JP2011058585A - 密封装置 - Google Patents

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俊也 鴻農
Takayuki Aihara
孝行 相原
隆広 ▲高▼田
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Abstract

【課題】耐泥水性、耐ダスト性を向上させて耐久性に優れた密封装置を提供する。
【解決手段】静止側5に装着され、回転側6と摺動可能に密接される対油シール14を有する第一の密封要素1と、前記対油シール14の外側に位置して前記第一の密封要素1に組み込まれた第二の密封要素2を備え、この第二の密封要素2が、前記第一の密封要素1に軸方向変位可能に密接されると共に、回転側6に形成された端面62aに摺動可能に密接される対ダスト用シールリング21と、この対ダスト用シールリング21を前記端面62aへ向けて軸方向に付勢する付勢手段22を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転部分を密封する密封装置において、とくに農業機械や建設機械の足回りなどのように、泥水や土埃等に曝される過酷な条件での使用に適したものに関する。
耕耘機やトラクタ等のような農業機械や建設機械の足回りを密封するために用いられる密封装置は、泥水等による過酷な環境で使用される。図6は、このような条件で使用される従来の密封装置を、軸心Oを通る平面で切断して示す片側断面図である。
図6に示される密封装置100は、ハウジング200に装着された第一の密封要素101と、軸300に装着され、前記第一の密封要素101と摺動可能に密接された第二の密封要素102と、これら第一及び第二の密封要素101,102の外部A側に配置され、第二の密封要素102と摺動可能に密接された保護フランジ103と、さらにその外側にあって軸300に装着され、端部104aがハウジング200に対して狭い隙間を介して近接対向したカバープレート104を備える。
詳しくは、第一の密封要素101は、軸300側の第二の密封要素102におけるスリーブ102aの外周面に摺動可能に密接されることにより、機内の軸受400等を潤滑する油脂類を密封する対油リップ101aと、その外側に位置し、前記スリーブ102aの外周面及びこのスリーブ102aから展開したシールフランジ102bに摺動可能に密接された複数のダストリップ101b〜101eと、前記シールフランジ102bに一体的に設けられて、保護フランジ103に前記シールフランジ102bの外側で摺動可能に密接された複数のダストリップ102c〜102eを備える。すなわちこの密封装置100は、ゴム状弾性材料からなる多数のダストリップ101b〜101e,102c〜102eによって、外部Aから機内Bへの泥水や土埃等の侵入を防止するものである(例えば下記の特許文献1参照)。
実開昭64−55371号公報
しかしながら従来の密封装置では、外部の泥水やダスト等による過酷な環境に対して、ゴム状弾性材料からなるダストリップが摩耗しやすく、十分な耐久性を確保することが困難であった。また、耐久性を向上させるためにダストリップの枚数を増やすことは、取付スペースや機器の構造上、限度があった。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、耐泥水性、耐ダスト性を向上させて耐久性に優れた密封装置を提供することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る密封装置は、静止側及び回転側のうちの一方に装着され、静止側及び回転側のうちの他方と摺動可能に密接される対油シールを有する第一の密封要素と、前記対油シールの外側に位置して前記第一の密封要素に組み込まれた第二の密封要素を備え、この第二の密封要素が、前記第一の密封要素に軸方向変位可能に密接されると共に、前記静止側及び回転側のうちの他方に形成された端面に摺動可能に密接される対ダスト用シールリングと、この対ダスト用シールリングを前記端面へ向けて軸方向に付勢する付勢手段を備えるものである。
また、請求項2の発明に係る密封装置は、請求項1に記載の対ダスト用シールリングが、フッ素樹脂からなるものである。
また、請求項3の発明に係る密封装置は、請求項1に記載の対ダスト用シールリングが、静止側及び回転側のうちの他方に形成された端面との摺動面に、円周方向へ連続した溝が形成されたものである。
また、請求項4の発明に係る密封装置は、請求項1に記載の対ダスト用シールリングが、静止側及び回転側のうちの他方に形成された端面と摺動可能に密接されるフッ素樹脂からなる端面リップを有するものである。
また、請求項5の発明に係る密封装置は、請求項1に記載の対ダスト用シールリングがゴム状弾性材料からなり、静止側及び回転側のうちの他方に形成された端面と摺動可能に密接される端面リップが一体に形成されたものである。
請求項1の発明に係る密封装置によれば、第一の密封要素の対油シールの摺動部が、その外側に配置された第二の密封要素によって、外部の泥水やダストから保護される。しかも第二の密封要素は、対ダスト用シールリングが摺動によって摩耗しても、付勢手段の軸方向付勢力によって相手摺動端面との密接状態が常に良好に維持されるので、長期にわたって第一の密封要素の対油シールの摺動部を保護することができ、その結果、シール耐久性を著しく向上することができる。また、従来のような多段のダストリップに依存するものに比較して、取付スペースも小さくて良い。
請求項2の発明に係る密封装置によれば、対ダスト用シールリングをフッ素樹脂からなるものとすることによって、請求項1による効果に加え、対ダスト用シールリング自体の摩耗が抑制されると共に、摺動抵抗を低減することができる。
請求項3の発明に係る密封装置によれば、対ダスト用シールリングの摺動面に、円周方向へ連続した溝が形成されることによって摺動面積が小さくなるので、請求項1による効果に加え、所要の密封面圧を確保して外部の泥水やダストに対する遮断機能を向上させることができると共に、前記摺動面から発生する摩耗粉を溝内に保持して、対油シール側への摩耗粉の侵入を防止することができる。
請求項4の発明に係る密封装置によれば、対ダスト用シールリングが、フッ素樹脂からなる端面リップを有するものとすることによって、請求項1による効果に加え、外部の泥水やダストを一層有効に遮断することができる。
請求項5の発明に係る密封装置によれば、ゴム状弾性材料からなる対ダスト用シールリングが端面リップを一体に有するものであるため、請求項1による効果に加え、安価に製作することができる。
本発明に係る密封装置の第一の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の片側断面図である。 本発明に係る密封装置の第一の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す分離状態及び組立状態の片側断面図である。 本発明に係る密封装置の第二の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の片側断面図である。 本発明に係る密封装置の第三の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の片側断面図である。 本発明に係る密封装置の第四の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の片側断面図である。 従来の密封装置を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の片側断面図である。
以下、本発明に係る密封装置の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、本発明に係る密封装置の第一の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の片側断面図、図2は、同じく分離状態及び組立状態の片側断面図である。
図1において、参照符号5は例えば農業機械あるいは建設機械等の足回り部分の軸孔ハウジング、参照符号6はこの軸孔ハウジング5の内周に不図示の軸受により回転可能に支持された軸体の一部を示すものである。なお、軸孔ハウジング5は請求項1に記載された静止側に相当し、軸体6は請求項1に記載された回転側に相当する。
軸孔ハウジング5は、その外端面5a側の内周面にシール装着面5bが径方向段差5cを介して拡径形成されており、前記外端面5aには円周方向へ連続した凹部(以下、環状凹部という)5dが形成されている。また軸体6は軸孔ハウジング5の内周に挿入された軸部61と、軸孔ハウジング5の外端面5aの内径側の付近で前記軸部61から拡径形成されたフランジ部62を有する。
本発明の第一の形態による密封装置は、軸孔ハウジング5に装着されるものであって、軸体6の軸部61の外周面と摺動可能に密接される対油リップ14を有する第一の密封要素1と、前記対油リップ14の外側に位置して前記第一の密封要素1に保持された第二の密封要素2と、さらにそれより外側にあって軸体6に装着されたカバープレート3を備える。
詳しくは、第一の密封要素1は、金属製の補強環11と、この補強環11に一体に設けられた外周固定シール部12、外周リップ13、対油リップ14、及びダストリップ15,16と、前記対油リップ14の外周に装填されたガータスプリング17とを有するものである。外周固定シール部12、外周リップ13、対油リップ14、及びダストリップ15,16は、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなるものであって、互いに連続しており、補強環11に一体に加硫接着(一体成形)されている。なお、対油リップ14は請求項1に記載された対油シールに相当する。
第一の密封要素1における補強環11は金属のプレス成形品であって、外周円筒部11aと、その機内B側の端部から内周側へ延びる径方向部11bと、この径方向部11bの内径から機内Bと反対側へ外周円筒部11aと同心に延びる内周円筒部11cと、さらにこの内周円筒部11cから漸次小径となる円錐筒状をなして延びる内径フランジ部11dとからなる。
第一の密封要素1における外周固定シール部12は、補強環11の外周円筒部11aの外周面に一体的に設けられ、軸孔ハウジング5の内周面(シール装着面5b)に圧入されることによって、軸孔ハウジング5に対して第一の密封要素1を固定すると共に軸孔ハウジング5と第一の密封要素1との間の気密状態を保持するものである。
第一の密封要素1における外周リップ13は、外周固定シール部12と連続したゴム状弾性材料からなるものであって、補強環11の外周円筒部11aにおける外部A側の端部に位置して設けられ、内周縁部が後述する第二の密封要素2の対ダスト用シールリング21の外周面に適当な締め代をもって軸方向摺動可能に密接されるものである。
第一の密封要素1における対油リップ14及びダストリップ15,16は、補強環11の内径フランジ部11dの内径端部に一体的に設けられ、外周固定シール部12と連続したゴム状弾性材料からなるものであって、先端が小径となるような円錐筒状をなしており、このうち対油リップ14は機内B側を向き、ダストリップ15,16はその反対側を向き、それぞれ内径端部が、軸体6の軸部61の外周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接されている。
第一の密封要素1におけるガータスプリング17は、金属製の細長いコイルスプリングを環状に繋げたものであって、対油リップ14における先端近傍の外周側に形成された環状溝に嵌着され、対油リップ14の緊迫力を補償するものである。
第一の密封要素1には、補強環11の外周円筒部11aと内径フランジ部11d(対油リップ14及びダストリップ15,16)との間にシールリング保持空間Sが存在し、第二の密封要素2は、このシールリング保持空間Sに配置されている。
詳しくは、第二の密封要素2は、第一の密封要素1によるシールリング保持空間Sに軸方向変位可能に保持されると共に、軸体6のフランジ部62の端面62aに対して摺動可能に密接される対ダスト用シールリング21と、この対ダスト用シールリング21を前記端面62aへ向けて軸方向に付勢するコイルスプリング22からなる。なお、コイルスプリング22は、請求項1に記載された付勢手段に相当する。
第二の密封要素2における対ダスト用シールリング21は、耐摩耗性に優れると共に摩擦係数の低いフッ素樹脂、例えばPTFE(Polytetrafluoroethylene)からなるものであって、軸体6のフランジ部62の端面62aとの摺動面21a寄りの外周面21c(図2参照)が、第一の密封要素1における外周リップ13の内周縁に軸方向変位可能に密接されることによって、この第一の密封要素1に保持されている。また、摺動面21aと反対側の端部寄りの外周面に円周方向等配状に形成された係合突部21bが、第一の密封要素1における補強環11の外周円筒部11aの内周に外周リップ13と連続したゴム状弾性材料で円周方向等配状に形成された係合溝18に軸方向移動可能に係合されることによって、回り止めされている。
第二の密封要素2におけるコイルスプリング22は、第一の密封要素1における補強環11の外周円筒部11aから径方向部11b及び内周円筒部11cにかけての内面に外周リップ13、対油リップ14及びダストリップ15,16と連続したゴム状弾性材料で断面略コ字形に形成されたスプリング保持部19に挿入状態に保持されると共に、対ダスト用シールリング21との間に適宜圧縮状態で介在されることによって、この対ダスト用シールリング21を、軸体6のフランジ部62の端面62aに向けて押し付けるものである。
カバープレート3は、金属のプレス成形品であって、内径端が軸体6のフランジ部62の外周に固定された固定フランジ部31と、その外径端からに延びて、軸孔ハウジング5の外端面5aに形成された環状凹部5dに遊嵌された円筒部32からなり、この環状凹部5dとの間にジグザグに屈曲した狭い隙間を形成することによって非接触式のラビリンスシールとして機能するものである。
以上のように構成された第一の形態の密封装置において、第一の密封要素1は、外周固定シール部12によって軸孔ハウジング5の内周面(シール装着面5b)に非回転状態で固定されており、機内B側を向いた対油リップ14が、回転側である軸体6の軸部61の外周面と摺動可能に密接されることによって、機内Bに存在する潤滑油等が外部Aへ漏洩するのを防止するものである。
一方、第二の密封要素2は、第一の密封要素1に回り止めされた状態で保持された対ダスト用シールリング21の摺動面21aが、第一の密封要素1における対油リップ14の外側で、コイルスプリング22の軸方向付勢力により軸体6のフランジ部62の端面62aに適当な面圧で密接されることによって、外部Aからの泥水やダスト等の侵入を防止するものである。また、対ダスト用シールリング21はPTFEなどのフッ素樹脂からなるものであるため、外部Aの泥水やダスト等に曝される環境で使用されても摩耗しにくく、しかも摺動抵抗も著しく小さく抑えられる。
また、対ダスト用シールリング21の外周面には、第一の密封要素1における外周リップ13の内周縁が軸方向摺動可能に密接されているので、対ダスト用シールリング21と第一の密封要素1との間から外部Aの泥水やダスト等が侵入することも、有効に防止される。
このため、第一の密封要素1における対油リップ14(及びダストリップ15,16)と軸体6の軸部61の外周面との摺動部が、その外側に配置された第二の密封要素2の対ダスト用シールリング21によって、外部Aの泥水やダストから保護される。加えて、第二の密封要素2の外側には、ラビリンスシールとして機能するカバープレート3が設けられているため、第二の密封要素2自体が、外部Aの泥水やダストからある程度保護される。
しかも、対ダスト用シールリング21の摺動面21aが摺動によって経時的に摩耗しても、コイルスプリング22の軸方向付勢力によって軸体6のフランジ部62の端面62aとの密接状態が常に良好に維持されるので、外部Aの泥水やダストに対する遮断機能は損なわれない。
そして、泥水やダスト等が対ダスト用シールリング21の摺動面21aあるいは第一の密封要素1における外周リップ13の内周縁を僅かに通過することがあったとしても、このような泥水やダスト等は、ダストリップ15,16によって、対油リップ14側への侵入が阻止される。このため、長期にわたって第一の密封要素1における対油リップ14及びダストリップ15,16の摺動部を保護することができる。
また、対ダスト用シールリング21及びコイルスプリング22からなる第二の密封要素2が、第一の密封要素1内のスプリング保持部19及びシールリング保持空間Sに収容状態に組み込まれているので、他段のダストリップに依存するもののような取付スペースの増大を来たさない。
ここで、上記構成の密封装置の組立に際しては、図2の(イ)に示される分離状態から、コイルスプリング22を第一の密封要素1におけるスプリング保持部19に挿入し、さらに対ダスト用シールリング21を、その外周面に形成された係合突部21bと第一の密封要素1における係合溝18の円周方向の位置合わせをしながら、摺動面21aと反対側を先頭にして第一の密封要素1における補強環11の外周円筒部11aの内周(シールリング保持空間S)に挿入する。
このとき、先に挿入されたコイルスプリング22を圧縮しながら対ダスト用シールリング21をシールリング保持空間Sへ挿入して行く過程で、第一の密封要素1における外周リップ13が、その内周縁より大径である対ダスト用シールリング21の係合突部21bに相対的に乗り上がる。なお、この乗り上がりが円滑に行われるように、挿入方向における係合突部21bの端部外周は斜面状に形成されている。
そして対ダスト用シールリング21をさらに挿入して行くことによって係合突部21bが外周リップ13の内周を通過して係合溝18との係合位置に達した時点で、図2の(ロ)に示される組立状態のように、外周リップ13は自らの弾性によって縮経し、対ダスト用シールリング21の摺動面21a寄りの外周面21cに密接される。そしてこの状態では、コイルスプリング22の圧縮反力によって対ダスト用シールリング21が第一の密封要素1における補強環11の外周円筒部11aの内周から押し戻されても、係合突部21bが外周リップ13と干渉するので、有効に抜け止めされる。
すなわち、第一の密封要素1の外周リップ13は、その締め代によって対ダスト用シールリング21との間をシールするパッキンとしての機能と、対ダスト用シールリング21を第一の密封要素1に支持する機能と、図2の(ロ)に示される組立状態において対ダスト用シールリング21の脱落を防止する抜け止め機能とを有するものである。
したがって、機器への未装着状態でも、第一の密封要素1と対ダスト用シールリング21とコイルスプリング22がばらばらになることがなく、図2の(ロ)に示される組立状態が保持されるので、取り扱いを容易に行うことができる。
次に図3は、本発明に係る密封装置の第二の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の片側断面図である。
この第二の形態において上述した第一の形態と異なるところは、第二の密封要素2における対ダスト用シールリング21が、軸体6のフランジ部62の端面62aとの摺動面21aに、その幅方向中間に位置して、円周方向へ連続した溝21dが形成された点にある。その他の部分は、基本的に第一の形態と同様に構成することができる。
この第二の形態によれば、第一の形態と同様の効果を実現することができる。そして特に、対ダスト用シールリング21の摺動面21aに、円周方向へ連続した溝21dが形成されることによって、その分、摺動面積が小さくなるので、所要の密封面圧を確保して外部Aの泥水やダストに対する遮断機能を向上させることができる。
また、上記溝21dは、摺動面21aから発生する摩耗粉を保持する機能を有する。したがって、摺動面21aの摩耗により発生した摩耗粉がダストリップ15,16の摺動面、ひいては対油リップ14の摺動面へ介入されるのを有効に防止することができる。
次に図4は、本発明に係る密封装置の第三の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の片側断面図である。
この第三の形態において上述した第一又は第二の形態と異なるところは、対ダスト用シールリング21が、環状本体211と、この環状本体211に保持された複数の端面リップ212からなり、第一又は第二の形態における第一の密封要素1の外周リップ13の代わりに、対ダスト用シールリング21における環状本体211の外周面に、第一の密封要素1における補強環11の外周円筒部11aの内周面に摺動可能に密接される複数の外周リップ211aを形成したことにある。
詳しくは、対ダスト用シールリング21における環状本体211は、ゴム状弾性材料で成形されたものであって、その外周面に形成された外周リップ211aは、外部A側を向いていて、先端が大径となるような円錐筒状をなしている。そして第一の密封要素1における補強環11の外周円筒部11aは、外部A側の端部近傍の内周面が、スプリング保持部19を形成しているゴム状弾性材料の層から露出しており、前記外周リップ211aの先端は、この外周円筒部11aの露出した内周面に摺動可能に密接されている。
また、対ダスト用シールリング21における各端面リップ212は、耐摩耗性に優れると共に摩擦係数の低いフッ素樹脂、例えばPTFEで成形されたものであって、先端が大径となるような(外部A側を向くような)円錐筒状をなし、径方向に互いに積層された状態で、基部が環状本体211に埋設状態で一体化されており、前記先端が、軸体6のフランジ部62の端面62aと摺動可能に密接されている。
なお、その他の部分は、基本的に第一又は第二の形態と同様に構成することができる。また、第一の密封要素1と対ダスト用シールリング21との間には、第一又は第二の形態と同様、回り止め機構を設けることができる。
この第三の形態によれば、第一の形態と同様の効果を実現することができる。そして特に、対ダスト用シールリング21が複数の端面リップ212の先端において軸体6のフランジ部62の端面62aに密接されるものであることによって、摺動面積が小さく、局部的に高い密封面圧が得られるので、外部Aの泥水やダストに対する遮断機能を向上させることができる。しかも、端面リップ212はフッ素樹脂からなるものであるため、摩耗しにくく、摺動抵抗も著しく小さく抑えられる。
そしてこの形態でも、対ダスト用シールリング21はコイルスプリング22によって軸方向に付勢されているので、端面リップ212に端面62aとの摺動による経時的な摩耗が発生したとしても、外部Aの泥水やダストに対する遮断機能がコイルスプリング22の付勢力によって補償される。
また、各端面リップ212の摺動面間には、円周方向へ連続した溝状の隙間が形成されることになるので、この溝状隙間が、先に説明した第二の形態における溝21dと同様、摩耗粉を保持する機能を有する。したがって、各端面リップ212の摩耗より発生した摩耗粉がダストリップ15,16の摺動面、ひいては対油リップ14の摺動面へ介入されるのを有効に防止することができる。
なお、この第三の形態によれば、第一又は第二の形態のような第一の密封要素1の外周リップ13と対ダスト用シールリング21の係合突部21bによる抜け止め機構は存在しないが、組立に際してまずコイルスプリング22を第一の密封要素1のスプリング保持部19へ挿入し、さらに対ダスト用シールリング21を第一の密封要素1における補強環11の外周円筒部11aの内周へ挿入した後は、コイルスプリング22の圧縮反力によって対ダスト用シールリング21がある程度押し戻されても、外部A側を向いた外周リップ211aには、前記補強環11の外周円筒部11aの内周面との摩擦力を増大するような変位力が作用するので、対ダスト用シールリング21は脱落しにくいものとなっている。
したがって、機器への未装着状態でも、第一の密封要素1と対ダスト用シールリング21とコイルスプリング22が容易にばらばらになることはなく、取り扱いを容易に行うことができる。
次に図5は、本発明に係る密封装置の第四の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の片側断面図である。
この第四の形態は、対ダスト用シールリング21をゴム状弾性材料で成形し、上述した第三の形態におけるフッ素樹脂からなる端面リップ212の代わりに、対ダスト用シールリング21に複数の端面リップ211bを形成したものである。
したがってこの構成によれば、対ダスト用シールリング21に高価なPTFEなどフッ素樹脂を用いず、しかも射出成形などによって容易に製作できるので、安価に提供することができる。
なお、上述した各形態では、軸孔ハウジング5が静止側、軸体6が回転側として説明したが、逆に軸体6が非回転であり、軸孔ハウジング5が回転されるような機器にも本発明を実施することが可能である。
1 第一の密封要素
11 補強環
12 外周固定シール部
13 外周リップ
14 対油リップ(対油シール)
15,16 ダストリップ
18 係合溝
19 スプリング保持部
2 第二の密封要素
21 対ダスト用シールリング
21b 係合突部
21d 溝
211 環状本体
211a 外周リップ
211b,212 端面リップ
3 カバープレート
5 軸孔ハウジング(静止側)
6 軸体(回転側)
61 軸部
62 フランジ部
62a 端面
A 外部
B 機内

Claims (5)

  1. 静止側及び回転側のうちの一方に装着され、静止側及び回転側のうちの他方と摺動可能に密接される対油シールを有する第一の密封要素と、前記対油シールの外側に位置して前記第一の密封要素に組み込まれた第二の密封要素を備え、この第二の密封要素が、前記第一の密封要素に軸方向変位可能に密接されると共に、前記静止側及び回転側のうちの他方に形成された端面に摺動可能に密接される対ダスト用シールリングと、この対ダスト用シールリングを前記端面へ向けて軸方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする密封装置。
  2. 対ダスト用シールリングが、フッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
  3. 対ダスト用シールリングが、静止側及び回転側のうちの他方に形成された端面との摺動面に、円周方向へ連続した溝が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
  4. 対ダスト用シールリングが、静止側及び回転側のうちの他方に形成された端面と摺動可能に密接されるフッ素樹脂からなる端面リップを有することを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
  5. 対ダスト用シールリングがゴム状弾性材料からなり、静止側及び回転側のうちの他方に形成された端面と摺動可能に密接される端面リップが形成されたことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
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