JP3732754B2 - 生分解性共重合ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、ポリ乳酸単位及びヒドロキシ安息香酸単位より実質的になる新規な生分解性共重合ポリエステルを低コストで効率的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自然環境保護の見地から、自然環境中で分解する生分解ポリマー及びその成形品が求められ、脂肪族ポリエステル等の生分解樹脂の研究開発が活発に行われている。特に、乳酸系ポリマーは融点が170℃〜180℃と高く、しかも透明性に優れるため、生分解性の包装材料や成形品等の材料として大いに期待されている。
【0003】
このポリ乳酸は、生分解性を有する脂肪族系ポリエステルの中では比較的耐熱性が高いが、未だ十分とは言えず、その耐熱性向上が求められており、また、剛性に代表される機械特性の向上も強く望まれている。そこで、これまでポリ乳酸への芳香族系モノマーの共重合が種々検討されてきた。
【0004】
例えば、特開平8−217865号公報にはポリ乳酸とポリエチレンテレフタレートとの共重合によってこれら物性の改善を図ることが開示されている。しかしながら、この共重合体は機械物性が幾分改善されるものの、生分解性が低下し、生分解性と剛性との両方を満足するものとは言えない。一方、p−ヒドロキシ安息香酸はそれ自体が生合成されうる化合物であり、生分解性を有しつつ耐熱性、剛性を上げる観点から、それを共重合させることが検討されている。例えば、乳酸とp−ヒドロキシ安息香酸との共重合体の製造方法として、欧州特許出願公開EP0710684号(A2)明細書には、ジフェニルエーテル溶媒中で乳酸モノマーをある程度高重合体にした後、p−ヒドロキシ安息香酸を加え重合度を急激に上昇させる方法が提案されている。この方法ではp−ヒドロキシ安息香酸は専ら分子鎖拡張剤として使用され、共重合組成物を意図したものとしては用いられておらず、組成比も乳酸モノマーに対してp−ヒドロキシ安息香酸をごく少量加える組成しか検討されていない。また、この方法では、反応に溶媒としてジフェニルエーテルを用いるため、ポリマー抽出に手間がかかるほか、コスト高の原因にもなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の主たる目的は、ポリ乳酸と芳香族ヒドロキシカルボン酸とからなる新規な生分解性ポリエステル共重合体を、溶媒を使用することなく、低コストにて製造する方法を提供することにある。
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、乳酸のポリマー鎖中に耐熱性ポリマー、液晶性ポリマーのモノマーユニットでありなおかつ生分解性を示すp−ヒドロキシ安息香酸を共重合させることを鋭意研究した結果、特定の原料、共重合組成を選定し、特定の重合条件を採用することで、ジフェニルエーテル等の可塑化目的の溶媒を使用することなく、色相に優れた乳酸と芳香族ヒドロキシカルボン酸との共重合体を、工業的に安価に製造する方法を見出し、本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る生分解性共重合ポリエステルの製造方法は、
(1)下記式(A)で表わされるラクチドと下記式(B)で表わされる芳香族ヒドロキシカルボン酸アリールエステルとを、
【0008】
【化3】
【0009】
下記式(1)
【0010】
【数2】
60/40 ≦ 2MA/MB ≦93/7 ・・・(1)
[上記式(1)中、MAはラクチド(A)、MBは芳香族ヒドロキシカルボン酸アリールエステル(B)の各モル数である。]
を満足する含有モル当量比で、触媒の存在下、加熱反応させることを特徴とする共重合ポリエステルの製造方法、
(2)芳香族ヒドロキシカルボン酸アリールエステルとして下記式(B’)
【0011】
【化4】
【0012】
で表わされる芳香族ヒドロキシカルボン酸アリールエステルを使用することを特徴とする上記(1)記載の生分解性共重合ポリエステルの製造方法、並びに、
(3)触媒として開環エステル交換触媒を使用して、減圧下に加熱溶融反応させることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の生分解性共重合ポリエステルの製造方法、である。
【0013】
【発明の実施の形態】
<本発明の方法で製造する生分解性ポリエステル共重合体>
本発明の方法で製造しようとする生分解性ポリエステル共重合体は、下記式(a)で表わされる繰り返し単位と下記式(b)で表わされる繰り返し単位とから実質的になる共重合ポリエステルである。
【0014】
【化5】
【0015】
ここで上記式(a)で表わされる脂肪族成分はポリ乳酸成分である。該ポリ乳酸成分にはD体、L体及びDL体があるが、そのいずれでもよく、また、これらが共存してもよい。
【0016】
もう一方の芳香族ポリエステル成分は上記式(b)で表わされる繰り返し単位を構成するものであり、上記式(b)中、Arは炭素数6〜20の2価の、非反応性置換基を有していてもよい芳香族基を示す。これらの芳香族基は、1個のベンゼン環又はナフタレン環を含むものでもよいが、複数のベンゼン環又はナフタレン環が直接結合したものや、これらの環が−O−,−CO−,−S−,−SO2−,−CH2−,−C(CH3)2−等の基を介して結合したものでもよく、その一部にアルキレン基を含むものでもよい。かかる芳香族基(Ar)の具体例としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4'−イソプロピリデンジフェニレン基、4,4'−ビフェニレン基、4,4'−ジフェニレンスルフィド基、4,4'−ジフェニレンスルホン基、4,4'−ジフェニレンケトン基、4,4'−ジフェニレンエーテル基、m−キシリレン基、p−キシリレン基、o−キシリレン基等が例示できる。
【0017】
上記式(B)中のRは炭素数6〜20の1価の芳香族基を表わす。具体的には、フェニル基、ナフチル基等が例示できる。また、該芳香族基の水素原子のうち1つ又は複数がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族基;窒素、リン、酸素、硫黄等の原子で置換されていてもよい。これらのうちで、フェニル基、4−クロロフェニル基が好ましく、更には、フェニル基であることが特に好ましい。また、ポリマー中のArが2種以上の芳香族基で構成されてよく、2種以上の芳香族基を同時に併存してもかまわない。
【0018】
本発明の目的とする共重合ポリエステルでは、上記式(a)及び(b)の各成分が、下記式(1)
【0019】
【数3】
60/40 ≦ Ma/Mb ≦ 93/7 ・・・(1)
を満足するモル当量比で共重合しているものが有用である。
【0020】
ここで上記式(1)中、Maは乳酸の繰り返し単位(a)、Mbは芳香族ヒドロキシカルボン酸の繰り返し単位(b)の各モル数である。共重合ポリエステルにおけるMa/Mbが60/40より小さい場合、十分な強度を持った共重合体となり難い。一方、Ma/Mbが93/7より大きい場合、耐熱性が不十分となる。Ma/Mbの好ましい範囲は、65/35以上92/8以下、さらに好ましくは70/30以上90/10以下、特に好ましくは75/25以上92/8以下である。
【0021】
本発明方法で製造される共重合ポリエステルの重量平均分子量は、1,000以上1,000,000以下が適当である。ここで言う重量平均分子量は、GPC分析によるポリスチレン換算値であり、測定法としてはサンプル20mgにテトラヒドロフラン10mlを加えて溶解して測定される値である。共重合ポリエステルの重量平均分子量が1,000より小さいと該共重合ポリエステルの強度が不十分となり、1,000,000より大きいと成形性が低下する。本発明で製造される共重合ポリエステルの重量平均分子量の好ましい範囲は2,000以上500,000以下、さらに好ましくは3,000以上400,000以下である。
【0022】
さらに本発明の方法による共重合ポリエステルには、必要に応じて、各種の副次的添加物を加え、いろいろな改質を行うことができる。副次的添加物の例としては、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌・抗カビ剤、核形成剤、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤等その他類似のものが挙げられる。
【0023】
<本発明の生分解性共重合ポリエステルの製造方法>
本発明に係る生分解性の共重合ポリエステルの製造方法は、下記式(A)で表わされるラクチドと、下記式(B)で示される芳香族ヒドロキシカルボン酸アリールエステルの少なくとも1種とを、
【0024】
【化6】
【0025】
【数4】
60/40 ≦ 2MA/MB ≦93/7 ・・・(1)
[上記式(1)中、MAはラクチド(A)、MBは芳香族ヒドロキシカルボン酸アリールエステル(B)の各モル数である。]
を満足するモル当量比で、触媒の存在下、加熱反応させて上記の共重合体を得る方法である。
【0026】
この方法では、原料(反応成分)として下記式(A)で表わされるラクチドと下記式(B)で表わされる芳香族ヒドロキシカルボン酸のアリールエステルとが用いられる。
【0027】
【化7】
【0028】
上記式(A)で表わされるラクチドとしては、L体、D体あるいはDL体の3種の光学異性体が存在するが、それらのいずれも使用可能であり、またこれらの混合物を使用しても差し支えない。[以下、これらを「ラクチド(A)」と略称することがある。]
【0029】
また、上記式(B)中のArは、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示し、ポリマーについて説明した上記式(b)におけるArと同義である。かかる芳香族基の具体例としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4'−イソプロピリデンジフェニレン基、4,4'−ビフェニレン基、4,4'−ジフェニレンスルフィド基、4,4'−ジフェニレンスルホン基、4,4'−ジフェニレンケト基、4,4'−ジフェニレンエーテル基、m−キシリレン基、p−キシリレン基、o−キシリレン基等が例示できる。また、該芳香族基の水素原子のうち1つ又は複数がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族基で置換されていてもよい。既に述べたように、これらのうちでも、生成するポリマーの耐熱性の点で、p−フェニレン基、2,6−ナフチレン基が好ましく、p−フェニレン基であることが特に好ましい。ここで、Arがp−フェニレン基のとき、実質的に上記式(B)は上記式(B’)で示す化合物となる。
【0030】
上記式(B)中のRは、炭素数6〜20の1価の芳香族基を表わす。具体的には、フェニル基、ナフチル基等が例示できる。また、該芳香族基の水素原子のうち1つ又は複数がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族基;窒素、リン、酸素、硫黄等の原子で置換されていてもよい。これらのうちフェニル基又は4−クロロフェニル基が好ましく、更には、フェニル基であることが特に好ましい。
【0031】
上記式(B)中のRは、炭素数6〜20の1価の芳香族基を示す。具体的には、フェニル基、ナフチル基等が例示できる。また、該芳香族基の水素原子のうち1つ又は複数がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族基で置換されていてもよい。これらのうちで、フェニル基、4−クロロフェニル基が好ましく、更には、フェニル基であることが特に好ましい。[以下、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸アリールエステルを「化合物(B)」と略称することがある。]
すなわち、本発明の方法で使用する上記の化合物(B)としては、具体的にはp−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ナフチルエステルが好ましい例として挙げることができ、p−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルが特に好ましい。
【0032】
なお、本発明の方法では、化合物(B)として、上記式(B)を満足する範囲内で2種以上の化合物を併用しても差し支えない。
【0033】
しかしながら、上記式(B)で表わされる化合物以外の類似化合物、例えば、P−アセトキシ安息香酸の誘導体では、後述する比較例に示す通り、目的とする共重合ポリエステルは得られない。
本発明の方法では、ラクチド(A)及び化合物(B)は、下記式(4)
【0034】
【数5】
60/40 ≦ 2MA/MB ≦ 93/7 ・・・(4)
を満足するモル当量比で用いることが必要である。ここで上記式(4)中、MAはラクチド(A)、MBは化合物(B)の各モル数である。2MA/MBが60/40より小さい場合、得られる共重合ポリエステルの強度が不十分となり、2MA/MBが93/7より大きい場合、得られる共重合ポリエステルの耐熱性が不充分となるので、好ましくない。MA/MBの好適な範囲は75/25以上95/5以下であり、更に好ましくは70/30以上90/10以下である。
【0035】
なお、本発明の方法では、原料として使用するラクチド(A)の少量(例えばラクチドの30重量%未満、好適には10重量%未満)をポリ乳酸や他の脂肪族ポリエステル形成成分で置き替えてもよい。この場合、MAは、ラクチドとこれらの成分との合計モル数となることは言うまでもない。
【0036】
以上のごとく、ラクチド(A)及び化合物(B)を、触媒の存在下、加熱反応させることにより本発明の目的とする生分解性共重合ポリエステルを得ることができる。より具体的には、ラクチド(A)と化合物(B)との混合物を触媒存在下で加熱溶融重合を行って目的の共重合ポリエステルを得る。したがって、本発明の方法では溶媒を使用する必要はない。
【0037】
反応温度は、一般に、140℃以上240℃以下が好ましい。140℃より低いと共重合反応が進行し難く、240℃より高いと共重合反応よりもポリ乳酸成分の分解が優先して起り易いため、好ましくない。好適な反応温度は170℃以上210℃以下であり、さらに好ましくは170℃以上210℃以下である。また、反応に際し、ラクチド(A)を溶融し、これに共重合させる化合物(B)、例えばP−芳香族ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを、溶融ラクチド(A)に溶解・混合した上で反応させることが好ましい。
【0038】
また、該重合反応において、使用される触媒は特に限定されるものではないが、一般に環状エステルの開環重合触媒、エステル交換触媒として用いられるものを用いることができ、通常の場合、その方が好ましい。該触媒としては、例えば、錫、亜鉛、鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム等の金属及びその誘導体が挙げられる。誘導体としては、金属アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が望ましい。
【0039】
触媒の添加は、原料となるラクチド(A)及び/又は化合物(B)に添加してもよく、原料を溶融してから添加してもよい。該触媒の添加量はラクチド(A)と化合物(B)との合計重量100重量部に対して0.0001〜0.5重量部、好ましくは0.0005〜0.3重量部、更には0.001〜0.1重量部の範囲が好ましい。
【0040】
反応は、生成する共重合ポリエステルの分解及び着色を防ぐため、乾燥した不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。また、反応が十分に進行した際には高真空下で反応を行うことが望ましい。該重合反応は、バッチ、連続等公知の反応容器を用いて行うことができる。
【0041】
本発明により製造される共重合ポリエステルの重量平均分子量は、既に述べたように、1,000以上1,000,000以下であり、好ましくは2,000以上500,000以下、さらに好ましくは3,000以上400,000以下である。
【0042】
さらに、本発明の方法により得られる生分解性共重合ポリエステルは、必要に応じて、各種の副次的添加物を加えていろいろな改質を行うことができる。副次的添加物の例としては、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌・抗カビ剤、核形成剤、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤等その他類似のものが挙げられる。これらの添加時期としては、原料の仕込み時に添加してもよく、重合終了時に、反応槽内にて添加してもよく、また、得られた共重合ポリエステルにエクストルーダー等を用いて添加してもよい。これらの添加剤を配合する方法は、特に制限されるものではなく、従来既知の方法によって行うことができる。例えば、ミルロール、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、単軸あるいは二軸押出し機等を用いて混合混練すればよい。
【0043】
このようにして得られる共重合ポリエステルは、良好な生分解性と剛性を有するため、繊維、フィルム、シート、その他の成形物として有効に利用することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、無溶媒で上記の生分解性共重合ポリエステルを効率的に製造することができるので、コスト的に有利であり、かつ、溶媒使用による環境問題も回避できるという効果がある。
【0045】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが本発明はこれらによっていささかも限定されるものではない。なお、以下の実施例における各測定値は次の方法により求めた値である。
(1)重合体の重量平均分子量:GPC分析によるポリスチレン換算値、測定法としてはサンプル20mgにテトラヒドロフラン10mlを加えて溶解して測定を行った。
(2)ガラス転移温度(Tg):走査型示差熱量計(DSC)で10℃/minの昇温速度にて測定した値である。
(3)共重合体の構造:重クロロホルム溶液の1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトル及びKBr錠剤法によるIR(赤外線)スペクトルにより決定した。なお、測定装置は1H−NMRスペクトル分析では、JNR−EX270を使用し、溶媒に重クロロホルムを用いて測定した。IR−スペクトル分析には、SHIMADZU IR−470を使用し、KBr錠剤法を採用した。
【0046】
[実施例1]
L−ラクチド5.76重量部を210℃にて加熱溶融させたところにp−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル4.28重量部を添加して攪拌した。反応系内が均一になった後、オクチル酸スズを0.001重量部加え反応系を1時間攪拌した。重合度の上昇を確認した後、真空度を0.3mmHgに設定し10分間攪拌を継続し、未反応のラクチドを留去することで、重量平均分子量5053、分子量分布(Mw/Mn)=1.74の共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルのガラス転移温度(Tg)は58.30℃であり、融点(Tm)は観測されなかった。また、このポリマーについて1H−NMR、IRで構造解析した。その1H−NMRスペクトル及びIRスペクトルを、それぞれ図1及び図2に示す。
【0047】
[比較例1]
L−ラクチドを20.16重量部210℃にて加熱溶融させたところにp−アセトキシ安息香酸10.8重量部を添加して攪拌した。反応系内が均一になった後オクチル酸スズを0.001重量部加え1時間攪拌したところ白濁し、不透明な脆いポリマーが得られたのみであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の生成ポリマーについての1H−NMRスペクトルのチャートである。
【図2】実施例1の生成物ポリマーについてのIRスペクトルのチャートである。
Claims (3)
- 触媒として開環エステル交換触媒を使用して、減圧下に加熱溶融反応させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生分解性共重合ポリエステルの製造方法。
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