地図は図2に示すとお
りであり、該プラスミドには染色体DNA断片が2個組
込まれていた。
【0027】比較例1、2及び実施例3、4 表1記載の菌株、即ちエシェリヒア・コリATCC13
027(従来技術としてのアシルノイラミネートシチジ
リルトランスフェラーゼ活性を有する菌株)を比較例
1、エシェリヒア・コリJM109(アシルノイラミネ
ートシチジリルトランスフェラーゼ活性を有さず、本発
明の組換え体プラスミドの宿主として用いた菌株)を比
較例2、エシェリヒア・コリKJ537(実施例1で得
られた本発明の形質転換体)を実施例3、エシェリヒア
・コリKJ404(実施例2で得られた本発明の形質転
換体)を実施例4とし、それぞれ1.6LのLB−培地
に接種し、37℃で16時間振とう培養した。培養終了
後、それぞれ遠心分離にて菌体を分離し、40mlの5
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH8)に再懸濁し、フレ
ンチプレスにかけた。次いでこれをそれぞれ遠心分離に
かけて菌体抽出液を分離し、同緩衝液を加えて全量を5
0mlに調製した。この調製した抽出液10μlを用い
てMethods in Enzymology Vo
l.8,pp208−210(1966)に記載の方法
により、アシルノイラミネートシチジリルトランスフェ
ラーゼ活性(1時間に1μmoleのシチジンモノホス
ホN−アセチルノイラミン酸を生成する酵素活性を1単
位とする。以下、酵素活性単位と略す)をそれぞれ測定
した。前記1.6LのLB−培地の単位培養液当たりに
換算した結果をまとめて表1に示す。これらの結果から
明らかなように、本発明の菌株は単位培養液当たりのア
シルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ活性
が従来の菌株(ATCC13027)の6.5倍(KJ
537)から20倍(KJ404)に達し、酵素生産を
効率的なものとした。
【0028】
【表1】 ──────────────────────────────────── 菌株 アシルノイラミネートシチシ゛リルトランスフェラーセ゛活性 (単位/ml−培養液) ──────────────────────────────────── 比較例1 エシェリヒア・コリ ATCC13027 0.438 比較例2 エシェリヒア・コリ JM109 0.000 実施例3 エシェリヒア・コリ KJ537 2.843 実施例4 エシェリヒア・コリ KJ404 8.738 ────────────────────────────────────
【0029】実施例5 実施例2で得られたエシェリヒア・コリKJ404を
1.6LのLB−培地に接種し、37℃で16時間振と
う培養した。この培養液より遠心分離にて菌体を分離
し、40mlの50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8)
に懸濁した後、フレンチプレス処理し、次いでこれを遠
心分離にかけて菌体抽出液を分離し、得られた菌体抽出
液を同緩衝液を加えて50mlに調製した。次いで、こ
の調製した抽出液に硫安を加え、硫安50%飽和で沈殿
する画分を採取した。この画分を10mMの塩化マグネ
シウムを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
5)50mlに溶解し、同緩衝液5Lで24時間透析し
た。透析液を10mM塩化マグネシウムを含む1mMリ
ン酸緩衝液(pH7.6)で平衡化したヒドロキシルア
パタイト(40ml,口径3cm)に通塔し、10mM
塩化マグネシウムを含む1mMリン酸緩衝液(pH7.
6)と10mMの塩化マグネシウムを含む150mMリ
ン酸緩衝液(pH7.6)の濃度勾配液で溶出を行っ
た。この溶出液の活性画分(40ml)を集め、10m
M塩化マグネシウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液
(pH7.5)5Lで24時間透析した。次に、この透
析液を10mM塩化マグネシウムを含む10mMトリス
−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したイオン交換樹
脂カラム(50ml,口径1.5cm、商品名DEAE
−トヨパール、東ソー(株)製)に通塔し、10mM塩
化マグネシウムを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(p
H7.5)と0.5M塩化カリウムを含む同液の濃度勾
配液で溶出を行った。この溶出液の活性画分を集め、1
0mM塩化マグネシウムを含む10mMトリス−塩酸緩
衝液(pH7.5)5Lで24時間透析した。透析液を
凍結乾燥し、比活性36単位/mgのアシルノイラミネ
ートシチジリルトランスフェラーゼ粉末標品60mgを
得た。
【0030】参考例1 以下に、本発明の形質転換微生物から調製したアシルノ
イラミネートシチジリルトランスフェラーゼを使用した
シチジンモノホスホN−アセチルノイラミン酸の製造例
を述べる。実施例2で得られたエシェリヒア・コリKJ
404を1.6LのLB−培地に接種し、37℃で16
時間振とう培養した。培養終了後、遠心分離にて菌体を
分離し、40mlの50mMトリス−塩酸緩衝液(pH
8)に再懸濁し、フレンチプレスにかけた。これを遠心
分離にかけて菌体抽出液を分離し、得られた菌体抽出液
に上記と同じ緩衝液を加えて50mlに調製した。この
調製した菌体抽出液を実施例3と同様にして、アシルノ
イラミネートシチジリルトランスフェラーゼ活性を測定
した結果、280単位/mlであった。この50mlに
調製した菌体抽出液の内18ml(約5000単位)、
N−アセチルノイラミン酸1mmole、シチジントリ
ホスフェート1mmole、1Mトリス−塩酸緩衝液
(pH9)400ml及び1M塩化マグネシウム40m
lを混合し、水を加えて全量を2000mlとした。3
7℃で4時間反応後、イオン交換樹脂(炭酸型,600
ml,商品名ダウエックス1,ダウケミカル(株)製)
に通塔し、水洗後、0〜1M炭酸水素トリエチルアンモ
ニウムで連続的濃度勾配溶出を行った。シチジンモノホ
スホN−アセチルノイラミン酸を含む画分を減圧濃縮
し、濃縮液に5倍量のエタノールを加えて沈殿を採取し
た。真空乾燥により、HPLC純度93%のシチジンモ
ノホスホN−アセチルノイラミン酸アンモニウム塩の白
色粉末4.672gを得た。収率は72%であった。
【0031】比較参考例1 以下に、エシェリヒア・コリATCC13027から調
製したアシルノイラミネートシチジリルトランスフェラ
ーゼを使用したシチジンモノホスホN−アセチルノイラ
ミン酸の製造例を述べる。エシェリヒア・コリATCC
13027を12.8LのLB−培地に接種し、37℃
で16時間振とう培養した。培養終了後、遠心分離にて
菌体を集め、320mlの50mMトリス−塩酸緩衝液
(pH8)に再懸濁し、フレンチプレスにかけた。これ
を遠心分離にかけて菌体抽出液を分離し、得られた菌体
抽出液を同緩衝液を加えて400mlに調製した。この
調製した菌体抽出液のアシルノイラミネートシチジリル
トランスフェラーゼ活性は実施例3と同様にして測定し
た結果、14単位/mlであった。次に、この調製した
菌体抽出液360ml(約5000単位)、N−アセチ
ルノイラミン酸1mmole、シチジントリホスフェー
ト1mmole、1Mトリス−塩酸緩衝液(pH9)4
00ml、1M塩化マグネシウム40mlを混合し、水
を加えて全量を2000mlとした。37℃で4時間反
応させ、以下参考例1と同様に処理することにより、H
PLC純度68%のシチジンモノホスホN−アセチルノ
イラミン酸アンモニウム塩の白色粉末1.431gを得
た。収率は22%であった。本白色粉末には原料のシチ
ジントリホスフェートの分解産物であるシチジンモノホ
スフェートがなお多量に混在するため、再精製のため
に、本粉末を10mlの10mMトリス−塩酸緩衝液
(pH7.5)に溶解し、再度ダウエックス1に通塔
し、炭酸水素トリエチルアンモニウムの濃度勾配液で溶
出した。シチジンモノホスホN−アセチルノイラミン酸
画分をエタノール沈殿、次いで真空乾燥し、HPLC純
度88%のシチジンモノホスホN−アセチルノイラミン
酸アンモニウム塩0.655gを得た。最終的な収率は
10%であった。
【0032】
【発明の効果】エシェリヒア属に属するアシルノイラミ
ネートシチジリルトランスフェラーゼ生産菌由来のアシ
ルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ遺伝子
を含む染色体DNA断片を組込んだ組換え体プラスミド
を作成し、この組換え体プラスミドでエシェリヒア属に
属する微生物を形質転換することにより、アシルノイラ
ミネートシチジリルトランスフェラーゼ活性が従来の該
活性を有する微生物よりも強い新規な微生物が得られ
る。この形質転換した微生物を栄養培地に培養すること
によって培養物中に著量のアシルノイラミネートシチジ
リルトランスフェラーゼを蓄積させることができる。即
ち、アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラー
ゼの生産性を向上せしめることができる。また、シチジ
ンモノホスホN−アセチルノイラミン酸等のシチジンモ
ノホスホシアル酸の製造に際し、該微生物中のアシルノ
イラミネートシチジリルトランスフェラーゼ含量が多い
ため、即ちアシルノイラミネートシチジリルトランスフ
ェラーゼ活性が強いため従来のように微生物中の該酵素
を精製しなくても、本発明の微生物を界面活性剤処理等
をしただけで、若しくは該酵素を上記微生物より破砕抽
出しただけで、精製しないで使用してもシチジンモノホ
スホシアル酸を高収率に生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組換え体プラスミドpKJC7のアガ
ロースゲル電気泳動解析による制限酵素切断地図であ
る。
【図2】本発明の組換え体プラスミドpKJC77Rの
アガロースゲル電気泳動解析による制限酵素切断地図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エシェリヒア属に属するアシルノイラミ
    ネートシチジリルトランスフェラーゼ生産菌由来のアシ
    ルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ遺伝子
    を含む染色体DNA断片を組込んでなる組換え体プラス
    ミドを導入したエシェリヒア属に属する微生物を、栄養
    培地に培養し、培養物中にアシルノイラミネートシチジ
    リルトランスフェラーゼを蓄積させることを特徴とする
    アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼの
    製造法。
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