JPH0522694Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、例えばウオーターポンプなどの機体
の回転軸部を軸封するメカニカルシールの改良に
関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種のメカニカルシール、特に流体用
メカニカルシールにおいては、第３図に示すよう
に、機体のハウジング１側にキヤツプガスケツト
２を介して固定された固定環であるメイテイング
リング３に回転軸４を挿通させ、このメイテイン
グリング３に、回転軸４と共に回転する回転環で
あるシールリング５を弾性的に押圧付勢して摺接
させる手段として、通常、シールリング５を、前
記回転軸４に密封するゴムベローズ６と、その外
周のケース７及びドライブリング８とで一体構造
とし、さらに、スプリング抑え部材９との間に挿
入されたコイルスプリング１０の付勢力により弾
性的に押圧し、これによつて、前記回転軸４側か
ら外側への流体の漏れを防止するように組付け装
着してなる構成を有するものがある。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、このような従来構造のメカニカ
ルシール、所謂、本体回転型のメカニカルシール
にあつては、回転軸４の回転をシールリング５に
伝達するゴムベローズ６の胴部、すなわち、組付
け装着時に前記回転軸４の軸周に圧入当接される
内径面部６ａが、第４図に示すように、膨出した
平滑な面となつていることから、前記回転軸４と
の当接面の面積が大きいため、回転軸４への装着
に際して、たとえゴムベローズ６の内径面部６ａ
に潤滑剤を塗布しても挿入抵抗が大きくなつて、
装着しにくく、しかも、ベローズの変形が発生し
易いためにメカニカルシール自体の装着不良を惹
起して装着作業性に劣るばかりでなく、潤滑剤の
塗布によるシール面の油切れが悪く、装着後にす
ぐに使用するとスリツプし易いため、すぐには使
用することができない。また、前記ゴムベローズ
６の胴部をドライブリング８で締め付ける際、そ
の締め代により発生する軸シール部の面圧が分散
されてシール面圧が低くなり、これによつて、ゴ
ムベローズ内径面部６ａの円周方向のスリツプト
ルクが低くなることから、ゴムベローズ６による
シール性が悪くなるといつた問題があつた。

［考案の目的］ 本考案は、上記の事情のもとになされたもの
で、その目的とするところは、ゴムベローズの装
着作業性の向上を図り、かつ、回転軸とのシール
性を高めることができるようにしたメカニカルシ
ールを提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記した問題点を解決するために、本考案は、
機体のハウジング側に固定された固定環に、回転
軸と共に回転する回転環を弾性的に押圧付勢して
摺接させ、かつこの回転環の背面を、前記回転軸
の外周面にドライブリングで締め付け固定された
ゴムベローズの端部に支持してなるメカニカルシ
ールにおいて、前記ドライブリングの内周側に位
置するゴムベローズの内径面部に、複数条の環状
の突条部及び環状の溝部を軸方向に交互に形成し
てなる構成としたものである。

［作用］ すなわち、本考案は、上記の構成とすることに
よつて、回転軸の軸周に圧入当接されるゴムベロ
ーズの内径面部を軸方向に列設された複数条の突
条部で形成するようにしたことから、組付け装着
時、回転軸とゴムベローズとの当接面の面積が小
さくなり、互いの挿入抵抗を小さくすることがで
きるため、ベローズを変形させることなく装着作
業が円滑に行なえ、これによつて、メカニカルシ
ール自体の装着不良を少なくすることが可能にな
る。また、ゴムベローズの胴部をドライブリング
で締め付ける際、その締め代により発生する軸シ
ール部の面圧が突条部に集中するので、回転軸へ
の装着時に前記内径面部に塗布した潤滑剤が、各
突条部からその両側の溝部に容易に排除され、し
たがつて各突条部が短時間で確実に回転軸の外周
面と圧着し、スリツプトルクが向上する。

［実施例］ 以下、本考案を第１図及び第２図に示す一実施
例を参照しながら詳細に説明する。なお、本考案
に係る図示の実施例において、第３図に示す従来
のメカニカルシールの構造と構成が重複する部分
は同一符号を用い、その説明は省略する。

すなわち、本考案は、第１図に示すように、本
体回転型のメカニカルシールにおいて、回転軸４
の軸周に圧入当接されるとともにドライブリング
８で外周から締め付けられるゴムベローズ６の内
径面部６ａに、複数条の環状の突条部６１及び環
状の溝部６２が軸方向に交互に形成されている。
これにより、組付け装着時、回転軸４とゴムベロ
ーズ６との当接面の面積が小さくすることが可能
になるため、互いの挿入抵抗を小さくでき、ベロ
ーズを変形させることなく装着作業を円滑に行な
うことができる。また、ゴムベローズ６の胴部を
ドライブリング８で締め付ける際、その締め代が
突条部６１に集中して付与されるので回転軸４に
対する突条部６１の面圧が高く、また各突条部６
１の内径の面積が小さいので、回転軸４への装着
に際して前記内径面部６ａに塗布した潤滑剤が、
各突条部６１から溝部６２に容易に排除され、し
たがつて前記各突条部６１が短時間で確実に回転
軸４の外周面と圧着する。このため、第２図に示
すように、本考案の回転軸４とゴムベローズ６と
の間のスリツプトルクＡは従来構造のスリツプト
ルクＢと比較して高くすることができ、メカニカ
ルシール装着後にすぐに使用することが可能にな
る。しかも、突条部６１から排除されて各溝部６
２に残留した潤滑剤もシール性の向上に寄与す
る。

なお、本考案は、上記した実施例には何等限定
されないものであり、本考案の要旨を変えない範
囲で種々変更実施可能なことは勿論である。

［考案の効果］ 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、ドライブリングの内周側に位置するゴムベロ
ーズの内径面部に、複数条の環状の突条部及び環
状の溝部を軸方向に交互に形成したことによつ
て、組付け装着時、回転軸とゴムベローズとの当
接面の面積が小さくなり、互いの挿入抵抗を小さ
くすることができるため、ベローズを変形させる
ことなく装着作業が円滑に行なえ、これによつ
て、メカニカルシール自体の装着不良を少なくす
ることができる。また、ゴムベローズの胴部をド
ライブリングで締め付ける際、面圧が突条部に集
中するので、装着時に塗布した潤滑剤が、各突条
部からその両側の溝部に容易に排除されて前記各
突条部が短時間で確実に回転軸の外周面と圧着
し、装着後にすぐに使用することができるととも
に、ゴムベローズによるシール性の向上を図るこ
とができるというすぐれた効果を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るメカニカルシールに使用
されるゴムベローズの一実施例を示す拡大断面
図、第２図は同じくメカニカルシール装着後の経
過時間に伴う回転軸とゴムベローズとの間のスリ
ツプトルクを従来品と比較して示す説明図、第３
図は従来のゴムベローズを備えたメカニカルシー
ルを示す概略的要部断面図、第４図は同じく従来
のゴムベローズの拡大断面図である。 １……機体のハウジング、３……固定環（メイ
テイングリング）、４……回転軸、５……回転環
（シールリング）、６……ゴムベローズ、６ａ……
内径部（胴部）、６１……突条部、８……ドライ
ブリング、９……スプリング抑え部材、１０……
コイルスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機体のハウジング側に固定された固定環に、回
   転軸と共に回転する回転環を弾性的に押圧付勢し
   て摺接させ、かつこの回転環の背面を、前記回転
   軸の外周面にドライブリングで締め付け固定され
   たゴムベローズの端部に支持してなるメカニカル
   シールにおいて、前記ドライブリングの内周側に
   位置するゴムベローズの内径面部に、複数条の環
   状の突条部及び環状の溝部を軸方向に交互に形成
   したことを特徴とするメカニカルシール。