JP2525536Y2

JP2525536Y2 - 密封装置

Info

Publication number: JP2525536Y2
Application number: JP1990014544U
Authority: JP
Inventors: レイモンドハインツェンステフェン
Original assignee: エヌオーケー株式会社
Priority date: 1990-02-16
Filing date: 1990-02-16
Publication date: 1997-02-12
Anticipated expiration: 2005-02-16
Also published as: JPH03105767U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、たとえば自動車のデフ部やトランスミッシ
ョン等の回転軸の軸受部に用いられる回転用の密封装置
に関し、特にユニタイズ化されたものに関する。

（従来の技術）従来のこの種の密封装置としては、たとえば第４図に
示すようなものがある。すなわち、100は装置全体を示
しており、概略回転軸101に嵌着される環状の第１シー
ル部材102と、ハウジング103内周に嵌着される環状の第
２シール部材104とから構成されている。そして、第１
シール部材102と第２シール部材104との間には、密封対
象物Ｏをシールするメインシール部105の他にこのメイ
ンシール部105への外部汚染物等の異物侵入を防止する
ための補助シール部106が設けられている。そして、こ
の補助シール部106としてシールリップ107が相手摺動面
に対して摺動接触する接触タイプのシールが用いられて
いた。

（考案が解決しようとする課題）しかしながら上記した従来技術の場合には、補助シー
ル部106にシールリップ107を使用しているために次のよ
うな問題があった。

第１に高速回転下ではシールリップ107の摺動摩擦に
よる発熱が過大となり、シールリップ107を構成するゴ
ム等の材料劣化を招き、シール漏れ等の早期故障の原因
となる。

第２に、シールリップ107によって補助シール部106と
メインシール部105との間の空洞部108が通気性の乏しい
密閉空間となる。そのために空洞部108内で湿気が凝集
して、金属部分の腐食等の原因ともなる。

そこで補助シールリップ部106にラビリンスシール等
の非接触シールを利用することが考えられる。しかしな
がら非接触シールの場合には浸入する外部汚染物の量を
減少させることができるものの、隙間があまり大きいと
シール性能が著るしく悪くなるので、隙間の大きさは自
ずと制限されてしまう。一方、このようなユニタイズの
装置を使用する場合には、使用者の組立状態の変化、す
なわち軸振れおよび軸と穴との心ずれのような動的偏心
を許容することができなければならない。したがって、
補助シール部106の構造として非接触シールを適用した
場合、シール性を確保するためには隙間を小さくする必
要があるのに対し、動的偏心を許容するためには隙間を
大きくする必要があり、両方の要請を満足させることが
できなかった。

本考案は上記した従来技術の課題を解決するためにな
されたもので、その目的とするところは、補助シール部
を非接触タイプとして摩擦発熱やトルク損失の問題を解
消し、かつ補助シール部における異物排出能力を高める
ことにより、動的偏心を許容しつつ、しかも補助のシー
ル性を高め得る密封装置を提供することにある。

（課題を解決するための手段）上記目的を達成するために、本考案はハウジングと該
ハウジングと同心的に設けられた回転軸との間を密封す
る密封装置であって、前記ハウジングの内周に嵌合される外周円筒部と、該
外周円筒部の軸方向密封側から内方へ伸びる径方向部と
を有し、該外周円筒部の軸方向外気側には前記ハウジングの端
面に当接する段部を介して外径方向に拡径した円筒状フ
ランジ部を有し、前記径方向部内端にシールリップを設けられた第１シ
ール部材を備えるとともに、前記回転軸の外周に嵌合され前記シールリップが摺接
するメインシール部を有する軸方向伸長部と、該軸方向伸長部の軸方向外気側から外方に伸びる径方
向伸長部とを有する第２シール部材を備える密封装置に
おいて、前記第２シール部材の径方向伸長部の外端近傍には軸
方向外気側へ伸びるゴム状弾性体製の環状の突堤が一体
的に設けられ、該突堤の外周円筒面には、前記回転軸の回転によって
異物を外気側へ排出する螺旋状流路を設け、前記第１シ
ール部材の円筒状フランジ部に近接させることにより補
助シール部を形成し、前記径方向伸長部の径方向外端には、更に、軸方向密
封側へ突出するゴム状弾性材製の位置決め凸部を設け、該凸部は前記第１シール部材の段部の外気側側面に近
接させたことを特徴とする。

（作用）上記構成の密封装置にあっては、補助シール部では微
小隙間によって外部異物の浸入が阻止され、さらに回転
使用時には螺旋状流路のねじポンプ作用によって、反密
封対象物側に向かう流体の流れが生じ、この流体流れに
よって外部異物が排出される。また、補助シール部にお
いては第1,第２シール部材間が微小隙間によって非接触
となっているので、高速回転時にも固体接触による摩擦
発熱やトルク損失は無い。さらに微小隙間を介してメイ
ンシール部と補助シール部の間の空洞部と外気とが連通
しているので、通気性が良く、湿気等が内部に凝集しな
い。更に、第２シール部材の径方向伸長部外周に設けら
れた突堤をゴム状弾性体製にすることにより、軸とハウ
ジングとの間に径方向の大きな偏心が生じ、第１シール
部材及び第２シール部材が接触したとしても、突堤が弾
性変形することにより、第１及び第２シール部材が塑性
変形することなく、密封装置全体の形状を維持すること
ができる。

その結果、第１シール部材の外周円筒部と第２シール
部材の径方向伸長部の外周に設けられたゴム突堤の外周
円筒面との間に形成された間隙を微小にすることがで
き、よって、外部からの異物侵入を防止する効果を最大
限に発揮できる。

また、もし、異物の侵入があっても、突堤外周面に設
けられた螺旋状流路によって効果的に排除する。すなわ
ち、突堤は第２シール部材の径方向部材の径方向伸長部
の径方向外端近傍に設けられているため、遠心力がより
強く作用し、螺旋状流路と協同して異物の排出を効果的
に行うことができる。

加えて、突堤がゴム状弾性体で形成されているので、
回転の遠心力により突堤が変形して円筒面が傾斜するた
め、突堤による振り切り効果が生じ、螺旋溝による効果
と加えて更なる異物排出効果が高まる。

（実施例）以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明する。本
考案の第１実施例に係る密封装置を示す第１図におい
て、１は密封装置全体を示している。この密封装置は、
固定ハウジング２とこの固定ハウジング２内に同心的に
挿入される回転軸３との隙間をシールするもので、密閉
された密封対象物としての油Ｏ側の軸方向内部と、乾湿
両方の状態の汚染物が混在した外気Ａとを遮断してい
る。

密封装置１は、一体的に組付けられた３個の構成部
分、すなわちハウジング２の軸孔４内周に固定された第
１シール部材10と、回転軸３外周に固定された第２シー
ル部材20と、第1,第２シール部材10,20を一体化するた
めの一体化金属ケース30と、から構成されている。

第１シール部材10は、ハウジング２の軸孔４に嵌着さ
れるメイン金属ケース11と、このメイン金属ケース11に
一体的に焼付け固定されるゴム状弾性体製の放射状に延
びるメインシールリップ12とから構成されている。メイ
ンシールリップ12はメイン金属ケース11の内径端部に固
定されている。またメイン金属ケース11の外周円筒部13
にもゴム状弾性体製の外周シール部14が一体的に焼付け
固定されており、密閉性を良くすると共に、組込みおよ
び組立ての容易化を図っている。さらに、メイン金属ケ
ース11の密封対象油Ｏ側の端面も全面的にゴム状弾性体
の被膜15にて被覆されている。

また、メイン金属ケース11の外周円筒部13の外気Ａ側
端部はハウジング２の軸孔４周縁部に係止される円筒状
のフランジ部としての段付きのケースフランジ部16が張
り出している。

一方、第２シール部材20は断面Ｌ字形状の金属製のス
リーブ21と、このスリーブ21に一体的に焼付けられてい
るゴム状弾性体22とから構成されている。スリーブ21
は、円筒状の軸方向伸長部211が回転軸３に圧入されて
回転軸３と一緒に回転するようになっており、この軸方
向伸長部211の外周面に、第１シール部材10のメインシ
ールリップ12が摺動自在に密封接触している。このリッ
プ摺動部がメインシール部S₁を構成している。

一方、ゴム状弾性体22はスリーブ21の軸方向伸長部21
1内周面と、フランジ状の径方向伸長部212の外気Ａ側端
面全面と、さらに上端部を覆うように一体的に接着され
ている。そして、この第２シール部材20の径方向伸長部
212の外径端部と第１シール部材10のケースフランジ部1
6との間に非接触の補助シール部S₂が設けられている。

この補助シール部S₂は略円筒状の微小隙間としてのラ
ビリンス隙間６によって構成されている。そして、この
ラビリンス隙間６には、第1,第２シール部材10,20の相
対回転によって、外部異物としての汚染物をメインシー
ル部S₁とは反対側に排出するねじポンプ作用を果たす螺
旋状流路５が設けられている。

ラビリンス隙間６は、この実施例では第1,第２シール
部材10,20を一体化する一体化金属ケース30を利用して
形成されている。すなわち一体化金属ケース30は断面横
Ｊ字形状で、Ｊ字の長辺となる外環部31と短辺となる内
環部32とを有し、外環部31が第１シール部材10のケース
フランジ部16外周に嵌合固定される。そして、内環部32
先端がスリーブ21の径方向伸長部212の外径端部に対向
するように配置され、スリーブ21が軸方向に脱けないよ
うにして第１シール部材10のケースフランジ部16と一体
化されている。もっとも、一体化といっても第1,第２シ
ール部材10,20を一緒に保持する働きをするもので、両
部材10,20の相対回転を妨げる程強固ではない。

そして、スリーブ21の径方向伸長部212の外径端部に
は、上記内環部32と微小隙間を隔てて対向配置される対
向部としての環状のゴム突堤23が設けられている。一
方、スリーブ21の径方向伸長部212の外径端部の密封対
象油Ｏ側の端面にはメイン金属ケース11のフランジ部16
の段部16aに当接して第１シール部材10と第２シール部
材20との軸方向の相対位置を位置決めするための位置決
め凸部221が設けられている。この位置決め凸部221は第
１シール部材10が嵌合されるハウジング２の軸孔４の孔
径よりも半径方向外側に設けられていて、回転軸３を装
着する際に、回転軸３を第２シール部材20を貫通して装
着することにより発生する軸方向荷重を、ハウジング２
に直接伝達させて緩衝する緩衝部材として機能する。こ
のようにハウジング２によって軸方向荷重を緩衝するよ
うにして、第１シール部材10の変形を生じるおそれのあ
るメイン金属ケース11へ曲げモーメントが加わらないよ
うに構成している。また、位置決め凸部221を軸孔４外
に設けてメインシールリップ12から離しているので、動
作中に発生した熱がメインシールリップ12の領域に容易
に伝達しない。

ラビリンス隙間６は、環状突堤23と一体化金属ケース
30の内環部32との間の第１隙間61と、内環部32の先端面
とスリーブ21の径方向伸長部212の外径端部との間の第
２隙間62と、第１シール部材10のケースフランジ部16内
周面と内環部32外周およびスリーブ21の径方向伸長部21
2の外径端面との間の第３隙間63、さらにスリーブ21の
径方向伸長部212に設けた位置決め凸部221と第１シール
部材10のケースフランジ部16の段部16aとの間の第４隙
間64と、から構成されている。

そして、ラビリンス隙間６の第１隙間61を構成してい
るゴム突堤23外周面に螺旋状溝51を形成し、この螺旋状
溝51と対向する一体化金属ケース30の内環部32内周面と
によって本考案の螺旋状流路５を構成している。

そして上記ラビリンス隙間６の大きさは回転軸３の軸
振れおよび回転軸１とハウジング軸孔４との心ずれ等の
動的偏心を許容できる程度の大きさに設定されている。

上記構成の密封装置にあっては、密封対象油Ｏはメイ
ンシールリップ12が密封接触するメインシール部S₁にて
シールされ、外部からのダスト等の汚染物は補助シール
部S₂にてシールされてメインシール部S₁への浸入が防止
される。また、第１シール部材10と第２シール部材20間
の空洞部７はラビリンス隙間６を通って外気Ａと連通し
ているので、空洞部７内の湿気の凝集は防止される。

補助シール部S₂においては、外部からの汚染物がラビ
リンス隙間６によってシールされると共に、第１隙間61
における流体ポンピング作用によって外気Ａ側に排出さ
れる。流体ポンピング作用は、第１隙間61において、互
いに近接して対向配置される一体化金属ケース30の内環
部32内周面とゴム突堤23の外周面に設けられた螺旋状溝
51との相対回転運動によって流体を外気Ａ側に押し戻す
流れを作る作用である。この流体ポンピング作用は回転
軸３が高速回転すればする程大きくなってシール性が高
まる。しかも非接触シールであるので、接触タイプに比
べて発熱やトルク損失も大幅に低減される。

第２図には本考案の第２実施例が示されている。この
第２実施例にあっては流体ポンピング作用をする補助シ
ール部S₂の螺旋状流路５を、第１実施例のようにゴム突
堤23に螺旋状溝51を設けて構成するのでは無く、螺旋状
突起52を設けて構成したものである。その他の構成およ
び作用については第１実施例と同一であるので、同一の
構成部分については同一の符号を付してその説明は省略
する。

第３図には本考案の第３実施例が示されている。この
第３実施例にあっては、スリーブ21の径方向伸長部212
の空洞部７側の端面にも環状の第２ゴム突堤24が設けら
れており、この第２ゴム突堤24と第１シール部材10のメ
イン金属ケース11の外周円筒部13内周との間に第５隙間
65が設けられ、ラビリンス隙間６がより複雑な形状とな
っている。

そして、流体ポンピング作用を営む螺旋状流路５が、
第１隙間61だけでなく、第２隙間62および第５隙間65に
も形成されている。各螺旋状流路5,5,5は、いずれも第
２シール部材20側のゴム突堤23,24およびスリーブ21外
径端面に螺旋状溝51,51,51を形成することにより構成し
たものである。その他の構成および作用は第１実施例と
同一であるので同一の構成部分については同一の符号を
付してその説明は省略する。

（考案の効果）本考案は以上の構成および作用を有するもので、補助
シール部を非接触シールとしたので、従来の接触シール
に比べて発熱、トルク損失を大巾に低減することができ
る。

また、補助シール部とメインシール部との空間が隙間
を通じて外部と連通しているので通気性が向上し、空間
内の水滴の付着等を防止することができ、発錆を抑える
ことができる。

また、第２シール部材の径方向伸長部の径方向外端に
設けられたゴム状弾性材製の位置決め凸部が、第１シー
ル部材の段部の外気側側面に近接させてあり、前記段部
はハウジング端面に当接している。本考案の密封装置を
組み付ける際には、第１シール部材と第２シール部材と
が一体的にハウジングに装着され、回転軸が後から装着
される際に前記位置決め凸部が第１シール部材の段部に
当接しながらの作業となる。従って、前記凸部は、第１
シール部材の径方向部には当接させないため、該径方向
部が変形する恐れがない。その結果、メインシールの第
２シール部材への接触状態が安定し、シール性能が維持
できる。

さらに単に非接触としたのではなく、螺旋状流路のね
じポンプ作用によって外部異物を積極的に押し戻して排
出するので、微小隙間の大きさを大きくしてもシール性
を確保することができ、軸振れ等の動的偏心を許容しつ
つしかも良好なシール性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例に係る密封装置の要部縦断
面図、第２図は本考案の第２実施例に係る密封装置の要
部縦断面図、第３図は本考案の第３実施例に係る密封装
置の要部縦断面図、第４図は従来の密封装置の要部縦断
面図である。符号の説明１…密封装置、２…固定ハウジング３…回転軸、４…軸孔５…螺旋状流路、51…螺旋状溝 52…螺旋状突起、６…ラビリンス隙間 61〜65…第１〜第５隙間７…空洞部、10…第１シール部材 11…メイン金属ケース 12…メインシールリップ 13…外周円筒部、14…外周シール部 15…被膜、16…ケースフランジ部 16a…段部、20…第２シール部材 21…スリーブ、211…軸方向伸長部 212…径方向伸長部 22…ゴム状弾性体、23…ゴム突堤 221…位置決め凸部 24…第２ゴム突堤、30…一体化金属ケース 31…外環部、32…内環部Ｏ…密封対象油（密封対象物）Ａ…外気、S₁…メインシール部 S₂…補助シール部

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ハウジングと該ハウジングと同心的に設け
られた回転軸との間を密封する密封装置であって、前記ハウジングの内周に嵌合される外周円筒部と、該外
周円筒部の軸方向密封側から内方へ伸びる径方向部とを
有し、該外周円筒部の軸方向外気側には前記ハウジングの端面
に当接する段部を介して外径方向に拡径した円筒状フラ
ンジ部を有し、前記径方向部内端にシールリップを設けられた第１シー
ル部材を備えるとともに、前記回転軸の外周に嵌合され前記シールリップが摺接す
るメインシール部を有する軸方向伸長部と、該軸方向伸長部の軸方向外気側から外方に伸びる径方向
伸長部とを有する第２シール部材を備える密封装置にお
いて、前記第２シール部材の径方向伸長部の外端近傍には軸方
向外気側へ伸びるゴム状弾性体製の環状の突堤が一体的
に設けられ、該突堤の外周円筒面には、前記回転軸の回転によって異
物を外気側へ排出する螺旋状流路を設け、前記第１シー
ル部材の円筒状フランジ部に近接させることにより補助
シール部を形成し、前記径方向伸長部の径方向外端には、更に、軸方向密封
側へ突出するゴム状弾性材製の位置決め凸部を設け、該凸部は前記第１シール部材の段部の外気側側面に近接
させたことを特徴とする密封装置。