JPH06145314A - ポリエステルおよびフィルム - Google Patents

ポリエステルおよびフィルム

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JPH06145314A
JPH06145314A JP30135492A JP30135492A JPH06145314A JP H06145314 A JPH06145314 A JP H06145314A JP 30135492 A JP30135492 A JP 30135492A JP 30135492 A JP30135492 A JP 30135492A JP H06145314 A JPH06145314 A JP H06145314A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリエステルを構成する繰り返し単位におい
て、酸成分として芳香族ジカルボン酸残基50〜95モ
ル%および脂肪族ジカルボン酸からなる残基5〜50モ
ル%ならびにグリコール成分として1,4−ブタンジオ
ール残基を主たる構成成分としているポリエステルであ
って、かつ該ポリエステルの溶融粘度が250℃で50
0poise以上2500poise未満であるポリエ
ステルおよびフィルム。 【効果】優れた柔軟性、透明性、耐熱性、結晶性、製膜
等の成形性、耐候性を有するポリエステルを得ることが
でき、それより柔軟性、透明性、耐熱性、耐候性が良好
で、経時による特性変化の小さな繊維、フィルム、シー
トおよびその他の成形品が得ることができる。特に、本
発明のポリエステルは、柔軟性、透明性、耐候性に優れ
たフィルム、シートおよびその他の成形品の成形に適し
た結晶化速度を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟性を有するポリエ
ステルおよびフィルムに関するものである。詳しくは、
透明性、弾性回復性、耐熱性、製膜性および耐候性に優
れた柔軟性を有するポリエステルおよびフィルムに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリ−
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートおよ
びこれらを主体とするポリエステルは、優れた物理的、
化学的特性を有しており、繊維、フィルム、成形品とし
て広く使用されている。
【0003】しかし、いずれも常温で柔軟性、弾性回復
性に欠けるため用途拡大には限界があった。このような
欠点を改善するために、ポリエステルにソフトセグメン
トを共重合する方法が考えられている。例えば、特公昭
57−48577号公報にはポリブチレンテレフタレー
トにポリテトラメチレングリコール等の長鎖ポリエーテ
ルを共重合したもの、特公昭42−8709号公報には
ポリエチレンテレフタレートに二量体化脂肪酸等の長鎖
脂肪族ジカルボン酸を共重合したもの、さらに特公昭5
4ー15913号公報にはポリブチレンテレフタレート
に二量体化脂肪酸を共重合したもの等が開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリブチレン
テレフタレートに長鎖ポリエーテルを共重合したもの
は、耐候性、耐熱性、透明性に劣り、また、ポリエチレ
ンテレフタレートに長鎖脂肪族ジカルボン酸を共重合し
たものは、結晶化速度が遅く、繊維、フィルム、シー
ト、その他成形品への成形が困難である。また、ポリブ
チレンテレフタレートに二量体化脂肪酸を共重合したも
のは、その高い結晶性と高溶融粘度のためフィルム等へ
成形した場合、均一な厚さのものが得られず部分的に白
化して透明性が失われる等の欠点があった。
【0005】本発明の目的は、前記従来の欠点を解消せ
んとするものであり、透明性、弾性回復性、耐熱性、製
膜性および耐候性に優れた柔軟性を有するポリエステル
およびフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、ポリエステルを構成する繰り返し単位において、酸
成分として芳香族ジカルボン酸残基50〜95モル%お
よび脂肪族ジカルボン酸残基5〜50モル%ならびにグ
リコール成分として1,4−ブタンジオール残基を主た
る構成成分とするポリエステルであり、かつ該ポリエス
テルの溶融粘度が250℃で500poise以上25
00poise未満であることを特徴とするポリエステ
ルおよびフィルムにより達成できる。
【0007】本発明においてポリエステルとは、酸成分
として芳香族ジカルボン酸残基を主構成成分とするハー
ドセグメントと、脂肪族ジカルボン酸残基を主構成成分
とするソフトセグメント、グリコール成分として主とし
て1,4−ブタンジオール残基から構成されているもの
である。
【0008】本発明においてハードセグメントを構成す
る芳香族ジカルボン酸残基は、芳香族ジカルボン酸およ
びそのエステル形成性誘導体から形成される。具体的に
は、下記のものが挙げられる。
【化1】 (式中のXは-O- 、-SO-、 -SO- 、-C(CH- 、
-CO-、nは0または1である。また、芳香環に結合する
水素原子がハロゲン原子で置換されていても構わな
い。)。
【0009】本発明において芳香族ジカルボン酸残基を
構成する酸成分には、下記のものが挙げられる。
【化2】 (式中のR〜Rは水素原子またはアルキル基、Xは
-O- 、-SO-、 -SO-、 -C(CH) - 、-CO-、nは0
または1である。また、芳香環に結合する水素原子がハ
ロゲン原子で置換されていても構わない。)。
【0010】具体的には、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン
酸、およびそのエステル形成性誘導体等を挙げることが
でき、なかでもテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、およびそのエステル形成性誘導体が好
ましい。また、これらの芳香族ジカルボン酸成分は、1
種あるいは2種以上を併用してもよい。
【0011】本発明において芳香族ジカルボン酸残基の
量は、酸成分の50〜95モル%であることが必要であ
り、より好ましくは55〜93モル%であり、さらに好
ましくは60〜90モル%である。芳香族ジカルボン酸
残基の量が50モル%未満では、ポリエステルの耐熱性
が低下し、またこれより得られる成形物の機械特性が低
下する。一方、芳香族ジカルボン酸残基の量が95モル
%を越えると、成形物の柔軟性が低下する。
【0012】本発明においてソフトセグメントを構成す
る脂肪族ジカルボン酸残基は、炭素数6〜50の脂肪族
ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体から形
成される。炭素数が6未満であるとポリエステルの融点
が低下し、耐熱性が低下する。一方、炭素数が50を越
えると反応性が低下する。
【0013】本発明のポリエステルにおいて使用される
脂肪族ジカルボン酸は、主として直鎖あるいは分岐型の
構造を有しており、部分的に脂環族官能基あるいは芳香
環官能基を有していても構わない。また、分子中にハロ
ゲン原子、あるいは硫黄原子を含む官能基を有していて
も構わない。
【0014】本発明のポリエステルにおいて使用される
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウ
ンデカジオン酸、ドデカジオン酸、ブラシル酸、テトラ
デカジオン酸、ペンタデカジオン酸、ヘキサデカジオン
酸、ヘプタデカジオン酸、オクタデカジオン酸、ノナデ
カジオン酸、エイコサンジオン酸、ヘネイコサンジオン
酸、ドコサンジオン酸、トリコサンジオン酸、テトラコ
サンジオン酸、ペンタコサンジオン酸、ヘキサコサンジ
オン酸、ヘプタコサンジオン酸、オクタコサンジオン
酸、ノナコサンジオン酸、トリアコンタンジオン酸等の
直鎖脂肪族ジカルボン酸およびそれらのハロゲン、脂肪
族官能基、芳香族官能基、脂環族官能基置換体、および
それらのエステル形成性誘導体、炭素数10〜25の不
飽和脂肪酸を二量化して得られるダイマー酸およびその
水添体、およびそのエステル形成性誘導体等を挙げるこ
とができる。
【0015】本発明において脂肪族ジカルボン酸残基の
量は、酸成分の5〜50モル%が必要であり、より好ま
しくは7〜45モル%であり、さらに好ましくは10〜
40モル%である。脂肪族ジカルボン酸残基の量が50
モル%を越えると、ポリエステルの耐熱性、反応性が低
下し、またこれより得られるフィルム等の成形物の機械
特性が低下する。一方、脂肪族ジカルボン酸残基の量が
5モル%未満では、ポリエステルより得られるフィルム
等の成形物の柔軟性が低下する。
【0016】本発明においてグリコール成分は、主とし
て1,4−ブタンジオール残基である。本発明のポリエ
ステルは、グリコールに主成分として1,4−ブタンジ
オールを用いることにより、高い結晶性を有するため、
該ポリエステルより得られるフィルムの耐候性が良好と
なるのである。ただし、良好な耐候性を示す範囲、すな
わちグリコール成分の10モル%未満の範囲で炭素数1
0以下の脂肪族、脂環族、芳香族ジオールの中から選ば
れる1種以上のグリコールを添加してもかまわない。
【0017】本発明のポリエステルは、その用途に応じ
て結晶核剤、酸化防止剤、着色防止剤、顔料、染料、紫
外線吸収剤、離型剤、易滑剤、難燃剤、帯電防止剤、無
機および/または有機粒子等を配合することができる。
【0018】本発明においてポリエステルの溶融粘度
は、250℃で500poise以上2500pois
e未満であることが必要であり、より好ましくは800
poise以上2400poise未満であり、さらに
好ましくは1000poise以上2300poise
未満である。ポリエステルの溶融粘度が500pois
e未満では、ポリマ溶融時に自己支持性がなくなり製膜
が困難となる。一方、ポリエステルの溶融粘度が250
0poise以上では、ポリエステルを製膜するとき
に、押出状態が安定せず、不均一な膜厚のものを与え
る。さらに、部分的に肉厚になったところが白化して斑
点状になる。
【0019】本発明においてポリエステルの固有粘度
は、良好な成形性および機械特性を得るために、0.3
〜2.0dl/gであることが好ましく、より好ましく
は0.35〜1.8dl/gであり、さらに好ましくは
0.4〜1.5dl/gである。 本発明においてポリ
エステルのガラス転移点(Tg)は、良好な柔軟性を得
るために20℃以下であることが好ましく、より好まし
くは15℃以下であり、さらに好ましくは10℃以下で
ある。
【0020】本発明においてポリエステルの融点(T
m)は、良好な耐熱性および機械特性を得るために、1
20℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上で
あり、さらに好ましくは170℃以上である。
【0021】本発明においてポリエステルの結晶化速度
(ΔTc)は、良好な成形性を得るために40℃以上で
あることが好ましく、より好ましくは50℃以上であ
り、さらに好ましくは60℃以上である。
【0022】本発明においてポリエステルを製造する方
法は特に限定されることはないが、例えば芳香族ジカル
ボン酸と脂肪族ジカルボン酸あるいはそれらの低級アル
キルエステル、および1,4−ブタンジオールから、エ
ステル化反応あるいはエステル交換反応により低重合体
を生成する第1段階の反応と、この低重合体を重縮合さ
せる第2段階の反応とによって製造する方法が最も一般
的である。上記の方法についてさらに具体的に説明する
と、テレフタル酸ジメチル、ダイマー酸ジメチル、1,
4−ブタンジオールを、かきまぜ機、窒素ガス導入管、
減圧蒸留装置を備えた重合反応器に仕込み、窒素を流し
ながら150〜250℃の温度で、かき混ぜながら加熱
してエステル交換反応させる。その後、徐々に減圧し、
0.001〜3Torrの減圧下、200〜300℃の温度
で重縮合反応を行いポリエステルを得る。この反応の際
に、チタン、鉛、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、マ
ンガン化合物等のエステル交換触媒、アンチモン、ゲル
マニウム、チタン化合物などの重縮合触媒、酸化防止
剤、リン化合物などの安定剤等を使用することができ
る。また、本発明の範囲内で固相重合による高分子量化
を行なうことができる。
【0023】本発明のポリエステルは、繊維、フィル
ム、その他成形物に成形して使用できるが、フィルムを
例にとってその成形法を以下に説明する。得られたポリ
エステルは、充分に乾燥したのち押出機にて溶融押出
し、シート状または円筒状の口金より吐出させ、冷却ロ
ールまたは水等の冷媒中に導いて冷却固化させる。ここ
で、シート状に押出す際には、少なくとも一対のロール
間で加圧しながら冷却固化するカレンダーキャスト法
が、得られるフィルムの透明性、機械特性が良好となる
ので好ましい。また、本発明の範囲内のポリエステル2
種以上を積層してもかまわない。また、本発明のポリエ
ステルからなるフィルムの柔軟性を維持できる範囲内
で、本発明の範囲外のポリマーを積層することができ
る。
【0024】本発明においてポリエステルから得られる
フィルムの耐候性は、上述の方法あるいは加熱プレスに
より得られたフィルムに100時間水銀灯(紫外線)を
照射し、照射前後での色調の差を、(L,a,b)系に
おけるb値の差(Δb)で表したものである。本発明に
おいてポリエステルから得られるフィルムは、その高い
結晶性ゆえ、屋外、屋内での使用時の光線暴露による変
色が抑えられており、Δbは3以下、あるいは2.8%
以下、さらには2.5%以下に抑えられており耐候性が
良好である。
【0025】本発明においてポリエステルから得られる
フィルムのフィルムヘイズは、厚さ400μm以下のフ
ィルムの場合10%以下、あるいは5%以下、さらには
3%以下となり透明性が良好である。
【0026】本発明において、ポリエステルから得られ
るフィルムのヤング率は、1〜30kg/mm、あ
るいは2〜28kg/mm、さらには3〜25kg
/mmとなり、柔軟性が良好である。本発明におい
て、ポリエステルから得られるフィルムの弾性回復率
は、50%以上、あるいは60%以上、さらには70%
以上となり機械特性が良好である。
【0027】
【実施例】以下本発明を、実施例によりさらに詳細に説
明する。なお実施例中の特性は、次のようにして測定し
た。 (1)ポリエステルの溶融粘度 140℃で8時間乾燥したポリエステルをメルトインデ
ックスを用いて250℃で測定した。
【0028】(2)ポリエステルの固有粘度 o−クロロフェノールを溶媒とし、25℃で測定した。
【0029】(3)ポリエステルの熱特性 ポリエステル10mgをサンプルパンにとり、示差走査
型熱量計で10〜20℃/分の速度で走査させてTg、
Tm、Tc、Tc’を測定した。なお、ΔTcは下式に
より求めた。 ΔTc=Tc’−Tc Tc :昇温時の結晶化温度 Tc’:降温時の結晶化温度
【0030】(4)ポリエステルの組成分析 ポリエステルをアルカリにより加水分解し、酸成分とグ
リコール成分をそれぞれ単離し、各成分を、ガスクロマ
トグラフィーあるいは高速液体クロマトグラフィ−によ
り分析し、各成分のピーク面積より組成比を求めた。
【0031】(5)ポリエステルフィルムの耐候性 ポリエステルフィルムを100時間水銀灯で照射し、照
射前後のフィルムの色調をJIS Z−8730に準じ
て測定し、(L,a,b)系のb値の差Δbを下記式に
より求めて評価した。 Δb=bpro −bpre bpre :照射前のフィルムのb値 bpro :照射後のフィルムのb値
【0032】(6)フィルムヘイズ ポリエステルから得られたフィルムについて、JIS
K−6714に準じてフィルムヘイズを測定し、下式に
より100μmに換算して求めた。 H100 (%)=H×100/d H:ヘイズの実測値(%) d:ヘイズ測定部のフィルム厚み(μm)
【0033】(7)ヤング率 ポリエステルから得られたフィルムについて、ASTM
D−882−81(A法)に準じてヤング率を測定し
た。
【0034】(8)弾性回復率 ポリエステルから得られたフィルムを、幅10mmにサ
ンプリングし、引っ張り試験機に試料長が50mmにな
るように装着し、引っ張り速度10mm/分で、試料長
の50%の引っ張り変形を与えて、直ちに同速度で収縮
させて、引っ張り応力が0になった時のサンプル長
(L)を測定し下式により計算して求めた。 弾性回復率=(75−L)/25×100(%)
【0035】実施例1 ジメチルテレフタレート56重量部、炭素数36のダイ
マー酸ジメチルエステル35重量部、1,4−ブタンジ
オール56重量部およびエステル交換反応、重縮合反応
触媒としてテトラブチルチタネート0.1重量部を加
え、常法に従いエステル交換反応せしめ、その後高温減
圧下にて重縮合反応を行い、溶融粘度2000pois
e、固有粘度0.85dl/gの表1に示す共重合ポリ
エステルを得た。得られたポリエステルの組成は、テレ
フタル酸残基83モル%、ダイマー酸残基17モル%、
1,4−ブタンジオール残基100モル%であった。薄
膜法により測定したポリエステルの赤外吸収スペクトル
は、図1に示す通りであった。図1から明らかなよう
に、エステル結合に基づくC=O伸縮振動による吸収
が、1730cm−1に、C−O伸縮振動による吸収
が、1270、1250、1170、1150cm−1
に認められ、ポリエステルの生成が確認された。さら
に、脂肪族C−H伸縮振動による吸収が、2940、2
860cm−1に認められ、ダイマ−酸の存在が確認さ
れた。表3に示すように得られたポリエステルのTgは
−10℃、Tmは190℃、ΔTcは140℃であり、
高結晶性であった。得られたポリエステルは、常法に従
い製膜を行った。製膜性は良好であり、厚さ100μm
のフィルムを得た。得られたフィルムのΔbは2.0、
ヘイズは1.0%、ヤング率は20kg/mm、弾
性回復率は82%であり透明性、柔軟性、弾性回復性と
もに優れていた。
【0036】比較例1 表2に示すようにジメチルテレフタレート66重量部、
炭素数36のダイマー酸ジメチル35重量部、エチレン
グリコール50重量部を用いた以外は実施例1と同様の
方法で溶融粘度2000poise、固有粘度0.65
dl/gの共重合ポリエステルを得た。得られたポリエ
ステルの組成は、テレフタル酸残基85モル%、ダイマ
ー酸残基15モル%、エチレングリコール残基100モ
ル%であった。表4に示すように得られたポリエステル
のTgは20℃、Tmは220℃、ΔTcは35℃であ
った。得られたポリエステルは、実施例1と同様の方法
で製膜したが、製膜時にドラムへの粘着が強く製膜が困
難であった。また、得られたフィルムのΔbは5、ヘイ
ズは40.0%、ヤング率は45kg/mm、弾性回
復率は40%であり耐候性、透明性、柔軟性、弾性回復
性ともに不良であった。
【0037】実施例2〜10、比較例2〜6 表1、表2に記載の如く、酸成分およびグリコール成の
種類または量を変更した以外は実施例1と同様の方法に
より表1、2に示すポリマ溶融粘度、および表3、4に
示す特性のポリエステルを得、実施例1と同様常法に従
い製膜しフィルムを得た。ただし、比較例3は、得られ
たポリエステルを160℃24時間固相重合してポリマ
を得た。
【0038】
【表1】 表中の略号は、次の化合物を示す。 DMT :テレフタル酸ジメチル C36 :ダイマー酸ジメチル(主鎖炭素数36) C44 :ダイマー酸ジメチル(主鎖炭素数44) DMD :ドデカンジオン酸ジメチル DMS :セバシン酸ジメチル DMA :アジピン酸ジメチル EG :エチレングリコール BG :1,4−ブタンジオ−ル
【表2】 表中の略号は表1と同じ。
【0039】
【表3】
【表4】 実施例2〜7は、いずれも本発明の目的範囲内のもので
あり、得られたポリエステルは耐候性、耐熱性、結晶性
に優れ、成形性が良好であり、得られたフィルムは耐候
性、透明性、柔軟性、弾性回復性が良好であった。
【0040】一方、比較例2は、溶融粘度が400po
iseと本発明の範囲外であり、得られたポリエステル
は溶融時自己支持性がなく製膜できなかった。比較例3
は、溶融粘度が5000poiseと本発明の範囲外で
あり、得られたポリエステルは安定して製膜できず、部
分的に肉厚になって白化するなど均一なフィルムを得る
ことが出来なかった。比較例4は、グリコール成分とし
て1,4−ブタンジオールの他にエチレングリコールが
40モル%含まれており本発明の範囲外であり、得られ
たポリエステルは耐候性が不良であった。比較例5は、
脂肪族ジカルボン酸を含まず本発明の範囲外であり、柔
軟性が不良であった。比較例6は、脂肪族ジカルボン酸
が60モル%含まれており本発明の範囲外であり、反応
性が不良で重合できなかった。
【0041】
【発明の効果】本発明のポリエステルは、上述したよう
に酸成分として芳香族ジカルボン酸残基と脂肪族ジカル
ボン酸残基と、グリコール成分として1,4−ブタンジ
オール残基を主たる構成成分としており、さらに所定の
溶融粘度に調整されており、従来にはない柔軟性、透明
性、耐熱性、製膜性、耐候性の優れたものである。
【0042】本発明のポリエステルからは、柔軟性、透
明性、耐熱性、耐候性が良好で、経時による特性変化の
小さな繊維、フィルム、シートおよびその他の成形品が
得られる。特に、本発明のポリエステルは結晶化速度が
大きいため、フィルム、シートおよびその他の成形品の
成形が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1のポリエステルの赤外吸収
スペクトル図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルを構成する繰り返し単位にお
    いて、酸成分として芳香族ジカルボン酸残基50〜95
    モル%および脂肪族ジカルボン酸残基5〜50モル%な
    らびにグリコール成分として1,4−ブタンジオール残
    基を主たる構成成分とするポリエステルであり、かつ該
    ポリエステルの溶融粘度が250℃で500poise
    以上2500poise未満であることを特徴とするポ
    リエステル。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリエステルからなるフィ
    ルム。
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