JPH0620345Y2 - 移植機の紙筒苗分離装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、紙筒に培土を詰めて育苗した苗を本圃に移植
する移植機に関し、特に列状に糊着された紙筒苗を一個
一個に分離して、苗選別機構などに供給することを目的
とするものである。

【従来の技術】

列状の紙筒苗を分離する従来の技術としては、特開昭５
７−２０２２１２号に示されるように、紙筒苗を搬送す
るベルトコンベアの搬送終端上方に苗押さえのスポンジ
ローラーを配し、ベルトコンベアの搬送終端前方に対向
して周速の速い分離ローラーあるいは分離ベルトを張設
して紙筒苗を分離し、紙筒苗を下方の植付機構に移送す
るものである。 また、実開昭５９−１６１９１１号には、同様の分離機
構により、分離ローラーで分離した紙筒苗を自然落下さ
せて苗選別装置に受け渡すものが示されている。 また、特開昭５７−１５２８２７号には、紙筒苗を搬送
する紐ベルトの上下に一対の分離スポンジローラーを設
け、分離スポンジローラーの周速を紐ベルトの搬送速度
より大とし、分離した紙筒苗を紐ベルトによりそのまま
水平方向に搬送し苗選別機構に受け渡すものが示されて
いる。

【考案が解決しようとする問題点】

近年、分離した紙筒苗の欠株を除去するための技術が種
々提案されているが、これらの欠株を除去する苗選別機
構では苗の葉部を上下一対のベルトで挾んで選別するた
め、苗選別機構に受け渡された苗の長手方向の位置が変
動していると正確に選別することができない。 そして、前記従来の技術の紙筒苗を自然落下させて苗選
別装置に受け渡すものでは、苗選別機構のベルト上で跳
ね上がって苗の長手方向の位置が変動し、正確に欠株苗
を選別できないことがある。 そのため、前記した分離した紙筒苗を自然落下させず紐
ベルトによりそのまま水平方向に搬送し苗選別機構に受
け渡すものが提案されているのである。しかし、紙筒苗
を搬送する紐ベルトの上下に一対の分離スポンジローラ
ーを設け、分離スポンジローラーの周速を紐ベルトの搬
送速度より大としたため、紙筒相互の結合力が強い場合
には、分離される前の列状の紙筒苗が保持されていない
ことにより、周速の大な一対の分離スポンジローラーに
より挾んで引っ張ると２，３本の苗が固まって分離され
ることがある。そして、その固まりの苗の中に良苗と欠
株苗が混在していると、もはや正確に選別することはで
きないことになる。 また、紐ベルトの上方にスポンジローラーと分離ローラ
ーを並べ、スポンジローラーは紐ベルトの搬送速度と同
じ周速の苗保持とし、分離ローラーは紐ベルトの搬送速
度より速い周速として分離することも考えられる。しか
し、分離された苗は上方の周速の速い分離ローラーによ
り搬送方向に転がるように付勢され、無用に転がって搬
送姿勢が乱れてしまう。 そこで本考案は、前記欠点を除き、紙筒苗を確実に一個
一個に分離し、分離した紙筒苗を自然落下させずに水平
方向の紐ベルト上に移送し、その搬送姿勢に乱れがなく
苗選別装置に供給して正確に欠株苗を選別し、かつ構成
要素を可能なかぎり少なくすることを目的とする。

【問題点を解決するための手段】

上記目的を達成するための本考案の構成を、実施例に対
応する第１〜２図を用いて説明する。 本考案の移植機の紙筒苗分離装置は、列状紙筒苗１４を
搬送するコンベアベルト９の搬送終端部のプーリー６の
前方上方にスポンジローラー１２を設け、スポンジロー
ラー１２の周速はコンベアベルト９の搬送速度とほぼ同
じとし、プーリー６に巻かれたコンベアベルト９とスポ
ンジローラー１２とで紙筒苗を押圧するように設けて、
列状紙筒苗１４を保持し繰り出す。 そして、前記プーリー６の前方下方でスポンジローラー
１２の下方に軸４を設け、分離ローラー１３を軸４に固
定してはめ込み、分離ローラー１３とスポンジローラー
１２とで紙筒苗を押圧するように設け、分離ローラー１
３の周速はスポンジローラー１２の周速より大として、
列状紙筒苗１４を一個一個の紙筒苗に分離する。 そして、分離ローラー１３をはめ込んだ軸４に回動自在
にプーリー７をはめ込み、プーリー７に紐ベルト１０を
ほぼ水平方向に掛け渡し、紐ベルト１０のプーリー７に
巻かれた直径を分離ローラー１３の直径より小さくし、
紐ベルト１０の搬送速度はコンベアベルト９より大と
し、かつ分離ローラー１３の周速は紐ベルト１０の搬送
速度より大として、苗選別機構などに分離済紙筒苗１５
を供給する。

【作用】

本考案では、列状紙筒苗１４をプーリー６に巻かれたコ
ンベアベルト９とスポンジローラー１２とで押圧するよ
うに設けたから、列状紙筒苗１４はコンベアベルト９と
スポンジローラー１２とにより挾まれて繰り出される。 また、プーリー６の前方下方でスポンジローラー１２の
下方に分離ローラー１３を設け、分離ローラー１３とス
ポンジローラー１２とで紙筒苗を押圧するように設け、
分離ローラー１３の周速はスポンジローラー１２の周速
より大としたから、コンベアベルト９とスポンジローラ
ー１２とにより挾まれて繰り出された紙筒苗は続いて分
離ローラー１３とスポンジローラー１２とにより挾ま
れ、スポンジローラー１２上を転動し移送されて分離さ
れる。そして、スポンジローラー１２は苗保持と苗分離
の機能を兼用することになる。 また、分離ローラー１３と同じ軸４から紐ベルト１０を
ほぼ水平方向に掛け渡し、紐ベルト１０の巻かれた直径
を分離ローラー１３の直径より小さくしたから、分離ロ
ーラー１３の分離中は紐ベルト１０は紙筒苗に接しない
し、分離後に分離した紙筒苗を落下させずに受り取り水
平方向に移送する。 また、分離ローラー１３の周速は紐ベルト１０の搬送速
度より大、つまり紐ベルト１０の方を遅くしたから、下
方の分離ローラー１３により転動回転させられた分離済
紙筒苗１５が遅い紐ベルト１０上に移送されて接触する
ことにより、その回転方向に反する制止力が加えられ
る。

【実施例】

機枠１より回動する軸２，３，４，５を突き出して設け
る。 軸２にはプーリー６をはめ込み、プーリー６に列状紙筒
苗１４を搬送するコンベアベルト９を掛け渡す。コンベ
アベルト９のプーリー６の部分はコンベアベルト９の搬
送終端部とし、コンベアベルト９は始端部が終端部より
やや高くなるように斜めに設ける。 苗の搬送方向に対してプーリー６の前方上方に軸３を設
け、軸３にスポンジローラー１２をはめ込む。スポンジ
ローラー１２は文字どおりスポンジの円筒で表面にゴム
状皮膜を塗布して耐久性を増すようにしている。 そして、プーリー６に巻かれたコンベアベルト９とスポ
ンジローラー１２とで紙筒苗を押圧して列状紙筒苗１４
にわずかに変形を加える程度、つまりその間隔を紙筒の
直径より狭くし、スポンジローラー１２の周速はコンベ
アベルト９の搬送速度とほぼ同じ移送速度となるように
する。 プーリー６の前方下方でスポンジローラー１２の下方に
軸４を設け、軸４にはプーリー７と分離ローラー１３を
交互にはめ込む。プーリー７と分離ローラー１３の前方
に軸５を設け、軸５にはプーリー８をはめ込む。 分離ローラー１３とプーリー６に巻かれたコンベアベル
ト９は接触しない程度にできるかぎり接近させ、分離ロ
ーラー１３とスポンジローラー１２は紙筒苗を押圧する
ように設ける。分離ローラー１３は軸４に固定し、表面
に軸４方向に平行な突条１３ａを一定の間隔に設け、紙
筒苗の分離・移送が容易なようにする。分離ローラー１
３はゴム製で金型成形され、ゴム硬度は特に軟らかい必
要はない。 プーリー７は軸４に回動自在にはめ込まれ、プーリー７
と軸５にはめ込まれたプーリー８との間に紐ベルト１０
を掛け渡し、紐ベルト１０のプーリー７に巻かれた直径
を分離ローラー１３の直径より小さくする。紐ベルト１
０の上面を分離済紙筒苗１５の搬送面とし、その搬送速
度はコンベアベルト９より大とするが、通常は２〜３倍
程度速くする。 また、分離ローラー１３の周速は紐ベルト１０の搬送速
度およびスポンジローラー１２の周速より大とし、通常
は紐ベルト１０の搬送速度の２倍程度速くする。 なお、軸５にはめ込まれたプーリー８に巻かれた紐ベル
ト１１は、次段の苗選別機構などへ分離済紙筒苗１５を
移送するベルトである。 次に作動を説明する。 コンベアベルト９上に供給された列状紙筒苗１４は、プ
ーリー６に巻かれたコンベアベルト９とスポンジローラ
ー１２とで押圧され、コンベアベルト９とスポンジロー
ラー１２とにより挾まれて繰り出される。このとき、列
状紙筒苗１４はプーリー６に押圧されることにより折り
曲げられて弱い糊着部は分離される。 続いて、列状紙筒苗１４はスポンジローラー１２に接し
たままで、コンベアベルト９に接近して設けた周速の大
な分離ローラー１３に挾まれ、スポンジローラー１２上
を転動し移送されて分離される。 このとき、分離される苗に後続する列状紙筒苗１４は、
コンベアベルト９とスポンジローラー１２とにより挾ま
れて保持されているので確実に一個一個に分離される。
また、分離された分離済紙筒苗１５は、下方の分離ロー
ラー１３により搬送方向への転がりを防ぐ方向に回転す
る。 続いて、分離済紙筒苗１５は紐ベルト１０に受け渡され
て移送され、苗選別され植付け部に供給されて本圃に移
植される。 このとき、紐ベルト１０は分離ローラー１３と同じ軸４
からほぼ水平方向に掛け渡されているから、分離済紙筒
苗１５を落下させずに受け取り水平方向に移送する。

【考案の効果】

本考案によれば、列状紙筒苗１４をプーリー６に巻かれ
たコンベアベルト９とスポンジローラー１２とで押圧し
挾んで繰り出すから、分離される苗に後続する列状紙筒
苗１４は挾まれて保持されているので、複数の苗が固ま
って分離されることなく、確実に一個一個に分離され
る。 また、分離ローラー１３とスポンジローラー１２とで紙
筒苗を押圧するように設け、分離ローラー１３の周速は
スポンジローラー１２の周速より大としたことにより、
紙筒苗は分離ローラー１３とスポンジローラー１２とに
より挾まれ、スポンジローラー１２上を転動しつつ移送
されて分離されるから、分離される紙筒苗は回転しなが
ら分離されることになり、単純に引き離されるより確実
に分離される。 また、スポンジローラー１２は上記の苗保持と苗分離の
２つの機能を兼用することになり、構成要素を少なくで
きる。 また、紐ベルト１０の巻かれた直径を分離ローラー１３
の直径より小さくし、分離ローラ１３の分離中は紐ベル
ト１０は紙筒苗に接しないから、紐ベルト１０が分離ロ
ーラー１３による分離を妨げることがない。 また、分離ローラー１３と同じ軸４から紐ベルト１０を
ほぼ水平方向に掛け渡し、分離済紙筒苗１５を落下させ
ずに受け取り水平方向に移送するから、ベルト上で跳ね
上がって苗の長手方向の位置が変動したりすることがな
いので、正確に欠株苗を選別できる。 また、下方の分離ローラー１３にとり紙筒苗を転動させ
て分離し、分離ローラー１３の周速より紐ベルト１０の
方を遅くしたことにより、回転させられた分離済紙筒苗
１５が遅い紐ベルト１０上に移送されて接触することに
より、その回転方向に反する制止力が加えられるから、
分離による回転で無用に転がることがなく搬送姿勢の乱
れがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る移植機の紙筒苗分離装置の平面
図、第２図は同側面図を示す。 ４……軸、６，７……プーリー、９……コンベアベル
ト、１０……紐ベルト、１２……スポンジローラー、１
３……分離ローラー、１４……列状紙筒苗。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】列状紙筒苗１４を搬送するコンベアベルト
   ９の搬送終端部のプーリー６の前方上方にスポンジロー
   ラー１２を設け、スポンジローラー１２の周速はコンベ
   アベルト９の搬送速度とほぼ同じとし、プーリー６に巻
   かれたコンベアベルト９とスポンジローラー１２とで紙
   筒苗を押圧するように設け、前記プーリー６の前方下方
   でスポンジローラー１２の下方に軸４を設け、分離ロー
   ラー１３を軸４に固定してはめ込み、分離ローラー１３
   とスポンジローラー１２とで紙筒苗を押圧するように設
   け、分離ローラー１３をはめ込んだ軸４に回動自在にプ
   ーリー７をはめ込み、プーリー７に紐ベルト１０をほぼ
   水平方向に掛け渡し、紐ベルト１０のプーリー７に巻か
   れた直径を分離ローラー１３の直径より小さくし、紐ベ
   ルト１０の搬送速度はコンベアベルト９より大とし、か
   つ分離ローラー１３の周速は紐ベルト１０の搬送速度お
   よびスポンジローラー１２の周速より大とした移植機の
   紙筒苗分離装置。