JPH0614139Y2 - 密封装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、密封装置、特に端面リップの摩耗、ヘタリす
るしめしろ低下を防止し、耐久性の向上を図った密封装
置に関する。

（従来の技術） 従来、このような密封装置として第３図に示すような密
封装置１００がある。密封装置１００は回転軸１０１の
周囲にスリーブ１０２が取り付けられて構成されてい
る。スリーブ１０２は回転軸１０１に固定されている部
分すなわち軸外周部１０２ａを有し、さらに軸外周部１
０２ａと連続し軸外周部１０２ａから半径方向に直角に
延びる半径部１０２ｂを有する。

一方、ハウジング１０３の内周部には嵌合部１０４が嵌
合されている。嵌合部１０４は、金属環１０５の外周部
にゴムを焼付固定して成形されている。さらに、嵌合部
１０４に焼付られたゴムには、シールリップ１０６が形
成され、シールリップ１０６は、スリーブ１０２の半径
部１０２ｂの内周側に摺接し、密封流体Ｏを密封するよ
うになっている。

一方、嵌合部１０４のスリーブ１０２の軸外周部１０２
ａにダストリップ１０７が摺接している。このダストリ
ップ１０７によって大気側の大気中のダストが機器内部
に侵入することを防止する。

このように構成された密封装置１００によれば、回転軸
１０１の回転によってスリーブ１０２も同様に回転し、
スリーブ１０２の半径部１０２ｂの内周側にシールリッ
プ１０６が摺接し、スリーブ１０２の軸外周部１０２ａ
の外周面にダストリップ１０７が摺接して密封流体Ｏ側
の密封流体及び大気Ａ側のダストの機器内外への侵入を
それぞれ防止するようになっている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記した従来技術によればシールリップ
１０６の根元部は嵌合部１０４に固定されているためシ
ールリップの締代が長期間に亙って使用した後に摩耗
し、またはヘタリによってシール性能が低下してしまう
という問題がある。

本考案は、上記諸問題に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、長期間に亘る使用においてシールリ
ップの摩耗、ヘタリによる締代低下を防止し、耐久性の
向上を図り得る密封装置を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 上記目的を有する本考案は、回転軸の外周部に取り付け
られ軸外周部及び半径部からなるスリンガと、ハウジン
グに内嵌されスリンガの軸外周部に摺接するダストリッ
プを有する嵌合部と、嵌合部の内周側に取り付けられた
金属ケースと、金属ケース内で軸方向に移動可能に設け
られた座金と、座金に焼付固定されスリンガの半径部の
内周部に摺接するシールリップと、前記座金から延び、
前記金属ケースの内周部に摺接する小リップとからな
る。

（作用） 而して本考案は、スリンガと嵌合部と金属ケース内で軸
方向に移動可能に設けられた座金と、座金に焼付固定さ
れたシールリップと、座金から延びる小リップとからな
る。このように、嵌合部とシールリップ部とを分離し、
シールリップ部の金属ケース内のスプリングによりシー
ルリップがスリンガ方向へ押され軸方向への運動を可能
とした。すなわち、座金に固定された金属ケース内に配
置されたスプリングは、座金を常に軸方向に押してい
る。

また、シールリップ座金の突起と金属ケース外周部の溝
はかみ合っており、シールリップは回転しないようにな
っている。

このように構成されている密封装置は、回転軸が回転す
ると、スリンガも回転し、スリンガの軸外周部及び半径
部ダストリップ及びシールリップが摺接し、ダスト及び
密封流体を密封するが、シールリップが摩耗ヘタリを生
じてもシールリップがスプリングにより常に押されてい
るのでシールリップとスリンガの半径部は常に接触し、
締代の低下を防止し耐久性の向上を促進し得る。

（実施例） 以下本考案を図示の一実施例に基づいて詳細に説明す
る。

第１図を参照すると、本考案の密封装置１の縦断面図が
示されている。本考案の密封装置１は、ハウジング２内
に取り付けられている嵌合部３を有する。嵌合部３は、
ハウジング２の内周側と平行に配置された金属環３ａを
有する。嵌合部３は、金属環３ａ外周にのゴムを焼付成
形されて形成されている。そして、嵌合部３の大気側に
ダストリップ４が形成されている。ダストリップ４は、
スリンガ５の軸外周部５ａの外周部に摺接するようにな
っている。ここでスリンガ５は、回転軸６の外周に取り
付けられており、軸の外周部５ａに取り付けられた軸外
周部５ａと半径方向に延びる半径部５ｂとからなる。そ
して上記したようにダストリップ４はスリンガ５の軸外
周部５ａの外周部に摺接して大気側からのダストの侵入
を防止するようになっている。

一方、嵌合部３の内周部にシールリップ部７を有する。
シールリップ部７は金属ケース８とシールリップ１４と
からなる。金属ケース８は第１図に示すように断面が矩
形をしており、密封流体側に環状の室１０が形成されて
いる。さらに室１０から大気側に延びる室１１が設けら
れ、この室１１内にはばね１２の一端が配設されてい
る。そしてばね１２の先端に座金１３が取り付けられて
いる。座金１３は環状形をしており金属ケース８の室１
１内に沿って配置されている。さらにこの座金１３にシ
ールリップ１４が焼付成形されている。シールリップ１
４は、リップ先端がスリンガ５の半径部５ｂの大気側の
側面に摺接するようになっている。

一方、座金１３に金属ケース８の内周部に摺接する小リ
ップ１４ａが設けられている。

また、座金１３の突起１３ａが金属ケース外周部の溝１
３ｂに嵌合している。これは、回転軸６の回転とそれと
同時に回転するスリンガ５の回転によってシールリップ
１４が摺接するようになっているため、スリンガ５の半
径部５ｂの大気側の側面にシールリップ１４及び座金１
３に回転する力が働く。このため、シールリップ１４及
び座金１３の回り止め用として、座金１３の突起１３ａ
が金属ケース外周部８ａの溝１３ｂに嵌合している。

また、金属ケース外周部８ａの溝１３ｂは、油室Ｏと室
１０とを連通する溝として形成されている。これは、金
属ケース８内の内圧変動防止を行なうためである。

ここで上記したように座金１３と、ばね１２とが接続さ
れており、座金１３がばね１２によってスリンガ５の方
向に付勢されている。

したがって、座金１３に取り付けられたシールリップ１
４も常にスリンガ５方向に付勢される。

このように構成された密封装置１によれば、回転軸６が
回転し、スリンガ５が回転する。

その間中シールリップ１４がスリンガ５の半径部５ｂの
大気側の側面の内周部に摺接する。そして密封装置１の
長期間に亘る使用において、シールリップ１４のリップ
先端が摩耗、ヘタリを生じてもシールリップ１４がばね
１２によってスリンガ方向へ押されているためスリンガ
とシールリップ１４は常に接続して締代の低下を防止
し、耐久性を大巾に向上させることができる。

また金属ケース外周部８ａの溝１３ｂは座金１３の突起
とかみ合っており、回転軸６が回転しても座金１３及び
シールリップ１４が共に回転することがない。

また金属ケース外周部８ａの溝１３ｂは、金属ケース８
内の室１０と油室Ｏとを連通させているので、金属ケー
ス８の室１０内に油室Ｏ内の油が流出入する。このた
め、金属ケース８内に内圧が発生することがない。

さらに小リップ１４ａが、金属ケース８内周部に摺接し
て金属ケース８内の油を密封するので油が金属ケース８
外側へ流れ出すことがない。

なおこれまでこの密封装置１において回転軸６が回転す
るものとして説明してきたがハウジング２が回転するよ
うな構成のものであってもよい。

（考案の効果） 本考案は、回転軸の外周部に設けられたスリンガと、ハ
ウジングに内装された嵌合部と、嵌合部の内周側に取り
付けられた金属ケースと、金属ケース内で軸方向に移動
可能に設けられた座金と、座金に焼付固定されスリンガ
の半径部の内周部に摺接するシールリップとからなる故
に、シールリップのリップ先端が摩耗、ヘタリを生じて
もスリンガと端面リップは常に接触し、シールリップの
締代の低下を防止し、耐久性の向上を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の密封装置の縦断面図、第２図は、本
考案の密封装置の第１図中Ｐから見たＰ矢視図、第３図
は、従来技術の密封装置の縦断面図である。 符号の説明 １…密封装置、２…ハウジング ３…金属環、４…ダストリップ ５…スリンガ、５ａ…軸外周部 ５ｂ…半径部、６…回転軸 ７…シールリップ部、８…金属ケース １０，１１…室、１２…ばね １３…座金、１４…シールリップ １４ａ…小リップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸の外周部に取り付けられ軸外周部及
   び半径部からなるスリンガと、ハウジングに内嵌されス
   リンガの軸外周部に摺接するダストリップを有する嵌合
   部と、嵌合部の内周側に取り付けられた金属ケースと、
   金属ケース内で軸方向に移動可能に設けられた座金と、
   座金に焼付固定されスリンガの半径部の内周部に摺接す
   るシールリップと、前記座金から延び、前記金属ケース
   の内周部に摺接する小リップとからなることを特徴とす
   る密封装置。