JPH0448366Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、例えばウオーターポンプなどの機体
の回転軸部を軸封する軸封装置の改良に関するも
のである。

［従来の技術」 従来、この種の軸封装置においては、第２図に
例示するように、機体１のアルミ鋳物製のハウジ
ング２内に挿通されたステンレス製の回転軸３を
軸封するにあたり、回転軸３側に装着固定された
鉄系鋳物製のインペラー４の内周面に形成した嵌
合凹部４ａに、緩衝ゴムであるカツプガスケツト
５を介して回転環であるセラミツク製のメイテイ
ングリング６を嵌合固定する一方、このメイテイ
ングリング６に固定環であるカーボン素材からな
るシールリング７を摺接させるとともに、このシ
ールリング７の内周面に、係合凹部８を形成し、
この係合凹部８に、前記ハウジング２側に固定さ
れた外筒状のカートリツジケース９の延出部１０
を係合させて廻り止めし、さらに、前記シールリ
ング７をカートリツジケース９内でバツクアツプ
されたパツキン１１及びスプリング抑え部材１２
を介してコイルスプリング１３の付勢力により軸
方向に押圧付勢してなる構成を有するメカニカル
シールで軸封してものがある。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、このような従来構造のメカニカ
ルシールによる軸封装置では、構造が複雑で、コ
スト的に高くなるばかりでなく、コイルスプリン
グ１３などの使用により取付けスペースを広く必
要とするために大型化し、しかも、摺動トルクも
高くなり、これによつて、摺動面の面荒れや歪、
あるいはカツプガスケツト５及びパツキン１１な
どにクラツク等が発生し易く、密封性能を低下さ
せるといつた問題があつた。

［考案の目的］ 本考案は、上記の事情のもとになされたもの
で、その目的とするところは、リツプ型のシール
構造とすることにより、取付けスペースの縮小
化、低コスト化及び摺動トルクの低減化を図るこ
とができるようにした軸封装置を提供することに
ある。

［問題点を解決するための手段］ 上記した問題点を解決するために、本考案は、
回転軸と一体に回転するメイテイングリングの一
端面に形成された摺動面に、基部が非回転のカー
トリツジケースに固着されたリツプシールの先端
部を摺接させ、前記カートリツジケースの内径筒
状部の外周に、前記メイテイングリングの摺動面
と摺接する端面と、先端部へ向けて大径となる前
記リツプシールの内周面に接触するテーパ状外周
面とを有する断面クサビ形の遊動リングを軸方向
移動自在に設けてなる構成としたものである。

［作用］ すなわち、本考案は、上記の構成とすることに
よつて、メイテイングリングの摺動面にリツプシ
ールを摺接させてシール機能を持たせるようにし
てなることから、メカニカルシールと比較して構
造を簡略化することができる。また、遊動リング
がメイテイングリングの軸方向変位に追随し、該
遊動リングのテーパ状外周面によるリツプシール
に対するバツクアツプ力が変化するので、リツプ
シールの先端部とメイテイングリング摺動面の摺
動負荷の変動が抑制され、これによつて、摺動面
の面荒れや歪、あるいは緩衝ゴム及びパツキンな
どのクラツクの発生を確実に防止することができ
るとともに、密封性及び耐久性の向上を図ること
が可能になる。

［実施例］ 第１図は本考案の一実施例を示し、２２は機体
１のハウジング２の軸孔開口部に密嵌したカート
リツジケース、２３は基部２３ｂが内環２１とカ
ートリツジケース２２の内径筒状部２２ａの対向
周面間に挟着され、外径側へ傾斜して延びる先端
部２３ａがメイテイングリング６の摺動面６ａと
摺接するゴムあるいはPTFEからなるリツプシー
ル、２４は前記軸孔に挿通された回転軸３に外装
され、インペラー４側の端部に形成したフランジ
部２４ａにカツプガスケツト５を介して前記メイ
テイングリング６を嵌着保持してなるスリーブ
で、前記内径筒状部２２ａの外周には、メイテイ
ングリング６の摺動面６ａと摺接する端面２５ａ
と、リツプシール２３の内周面に接触するテーパ
状外周面２５ｂとを有しカーボン、ナイロンある
いはPTFEからなる断面クサビ形の遊動リング２
５を軸方向移動自在に設け、この遊動リング２５
で外圧によるリツプシール２３の下方への倒れ込
み（ヘタリ）を防止して前記メイテイングリング
６の摺動面へのベタ当たりを防ぐように保持して
なる構成を有するもので、この場合、遊動リング
２５をリツプシール２３の押付け力を利用して前
記メイテイングリング６の摺動面に摺接させるこ
とにより、リツプシール２３からの漏洩を遊動リ
ング２５で二次シールすることを可能にしてい
る。

また、上記構成において、回転軸３と共にメイ
テイングリング６が当該軸封装置の軸方向取付長
Ｌを縮小するように図中右側へ変位した場合や、
組み立ての誤差によつて取付長Ｌが設計値よりも
短いような場合は、遊動リング２５もこれに追随
して図中右側へ変位するので、遊動リング２５の
テーパ状外周面２５ｂによるリツプシール２３に
対するバツクアツプ力Ｆが増大し、その結果軸方
向取付長Ｌの縮小によるリツプシール２３の先端
部２３ａとメイテイングリング６の摺動面６ａの
摺動負荷の増大が緩和される。

なお、本考案は、上記した実施例に限定され
ず、本考案の要旨を変えない範囲で種々変更実施
されることは勿論である。

［考案の効果］ 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、構造を簡素化および小型化できるほか、遊動
リングがメイテイングリングの軸方向変位に追随
することによつてリツプシールに対するバツクア
ツプ力が変化し、該リツプシールの先端部とメイ
テイングリング摺動面との摺動負荷の変動を抑制
するので、摺動面の面荒れや歪、あるいは緩衝ゴ
ム及びパツキンなどのクラツクの発生を確実に防
止することができるとともに、密封性及び耐久性
の向上を図ることができるというすぐれた効果を
奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る軸封装置の一実施例を示
す概略的要部断面図、第２図は従来の軸封装置の
概略的要部断面図である。 １……機体、２……ハウジング、３……回転
軸、４……インペラー、６……メイテイングリン
グ、２１……内環、２２……カートリツジケー
ス、２３……リツプシール、２４……スリーブ、
２５……遊動リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転軸と一体に回転するメイテイングリングの
   一端面に形成された摺動面に、基部が非回転のカ
   ートリツジケースに固着されたリツプシールの先
   端部を摺接させ、前記カートリツジケースの内径
   筒状部の外周に、前記メイテイングリングの摺動
   面と摺接する端面と、先端部へ向けて大径となる
   前記リツプシールの内周面に接触するテーパ状外
   周面とを有する断面クサビ形の遊動リングを軸方
   向移動自在に設けてなることを特徴とする軸封装
   置。