JPH06150289A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH06150289A
JPH06150289A JP4302026A JP30202692A JPH06150289A JP H06150289 A JPH06150289 A JP H06150289A JP 4302026 A JP4302026 A JP 4302026A JP 30202692 A JP30202692 A JP 30202692A JP H06150289 A JPH06150289 A JP H06150289A
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film
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recording medium
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Ryuji Sugita
龍二 杉田
Kiyokazu Toma
清和 東間
Tatsuro Ishida
達朗 石田
Yasuaki Ban
泰明 伴
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は薄膜型磁気記録媒体及びその製造方
法に関するもので、高いS/Nを有する磁気テープを提
供することを目的とする。 【構成】 基板上に磁化容易軸が膜面の法線に対して傾
斜しており膜中の酸素濃度が表面近傍において最も高く
なっているCo基の第1の磁性層が形成され、その上に
磁化容易軸が膜面の法線に対して傾斜しており膜中の酸
素濃度が第1の磁性層近傍において最も高くなっている
Co基の第2の磁性層が形成されている磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高いS/Nの得られる磁
気記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録再生装置は年々高密度化してお
り、短波長記録再生特性の優れた磁気記録媒体が要望さ
れている。現在では基板上に磁性粉を塗布した塗布型磁
気記録媒体が主に使用されており、上記要望を満足すべ
く特性改善がなされているが、ほぼ限界に近づいてい
る。
【0003】この限界を越えるものとして薄膜型磁気記
録媒体が開発されている。薄膜型磁気記録媒体は真空蒸
着法、スパッタリング法、メッキ法等により作製され、
優れた短波長記録再生特性を有する。薄膜型磁気記録媒
体における磁性層としては、Co、Co−Ni、Co−
Ni−P、Co−O、Co−Ni−O、Co−Cr、C
o−Ni−Cr等が検討されている。磁気テープとして
実用化する際には、製造法として真空蒸着法が最も適し
ており、Co−Ni−Oを磁性層とした蒸着テープが既
にHi8方式VTR用テープとして実用化されている。
【0004】蒸着テープ製造方法の一例を、(図2)を
用いて以下に説明する。(図2)は蒸着テープを作製す
るための真空蒸着装置内部の構成の一例である。高分子
基板1は円筒状キャン2に沿って矢印6の向きに走行す
る。蒸発源8から蒸発した蒸発原子9が、高分子基板1
に付着することにより磁性層が形成される。蒸発源8と
しては電子ビーム蒸発源が適しており、この中に蒸発物
質7としてのCo基の合金を充填する。なお、蒸発源と
して電子ビーム蒸発源を用いるのは、Co等の高融点金
属を高い蒸発速度で蒸発させるためである。3A、3B
は不要な蒸発原子が基板に付着するのを防ぐために設け
てある遮蔽板である。従来の蒸着テープ製造の際には、
膜形成開始部における蒸発原子の基板への入射角は膜面
の法線に対して90゜が望ましいと考えられているので、
遮蔽板3Aは用いられていない。
【0005】10は蒸着時に真空槽内に酸素を導入する
ための酸素導入口である。現在市販されているHi8方
式VTR用蒸着テープは、以上の様な方法で製造されて
いる。4、5はそれぞれ基板1の供給ロールと巻き取り
ロールである。
【0006】このようにして作製されたCo−Oあるい
はCo−Ni−O磁性層は、磁化容易軸が膜面の法線に
対して傾斜している。すなわち、磁化容易軸が膜面内あ
るいは膜面の法線方向にあるのではなく、蒸発原子の基
板への入射方向を含む法面内において、法線に対して斜
めに傾斜した方向にある。市販のHi8方式VTR用蒸
着テープは、磁化容易軸がテープの長手方向を含む法面
内において、膜面の法線から約70゜傾斜している。ここ
でテープの長手方向とは、テープの長さ方向のことであ
り、(図2)のようにして製造する際には、高分子基板
の走行方向のことである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】今後、磁気記録再生装
置はますます小型大容量化の方向にある。これを実現す
るためには、線記録密度及びトラック密度の向上がなさ
れなければならない。従って、磁気テープにおいては高
S/N化、特に短波長領域における高S/N化を達成し
なければならない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記要望を実現
したものであって、基板上に磁化容易軸が膜面の法線に
対して傾斜しており膜中の酸素濃度が表面近傍において
最も高くなっているCo基の第1の磁性層が形成され、
その上に磁化容易軸が膜面の法線に対して傾斜しており
膜中の酸素濃度が第1の磁性層近傍において最も高くな
っているCo基の第2の磁性層が形成されていることを
特徴とする。
【0009】
【作用】磁気記録媒体を本発明の構成にすることによ
り、再生出力の向上及びノイズの低減を達成でき、高い
S/Nが得られる。
【0010】
【実施例】次に、本発明の磁気記録媒体について説明す
る。まず本発明の磁気記録媒体の製造方法の一例を(図
2)に基づいて説明する。
【0011】第1の磁性層を成膜する際には、高分子基
板1を円筒状キャン2の表面に沿って矢印6の向きに走
行させる。蒸発源8と円筒状キャン2との間には遮蔽板
3A、3Bが配置されている。この遮蔽板の開口部を通
って蒸発原子9は高分子基板1に付着する。蒸発物質7
としてCo、Co−Ni等のCo合金を蒸発源8に充填
する。酸素導入口10は膜形成終了部近傍に配置されて
おり、ここから蒸発原子9に向かって酸素を吹き出す。
θi、θfは、それぞれ磁性層の膜形成開始部及び膜形成
終了部における蒸発原子の高分子基板1への入射角であ
る。高い再生出力を得るためには、θi>θfとし、かつ
θfは40゜以上に設定しておく必要がある。
【0012】次に、第2の磁性層の成膜方法を説明す
る。第1の磁性層が形成されて巻き取りロール5に巻き
取られた高分子基板1を円筒状キャン2の周面に沿って
矢印6の逆向きに走行させ、供給ロール4に巻き戻す。
この際に、蒸発源の電源は切っておき、蒸発を停止させ
ておく。あるいは、遮蔽板3A、3Bの間の開口部をシ
ャッター(図示されていない)により閉じて、蒸発原子
が高分子基板に付着するのを防止する。次に、この高分
子基板1を矢印6の向きに走行させて、第2の磁性層を
形成する。この際に第1の磁性層形成時と同様に、θi
>θfとし、かつθ fを40゜以上にしておく必要がある。
蒸発物質7としてはCo合金を蒸発源8に充填してお
く。また、膜形成終了部近傍に配置された酸素導入口1
0から蒸発原子9に向かって酸素を吹き出す。
【0013】以上のようにして磁性層の形成された媒体
を真空蒸着装置から取り出し、プラズマ処理用の真空槽
の中に取り付ける。このプラズマ処理用の真空槽内で、
前記媒体を走行させながら磁性層表面のプラズマ処理を
行う。プラズマ処理用のガスとしての限定はないが、例
えば、ArとCH4の混合ガスにさらすことにより、第
2の磁性層表面の酸素濃度が少なくなり、同時に、カー
ボンの保護層が形成される。
【0014】以上のようにして作製された媒体のオージ
ェ電子分光分析結果を(図1)に示す。(図1)の横軸
は膜厚方向における膜表面からの深さを表わし、0Åは
膜表面である。縦軸は各元素に対するオージェ電子の強
度である。11はカーボン、12はCo、13は酸素に
対するオージェ電子の強度である。(図1)の領域Aが
カーボン保護層、Bが第2の磁性層、Cが第1の磁性
層、Dが高分子基板の領域である。
【0015】本発明の要点は、第1及び第2の磁性層中
の酸素濃度分布にあり、(図1)は本発明の条件を満足
している磁性層の一例である。すなわち、第1の磁性層
中の酸素濃度は膜表面近傍が最も高くなっており、第2
の磁性層中の酸素濃度は、第1の磁性層近傍が最も高く
なっている。酸素導入口の位置、酸素の導入量、蒸発源
の位置、遮蔽板の位置、プラズマ処理の条件等を調整す
ることにより、このような酸素濃度分布を実現すること
が可能である。
【0016】第1及び第2の磁性層を成膜する際に、酸
素導入口を膜形成終了部近傍に配置し、ここから蒸発原
子に向かって酸素を吹き出すことが重要である。特に第
2の磁性層については、このようにして酸素を導入して
も、第1の磁性層近傍の酸素濃度が最も高くなるように
蒸着条件、及び蒸着後のプラズマ処理条件を設定するこ
とが重要である。第2の磁性層形成の際に、膜形成開始
部近傍から酸素を導入して、第1の磁性層近傍の酸素濃
度を高くしたのでは、高い再生出力は得られない。
【0017】また、第1及び第2の磁性層ともに、蒸発
原子の基板への入射角は、θi>θfになるように設定す
る必要がある。θi<θfに設定すると、高い再生出力は
得られず、耐久性も劣化してしまう。
【0018】以上のようにして、磁化容易軸が膜面の法
線に対して傾斜しており、膜中の酸素濃度が表面近傍に
おいて最も高くなっているCo基の第1の磁性層が形成
され、その上に磁化容易軸が膜面の法線に対して傾斜し
ており、膜中の酸素濃度が第1の磁性層近傍において最
も高くなっているCo基の第2の磁性層が形成されてい
る磁気記録媒体が得られる。
【0019】ここで、第1の磁性層と第2の磁性層の酸
素濃度分布と、記録再生特性との関連について説明す
る。第1の磁性層の酸素濃度が表面近傍において最も高
く、第2の磁性層の酸素濃度が第1の磁性層近傍におい
て最も高い場合、すなわち本発明の一例の場合を(1)、
第1の磁性層、第2の磁性層ともに表面近傍における酸
素濃度が最も高い場合を(2)、第1の磁性層、第2の磁
性層ともに基板に近い方の面の酸素濃度が最も高い場合
を(3)、第1の磁性層の酸素濃度が基板近傍が最も高
く、第2の磁性層の酸素濃度が表面近傍が最も高い場合
を(4)として、それぞれの場合の再生出力とノイズの一
例を(表1)に示す。なお、(1)〜(4)ともに磁性層の総
膜厚は1400Åとした。また、いずれの媒体も表面に100
Å厚のカーボン保護層を形成してある。再生出力は、波
長0.5μmの信号を記録再生した場合の値、ノイズは波長
0.5μmの信号を記録再生した際の波長0.6μmに相当する
周波数の値である。また、表中の値は(1)の値を0dBと
して、これに対する相対値で示してある。
【0020】
【表1】
【0021】(表1)から、本発明の構成の媒体(1)
が、最も高い再生出力及び最も低いノイズを有している
ことがわかる。(2)に対して(1)の再生出力が高いのは、
磁性層表面近傍における酸素濃度が(2)よりも(1)の方が
低いためだと思われる。また、(2)に対して(1)のノイズ
が低いのは、(1)の方が(2)よりも第1の磁性層と第2の
磁性層との強磁性結合が弱いためだと考えられる。(3)
及び(4)の再生出力が(1)よりも低く、ノイズが(1)より
も高いのも、(1)が(3)及び(4)よりも第1の磁性層と第
2の磁性層との強磁性結合が弱いためだと考えられる。
特に(4)においては、第1の磁性層と第2の磁性層の強
磁性結合が強いために、その影響が顕著である。
【0022】以上説明したように、2層構造の酸素を含
むCo基の斜め蒸着媒体において、本発明の構成が最も
高いS/Nが得られる。
【0023】なお、以上のような媒体構成において、第
1の磁性層における長手方向の保磁力を、第2の磁性層
における長手方向の保磁力よりも高くすることにより、
出力を更に改善できる。第1の磁性層における長手方向
の保磁力を、第2の磁性層における長手方向の保磁力よ
りも高くする手段としては、第1の磁性層形成時の入射
角を第2の磁性層形成時の入射角よりも大きくする、あ
るいは第1の磁性層形成時の基板温度を第2の磁性層形
成時の基板温度よりも高くする、あるいは酸素導入量を
調整すること等が考えられる。
【0024】例えば第1の磁性層の長手方向の保磁力を
1800 Oe、第2の磁性層の長手方向の保磁力を1600
Oeとすると、第1の磁性層、第2の磁性層ともに1800
Oeあるいは1600 Oeとした場合よりも、1〜2dB
高い再生出力が得られる。このような結果が得られる理
由は、記録減磁作用の効果にあるものと推定される。す
なわち、第1の磁性層の長手方向の保磁力を第2の磁性
層の長手方向の保磁力よりも高くすることにより、記録
減磁を低下させることができ、その結果、強い記録磁化
が媒体に残るものと思われる。
【0025】なお、このように2層構造の媒体におい
て、表面側の磁性層の保磁力を低くした方が高い再生出
力が得られるという現象は、従来、長手記録で考えられ
ていた構成と全く逆である。この理由は、本発明の媒体
が膜面の斜め方向に磁化容易軸があるためだと考えられ
る。
【0026】以上では、高分子基板上に直接第1及び第
2の磁性層を形成する例について説明したが、高分子基
板上にCo基の酸化膜を形成し、その上に第1の磁性層
及び第2の磁性層を形成すると、再生出力が1〜2dB向
上する。Co基の酸化膜は第1及び第2の磁性層と同様
に作製すればよい。ただし、蒸着時に酸素導入口10か
ら導入する酸素量は、付着した膜が酸化膜になるだけの
量にする必要がある。
【0027】このようにして作製したCo基の酸化膜は
柱状構造をしているが、この柱状結晶粒の膜面の法線に
対する傾斜方向が、第1及び第2の磁性層の柱状結晶粒
の傾斜方向の逆方向にあるようにすることにより、磁気
特性及びその再現性が安定する。
【0028】次に、具体的な実施例について述べる。ま
ず、(図2)に示す構成で高分子基板1上にCo基の酸
化膜としてのCoO膜を形成した。蒸発源8に蒸発物質
7としてのCoを充填して、蒸着を行なった。円筒状キ
ャン2の直径は1mであり、その表面温度を室温とし
た。高分子基板1としては膜厚7μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルムを用いた。θiは35゜、θfは20゜に設
定した。また、酸素導入口10から3l/minの量の酸素を
真空槽内に導入した。この様にして、高分子基板を矢印
6の方向に走行させつつ、平均の膜堆積速度を0.5μm/s
として、膜厚0.02μmの酸化膜を形成した。この酸化膜
は柱状構造をしており、柱状結晶粒の傾斜角は膜法線に
対して約20゜であった。
【0029】次に、CoO膜の形成された高分子基板が
巻き取られたロールを取り外して、これを(図2)の供
給ロール4の位置に取り付けた。
【0030】次に、高分子基板を矢印6の方向に走行さ
せつつ第1の磁性層を形成した。蒸発物質7としてはC
oO膜形成時に充填したCoをそのまま使用した。円筒
状キャンの表面温度は室温とした。θiは75゜、θfは55゜
に設定した。酸素導入口10からの酸素導入量は1.2l/m
inとした。この様にして、平均の膜堆積速度を0.3μm/s
として、膜厚0.06μmの第1の磁性層を形成した。
【0031】次に、巻き取りロール5に巻き取られた、
CoO膜及び第1の磁性層の形成された高分子基板を、
供給ロール4に巻き戻した。この際に遮蔽板の開口部を
シャッター(図示されていない)により閉じておいた。
【0032】最後に、高分子基板を矢印6の方向に走行
させつつ第2の磁性層を形成した。蒸発物質7としては
既に充填されているCoをそのまま使用した。円筒状キ
ャンの表面温度は室温とした。θiは75゜、θfは55゜に設
定した。酸素導入口10からの酸素導入量は1.0l/minと
した。この様にして、平均の膜堆積速度を0.3μm/sとし
て、膜厚0.06μmの第2の磁性層を形成した。
【0033】第1の磁性層及び第2の磁性層の柱状結晶
粒は膜法線に対して、いずれも同方向に約50゜傾斜して
おり、その傾斜方向は、CoO酸化膜の柱状結晶粒の傾
斜方向と、膜面の法線に対して逆方向にある。
【0034】以上のようにして磁性層の形成された媒体
を真空蒸着装置から取り出し、プラズマ処理及び保護層
形成用の真空槽の中に取り付けた。この真空槽中でAr
とCH4のガスをプラズマ状態にして、磁性層表面に吹
き付けて、磁性層表面のプラズマ処理を実施した。その
結果、膜表面の酸素濃度は減少し、第2の磁性層は第1
の磁性層近傍において最も酸素濃度が高くなった。この
ようにして作製した媒体のオージェ電子分光分析を行な
い、(図1)のようになっていることを確認した。
【0035】上記の媒体をテープ状にスリットし、セン
ダストから成るギャップ長0.17μmのリング形磁気ヘッ
ドを用いて記録再生特性の評価を行なった。その結果、
市販のHi8方式VTR用蒸着テープに対して、記録波
長3.8μmで3dB、0.54μmで6dB、0.38μmで8dB高
い再生出力が得られた。また、ノイズは全帯域にわたっ
て、約1dB低かった。従って本発明の磁気テープは、
従来の蒸着テープに比べて大幅に高いS/Nを有してい
る。
【0036】以上では、θiを75゜、θfを55゜に設定して
Co−Oから成る第1及び第2の磁性層を形成すると、
市販の蒸着テープを越える高いS/Nを有する媒体が得
られることを説明した。しかし、これ以外の製造条件、
製造方法あるいは組成であっても、第1の磁性層の酸素
濃度を膜表面近傍において最も高くなるようにし、第2
の磁性層の酸素濃度を第1の磁性層近傍において最も高
くなるようにすることにより、高いS/Nを達成でき
る。
【0037】磁性層の組成としては、Co−Oの例につ
いて説明したが、これに限ったものではなく、Co−N
i−O、Co−Fe−O、Co−Ni−Fe−O等の組
成でも、本発明の構成にすることにより、高いS/Nが
得られる。また、基板については、ポリエチレンテレフ
タレートフィルムについて説明したが、ポリエチレンナ
フタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミド
フィルム、ポリエーテルイミドフィルム等の高分子フィ
ルムでも、全く同様であることは言うまでもない。
【0038】プラズマ処理用のガスとしては、ArとC
4を用いた例について説明したが、これに限定される
ものではない。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、高いS/Nを有する磁
気記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体をオージェ電子分光法に
より分析した結果を示す図
【図2】本発明の磁気記録媒体の製造方法を説明するた
めの真空蒸着装置内部の概略を示す図
【符号の説明】
1 高分子基板 2 円筒状キャン 3A、3B 遮蔽板 4 供給ロール 5 巻き取りロール 6 基板走行方向 7 蒸発物質 8 蒸発源 9 蒸発原子 10 酸素導入口 11 オージェ電子分光分析においてカーボンを示す曲
線 12 オージェ電子分光分析においてCoを示す曲線 13 オージェ電子分光分析において酸素を示す曲線 A オージェ電子分光分析におけるカーボン保護層の領
域 B オージェ電子分光分析における第2の磁性層の領域 C オージェ電子分光分析における第1の磁性層の領域 D オージェ電子分光分析における高分子基板の領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伴 泰明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に磁化容易軸が膜面の法線に対して
    傾斜しており膜中の酸素濃度が表面近傍において最も高
    くなっているCo基の第1の磁性層が形成され、その上
    に磁化容易軸が膜面の法線に対して傾斜しており膜中の
    酸素濃度が第1の磁性層近傍において最も高くなってい
    るCo基の第2の磁性層が形成されていることを特徴と
    する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】第1の磁性層における長手方向の保磁力
    が、第2の磁性層における長手方向の保磁力よりも高い
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】基板が高分子基板上にCo基の酸化膜が形
    成されたものであることを特徴とする請求項1あるいは
    2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】第1の磁性層、第2の磁性層及びCo基の
    酸化膜が柱状構造をしており、膜面の法線に対する柱状
    結晶粒の傾斜が前記第1の磁性層と前記第2の磁性層が
    同方向であり、前記Co基の酸化膜が両磁性層に対して
    逆方向であることを特徴とする請求項3記載の磁気記録
    媒体。
  5. 【請求項5】真空蒸着法により円筒状キャンに沿って走
    行しつつある基板上に、膜形成終了部近傍から蒸発原子
    に向かって酸素を吹き出しつつ、膜中の酸素濃度が表面
    近傍において最も高くなっているCo基の第1の磁性層
    を形成し、その上に膜形成終了部近傍から蒸発原子に向
    かって酸素を吹き出しつつCo基の第2の磁性層を形成
    し、その後、磁性層表面をプラズマ雰囲気にさらすこと
    により、第2の磁性層の酸素濃度を第1の磁性層近傍に
    おいて最も高くなるようにすることを特徴とする磁気記
    録媒体の製造方法。
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