JPH0135984Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、オイルシールに関し、更に詳しく
は、構造がコンパクトであつて、取付けのための
スペースが小さいオイルシールを提示するもので
ある。

通常のオイルシールにおいては、内部潤滑剤の
漏れをシールする主リツプと、外部ダストの侵入
を阻止する補助リツプとが、一体をなして形成さ
れているために、軸方向及び径方向の寸法がやや
長大となつて、例えばボールベアリング、ローラ
ーベアリングの内外両レース間に使用されるベア
リングシール等のごとく、取付けのためのスペー
スに制限があるものにおいては、シール性能を犠
牲にすることを余犠なくされることがあつた。

（従来の技術） この問題を解決したのが第６図のオイルシール
である。この従来技術は、第１の円筒部１の一端
から径方向に伸びる第１の径方向部２の端部に、
ゴム状弾性材料をもつて製せられ、略截頭円錐形
状を呈して軸方向上記第１の円筒部１の反対方向
に伸び、周面上に、略軸方向に走る通気用浅溝４
を配設された第１のシールリツプ３を一体結合さ
せて成る第１のシール部材５と、第１の円筒部１
に対向する第２の円筒部６の一端から径方向に伸
びて第１の径方向部２に対向する第２の径方向部
７の端部に、ゴム状弾性材料をもつて製せられ、
軸方向に並列された複数片の第２のシールリツプ
９を一体結合させて成る第２のシール部材１０と
を、第１のシールリツプ３が第２の円筒部６の周
面に弾性接触するとともに、第２のシールリツプ
９が、第２の円筒部６と反対方向に曲げられて、
第１の円筒部１の周面に弾性接触するように組合
せてオイルシールを構成するものである。

第１のシール部材と第２のシール部材が組合さ
れた場合に、第１のシールリツプと第２のシール
リツプとが互いに反対方向に曲げられた姿勢を保
つために、本オイルシールを装着された装置の運
転時にあつては、シールリツプの接触摺動部にお
ける吸込現象により、両シール部材間に形成され
る環状空室内に負圧が発生して第１のシールリツ
プおよび第２のシールリツプが、摺動対象周面に
圧接させられて摺動摩擦を増大させるおそれがあ
るが、第２のシールリツプの周面に配設された通
気用浅溝を通る空気により環状空室内が常圧に保
たれるので、上記した負圧発生によるトラブルは
防止された。

又、複数片を軸方向に並列される第２のシール
リツプは、接触対象周面により折曲げられた際
に、第４図に示すように先端部において、相互干
渉を生じるおそれがあるが、各シールリツプの側
面に、径方向位置を異にする環状の溝を形成して
各片の曲げ変形時の屈曲部の位置が互いに異なる
ようになすことにより、上記した相互干渉を防止
することができた。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、この従来技術は第５図に示すように第
２のシールリツプの摺動接触面積が広く、摺動ト
ルクの低減化を図ることができなかつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記従来技術の問題点を解決するた
め、以下の構成を有する。

すなわち、本考案のオイルシールは、第１の円
筒部の一端から径方向に伸びる第１の径方向部の
端部に、ゴム状弾性材料をもつて製せられ、略截
頭円錐形状を呈して軸方向上記第１の円筒部の反
対方向に伸び、周面上に、略軸方向に走る通気用
浅溝を配設された第１のシールリツプを一体結合
させて成る第１のシール部材と、第１の円筒部に
対向する第２の円筒部の一端から径方向に伸びて
第１の径方向部に対向する第２の径方向部の端部
に、ゴム状弾性材料をもつて製せられ、軸方向に
並列された複数片の第２のシールリツプを一体結
合させて成る第２のシール部材とを、第１のシー
ルリツプが第２の円筒部の周面に弾性接触すると
ともに、第２のシールリツプが、第２の円筒部と
反対方向に曲げられて、第１の円筒部の周面に弾
性接触するように組合せて成るオイルシールにお
いて、前記第２のシールリツプの一方の側面に複
数個の環状溝を設けたことを特徴とするものであ
る。

（作用） 第２のシールリツプは、摺接面側の周面に複数
個の環状溝が設けられることによつて、曲げ変形
がスムーズに行なわれ、シールリツプ先端部のみ
で摺動接触することとなる。

（実施例） 以下、図面により、本考案の実施例について説
明する。第１図の実施例においては、第１の円筒
部１および第１の円筒部１から内方へ伸びる第１
の径方向部２を有して略状の形状を呈する第１
のリングの径方向内方端部に、ゴム状弾性材料を
もつて製せられ、略截頭円錐状を呈して軸方向第
１の円筒部１と反対方向に伸び、詳細を第２図に
示すように、略軸方向に走る通気用浅溝４を内周
面側に配設された第１のシールリツプ３を一体焼
着されて成る第１のシール部材５と、第１の円筒
部１に対向する第２の円筒部６および第２の円筒
部６から外方へ伸びて第１の径方向部２に対向す
る第２の径方向部７を有して略Ｌ字状の断面形状
を示す第２のリングの外方端部に、ゴム状弾性材
料をもつて製せられ、径方向外方に伸び、軸方向
に並列された２片の第２のシールリツプ９を一体
焼着されて成る第２のシール部材１０とが、第１
のシールリツプ３が第２の円筒部６の周囲に弾性
接触し、第２のシールリツプ９が、第２の径方向
部の反対側に曲げられて、第１の円筒部１の周面
に弾性接触するようになして、互いに組合され、
第１の円筒部１を、互いに同芯に配置されて相対
回転運動をなす二部材の外方の部材に、第２の円
筒部６を、上記相対回転運動二部材の内方の部材
に、それぞれ嵌合・固定されて、第１のシールリ
ツプ３により、図上右側にある潤滑剤に対するシ
ール作用をなし、第２のシールリツプ９により、
図上左側にある大気中のダスト等の潤滑剤側への
侵入を阻止する作用をなし、シールリツプの摺動
部における吸込現象により、両シール部材５，１
０の間に形成された環状空室１５内に負圧状態が
形成される際には、通気用浅溝４を通る空気によ
り該負圧状態が消滅するように構成されている。

２片を並列された第２のシールリツプ９は、一
方の側面に、径方向の位置を異にして、それぞれ
複数個の環状溝１３を付されていることにより、
第１の円筒部１の周面に接触して曲げ変形する際
に、先端において相互に干渉することを防止され
ている。すなわち、環状溝１３を付されないか、
或いは径方向同位置に付された２片の第２のシー
ルリツプ９は、第４図に示すように、相手周面と
の接触により曲げ変形する際に、屈曲部の径方向
位置が略同等となることにより、相互干渉を惹起
させて、正常なシール性の保持を自ら阻害する
が、第３図に示されるように、第１の径方向部２
側の第２のシールリツプ９の環状溝１３の径方向
位置が、大気側の第２のシールリツプ９の環状溝
１３の径方向位置よりも外方に形成されたものに
おいては、同図に示されるように、大気側の第２
のシールリツプ９の屈曲部に比し、第１の径方向
部１側の第２のシールリツプ９の屈曲部が、径方
向外方へ位置するために、大気側の第２のシール
リツプ９が、第１の径方向部１側の第２のシール
リツプ９に比し大気側へ多く傾く姿勢を示すよう
になり、その結果、両シールリツプ９，９の相互
干渉が避けられて、シール性能が高く保持され
る。

加へて、第２のシールリツプ９は、環状溝１３
が複数個設けられたことにより、スムーズに曲げ
られるため、第２のシールリツプ９の先端のみで
摺動接触することができる。

したがつて、摺動接触面積を極めて少なくする
ことができた。

（考案の効果） 本考案のオイルシールは、上記したように、略
状断面を示す第１のリングの径方向部の端部
に、ゴム状弾性材料をもつて製せられ、略截頭円
錐形状を呈して内周面側に略軸方向に走る通気用
浅溝を配設された第１のシールリツプを結合され
て成る第１のシール部材と、略Ｌ字状の断面を示
す第２のリングの径方向部の端部に、ゴム状弾性
材料をもつて製せられた複数片の第２のシールリ
ツプを結合された第２のシール部材とが、それぞ
れのシールリツプの先端部のみを、他方の円筒部
周面に弾性接触させるようになして結合される構
成を備えていることにより、構造がコンパクトに
なつて占有スペースが最小に抑制され、しかも、
内部潤滑剤の漏れ防止及び外部ダストの侵入阻止
の機能並びに内部空室内における負圧発生防止機
能が、いずれも良好に保たれると共に、シールリ
ツプの摺動接触トルクを低減することができ、シ
ール性能の向上を図ることができた。

尚、図示の実施例においては、第１のシールリ
ツプ３が第１の円筒部１に対し内方に位置し、第
２のシールリツプ９が、第２の円筒部６に対し外
方に位置しているが、これに限定されず、第１の
シールリツプ３が第１の円筒部に対し外方に、第
２のシールリツプ９が第２の円筒部６に対し内方
に、それぞれ、位置する構造となすこともでき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るオイルシールの構造例を
示す断面図、第２図は第１図の−断面拡大
図、第３図は第２のシールリツプの拡大図、第４
図及び第５図は従来技術におけるシールリツプの
拡大図、第６図は従来技術に係るオイルシールの
構造例を示す断面図である。 １……第１の円筒部、２……第１の径方向部、
３……第１のシールリツプ、４……通気用浅溝、
５……第１のシール部材、６……第２の円筒部、
７……第２の径方向部、９……第２のシールリツ
プ、１０……第２のシール部材、１３……環状
溝、１５……環状空所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 第１の円筒部１から径方向に伸びる第１の径方
   向部２の端部に、ゴム状弾性材料をもつて製せら
   れ、略截頭円錐形状を呈して軸方向前記第１の円
   筒部１の反対方向に伸び、円周面上に、略軸方向
   に走る通気用浅溝４を配設された第１のシールリ
   ツプ３を一体結合されて成る第１のシール部材５
   と、前記第１の円筒部１に対向する第２の円筒部
   ６から径方向に伸びて前記第１の径方向部２に対
   向する第２の径方向部７の端部に、ゴム状弾性材
   料をもつて製せられ、軸方向に並列された複数片
   の第２のシールリツプ９を一体結合されて成る第
   ２のシール部材１０とが、前記第１のシールリツ
   プ３が前記第２の円筒部６の周面に弾性接触する
   とともに、前記第２のシールリツプ９が、前記第
   ２の円筒部６と反対方向に曲げられて、前記第１
   の円筒部１の周面に弾性接触するように組合され
   て成るオイルシールにおいて、前記第２のシール
   リツプ９の一方の側面に複数個の環状溝１３を設
   けたことを特徴とするオイルシール。