JPH07220261A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH07220261A
JPH07220261A JP634694A JP634694A JPH07220261A JP H07220261 A JPH07220261 A JP H07220261A JP 634694 A JP634694 A JP 634694A JP 634694 A JP634694 A JP 634694A JP H07220261 A JPH07220261 A JP H07220261A
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Japan
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polymer substrate
protrusions
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height
magnetic recording
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JP634694A
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English (en)
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Tatsuro Ishida
達朗 石田
Ryuji Sugita
龍二 杉田
Kiyokazu Toma
清和 東間
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は薄膜型磁気記録媒体に関するもの
で、高いS/Nおよび実用特性を有する磁気テープを提
供することを目的とする。 【構成】 断面曲線の山頂から谷底までの距離にて表示
した高さが10nm以上である突起が0.1個/μm2以上の密度
で形成され、かつ突起の頂点を中心とする半径100nmの
円内を除く面内で測定される断面曲線の基準長さ0.8μm
における十点平均粗さが6nm以下である高分子基板1表
面上に、磁化容易軸が膜法線に対して傾斜している膜厚
120nm以下のCo基の強磁性薄膜層2が形成され、Co
基の強磁性薄膜層の上に保護層3が形成され、さらにそ
の上に潤滑剤4を有する磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高いS/N、安定な走行
性および充分な耐久性を有し、特に回転ヘッド型VTR
に使用される磁気テープとして適した薄膜型磁気記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、磁気記録再生装置は小型化、高密
度化の傾向にあり、従来の塗布型磁気記録媒体の高記録
密度化の限界を越えるものとして薄膜型磁気記録媒体が
注目されている。薄膜型磁気記録媒体は真空蒸着法、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法等の方法によ
り作製され、従来の塗布型磁気記録媒体媒体に比べて飛
躍的に優れた短波長記録再生特性を有する。薄膜型磁気
記録媒体における磁性層としては例えば、Co、Co−
Ni、Co−Ni−P、Co−O、Co−Ni−O、C
o−Cr、Co−Ni−Cr等のCo基の材料が有望で
ある。
【0003】回転ヘッド型VTRに使用される磁気テー
プとして実用化する際の製造法としては、生産性の観点
から真空蒸着法が最も適している。回転ヘッド型VTR
用の磁気テープとしては、CoとNiとOを主成分とす
る薄膜型の蒸着テープがハイバンド8ミリVTR用にす
でに実用化され市販されている。このような蒸着テープ
を生産性良く製造するためには、円筒状ローラ系を用い
た連続真空蒸着装置により、長尺の高分子基板を移動さ
せながらその上に磁性層を連続して蒸着すればよい。
【0004】蒸着テープ製造方法の一例を、図8を用い
て以下に説明する。図8は蒸着テープを作製するための
真空蒸着装置内部の構成の一例である。供給ロール12
から巻き出された高分子基板1が円筒状キャン10に沿
って矢印17の向きに走行する間に、蒸発源14から蒸
発した蒸発原子15が高分子基板1に付着し、磁性層が
形成される。蒸発源14には例えば、CoとNiとOを
主成分とするハイバンド8ミリVTR用の蒸着テープを
製造する場合には、CoとNiの合金が充填される。な
お、蒸着法には、抵抗加熱や誘導加熱等の方法もある
が、特にCo等の高融点金属を高い蒸発速度で蒸発させ
るためには、電子ビーム蒸着が適している。11A、1
1Bは不要な蒸発原子が基板に付着するのを防ぐために
設けてある遮蔽板である。この遮蔽板により、蒸発原子
の基板への入射角が、基板法線に対して、膜形成初期部
における値φiから膜形成終期部における値φfの間の領
域に設定される。従来、ハイバンド8ミリVTR用の蒸
着テープ等の製造の際には、膜形成初期部における蒸発
原子の基板への入射角は基板法線に対して90゜が望まし
いと考えられているので、遮蔽板11Aは用いられてい
ない。16は蒸着時に真空槽内に酸素を導入するための
酸素導入口である。また13は、磁性層が形成された高
分子基板1を巻き取る巻き取りロールである。
【0005】上記のようにして作製されたCo基の磁性
層は、柱状構造を有しており、磁化容易軸が磁性膜の法
線に対して傾斜している。すなわち、磁化容易軸が膜面
内あるいは膜面の法線方向にあるのではなく、蒸発原子
の高分子基板への入射方向を含む法面内において、法線
に対して斜めに傾斜した方向にある。例えば、市販のH
i8方式VTR用蒸着テープでは、磁化容易軸がテープ
の長手方向を含む法面内において、膜法線から約70゜傾
斜している。ここでテープの長手方向とは、テープの長
さ方向のことであり、図8に示す製造装置においては、
高分子基板の走行方向になる。磁気ヘッドにより記録さ
れた磁化は、斜めに傾斜した磁化容易軸方向に残留し、
従来の長手記録とは異なった磁化モードを形成する。こ
のような斜め磁化モードの形成により、従来の長手記録
媒体に比べて高記録密度特性が顕著に改善されている。
【0006】磁気テープは高いS/Nを有するだけでな
く、VTRでの使用に際しての安定な走行性および充分
な耐久性を要求される。このため、例えば特開昭58-682
27号公報等に開示されたように、薄膜型磁気テープに適
した表面形状を高分子基板表面に付与することが多種多
様に提案されている。磁性層形成後の磁気テープの表面
には、この高分子基板の表面形状を反映した凹凸が形成
される。これによりVTRの走行系各部との動摩擦係数
が低減され、磁気テープの走行性、耐久性が向上され
る。図9、図10に、このような表面形状の付与がなさ
れた薄膜型磁気テープの構成例を断面図で示す。図9
は、微小粒子による突起がしわ状皮膜の表面に突出した
構成の高分子基板を用いた薄膜型磁気テープ、図10
は、微小粒子による突起がミミズ状皮膜の表面に突出し
た構成の高分子基板を用いた薄膜型磁気テープの構成例
である。
【0007】上述の技術による薄膜型磁気テープは、カ
メラ一体型家庭用VTR等の普及に大きく寄与し、さら
に次世代の家庭用小型ディジタルVTR、特にハイビジ
ョン対応ディジタルVTRに対応する磁気テープとして
も応用が期待されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】今後、磁気記録再生装
置はますます小型大容量化の方向にある。VTRの分野
においても、例えばハイビジョン対応ディジタルVTR
を小型磁気テープカセットで実現するためには、さらに
線記録密度およびトラック密度の向上がなされなければ
ならない。従って、磁気テープにおいては、従来にもま
して高S/N化、特に短波長領域における高S/N化を
達成することが要求されている。また同時に、安定な走
行性および充分な耐久性が、当然確保されなければなら
ない。
【0009】しかしながら、走行性および耐久性を確保
するために高分子基板に付与された表面形状により、磁
気テープには典型的な短波長損失であるスペーシング損
失が生じ、短波長領域におけるS/Nを低下させる。す
なわち、磁気テープの高S/N化と走行性および耐久性
等の高信頼性の確保とは相反する要素であり、上記要求
を満たす磁気テープの開発を困難なものとしている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題に鑑
み、従来の蒸着テープよりも高S/Nでかつ安定な走行
性および耐久性を有する磁気テープを提供するものであ
り、断面曲線の山頂から谷底までの距離にて表示した高
さが10nm以上である突起が0.1個/μm2以上の密度で形成
され、かつ前記突起の頂点を中心とする半径100nmの円
内を除く面内で測定される断面曲線の基準長さ0.8μmに
おける十点平均粗さが6nm以下である高分子基板表面上
に、直接にあるいは非磁性下地層を介して、磁化容易軸
が膜法線に対して傾斜している膜厚120nm以下のCo基
の強磁性薄膜層が形成され、前記Co基の強磁性薄膜層
の上に保護層が形成され、さらに前記保護層の上に潤滑
剤を有することを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明者らは、高分子基板の表面性およびCo
基の磁性層の構成について検討を行い、高分子基板の表
面形状だけ、あるいは薄膜磁性層の構成だけを制御して
も、高S/Nかつ高信頼性を満足する磁気テープは得ら
れず、両者を同時に最適化することにより、高S/Nお
よび高信頼性の磁気テープを実現できることを見いだし
た。
【0012】Co基薄膜磁性層の磁気的配向は、おもに
Coの結晶磁気異方性に起因するものであり、Coの結
晶性およびこれに起因する磁気特性の優劣は、当然磁気
記録再生性能にも大きく影響する。本発明者らは、Co
基の薄膜型磁気記録媒体の製造において種々の表面形状
を有する高分子基板を使用して検討したところ、高分子
基板の表面形状によってCoの結晶性が異なることに起
因すると考えられる磁気特性の優劣を生じることが明ら
かとなった。すなわち、従来の表面形状を有する高分子
基板とCo基の磁性層との組み合わせにおいては、表面
形状によるスペーシング損失によりS/Nを低下させる
だけでなく、Co基の磁性層が本来有する磁気特性が得
られないことによるS/N低下をも生じていることにな
る。従って、従来にもまして高S/Nかつ高信頼性有す
る薄膜型磁気テープを実現するためには、高分子基板の
表面形状と磁性層の構成との組み合わせにおいて、磁気
テープの構成を最適化することが重要となる。
【0013】本発明の構成では、第1にCoの結晶性向
上の観点から、高さが10nm以上である突起が0.1個/μm2
以上の密度で形成され、かつこの突起の頂点を中心とす
る半径100nmの円内を除く部分において測定される断面
曲線の十点平均粗さが6nm以下であるような表面形状を
有する高分子基板を用いている。
【0014】上記高分子基板の構成を、図7を用いて説
明する。図7は、磁気記録媒体に用いられる高分子基板
表面の断面曲線の一例を示すもので、走査型トンネル顕
微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)などの走査
型プローブ顕微鏡を用いて測定される。ここで、高分子
基板表面の突起高さhは、JIS表面粗さ(B0601)に規定さ
れている最大高さRmaxに準じて断面曲線の山頂から谷
底までの距離にて表わされるものとする。また、この突
起の頂点を中心とする半径100nmの円内を除く部分の十
点平均粗さRzは、同様にJIS表面粗さ(B0601)の規定に
準じて、基準長さ0.8μmにおける十点平均粗さで表され
るものとする。
【0015】なお、ここで述べられる突起とは、高分子
基板のオリゴマの発生や異物の混入および突起を形成す
るための微小粒子の凝集等に起因する、高分子基板の欠
陥として認識されるものは除外したものであり、走行性
や耐久性を改善するために意図的に形成したものをさす
ものとする。
【0016】すなわち図7によれば、本発明の磁気記録
媒体に用いられる高分子基板の構成条件は、hが10nm以
上である突起が0.1個/μm2以上の密度で形成され、かつ
これら突起の頂点9を中心とする半径100nmの円内を除
く部分で測定される十点平均粗さRzが6nm以下である表
面形状を有することである。
【0017】高分子基板表面には高信頼性確保のために
最小限必要な突起は形成しなければならないが、Coの
結晶性向上の観点からは、この突起近傍を除く部分の表
面をできる限り平坦化することが好ましい。本発明者ら
の検討によれば、突起の頂点9を中心とする半径100nm
の円内を除く部分で測定される十点平均粗さRzが小さ
くなるほどCoの結晶性向上に起因する記録再生性能の
向上が認められ、Rzが6nm以下の領域においてほぼ飽和
するという結果が得られている。
【0018】一方、図9、10に示されるようなしわ状
あるいはミミズ状皮膜を有する高分子基板を用いた場合
には、微小粒子による突起の近傍を除く部分において
も、皮膜の表面粗さが大きいためにCoの結晶が均一に
配向しにくい。従って、本発明の構成条件を満たす高分
子基板を用いることにより、従来提案されたような突起
がしわ状あるいはミミズ状皮膜の表面に突出した構成の
高分子基板を用いた場合よりも、Coの結晶性および記
録再生性能が顕著に改善される。
【0019】しかしながら、本発明の構成条件を満足す
る表面形状を有する高分子基板上に、例えば市販のHi
8方式VTR用蒸着テープにおいて形成されているよう
な従来構成の磁性層を形成しても、磁気テープに必要な
高信頼性は確保されない。その理由の一つに磁性層厚が
挙げられる。従来の蒸着テープの磁性層の構成では、磁
性層厚を180nmから場合によっては200nm以上にも厚くし
ているため、結晶粒径が増大してしまい、この結晶粒に
よる磁性層の表面荒れが発生する。その結果、従来の蒸
着テープの磁性層を形成する場合には、高分子基板表面
を本発明の条件を満足するようにしても、高分子基板の
表面性が磁性層の表面に反映されず、摩擦係数が増加し
てしまい、安定な走行が困難となる。
【0020】一方、本発明のテープ構成においては、磁
性層厚を120nm以下にすることにより、従来よりも突起
高さhおよびその突起密度が低い高分子基板を用いて
も、その表面形状が磁性層表面に反映され易くなる。こ
のため、上述したような本発明の構成の高分子基板を用
いても、安定な走行性が確保される。また、磁性層厚が
薄いことは、短波長領域における自己減磁損失を小さく
できるという観点からも、短波長領域におけるS/Nの
向上に有利である。
【0021】従来構成の蒸着テープ用高分子基板のよう
に、しわ状あるいはミミズ状皮膜のない高分子基板を用
いた本発明の構成では、耐久性を確保するため、あるい
はヘッドめづまりの防止策として、磁性層表面に保護層
を形成する必要がある。この保護層は、特にヘッドめづ
まりを防止するために、ヘッド表面に対して多少なりと
も研磨作用を有するものが好ましい。このような高信頼
性の観点および生産性の観点から、この保護層としては
プラズマCVD法により形成されるダイヤモンドライク
カーボン(アイ・イー・イー・トランサ゛クションス゛・オン・マク゛ネティクス 23 第24
10頁(1987年) (IEEE Trans. Magn., MAG-23, No. 5, 24
10, 1987))が最も適している。保護層の膜厚は10nm程
度で十分であるが、さらに高信頼性を確保するため、特
に多様な温湿度環境下において使用する際の高信頼性を
確保するためには、保護層上に潤滑剤を塗布することが
必須である。
【0022】なお、高分子基板表面の突起の高さおよび
密度が上述した本発明の構成条件よりも小さい場合には
保護層および潤滑剤を設けた場合においても、デッキ走
行の際に、磁気ヘッド、シリンダ、ポスト等の走行系各
部との摺動によって突起が削られてしまい、十分な耐久
性が得られない。また、高湿環境下においては、摩擦係
数が増加して走行が困難になる。
【0023】本発明の構成において、保護層厚は、当然
短波長領域におけるスペーシング損失の原因となる。し
かしながら、本発明の構成では、Coの優れた結晶性に
より、高配向で非常に磁気異方性エネルギーの高い磁性
層が実現される。このため、本発明の蒸着テープでは、
従来の磁気テープに比べて、スペーシング損失が小さく
なる。磁気記録媒体のスペーシング損失L(dB)は、媒体
の磁性層表面と磁気ヘッド表面間のスペーシングd(n
m)、および記録波長λ(nm)を用いて下式で表される。
【0024】L=K・d/λ ここでKは、スペーシング損失係数とよばれ、この値が
大きいほど、同一量のスペーシングdにたいして、スペ
ーシング損失が大きいということになる。本発明者らの
検討によれば、本発明の蒸着テープを市販のVTRに搭
載されているリング型磁気ヘッドを用いて記録再生した
際のKの値は、記録過程、再生過程あわせて60程度以下
である。一方、市販のHi8方式VTR用蒸着テープの
Kの値は、70〜80程度と見積もられる。また従来の長手
記録媒体においては、Kの値は100〜120程度と報告され
ている(例えば、アイ・イー・イー・トランサ゛クションス゛・オン・マク゛ネティクス 1
8第1206頁(1982年) (IEEE Trans. Magn., MAG-18, No.
6, 1206, 1982))。従って、本発明の蒸着テープのスペ
ーシング損失は非常に小さく、特に従来の長手記録媒体
と比較すると、半分近いことがわかる。上記のような背
景から、本発明において僅か10nm厚の保護層を形成して
も、短波長領域におけるS/N低下は極僅かである。
【0025】また、磁性層厚が従来の蒸着テープの2/
3以下であるため、長波長領域における再生出力が低い
ことが懸念される。しかしながら、本発明の磁気テープ
では上述した構成により、飽和磁化を従来の蒸着テープ
の1.5倍以上に高くしても、高配向な磁性層が実現で
き、磁性層厚が薄い分を十分に補償できる。このため、
本発明の構成では、短波長領域でのS/Nを向上し、同
時に長波長領域においても従来の蒸着テープ以上の再生
出力およびC/Nを有する。
【0026】以上に述べたように、磁気記録媒体を本発
明の構成にすることにより、高いS/Nを有するととも
に、同時に安定な走行性および充分な耐久性を確保で
き、高い信頼性を有する高密度記録用磁気テープを提供
できる。
【0027】
【実施例】本発明の磁気記録媒体の例について詳述す
る。まず本発明の磁気記録媒体の製造方法の一例を図8
に基づいて説明する。
【0028】磁性層を成膜する際には、高分子基板1を
円筒状キャン10の表面に沿って矢印17の向きに走行
させる。蒸発源14と円筒状キャン10との間には遮蔽
板11A、11Bが配置されている。この遮蔽板の開口
部を通って蒸発原子15は高分子基板1に付着する。蒸
発源14には、Co、Co−Ni等のCo基合金を充填
する。また、磁性層を構成するCo基薄膜として、Co
−O、Co−Ni−O等の部分酸化膜を形成する場合に
は、成膜中に酸素導入口16から真空槽内に酸素を導入
しながら反応蒸着により磁性層の形成を行う。
【0029】φi、φfは、それぞれ磁性層の膜形成初期
部および膜形成終了部における蒸発原子の高分子基板1
への入射角で、それぞれ初期入射角、終期入射角と称す
るものとする。従来の蒸着テープを製造する際には、初
期入射角φiを90゜に設定することが必須であると考えら
れていたが、本発明の媒体を製造する際には、φiを85゜
以下とした方が好ましい。蒸発原子の90゜入射角成分が
入ると磁性層厚を大きくした場合と同様に結晶粒が増大
してしまい、この結晶粒による磁性層の表面荒れが発生
する。その結果、高分子基板表面を本発明の条件を満足
するようにしても、高分子基板の表面性が薄膜磁性層の
表面に反映されにくくなるからである。
【0030】また、本発明の構成においては、蒸発原子
の90゜入射角成分が入ると、φiを85゜以下とした場合に
比べて十分な記録再生性能が得られない。蒸発原子の基
板への入射方向は、実際には蒸発原子どうしあるいは導
入ガス分子との衝突などにより散乱されている。初期入
射角φi=90゜とするために遮蔽板11Aを取り除いた場
合には、幾何学的には入射角が90゜となる膜堆積初期部
近傍でも、このような多くの散乱原子が90゜以下の様々
な入射角で入射し基板に堆積する。このため、膜堆積初
期部におけるCoの結晶配向性が劣化し、磁気異方性の
分散を大きくしてしまうのである。従って、このような
散乱原子の影響を除去するためには、磁性層形成初期の
入射角を規制する遮蔽板11Aを設けて、かつこれと円
筒状キャン10との間隙を充分に小さくすることが必要
である。そして散乱原子の影響を十分に小さくするため
には、遮蔽板11Aによって設定される初期入射角φi
を85゜より小さくする方が好ましいのである。
【0031】本発明の構成を有する高分子基板上に従来
の蒸着テープの構成を有する磁性層を形成しても磁気テ
ープに必要な高信頼性は確保されない理由として、先述
した磁性層厚が厚いことに加えて、上記の入射角設定も
影響するものと推測される。従って、従来の蒸着テープ
の磁性層の構成には、本発明の構成を有する高分子基板
は、高信頼性の観点から適さず、むしろ特開昭58-68227
号公報等に示されたような突起がしわ状あるいはミミズ
状皮膜の表面に突出した構成の高分子基板を用いて好結
果が得られていたものと考えられる。
【0032】一方、終期入射角φfについては、55゜以上
に設定することが好ましい。磁気異方性エネルギーの高
い高配向媒体を製造するという観点からは、入射角領域
をできるかぎり狭くする必要がある。終期入射角φfを5
5゜以下に設定すると、磁性層厚方向における異方性の分
散が大きくなり、記録再生性能が低下してしまう。
【0033】磁性層形成時の結晶粒成長を抑制して高分
子基板の表面形状を磁性層表面に反映し易くする要素と
して、すでに磁性層厚と入射角の2点について述べた
が、磁性層を2層以上の構成にしても同様の効果が得ら
れる。磁性層の総厚が同じであれば、1層当たりの膜厚
を薄くした方が、磁性層形成の際の結晶粒成長を抑制で
きるからである。また、このような多層構成では、各層
間の磁気的な分離が促進されてノイズを低減する効果も
同時に得られるので、なおいっそう好ましい。
【0034】高分子基板1としては、ポリエチレンテレ
フタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィル
ム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエ
ーテルイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム等、
磁気テープに一般的に用いられるものはいずれでも用い
ることができる。
【0035】高分子基板の磁性層を形成する側の面に
は、高さhが10nm以上である突起が0.1個/μm2以上の密
度で形成され、かつこの突起の頂点を中心とする半径10
0nmの円内を除く部分の十点平均粗さRzが6nm以下であ
るような表面形状を有するという本発明の構成要素が満
足されなければならない。このような表面形状の付与手
段としては、例えば、図1に示す本発明の構成例のよう
な微小粒子を高分子基板の中に内添して表面に突起を突
出させる方法、図2に示す例のような高分子基板表面に
塗布したエマルジョン皮膜の突出部により突起を形成す
る方法、あるいは図3、図4に示す例のような微小粒子
を高分子基板の表面に塗布したエマルジョンや有機系結
合剤等で付着させる方法などがある。
【0036】このうち、微小粒子を高分子基板の表面に
塗布したエマルジョンや有機系結合剤等で付着させた高
分子基板では、磁性層を形成するまでの過程で微小粒子
が欠落することのないよう、微小粒子の高分子基板表面
への付着力を十分に強くする必要がある。また、エマル
ジョンや有機系結合剤を塗布した高分子基板を用いる場
合には磁性層の形成過程において、エマルジョンや有機
系結合剤およびこれらの中に残留する界面活性剤などか
ら発生する種々のガスが、磁気特性に悪影響を及ぼし、
記録再生性能の低下を招くことがあるので、エマルジョ
ンや有機系結合剤、界面活性剤の選択には注意を要す
る。場合によっては、磁性層を形成するまえに、加熱な
どによる基板のガス出し処理を行うことが必要である。
以上の観点からは、微小粒子を高分子基板の中に内添し
て表面に突起を突出させた高分子基板は、上記のような
微小粒子の欠落や磁性層の形成過程において発生するガ
スの影響が最も少なく、本発明の磁気記録媒体に最も適
している。
【0037】一方、微小粒子を用いて突起形成を行う場
合には、その分散性を十分に確保することが必要であ
る。微小粒子の分散性は、粒子径が小さくなるほど悪く
なる傾向がある。本発明の構成のように微少な表面突起
形状を付与するために、径の小さい粒子を用いると、粒
子が凝集して異常な粗大突起を形成する場合がある。一
般にこのような微小粒子には、SiO2等の硬度な無機
物粒子を用いており、磁性層の形成後さらに硬度な保護
層で覆われると、非常に強固な粗大突起となって磁気テ
ープ表面上に存在する。このような異常突起は、デッキ
走行時にヘッドの偏摩耗を生じ、記録再生特性を劣化さ
せてしまうのである。
【0038】エマルジョン皮膜の突出部により突起を形
成する方法では、微小粒子を用いる方法よりも、このよ
うな異常突起の発生を抑制しやすく、比較的ヘッド偏摩
耗を生じ難いという利点がある。この方法においても、
粗大なエマルジョン粒子の突出による異常突起の発生を
完全に防ぐことはできない。しかし、エマルジョン皮膜
の突出部により形成された突起は、硬度な無機物粒子に
より形成されたものよりも比較的柔らかで、ヘッド表面
との接触において弾力的かつ緩衝的であるものと考えら
れる。このため、異常な粗大突起が多少存在しても、比
較的偏摩耗を生じにくくなっているものと推測される。
【0039】本発明の蒸着テープは、高分子基板表面に
高さ10nm以上の突起が0.1個/μm2以上の密度で形成され
てなるが、特に高湿度環境下での走行性、耐久性を十分
確保するためには、高さ10nm以上の突起の平均高さが25
nm程度あった方が好ましい。しかし、初期入射角φiを8
5゜以下として磁性層を形成する場合には、先述のように
高分子基板の表面形状が磁性層表面に反映され易くなる
ため、高さ10nm以上の突起の平均高さを20nm以下に低く
した場合でも、高湿度環境下での走行性、耐久性が十分
に確保される。ただしこの場合には、突起高さと同時に
突起径を制御し、高さ10nm以上の突起の90%以上は、図
7に示す突起径dが50nm以上200nm以下の範囲にあるこ
とが好ましい。ここで図7における突起径dは、突起高
さhの半分すなわちh/2の高さにおける突起径であ
る。突起径dが50nm以下の場合には、高さが10nm近い低
い突起が磁性層の柱状結晶粒の成長に埋もれ、磁性層表
面には突起形状として反映されにくくなる。従って、突
起径dが50nm以下の突起が多くなると、結果的に磁性層
表面に形成される突起密度が減少してしまい、耐久性が
劣化する。また突起径dが100nmを越える突起が多くな
ると、突起の急峻さが失われて突起の最先端部が平坦に
なるためVTR走行系各部との接触面積が増加し、摩擦
係数の増加に伴う走行不良を生じ易くなる。これは、突
起密度が大きい場合に特に顕著である。
【0040】以上では、高分子基板上に直接磁性層を形
成した場合について説明したが、図5、6に示すよう
に、高分子基板上に非磁性下地層を形成した後に磁性層
を形成した構成としてもよい。図5、6には、高分子基
板の表面形状の付与手段として、微小粒子を高分子基板
の中に内添して表面に突起を突出させる方法、および高
分子基板表面に塗布したエマルジョン皮膜の突出部によ
り突起を形成する方法を用いた構成を示したが、図3、
図4に示す例のような微小粒子を高分子基板の表面に塗
布したエマルジョンや有機系結合剤等で付着させる方法
を用いた構成でもよい。上記のように非磁性下地層を形
成する構成でも、高分子基板上に直接磁性層を形成した
場合と同様の構成の高分子基板および磁性層により、高
S/Nかつ高信頼性を有する本発明の磁気記録媒体を得
ることができる。
【0041】ただし非磁性下地層を形成する構成では、
非磁性下地層と磁性層の総膜厚を150nm以下にする必要
がある。総膜厚が150nmを越えると磁性層表面には高分
子基板の表面形状が反映されにくくなり、所望の走行性
および耐久性が得られない。
【0042】非磁性下地層としては、例えばCoO膜等
のCo基の酸化膜が適している。このようなCo基酸化
膜の非磁性下地層を形成することにより、S/Nがさら
に改善される。これは、Co基の磁性層がCo基酸化膜
上にエピタキシャル的に堆積することにより、Coの結
晶性がさらに向上し、磁気異方性エネルギーが高まるた
めであると考えられる。
【0043】Co基酸化膜よりなる非磁性下地層は、図
8に示すような連続蒸着装置を用い、CoあるいはCo
基合金を蒸発させ、膜形成部近傍に過剰の酸素を導入す
ることにより形成される。形成された非磁性のCo基酸
化膜は、過剰酸素による蒸発原子の散乱のため蒸発原子
の高分子基板1への入射角によらず、ほぼ基板面に垂直
方向に柱状結晶粒が成長する。従って、蒸発原子の高分
子基板1への入射角を厳密に制御する必要はない。しか
し磁性層表面に高分子基板の表面形状を十分に反映させ
るという観点から、非磁性下地層形成後の表面は、高分
子基板表面と同様の表面形状を有していることが必要で
ある。上記のように柱状結晶粒の成長を伴うCo基酸化
膜では、磁性層と同様に膜厚の増加とともに高分子基板
の表面形状を反映しにくくなる。このため、Co基酸化
膜下地層の膜厚は、50nm以下とする方が好ましい。か
つ、Co基酸化膜下地層と磁性層の総膜厚を150nm以下
にすることが必要である。
【0044】またCo基酸化膜に限らず、非磁性下地層
を形成した場合には、磁性層の形成過程において高分子
基板から発生するガスを低減する効果がある。従って、
非磁性下地層を形成した場合には、エマルジョンや有機
系結合剤を用いて表面形状を付与した高分子基板を用い
ても、発生ガスが、磁気特性に悪影響を及ぼして記録再
生性能を低下させる恐れが少なくなる。
【0045】なお非磁性下地層を形成した場合にも、十
分な高信頼性を確保するためには、保護層および潤滑剤
が必須である。また、磁性層形成時の初期入射角φiを8
5゜以下に設定することによる効果、磁性層を2層以上の
構成にすることによる効果は、高分子基板上に直接磁性
層を形成した場合と同様に得られる。
【0046】次に、具体的な実施例について述べる。直
径1mの円筒状キャンを有する、図8に示す構成の連続蒸
着装置により、厚さ7μmの高分子基板上に直接にあるい
はCoO非磁性下地層を介して、強磁性Co−O薄膜を
形成した。強磁性Co−O薄膜は、蒸発源14にCoを
充填し、図8に示される位置に配置された酸素導入口1
6より、酸素を0.8l/min導入しながら反応蒸着により形
成した。また、CoO非磁性下地層は、同じ連続蒸着装
置において、酸素導入口16より3l/min酸素を導入して
形成した。CoO非磁性下地層および強磁性Co−O薄
膜形成時の膜堆積速度は、約300nm/sとした。また、C
oO非磁性下地層および強磁性Co−O薄膜形成時の高
分子基板温度は約30℃とした。
【0047】高分子基板1の材質には、ポリエチレンテ
レフタレートフィルムを用いた。表面形状の付与手段と
して、図1、5に示すような微小粒子を高分子基板の中
に内添して表面に突起を突出させたもの(以下aタイ
プ)、図2、6に示すような高分子基板表面に塗布した
エマルジョン皮膜の突出部により突起を形成したもの
(以下bタイプ)をそれぞれ用いた。また従来構成との
比較のために、図9に示すような突起がしわ状皮膜の表
面に突出した構成(以下cタイプ)、図10に示すよう
な突起がミミズ状皮膜の表面に突出した構成(以下dタ
イプ)を有する、特開昭58-68227号公報等に開示された
高分子基板も用いて検討した。
【0048】保護層としては、イソオクタンを原料ガス
とし、プラズマCVD法により膜厚10nmのダイヤモンド
ライクカーボン膜を形成した。また比較のため、保護層
を形成しないサンプルも作製し検討した。また潤滑剤に
は、カルボン酸系の潤滑剤を用いた。なお、適正な潤滑
剤量は、テープ表面の形状に応じて異なるため、各々の
サンプルについて最適となるよう潤滑剤量を調整した。
また比較のため、潤滑剤を塗布しないサンプルも作製し
た。
【0049】上記の他、従来構成の蒸着テープの例とし
て、図9、10の示すような市販のVTR用蒸着テープ
と同様の構成のサンプルも作製し、検討した。
【0050】作製した本発明の構成を有するサンプル
(実施例)および比較サンプル(比較例)、従来構成を
有するサンプル(従来例)の高分子基板および磁性層の
詳細な構成を以下に示す。なお、図7に基づいて述べた
ように、以下の記述において、高分子基板表面の突起高
さhは、JIS表面粗さ(B0601)に規定されている最大高さ
maxに準じて断面曲線の山頂から谷底までの距離にて
表わされるもの、この突起の頂点を中心とする半径100n
mの円内を除く部分の十点平均粗さRzは、同様にJIS表
面粗さ(B0601)の規定に準じて、基準長さ0.8μmにおけ
る十点平均粗さで表されるもの、また突起径dは、突起
高さhの半分すなわちh/2の高さにおける突起径で、
それぞれ走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて測定
されたものである。また、「h以上の高さを有する突起
の頂点を中心とする半径100nmの円内を除く部分におい
て測定される断面曲線の基準長さ0.8μmにおける十点平
均粗さRz」は、「高さh以上の突起近傍を除く部分の
表面粗さRz」と略記した。なお、従来構成のcタイプ
あるいはdタイプの基板においては、突起密度が大きい
ことから、h以上の高さを有する突起の頂点を中心とす
る半径100nmの円内を除く部分において、断面曲線の基
準長さ0.8μmを得ることができない場合があった。この
ような場合には、十分な測定長さを有する任意の領域の
断面曲線から、突起の頂点を中心とする半径100nmの円
内に相当する部分を取り除き、残りの部分において基準
長さ0.8μmに相当する十点平均粗さを求めてRzとし
た。
【0051】(実施例1) ・高分子基板 種類:aタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:7個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:18nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の90%以
上が50nm以上100nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:4nm ・磁性層:単層 膜厚:80nm 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:無し ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (実施例2) ・高分子基板 種類:bタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:0.4個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:20nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の90%以
上が50nm以上100nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:5nm ・磁性層:単層 膜厚:100nm 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:無し ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (実施例3) ・高分子基板 種類:aタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:7個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:18nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の90%以
上が50nm以上100nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:4nm ・磁性層:2層 膜厚:80nm(各層40nmづつ) 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:無し ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (実施例4) ・高分子基板 種類:aタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:7個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:18nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の90%以
上が50nm以上100nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:4nm ・磁性層:2層 膜厚:80nm(各層40nmづつ) 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:膜厚30nm ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (実施例5) ・高分子基板 種類:bタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:0.5個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:25nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の30%以
上が100nm以上 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:5nm ・磁性層:単層 膜厚:110nm 初期入射角φi:90゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:無し ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (実施例6) ・高分子基板 種類:aタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:7個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:25nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の30%以
上が50nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:4nm ・磁性層:2層 膜厚:90nm(各層45nmづつ) 初期入射角φi:90゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:膜厚30nm ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (比較例1) ・高分子基板 種類:bタイプ 15nm以上の高さhを有する突起の密度:0.6個/μm2 15nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:20nm 15nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の90%以
上が50nm以上100nm以下 高さ15nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:10n
m ・磁性層:単層 膜厚:100nm 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:無し ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (比較例2) ・高分子基板 種類:dタイプ 20nm以上の高さhを有する突起の密度:20個/μm2 20nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:35nm 20nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の50%以
上が100nm以上 高さ20nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:15n
m ・磁性層:単層 膜厚:100nm 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:無し ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (比較例3) ・高分子基板 種類:bタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:0.08個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:20nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の90%以
上が50nm以上100nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:5nm ・磁性層:2層(各層50nmづつ) 膜厚:100nm 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:無し ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (比較例4) ・高分子基板 種類:aタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:7個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:18nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の90%以
上が50nm以上100nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:4nm ・磁性層:2層 膜厚:80nm(各層40nmづつ) 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:膜厚30nm ・保護層:無し ・潤滑剤:有り (比較例5) ・高分子基板 種類:aタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:7個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:18nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の90%以
上が50nm以上100nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:4nm ・磁性層:2層 膜厚:80nm(各層40nmづつ) 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:膜厚30nm ・保護層:有り ・潤滑剤:無し (比較例6) ・高分子基板 種類:aタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:7個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:18nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の30%以
上が50nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:4nm ・磁性層:2層 膜厚:80nm(各層40nmづつ) 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:膜厚30nm ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (比較例7) ・高分子基板 種類:aタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:7個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:18nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の30%以
上が100nm以上 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:4nm ・磁性層:2層 膜厚:80nm(各層40nmづつ) 初期入射角φi:85゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:膜厚30nm ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (比較例8) ・高分子基板 種類:aタイプ 10nm以上の高さhを有する突起の密度:7個/μm2 10nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:18nm 10nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の90%以
上が50nm以上100nm以下 高さ10nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:4nm ・磁性層:2層 膜厚:90nm(各層45nmづつ) 初期入射角φi:90゜ 終期入射角φf:60゜ ・CoO非磁性下地層:膜厚30nm ・保護層:有り ・潤滑剤:有り (従来例1) ・高分子基板 種類:cタイプ 20nm以上の高さhを有する突起の密度:18個/μm2 20nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:35nm 20nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の80%以
上が100nm以上 高さ20nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:15n
m ・磁性層:単層 膜厚:180nm 初期入射角φi:90゜ 終期入射角φf:40゜ ・CoO非磁性下地層:無し ・保護層:無し ・潤滑剤:有り (従来例2) ・高分子基板 種類:dタイプ 20nm以上の高さhを有する突起の密度:20個/μm2 20nm以上の高さhを有する突起の平均高さ:35nm 20nm以上の高さhを有する突起の径d:突起数の50%以
上が100nm以上 高さ20nm以上の突起近傍を除く部分の表面粗さRz:15n
m ・磁性層:単層 膜厚:110nm 初期入射角φi:90゜ 終期入射角φf:40゜ ・CoO非磁性下地層:無し ・保護層:無し ・潤滑剤:有り 上記の作製サンプルをテープ状にスリットし、記録再生
特性、走行性および耐久性を調べた。
【0052】記録再生特性は、センダストMIGヘッド
を用いて測定した。このヘッドのギャップ長は0.15μm
である。なお、再生出力は記録波長0.4μmでの値、ノイ
ズは記録信号を記録した際、記録信号周波数より1MHz低
い周波数における変調ノイズを測定した。
【0053】走行性は、ドローイング法により各サンプ
ルの摩擦係数を測定することにより評価した。測定は、
直径4mm、表面粗さ0.2SのSUSポストを用い、テープ
の走行速度を10mm/sとして、23℃55%RHの環境下で行っ
た。
【0054】耐久性は、市販のVTRデッキでのスチル
寿命により評価した。波長0.5μmの信号を記録し、スチ
ル状態でこの再生出力が6dB低下するまでの時間をスチ
ル寿命とした。なお、耐久性の測定は、低湿度(25℃10%
RH)、高湿度(20℃80%RH)の2環境下で行った。
【0055】評価結果を(表1)に示す。再生出力およ
びノイズは実施例1を0dBとして、これに対する相対値
で示してある。従って、実施例1に対する各サンプルの
C/N比の相対値は、表1に示す[再生出力値−ノイズ
値]で与えられることになる。S/Nは、磁気テープの
応用されるシステム設定によって異なってくるため、本
検討の評価基準として導入するには、複雑な議論が必要
となる。上記のC/N値は、磁気テープの性能比較を行
う上での評価基準として、検討を行った記録波長領域に
おけるS/Nを反映する単純かつ有用な値である。
【0056】
【表1】
【0057】(表1)からわかるように、記録再生特
性、摩擦係数、耐久性を総合的に判断すると、本発明の
構成を有する実施例1〜6のサンプルは、記録再生特
性、摩擦係数、耐久性を総合的に判断して、従来構成を
有するサンプル従来例1、2に比べて飛躍的に優れてい
ることがわかる。
【0058】実施例1および2は、本発明の典型的な構
成において、微小粒子を内添して表面に突起を突出させ
たaタイプの高分子基板を用いた場合と、表面に塗布し
たエマルジョン皮膜の突出部により突起を形成したbタ
イプの高分子基板を用いた場合を比較したものである。
(表1)の結果から、両者に差異は認められない。しか
し、種類の異なるエマルジョンを用いたbタイプの高分
子基板を多種類検討すると、実施例2よりも1〜2dB程度
C/Nの劣るものが数種類認められた。これは、既述し
たように、磁性層の形成過程で高分子基板からガスが発
生して磁気特性に悪影響を及ぼしたものと考えられる。
従って、bタイプの高分子基板を用いる場合には、エマ
ルジョンの種類を選別することが重要である。また、V
TRデッキでの繰り返し走行試験によりヘッド偏摩耗に
関して検討したところ、実施例1、2の両サンプルとも
に実用上問題のない結果が得られたが、特に実施例2の
サンプルにおいて優れていた。実施例1で用いたaタイ
プの高分子基板では、実用上十分な微小粒子の分散性が
達成されているものの、現状の技術では防ぎきれない極
希な異常突起の存在が、bタイプの異常突起よりもヘッ
ド偏摩耗に寄与し易いものと考えられる。なお、実施例
1、2の構成において、磁性層厚を増加していったとこ
ろ、磁性層厚が120nmを越えるあたりから急激に摩擦係
数が増加し、スチル寿命が低下した。また磁性層厚を12
0nmから増加するに従ってノイズが高くなるが、再生出
力はほとんど変化せず、C/Nが低下する結果となっ
た。
【0059】実施例3は、実施例1の構成において磁性
層を各層40nmづつの2層構成にしたものである。同じ高
分子基板を用いても、その表面形状が磁性層表面に反映
され易くなるため、若干摩擦係数が低下する傾向がみら
れ、さらにスチル寿命が向上している。また、ノイズが
低減されることにより、C/Nが1.5dB改善されてい
る。
【0060】実施例4は、実施例3の構成において膜厚
30nmのCoO非磁性下地層を有する構成にしたものであ
る。摩擦係数やスチル寿命は、実施例3と同等である。
一方、CoO非磁性下地層によって記録再生特性特性が
向上し、実施例3に比べて再生出力、ノイズがそれぞれ
0.5dBづつ改善され、C/Nでは1.0dB向上している。な
お、実施例4において、CoO非磁性下地層の膜厚を増
加させたところ、50nmを越えるあたりから急激に摩擦係
数が増加し、スチル寿命が低下した。また、CoO非磁
性下地層の膜厚を50nmとしてCoO非磁性下地層と磁性
層との総膜厚を増加させたところ、150nmを越える場合
に急激に摩擦係数が増加し、スチル寿命が低下した。
【0061】このように、本検討の結果からは、実施例
4の構成が最も優れた記録再生性能および実用信頼性を
有する構成であるということができる。しかしながら、
本発明の磁気記録媒体を商品化することを考慮すると、
実施例4の構成では、磁性層が2層構成とし、かつ非磁
性下地層を形成することによる生産性の低下が懸念され
る。従って、生産性向上を考慮する場合には、非磁性下
地層を形成しない実施例3の構成、さらには磁性層が単
層よりなる実施例1、2の構成とすればよい。
【0062】実施例5、6は、蒸発原子の90゜入射角成
分を入れて磁性層を形成した例である。この場合には、
高分子基板の表面形状が磁性層表面に反映され難くなる
ため、高分子基板表面の10nm以上の高さを有する突起の
平均高さが25nm程度必要となる。それでも、実施例1〜
4と比較すると、若干摩擦係数が大きくなる傾向がみら
れる。また実施例6に示されるように、磁性層を2層構
成としても、摩擦係数やスチル寿命に顕著な改善は見ら
れない。実施例5、6のサンプルは、従来構成の蒸着テ
ープと比較すれば、非常に優れたC/Nを有し、実用信
頼性においても問題はない。しかし蒸発原子の90゜入射
角成分を入れると磁性層の結晶配向性が低下するため、
実施例1〜4と比較すると、再生出力が2dB以上劣る結
果となっている。
【0063】比較例1は実施例2と同様の構成におい
て、15nm以上の高さhを有する突起が0.6個/μmの密度
で形成され、また突起近傍を除く部分の表面粗さRzを1
0nmまで大きくした高分子基板を用いたものである。突
起近傍を除く部分の表面粗さR zが6nm以下という本発明
の構成条件を満たしていないため、実施例2と比較する
と、再生出力の低下およびノイズの増加によって、C/
Nが4.5dBも劣る結果となっている。突起の平均高さは2
0nmで、実施例2の高分子基板と同等であるので、上記
のC/N劣化はスペーシングの増加に起因するものでは
なく、磁気特性の劣化によるものと考えられる。また、
このような突起高さの低い高分子基板では、高分子基板
の突起近傍を除く部分の表面粗さの増加がかえって磁性
層表面への突起形状の反映を妨げる結果となり、摩擦係
数の増加およびスチル寿命の低下も認められる。
【0064】比較例2は、実施例1、2と同じ構成の磁
性層を、従来構成のdタイプの高分子基板上に形成した
ものである。摩擦係数やスチル寿命に関しては十分な値
が得られているが、記録再生性能は比較例1よりもさら
に劣化しており、従来の蒸着テープに対しても十分な優
位性はもはや認められない。また、cタイプの高分子基
板を用いても検討を行ったが、結果は比較例2と同様で
あった。
【0065】比較例3は実施例2の構成において、高分
子基板の突起密度を0.08個/μm2まで小さくし、かつこ
の突起形状を磁性層表面に反映しやすくするために、磁
性層を2層構成にしたものである。実施例2と比較する
と摩擦係数が増加し、スチル寿命が顕著に劣化する劣る
結果となっている。従って、実用上問題のない走行性お
よび耐久性を確保するためには、突起密度0.1個/μm2
以上という本発明の構成条件を満たさなければならな
い。
【0066】比較例4、5は、実施例4の構成において
それぞれ保護層の形成、および潤滑剤の塗布を行わなか
ったものである。比較例4では保護層厚分のスペーシン
グロスがない分、若干C/Nが高いが、両比較例ともに
スチル寿命が非常に悪く、とても実用化を検討できるレ
ベルではない。以上のことから、本発明の構成において
は、保護層および潤滑剤が必須であることがわかる。ま
た保護層厚10nmによるスペーシングロスはせいぜい1dB
強であり、これに起因するS/N低下が極僅かであるこ
とも理解される。
【0067】比較例6、7は、実施例4の構成において
突起径dを変化させたものであり、突起の平均高さを18
nmとし、かつ磁性層形成時の蒸発原子の入射角が85゜以
下であるが、10nm以上の高さを有する突起の90%以上が
50nm以上100nm以下の突起径dを有するという構成条件
を満たしていない。このため、突起の30%以上が50nm以
下である比較例6、突起の30%以上が100nm以上である
比較例7ともに摩擦係数が増加し、スチル寿命が低下し
ている。特に比較例7においては、高湿環境化における
スチル寿命の低下が著しい。このように、突起の平均高
さを20nm以下とする場合には、蒸発原子の入射角が85゜
以下であっても、突起径dを実施例1〜6の構成のよう
に制御することが重要である。
【0068】また、比較例8に示されるように磁性層形
成時に蒸発原子の90゜入射角成分を入れて作製した場合
には、突起径dを上記の範囲に制御しても、突起の平均
高さを20nm以下として走行性および耐久性を確保するこ
とは困難である。
【0069】なお、従来例1、2では、保護層を形成し
ていないため実施例のサンプルに比べてスチル寿命が劣
る。従って、実施例のサンプルと同様に10nm厚の保護層
を形成すれば、従来例1、2においても実施例のサンプ
ルと同等のスチル寿命が得られるものと考えられる。し
かしながら、従来構成の磁気記録媒体では、スペーシン
グ損失係数が本発明の構成を有する磁気記録媒体よりも
大きくなる傾向があるため、保護層の形成により再生出
力がさらに2dB程度低くなるものと見積もられる。
【0070】なお、上記に示した以外にも、従来提案さ
れた様々な表面形状を有する高分子基板を用いて同様の
評価を行ったが、本発明の構成条件を満たさない高分子
基板を用いた場合には、本発明の磁気記録媒体のよう
に、優れた記録再生特性と高信頼性を両立する磁気記録
媒体を得ることはできなかった。
【0071】以上では磁性層として、強磁性Co−O薄
膜を形成した例について説明したが、本発明は上記に限
られたものではなく、強磁性Co−Ni−O薄膜等、他
の組成を有するCo基の強磁性薄膜、あるいはこれらに
微量の添加元素を加えた組成であっても、優れた記録再
生性能、安定な走行性および充分な耐久性が得られる。
【0072】また本発明の構成に有効な非磁性下地層
も、上記具体例に示したCoO膜に限られたものではな
い。
【0073】また高分子基板については、ポリエチレン
テレフタレートフィルムを用いた場合について説明した
が、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフ
ィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルイミドフィ
ルム、ポリカーボネートフィルム等、他の組成の高分子
基板を用いても、まったく同様であることは言うまでも
ない。また、磁気テープとして実用的な範囲内であれ
ば、高分子基板の厚みにも特に制限はない。また、高分
子基板への表面形状の付与方法についても、上記具体例
の構成に限られるものではなく、本発明の構成条件を満
たす表面形状が付与される限りにおいて多様な方法を用
いることができる。
【0074】さらに、突起高さや密度等の高分子基板の
表面形状、膜厚等の磁性層の構成、磁性層形成時の初期
入射角φiおよび終期入射角φf、基板温度、酸素導入
量、膜堆積速度等も上記具体例に限られたものではな
く、本発明の構成条件を満たす範囲においては、多様に
変化させても上記と同様に本発明の効果が十分に得られ
る。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、特に短波長記録領域に
おいて高いS/Nを有し、しかも実用信頼性に優れた磁
気記録媒体を提供することができる。すなわち、本発明
の磁気記録媒体により、今後、磁気記録再生装置のさら
なる小型大容量化を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の構成の一例を示す断面
【図2】本発明の磁気記録媒体の構成の一例を示す断面
【図3】本発明の磁気記録媒体の構成の一例を示す断面
【図4】本発明の磁気記録媒体の構成の一例を示す断面
【図5】本発明の磁気記録媒体の構成の一例を示す断面
【図6】本発明の磁気記録媒体の構成の一例を示す断面
【図7】高分子基板表面の断面曲線の一例を示す図
【図8】蒸着テープを製造するための真空蒸着装置内部
の概略を示す図
【図9】従来の磁気記録媒体の構成の一例を示す断面図
【図10】従来の磁気記録媒体の構成の一例を示す断面
【符号の説明】
1 高分子基板 2 Co基強磁性薄膜層 3 保護層 4 潤滑剤 5 微小粒子 6 エマルジョン皮膜 7 有機系結合剤 8 非磁性下地層 9 突起の頂点 10 円筒状キャン 11A、11B 遮蔽板 12 供給ロール 13 巻き取りロール 14 蒸発源 15 蒸発原子 16 酸素導入口 17 高分子基板の走行方向 18 しわ状皮膜 19 ミミズ状皮膜

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】断面曲線の山頂から谷底までの距離にて表
    示した高さが10nm以上である突起が0.1個/μm2以上の密
    度で形成され、かつ前記突起の頂点を中心とする半径10
    0nmの円内を除く面内で測定される断面曲線の基準長さ
    0.8μmにおける十点平均粗さが6nm以下である高分子基
    板表面上に、磁化容易軸が膜法線に対して傾斜している
    膜厚120nm以下のCo基の強磁性薄膜層が形成され、前
    記Co基の強磁性薄膜層の上に保護層が形成され、さら
    に前記保護層の上に潤滑剤を有することを特徴とする磁
    気記録媒体。
  2. 【請求項2】Co基の強磁性薄膜層が、蒸発原子の基板
    への入射角を基板法線方向に対して85゜以下として、真
    空蒸着法により形成されたものであることを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】Co基の強磁性薄膜層が、CoとOあるい
    はCoとNiとOを主成分とすることを特徴とする請求
    項2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】Co基の強磁性薄膜層が2層以上の多層膜
    により構成されることを特徴とする請求項2記載の磁気
    記録媒体。
  5. 【請求項5】高分子基板表面の断面曲線の山頂から谷底
    までの距離にて表示した高さが10nm以上である突起の高
    さの平均値が20nm以下であり、かつ前記高さが10nm以上
    である突起の90%以上は、高さの1/2の高さにおける突起
    径が50nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項
    2記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】高分子基板表面上の突起が、前記高分子基
    板に内添される微小粒子により形成されることを特徴と
    する請求項1記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】高分子基板表面上の突起が、前記高分子基
    板表面に塗布されたエマルジョン皮膜の突出部により形
    成されることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  8. 【請求項8】保護層がダイヤモンドライクカーボンであ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】断面曲線の山頂から谷底までの距離にて表
    示した高さが10nm以上である突起が0.1個/μm2以上の密
    度で形成され、かつ前記突起の頂点を中心とする半径10
    0nmの円内を除く面内で測定される断面曲線の基準長さ
    0.8μmにおける十点平均粗さが6nm以下である高分子基
    板表面上に、非磁性下地層を介して磁化容易軸が膜法線
    に対して傾斜している膜厚120nm以下のCo基の強磁性
    薄膜層が形成され、前記Co基の強磁性薄膜層の上に保
    護層が形成され、さらに前記保護層の上に潤滑剤を有す
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】非磁性下地層が膜厚50nm以下のCo基の
    酸化物からなることを特徴とする請求項9記載の磁気記
    録媒体。
  11. 【請求項11】非磁性下地層と前記Co基の強磁性薄膜
    層との総膜厚が150nm以下であることを特徴とする請求
    項9記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】Co基の強磁性薄膜層が蒸発原子の基板
    への入射角を基板法線方向に対して85゜以下として真空
    蒸着法により形成されたものであることを特徴とする請
    求項9記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】Co基の強磁性薄膜層が、CoとOある
    いはCoとNiとOを主成分とすることを特徴とする請
    求項12記載の磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】Co基の強磁性薄膜層が2層以上の多層
    膜より構成されることを特徴とする請求項12記載の磁
    気記録媒体。
  15. 【請求項15】高分子基板表面の断面曲線の山頂から谷
    底までの距離にて表示した高さが10nm以上である突起の
    高さの平均値が20nm以下であり、かつ前記高さが10nm以
    上である突起の90%以上は、高さの1/2の高さにおける突
    起径が50nm以上200nm以下であることを特徴とする請求
    項12記載の磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】高分子基板表面上の突起が、前記高分子
    基板に内添される微小粒子により形成されることを特徴
    とする請求項9記載の磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】高分子基板表面上の突起が、前記高分子
    基板表面に塗布されたエマルジョン皮膜の突出部により
    形成されることを特徴とする請求項9記載の磁気記録媒
    体。
  18. 【請求項18】保護層がダイヤモンドライクカーボンで
    あることを特徴とする請求項9記載の磁気記録媒体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6130807A (en) * 1997-12-05 2000-10-10 Seagate Technology Llc Information storage disc having a curved disc surface

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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