JPH0535247Y2

JPH0535247Y2 -

Info

Publication number: JPH0535247Y2
Application number: JP1987196390U
Authority: JP
Priority date: 1987-12-24
Filing date: 1987-12-24
Publication date: 1993-09-07
Anticipated expiration: 2002-12-24
Also published as: US4962936A; JPH0198972U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は密封装置、特に自動車のホイールハブ
等に用いられる密封装置に関する。

（従来の技術）従来技術による密封装置として第４図に示すよ
うな密封装置１００がある。密封装置１００は回
転するハウジングに固定されハウジングとともに
回転する回転部材１０１と、穴部１０２を有する
補強部材１０３と、静止する軸に固定される固定
部材１０４からなる。固定部材１０４はシールリ
ツプ１０５と、シールリツプ１０５を回転部材１
０１の屈曲部１０６の内周面に押つけるためシー
ルリツプ１０５内に配置されたばね１０７を備え
る。

一方、外部からダストの浸入を防止するダスト
リツプ１０８が固定部材１０４の内周端部に設け
られている。

このような従来技術の密封装置１００は、ハウ
ジングに取り付けられた回転部材１０１が回転し
た際シールリツプ１０５と回転部材１０１とが摺
接する一方、ダストリツプ１０８と回転部材１０
１とが接触して、密封装置１００内部の密封流体
の漏れを防止すると同時に外部からのダストの侵
入を防止するようになつている。

（考案が解決しようとする問題点）しかしながら、斯かる従来技術の密封装置１０
０によれば、シールリツプ１０５が回転部材１０
１の内周面を半径方向に押しつける半径方向リツ
プであるため密封油膜の圧力バランス及びネジ等
によるポンピング作用によつて油を密封するので
高精度の相手側摺動面としての回転部材の内周面
とシールリツプのリツプ面とが必要になるとの問
題がある。

また、シールリツプ１０５を形成する環状に連
結したゴムおよびシールリツプ１０５内に配置さ
れたばね１０７の半径方向の緊迫力により回転部
材及びシールリツプ１０５が著しく摩耗し、寿命
が低下することの他、部品の構成が複雑であり、
製作に時間がかかりコストが高くなるという問題
を有する。

また、実開昭61−182461号公報等に記載される
ように、シールリツプを摺動リングの軸方向に押
し付けるものも知られている。

しかしながらこの従来例にあつては、密封流体
を循環させることができず、密封性の向上、及び
シールリツプが摺動する時の発熱を抑えることは
できない。

また、ダストリツプは、密封装置の内部で大気
側のダストの侵入を防ぐ構成としてあるため、大
気側のダストが密封装置の内部に蓄積してしまう
といつた不都合が起きる。このため、ホイールハ
ブ等、外部のダストにさらされる過酷な条件下で
の使用に適さない。

本考案は上記した諸問題点に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、シール性を向上さ
せるとともにシールリツプ摺動時の発熱を防ぐ密
封装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段）上記目的を有する本考案は、回転するハウジン
グに取付けられる回転部材と、静止する軸に固定
される固定部材と、を有して成り、前記回転部材
は、回転するハウジングに固定される円筒部と、
該円筒部の大気側の一端より半径方向に伸びて大
気側に面する側面部と、該側面部の軸側一端に形
成される曲面部と、を有し、前記固定部材は、前
記回転部材の側面部密封流体側側面に摺接するシ
ールリツプと、前記回転部材の曲面部外側面に摺
接するダストリツプと、を有し、前記回転部材に
壁部が設けられることで該壁部と前記固定部材と
で室が形成され、前記壁部の内周側と外周側に
は、密封流体と前記室とを連通する内周側通路と
外周側通路が設けられた。

（作用）而して本考案によれば、回転部材が回転する
と、室内の密封流体は遠心力の作用により室内内
周側から室内外周側へ移動する。そして、移動し
た密封流体は壁部の外周側通路から密封流体側に
流出し、再び壁部の内周側通路を介して室内に流
入する。

このように、回転部材に壁部を設けその壁部に
内周側通路と外周側通路を設けることで、密封流
体を循環させることができ、密封性の向上、及び
シールリツプの摺動する時の発熱を抑えることが
できる。

また、ダストリツプは、大気側に面する側面部
の軸側一端に形成される曲面部の外側面に摺接す
るようにしたので、密封装置の最も外側の部分で
大気側のダストの侵入を防ぐことができ、密封装
置の内部で大気側のダストの侵入を防ぐ従来のも
ののように大気側のダストが密封装置の内部に蓄
積してしまうといつた不都合が起きない。これに
より、ホイールハブ等、外部のダストにさらされ
る過酷な条件下での使用に耐えることができる。

（実施例）以下、本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。第１図に本考案の密封装置の全体図を示す。
Ａは本考案の密封装置である。密封装置Ａは回転
部材１を有し、回転部材１は、外周シール用コー
テイング２又はゴム弾性体を備えており、また、
外周に円筒部１ａと半径方向に伸びる側面部４と
内側に折れ曲り大気側に向かつて拡径する曲面部
５を有するコの字形状である。一方、静止軸１６
に固定される固定部材１０はシールリツプとダス
トリツプ６と固定部８とを有する。その内周のシ
ールリツプ１４は補強部材７に焼き付けたゴム状
弾性体で形成され軸方向に伸び、回転部材１の内
側３で接している。また、ダスト密封用のダスト
リツプ６は、回転部材１の曲面部５で接するよう
に設けられており軸嵌合用固定部８は、補強部材
７の内周部に設けられている。壁部としての補強
環１１が回転部材１の端部でカシメられて組み合
わされて一体化され、補強環１１と固定部材１０
とで室２０が形成される。そして、補強環１１の
外周側Ｂと内周側Ｃには、密封流体側Ｄと室２０
とを連通する外周側通路としての油孔１２と内周
側通路１７とが設けられている。

なお、ゴム弾性体によつて焼付けられた固定部
材１０の密封流体側面部に等配突起９が設けられ
該等配突起９は、固定部材１０の装着時の位置決
め及び受圧力を軽減する作用を行なう。

このような構成の密封装置は、次のように作動
する。まず回転部材１が回転すると、密封流体は
遠心力の作用により回転部材１の側面部４に沿つ
て回転部材１内部の外周方向へ集められる。

シールリツプ１４は密封流体の飛沫が、曲面部
５を越えて外部へもれないように逆止弁的な作用
をし、また静止時にも密封を行う。逆止弁的な作
用は回転運動時にも行なわれ、万一、密封流体が
シールリツプ１４の先端を通過しても遠心力で側
面部４の内側面３ａより内側面３に密封流体を移
動させる場合、油膜状の密封流体が内側面３の方
向へは容易に流入し得る。同様に、ダストリツプ
６の密封はダストが、回転部材１の遠心力によつ
て側面部４の曲面部５の外壁に沿つてダストリツ
プ６より径の大きい方向へふり切られることによ
つて行なわれる。この場合、ダストリツプ６の曲
面部５への接触は軽微な荷重で充分である。

なお、固定部材１０の固定部８が静止軸１６に
固定されて静止し、シールリツプ１４が部材１の
側面部４に押しつけられ密封するわけであるが、
側面部４の内側面３にらせん溝又はネジ溝１５を
設けると更に強力なポンピング効果による密封性
能が得られる。両方向に回転するハブシールの様
な場合は、アヤメ状の溝を用いて同様な効果を増
強できる。すなわち摺動面としての内側面３の油
膜は回転時に遠心力により常に外周部へ押しやら
れるように動くがネジ溝１５により更に強力なポ
ンピングを行うということである（第２図参照）。

このような構成からトルクロスが大幅に減少
し、発熱シールリツプ１４の摩耗、側面部４の摩
耗が大幅に減少し耐久性が向上する。

シールリツプ１４の相手摺動面としての内側面
３が平坦な端面であり、絞り加工不要なため絞り
キズがつかず、仕上、管理コストが低減でき、部
品が単純化され、低コストの製品を供給できる。

また、回転部材１が回転すると、室２０内の密
封流体は遠心力の作用により室２０内内周Ｃ側か
ら室２０内外周Ｂ側へ移動する。そして、移動し
た密封流体は補強環１１の外周側通路１２から密
封流体側Ｄに流出し、再び補強環１１の内周側通
路１７を介して室２０内に流入する。

このように、回転部材１に補強環１１を設けそ
の補強環１１に内周側通路１７と外周側通路１２
を設けることで、密封流体を循環させることがで
き、密封性の向上、及びシールリツプ１４が摺動
する時の発熱を抑えることができる。

また、ダストリツプ６は、大気側Ｅに面する側
面部４の軸側一端に形成される曲面部５の外側面
に摺接するようにしたので、密封装置の最も外側
の部分で大気側Ｅのダストの侵入を防ぐことがで
き、密封装置の内部で大気側のダストの侵入を防
ぐ従来のもののように大気側のダストが密封装置
の内部に蓄積してしまうといつた不都合が起きな
い。これにより、ホシールハブ等、外部のダスト
にさらされる過酷な条件下での使用に耐えること
ができる。

（考案の効果）本考案によれば回転部材に壁部を設けその壁部
に内周側通路と外周側通路を設けることで、密封
流体を循環させることができ、密封性の向上、及
びシールリツプが摺動する時の発熱を抑えること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の密封装置の縦断面図、第２図
は密封装置の側面部の平面図、第３図は、本考案
の密封装置の取り付け位置を示す縦断面図、第４
図は、従来技術による密封装置の縦断面図であ
る。符号の説明、１……回転部材、２……コーテイ
ング、３……内側面、４……側面部、５……曲面
部、６……ダストリツプ、７……補強部材、８…
…固定部、９……突起、１０……固定部材、１１
……補強環、１２……油孔、１３……カシメ部、
１４……シールリツプ、１５……ネジ溝。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】回転するハウジングに取付けられる回転部材
と、静止する軸に固定される固定部材と、を有し
て成り、前記回転部材は、回転するハウジングに固定さ
れる円筒部と、該円筒部の大気側の一端より半径
方向に伸びて大気側に面する側面部と、該側面部
の軸側一端に形成される曲面部と、を有し、前記固定部材は、前記回転部材の側面部密封流
体側側面に摺接するシールリツプと、前記回転部
材の曲面部外側面に摺接するダストリツプと、を
有し、前記回転部材に壁部が設けられることで該壁部
と前記固定部材とで室が形成され、前記壁部の内周側と外周側には、密封流体と前
記室とを連通する内周側通路と外周側通路が設け
られた密封装置。