JPH06136070A - 流動性改良剤及び流動性の改良された樹脂組成物 - Google Patents

流動性改良剤及び流動性の改良された樹脂組成物

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JPH06136070A
JPH06136070A JP29318492A JP29318492A JPH06136070A JP H06136070 A JPH06136070 A JP H06136070A JP 29318492 A JP29318492 A JP 29318492A JP 29318492 A JP29318492 A JP 29318492A JP H06136070 A JPH06136070 A JP H06136070A
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JP
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copolymer
polymer
fluidity
olefin
vinyl
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JP29318492A
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Motoyuki Sugiura
基之 杉浦
Tomio Yamada
富穂 山田
Tetsuya Ito
哲哉 伊藤
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NOF Corp
Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衝撃強度、曲げ強度等の機械的物性を維持し
ながら、熱可塑性樹脂の成形時に優れた流動性を発揮さ
せることのできる流動性改良剤及びこの流動性改良剤に
より流動性の改良された樹脂組成物を提供する。 【構成】 流動性改良剤は、プロピレン重合体部分等の
非極性α−オレフィン単量体より形成されるオレフィン
系重合体又は共重合体部分と、スチレン重合体部分等の
前記オレフィン系重合体又は共重合体部分とは異なるビ
ニル系重合体又は共重合体部分とからなるグラフト共重
合体であって、前記一方の重合体又は共重合体部分が他
方の重合体又は共重合体部分中に0.001 〜 10 μmの微
細な粒子として安定な分散相を形成している多相構造熱
可塑性樹脂を含有する。この流動性改良剤をポリフェニ
レンエーテル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂に添
加して樹脂組成物を調製し、これを所定形状に成形す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、特に熱可塑性樹脂用
の流動性改良剤及び成形時の流動性に優れた樹脂組成物
に関するものである。この樹脂組成物は、所定形状に成
形されて自動車部品、電気・電子部品等として利用され
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレ
ンエーテル系樹脂及びスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂
は、良好な機械的特性、耐熱性等を有し、多くの分野で
使用されている。これらの樹脂は比較的高い耐熱性を有
する上、耐衝撃性等に優れた特徴を有しているものの、
より高い耐熱性や耐薬品性等の改良が望まれている。そ
のため、現在高分子量化等によりその改良が行われてい
るが、流動性が極端に低下するという問題が生じてい
る。
【0003】そこで、上記熱可塑性樹脂に滑剤やオレフ
ィン系重合体等を添加することにより、流動性を向上さ
せる試みがなされている。例えば、特開平4−4514
9号公報には、ポリフェニレンエーテルに4−メチル−
1−ペンテン系重合体を添加した樹脂組成物が流動性に
優れていることが開示されている。また、特開平4−1
32661号公報には、ポリカーボネートとオレフィン
系重合体を主成分とする樹脂組成物が流動性に優れてい
ることが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記ポリフ
ェニレンエーテルやポリカーボネート等の熱可塑性樹脂
とオレフィン系重合体とは相溶性が全くないため、単に
ブレンドしただけでは大きく相分離し、流動性は向上す
るものの機械的物性が低下してしまうという欠点があ
り、その改良が望まれている。
【0005】この発明は上記従来の問題に着目してなさ
れたものであって、その目的は衝撃強度、曲げ強度等の
機械的物性等を維持しながら、熱可塑性樹脂の成形時に
優れた流動性を発揮させることのできる流動性改良剤及
びこの流動性改良剤により流動性の改良された樹脂組成
物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明の流動性改良剤では、非極性α−オレフ
ィン単量体より形成されるオレフィン系重合体又は共重
合体部分と前記オレフィン系重合体又は共重合体部分と
は種類の異なるビニル系重合体又は共重合体部分とから
なるグラフト共重合体であって、前記一方の重合体又は
共重合体部分が他方の重合体又は共重合体部分中に微細
な粒子として分散相を形成している多相構造熱可塑性樹
脂からなることを特徴とする。
【0007】第2の発明の流動性の改良された樹脂組成
物においては、(I)熱可塑性樹脂を主成分とし、(I
I)非極性α−オレフィン単量体より形成されるオレフ
ィン系重合体又は共重合体部分と前記オレフィン系重合
体又は共重合体部分とは種類の異なるビニル系重合体又
は共重合体部分とからなるグラフト共重合体であって、
前記一方の重合体又は共重合体部分が他方の重合体又は
共重合体部分中に微細な粒子として分散相を形成してい
る多相構造熱可塑性樹脂からなる流動性改良剤を含有す
ることを特徴とする。
【0008】以下に、この発明について詳細に説明す
る。この発明で用いる(I)熱可塑性樹脂としては、ポ
リアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエー
テル系樹脂、ポリアリレート系樹脂等のエンジニアリン
グプラスチックス、またポリスチレン、ハイインパクト
ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、アクリ
ル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の汎用樹脂があげられ
る。これらの樹脂のなかでも、特に非晶性の熱可塑性樹
脂であるポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエー
テル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、スチレン系樹脂、
アクリル系樹脂又は塩化ビニル系樹脂が流動性の改良効
果に優れているために好ましい。
【0009】上記ポリカーボネート系樹脂としては、
4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン
(通称ビスフェノール)をはじめとする4,4−ジオキ
シジアリルアルカン系ポリカーボネートがあげられる。
その中でも、特に4,4−ジヒドロキシジフェニル−
2,2−プロパンのポリカーボネートで数平均分子量1
5000〜80000のものが好ましい。これらのポリ
カーボネートは、常法により任意の方法で製造される。
【0010】例えば、4,4−ジヒドロキシジフェニル
−2,2−プロパンのポリカーボネートの製造には、ジ
オキシ化合物として4,4−ジヒドロキシジフェニル−
2,2−プロパンを用いて、苛性アルカリ水溶液及び溶
剤の存在下にホスゲンを吹き込んで製造する方法、又は
4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと
炭酸ジエステルとを触媒の存在下でエステル交換させて
製造する方法が例示される。
【0011】前記ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、
下記一般式化1にて示されるフェノール系化合物をカッ
プリング触媒を用い、酸素又は酸素含有ガスで酸化重合
せしめて得られる重合体である。
【0012】
【化1】
【0013】式中、R1 〜R5 は水素、ハロゲン原子、
炭化水素基又は置換炭化水素基から選ばれたものであ
り、そのうち必ず1個は水素原子である。R1 〜R5
具体例としては、水素、塩素、フッ素、臭素、沃素、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、クロロエチル、ヒド
ロキシエチル、フェニルエチル、ベンジル、ヒドロキシ
メチル、カルボキシエチル、シアノエチル、フェニル、
クロロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、
エチルフェニル等があげられる。
【0014】一般式化1の具体例としては、フェノー
ル、o、m又はp−クレゾール、2,6−、2,5−、
2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、2−メチル
−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノ
ール、2,6−ジメチルフェノール、2−メチル−6−
エチルフェノール、2,3,5−、2,3,6−又は
2,4,6−トリメチルフェノール等があげられる。こ
れらのフェノール化合物は2種以上用いることもでき
る。
【0015】また、上記一般式化1以外のフェノール化
合物、例えばビスフェノールA、テトラブロモビスフェ
ノールA、レゾルシン、ハイドロキノン等のような二価
フェノール類と上記一般式化1のフェノール化合物との
共重合体でもよい。
【0016】さらに、ポリフェニレンエーテル系樹脂は
スチレン樹脂類との混合物であってもよい。スチレン樹
脂類としては、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレ
ン、ポリ−p−メチルスチレン等の単独重合体、ブタジ
エンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、エチレン
−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエ
ン共重合ゴム等の各種ゴムで変性されたハイインパクト
ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体等があげられる。これらのスチレン
樹脂類は、ポリフェニレンエーテル系樹脂に対して95
重量%までの範囲で混合される。
【0017】前記熱可塑性樹脂としてのスチレン系樹脂
とは、スチレンの単独重合体又はスチレンと他の共重合
性単量体との共重合体をいう。この共重合性単量体とし
ては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチ
レン等の核置換スチレン、α−メチルスチレン、α−エ
チルスチレン等のα−置換スチレン、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、アクリル
酸又はメタクリル酸〔以下アクリルとメタクリルを(メ
タ)アクリルと総称する〕、(メタ)アクリル酸のメチ
ル−、エチル−、イソプロピル−、ブチル−の(メタ)
アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1
〜7のアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、無水
マレイン酸、マレイミドより選ばれた少なくとも1種以
上の単量体との共重合体等があげられる。
【0018】その他、ブタジエン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等
のジエン系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−プロピレン−非共役ジエン共重合体等のエチレン
−プロピレン系ゴム、アクリル系ゴム、塩素化ポリエチ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた少
なくとも1種以上のゴム状体に、スチレン単独又はスチ
レンと、共重合単量体として前記核置換スチレン、α−
置換スチレン、シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸の
炭素数1〜7のアルキルエステル、マレイン酸、フマル
酸、無水マレイン酸、マレイミドより選ばれた少なくと
も1種以上の単量体とをグラフト又はブロック共重合し
たものを例示することができる。
【0019】これらの中でも特に、ポリスチレン、スチ
レン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリ
ル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル
共重合体(ABS樹脂)が好ましい。
【0020】この発明において、(I)熱可塑性樹脂と
してはどの樹脂を用いてもよいが、耐熱性の観点より、
好ましくはポリフェニレンエーテル系樹脂又はポリカー
ボネート系樹脂、最も好ましくはポリフェニレンエーテ
ル系樹脂である。また、耐衝撃性の観点より最も好まし
いのはポリカーボネートであり、成形加工性の観点で最
も好ましいのはスチレン系樹脂である。
【0021】次に、この発明において使用される(II)
多相構造熱可塑性樹脂を形成するグラフト共重合体中の
オレフィン系重合体又は共重合体〔以下(共)重合体と
いう〕とは、少なくとも非極性α−オレフィン単量体よ
り形成されるオレフィン系重合体又は共重合体をいう。
即ち、高圧ラジカル重合、中低圧イオン重合等で得られ
る非極性α−オレフィン単量体の単独重合体又は2種以
上の非極性α−オレフィン単量体の共重合体及び非極性
α−オレフィン単量体とそれとは種類の異なる極性ビニ
ル系単量体との共重合体をいう。非極性α−オレフィン
単量体としては、エチレン又はプロピレンが好ましく、
他の非極性α−オレフィン単量体としては、プロピレ
ン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メ
チルペンテン−1等があげられる。
【0022】上記非極性α−オレフィン(共)重合体の
具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエ
チレン、超超低密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレ
ン共重合体等をあげることができる。また、これら非極
性α−オレフィン(共)重合体は、混合して使用するこ
ともできる。
【0023】非極性α−オレフィン単量体と極性ビニル
系単量体とからなる(共)重合体における極性ビニル系
単量体とは、非極性α−オレフィン単量体と共重合可能
なビニル基をもった単量体である。その例としては、例
えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイ
ン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,
2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等の
α,β−不飽和カルボン酸及びその金属塩、アクリル酸
メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等のα,
β−不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラ
ウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢
酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジ
ルエステル等の不飽和グリシジル基含有単量体等があげ
られる。
【0024】非極性α−オレフィン単量体と極性ビニル
系単量体とからなる(共)重合体の具体例としては、エ
チレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メ
チル共重合体、エチレン−アクリル酸イソプロピル共重
合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチ
レン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アク
リル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタク
リル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合
体、エチレン−メタクリル酸イソプロピル共重合体、エ
チレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−
メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−メタクリ
ル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−プロピオン酸ビニル共重合体、
エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合
体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシ
ジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グ
リシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル
共重合体等があげられる。
【0025】これらの非極性α−オレフィン単量体と極
性ビニル系単量体とからなる共重合体は、混合して使用
することもできる。また、非極性α−オレフィン(共)
重合体と非極性α−オレフィン単量体と極性ビニル系単
量体とからなる共重合体とを混合して使用することもで
きる。
【0026】これらのオレフィン系重合体のうち、流動
性の観点からポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ンが好ましく、特にプロピレン含量80重量%以上のポ
リプロピレンが最も好ましい。
【0027】次に、この発明で使用されるグラフト共重
合体中のビニル系(共)重合体とは、ビニル系単量体の
1種以上を重合して得られた(共)重合体で、前記オレ
フィン系(共)重合体と種類の異なる(共)重合体をい
う。具体的には、例えばスチレン、核置換スチレン例え
ばメチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレ
ン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン、α−核置
換スチレン例えばα−メチルスチレン、α−エチルスチ
レン等のビニル芳香族単量体、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸の炭素数1〜7のアルキルエステ
ル、例えば(メタ)アクリル酸のメチル−、エチル−、
プロピル−、イソプロピル−、ブチル−、グリシジル
−、2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エ
ステル、アクリロニトリル又はメタクリロニトリル等の
シアン化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の
ビニルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等
の(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸、フェニル
マレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド
類、マレイン酸のモノ−、ジ−エステル等のビニル単量
体の1種又は2種以上を重合して得られた(共)重合体
である。
【0028】これらのうち特に、ビニル芳香族単量体、
(メタ)アクリル酸エステル、シアン化ビニル又はビニ
ルエステルが好ましく使用される。特に、ビニル芳香族
単量体を50重量%以上含む共重合体は、熱可塑性樹脂
への分散が良好なため好ましい。さらに、ポリカーボネ
ート系樹脂、ABS樹脂への分散性の観点からビニル芳
香族単量体を50〜100重量%及びシアン化ビニル0
〜50重量%からなるビニル(共)重合体が好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂への分散性の観点
からビニル芳香族単量体を90重量%以上含むビニル
(共)重合体が最も好ましい。
【0029】この発明でいうグラフト共重合体とは、オ
レフィン系(共)重合体又はビニル系(共)重合体マト
リックス中に、それとは異なる成分であるビニル系
(共)重合体又はオレフィン系(共)重合体が微細な粒
子状、通常球状にほぼ均一に分散しているものをいう。
【0030】この分散している(共)重合体の微細な粒
子の粒子径は通常0.001〜10μm、好ましくは
0.01〜5μmである。分散樹脂の粒子径が0.00
1μm未満の場合あるいは10μmを越える場合、熱可
塑性樹脂にブレンドしたときのグラフト共重合体の分散
性が不十分となり、例えば外観が悪化したり、引張強度
や伸び等の機械的物性が低下したりするため好ましくな
い。
【0031】この発明のグラフト共重合体を構成するビ
ニル系重合体の数平均重合度は5〜1万、好ましくは1
0〜5千である。この数平均重合度が5未満であると、
この発明の熱可塑性樹脂組成物の流動性を向上させるこ
とはできても、耐熱性が低下したり、外観が悪化するた
め好ましくない。また数平均重合度が1万を越えると、
溶融粘度が高くなって、成形性が低下したり、表面光沢
が低下するので好ましくない。
【0032】この発明のグラフト共重合体は、オレフィ
ン系(共)重合体部分が好ましくは5〜95重量%、さ
らに好ましくは20〜90重量%からなるものである。
従って、ビニル系(共)重合体部分は好ましくは95〜
5重量%、さらに好ましくは80〜10重量%である。
【0033】オレフィン系(共)重合体が5重量%未満
であると、流動性の改良効果が不十分であり好ましくな
い。一方、オレフィン系(共)重合体が95重量%を越
えると流動性の改良効果は得られるが、外観が悪化した
り、機械的物性が低下したりして好ましくない。
【0034】この発明において、グラフト共重合体は、
熱可塑性樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜
50重量部、さらに好ましくは0.3〜30重量部、最
も好ましくは0.5〜10重量部である。グラフト共重
合体が0.1重量部未満の場合、流動性等の改良が不十
分であり、50重量部を越えると、外観の悪化あるいは
機械的物性の低下が起きて好ましくない。
【0035】この発明のグラフト共重合体を製造する際
のグラフト化法は、一般に良く知られている連鎖移動
法、電離性放射線照射法等いずれの方法でもよいが、最
も好ましいのは、下記に示す方法によるものである。な
ぜなら、グラフト効率が高く、熱により二次的凝集が起
こらないので、性能の発現がより効果的であり、また製
造方法が簡便であるためである。
【0036】以下、この発明のグラフト共重合体の製造
方法を具体的に説明する。すなわち、まずオレフィン系
(共)重合体100重量部を水に懸濁せしめる。別に、
少なくとも1種のビニル単量体5〜400重量部に、下
記一般式化2又は化3で表されるラジカル重合性有機過
酸化物の1種又は2種以上の混合物を、前記ビニル単量
体100重量部に対して0.1〜10重量部と、10時
間の半減期を得るための分解温度が40〜90℃である
重合開始剤をビニル単量体とラジカル重合性有機過酸化
物との合計100重量部に対して0.01〜5重量部と
を溶解せしめた溶液を加える。
【0037】そして、ラジカル重合開始剤の分解が実質
的に起こらない条件で加熱し、ビニル単量体、ラジカル
重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤をオレフィ
ン系(共)重合体に含浸せしめる。次いで、この水性懸
濁液の温度を上昇せしめ、ビニル単量体とラジカル重合
性有機過酸化物とをオレフィン系(共)重合体中で共重
合せしめて、グラフト化前駆体を得る。
【0038】このグラフト化前駆体も多相構造熱可塑性
樹脂であり、流動性改良剤となる。従って、このグラフ
ト化前駆体を直接(I)熱可塑性樹脂と共に溶融混合し
てもよい。
【0039】また、グラフト化前駆体を100〜300
℃の温度で溶融状態にて混練することにより、この発明
のグラフト共重合体を得ることもできる。このときグラ
フト化前駆体に、別にオレフィン系(共)重合体又はビ
ニル系(共)重合体を混合し、溶融下に混練してもグラ
フト共重合体を得ることができる。最も好ましいのはグ
ラフト化前駆体を溶融混練して得られたグラフト共重合
体である。
【0040】前記一般式化2で表されるラジカル重合性
有機過酸化物とは、次の化合物である。
【0041】
【化2】
【0042】式中、R6 は水素原子又は炭素数1若しく
は2のアルキル基、R7 は水素原子又はメチル基、R8
及びR9 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10
炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置
換フェニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を
示す。mは1又は2である。
【0043】また、前記一般式化3で表されるラジカル
重合性有機過酸化物とは、次の化合物である。
【0044】
【化3】
【0045】式中、R11は水素原子又は炭素数1〜4の
アルキル基、R12は水素原子又はメチル基、R13及びR
14はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R15は炭素数
1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェ
ニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。
nは0、1又は2である。
【0046】一般式化2で表されるラジカル重合性有機
過酸化物として、具体的には、t−ブチルペルオキシア
クリロイロキシエチルカーボネート;t−アミルペルオ
キシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ヘキシ
ルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシアクリ
ロイロキシエチルカーボネート;クミルペルオキシアク
リロイロキシエチルカーボネート;p−イソプロピルク
ミルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;
t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボ
ネート;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエチ
ルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイ
ロキシエチルカーボネート;1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボ
ネート;クミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ
ーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシメタク
リロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキ
シメタクリロイロキシエチルカーボネート;t−アミル
ペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネー
ト;t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエトキシ
エチルカーボネート;1,1,3,3−テトラメチルブ
チルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボ
ネート;クミルペルオキシアクリロイロキシエトキシエ
チルカーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシ
アクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;t−ブ
チルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカー
ボネート;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエ
トキシエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメ
タクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;1,
1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタクリロ
イロキシエトキシエチルカーボネート;クミルペルオキ
シメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;p
−イソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロキシエ
トキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシアク
リロイロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペ
ルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;
t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシイソプロピル
カーボネート;1,1,3,3−テトラメチルブチルペ
ルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;
クミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボ
ネート;p−イソプロピルクミルペルオキシアクリロイ
ロキシイソプロピルカーボネート;t−ブチルペルオキ
シメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−
アミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカー
ボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシ
イソプロピルカーボネート;1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピル
カーボネート;クミルペルオキシメタクリロイロキシイ
ソプロピルカーボネート;p−イソプロピルクミルペル
オキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート等
を例示することができる。
【0047】さらに、一般式化3で表される化合物とし
ては、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート;t−
アミルペルオキシアリルカーボネート;t−ヘキシルペ
ルオキシアリルカーボネート;1,1,3,3−テトラ
メチルブチルペルオキシアリルカーボネート;p−メン
タンペルオキシアリルカーボネート;クミルペルオキシ
アリルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタリルカ
ーボネート;t−アミルペルオキシメタリルカーボネー
ト;t−ヘキシルペルオキシメタリルカーボネート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタリ
ルカーボネート;p−メンタンペルオキシメタリルカー
ボネート;クミルペルオキシメタリルカーボネート;t
−ブチルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;t
−アミルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;t
−ヘキシルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;
t−ブチルペルオキシメタリロキシエチルカーボネー
ト;t−アミルペルオキシメタリロキシエチルカーボネ
ート;t−ヘキシルペルオキシメタリロキシエチルカー
ボネート;t−ブチルペルオキシアリロキシイソプロピ
ルカーボネート;t−アミルペルオキシアリロキシイソ
プロピルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアリロ
キシイソプロピルカーボネート;t−ブチルペルオキシ
メタリロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペ
ルオキシメタリロキシイソプロピルカーボネート;t−
ヘキシルペルオキシメタリロキシイソプロピルカーボネ
ート等を例示することができる。
【0048】中でも好ましくは、t−ブチルペルオキシ
アクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペル
オキシメタクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブ
チルペルオキシアリルカーボネート;t−ブチルペルオ
キシメタリルカーボネートである。
【0049】この発明においては無機充填剤を配合する
ことができ、その配合割合は前記(I)熱可塑性樹脂と
(II)グラフト共重合体を含む樹脂成分100重量部に
対して150重量部以下である。無機充填剤の配合量が
150重量部を越えると成形品の流動性が低下するので
好ましくない。
【0050】この無機充填剤としては、粉粒状、平板
状、麟片状、針状、球状、中空状又は繊維状等が挙げら
れる。具体的には、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、
クレー、珪藻土、タルク、アルミナ、珪砂、ガラス粉、
酸化鉄、金属粉、グラファイト、炭化珪素、窒素珪素、
シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボンブラ
ック等の粉粒状充填材;雲母、ガラス板、セリサイト、
パイロフィライト、アルミフレーク等の金属箔、黒鉛等
の平板状又は鱗板状充填材;シラスバルーン、金属バル
ーン、ガラスバルーン、軽石等の中空状充填材;ガラス
繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、ウィスカー、金属
繊維、シリコーンカーバイト繊維、アスベスト、ウオス
トナイト等の鉱物繊維等を挙げることができる。
【0051】また上記無機充填剤の表面は、ステアリン
酸、オレイン酸、パルチミン酸又はそれらの金属塩、パ
ラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はそれらの
変性物、有機シラン、有機ボラン、有機チタネート等を
使用して表面処理を施すことが好ましい。
【0052】この発明の樹脂組成物は、温度120〜3
50℃、好ましくは150〜330℃で熱可塑性樹脂と
グラフト共重合体とを溶融・混合することによって製造
される。上記温度が120℃未満の場合、溶融が不完全
であったり、また溶融粘度が高く、混合が不十分とな
り、成形物に相分離や層状剥離が現れるため好ましくな
い。また350℃を越えると、混合される樹脂の分解若
しくはゲル化が起こり好ましくない。
【0053】溶融・混合する方法としては、バンバリー
ミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロ
ール等の通常用いられる混練機による方法が採用され
る。この発明の樹脂組成物は流動性に優れるため、射出
成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法のいず
れの成形方法によっても成形することができる。中で
も、射出成形法は流動性、成形品外観の観点から、押出
成形法は成形シートの成形性、シート外観の観点から、
また真空成形法は深絞り成形性の観点からより好まし
い。
【0054】一般に、熱可塑性樹脂は流れ特性、耐熱性
及び機械的特性が悪い。一方、前述のビニル系重合体は
熱可塑性樹脂に比べてこれらの特性に優れているが、相
溶性が悪いためそのまま添加しても添加効果は少ない。
そこで、この発明では、熱可塑性樹脂に対して相溶性の
良いポリオレフィン系重合体部分と前記特性を発揮でき
るビニル系重合体部分とから多相構造を形成するグラフ
ト共重合体を得て、このグラフト共重合体を熱可塑性樹
脂に添加した。そのため、グラフト共重合体は、熱可塑
性樹脂に対して相溶性が良く、熱可塑性樹脂中に均一に
分散され、かつそれが安定状態で存在する。その結果、
樹脂組成物の流れ特性が改善されて、成形品表面の外観
が優れるとともに、衝撃強度、曲げ強度等の機械的物性
が向上する。
【0055】なお、この発明では、この発明の要旨を逸
脱しない範囲において、更に水酸化マグネシウム、水酸
化アルミニウム等の無機難燃剤、ハロゲン系、リン系等
の有機難燃剤、木粉等の有機充填剤、酸化防止剤、紫外
線防止剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、架
橋剤、着色剤等の添加剤又は他の熱可塑性樹脂等を添加
しても差し支えない。
【0056】
【実施例】以下に、参考例、実施例及び比較例をあげて
この発明をさらに具体的に説明する。 (参考例1、グラフト共重合体(IIA)の製造)容積5
リットルのステンレス製オートクレーブに、純水250
0gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルアルコール
2.5gを溶解させた。この中にオレフィン系重合体と
してポリプロピレン「日石ポリプロJ150G」(商品
名、日本石油化学(株)製)700gを入れ、攪拌・分
散した。別に、ラジカル重合開始剤としてのベンゾイル
ペルオキシド「ナイパーB」(商品名、日本油脂(株)
製)1.5g、ラジカル重合性有機過酸化物としてtー
ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネー
ト6gを、ビニル単量体としてのスチレン300gに溶
解させ、この溶液を前記オートクレーブ中に投入・攪拌
した。
【0057】次いで、オートクレーブを60〜65℃に
昇温し、2時間攪拌することによりラジカル重合開始剤
及びラジカル重合性有機過酸化物を含むビニル単量体
を、エポキシ基含有エチレン共重合体中に含浸させた。
次に、温度を80〜85℃に上げ、その温度で7時間維
持して重合を完結させ、水洗及び乾燥してグラフト化前
駆体(IIa )を得た。このグラフト化前駆体(IIa )中
のスチレン重合体を酢酸エチルで抽出し、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフ(GPC)により数平均重合度
を測定したところ、850であった。
【0058】次いで、このグラフト化前駆動体(IIa )
をラボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所
製)で200℃にて押し出し、グラフト化反応させるこ
とによりグラフト共重合体(IIA)を得た。
【0059】このグラフト共重合体(IIA)を走査型電
子顕微鏡「JEOL JSM T300」(日本電子
(株)製)により観察したところ、粒子径0.3〜0.
5μmの真球状樹脂が均一に分散した多相構造体であっ
た。
【0060】なおこのとき、スチレン重合体のグラフト
効率は50.1%であった。 (参考例2、グラフト共重合体(IIB)の製造)参考例
1において、ビニル単量体としてのスチレン300g
を、スチレン210gとアクリロニトリル90gとの混
合単量体に、またベンゾイルペルオキシド1.5gをジ
−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド
「パーロイル355」(商品名、日本油脂(株)製)3
gに変更し、分子量調整剤としてα−メチルスチレンダ
イマー「ノフマーMSD」(商品名、日本油脂(株)
製)0.3gを使用した以外は、参考例1を繰り返して
グラフト化前駆体(IIb)及びグラフト共重合体(II
B)を得た。
【0061】このときグラフト共重合体(IIB)中のス
チレン−アクリロニトリル共重合体の数平均重合度は1
200、グラフト効率は43.8%であった。また、グ
ラフト共重合体(IIB)中に分散している樹脂の平均粒
子径は0.3〜0.5μmであった。 (参考例3、グラフト共重合体(IIC)の製造)参考例
2で得たグラフト化前駆体(IIb)を60gと、ポリプ
ロピレン「日石ポリプロG150G」(商品名、日本石
油化学(株)製)20g及びスチレン−アクリロニトリ
ル共重合体「サンレックスSAN−C」(商品名、三菱
モンサント化成(株)製)20gとをドライブレンドし
た後、ラボプラストミル一軸押出機で200℃にて押出
し、グラフト共重合体(IIC)を得た。
【0062】このとき、グラフト共重合体中のスチレン
−アクリロニトリル共重合体のグラフト効率は36.4
%であった。また、このグラフト共重合体(IIC)中に
分散している樹脂の平均粒子径は0.4〜0.6μmで
あった。 (参考例4、グラフト共重合体(IID)の製造)参考例
1において、ポリプロピレンをポリエチレン「レクスロ
ンW3300」(商品名、日本石油化学(株)製)に変
更した以外は、参考例1を繰り返してグラフト共重合体
(IID)を得た。
【0063】グラフト共重合体(IID)中のスチレン重
合体の数平均重合度は900、グラフト効率は64.3
%であった。また、グラフト共重合体(IID)中に分散
している樹脂の平均粒子径は0.3〜0.4μmであっ
た。 (参考例5、グラフト共重合体(IIE)の製造)参考例
2において、ポリプロピレンをエチレンーアクリル酸エ
チル共重合体「レクスロンEEA A4200」(商品
名、日本石油化学(株)製)に変更した以外は参考例2
を繰り返してグラフト共重合体(IIE)を得た。
【0064】このとき、グラフト共重合体(IIE)中の
スチレン−アクリロニトリル共重合体の数平均重合度は
1300、グラフト効率は68.4%であった。また、
グラフト共重合体(IIE)中に分散している樹脂の平均
粒子径は0.3〜0.4μmであった。 (参考例6、グラフト共重合体(IIF)の製造)参考例
1において、ビニル単量体としてのスチレンをメタクリ
ル酸メチルに変更し、分子量調整剤として1−ドデカン
チオール1.5gを使用した以外は、参考例1を繰り返
してグラフト共重合体(IIF)を得た。
【0065】このとき、グラフト共重合体(IIF)中の
メタクリル酸メチル重合体の数平均重合度は700、グ
ラフト効率は55.9%であった。また、このグラフト
共重合体(IIF)中に分散している樹脂の平均粒子径は
0.3〜0.5μmであった。(参考例7、ブレンド体
(IIG)の製造)ポリプロピレン「日石ポリプロJ15
0G」(商品名、日本石油化学(株)製)500gとス
チレン−アクリロニトリル共重合体「サンレックスSA
N−C」(商品名、三菱モンサント化成(株)製)50
0gとを前述のラボプラストミル一軸押出機で200℃
にて押し出し、ブレンド体(IIG)を得た。
【0066】このとき、ブレンド体(IIG)中のスチレ
ン−アクリロニトリル共重合体のグラフト効率は0.1
%以下であった。また、このブレンド体(IIG)中に分
散している樹脂の平均粒子径は15μmであった。 (実施例1〜6)ポリフェニレンエーテル(IA)「ノ
リル534J−801」(商品名、日本ジーイープラス
チック(株)製、表中PPEとして表示)及び参考例で
得たグラフト共重合体(IIA)又は(IID)をドライブ
レンドした後、シリンダー温度280℃に設定されたス
クリュー径30mmの同軸方向二軸押出機に供給し、押出
後造粒した。造粒した樹脂は110℃で3時間乾燥させ
た後、射出成形法によって試験片を作成した。試験片の
大きさは次のようである。
【0067】 アイゾット衝撃試験片 13mm×65mm×6mm 荷重たわみ温度試験片 13mm×130mm×6mm 曲げ試験片 10mm×130mm×4mm この試験片を用いて以下の試験を行った。その結果を表
1に示す。なお、以下に試験法を示す。 (1)アイゾット衝撃値 : JIS K7110 (kg・cm/cm) (2)荷重たわみ温度(℃) : JIS K7207 (3)曲げ試験 : JIS K6758 曲げ強さ(kg/cm2 )、曲げ弾性率(kg/cm2 ) (4)流動性(スパイラルフロー) 成形温度240℃、260℃、280℃のそれぞれにお
いて、射出成形機(田端機械工業(株)製、TS−35
−FV25型)に半円状のφ4.8mmスパイラル溝を有
する金型を装着し、射出速度95%、射出圧力1000
kg/cm2、金型温度60℃の条件で射出成形を行い、成形
されたスパイラル長さを測定し、流動性の指標とした。 (5)射出成形品の外観 成形品の外観については目視により層状剥離の有無を判
定し、次のようにランク付けした。
【0068】◎:層状剥離全くなし、○:僅かに層状剥
離あり、×:層状剥離あり
【0069】
【表1】
【0070】表1に示したように、実施例1〜6におい
ては、熱可塑性樹脂としてのPPEを主成分とし、これ
に多相構造を有するグラフト共重合体を所定量配合し
た。そのため、樹脂組成物は、流動性が改善されるとと
もに、試験片のアイゾット衝撃値、曲げ強さ等の機械的
物性、成形品の外観等が向上した。 (実施例7〜12)参考例1で得られたグラフト化前駆
体(IIa)及びSEBS(スチレン−エチレン−ブチレ
ン−スチレン共重合樹脂)「クレイトンG1650」
(商品名、シェル化学(株)製)を用いた例である。樹
脂組成物の組成及び試験の結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】表2に示したように、実施例7〜12にお
いては、熱可塑性樹脂としてのPPEにグラフト共重合
体等を所定量配合したことにより、樹脂組成物の流動
性、機械的物性及び外観が優れている。 (実施例13〜20)実施例1〜12のPPEの代わり
に、ポリカーボネート系樹脂(IB)「パンライトL−
1250」(商品名、帝人化成(株)製、表中ではPC
として表示)又はABS系樹脂(IC)「スタイラック
ABS 283」(商品名、旭化成工業(株)製、表中
ではABSとして表示)を用いた例である。樹脂組成物
の組成及び試験の結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】表3に示したように、実施例13〜20に
おいては、熱可塑性樹脂としてのPC又はABSにグラ
フト共重合体を所定量配合したことにより、樹脂組成物
の流動性、機械的物性及び外観が改善される。 (比較例1〜16)グラフト共重合体(IIA)〜(II
F)を添加しない例及びグラフト共重合体(IIA)、
(IIB)を50%以上添加した例を表4に、グラフト共
重合体(IIA)〜(IIF)の代わりに、ポリプロピレン
「日石ポリプロJ150G」(商品名、日本石油化学
(株)製)、参考例7で得たブレンド体(IIG)及び酸
変性ポリプロピレン「モディックP110F」(商品
名、三菱油化(株)製)を使用した例を表5及び表6に
示す。
【0075】
【表4】
【0076】表4に示したように、比較例1〜3では熱
可塑性樹脂としてのPPE、PC又はABSのみを用
い、グラフト共重合体を配合しなかったため、得られる
樹脂組成物は機械的強度、耐熱性、流動性等の物性のう
ち、いずれかの物性が不良となった。また、比較例4〜
6では、熱可塑性樹脂を主成分とせず、グラフト共重合
体を50%以上添加したため、流動性は確保されるもの
の、衝撃強度、曲げ強さ等の機械的物性が低下するとと
もに、外観も低下する。
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】表5及び表6に示したように、比較例7〜
16では熱可塑性樹脂としてのPPE、PC又はABS
にグラフト共重合体ではないPP、PP/ASブレンド
体、酸変性PP又はSEBSを添加したため、得られる
樹脂組成物は機械的強度、耐熱性、流動性等の物性のう
ち、いずれかの物性が不良となった。
【0080】以上の結果より、多相構造を有する特定の
グラフト共重合体が特に熱可塑性樹脂の成形時における
流動性を改良できるため、熱可塑性樹脂の流動性改良剤
として有用である。また、熱可塑性樹脂に流動性改良剤
が配合された樹脂組成物は、機械的物性及び成形品の外
観が優れている。
【0081】
【発明の効果】以上詳述したように第1の発明の流動性
改良剤は、熱可塑性樹脂との相溶性に優れていることか
ら、熱可塑性樹脂に配合した場合、その組成物の流動性
が良好に改善されるという優れた効果を奏する。また、
第2の発明の樹脂組成物は、機械的物性が維持された状
態で、成形時の流動性に優れているとともに、成形品の
外観に優れているという効果を奏する。従って、この発
明の樹脂組成物は、所定形状に成形されて自動車部品、
電気・電子部品、その他の工業部品等に広く利用され
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非極性α−オレフィン単量体より形成さ
    れるオレフィン系重合体又は共重合体部分と前記オレフ
    ィン系重合体又は共重合体部分とは種類の異なるビニル
    系重合体又は共重合体部分とからなるグラフト共重合体
    であって、前記一方の重合体又は共重合体部分が他方の
    重合体又は共重合体部分中に微細な粒子として分散相を
    形成している多相構造熱可塑性樹脂からなることを特徴
    とする流動性改良剤。
  2. 【請求項2】 (I)熱可塑性樹脂を主成分とし、(I
    I)非極性α−オレフィン単量体より形成されるオレフ
    ィン系重合体又は共重合体部分と前記オレフィン系重合
    体又は共重合体部分とは種類の異なるビニル系重合体又
    は共重合体部分とからなるグラフト共重合体であって、
    前記一方の重合体又は共重合体部分が他方の重合体又は
    共重合体部分中に微細な粒子として分散相を形成してい
    る多相構造熱可塑性樹脂からなる流動性改良剤を含有す
    ることを特徴とする流動性の改良された樹脂組成物。
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