JP2018108614A - 回転センタのラビリンスシール - Google Patents
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Description
詳細には、図11〜図13に示すように、外周筒状体6は、前部の径を拡大して軸受嵌込部7を形成している。軸受嵌込部7とセンタ軸1との間には、複数の玉軸受8、9を嵌め込んで取り付けている。後端の玉軸受8は、スラスト軸受にしている。前側の複数の玉軸受9は、アンギュラ軸受にしている。
シール静止環72は、断面形状を概略コの字形にして周溝部73を前向きに開口している。そして、周溝部73の外周側を外周壁部75に、内周側を内周壁部76にしている。シール回転環81は、断面形状をコの字形にして周溝部82を後向きに開口している。そして、周溝部82の外周側を外周壁部84に、内周側を内周壁部85にしている。
シール回転環81とシール静止環72は、前後に同心状に組み合わせている。シール回転環の周溝部82には、隙間を設けてシール静止環の内周壁部76を挿入している。シール静止環の周溝部73には、隙間を設けてシール回転環の外周壁部84を挿入している。それらの隙間で、軸方向通路と径方向通路を交互に接続して複数回折れ曲がったラビリンス通路91を形成している。
シール回転環の外周壁部84の外周面とシール静止環の外周壁部75の内周面との間の隙間は、ラビリンス通路の最外周の軸方向通路92を構成している。最外周の軸方向通路92は、前端の開口をラビリンス通路の外側開口93にしている。外側開口93は、シール回転環81の前面の外周縁に隣接している。
上記のような回転センタは、旋削工作機において旋削対象物を支持して使用すると、旋削対象物の回転に従ってセンタ軸1が回転する。そして、ウエットカットであれば旋削の冷却水と切り屑、ドライカットであれば切り屑がセンタ軸1の突出前部、ラビリンスシール71や外周筒状体6の前部、軸受嵌込部7に降り懸る。旋削中、冷却水や切り屑がラビリンスシール71の前面に当たる。
回転センタは、使用中、冷却水や切り屑がラビリンスシール通路91を通過して外周筒状体6内の軸受9に浸入することがある。ラビリンスシール71は、密封効果が十分であるとは言い難い。密封効果を高めたい。
回転センタの使用中、冷却水や切り屑がラビリンスシール通路91を通り抜ける現象は、次のように分析する。
シール回転環81の前面に付着した冷却水や切り屑は、回転中のシール回転環81に連れて回転する。一方、その回転による遠心力を受けてシール回転環81の前面の外周縁に向かって流れ、シール回転環81の前面の外周縁に隣接するラビリンス通路の外側開口93に到達する。そして、外側開口93に流入する。ラビリンス通路の外側開口93に流入した冷却水や切り屑は、ラビリンス通路91の軸方向通路と径方向通路を順次流れてラビリンス通路91の内側開口から流出する。
シール回転環の前面に付着した冷却水や切り屑の流れがシール回転環の前面の外周縁、ラビリンス通路の外側開口に到達し難くする。
そのため、シール回転環の前面は、外周縁に向かう冷却水や切り屑の流れが登る円錐面の斜面、登り坂を形成する。そして、登り坂を登り終えた冷却水や切り屑の流れがシール回転環から離れる構成にする。シール回転環の前面に付着した冷却水や切り屑は、シール回転環の回転速度が高いため、大きな遠心力を受けて早い速度で登り坂を流れる。登り坂を登り終えると、その時の流れの延長方向、登り坂の延長方向に飛び出す。即ち、シール回転環から離れる。ラビリンス通路の外側開口に到達しない。
ラビリンス通路は、冷却水や切り屑が外側開口から流入しても流通し難くする。内側開口に到達し難くする。
そのため、ラビリンス通路は、流路の抵抗を増やす。折曲点と流路長を増加する。具体的には、シール回転環は、外周壁部の外周面の前端部に鐶部を同心状に突出する。シール静止環は、外周壁部の内周面の前端部に段状凹部を同心状に形成する。鐶部は、段状凹部に隙間を設けて挿入する。その隙間で最外周前端の軸方向通路と最外周の径方向通路を形成する。最外周前端の軸方向通路は、前端を外側開口にする。即ち、従来例のラビリンス通路91において、最外周の軸方向通路92は、前端部が外周側と前側に折り曲げられる。折曲点が2点増加する。流路長が最外周の径方向通路分増加する。外側開口93が最外周の径方向通路長分外周側に移動する。
ラビリンス通路は、外側開口に冷却水や切り屑が流入し易くしない。
そのため、外側開口は、開口方向に向かって拡大しない。例えば、前端を外側開口にする軸方向通路は、前端の外側開口を含めて、流路の断面積を均等にする。
ラビリンスシールは、シール静止環を外周筒状体の前端に嵌め込んで固定し、シール回転環をセンタ軸に嵌合して固定し、シール回転環とシール静止環を前後に配置し、
シール回転環は、周溝部を後向きに開口し、周溝部の外周側を外周壁部に、周溝部の内周側を内周壁部にし、
シール静止環は、周溝部を前向きに開口し、周溝部の外周側を外周壁部に、周溝部の内周側を内周壁部にし、
シール回転環の周溝部には隙間を設けてシール静止環の内周壁部を挿入し、シール静止環の周溝部には隙間を設けてシール回転環の外周壁部を挿入し、それらの隙間で、軸方向通路と径方向通路を交互に接続して複数回折れ曲がるラビリンス通路を形成し、
ラビリンス通路は、前端を大気に開口して外側開口にし、後端を外周筒状体内の軸受の隙間に連通して内側開口にし、外側開口をシール回転環の前面の外周縁に隣接しており、
回転センタの使用中、シール回転環の前面に付着した冷却水や切り屑が、回転中のシール回転環に連れて回転する一方、その回転による遠心力を受けてシール回転環の前面の外周縁に向かって流れるラビリンスシールであって、
シール回転環の前面は、遠心力を受けて外周縁に向かう冷却水や切り屑の流れが登る登り坂を形成し、登り坂を登り終えた冷却水や切り屑の流れがシール回転環から離れる構成にしていることを特徴とする回転センタのラビリンスシール。
2.上記1の回転センタのラビリンスシールにおいて、
登り坂は、シール回転環の前面に同心状に形成した円錐面の斜面にし、
円錐面の斜面は、前側に向かって拡大し、外周縁を内周縁より前側に配置していることを特徴とする。
3.上記1又は2の回転センタのラビリンスシールにおいて、
シール回転環は外周壁部の外周面の前端部に鐶部を同心状に突出し、シール静止環は外周壁部の内周面の前端部に段状凹部を同心状に形成し、
鐶部は段状凹部に隙間を設けて挿入し、その隙間で最外周前端の軸方向通路と最外周の径方向通路を形成し、
最外周前端の軸方向通路は、前端をラビリンス通路の外側開口にしていることを特徴とする。
4.上記1、2又は3の回転センタのラビリンスシールにおいて、
ラビリンス通路の外側開口は、開口方向に向かって拡大していないことを特徴とする。
5.上記1〜4のいずれかの回転センタのラビリンスシールにおいて、
前端を外側開口にする軸方向通路は、前端の外側開口を含めて、流路の断面積を均等にしていることを特徴とする。
本例のラビリンスシール付き回転センタは、図1に示すように、センタ軸1を外周筒状体6内に同心状に配置して径方向と軸方向に軸受けしている。センタ軸1は、尖端部2を外周筒状体6の前側に突出している。外周筒状体6の前端とセンタ軸1との間には、アキシアルラビリンスシール11を取り付けている。
ラビリンス通路の外側開口33は、前側に向かって拡大していない。前端を外側開口33にする最外周前端の軸方向通路32は、前端の外側開口33を含めて、流路の断面積を均等にしている。外側開口33に冷却水や切り屑が流入し易くない。
本例のラビリンスシール付き回転センタでは、図5〜図7に示すように、シール回転環21の前面は、第1例におけるのと同様に、外周縁寄りに冷却水や切り屑の登り坂となる円錐面の斜面28を形成している。ところが、第1例におけるのと異なり、内周縁寄りには円錐面の斜面を形成していない。
その他の点は、第1例におけるのと同様である。第1例におけるのと同様な部分には、図中、第1例におけるのと同一の符号を付ける。
本例のラビリンスシール付き回転センタでは、図8と図9に示すように、シール回転環21の前面は、第2例におけるのと同様に、外周縁から少し内周側に冷却水や切り屑の登り坂となる円錐面の斜面28を形成している。ところが、第2例におけるのと異なり、登り坂となる円錐面の斜面28の内周側の全面を、冷却水や切り屑が降る円錐面の緩斜面46、緩い下り坂にしている。
その他の点は、第2例におけるのと同様である。第2例におけるのと同様な部分には、図中、第2例におけるのと同一の符号を付ける。
<実験装置>
実験装置は、図10に示すように、改造回転センタ51の前側にシール嵌込筒状体56を介して被験ラビリンスシール57を設置し、被験ラビリンスシール57の前面に水を掛け、被験ラビリンスシール57を通過した水をシール嵌込筒状体56内に貯める構成にしている。
改造回転センタ51は、回転軸52を外周筒状体54内に同心状に配置して径方向と軸方向に軸受けしている。外周筒状体54は、シール嵌込筒状体56を前側に同心状に突出して着脱可能に取り付けている。シール嵌込筒状体56は、透明合成樹脂製にし、内部を観察可能にしている。また、円筒部の前端内に円環部を同心状に固定して構成している。
回転軸52は、外周筒状体53の前側に突出した前側突出部をシール嵌込筒状体56の円環部内に同心状に貫通している。シール嵌込筒状体56の円環部と回転軸52の前側突出部との間に被験ラビリンスシール57を着脱可能に同心状に取り付けている。回転軸52の前側突出部は、被験ラビリンスシール57の前側に突出した前端面に中心孔53を形成している。
旋削工作機は、主軸台61と心押台62との間の上側に冷却水供給管63を配置し、主軸台61に装着したセンタ64を回転する構成にしている。心押台62には、改造回転センタ51を装着している。改造回転センタの回転軸前端面の中心孔53には、センタ64の尖端を差し込んで押し付けている。センタ64を回転すると、改造回転センタの回転軸52が回転し、回転軸52に固定した被験ラビリンスシール57のシール回転環が回転する。被験ラビリンスシール57のシール静止環は、シール嵌込筒状体56を介して改造回転センタの外周筒状体54に固定している。静止している。
センタ64を設定速度で回転して、被験ラビリンスシール57のシール回転環を回転する。水を冷却水供給管63から被験ラビリンスシール57の前面に設定流量で噴き付ける。設定時間経過後、冷却水供給管63の給水とセンタ64の回転を停止する。シール嵌込筒状体56内に流入した水の量を測定する。その水量が被験ラビリンスシール57の通過水量になる。通過水量が少ないと、被験ラビリンスシール57の密封効果が高い、と判定する。
センタ64の回転速度〈rpm〉は、2000、1800、1000、500、200、100、又は、0に設定する。冷却水供給管63の流量は、一定量に設定する。給水時間は、1分に設定する。
図11〜図13に示した従来例のラビリンスシール71では、センタ64の回転速度〈rpm〉が2000、1800の各場合に、シール嵌込筒状体56内に流入した通過水が少量であった。1000、500、200、100、0の各場合に、通過水が多量になった。シール嵌込筒状体56内の通過水は、水位がラビリンスシール71のラビリンス通路の内側開口位置に近くなった。
図1〜図4に示した第1例のラビリンスシール11では、センタ64の回転速度〈rpm〉が2000〜0の各場合に、通過水が零か微小量であった。
第1例のラビリンスシール11は、従来例71に比較して密封効果が高い。
本発明は、上記の実施形態に限定されない。次のような変形が例示される。
1.上記の実施形態において、外周筒状体6の前部、軸受嵌込部7とセンタ軸1との間に取り付けた軸受は、アンギュラ軸受9とスラスト軸受8にしているが、アンギュラ軸受のみにする。又は、ラジアル軸受とスラスト軸受にする。
2.上記の実施形態において、外周筒状体6の前部、軸受嵌込部7とセンタ軸1との間に取り付けた軸受は、玉軸受8、9にしているが、ころ軸受にする。又は、玉軸受ところ軸受にする。
3.上記の実施形態において、センタ軸の尖端部2は、図1に示すような形状にしているが、その他の形状にする。
4.上記の実施形態において、回転センタは、単独型にしているが、センタ回転式心押台の心押軸に内蔵している内蔵型の回転センタにする。又は、その内蔵型回転センタを心押軸に着脱可能にした着脱式の内蔵型回転センタにする。
1 センタ軸
2 尖端部
6 外周筒状体
7 軸受嵌込部
8 玉軸受、スラスト軸受
9 玉軸受、アンギュラ軸受
10 ころ軸受、ラジアル軸受
11 アキシアルラビリンスシール、ラビリンスシール
12 シール静止環
13 周溝部
14 後側輪板部
15 外周壁部
16 内周壁部
17 段状凹部
21 シール回転環
22 周溝部
23 前側輪板部
24 外周壁部
25 内周壁部
26 鐶部
27 凹部
28 外周面の斜面、円錐面の斜面、登り坂
31 ラビリンス通路
32 最外周前端の軸方向通路
33 外側開口
34 最外周の径方向通路
41 登り坂の内周側の平面、低地
46 登り坂の内周側の円錐面の緩斜面、緩い下り坂
実験装置(図10)
51 改造回転センタ
52 回転軸
53 中心孔
54 外周筒状体
56 シール嵌込筒状体
57 被験ラビリンスシール
61 主軸台
62 心押台
63 冷却水供給管
64 センタ
従来例(図11〜図13)
71 アキシアルラビリンスシール、ラビリンスシール
72 シール静止環
73 周溝部
75 外周壁部
76 内周壁部
81 シール回転環
82 周溝部
84 外周壁部
85 内周壁部
91 ラビリンス通路
92 最外周の軸方向通路
93 外側開口
Claims (5)
- センタ軸は、外周筒状体内に同心状に軸受けし、尖端部を外周筒状体の前側に突出し、外周筒状体の前端との間にラビリンスシールを嵌め込んで取り付けている回転センタにおいて、
ラビリンスシールは、シール静止環を外周筒状体の前端に嵌め込んで固定し、シール回転環をセンタ軸に嵌合して固定し、シール回転環とシール静止環を前後に配置し、
シール回転環は、周溝部を後向きに開口し、周溝部の外周側を外周壁部に、周溝部の内周側を内周壁部にし、
シール静止環は、周溝部を前向きに開口し、周溝部の外周側を外周壁部に、周溝部の内周側を内周壁部にし、
シール回転環の周溝部には隙間を設けてシール静止環の内周壁部を挿入し、シール静止環の周溝部には隙間を設けてシール回転環の外周壁部を挿入し、それらの隙間で、軸方向通路と径方向通路を交互に接続して複数回折れ曲がるラビリンス通路を形成し、
ラビリンス通路は、前端を大気に開口して外側開口にし、後端を外周筒状体内の軸受の隙間に連通して内側開口にし、外側開口をシール回転環の前面の外周縁に隣接しており、
回転センタの使用中、シール回転環の前面に付着した冷却水や切り屑が、回転中のシール回転環に連れて回転する一方、その回転による遠心力を受けてシール回転環の前面の外周縁に向かって流れるラビリンスシールであって、
シール回転環の前面は、遠心力を受けて外周縁に向かう冷却水や切り屑の流れが登る登り坂を形成し、登り坂を登り終えた冷却水や切り屑の流れがシール回転環から離れる構成にしていることを特徴とする回転センタのラビリンスシール。 - 登り坂は、シール回転環の前面に同心状に形成した円錐面の斜面にし、
円錐面の斜面は、前側に向かって拡大し、外周縁を内周縁より前側に配置していることを特徴とする請求項1に記載の回転センタのラビリンスシール。 - シール回転環は外周壁部の外周面の前端部に鐶部を同心状に突出し、シール静止環は外周壁部の内周面の前端部に段状凹部を同心状に形成し、
鐶部は段状凹部に隙間を設けて挿入し、その隙間で最外周前端の軸方向通路と最外周の径方向通路を形成し、
最外周前端の軸方向通路は、前端をラビリンス通路の外側開口にしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転センタのラビリンスシール。 - ラビリンス通路の外側開口は、開口方向に向かって拡大していないことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の回転センタのラビリンスシール。
- 前端を外側開口にする軸方向通路は、前端の外側開口を含めて、流路の断面積を均等にしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回転センタのラビリンスシール。
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JP2016256456A JP2018108614A (ja) | 2016-12-28 | 2016-12-28 | 回転センタのラビリンスシール |
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2016
- 2016-12-28 JP JP2016256456A patent/JP2018108614A/ja active Pending
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