JPH0740770Y2

JPH0740770Y2 - 密封装置

Info

Publication number: JPH0740770Y2
Application number: JP1989084581U
Authority: JP
Inventors: 泰愛濱屋
Original assignee: エヌオーケー株式会社
Priority date: 1989-07-20
Filing date: 1989-07-20
Publication date: 1995-09-20
Anticipated expiration: 2004-07-20
Also published as: JPH0325077U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、密封装置に関し、特に回転運動と往復運動の
両方の運動をする軸の軸封用として用いられる装置に関
する。

（従来の技術）従来の、回転用あるいは往復運動用の密封装置として
は、たとえばリップタイプのオイルシールが知られてい
る。このオイルシールは、ハウジング内周に流体密に嵌
着固定される環状部材で、その内周側に軸に直接的に密
封接触するシールリップを備えており、回転用と往復動
用の両方のシールとして用いることが基本的に可能であ
る。

（考案が解決しようとする課題）しかしながら上記した従来技術にあっては、軸が円形で
なく、多角形等の異形断面の場合に、軸方向の往復運動
用のシールとしては有効であるものの、回転用のシール
としてはそのシール性や寿命に問題があった。すなわ
ち、シールリップはゴム状弾性体により構成されてい
て、軸の偏心や凹凸に対して追随するようにはなってい
るものの、多角形断面の軸に対してシールリップを密接
状態で追随させることはできない。そのため追随性不足
や接触不良等により密封性能は低下し、さらに摺動部に
短期間で過大な摩耗が招来し、寿命が極端に短くなって
しまう。

一方、従来から軸にスリーブを流体密に嵌着し、スリー
ブを介してシールリップを接触させるようにしたスリー
ブ付きのオイルシールが知られている。この場合には、
軸の断面形状に合致するようなスリーブを用いることに
よって、多角形の軸であっても適切なシールが可能であ
る。

しかし、従来のスリーブ付きオイルシールでは、スリー
ブが軸方向と回転方向のいずれの方向にも固定状態とな
っていたので、回転運動用のシールとしては有効であっ
ても往復運動用シールとしては用いることができなかっ
た。すなわち、軸が往復運動するとスリーブが軸と共に
移動し、ハウジングに固定されたオイルシールから外れ
てしまう。

本考案は上記した従来技術の課題を解決するためになさ
れたもので、その目的とするところは、軸の断面形状等
に拘わらず、回転および往復運動の両方の運動をする軸
の軸封用として用いることができる密封装置を提供する
ことにある。

（課題を解決するための手段）上記目的を達成するために、本考案にあっては、互いに
同心的に相対移動自在に組付けられるハウジングと断面
多角形の軸との間をシールするもので、ハウジング内周
に嵌着されてハウジングに対し軸方向および回転方向に
固定の第１シールリングと、軸に嵌着されて軸に対し軸
方向には移動可能で回転方向には固定の、円筒状部とこ
の円筒状部の一端から径方向に延びるフランジ部とを備
えた第２シールリングとから成り、第１シールリングに
は、第２シールリングの円筒状部に近接する補強環と、
この補強環の内周端から傾斜して延び第２シールリング
に対して摺動自在に密封接触するシールリップと、第２
シールリングのフランジ部に密封接触する端面シールリ
ップと、第２シールリングのフランジ部に当接可能なス
トッパと、を設け、第２シールリングには軸の外周に摺
動自在に密封接触する往復動用のシールリップを設ける
ことを特徴とする。

（作用）上記構成の密封装置にあっては、軸の回転時には第２シ
ールリングが軸と共に回転し、第２シールリングに対し
て接触する第１シールリングのシールリップによりシー
ルされる。

また軸が往復動した場合には、軸に嵌着される第２シー
ルリングが軸と共に移動しようとするがストッパ手段に
よってその移動が規制され、第２シールリングが軸に対
して相対的に摺動する。そして軸と第２シールリングと
の摺動部は第２シールリングに設けられた往復動用シー
ルリップによってシールされる。

（実施例）以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明する。本考
案の一実施例に係る密封装置を示す第１図乃至第３図に
おいて、１は密封装置全体を示しており、互いに同心的
に組付けられるハウジング２と軸３間の隙間をシールす
るものである。軸３はこの実施例では正六角形の異形断
面で、ベアリング４を介して回転運動と軸方向への往復
運動の両方の運動をするようになっている。

密封装置１は、ハウジング２に嵌着固定される第１シー
ルリング５と、軸３に嵌着固定される第２シールリング
６とから構成されている。

第１シールリング５は、ハウジング２内周に嵌合する金
属製の補強環51と、この補強環51に一体的に焼付けられ
るゴム状弾性体52とから構成されている。補強環51はそ
の断面形状が反密封対象流体側Ｂが開いた横Ｕ字形状
で、外筒部51aと、内筒部51bと、外筒部51aと内筒部51b
の密封対象流体側端部を連結する屈曲部51cとから成っ
ている。そして内筒部51bの長さは外筒部51aよりも短
く、内筒部51bの先端には外筒部51aの中途位置から半径
方向内方に向って延びる内向きフランジ51dが設けられ
ている。ゴム状弾性体52は補強環51の内外周の略全面を
被覆しており、特に外筒部51aの外周は外周シール部52a
を構成し、密封対象流体側端部はこの第１シールリング
５の位置決め用の端面７を構成する。そして、内向きフ
ランジ51dの内端には第２シールリング６の円筒状部61
外周に接触するシールリップ53が設けられ、さらにこの
内向きフランジ51dの付け根部の反密封対象流体側には
第２シールリング６のフランジ部62の密封対象流体側端
面62aに接触する端面リップ54が設けられている。

また、この補強環51の内筒部51b内周にはゴム状弾性体5
2を介して断面形の保護環55が嵌め込まれている。

第２シールリング６は、軸３に嵌合されると共に第１シ
ールリング５の内周に同心的に挿入される円筒状部61
と、その反密封対象流体側Ｂ端部から半径方向外方に向
って張り出すフランジ部62とを備えている。そしてこの
第２シールリング６も、つば出し円筒状の補強環63と、
この補強環63に一体的に焼付けられるゴム状弾性体64と
から構成されるもので、ゴム状弾性体64は円筒状部61の
内周とフランジ部62の反密封対象流体側端面にかけて連
続して全周的に焼付けられている。そして、円筒状部61
の外周面は補強環63の金属製の円筒面61aが露出してお
り、この金属円筒面61aに上記第１シールリング５のシ
ールリップ53が摺動自在に密封接触している。また、フ
ランジ部62の密封対象流体側端面62aも補強環63の金属
面が露出しており、この金属製の端面に上記第１シール
リング５の端面リップ54が摺動自在に密封接触してい
る。

一方、円筒状部61内周に焼き付けられるゴム状弾性体64
の内周形状は、正六角形の軸３の外周形状に倣った正六
角形になっていて、軸３外周に嵌着するようになってい
る。このように六角形の軸３外周に円筒状部61内周のゴ
ム状弾性体64の六角形の穴を嵌合させており、第２シー
ルリング６は回転方向に固定で軸方向には可動に構成さ
れる。

さらに、円筒状部61の密封対象流体側端部には軸３の外
周に流体密に接触する往復動用シールリップ65が設けら
れている。この往復動用シールリップ65は密封対象流体
側Ａに向って傾斜して延びている。

また、フランジ部62はその外径が第１シールリング５の
外周シール部52aの外径よりも僅かに小さいだけで、フ
ランジ部62の先端部が第１シールリング５の外筒部51a
の反密封対象流体側端部（ストッパ）と軸方向に僅かな
間隙を介して対向するようになっている。

また、フランジ部62の外端部の反密封対象流体側Ｂ端面
には、ベアリング４の外輪41の端面に当接可能な環状の
突起66が突設されている。

さらにハウジング２内周には、この密封装置１がハウジ
ング２内周に嵌合された状態で、第１シールリング５の
密封対象流体側の位置決め用端面７に係合する止め輪８
が設けられている。

上記構成の密封装置にあっては、軸３が回転した場合に
は、軸３の回転と共に第２シールリング６が回転し、第
１シールリング５のシールリップ53が第２シールリング
６の円筒状部61外周の金属面61aに対して密封状態で摺
動する。また、第１シールリング５の端面リップ54が第
２シールリング６のフランジ部62の端面62aに対して密
封状態で摺動し、密封対象流体の浸入がシールされる。
このように第２シールリング６の円筒状部61外周が円筒
面となっているのでシールリップ53の接触面圧は全周に
わたって均一に保持される。また、摺動面が円筒面とな
っていることから摺動面の摩耗の度合も小さい。

また、第１シールリング５の外周はハウジング２内周に
密に嵌合される外周シール部52aによりシールされ、さ
らに第２シールリング６内周は往復動用シールリップ65
と、円筒状部61内周のゴム状弾性体64によって確実にシ
ールされる。

つぎに軸３が往復動する場合について説明する。まず、
軸３が反密封対象流体側Ｂに移動すると軸３と共に第２
シールリング６が反密封対象流体側Ｂに移動しようとす
るが、フランジ部62がベアリング４の外輪に当接してそ
の移動が規制される。

また、軸３が密封対象流体側Ａに移動すると、軸３の移
動と共に第２シールリング６が移動しようとするが、フ
ランジ部62が第１シールリング５の外周シール部52aの
反密封対象流体側端部に当接してストッパとして機能
し、その移動が規制され、端面リップ54が潰されること
はない。この移動の規制は第１シールリング５の嵌合力
と、さらに抜け止め用の止め輪８によってなされる。

このように軸３が密封対象流体側Ａおよび反密封対象流
体側Ｂのいずれの方向に移動した場合でも、フランジ部
62が係合するベアリング４あるいは第１シールリング５
によって第２シールリング６の軸方向移動が規制され、
軸３のみが移動して軸３と第２シールリング６とが軸方
向に相対的に摺動することになる。

そして、この第２シールリング６と軸３との摺動部は、
往復動用シールリップ65によってシールされる。

（考案の効果）本考案は以上の構成おび作用を有するもので、ハウジン
グに嵌着される第１シールリングのシールリップを軸に
直接接触させないで、軸に嵌着される第２シールリング
に対して接触させるようにしたので、軸が多角形等の異
形断面であっても接触面を円形にすることができ、シー
ル面圧を均一にできると共に摩耗も可及的に低減するこ
とができる。また、第１シールリングに第２シールリン
グのフランジ部に当接可能なストッパを設けたので、こ
のフランジ部に接触するシールリップの変形が規制され
潰れることはない。さらに、第１シールリングに第２シ
ールリングの円筒状部に近接する補強環を設けたので、
円筒状部との間でラビリンスを形成しシール性能が向上
すると共に、シールリップのめくれが防止できる。した
がって、回転運動と往復運動の両方の運動用の密封装置
として、シール性に優れかつ長寿命の装置を実現するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る密封装置の要部縦断面
図、第２図は第１図の装置の全体縦断面図、第３図は第
２図の側面図である。符号の説明１…密封装置、２…ハウジング３…軸、４…ベアリング５…第１シールリング 51…補強環、52…ゴム状弾性体 53…シールリップ 54…端面リップ、６…第２シールリング 61…円筒状部、61a…円筒面 62…フランジ部 62a…密封対象流体側端面 63…補強環、64…ゴム状弾性体 65…往復動用シールリップ 66…突起

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】互いに同心的に相対移動自在に組付けられ
るハウジングと断面多角形の軸との間をシールするもの
で、ハウジング内周に嵌着されてハウジングに対し軸方向お
よび回転方向に固定の第１シールリングと、軸に嵌着されて軸に対し軸方向には移動可能で回転方向
には固定の、円筒状部とこの円筒状部の一端から径方向
に延びるフランジ部とを備えた第２シールリングとから
成り、第１シールリングには、第２シールリングの円筒状部に
近接する補強環と、この補強環の内周端から傾斜して延
び第２シールリングに対して摺動自在に密封接触するシ
ールリップと、第２シールリングのフランジ部に密封接
触する端面シールリップと、第２シールリングのフラン
ジ部に当接可能なストッパと、を設け、第２シールリングには軸の外周に摺動自在に密封接触す
る往復動用のシールリップを設けることを特徴とする密
封装置。