JPH0144798Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ダブル型メカニカルシールを備えた
水中ポンプ用メカニカルシールの改良に関するも
のである。

［従来の技術］ 従来、この種の水中ポンプ用ダブル型メカニカ
ルシールにおいては、第３図に例示するように、
機体のモータ室Ａ側ハウジング１とポンプ室Ｂ側
ハウジング２との間のオイルバスＣ内に挿通され
た回転軸３を軸封するにあたり、前記双方のハウ
ジング１及び２側のそれぞれに、固定摺接環であ
るフローテイングシート４を緩衝ゴム５を介して
嵌着する一方、このフローテイングシート４の摺
動面側の前記回転軸３の軸周に回転摺接環である
シールリング６を配置し、かつこのシールリング
６をドライブリング７で固定されたパツキン８で
バツクアツプし、このパツキン８と前記シールリ
ング６の衝合部の外周をケース９で保持するとと
もに、このケース９の一部９ａ，９ｂ及び９ｃを
カシメたり、あるいはシールリング６またはドラ
イブリング７に係合させたりして廻り止めされ一
体化されたしたシール組立部品１０を一対とし
て、前記回転軸３の中心軸方向に左右対称的に配
置し、これら上下部両シール組立部品１０，１０
のケース９，９間に適宜のクリアランスａをもた
せて共通なコイルスプリング１１を介在し、この
コイルスプリング１１の付勢力により軸方向に押
圧付勢することによつて軸封してなる構成を有し
ている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記した従来構造のダブル型メ
カニカルシールでは、特にポンプ室Ｂ側の下部シ
ール組立部品１０の耐圧性が３Kg／cm²Ｇ程度であ
ることから、ポンプ室Ｂ側の液圧が高くなると、
回転軸３に固定した下部シール側パツキン８が液
圧の作用によりモータ室Ａ側に移動し、このた
め、面圧の低下、面開きを惹起して液漏れが発生
し易いばかりでなく、このような下部シール側パ
ツキン８の移動によつて、モータ室Ａ側である上
部シールの面圧が高くなつて、フローテイングシ
ート４とシールリング６との間の摺動面の焼付き
や異常摩耗が発生し易くなる。また、下部シール
側パツキン８の回転軸３への固定力を大きくする
ために、ドライブリング７による締め代を上げる
と、耐圧性は向上するものの、その締め代力にも
限度があり、締め代を上げ過ぎると回転軸３への
装着性が低下するといつた問題があつた。

［考案の目的］ 本考案は、上記の事情のもとになされたもの
で、その目的とするところは、下部シール側パツ
キンが液圧の作用によりモータ室側に移動するの
を確実に阻止し、耐圧性及び装着性の向上を図る
ことができるようにした水中ポンプ用メカニカル
シールを提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記した問題点を解決するために、本考案は、
モータ室側及びポンプ室側のハウジング間のオイ
ルバス内に挿通された回転軸の軸周を上下部両シ
ール組立部品で軸封してなるダブル型の水中ポン
プ用メカニカルシールにおいて、前記回転軸の外
周面に前記上下部両シール組立部品間に位置して
環状の嵌合溝を形成するとともに、この嵌合溝に
スナツプリングを嵌着し、前記回転軸の外周面に
嵌め込まれて該回転軸と下部シール組立部品の間
をシールするベローズ状のパツキンの上端を、前
記スナツプリングの端面に当接係止させて上方へ
の移動を阻止した構成としたものである。

［作用］ 本考案によると、回転軸と下部シール組立部品
の間をシールするベローズ状パツキンと当接した
スナツプリングは、その内周部の全周が回転軸の
嵌合溝と強固な嵌着状態にあるので、下方のポン
プ室側の液圧が高くなつても、前記パツキンの上
方への移動が前記スナツプリングによつて確実に
阻止され、これによつて、面圧の低下、面開きに
よる液漏れの発生やフローテイングシートとシー
ルリングとの間の摺動面の焼付きあるいは異常摩
耗の発生を防止することができ、また下部シール
側パツキンの締め代を上げることなく耐圧性及び
装着性の向上を図ることが可能になる。

［実施例］ 以下、本考案を第１図に示す一実施例を参照し
ながら説明する。なお、本考案に係る図示の実施
例において、第３図に示す従来のダブル型の水中
ポンプ用メカニカルシールと構成が重複する部分
は同一符号を用い、その説明は省略する。

すなわち、本考案は、第１図に示すように、上
下部両シール組立部品１０，１０間に対応位置す
る回転軸３の軸周に嵌合溝１２を切設し、この嵌
合溝１２に係止部材であるスナツプリング１３を
嵌合固定するとともに、このスナツプリング１３
の端面１３ａに回転軸３外周面と下部シール組立
部品の間をシールするベローズ状のパツキン８の
端面８ａを当接係止させるように構成することに
より、前記下部シール側パツキン８がモータ室Ａ
側への移動するのを阻止し得るようになつている
ものである。

また、第２図は、本考案に係る他の実施例を示
すもので、特に係止部材として市販のスナツプリ
ング１３を使用する場合、このようなスナツプリ
ング１３のには切り傷部分が多いことから、ポン
プ室Ｂ側の圧力により下部シール側パツキン８が
モータ室Ａ側へ押されたとき、切り傷部分にパツ
キン８が押し付けられて破損し易いため、これを
防止する目的で、前記スナツプリング１３の端面
１３ａと下部シール側パツキン８の端面８ａとの
間に座金１４を介在してなる構成としたものであ
る。

なお、本考案は、上記した実施例には何等限定
されないものであり、本考案の要旨を変えない範
囲で種々変更実施可能なことは勿論である。

［考案の効果］ 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、ダブル型メカニカルシールにおいて、下方の
ポンプ室側の液圧が高くなつても、全周が回転軸
の嵌合溝と強固に嵌着したスナツプリングによつ
て、下部シール組立部品側パツキンが上方のモー
タ室側へ移動するのを確実に阻止するので、従来
のようなシール面圧の低下、面開きによる液漏れ
の発生やフローテイングシートとシールリングと
の間の摺動面の焼付きあるいは異常摩耗の発生を
防止することができ、また下部シール側パツキン
の締め代を上げることなく耐圧性及び装着性の向
上を図ることができるというすぐれた効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る水中ポンプ用メカニカル
シールの一実施例を示す要部断面図、第２図は本
考案に係る他の実施例を示す要部断面図、第３図
は従来の水中ポンプ用メカニカルシールの要部断
面図である。 Ａ…モータ室、Ｂ…ポンプ室、Ｃ…オイルバ
ス、１…モータ室側ハウジング、２…ポンプ室側
ハウジング、３…回転軸、８…パツキン、１０…
シール組立部品、１３…係止部材（スナツプリン
グ）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上方のモータ室側及び下方のポンプ室側のハウ
   ジング間のオイルバス内に挿通された回転軸の軸
   周を上下部両シール組立部品で軸封してなるダブ
   ル型の水中ポンプ用メカニカルシールにおいて、
   前記回転軸の外周面に前記上下部両シール組立部
   品間に位置して環状の嵌合溝を形成するととも
   に、この嵌合溝にスナツプリングを嵌着し、前記
   回転軸の外周面に嵌め込まれて該回転軸と下部シ
   ール組立部品の間をシールするベローズ状のパツ
   キンの上端を、前記スナツプリングの端面に当接
   係止させて上方への移動を阻止したことを特徴と
   する水中ポンプ用メカニカルシール。