JP2847317B2 - ポリカーボネート樹脂組成物およびポリカーボネート樹脂用耐衝撃性改良剤 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物およびポリカーボネート樹脂用耐衝撃性改良剤

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JP2847317B2 JP9885690A JP9885690A JP2847317B2 JP 2847317 B2 JP2847317 B2 JP 2847317B2 JP 9885690 A JP9885690 A JP 9885690A JP 9885690 A JP9885690 A JP 9885690A JP 2847317 B2 JP2847317 B2 JP 2847317B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリカーボネート樹脂の優れた物理的特
性、機械的性質を維持し、優れた耐衝撃性、特に耐衝撃
性の厚み依存性が改良されたポリカーボネート樹脂組成
物およびポリカーボネート樹脂用耐衝撃性改良剤に関す
るものであり、電気及び電子機械部品、精密機械部品、
自動車部品などの広い分野で使用されうるものである。
[従来技術] ポリカーボネート樹脂は靱性、可撓性、衝撃強度等の
機械特性、耐熱性、電気特性等の物理的特性、成形品の
寸法精度などに優れているので自動車部品、電気絶縁材
料、機械部品、各種ハウジング等に広く使用されてい
る。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂は耐衝撃性の厚
み依存性が大きく、肉厚が薄い場合には耐衝撃性が良好
であるが、肉厚が厚い場合には耐衝撃性が大きく低下す
るため、肉厚成形品には使用できないという問題があっ
た。
したがって、ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性の厚み
依存性を改良することが可能となれば、前記のポリカー
ボネート樹脂の物理的特性、機械特性、寸法精度などの
優れた特長を有する肉厚成形品を得ることが可能となり
様々な分野への応用展開が可能となる。
ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性の厚み依存性を解決
することを目的として、特開平1−308449号公報にポリ
カーボネート樹脂にシラン変性重合体と特定のエチレン
共重合体を配合する方法、特開平1−308450号公報にポ
リカーボネート樹脂にエポキシ含有架橋共重合体を配合
する方法が開示されており、それぞれポリカーボネート
樹脂の耐衝撃性の厚み依存性が改善されることが示され
ている。
[本発明が解決しようとする課題] しかしながら、特開平1−308449号公報、特開平1−
308450号公報のように特定の重合体を配合する方法で
は、ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性の厚み依存性はあ
る程度改善されるものの、特定の重合体とポリカーボネ
ート樹脂との相溶性が乏しいため、ポリカーボネート樹
脂の優れた物理的特性、機械特性が損なわれてしまうば
かりか、得られた成形品が層状剥離現象を起こしたり、
金型への付着現象を起こしたりするという問題があっ
た。
このように、従来のポリカーボネート樹脂の耐衝撃性
の厚み依存性を改善する方法には一長一短があり、ポリ
カーボネート樹脂の優れた物理的特性、機械特性を維持
したうえで、特に耐衝撃性の厚み依存性を改善させたも
のが得られていない。
本発明は、ポリカーボネート樹脂の優れた物理的特
性、機械特性を維持したうえで、特に耐衝撃性の厚み依
存性が改善されたポリカーボネート樹脂組成物を提供す
ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は、これら従来の問題を解決すべくは鋭意
研究した結果、ポリカーボネート樹脂に特定の多相構造
熱可塑性樹脂をブレンドして得た樹脂の耐衝撃性、特に
耐衝撃性の厚み依存性が著しく改善されるとともに、得
られたポリカーボネート樹脂組成物は物理的特性、機械
的特性、成形性に優れ、また特定の多相構造熱可塑性樹
脂のポリカーボネート樹脂への分散性にも優れることを
見いだし本発明を完成させるに至った。
即ち、第1の発明は、下記の(I)、(II)を含むポ
リカーボネート樹脂組成物である。
(I)ポリカーボネート樹脂100部 (II)エポキシ基含有オレフィン共重合体5〜95重量%
と、少なくとも一種のビニル単量体からなるビニル系
(共)重合体95〜5重量%とからなり、分散樹脂の粒子
径が0.001〜10μmである多相構造熱可塑性樹脂1〜100
重量部。
更に第2の発明は、 エポキシ基含有オレフィン共重合体の水性懸濁液に、
少なくとも一種のビニル単量体、ラジカル(共)重合性
有機過酸化物の少なくとも一種およびラジカル重合開始
剤を加え、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こら
ない条件下で加熱し、該ビニル単量体、ラジカル(共)
重合性有機過酸化物およびラジカル重合開始剤をエポキ
シ基含有オレフィン共重合体に含浸せしめ、その含浸率
が初めの10重量%以上に達した時、この水性懸濁液の温
度を上昇させ、ビニル単量体とラジカル(共)重合性有
機過酸化物とを、エポキシ基含有オレフィン共重合体中
で共重合せしめたグラフト化前駆体(A)、または
(A)と、エポキシ基含有オレフィン共重合体(B)0
〜99重量%または少なくとも一種のビニル単量体を重合
して得られるビニル系(共)重合体(C)0〜99重量%
を予め100〜300℃の範囲で溶融混合して得た多相構造熱
可塑性樹脂を主成分としてなることを特徴とするポリカ
ーボネート樹脂用耐衝撃性改良剤である。
更に第3の発明は、 エポキシ基含有オレフィン共重合体の水性懸濁液に、
少なくとも一種のビニル単量体およびラジカル重合開始
剤を加え、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こら
ない条件下で加熱し、該ビニル単量体およびラジカル重
合開始剤をエポキシ基含有オレフィン共重合体に含浸せ
しめ、その含浸率が初めの10重量%以上に達した時、こ
の水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル単量体をエポキ
シ基含有オレフィン共重合体中で共重合せしめて得たグ
ラフト化前駆体(D)、または(D)と、エポキシ基含
有オレフィン共重合体(B)0〜99重量%または少なく
とも一種のビニル単量体を重合して得られるビニル系
(共)重合体(C)0〜99重量%を予め100〜300℃の範
囲で溶融混合して得た多相構造熱可塑性樹脂を主成分と
してなることを特徴とするポリカーボネート樹脂用耐衝
撃性改良剤である。
本発明において使用されるポリカーボネート樹脂は、
4,4−ジヒドロキシジフエニル−2,2−プロパン(通称ビ
スフエノールA)をはじめとする4,4−ジオキシジアリ
ルアルカン系ポリカーボネートであるが、その中でも特
に4,4−ジヒドロキシジフエニル−2,2−プロパンのポリ
カーボネートで、数平均分子量15,000〜80,000のものが
好ましい。
これらのポリカーボネートは、任意の方法で製造され
る。
例えば、4,4−ジヒドロキシジフエニル−2,2−プロパ
ンのポリカーボネートの製造には、ジオキシ化合物とし
て4,4−ジヒドロキシジフエニル−2,2−プロパンを用い
て、苛性アルカリ水溶液および溶剤存在下にホスゲンを
吹き込んで製造する方法、または4,4−ジヒドロキシジ
フエニル−2,2−プロパンと炭酸ジエステルとを触媒存
在下でエステル交換させて製造する方法を例示すること
ができる。
本発明において使用される多相構造熱可塑性樹脂中の
エポキシ基含有オレフィン共重合体とは、一つには高圧
ラジカル重合によるオレフィンと不飽和グリシジル基含
有単量体との2元共重合体またはオレフィンと不飽和グ
リシジル基含有単量体および他の不飽和単量体との3元
または多元の共重合体であり、上記共重合体のオレフィ
ンとしては特にエチレンが好ましく、エチレン60〜99.5
重量%、グリシジル基含有単量体0.5〜40重量%、他の
不飽和単量体0〜39.5重量%からなる共重合体が好まし
い。
上記不飽和グリシジル基含有単量体としては、アクリ
ル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸
モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグ
リシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジル
エステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステ
ルおよびα−クロロアリル、マレイン酸、クロトン酸、
フマル酸などのグリシジルエステル類またはビニルグリ
シジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジ
ルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシ
ジルエーテルなどのグリシジルエーテル類、p−グリシ
ジルスチレン等が挙げられるが、特に好ましいものとし
てはメタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテ
ルを挙げることができる。
他の不飽和単量体としては、オレフィン類、ビニルエ
ステル類、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸または
その誘導体等から選択された少なくとも一種の単量体
で、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−
1、デセン−1、オクテン−1、スチレン等のオレフィ
ン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルベンゾ
エートなどのビニルエステル類、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘ
キシル、ドデシル、オクタデシルなどのエステル類、マ
レイン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、フマル酸、
マレイン酸モノエステルおよびジエステル、塩化ビニ
ル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど
のビニルエーテル類およびアクリル酸アミド系化合物が
挙げられるが、特にアクリル酸エステルが好ましい。
上記エポキシ基含有オレフィン共重合体の具体例とし
ては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エ
チレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合
体、エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシ
ジル共重合体、エチレン/一酸化炭素/メタクリル酸グ
リシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル共
重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸グリシジル
共重合体等が挙げられる。中でも好ましいものはエチレ
ン/メタクリル酸グリシジル共重合体である。
これらのエポキシ基含有オレフィン共重合体は混合し
ても使用できる。
高圧ラジカル重合によるエポキシ基含有オレフィン共
重合体の製造法は前記のエチレン60〜99.5重量%、一種
以上の不飽和グリシジル基含有単量体0.5〜40重量%、
少なくとも一種の他の不飽和単量体0〜39.5重量%の単
量体混合物を、それらの全単量体の総重量に基ずいて0.
0001〜1重量%のラジカル重合開始剤の存在下で重合圧
力500〜4000kg/Cm2、好ましくは1000〜3500kg/Cm2、反
応温度50〜400℃、好ましくは100〜350℃の条件下、連
鎖移動剤、必要に応じて助剤の存在下に槽型または管型
反応器内で該単量体を同時に、あるいは段階的に接触、
重合させる方法である。
上記ラジカル重合開始剤としては、ペルオキシド、ヒ
ドロペルオキシド、アゾ化合物、アミンオキシド化合
物、酸素などの通例の開始剤が挙げられる。
また連鎖移動剤としては、水素、プロピレン、ブテン
−1、C1〜C20またはそれ以上の飽和脂肪族炭化水素お
よびハロゲン置換炭化水素、例えばメタン、エタン、プ
ロパン、ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプ
タン、シクロパラフィン類、クロロホルムおよび四塩化
炭素、C1〜C20またはそれ以上の飽和脂肪族アルコー
ル、例えばメタノール、エタノール、プロパノールおよ
びイソプロパノール、C1〜C20またはそれ以上の飽和脂
肪族カルボニル化合物、例えば一酸化炭素、アセトンお
よびメチルエチルケトンならびに芳香族化合物、例えば
トルエン、ジエチルベンゼンおよびキシレンのような化
合物等が挙げられる。
本発明のエポキシ基含有オレフィン共重合体の他の例
は従来のエチレン単独重合体または共重合体に前記の不
飽和グリシジル基含有単量体を付加反応させた変性体で
ある。
上記オレフィン系重合体には、低密度、中密度、高密
度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポ
リ−4−メチルペンテン−1などの単独重合体、エチレ
ン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合
体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/4−メ
チルペンテン−1共重合体、エチレン/オクテン−1共
重合体などのエチレンを主成分とする他のα−オレフィ
ンとの共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合
体などのプロピレンを主成分とする他のα−オレフィン
との共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重
合体、エチレンとアクリル酸もしくはメタクリル酸のメ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどの
エステルとの共重合体、エチレン/マレイン酸共重合
体、エチレン/プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プ
ロピレン/ジエン共重合体ゴム、液状ポリブタジエン、
エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体およびそれ
らの混合物、あるいはこれらと異種の合成樹脂またはゴ
ムとの混合物も本発明に包含される。
本発明において使用される多相構造熱可塑性樹脂中の
ビニル系(共)重合体とは、具体的には、スチレン、核
置換スチレン例えばメチルスチレン、ジメチルスチレ
ン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルス
チレン、α−置換スチレン例えばα−メチルスチレン、
α−エチルスチレンなどのビニル芳香族単量体;アクリ
ル酸もしくはメタクリル酸の炭素数1〜7のアルキルエ
ステル、例えば(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチルエステルなどの(メ
タ)アクリル酸エステル単量体;2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポ
リエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピ
レングリコールモノメタクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシアアルキルエステル単量体;(メタ)ア
クリロニトリル単量体等のシアン化ビニル単量体;酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル単量
体;アクリルアミド、メタアクリルアミド等の(メタ)
アクリルアミド単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン
酸等の不飽和カルボン酸およびそのアミド、イミド、エ
ステル、無水物などの誘導体などのビニル単量体の一種
または二種以上を重合して得られた(共)重合体であ
る。中でも特にビニル芳香族単量体、シアン化ビニル単
量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体およびビニル
エステル単量体が好ましく使用される。
特に、シアン化ビニル単量体0〜50重量%およびビニ
ル芳香族単量体50〜100重量%からなるビニル系共重合
体、または(メタ)アクリル酸エステル単量体を50重量
%以上含むビニル系(共)重合体は、ポリカーボネート
樹脂への分散性が良好なため最も好ましい態様となる。
本発明で言う多相構造熱可塑性樹脂とは、エポキシ基
含有オレフィン共重合体またはビニル系(共)重合体マ
トリックス中に、それとは異なる成分であるビニル
(共)重合体またはエポキシ基含有オレフィン共重合体
が球状に均一に分散しているものをいう。
分散している重合体の粒子径は0.001〜10μm、好ま
しくは0.01〜5μmである。分散樹脂粒子径が0.001μ
m未満の場合あるいは10μmを超える場合、ポリカーボ
ネート樹脂にブレンドしたときの分散性が低く、例えば
外観の悪化あるいは機械的性質が低下するため好ましく
ない。
本発明の多相構造熱可塑性樹脂中のビニル(共)重合
体の数平均重合度は5〜10,000、好ましくは10〜5,000
である。
数平均重合度が5未満であると、本発明の熱可塑性樹
脂組成物の耐衝撃性を向上させることは可能であるが、
ポリカーボネート樹脂にブレンドしたときの分散性が低
く機械的物性が低下するため好ましくない。また数平均
重合度が10,000を超えると、溶融粘度が高く、成形性が
低下したり、表面光沢が低下するために好ましくない。
本発明の多相構造熱可塑性樹脂は、エオキシ基含有オ
レフィン共重合体が5〜95重量%、好ましくは20〜90重
量%からなるものである。したがってビニル系(共)重
合体は95〜5重量%、好ましくは80〜10重量%である。
エポキシ基含有オレフィン共重合体が5重量%未満で
あると、耐衝撃性改良効果が不充分であり好ましくな
い。また、エポキシ基含有オレフィン共重合体が95重量
%を超えると、耐衝撃性改良効果は充分に得られるが、
機械的性質や耐熱性が低下するために好ましくない。
本発明の多相構造熱可塑性樹脂を製造する際には、一
般に良く知られている連鎖移動法、電離放射線照射法な
どいずれのグラフト化法によっても製造可能であるが、
もっとも好ましいのは下記に示す二方法のいずれかによ
るものである。
以下、本発明に用いる多相構造熱可塑性樹脂の製造法
を具体的に詳述する。
すなわち、第一の方法はエポキシ基含有オレフィン共
重合体100重量%を水を懸濁させ、別に少なくとも一種
のビニル単量体5〜400重量部に、下記一般式(a)ま
たは(b)で表わされるラジカル(共)重合性有機過酸
化物の一種または二種以上の混合物を該ビニル単量体10
0重量部に対して0.1〜10重量部と、10時間の半減期を得
るための分解温度が40〜90℃であるラジカル重合開始剤
をビニル単量体とラジカル(共)重合性有機過酸化物と
の合計100重量部に対して0.01〜5重量部とを溶解させ
た溶液を添加し、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に
起こらない条件で加熱し、ビニル単量体、ラジカル
(共)重合性有機過酸化物およびラジカル重合開始剤を
エポキシ基含有オレフィン共重合体に含浸させ、その含
浸率が初めの10重量%以上に達したとき、この水性懸濁
液の温度を上昇させ、ビニル単量体とラジカル(共)重
合性有機過酸化物とをエポキシ基含有オレフィン共重合
体中で共重合させて、グラフト化前駆体(A)を得る。
このグラフト化前駆体(A)も多相構造熱可塑性樹脂
である。
したがってこのグラフト化前駆体(A)を直接ポリカ
ーボネート樹脂(I)と共に150〜350℃の範囲で溶融混
合してもよい。
またグラフト化前駆体(A)を100〜300℃の溶融下、
混練することにより、本発明の多相構造熱可塑性樹脂を
得ることもできる。
このときグラフト化前駆体(A)に、別にエポキシ基
含有オレフィン共重合体(B)またはビニル系(共)重
合体(C)を混合し、溶融下に混練しても多相構造熱可
塑性樹脂を得ることができる。このとき、エポキシ基含
有オレフィン共重合体(B)とビニル系(共)重合体
(C)とを共に用いても良い。最も好ましいのはグラフ
ト化前駆体(A)を混練することにより得られた多相構
造熱可塑性樹脂である。
上記一般式(a)で表わされるラジカル(共)重合性
有機過酸化物とは、式 [式中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル
基、R2は水素原子またはメチル基、R3およびR4はそれぞ
れ炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1〜12のアル
キル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基または炭
素数3〜12のシクロアルキル基を示す。mは1または2
である。]にて表わされる化合物である。
上記一般式(b)で表わされるラジカル(共)重合性
有機過酸化物とは、式 [式中、R6は水素原子または炭素数1〜4のアルキル
基、R7は水素原子またはメチル基、R8およびR9はそれぞ
れ炭素数1〜4のアルキル基、R10は炭素数1〜12のア
ルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基または
炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。nは0、1ま
たは2である。]にて表わされる化合物である。
一般式(a)で表わされるラジカル(共)重合性有機
過酸化物として、具体的にはt−ブチルペルオキシアク
リロイロキシエチルカーボネート、t−アミルペルオキ
シアクリロイロキシエチルカーボネート、t−ヘキシル
ペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、1,1,
3,3−テトラメチルブチルペルオキシアクリロイロキシ
エチルカーボネート、クミルペルオキシアクリロイロキ
シエチルカーボネート、p−イソプロピルクミルペルオ
キシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペ
ルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t−
アミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネー
ト、t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシエチル
カーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキ
シメタクリロイロキシエチルカーボネート、クミルペル
オキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、p−イ
ソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロキシエチル
カーボネート;t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシ
エチルカーボネート、t−アミルペルオキシアクリロイ
ロキシエトキシエチルカーボネート、t−ヘキシルペル
オキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート、
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシアクリロイロ
キシエトキシエチルカーボネート、クミルペルオキシア
クリロイロキシエトキシエチルカーボネート、p−イソ
プロピルクミルペルオキシアクリロイロキシエトキシエ
チルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタクリロイロ
キシエトキシエチルカーボネート、t−アミルペルオキ
シメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート、t
−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチ
ルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオ
キシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート、
クミルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカ
ーボネート、p−イソプロピルクミルペルオキシメタク
リロイロキシエトキシエチルカーボネート;t−ブチルペ
ルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート、
t−アミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカ
ーボネート、t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシ
イソプロピルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブ
チルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネ
ート、クミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピル
カーボネート、p−イソプロピルクミルペルオキシアク
リロイロキシイソプロピルカーボネート;t−ブチルペル
オキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート、
t−アミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピル
カーボネート、t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロ
キシイソプロピルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカ
ーボネート、クミルペルオキシメタクリロイロキシイソ
プロピルカーボネート、p−イソプロピルクミルペルオ
キシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート等を
例示することができる。
さらに、一般式(b)で表わされる化合物としては、
t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、t−アミル
ペルオキシアリルカーボネート、t−ヘキシルペルオキ
シアリルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチル
ペルオキシアリルカーボネート、p−メンタンペルオキ
シアリルカーボネート、クミルペルオキシアリルカーボ
ネート;t−ブチルペルオキシメタリルカーボネート、t
−アミルペルオキシメタリルカーボネート、t−ヘキシ
ルペルオキシメタリルカーボネート、1,1,3,3−テトラ
メチルブチルペルオキシメタリルカーボネート、p−メ
ンタンペルオキシメタリルカーボネート、クミルペルオ
キシメタリルカーボネート;t−ブチルペルオキシアリロ
キシエチルカーボネート、t−アミルペルオキシアリロ
キシエチルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシアリ
ロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタリ
ロキシエチルカーボネート、t−アミルペルオキシメタ
リロキシエチルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシ
メタリロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシ
アリロキシイソプロピルカーボネート、t−アミルペル
オキシアリロキシイソプロピルカーボネート、t−ヘキ
シルペルオキシアリロキシイソプロピルカーボネート;t
−ブチルペルオキシメタリロキシイソプロピルカーボネ
ート、t−アミルペルオキシメタリロキシイソプロピル
カーボネート、t−ヘキシルペルオキシメタリロキシイ
ソプロピルカーボネート等を例示することができる。
中でも好ましいものは、t−ブチルペルオキシアクリ
ロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシメ
タクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオ
キシアリルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタリル
カーボネートである。
また、第二の方法はエポキシ基含有オレフィン共重合
体100重量%を水を懸濁させ、別に少なくとも一種のビ
ニル単量体5〜400重量部に、10時間の半減期を得るた
めの分解温度が約40〜130℃であるラジカル(共)重合
開始剤をビニル単量体100重量部に対して0.01〜5重量
部を溶解させた溶液を添加し、ラジカル重合開始剤の分
解が実質的に起こらない条件で加熱し、ビニル単量体お
よびラジカル重合開始剤をエポキシ基含有オレフィン共
重合体に含浸させ、その含浸率が初めの10重量%以上に
達したとき、この水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル
単量体をエポキシ基含有オレフィン共重合体中で共重合
させて、多相構造熱可塑性樹脂(D)を得る。
この多相構造熱可塑性樹脂(D)を直接ポリカーボネ
ート樹脂(I)と共に150〜350℃の範囲で溶融混合して
も、または多相構造熱可塑性樹脂(D)を100〜300℃の
溶融下、混練してから、ポリカーボネート樹脂(I)と
共に150〜350℃の範囲で溶融混合してもよい。
このとき多相構造熱可塑性樹脂(D)に、別にエポキ
シ基含有オレフィン共重合体(B)またはビニル系
(共)重合体(C)を混合し、100〜300℃の溶融下に混
練しても多相構造熱可塑性樹脂を得ることができる。こ
のとき、エポキシ基含有オレフィン共重合体(B)とビ
ニル系(共)重合体(C)とを共に用いても良い。
これらの二つの製造方法のいずれを用いても本発明の
目的を達成することができ、好ましい態様となるが、中
でも第一の方法によるものが特に好ましい。何となれ
ば、多相構造熱可塑性樹脂のグラフト効率が高く、熱に
よるに二次凝集が起こらないため、性能の発現が効果的
で、得られた熱可塑性樹脂組成物の物理的特性、機械的
特性、成形性等において優れるからである。
本発明において、ポリカーボネート樹脂(I)100重
量部に対して多相構造熱可塑性樹脂は1〜100重量部、
好ましくは4〜70重量部である。多相構造熱可塑性樹脂
が1重量部未満であると、本発明の耐衝撃性改良効果が
小さく好ましくない。また、多相構造熱可塑性樹脂が10
0重量部を超えると、機械的強度および耐熱性の低下を
招き好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹
脂組成物を150〜350℃、好ましくは220〜280℃の溶融
下、混合することによって製造される。150℃未満の場
合、溶融が不充分であったり、また溶融粘度が高く、混
合が不充分となり、成形物に相分離や層状剥離が現れる
ため好ましくない。また350℃を超えると、混合される
樹脂の分解が起こり、成形物が着色したり、機械的物性
が低下したりするので好ましくない。
溶融混合する方法としては、バンバリーミキサー、加
圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロー
ル等の通常熱可塑性樹脂の混練に用いられる混練機によ
り行うことができ、特に生産性、得られた樹脂の機械的
物性の点から二軸押出機が好ましい。
本発明では、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲に
おいて、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の
無機難燃剤、ハロゲン系、リン系等の有機難燃剤、硫酸
カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、珪藻土、タル
ク、アルミナ、珪砂、ガラス粉、酸化鉄、金属粉、グラ
ファィト、炭化珪素、窒化珪素、シリカ、窒化ホウ素、
窒化アルミニウム、カーボンブラック、二硫化モリブデ
ンなどの粉粒状充填剤、雲母、ガラス板、セリサイト、
パイロフィライト、アルミフレークなどの金属粉、黒鉛
などの平板状もしくは鱗片状充填剤、シラスバルーン、
金属バルーン、ガラスバルーン、軽石などの中空状充填
剤、ガラス繊維、炭素繊維、グラファィト繊維、シリコ
ーンカーバイト繊維、アスベスト、ウォラストナイトな
どの鉱物繊維等の繊維状充填剤、チタン酸カリウムウィ
スカー、硫酸カルシウムウィスカー、カーボンウィスカ
ー等の単結晶繊維状充填剤、木粉等の有機充填剤、酸化
防止剤、滑剤、顔料、紫外線防止剤、分散剤、カップリ
ング剤、発泡剤、架橋剤などの添加剤およびポリオレフ
ィン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリレー
ト、ABS樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹
脂等のエンジニアリングプラスチックなどを添加しても
差し支えない。
〔実施例〕
次に実施例により本発明を更に詳しく説明する。
なお、本実施例、比較例中にて測定した各種物性の測
定方法を以下に示す。
[アイゾット衝撃強度] JIS K−7110に準拠して実施した。なお、アイゾット
試験片の厚みが、12.7mmと3.2mmのものについて実施し
た。
[曲げ弾性率] JIS K−7203に準拠して実施した。試験速度2mm/min [射出成形品の外観] 射出成形品の外観については、目視によりその層状剥
離の有無を判定した。
参考例1(多相構造熱可塑性樹脂Aの製造) 容積5lのステンレス製オートクレーブに、純水2500g
を入れ、更に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを
溶解させた。このなかにエポキシ基含有オレフィン共重
合体としてエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体
(商品名「レクスパールRA−3150」、(日本石油化学
(株)製、メタクリル酸グリシジル含有量15重量%)70
0gを入れ、攪拌・分散した。別にラジカル重合開始剤と
してのベンゾイルペルオキシド(商品名「ナイパー
B」、日本油脂(株)製)1.5g、ラジカル(共)重合性
有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイ
ロキシエチルカーボネート6gをビニル単量体としてのス
チレン210gおよびアクリロニトリル単量体90gに溶解さ
せ、この溶液を前記オートクレーブ中に投入、攪拌し
た。
次いでオートクレーブを60〜65℃に昇温し、2時間攪
拌することによりラジカル重合開始剤およびラジカル
(共)重合性有機過酸化物を含むビニル単量体をエポキ
シ基含有オレフィン共重合体中に含浸させた。次いで、
含浸されたビニル単量体、ラジカル(共)重合性有機過
酸化物およびラジカル重合開始剤の合計量が初めの10重
量%以上になっていることを確認した後、温度80〜85℃
に上げ、その温度で7時間維持して重合を完結させ、水
洗および乾燥してグラフト化前駆体を得た。
このグラフト化前駆体中のスチレン−アクリロニトリ
ル共重合体を酢酸エチルで抽出を行い、スチレン−アク
リロニトリル共重合体溶液を得て、これをメタノール中
に投入して白色粉末状重合体を得た。
さらに、このグラフト化前駆体をソックスレー抽出器
でキシレンで抽出したところキシレン不溶分は存在しな
かった。
次いで、このグラフト化前駆体をラボプラストミル一
軸押出機「(株)東洋精機製作所製」で240℃にて押し
出し、グラフト化反応させることにより多相構造熱可塑
性樹脂Aを得た。
該多相構造熱可塑性樹脂Aを走査型電子顕微鏡(「JE
OL JSM T300」、日本電子(株)製)により観察したと
ころ、粒子径0.3〜0.4μmの真球状樹脂が均一に分散し
た多相構造熱可塑性樹脂であった。
なおこのとき、スチレン−アクリロニトリル共重合体
のグラフト効率は77.1重量%であった。
参考例2(多相構造熱可塑性樹脂Bの製造) 参考例1において、ビニル単量体としてスチレン210g
およびアクリロニトリル単量体90gの代わりにスチレン
単量体300gに代えた以外は、参考例1に準じて多相構造
熱可塑性樹脂Bを得た。
このとき、この樹脂組成物中に分散している樹脂の平
均粒径は0.3〜0.4μmであった。
参考例3(多相構造熱可塑性樹脂Cの製造) 参考例1において、ビニル単量体としてスチレン210g
およびアクリロニトリル単量体90gの代わりにメタクリ
ル酸メチル単量体300gに代え、分子量調整剤としてn−
ドデシルメルカプタン0.6gを加えた以外は、参考例1に
準じて多相構造熱可塑性樹脂Cを得た。
このとき、この樹脂組成物中に分散している樹脂の平
均粒径は0.1〜0.2μmであった。
参考例4(多相構造熱可塑性樹脂Dの製造) 参考例1において、エポキシ基含有オレフィン共重合
体としてエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体
(商品名「レクスパールRA−3110」、日本石油化学
(株)製、メタクリル酸グリシジル含有量10重量%)に
代えた以外は、参考例1に準じて多相構造熱可塑性樹脂
Dを得た。
このとき、この樹脂組成物中に分散している樹脂の平
均粒径は0.3〜0.4μmであった。
参考例5(多相構造熱可塑性樹脂Eの製造) 参考例1において得たグラフト化前駆体67重量%と、
エポキシ基含有オレフィン共重合体としてエチレン/メ
タクリル酸グリシジル共重合体(商品名「レクスパール
RA−3150」、日本石油化学(株)製、メタクリル酸グリ
シジル含有量15重量%)33重量%とをラボプラストミル
一軸押出機「(株)東洋精機製作所製」で240℃にて押
し出し、多相構造熱可塑性樹脂Eを得た。
このとき、この樹脂組成物中に分散している樹脂の平
均粒径は0.4〜0.5μmであった。
参考例6(多相構造熱可塑性樹脂Fの製造) 容積5lのステンレス製オートクレーブに、純水2500g
を入れ、更に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを
溶解させた。このなかにラジカル重合開始剤としてのベ
ンゾイルペルオキシド(商品名「ナイパーB」、日本油
脂(株)製)5gをビニル単量体としてのスチレン700gお
よびアクリロニトリル単量体300gに溶解させ、この溶液
を前記オートクレーブ中に投入、攪拌した。
次いでオートクレーブを80〜85℃に昇温し、その温度
で7時間維持して重合を完結させ、水洗および乾燥して
ビニル系重合体としてのスチレン−アクリロニトリル共
重合体を得た。
参考例1において得たグラフト化前駆体71重量%と、
ビニル系重合体として上記の方法にて得られたスチレン
−アクリロニトリル共重合体29重量%とをラボプラスト
ミル一軸押出機「(株)東洋精機製作所製」で240℃に
て押し出し、多相構造熱可塑性樹脂Fを得た。
このとき、この樹脂組成物中に分散している樹脂の平
均粒径は0.4〜0.5μmであった。
参考例7(多相構造熱可塑性樹脂G、Hの製造) 参考例1において、ラジカル(共)重合性有機過酸化
物としてのt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエ
チルカーボネートを用いない以外は、参考例1に準じて
多相構造熱可塑性樹脂Gを得た。
このとき、この樹脂組成物中に分散している樹脂の平
均粒径は0.4〜0.5μmであった。
この多相構造熱可塑性樹脂Gをラボプラストミル一軸
押出機「(株)東洋精機製作所製」で240℃にて押し出
し、多相構造熱可塑性樹脂Hを得た。
参考例8(多相構造熱可塑性樹脂Iの製造) 参考例7において得た多相構造熱可塑性樹脂G67重量
%と、エポキシ機含有オレフィン共重合体としてエチレ
ン/メタクリル酸グリシジル共重合体(商品名「レクス
パールRA−3150」、日本石油化学(株)製、メタクリル
酸グリシジル含有量15重量%)33重量%とをラボプラス
トミル一軸押出機「(株)東洋精機製作所製」で240℃
にて押し出し、多相構造熱可塑性樹脂Iを得た。
このとき、この樹脂組成物中に分散している樹脂の平
均粒径は0.5〜0.6μmであった。
参考例9(多相構造熱可塑性樹脂Jの製造) 参考例7において得た多相構造熱可塑性樹脂G71重量
%と、ビニル系重合体として参考例6にて得られたスチ
レン−アクリロニトリル共重合体29重量%とをラボプラ
ストミル一軸押出機「(株)東洋精機製作所製」で240
℃にて押し出し、多相構造熱可塑性樹脂Jを得た。
このとき、この樹脂組成物中に分散している樹脂の平
均粒径は0.5〜0.6μmであった。
実施例1〜14 表1に示す割合で、ポリカーボネート樹脂(商品名
「パンライトL−1250」帝人化成(株)製)に対して、
参考例1〜9で得た多相構造熱可塑性樹脂A〜J、およ
び参考例1にて得たグラフト化前駆体とを所定量ドライ
ブレンドし、270℃に設定した同方向二軸押出機(池貝
鉄工所(株)製、PCM30型)により混合した。次いで275
℃に設定したインラインスクリュー式射出成形機(田端
機械工業(株)製、TS−35−FV25型)でそれぞれの試験
片を作成し、アイゾット衝撃強度、曲げ弾性率、成形品
の外観をそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
比較例1〜8 実施例1、4〜7、11において、多相構造熱可塑性樹
脂の添加量を変えた以外は実施例1、4〜7、11に準じ
て試験片を作成し、検討した。結果を表2に示す。
比較例9〜11 実施例1において、多相構造熱可塑性樹脂の代わり
に、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体(商品
名「レクスパールRA−3150」、日本石油化学(株)製、
メタクリル酸グリシジル含有量15重量%)を用いる以外
は実施例1に準じて試験片を作成し、検討した。
結果を表3に示す。
多相構造熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂100重
量部に対し100重量部を超えると、その成形物はポリカ
ーボネート樹脂の機械的、物理的性質を全く失ってい
た。さらに多相構造熱可塑性樹脂の添加量がポリカーボ
ネート樹脂100重量部に対し1重量部未満であると、そ
の添加効果がないことが判った。
また本発明の多相構造熱可塑性樹脂はポリカーボネー
ト樹脂への分散性が極めて良好で成形品の外観も層状剥
離現象は見られず良好であった。
[発明の効果] 本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、機械的性
質、熱的性質に優れ、特に肉厚品においても耐衝撃性の
高い樹脂組成物であり、また溶融下に混合するだけで容
易に製造しうる。さらに耐衝撃性の度合いは、混合され
る多相構造熱可塑性樹脂の配合割合によって決定される
ため、容易に多品種少量生産が可能である。
以上の点より、本発明のポリカーボネート樹脂組成物
は、例えば、自動車部品、家電部品、精密機械部品など
の広い分野で使用され得るものである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の(I)、(II)を含むポリカーボネ
    ート樹脂組成物。 (I)ポリカーボネート樹脂 100重量部 (II)エポキシ基含有オレフィン共重合体5〜95重量%
    と、少なくとも一種のビニル単量体からなるビニル系
    (共)重合体95〜5重量%とからなり、分散樹脂の粒子
    径が0.001〜10μmである多相構造熱可塑性樹脂1〜100
    重量部。
  2. 【請求項2】エポキシ基含有オレフィン共重合体の水性
    懸濁液に、少なくとも一種のビニル単量体、ラジカル
    (共)重合性有機過酸化物の少なくとも一種およびラジ
    カル重合開始剤を加え、ラジカル重合開始剤の分解が実
    質的に起こらない条件下で加熱し、該ビニル単量体、ラ
    ジカル(共)重合性有機過酸化物およびラジカル重合開
    始剤をエポキシ基含有オレフィン共重合体に含浸せし
    め、その含浸率が初めの10重量%以上に達した時、この
    水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル単量体とラジカル
    (共)重合性有機過酸化物とを、エポキシ基含有オレフ
    ィン共重合体中で共重合せしめたグラフト化前駆体
    (A)、または(A)と、エポキシ基含有オレフィン共
    重合体(B)0〜99重量%または少なくとも一種のビニ
    ル単量体を重合して得られるビニル系(共)重合体
    (C)0〜99重量%を予め100〜300℃の範囲で溶融混合
    して得た多相構造熱可塑性樹脂を主成分としてなること
    を特徴とするポリカーボネート樹脂用耐衝撃性改良剤。
  3. 【請求項3】エポキシ基含有オレフィン共重合体の水性
    懸濁液に、少なくとも一種のビニル単量体およびラジカ
    ル重合開始剤を加え、ラジカル重合開始剤の分解が実質
    的に起こらない条件下で加熱し、該ビニル単量体および
    ラジカル重合開始剤をエポキシ基含有オレフィン共重合
    体に含浸せしめ、その含浸率が初めの10重量%以上に達
    した時、この水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル単量
    体をエポキシ基含有オレフィン共重合体中で共重合せし
    めて得たグラフト化前駆体(D)、または(D)と、エ
    ポキシ基含有オレフィン共重合体(B)0〜99重量%ま
    たは少なくとも一種のビニル単量体を重合して得られる
    ビニル系(共)重合体(C)0〜99重量%を予め100〜3
    00℃の範囲で溶融混合して得た多相構造熱可塑性樹脂を
    主成分としてなることを特徴とするポリカーボネート樹
    脂用耐衝撃性改良剤。
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