JPH0615772Y2 - クローラにおける軟弱土用の補助接地板構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、コンバイン、ハーベスタ等の無限軌道装置に
取付けられるクローラにおける軟弱土用の補助接地板構
造に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする課題］ 一般に、この種クローラにおいては、クローラ外周面の
接地面積が湿田等軟弱土での走行性を左右することにな
る。そこで、軟弱土での走行性を確保するため、補助接
地板をクローラ接地部外側縁よりも外側方に片持ち状に
延長させて接地面積を広く確保しようとすることが例え
ば実開昭５８−２２３８５号公報に示す如く従来から試
みられているが、補助接地板は片持ち状に突出するもの
であるため大きな接地反力が働いて、補助接地板自体
が、ときにはクローラ外側縁部と共に上方に折曲して有
効な接地面積の確保ができないことになり、これは特に
クローラが、接地外周面に幅方向長さの異なる長短ラグ
を前後に所定間隔を存して突設して形成したものである
場合、短ラグ外方のクローラ接地部はラグによる折曲防
止作用が期待できないため、補助接地板はクローラと共
に大きく折曲してしまい、この結果、補助接地板を取付
けた効果もあまり期待できず、軟弱土での走行性アツプ
は僅かなものに留まつているのが実情であつた。

［課題を解決する手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの欠点を一掃
することができるクローラにおける軟弱土用の補助接地
板構造を提供することを目的として創案されたものであ
つて、接地外周面に、クローラ幅方向の長さが長短異な
るラグを前後に所定間隔を存して交互に突設して成るク
ローラに、該クローラ接地部外側縁よりも外側方に接地
部を延長させるための補助接地板を取付けて軟弱土用の
クローラとするに、該補助接地板を、クローラの内側縁
に掛け渡すため前記長短ラグの谷間を通る幅狭部と、ク
ローラ外側縁よりも外方に突出する幅広部とを有し、か
つ該幅広部の内部側は、短ラグ外方のクローラ接地部と
オーバーラツプするよう上記隣接する長ラグ同志の谷間
に嵌合させて構成したことを特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、補助接地板を設け
たとしても、短ラグ外方のクローラ接地部の折曲を確実
に防止して、優れた軟弱土走行性を確保できるようにし
たものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図
面において、１はコンバインの走行機体であつて、該走
行機体１の左右にはクローラ２を装備した無限軌道装置
３が取付けられている。このクローラ２は左右幅方向中
央部に駆動輪４の爪が係合する係合孔２ａが穿設される
と共に転輪３ａの転動位置に対応して芯金２ｂが埋設さ
れているが、さらにクローラ２の外周面には、左右幅方
向に長さの異なつた長短ラグ２ｃ、２ｄが交互に所定間
隔を存して突設されている。

５は軟弱土走行を補助するための補助接地板であつて、
該補助接地板５は、前記隣接する長短ラグ２ｃ、２ｄの
狭い谷間に挟まれるようにして嵌合し、クローラ２の内
側縁にまで掛け渡され、ここに係止するためのフツク部
５ｃが形成された幅狭部５ａと、内側部が短ラグ２ｄの
外側にあるクローラ接地部にオーバーラツプするよう隣
接する長ラグ２ｃ、２ｃの広い谷間に挟まれるようにし
て嵌合し、外側部はクローラ２の外側縁よりも外側方に
突出する広幅部５ｂとを有して略斧形状に形成されてい
る。そしてこの補助接地板５は、幅狭部５ａを、フツク
部５ｃがクローラ内側縁に係止するよう長短ラグ２ｃ、
２ｄの谷間に当てがい嵌合した状態で、さらに中間のス
ペーサ６、クローラ内側面に当てがわれる止め板７を用
いて積層状に組付け、そしてボルトーナツトで構成され
る緊締具８を用いて緊着固定することによつてクローラ
２に着脱自在に組付けられる構成になっている。

叙述のごとく構成された本考案の実施例において、圃場
が軟弱泥土であつて、装着されているクローラ２では沈
み込んでしまう惧れが有る場合に、補助接地板５をクロ
ーラ２に取付ければ良い。

つまり補助接地板５ハ、クローラ２の外周縁から外方に
突出して接地面積を拡大しようとするものであるが、こ
の場合に、補助接地板５は、幅狭部５ａがクローラ２の
内側縁まで掛け渡されているため、クローラ２の幅方向
全長による幅広い支持と共に、芯金２ｂによる剛体的な
支持が成されて、補助接地板５の折曲防止作用が発揮さ
れる。しかも補助接地板幅広部５ｂの内部側は、クロー
ラ２の短ラグ外端部よりも外方の接地部にオーバーラツ
プしているため、長ラグ２ｃ、２ｃ間にあつて、芯金２
ｂによることは勿論のこと、ラグによる折曲防止作用も
期待できず、折曲しやすい接地部の補強が逆にできて、
接地反力を受けて補助接地板５ともども上方に折曲して
しまう不具合と確実に防止できる。この結果、クローラ
２と補助接地板５とが相互に補強しあうことになつて、
有効接地面積を広く確保できて、単位接地面積あたりの
接地圧が小さくなつて、軟弱土での走行性を確実に向上
させることができ、従来、不可能と思われる軟弱土走行
も可能と成り、作業性の向上が計れることになる。

しかもこのものは、接地面積の拡大作用を有する補助接
地板幅広部５ｂが、長ラグ２ｃ、２ｃ間に亘る幅広形状
になつているので、長短ラグ２ｃ、２ｄ間の幅狭な補助
接地板を設けた場合よりも接地面積が広く確保できて、
より優れた軟弱土走行性の向上を期待できることにな
る。そのうえこのものは、積層するスペーサ６、止め板
７が、接地する部位において、機体前進方向に対し後側
に位置するよう形成されているため、スペーサ６、止め
板７、補助接地板５の積層部が外方延長部でのラグ作用
を呈することになつて、走行反力を確実に受けスリツプ
防止に大いに寄与できることになり、一段と優れた軟弱
土走行性を発揮できることになる。

また前述したように幅広部５ｂは、３つのラグ間に亘る
幅広のものであるが、長ラグ２ｃ対応部においては間隙
を有する構造になつているから、補助接地板５の内側面
に付着した泥土は、特にクローラ２が駆動輪４やアイド
ラー輪を移動する際に前記間隙が広くなつてここから積
極的に落下することになり、泥土付着の不具合も効果的
に回避しているものである。

因に、本考案を実施するにあたり、補助接地板は、圃場
条件に応じて適当枚数を適宜な間隔を存した状態で取付
けることができるものである。

尚、本考案は前記実施例に限定されるものでないことは
勿論であり、第７図Ａ，Ｂに示すものでも実施できる。
つまり第７図Ａに示すものは幅狭部５ａを両側に形成し
てより優れた補強作用を発揮できると共に、スペーサ
６、止め板７による積層部を前後方向中央部に形成し
て、左右クローラ２に対して同一部材で組付けることが
できる様にしたものであり、また第７図Ｂに示すもの
は、スペーサおよび止め板を無くすべく、クローラ外端
から突出する部位を折り返し折曲して形成して部品点数
の減少と組付けの容易性を計らんとしたものである。

また本考案を実施するにあたり、補助接地板の材質は、
多少弾性を有する部材で形成することが好ましく、こう
することによつて過剰負荷が作用した場合の変形防止に
役立ち、長期使用が可能と成る利点が有る。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたものであ
るから、軟弱土走行性を向上させるべくクローラ外側縁
から補助接地板を突出取付けするものでありながら、こ
の補助接地板にとつては、幅狭部が長短ラグの谷間を通
つてクローラ内側縁に掛け渡されることになつて、中央
部に埋設される芯金を含めたクローラの幅方向全長に亘
る補強作用が働き、一方、クローラにとつては、芯金は
勿論のこと、ラグによる折曲防止作用さえも期待できな
い短ラグ外側方にある接地部の補強が、補助接地板の幅
広部を該部にオーバーラツプさせることによつて確保で
き、この結果、クローラと補助接地板とが相互に補強し
あうことになつて、接地反力によるクローラ接地部と補
助接地板の折曲を確実に防止できて、有効接地面積を広
く確保し得ることになり、もつて単位接地面積あたりの
接地圧が小さくなつて、軟弱土での走行性を大幅に向上
させることができ、従来不可能と思われる軟弱土走行も
可能と成り、作業性の著しい向上が計れることになる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係るクローラにおける軟弱土用の補助
接地板構造の実施例を示したものであつて、第１図はコ
ンバインの概略側面図、第２図はクローラの要部平面
図、第３図はクローラの断面図、第４図はクローラの要
部斜視図、第５図Ａ，Ｂは補助接地板の平面図、正面
図、第６図Ａ，Ｂはスペーサ、止め板の平面図、第７図
Ａ，Ｂは他例を示す補助接地板の斜視図である。 図中、２はクローラ、２ｃ、２ｄは長短ラグ、５は補助
接地板、５ａは幅狭部、５ｂは幅広部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】接地外周面に、クローラ幅方向の長さが長
   短異なるラグを前後に所定間隔を存して交互に突設して
   成るクローラに、該クローラ接地部外側縁よりも外側方
   に接地部を延長させるための補助接地板を取付けて軟弱
   土用のクローラとするに、該補助接地板を、クローラの
   内側縁に掛け渡すため前記長短ラグの谷間を通る幅狭部
   と、クローラ外側縁よりも外方に突出する幅広部とを有
   し、かつ該幅広部の内部側は、短ラグ外方のクローラ接
   地部とオーバーラツプするよう上記隣接する長ラグ同志
   の谷間に嵌合させて構成したことを特徴とするクローラ
   における軟弱土用の補助接地板構造。