JP3241538B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法Info
- Publication number
- JP3241538B2 JP3241538B2 JP15690894A JP15690894A JP3241538B2 JP 3241538 B2 JP3241538 B2 JP 3241538B2 JP 15690894 A JP15690894 A JP 15690894A JP 15690894 A JP15690894 A JP 15690894A JP 3241538 B2 JP3241538 B2 JP 3241538B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oxygen
- incident
- substrate
- incidence
- range
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高密度記録再生特性
に優れた磁気記録媒体を製造する磁気記録媒体の製造方
法に関する。
に優れた磁気記録媒体を製造する磁気記録媒体の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録再生装置は年々高密度化してお
り、短波長記録再生特性の優れた磁気記録媒体が要望さ
れている。現在では基板上に磁性粉を塗布した塗布型磁
気記録媒体が主に使用されており、上記要望を満足すべ
く特性改善が成されているが、ほぼ限界に近づいてい
る。
り、短波長記録再生特性の優れた磁気記録媒体が要望さ
れている。現在では基板上に磁性粉を塗布した塗布型磁
気記録媒体が主に使用されており、上記要望を満足すべ
く特性改善が成されているが、ほぼ限界に近づいてい
る。
【0003】この限界を超えるものとして薄膜型磁気記
録媒体が開発されている。薄膜型磁気記録媒体は真空蒸
着法、スパッタリング法、メッキ法等により作製され、
優れた短波長記録再生特性を有する。この薄膜型磁気記
録媒体の磁性層としては、例えば、Co、Co−Ni、
Co−Ni−P、Co−O、Co−Ni−O、Co−C
r、Co−Ni−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Cr
−Pt等が検討されている。磁気テープへの応用の点か
らは、これらの中でCo−O、Co−Ni−Oが最も適
していると考えられており、Co−Ni−Oを磁性層と
した蒸着テープが既にHi8方式VTR用蒸着テープと
して実用化されている。
録媒体が開発されている。薄膜型磁気記録媒体は真空蒸
着法、スパッタリング法、メッキ法等により作製され、
優れた短波長記録再生特性を有する。この薄膜型磁気記
録媒体の磁性層としては、例えば、Co、Co−Ni、
Co−Ni−P、Co−O、Co−Ni−O、Co−C
r、Co−Ni−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Cr
−Pt等が検討されている。磁気テープへの応用の点か
らは、これらの中でCo−O、Co−Ni−Oが最も適
していると考えられており、Co−Ni−Oを磁性層と
した蒸着テープが既にHi8方式VTR用蒸着テープと
して実用化されている。
【0004】従来の磁気記録媒体の製造方法の一例とし
てHi8方式VTR用蒸着テープの製造方法を、図6を
用いて以下に説明する。図6は蒸着テープを作製するた
めの、従来の真空蒸着装置の内部の構成の一例を示す概
略断面図である。高分子材料よりなる基板100は円筒
状キャン110に沿って矢印の向きに走行する。蒸発物
質120を入れた蒸発源130から蒸発した蒸発原子
が、基板100に付着することにより磁性層が形成され
る。蒸発源130としては電子ビーム蒸発源が適してお
り、この中に蒸発物質120として、例えばCo、Co
−Ni等の合金を充填する。蒸発源130として電子ビ
ーム蒸発源を用いるのは、Co等の高融点金属を高い蒸
発速度で蒸発させるためである。
てHi8方式VTR用蒸着テープの製造方法を、図6を
用いて以下に説明する。図6は蒸着テープを作製するた
めの、従来の真空蒸着装置の内部の構成の一例を示す概
略断面図である。高分子材料よりなる基板100は円筒
状キャン110に沿って矢印の向きに走行する。蒸発物
質120を入れた蒸発源130から蒸発した蒸発原子
が、基板100に付着することにより磁性層が形成され
る。蒸発源130としては電子ビーム蒸発源が適してお
り、この中に蒸発物質120として、例えばCo、Co
−Ni等の合金を充填する。蒸発源130として電子ビ
ーム蒸発源を用いるのは、Co等の高融点金属を高い蒸
発速度で蒸発させるためである。
【0005】円筒状キャン110の周囲の一部には不要
な蒸発原子が基板100に付着するのを防ぐために遮蔽
板140および141が設けられている。遮蔽板141
は膜形成開始部における蒸発原子の高分子フィルム基板
100への入射角を規定し、遮蔽板140は膜形成終了
部における蒸発原子の高分子フィルム基板100への入
射角を規定する。φi は膜形成開始部の初期入射角であ
り、φf は膜形成終了部の終期入射角である。なお、H
i8方式VTR用蒸着テープを製造する際の初期入射角
φi は90゜、終期入射角φf は約30゜である。φi
が90゜とは蒸発原子が基板100と接する場合であ
り、この場合に遮蔽板141を省略することがある。
な蒸発原子が基板100に付着するのを防ぐために遮蔽
板140および141が設けられている。遮蔽板141
は膜形成開始部における蒸発原子の高分子フィルム基板
100への入射角を規定し、遮蔽板140は膜形成終了
部における蒸発原子の高分子フィルム基板100への入
射角を規定する。φi は膜形成開始部の初期入射角であ
り、φf は膜形成終了部の終期入射角である。なお、H
i8方式VTR用蒸着テープを製造する際の初期入射角
φi は90゜、終期入射角φf は約30゜である。φi
が90゜とは蒸発原子が基板100と接する場合であ
り、この場合に遮蔽板141を省略することがある。
【0006】遮蔽板140の端部には蒸着時に真空槽内
に酸素を導入するための酸素導入ノズル150が設けら
れ、酸素導入量を最適にすることにより、記録再生特性
および実用特性の優れた蒸着テープが得られる。また、
基板100は供給ロール160に巻き付けられており、
磁性層が形成された後、巻き取りロール170に巻き取
られる。
に酸素を導入するための酸素導入ノズル150が設けら
れ、酸素導入量を最適にすることにより、記録再生特性
および実用特性の優れた蒸着テープが得られる。また、
基板100は供給ロール160に巻き付けられており、
磁性層が形成された後、巻き取りロール170に巻き取
られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】今後、薄膜型磁気テー
プには短波長領域における高いC/Nとともに、高い生
産性が要求される。図6において、走行しつつある基板
100上に真空蒸着法によって高いC/Nを有する磁性
層を形成するためには、初期入射角φi および終期入射
角φf を大きくすればよいことが一般に知られている。
しかしながら、φi およびφf を大きくすると高いC/
Nは得られるものの、φi およびφf を大きくするには
遮蔽板141と遮蔽板140との間隔を狭くする、すな
わち膜形成部の開口部(蒸発原子の基板100への入射
範囲)を狭くしなければならないため、成膜時の基板1
00の走行速度を遅くせざるを得ず、生産性が低下す
る。
プには短波長領域における高いC/Nとともに、高い生
産性が要求される。図6において、走行しつつある基板
100上に真空蒸着法によって高いC/Nを有する磁性
層を形成するためには、初期入射角φi および終期入射
角φf を大きくすればよいことが一般に知られている。
しかしながら、φi およびφf を大きくすると高いC/
Nは得られるものの、φi およびφf を大きくするには
遮蔽板141と遮蔽板140との間隔を狭くする、すな
わち膜形成部の開口部(蒸発原子の基板100への入射
範囲)を狭くしなければならないため、成膜時の基板1
00の走行速度を遅くせざるを得ず、生産性が低下す
る。
【0008】この発明は、従来のこのような課題を解決
し、優れた記録再生特性を得られるとともに、高い生産
性の得られる磁気記録媒体の製造方法を提供することを
目的とするものである。
し、優れた記録再生特性を得られるとともに、高い生産
性の得られる磁気記録媒体の製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の磁気記録媒体
の製造方法は、走行する基板上に真空蒸着法によってコ
バルトと酸素またはコバルトとニッケルと酸素を主成分
とする磁性層を形成する際、コバルトまたはコバルト・
ニッケル合金の蒸発源に基板の走行方向の上流側および
下流側に蒸発部を設け、上流側および下流側蒸発部から
の蒸発原子の基板への入射範囲を上流側および下流側遮
蔽板によって規定し、上流側蒸発部からの蒸発原子の入
射範囲の初期入射部への入射角より下流側蒸発部からの
蒸発原子の入射範囲の終期入射部への入射角の方を小さ
くし、入射範囲の初期入射部および終期入射部に酸素を
導入することを特徴とする。
の製造方法は、走行する基板上に真空蒸着法によってコ
バルトと酸素またはコバルトとニッケルと酸素を主成分
とする磁性層を形成する際、コバルトまたはコバルト・
ニッケル合金の蒸発源に基板の走行方向の上流側および
下流側に蒸発部を設け、上流側および下流側蒸発部から
の蒸発原子の基板への入射範囲を上流側および下流側遮
蔽板によって規定し、上流側蒸発部からの蒸発原子の入
射範囲の初期入射部への入射角より下流側蒸発部からの
蒸発原子の入射範囲の終期入射部への入射角の方を小さ
くし、入射範囲の初期入射部および終期入射部に酸素を
導入することを特徴とする。
【0010】請求項2の磁気記録媒体の製造方法は、走
行する基板上に真空蒸着法によってコバルトと酸素また
はコバルトとニッケルと酸素を主成分とする磁性層を形
成する際、基板の走行方向の下流側にコバルトまたはコ
バルト・ニッケル合金の第1の蒸発源を配置するととも
に、基板の走行方向の上流側にコバルトまたはコバルト
・ニッケル合金の第2の蒸発源を配置し、第1の蒸発源
に基板の走行方向の上流側および下流側に蒸発部を設
け、上流側および下流側蒸発部からの蒸発原子の基板へ
の第1の入射範囲を第1の上流側および下流側遮蔽板に
よって規定し、上流側蒸発部からの蒸発原子の第1の入
射範囲の初期入射部への入射角より下流側蒸発部からの
蒸発原子の第1の入射範囲の終期入射部への入射角の方
を小さくし、第1の入射範囲の初期入射部および終期入
射部に酸素を導入し、第2の蒸発源からの蒸発原子の基
板への第2の入射範囲を第2の上流側および下流側遮蔽
板によって規定し、第2の蒸発源からの蒸発原子の第2
の入射範囲の初期入射部への入射角より第2の蒸発源か
らの蒸発原子の第2の入射範囲の終期入射部への入射角
の方を小さくし、第2の入射範囲の終期入射部に酸素を
導入することを特徴とする。
行する基板上に真空蒸着法によってコバルトと酸素また
はコバルトとニッケルと酸素を主成分とする磁性層を形
成する際、基板の走行方向の下流側にコバルトまたはコ
バルト・ニッケル合金の第1の蒸発源を配置するととも
に、基板の走行方向の上流側にコバルトまたはコバルト
・ニッケル合金の第2の蒸発源を配置し、第1の蒸発源
に基板の走行方向の上流側および下流側に蒸発部を設
け、上流側および下流側蒸発部からの蒸発原子の基板へ
の第1の入射範囲を第1の上流側および下流側遮蔽板に
よって規定し、上流側蒸発部からの蒸発原子の第1の入
射範囲の初期入射部への入射角より下流側蒸発部からの
蒸発原子の第1の入射範囲の終期入射部への入射角の方
を小さくし、第1の入射範囲の初期入射部および終期入
射部に酸素を導入し、第2の蒸発源からの蒸発原子の基
板への第2の入射範囲を第2の上流側および下流側遮蔽
板によって規定し、第2の蒸発源からの蒸発原子の第2
の入射範囲の初期入射部への入射角より第2の蒸発源か
らの蒸発原子の第2の入射範囲の終期入射部への入射角
の方を小さくし、第2の入射範囲の終期入射部に酸素を
導入することを特徴とする。
【0011】請求項3の磁気記録媒体の製造方法は、請
求項2の磁気記録媒体の製造方法において、第2の蒸発
源に基板の走行方向の上流側および下流側に蒸発部を設
け、第2の蒸発源の上流側蒸発部からの蒸発原子を第2
の入射範囲の初期入射部へ入射させ、第2の蒸発源の下
流側蒸発部からの蒸発原子を第2の入射範囲の終期入射
部へ入射させ、第2の入射範囲の初期入射部に酸素を導
入することを特徴とする。
求項2の磁気記録媒体の製造方法において、第2の蒸発
源に基板の走行方向の上流側および下流側に蒸発部を設
け、第2の蒸発源の上流側蒸発部からの蒸発原子を第2
の入射範囲の初期入射部へ入射させ、第2の蒸発源の下
流側蒸発部からの蒸発原子を第2の入射範囲の終期入射
部へ入射させ、第2の入射範囲の初期入射部に酸素を導
入することを特徴とする。
【0012】請求項4の磁気記録媒体の製造方法は、請
求項1,2または3の磁気記録媒体の製造方法におい
て、初期入射部に酸素を導入する際、上流側遮蔽板より
も上流位置から基板の走行方向の上流側に向けて酸素を
導入するようにしている。
求項1,2または3の磁気記録媒体の製造方法におい
て、初期入射部に酸素を導入する際、上流側遮蔽板より
も上流位置から基板の走行方向の上流側に向けて酸素を
導入するようにしている。
【0013】
【作用】この発明によれば、走行している基板上に、真
空蒸着法によってコバルトと酸素またはコバルトとニッ
ケルと酸素を主成分とする磁性層を形成する際に、1個
の蒸発源に基板走行方向において蒸発部を2カ所とする
ことで、従来よりも開口部(蒸発原子の入射範囲)を基
板走行方向に拡大し、終期入射部に酸素を導入するとと
もに初期入射部へも酸素を導入することで、高い生産性
で優れた記録再生特性を有する磁気記録媒体を製造する
ことができる。
空蒸着法によってコバルトと酸素またはコバルトとニッ
ケルと酸素を主成分とする磁性層を形成する際に、1個
の蒸発源に基板走行方向において蒸発部を2カ所とする
ことで、従来よりも開口部(蒸発原子の入射範囲)を基
板走行方向に拡大し、終期入射部に酸素を導入するとと
もに初期入射部へも酸素を導入することで、高い生産性
で優れた記録再生特性を有する磁気記録媒体を製造する
ことができる。
【0014】さらに、2つの蒸発源を設けることによ
り、2層構造の磁性層を1回の基板走行で形成すること
ができ、2層構造とすることでより特性の優れた磁気記
録媒体を生産性よく製造することができる。
り、2層構造の磁性層を1回の基板走行で形成すること
ができ、2層構造とすることでより特性の優れた磁気記
録媒体を生産性よく製造することができる。
【0015】
【実施例】この発明の第1の実施例における磁気記録媒
体の製造方法に用いられる一例である真空蒸着装置内部
の概略断面図を図1に示す。図1において、100は基
板、110は円筒状キャン、130は蒸発源、160は
基板100の供給ロール、170は基板100の巻き取
りロールである。140および141は蒸発原子の入射
を制限し蒸気の基板100への入射角を規定する遮蔽板
である。ここで、入射角とは、蒸発原子の入射方向と基
板100の法線とのなす角である。150は終期入射角
を規定する遮蔽板140と円筒状キャン110との間に
設けた酸素導入ノズルであり、この酸素導入ノズル15
0は従来例と同様である。151は初期入射角を規定す
る遮蔽板141より基板100の走行方向において上流
側に設けた酸素導入ノズルである。なお、この発明で用
いられる基板100は高分子材料からなるフィルム状基
板であり、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィル
ム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエ
ーテルイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィ
ルム等が基板100の候補として挙げられるが、これら
に限られるものではない。
体の製造方法に用いられる一例である真空蒸着装置内部
の概略断面図を図1に示す。図1において、100は基
板、110は円筒状キャン、130は蒸発源、160は
基板100の供給ロール、170は基板100の巻き取
りロールである。140および141は蒸発原子の入射
を制限し蒸気の基板100への入射角を規定する遮蔽板
である。ここで、入射角とは、蒸発原子の入射方向と基
板100の法線とのなす角である。150は終期入射角
を規定する遮蔽板140と円筒状キャン110との間に
設けた酸素導入ノズルであり、この酸素導入ノズル15
0は従来例と同様である。151は初期入射角を規定す
る遮蔽板141より基板100の走行方向において上流
側に設けた酸素導入ノズルである。なお、この発明で用
いられる基板100は高分子材料からなるフィルム状基
板であり、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィル
ム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエ
ーテルイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィ
ルム等が基板100の候補として挙げられるが、これら
に限られるものではない。
【0016】この実施例に用いられる蒸発源130につ
いて説明する。蒸発源130には、蒸着物質120とし
てCoあるいはCo−Ni合金を仕込む。図1におい
て、180は第1蒸発部、181は第2蒸発部である。
各蒸発部180,181は電子ビームが照射されている
部分を意味する。すなわち、Co等の高融点金属は、電
子ビームが照射されている部分から蒸発し、それ以外の
部分からはほとんど蒸発しない。したがって、この発明
における蒸発部とは、電子ビームが照射されている部分
のことである。なお、実際の製造装置においては、通
常、基板100の幅は50cm以上ある。この場合には
蒸発源130は、図1において、一般に紙面に垂直方向
に長い形状をしているので、蒸発部180および181
は紙面に垂直方向に長く伸ばせばよい。すなわち、蒸発
源130の斜視図である図2の破線のように、蒸発部1
80および181を幅方向に伸ばせばよい。このような
蒸発部180,181の状態は、電子銃から照射される
電子ビームをスキャンすることにより容易に実現でき
る。使用する電子銃は1台でも2台でもよい。1台の電
子銃でこのようなスキャンをすると、電子ビームが、第
1蒸発部180から第2蒸発部181へ、あるいは第2
蒸発部181から第1蒸発部180へと移動する部分が
存在するが、この部分は図2には示していない。実際、
この部分は、蒸発部180,181よりも電子ビームの
滞在時間が短いために、無視できる。
いて説明する。蒸発源130には、蒸着物質120とし
てCoあるいはCo−Ni合金を仕込む。図1におい
て、180は第1蒸発部、181は第2蒸発部である。
各蒸発部180,181は電子ビームが照射されている
部分を意味する。すなわち、Co等の高融点金属は、電
子ビームが照射されている部分から蒸発し、それ以外の
部分からはほとんど蒸発しない。したがって、この発明
における蒸発部とは、電子ビームが照射されている部分
のことである。なお、実際の製造装置においては、通
常、基板100の幅は50cm以上ある。この場合には
蒸発源130は、図1において、一般に紙面に垂直方向
に長い形状をしているので、蒸発部180および181
は紙面に垂直方向に長く伸ばせばよい。すなわち、蒸発
源130の斜視図である図2の破線のように、蒸発部1
80および181を幅方向に伸ばせばよい。このような
蒸発部180,181の状態は、電子銃から照射される
電子ビームをスキャンすることにより容易に実現でき
る。使用する電子銃は1台でも2台でもよい。1台の電
子銃でこのようなスキャンをすると、電子ビームが、第
1蒸発部180から第2蒸発部181へ、あるいは第2
蒸発部181から第1蒸発部180へと移動する部分が
存在するが、この部分は図2には示していない。実際、
この部分は、蒸発部180,181よりも電子ビームの
滞在時間が短いために、無視できる。
【0017】このように1個の蒸発源130に2カ所の
蒸発部180,181があるために入射角の定義が問題
となるが、この発明においては、図1に示すように、第
1蒸発部180からの蒸発原子が遮蔽板141によって
規定される入射角を初期入射角φi とし、第2蒸発部1
81からの蒸発原子が遮蔽板140によって規定される
入射角を終期入射角φf としている。厳密に言えば実際
の入射角はこの発明の定義とは異なる。例えば、初期入
射角φi は、第2蒸発部181からの蒸発原子も飛来す
るので、この発明の定義よりも高角となり、終期入射角
φf は、第1蒸発部180からの蒸発原子が飛来するの
で、低角となる。しかし、膜形成において中心的な役割
を果たすのは、膜形成初期においては第1蒸発部180
からの蒸発原子であり、膜形成終期においては第2蒸発
部181からの蒸発原子である。
蒸発部180,181があるために入射角の定義が問題
となるが、この発明においては、図1に示すように、第
1蒸発部180からの蒸発原子が遮蔽板141によって
規定される入射角を初期入射角φi とし、第2蒸発部1
81からの蒸発原子が遮蔽板140によって規定される
入射角を終期入射角φf としている。厳密に言えば実際
の入射角はこの発明の定義とは異なる。例えば、初期入
射角φi は、第2蒸発部181からの蒸発原子も飛来す
るので、この発明の定義よりも高角となり、終期入射角
φf は、第1蒸発部180からの蒸発原子が飛来するの
で、低角となる。しかし、膜形成において中心的な役割
を果たすのは、膜形成初期においては第1蒸発部180
からの蒸発原子であり、膜形成終期においては第2蒸発
部181からの蒸発原子である。
【0018】図1に示しているように、初期入射角を規
定する遮蔽板141の上方(基板走行方向の上流側)に
酸素導入ノズル151が設けられている。一般的には、
初期入射部に酸素等のガスを導入すると、膜形成初期に
おける結晶成長が阻害され、膜全体として結晶性の低い
膜が形成される。これは主に、初期入射部に導入された
ガスが膜形成部に侵入するガスの回り込みのために起こ
ると考えられる。一方、磁性層としてコバルトと酸素を
主成分とするCo−O膜なる部分酸化膜あるいはコバル
トとニッケルと酸素を主成分とするCo−Ni−O膜な
る部分酸化膜を形成する際に、CoO膜なる酸化膜上あ
るいはCoNiO膜なる酸化膜上に上記部分酸化膜を形
成すると、保磁力が高くなるとか結晶配向性が改善され
るとかの効果がある。これを従来の方法で実施しようと
すると、例えば、CoO膜を形成する工程と磁性層であ
るCo−O膜を形成する工程とを2度に分ける必要があ
り、生産性が低下する。この発明は、これら2工程を1
工程で行い、生産性と膜質改善とをともに満足させよう
とするものである。すなわち、初期入射部に酸素を導入
することで、膜の形成初期層を局所的に酸化させ、この
酸化された初期層に上記酸化膜と同様な働きをさせるも
のである。
定する遮蔽板141の上方(基板走行方向の上流側)に
酸素導入ノズル151が設けられている。一般的には、
初期入射部に酸素等のガスを導入すると、膜形成初期に
おける結晶成長が阻害され、膜全体として結晶性の低い
膜が形成される。これは主に、初期入射部に導入された
ガスが膜形成部に侵入するガスの回り込みのために起こ
ると考えられる。一方、磁性層としてコバルトと酸素を
主成分とするCo−O膜なる部分酸化膜あるいはコバル
トとニッケルと酸素を主成分とするCo−Ni−O膜な
る部分酸化膜を形成する際に、CoO膜なる酸化膜上あ
るいはCoNiO膜なる酸化膜上に上記部分酸化膜を形
成すると、保磁力が高くなるとか結晶配向性が改善され
るとかの効果がある。これを従来の方法で実施しようと
すると、例えば、CoO膜を形成する工程と磁性層であ
るCo−O膜を形成する工程とを2度に分ける必要があ
り、生産性が低下する。この発明は、これら2工程を1
工程で行い、生産性と膜質改善とをともに満足させよう
とするものである。すなわち、初期入射部に酸素を導入
することで、膜の形成初期層を局所的に酸化させ、この
酸化された初期層に上記酸化膜と同様な働きをさせるも
のである。
【0019】上記目的を達成するためには、初期入射部
に導入した酸素の膜形成部への回り込みをいかに防止し
かつその影響をいかに抑制するかが重要である。そのた
め、初期入射角を規定する遮蔽板141の上方に酸素導
入ノズル151を設置し、酸素導入ノズル151の向き
は、導入酸素が基板100の走行下流側の膜形成部に回
り込みにくいように、上流側に向ける。このとき、酸素
導入ノズル151からの酸素流は集束している方がよ
い。
に導入した酸素の膜形成部への回り込みをいかに防止し
かつその影響をいかに抑制するかが重要である。そのた
め、初期入射角を規定する遮蔽板141の上方に酸素導
入ノズル151を設置し、酸素導入ノズル151の向き
は、導入酸素が基板100の走行下流側の膜形成部に回
り込みにくいように、上流側に向ける。このとき、酸素
導入ノズル151からの酸素流は集束している方がよ
い。
【0020】図3に酸素流を集束させることのできる酸
素導入ノズル151の一例を斜視図にて示している。図
3中のハッチング部155は断面を示すもので酸素導入
配管にいたるものである。導入する酸素158は酸素配
管から酸素導入路156を通ってスリット部157から
真空中に発せられる。なお、158は模式的に酸素の流
れを示したものである。図3のようにスリット部157
の間隙が導入路長より十分に小さいとき酸素流は集束す
る。図3のような折れ曲がり形状は酸素流集束のために
は必要ではないが、ここでは設置に都合がよいようにこ
のような折れ曲がり形状としている。
素導入ノズル151の一例を斜視図にて示している。図
3中のハッチング部155は断面を示すもので酸素導入
配管にいたるものである。導入する酸素158は酸素配
管から酸素導入路156を通ってスリット部157から
真空中に発せられる。なお、158は模式的に酸素の流
れを示したものである。図3のようにスリット部157
の間隙が導入路長より十分に小さいとき酸素流は集束す
る。図3のような折れ曲がり形状は酸素流集束のために
は必要ではないが、ここでは設置に都合がよいようにこ
のような折れ曲がり形状としている。
【0021】図4に酸素導入ノズル151が設置されて
いる様子を膜形成初期部の概略拡大図で示している。集
束した酸素流が基板走行方向に対し上流側に向くように
酸素導入ノズル151が設置されている。ここで、集束
酸素流のさらに望ましい導入方向について説明する。図
4中において、遮蔽板141は蒸発原子の入射角がφb
となるように設置されている。図中φb は90゜として
いる。酸素導入ノズル151からの集束酸素流は蒸発原
子の入射角がφa (φa <φb )なる点に向けて導入す
る。図中φa は85゜としている。このようにすること
で、入射角φa 以上の部分は集束酸素流の影響を強く受
ける。例えば、蒸発原子がコバルトの場合、入射角φa
以上の部分は十分に酸化されてCoOとなる。図面的に
蒸発原子は入射角φb なる点を越えることはないが、実
際には、蒸発原子は散乱しているので入射角φb なる点
を越え、さらに上流側においても基板100に堆積す
る。このような部分も酸化され、膜質改善に寄与する。
したがって、この発明の初期入射角φi はφa に相当す
るといえる。
いる様子を膜形成初期部の概略拡大図で示している。集
束した酸素流が基板走行方向に対し上流側に向くように
酸素導入ノズル151が設置されている。ここで、集束
酸素流のさらに望ましい導入方向について説明する。図
4中において、遮蔽板141は蒸発原子の入射角がφb
となるように設置されている。図中φb は90゜として
いる。酸素導入ノズル151からの集束酸素流は蒸発原
子の入射角がφa (φa <φb )なる点に向けて導入す
る。図中φa は85゜としている。このようにすること
で、入射角φa 以上の部分は集束酸素流の影響を強く受
ける。例えば、蒸発原子がコバルトの場合、入射角φa
以上の部分は十分に酸化されてCoOとなる。図面的に
蒸発原子は入射角φb なる点を越えることはないが、実
際には、蒸発原子は散乱しているので入射角φb なる点
を越え、さらに上流側においても基板100に堆積す
る。このような部分も酸化され、膜質改善に寄与する。
したがって、この発明の初期入射角φi はφa に相当す
るといえる。
【0022】酸素導入ノズル151から初期入射部に導
入する酸素量は、終期入射部の酸素導入ノズル150か
らの酸素量の高々1/3以下でよい。これは、初期入射
部の蒸発原子の密度が低いからである。1/5程度が好
適である。これは、導入量の増加にともない成膜部への
酸素の回り込み量が増加するからである。ただし、この
導入量は、装置の大きさや排気速度により異なるので、
一義的には決まらないものである。
入する酸素量は、終期入射部の酸素導入ノズル150か
らの酸素量の高々1/3以下でよい。これは、初期入射
部の蒸発原子の密度が低いからである。1/5程度が好
適である。これは、導入量の増加にともない成膜部への
酸素の回り込み量が増加するからである。ただし、この
導入量は、装置の大きさや排気速度により異なるので、
一義的には決まらないものである。
【0023】以上のような対策をとっても、初期入射部
に導入した酸素の膜形成部への回り込みを完全に防止し
その影響を完全に抑制することは困難である。そこで、
余分な酸素を速やかに排気するために、遮蔽板141を
平板状としかつ平板面が円筒状キャン110上の基板1
00に対向しないようにし、初期入射部における排気速
度を高める。ここでさらに重要な点は、膜形成部の開口
部を広くすることである。すなわち、遮蔽板141と遮
蔽板140との間隔を広げることである。膜形成部の開
口部を広くすることで、膜形成部全体に及ぼす酸素の回
り込みの影響を緩和することが可能である。1個の蒸発
源130に2カ所の蒸発部180,181があって広い
開口幅を実現しているこの実施例の構成は、酸素の回り
込みの影響を緩和する上で非常に有効である。図6に示
した従来例では、開口幅の拡大は入射角を単に低角にす
ることになり、入射角の点で膜特性の改善はできなくな
ってしまう。
に導入した酸素の膜形成部への回り込みを完全に防止し
その影響を完全に抑制することは困難である。そこで、
余分な酸素を速やかに排気するために、遮蔽板141を
平板状としかつ平板面が円筒状キャン110上の基板1
00に対向しないようにし、初期入射部における排気速
度を高める。ここでさらに重要な点は、膜形成部の開口
部を広くすることである。すなわち、遮蔽板141と遮
蔽板140との間隔を広げることである。膜形成部の開
口部を広くすることで、膜形成部全体に及ぼす酸素の回
り込みの影響を緩和することが可能である。1個の蒸発
源130に2カ所の蒸発部180,181があって広い
開口幅を実現しているこの実施例の構成は、酸素の回り
込みの影響を緩和する上で非常に有効である。図6に示
した従来例では、開口幅の拡大は入射角を単に低角にす
ることになり、入射角の点で膜特性の改善はできなくな
ってしまう。
【0024】この第1の実施例による真空蒸着装置を用
いて、蒸着テープを作製した具体例について説明する。
円筒状キャン110の直径は1.5mとし、テープ厚7
μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基板10
0として使用した。蒸発物質120としてはCoを用い
た。蒸発部180と181との間隔は約30cmとし
た。遮蔽板141を図4におけるφb が90゜となるよ
うに設定し、酸素導入ノズル151からの酸素流はφa
が85゜になるように調整した。また、遮蔽板140を
φf が50゜となるように設定した。このとき、遮蔽板
141と140との間の開口幅は約50cmであった。
酸素導入ノズル150からは、1.0〔l/分〕の割合
で酸素を導入し、酸素導入ノズル151からは0.5
〔l/分〕(サンプル1−1)、0.3〔l/分〕(サ
ンプル1−2)、0.2〔l/分〕(サンプル1−3)
および0.1〔l/分〕(サンプル1−4)の割合で酸
素を導入する場合について実施し、膜厚0.1μmの磁
性層を形成した。
いて、蒸着テープを作製した具体例について説明する。
円筒状キャン110の直径は1.5mとし、テープ厚7
μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基板10
0として使用した。蒸発物質120としてはCoを用い
た。蒸発部180と181との間隔は約30cmとし
た。遮蔽板141を図4におけるφb が90゜となるよ
うに設定し、酸素導入ノズル151からの酸素流はφa
が85゜になるように調整した。また、遮蔽板140を
φf が50゜となるように設定した。このとき、遮蔽板
141と140との間の開口幅は約50cmであった。
酸素導入ノズル150からは、1.0〔l/分〕の割合
で酸素を導入し、酸素導入ノズル151からは0.5
〔l/分〕(サンプル1−1)、0.3〔l/分〕(サ
ンプル1−2)、0.2〔l/分〕(サンプル1−3)
および0.1〔l/分〕(サンプル1−4)の割合で酸
素を導入する場合について実施し、膜厚0.1μmの磁
性層を形成した。
【0025】このようにして作製したサンプルをテープ
状にスリットし、センダストからなるギャップ長0.1
5μmのリング型磁気ヘッドを用いて記録波長0.5μ
mにおける記録再生特性の評価を行った。測定の結果、
サンプル1−3における再生出力(C)および再生出力
/ノイズ(C/N)が最も高かった。他のサンプルのC
およびC/Nをサンプル1−3を基準にして示すと、サ
ンプル1−1が−2.5dBおよび−1.1dB、サン
プル1−2が−1.1dBおよび−0.2dB、サンプ
ル1−4が−2.0dBおよび−3.9dBであった。
酸素導入ノズル151からの導入酸素量が多すぎる場合
には、ノイズは低くなるが、過剰な酸素が飽和磁化を低
下させるために再生出力も低下するものと考えられる。
また、導入酸素量が少なすぎる場合には、保磁力が低下
することによりノイズが大きくなり再生出力も低下する
と考えられる。
状にスリットし、センダストからなるギャップ長0.1
5μmのリング型磁気ヘッドを用いて記録波長0.5μ
mにおける記録再生特性の評価を行った。測定の結果、
サンプル1−3における再生出力(C)および再生出力
/ノイズ(C/N)が最も高かった。他のサンプルのC
およびC/Nをサンプル1−3を基準にして示すと、サ
ンプル1−1が−2.5dBおよび−1.1dB、サン
プル1−2が−1.1dBおよび−0.2dB、サンプ
ル1−4が−2.0dBおよび−3.9dBであった。
酸素導入ノズル151からの導入酸素量が多すぎる場合
には、ノイズは低くなるが、過剰な酸素が飽和磁化を低
下させるために再生出力も低下するものと考えられる。
また、導入酸素量が少なすぎる場合には、保磁力が低下
することによりノイズが大きくなり再生出力も低下する
と考えられる。
【0026】以上の説明では、磁性層が単層構造のもの
について説明したが、2層以上の多層構造でもよい。多
層構造にすることで、磁性層の磁区が小さくなりノイズ
が低くなることが知られている。2層以上の積層型磁性
層とする場合には、各層を形成する際に、入射角、酸素
導入量および膜厚を制御し、膜全体として所望の特性と
なるようにすればよい。
について説明したが、2層以上の多層構造でもよい。多
層構造にすることで、磁性層の磁区が小さくなりノイズ
が低くなることが知られている。2層以上の積層型磁性
層とする場合には、各層を形成する際に、入射角、酸素
導入量および膜厚を制御し、膜全体として所望の特性と
なるようにすればよい。
【0027】ところで、通常の方法で磁性層を多層構造
とするためには、層の数ほど蒸着を実施する必要があ
り、生産性の低下につながる。つぎの第2の実施例で
は、1回の基板走行で2層構造の磁性層を形成する方法
について説明する。第2の実施例によれば優れた磁性層
をより生産性よく製造することが可能である。図5はこ
の発明の第2の実施例における磁気記録媒体の製造方法
に用いられる真空蒸着装置の一例の内部構成を示す概略
断面図である。図1に示した構成に対して、蒸着成膜部
が2個ある構造である。供給ロール160から巻き出さ
れた基板100は円筒状キャン110の周面に沿って走
行し巻き取りロール170に巻き取られる。その間に、
蒸発源(第2の蒸発源)131、遮蔽板143および1
42からなる第2開口部191において下部磁性層が形
成され、次に蒸発源(第1の蒸発源)130、遮蔽板1
41および140からなる第1開口部190において上
部磁性層が形成される。蒸発源131および130に
は、蒸着物質120および121としてCoあるいはC
o−Ni合金を仕込む。この蒸発源131および130
は、基板100の走行方向に沿って、円筒状キャン11
0の中心を通る鉛直線に対して基板100の走行方向の
上流側の同じ側に配置している。
とするためには、層の数ほど蒸着を実施する必要があ
り、生産性の低下につながる。つぎの第2の実施例で
は、1回の基板走行で2層構造の磁性層を形成する方法
について説明する。第2の実施例によれば優れた磁性層
をより生産性よく製造することが可能である。図5はこ
の発明の第2の実施例における磁気記録媒体の製造方法
に用いられる真空蒸着装置の一例の内部構成を示す概略
断面図である。図1に示した構成に対して、蒸着成膜部
が2個ある構造である。供給ロール160から巻き出さ
れた基板100は円筒状キャン110の周面に沿って走
行し巻き取りロール170に巻き取られる。その間に、
蒸発源(第2の蒸発源)131、遮蔽板143および1
42からなる第2開口部191において下部磁性層が形
成され、次に蒸発源(第1の蒸発源)130、遮蔽板1
41および140からなる第1開口部190において上
部磁性層が形成される。蒸発源131および130に
は、蒸着物質120および121としてCoあるいはC
o−Ni合金を仕込む。この蒸発源131および130
は、基板100の走行方向に沿って、円筒状キャン11
0の中心を通る鉛直線に対して基板100の走行方向の
上流側の同じ側に配置している。
【0028】第2開口部191における蒸発源131に
は蒸発部182がある。蒸発部182を1カ所でなく2
カ所としてもよい。蒸発部を2カ所とする場合、後述す
る第1開口部190と同様の構成とし、遮蔽板143の
上流側に酸素導入ノズル151と同様の酸素導入ノズル
を設ける。図5においては、装置規模を小さくするため
に1カ所の蒸発部としている。蒸発部182からの蒸発
原子は、遮蔽板143で初期入射角φi2が規定され、遮
蔽板142で終期入射角φf2が規定される。初期入射角
φi2は85゜以下、終期入射角φf2は50゜以上が望ま
しい。初期入射角φi2が85゜以上では膜の結晶配向性
が低下し、終期入射角φf2が50゜以下では保磁力が低
下する。遮蔽板142と円筒状キャン110との間には
酸素導入ノズル152が設置され、第2開口部191に
向け酸素が導入される。遮蔽板142の後端部は鍵型に
なっており、酸素導入ノズル152からの酸素が下流側
に回り込むのを抑制している。また、遮蔽板143は平
板状で円筒状キャン110上の基板100に対向しない
構造となっており、この部分の排気速度が高められてい
る。さらに、蒸発源131は第1開口部190よりも上
方に位置し、第1開口部190の初期入射部の排気を妨
げない構造である。
は蒸発部182がある。蒸発部182を1カ所でなく2
カ所としてもよい。蒸発部を2カ所とする場合、後述す
る第1開口部190と同様の構成とし、遮蔽板143の
上流側に酸素導入ノズル151と同様の酸素導入ノズル
を設ける。図5においては、装置規模を小さくするため
に1カ所の蒸発部としている。蒸発部182からの蒸発
原子は、遮蔽板143で初期入射角φi2が規定され、遮
蔽板142で終期入射角φf2が規定される。初期入射角
φi2は85゜以下、終期入射角φf2は50゜以上が望ま
しい。初期入射角φi2が85゜以上では膜の結晶配向性
が低下し、終期入射角φf2が50゜以下では保磁力が低
下する。遮蔽板142と円筒状キャン110との間には
酸素導入ノズル152が設置され、第2開口部191に
向け酸素が導入される。遮蔽板142の後端部は鍵型に
なっており、酸素導入ノズル152からの酸素が下流側
に回り込むのを抑制している。また、遮蔽板143は平
板状で円筒状キャン110上の基板100に対向しない
構造となっており、この部分の排気速度が高められてい
る。さらに、蒸発源131は第1開口部190よりも上
方に位置し、第1開口部190の初期入射部の排気を妨
げない構造である。
【0029】第1開口部190の構成は、図1に示した
構成と同様である。1個の蒸発源130に基板走行方向
において2カ所の蒸発部180および181を設けるこ
とで、従来よりも開口部を基板走行方向に拡大すること
ができ、生産性を改善することができる。初期入射角φ
i1は、85゜以下が望ましい。終期入射角φf1は、磁性
層としての保磁力を確保するために、50゜以上が望ま
しい。酸素導入ノズル150からの酸素導入法は従来例
と同様である。酸素導入ノズル151にかかる説明は後
述する。
構成と同様である。1個の蒸発源130に基板走行方向
において2カ所の蒸発部180および181を設けるこ
とで、従来よりも開口部を基板走行方向に拡大すること
ができ、生産性を改善することができる。初期入射角φ
i1は、85゜以下が望ましい。終期入射角φf1は、磁性
層としての保磁力を確保するために、50゜以上が望ま
しい。酸素導入ノズル150からの酸素導入法は従来例
と同様である。酸素導入ノズル151にかかる説明は後
述する。
【0030】上記方法で磁性層を形成する場合には、上
部磁性層の膜厚を下部磁性層の膜厚よりも厚くなるよう
に設定する。上部磁性層の膜厚の磁性層全体に占める割
合は60%以上80%以下が好適である。これは、この
発明においては、結晶学的に下部磁性層を上部磁性層の
下地層と位置づけているためである。下地層たる薄い下
部磁性層上に主たる上部磁性層を形成することで記録再
生特性が改善される。膜厚の厚い上部磁性層を生産性の
高い第1開口部190で形成できるので非常に都合がよ
い。
部磁性層の膜厚を下部磁性層の膜厚よりも厚くなるよう
に設定する。上部磁性層の膜厚の磁性層全体に占める割
合は60%以上80%以下が好適である。これは、この
発明においては、結晶学的に下部磁性層を上部磁性層の
下地層と位置づけているためである。下地層たる薄い下
部磁性層上に主たる上部磁性層を形成することで記録再
生特性が改善される。膜厚の厚い上部磁性層を生産性の
高い第1開口部190で形成できるので非常に都合がよ
い。
【0031】上記では、酸素導入ノズル151から酸素
を導入しない場合でも、上記構成で磁性層を形成するこ
とで磁性層の特性が改善されることについて説明した。
つぎに、酸素導入ノズル151から酸素を導入する場合
について説明をする。第1開口部190の構成は、蒸発
源130および酸素導入ノズル151の配置を含め図1
に示した構成とほぼ同様とする。また、酸素導入ノズル
の形状、設置方向および酸素の差し向け方は図3および
図4と同様とする。
を導入しない場合でも、上記構成で磁性層を形成するこ
とで磁性層の特性が改善されることについて説明した。
つぎに、酸素導入ノズル151から酸素を導入する場合
について説明をする。第1開口部190の構成は、蒸発
源130および酸素導入ノズル151の配置を含め図1
に示した構成とほぼ同様とする。また、酸素導入ノズル
の形状、設置方向および酸素の差し向け方は図3および
図4と同様とする。
【0032】以上の構成で、2層構造の磁性層を形成す
る際の酸素導入ノズル151から酸素を導入する理由は
以下のようである。酸素導入ノズル151から酸素を導
入することにより、第1開口部190で形成される上部
磁性層の初期層部分を局所的に酸化する。ただし、酸化
された初期層を上述のように酸化膜下地層とするのでは
ない。ここでの酸化された初期層は、下部磁性層と上部
磁性層との磁気的結合を弱めるための磁気分離層の役目
を担う物である。磁気分離層を設けることで、ノイズの
低減がより促進される。ここでの磁気分離層としての酸
化された初期層は、酸化膜下地層とする場合よりも膜厚
を薄くする必要がある。したがって、初期入射角φi1を
設定する際、図4におけるφa およびφb が一致するよ
うに、遮蔽板141および酸素導入ノズル151を配置
する。すなわち、このときのφi1はφa およびφb と一
致する。このときに酸化させようとするのは、初期入射
角φi1以上で基板100に到達する散乱された蒸発原子
であり、導入酸素量も少量でよい。
る際の酸素導入ノズル151から酸素を導入する理由は
以下のようである。酸素導入ノズル151から酸素を導
入することにより、第1開口部190で形成される上部
磁性層の初期層部分を局所的に酸化する。ただし、酸化
された初期層を上述のように酸化膜下地層とするのでは
ない。ここでの酸化された初期層は、下部磁性層と上部
磁性層との磁気的結合を弱めるための磁気分離層の役目
を担う物である。磁気分離層を設けることで、ノイズの
低減がより促進される。ここでの磁気分離層としての酸
化された初期層は、酸化膜下地層とする場合よりも膜厚
を薄くする必要がある。したがって、初期入射角φi1を
設定する際、図4におけるφa およびφb が一致するよ
うに、遮蔽板141および酸素導入ノズル151を配置
する。すなわち、このときのφi1はφa およびφb と一
致する。このときに酸化させようとするのは、初期入射
角φi1以上で基板100に到達する散乱された蒸発原子
であり、導入酸素量も少量でよい。
【0033】初期入射角φi1は、85゜以下が望まし
い。終期入射角φf1は、磁性層としての保磁力を確保す
るために、50゜以上が望ましい。酸素導入ノズル15
1からの酸素導入量は、上述の如く少量でよく、酸素導
入ノズル150からの導入量の高々1/20までであ
り、1/50程度が好適である。ただし、この導入量
は、前述した如く、装置の大きさや排気速度により異な
るので、一義的には決まらないものである。下部磁性層
形成用に導入される酸素導入ノズル152からの酸素が
回り込むと、酸素導入ノズル151からの酸素導入によ
る磁性層の制御が困難となるので、遮蔽板142の形状
を図5の如く鍵型にするとか、これをできるだけ円筒状
キャン110に接近させることが重要である。
い。終期入射角φf1は、磁性層としての保磁力を確保す
るために、50゜以上が望ましい。酸素導入ノズル15
1からの酸素導入量は、上述の如く少量でよく、酸素導
入ノズル150からの導入量の高々1/20までであ
り、1/50程度が好適である。ただし、この導入量
は、前述した如く、装置の大きさや排気速度により異な
るので、一義的には決まらないものである。下部磁性層
形成用に導入される酸素導入ノズル152からの酸素が
回り込むと、酸素導入ノズル151からの酸素導入によ
る磁性層の制御が困難となるので、遮蔽板142の形状
を図5の如く鍵型にするとか、これをできるだけ円筒状
キャン110に接近させることが重要である。
【0034】上記方法で磁性層を形成する場合の各磁性
層の膜厚は、上述した酸素導入ノズル151から酸素を
導入しない場合の2層構造の磁性層と同様で、上部磁性
層の膜厚を下部磁性層の膜厚よりも厚くなるように設定
する。上部磁性層の膜厚の磁性層全体に占める割合は6
0%以上80%以下が好適である。この第2の実施例に
よる真空蒸着装置を用いて、蒸着テープを作製した具体
例について説明する。
層の膜厚は、上述した酸素導入ノズル151から酸素を
導入しない場合の2層構造の磁性層と同様で、上部磁性
層の膜厚を下部磁性層の膜厚よりも厚くなるように設定
する。上部磁性層の膜厚の磁性層全体に占める割合は6
0%以上80%以下が好適である。この第2の実施例に
よる真空蒸着装置を用いて、蒸着テープを作製した具体
例について説明する。
【0035】蒸発物質120および121としてはCo
を用いた。第2開口部191におけるφi2が85゜、φ
f2が50゜となるように遮蔽板143および142を設
定した。第1開口部190におけるφi1が85゜、φf1
が50゜となるように遮蔽板141および140を設定
した。蒸発源130の2カ所の蒸発部180と181と
の間隔は上記第1の実施例と同様(約30cm)とし
た。酸素導入ノズル151の設定は、集束した酸素流が
蒸発原子の入射角がφi1なる場所に向かうようにした。
以上のような構成で、下部磁性層の膜厚が0.03μm
および上部磁性層の膜厚が0.07μmの2層構造の磁
性層を形成した。第2開口部191における酸素導入ノ
ズル152からは、0.3〔l/分〕の割合で酸素を導
入した。第1開口部190における酸素導入ノズル15
0からは、1.0〔l/分〕の割合で酸素を導入した。
また、酸素導入ノズル151からは0〔l/分〕(サン
プル2−1)、0.02〔l/分〕(サンプル2−
2)、0.05〔l/分〕(サンプル2−3)および
0.1〔l/分〕(サンプル2−4)の割合で酸素を導
入した。
を用いた。第2開口部191におけるφi2が85゜、φ
f2が50゜となるように遮蔽板143および142を設
定した。第1開口部190におけるφi1が85゜、φf1
が50゜となるように遮蔽板141および140を設定
した。蒸発源130の2カ所の蒸発部180と181と
の間隔は上記第1の実施例と同様(約30cm)とし
た。酸素導入ノズル151の設定は、集束した酸素流が
蒸発原子の入射角がφi1なる場所に向かうようにした。
以上のような構成で、下部磁性層の膜厚が0.03μm
および上部磁性層の膜厚が0.07μmの2層構造の磁
性層を形成した。第2開口部191における酸素導入ノ
ズル152からは、0.3〔l/分〕の割合で酸素を導
入した。第1開口部190における酸素導入ノズル15
0からは、1.0〔l/分〕の割合で酸素を導入した。
また、酸素導入ノズル151からは0〔l/分〕(サン
プル2−1)、0.02〔l/分〕(サンプル2−
2)、0.05〔l/分〕(サンプル2−3)および
0.1〔l/分〕(サンプル2−4)の割合で酸素を導
入した。
【0036】以上のようにして作製したサンプルをテー
プ状にスリットし、上記第1の実施例と同様に記録波長
0.5μmにおける記録再生特性の評価を行った。測定
の結果、サンプル2−2におけるCおよびC/Nが最も
高かった。他のサンプルのCおよびC/Nをサンプル2
−2を基準にして示すと、サンプル2−1が+0.5d
Bおよび−0.5dB、サンプル2−3が−0.8dB
および−0.3dB、サンプル2−4が−2.2dBお
よび−1.8dBであった。なお、上記第1の実施例に
おけるサンプル1−3と第2の実施例におけるサンプル
2−2との比較においては、サンプル2−2の方がCお
よびC/Nともに1dB程度優れていた。これは2層構
造の効果と考えられる。酸素導入ノズル151から酸素
を導入しなかったサンプル2−1は再生出力は高いがノ
イズも高くなる。しかし、後述する比較例のサンプルに
比べるとCおよびC/Nともに3dB以上高くなってい
る。酸素導入ノズル151から酸素を導入したサンプル
は導入酸素量の増加とともに再生出力が減少する傾向が
あり、多すぎる場合には極端に減少する。これは飽和磁
化が低下すること以上に、余剰な酸素の膜形成部への回
り込みにより結晶配向性が劣化するものと考えられる。
プ状にスリットし、上記第1の実施例と同様に記録波長
0.5μmにおける記録再生特性の評価を行った。測定
の結果、サンプル2−2におけるCおよびC/Nが最も
高かった。他のサンプルのCおよびC/Nをサンプル2
−2を基準にして示すと、サンプル2−1が+0.5d
Bおよび−0.5dB、サンプル2−3が−0.8dB
および−0.3dB、サンプル2−4が−2.2dBお
よび−1.8dBであった。なお、上記第1の実施例に
おけるサンプル1−3と第2の実施例におけるサンプル
2−2との比較においては、サンプル2−2の方がCお
よびC/Nともに1dB程度優れていた。これは2層構
造の効果と考えられる。酸素導入ノズル151から酸素
を導入しなかったサンプル2−1は再生出力は高いがノ
イズも高くなる。しかし、後述する比較例のサンプルに
比べるとCおよびC/Nともに3dB以上高くなってい
る。酸素導入ノズル151から酸素を導入したサンプル
は導入酸素量の増加とともに再生出力が減少する傾向が
あり、多すぎる場合には極端に減少する。これは飽和磁
化が低下すること以上に、余剰な酸素の膜形成部への回
り込みにより結晶配向性が劣化するものと考えられる。
【0037】比較例として、従来の方法で磁性層を形成
した。真空蒸着装置の基本構成は図6に示すものであ
る。蒸発物質120としてはCoを用いた。φi が90
°およびφf が30°となるように遮蔽板141および
140を設定した。このとき、遮蔽板141と140と
の間の開口幅が、上記第1の実施例の開口幅とほぼ同様
の約50cmとなった。このような構成で、膜厚0.1
μmの磁性層を形成した。酸素導入ノズル150から
1.5〔l/分〕(サンプルH1−1)、1.8〔l/
分〕(サンプルH1−2)および2.1〔l/分〕(サ
ンプルH1−3)の割合で酸素を導入した。
した。真空蒸着装置の基本構成は図6に示すものであ
る。蒸発物質120としてはCoを用いた。φi が90
°およびφf が30°となるように遮蔽板141および
140を設定した。このとき、遮蔽板141と140と
の間の開口幅が、上記第1の実施例の開口幅とほぼ同様
の約50cmとなった。このような構成で、膜厚0.1
μmの磁性層を形成した。酸素導入ノズル150から
1.5〔l/分〕(サンプルH1−1)、1.8〔l/
分〕(サンプルH1−2)および2.1〔l/分〕(サ
ンプルH1−3)の割合で酸素を導入した。
【0038】以上のようにして作製した比較用サンプル
をテープ状にスリットし、上記第1の実施例と同様に記
録波長0.5μmにおける記録再生特性の評価を行っ
た。測定の結果、サンプルH1−2におけるCおよびC
/Nが最も高かった。上記第1の実施例におけるサンプ
ル1−3に対する比較用サンプル1−2のCおよびC/
Nはともに約−4dBであった。このように比較例にお
けるサンプルの特性が劣るのは、比較例の場合、実施例
と同じ開口幅でも終期入射角が低角であり、サンプルH
1−2においても保磁力が低いことが原因と考えられ
る。また、酸素導入量が多いために、終期入射部から導
入した酸素が初期入射部にも回り込み膜全体の結晶配向
性が劣化していることも原因と考えられる。
をテープ状にスリットし、上記第1の実施例と同様に記
録波長0.5μmにおける記録再生特性の評価を行っ
た。測定の結果、サンプルH1−2におけるCおよびC
/Nが最も高かった。上記第1の実施例におけるサンプ
ル1−3に対する比較用サンプル1−2のCおよびC/
Nはともに約−4dBであった。このように比較例にお
けるサンプルの特性が劣るのは、比較例の場合、実施例
と同じ開口幅でも終期入射角が低角であり、サンプルH
1−2においても保磁力が低いことが原因と考えられ
る。また、酸素導入量が多いために、終期入射部から導
入した酸素が初期入射部にも回り込み膜全体の結晶配向
性が劣化していることも原因と考えられる。
【0039】上記実施例の説明では、高分子フィルム基
板100としてポリエチレンテレフタレートフィルムを
用いた場合のみ説明したが、これに限らず、例えばポリ
イミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルイ
ミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等の
高分子フィルムでも、全く同様であることは言うまでも
ない。
板100としてポリエチレンテレフタレートフィルムを
用いた場合のみ説明したが、これに限らず、例えばポリ
イミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルイ
ミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等の
高分子フィルムでも、全く同様であることは言うまでも
ない。
【0040】また、円筒状キャン110の大きさ、蒸発
原子の入射角、蒸発部180,181の間隔、酸素導入
量あるいは膜厚なども上記実施例の値に限定されるもの
ではない。
原子の入射角、蒸発部180,181の間隔、酸素導入
量あるいは膜厚なども上記実施例の値に限定されるもの
ではない。
【0041】
【発明の効果】この発明によれば、走行している基板上
に、真空蒸着法によってコバルトと酸素またはコバルト
とニッケルと酸素を主成分とする磁性層を形成する際
に、1個の蒸発源に基板走行方向において蒸発部を2カ
所とすることで、従来よりも開口部(蒸発原子の入射範
囲)を基板走行方向に拡大し、終期入射部に酸素を導入
するとともに初期入射部へも酸素を導入することで、高
い生産性で優れた記録再生特性を有する磁気記録媒体を
製造することができる。
に、真空蒸着法によってコバルトと酸素またはコバルト
とニッケルと酸素を主成分とする磁性層を形成する際
に、1個の蒸発源に基板走行方向において蒸発部を2カ
所とすることで、従来よりも開口部(蒸発原子の入射範
囲)を基板走行方向に拡大し、終期入射部に酸素を導入
するとともに初期入射部へも酸素を導入することで、高
い生産性で優れた記録再生特性を有する磁気記録媒体を
製造することができる。
【0042】さらに、2つの蒸発源を設けることによ
り、2層構造の磁性層を1回の基板走行で形成すること
ができ、2層構造とすることでより特性の優れた磁気記
録媒体を生産性よく製造することができる。
り、2層構造の磁性層を1回の基板走行で形成すること
ができ、2層構造とすることでより特性の優れた磁気記
録媒体を生産性よく製造することができる。
【図1】この発明の第1の実施例における磁気記録媒体
の製造方法に用いられる真空蒸着装置の内部構成を示す
概略断面図である。
の製造方法に用いられる真空蒸着装置の内部構成を示す
概略断面図である。
【図2】この発明の第1の実施例における蒸発源の概略
を示す斜視図である。
を示す斜視図である。
【図3】この発明の第1の実施例における酸素導入ノズ
ルの概略を示す斜視図である。
ルの概略を示す斜視図である。
【図4】この発明の第1の実施例における初期入射部の
概略拡大断面図である。
概略拡大断面図である。
【図5】この発明の第2の実施例における磁気記録媒体
の製造方法に用いられる真空蒸着装置の内部構成を示す
概略断面図である。
の製造方法に用いられる真空蒸着装置の内部構成を示す
概略断面図である。
【図6】従来の磁気記録媒体の製造方法に用いられる真
空蒸着装置の内部構成を示す概略断面図である。
空蒸着装置の内部構成を示す概略断面図である。
100 基板 110 円筒状キャン 120 蒸発物質 121 蒸発物質 130 蒸発源 131 蒸発源 140 遮蔽板 141 遮蔽板 142 遮蔽板 143 遮蔽板 150 酸素導入ノズル 151 酸素導入ノズル 152 酸素導入ノズル 160 供給ロール 170 巻き取りロール 180 蒸発部 181 蒸発部 182 蒸発部 190 第1開口部 191 第2開口部
フロントページの続き (72)発明者 石田 達朗 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−41442(JP,A) 特開 昭60−157728(JP,A) 特開 昭63−193328(JP,A) 特開 平1−258226(JP,A) 欧州特許出願公開650159(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/85 C23C 14/08 C23C 14/56
Claims (4)
- 【請求項1】 走行する基板上に真空蒸着法によってコ
バルトと酸素またはコバルトとニッケルと酸素を主成分
とする磁性層を形成する際、コバルトまたはコバルト・
ニッケル合金の蒸発源に前記基板の走行方向の上流側お
よび下流側に蒸発部を設け、前記上流側および下流側蒸
発部からの蒸発原子の前記基板への入射範囲を上流側お
よび下流側遮蔽板によって規定し、前記上流側蒸発部か
らの蒸発原子の前記入射範囲の初期入射部への入射角よ
り前記下流側蒸発部からの蒸発原子の前記入射範囲の終
期入射部への入射角の方を小さくし、前記入射範囲の初
期入射部および終期入射部に酸素を導入することを特徴
とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項2】 走行する基板上に真空蒸着法によってコ
バルトと酸素またはコバルトとニッケルと酸素を主成分
とする磁性層を形成する際、前記基板の走行方向の下流
側にコバルトまたはコバルト・ニッケル合金の第1の蒸
発源を配置するとともに、前記基板の走行方向の上流側
にコバルトまたはコバルト・ニッケル合金の第2の蒸発
源を配置し、前記第1の蒸発源に前記基板の走行方向の
上流側および下流側に蒸発部を設け、前記上流側および
下流側蒸発部からの蒸発原子の前記基板への第1の入射
範囲を第1の上流側および下流側遮蔽板によって規定
し、前記上流側蒸発部からの蒸発原子の前記第1の入射
範囲の初期入射部への入射角より前記下流側蒸発部から
の蒸発原子の前記第1の入射範囲の終期入射部への入射
角の方を小さくし、前記第1の入射範囲の初期入射部お
よび終期入射部に酸素を導入し、前記第2の蒸発源から
の蒸発原子の前記基板への第2の入射範囲を第2の上流
側および下流側遮蔽板によって規定し、前記第2の蒸発
源からの蒸発原子の前記第2の入射範囲の初期入射部へ
の入射角より前記第2の蒸発源からの蒸発原子の前記第
2の入射範囲の終期入射部への入射角の方を小さくし、
前記第2の入射範囲の終期入射部に酸素を導入すること
を特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項3】 第2の蒸発源に前記基板の走行方向の上
流側および下流側に蒸発部を設け、前記第2の蒸発源の
上流側蒸発部からの蒸発原子を第2の入射範囲の初期入
射部へ入射させ、前記第2の蒸発源の下流側蒸発部から
の蒸発原子を第2の入射範囲の終期入射部へ入射させ、
前記第2の入射範囲の初期入射部に酸素を導入すること
を特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項4】 初期入射部に酸素を導入する際、上流側
遮蔽板よりも上流位置から基板の走行方向の上流側に向
けて酸素を導入する請求項1,2または3記載の磁気記
録媒体の製造方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15690894A JP3241538B2 (ja) | 1994-07-08 | 1994-07-08 | 磁気記録媒体の製造方法 |
KR1019940026599A KR100239102B1 (ko) | 1993-10-20 | 1994-10-18 | 자기기록매체의 제조방법 |
US08/325,125 US5549936A (en) | 1993-10-20 | 1994-10-18 | Manufacturing method of magnetic recording medium |
EP94116433A EP0650159B1 (en) | 1993-10-20 | 1994-10-19 | Manufacturing method of magnetic recording medium |
DE69426748T DE69426748T2 (de) | 1993-10-20 | 1994-10-19 | Verfahren zur Herstellung eines magnetischen Aufzeichnungsmediums |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15690894A JP3241538B2 (ja) | 1994-07-08 | 1994-07-08 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0830970A JPH0830970A (ja) | 1996-02-02 |
JP3241538B2 true JP3241538B2 (ja) | 2001-12-25 |
Family
ID=15638021
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15690894A Expired - Fee Related JP3241538B2 (ja) | 1993-10-20 | 1994-07-08 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3241538B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6580678B2 (en) | 1999-09-08 | 2003-06-17 | Mitsubishi Chemical Corporation | Rewritable compact disk and manufacturing method thereof |
-
1994
- 1994-07-08 JP JP15690894A patent/JP3241538B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6580678B2 (en) | 1999-09-08 | 2003-06-17 | Mitsubishi Chemical Corporation | Rewritable compact disk and manufacturing method thereof |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0830970A (ja) | 1996-02-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5418059A (en) | Magnetic recording medium and method for producing the same | |
KR0185237B1 (ko) | 자기기록매체 및 그 제조방법 | |
JP3241538B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
US5298282A (en) | Production of magnetic recording medium | |
US5962066A (en) | Method and device for manufacturing a thin film and magnetic recording medium | |
US5549936A (en) | Manufacturing method of magnetic recording medium | |
JP3139181B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP3173549B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JPH0896339A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JP2946748B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP3335803B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法及び薄膜の製造装置並びに磁気記録媒体 | |
JP2003123241A (ja) | 磁気記録媒体およびその製造方法 | |
JPH0689430A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JPH07141655A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JPS62289911A (ja) | 磁気記録媒体およびその製造方法 | |
JP2006048840A (ja) | 磁気記録媒体およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体の記録再生方法 | |
JPH0773430A (ja) | 磁気記録媒体ならびにその記録方法 | |
JPH0689431A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JPH08221753A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JPH0995778A (ja) | 真空蒸着装置 | |
JPS6156563B2 (ja) | ||
JPH0729143A (ja) | 磁気記録媒体及びその製造方法 | |
JPH07220261A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JPH0841644A (ja) | 薄膜形成装置 | |
JPH11259845A (ja) | 磁気記録媒体及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |