JP2006160985A - 樹脂フィルム用改質剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂フィルム原料に配合することで優れたアンチブロッキング効果等の改質効果を発揮し、かつ、高透明性で欠陥のない樹脂フィルムを製造することができる樹脂フィルム用改質剤を提供する。
【解決手段】水系含浸重合法により製造された海島構造体であって、海相がオレフィン系重合体で構成され、島相がアクリル系重合体で構成される海島構造体よりなる樹脂フィルム用改質剤。この改質剤はアンチブロッキング付与剤等として有用である。
【選択図】図1
【解決手段】水系含浸重合法により製造された海島構造体であって、海相がオレフィン系重合体で構成され、島相がアクリル系重合体で構成される海島構造体よりなる樹脂フィルム用改質剤。この改質剤はアンチブロッキング付与剤等として有用である。
【選択図】図1
Description
本発明は樹脂フィルム用改質剤に係り、特にアンチブロッキング付与剤として好適な樹脂フィルム用改質剤に関する。
樹脂フィルムの生産工程の最終段階では、樹脂フィルムはロール巻きされて出荷されるが、この際、樹脂フィルムが巻回積層された状態で圧力がかかることにより樹脂フィルム同士が密着することを防止するためにアンチブロッキング付与剤が用いられている。アンチブロッキング付与剤はまた、成膜時のフィルムの送りを良くする効果、更にはインフレーション成形時には口開きを良くする効果も発揮するため、このような用途にも用いられる。
アンチブロッキング付与剤は、これを樹脂フィルムの成形原料中に配合することにより、樹脂フィルムの表面に凹凸を形成するための微粒子であるが、このアンチブロッキング付与剤には、アンチブロッキング効果のみならず、樹脂フィルムの透明性等を低下させて商品価値を低下させることがないこと、フィッシュアイと称される局部的な凸部や空孔(ボイド)を形成しないこと、などが要求される。
従来、アンチブロッキング付与剤としては、鉱物の微粒子よりなる無機系アンチブロッキング付与剤と、架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)やメチルメタクリレート−スチレン共重合体の微粒子よりなる有機系アンチブロッキング付与剤とがある。これらのアンチブロッキング付与剤は、微粒子であり、樹脂フィルム原料であるポリエチレンやポリプロピレンのペレットと均一に分散混合することができないことから、予め樹脂フィルム原料に高濃度に練り込んだマスターバッチを作製しておく必要があり、このマスターバッチの作製において均一分散性を高める工夫も提案されている(特開平11−106520号公報)。
なお、マスターバッチとしては、できるだけアンチブロッキング付与剤を高濃度に練り込んだものを作製し、樹脂フィルム製造時にはこの高濃度マスターバッチの少量を樹脂フィルム原料ペレットに添加するのが作業効率上好ましい。
特開平11−106520号公報
従来のアンチブロッキング付与剤のうち、無機系のものは安価ではあるが、それ自体不透明であるので、樹脂フィルムの透明性を低下させるという欠点がある。また、鉱物系のものでは、採取地由来の臭気が樹脂フィルムに付与されるという欠点もある。
これに対して、架橋ポリメチルメタクリレート等の有機系のものは、透明で臭気の問題もないものの、粒度分布の調整が難しく、また、架橋体であることから、粒径が大きくなることにより、前述のフィッシュアイの問題がある。
また、無機系のアンチブロッキング付与剤であっても有機系のアンチブロッキング付与剤であっても、従来の微粒子状のアンチブロッキング付与剤では、アンチブロッキング付与剤を高濃度にかつ均一に分散させたマスターバッチを製造することが困難であるという欠点がある。
即ち、マスターバッチの製造に当たり、微粒子を樹脂フィルム原料のペレットと混練する際に、微粒子が凝集し易く、均一分散が困難である。この微粒子の凝集は高濃度マスターバッチを製造しようとする場合にはより一層起こり易くなる。微粒子が凝集したマスターバッチでは、これを樹脂フィルム原料に配合して成膜する際、フィッシュアイ等のフィルム欠陥の原因となる。従来、高濃度マスターバッチを製造する場合、樹脂フィルム原料ペレットだけでなく、樹脂フィルム原料パウダーも少量併用して微粒子の均一分散性を高める工夫もなされてはいるが、それでも微粒子状のアンチブロッキング付与剤では、通常、数%〜10数%程度、多くても30%程度の濃度のものが限界であり、それ以上の高濃度マスターバッチを製造することは困難である。
また、従来の有機系のアンチブロッキング付与剤は、真球状の微粒子よりなるため、樹脂フィルムの成膜時の摩擦でフィルム面から脱落し易く、粒子の脱落でフィルム表面の傷付きや白濁、巻き取りロールの汚染、成形機の汚染といった問題もあった。
また、従来の微粒子のアンチブロッキング付与剤では、樹脂フィルム表面に形成される凹凸が大きすぎることにより樹脂フィルム同士のこすれ合いにより樹脂フィルムが傷付き易いという問題もあった。
更に、従来のアンチブロッキング付与剤では次のような問題もあった。即ち、樹脂フィルムをラミネート成形する際、実用レベルの接着強度を得るために、通常は予めコロナ処理を施す必要があるが、コロナ処理を行ってからラミネート成形に供するまでの保管期間(通常は数日〜数年)に、樹脂フィルムに添加されたアンチブロッキング付与剤が樹脂フィルム表面にブリードアウトし、コロナ処理効果を低下させる原因となる。
本発明は、上述従来の微粒子状のアンチブロッキング付与剤の問題を解決し、樹脂フィルム原料に配合することで優れたアンチブロッキング効果等の改質効果を発揮し、かつ、高透明性で欠陥のない樹脂フィルムを製造することができる樹脂フィルム用改質剤を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の樹脂フィルム用改質剤は、水系含浸重合法により製造された海島構造体であって、海相がオレフィン系重合体で構成され、島相がアクリル系重合体で構成される海島構造体よりなることを特徴とする。
請求項2の樹脂フィルム用改質剤は、請求項1において、該島相がアクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体であることを特徴とする。
請求項3の樹脂フィルム用改質剤は、請求項2において、該ビニル系単量体がスチレン系単量体であることを特徴とする。
請求項4の樹脂フィルム用改質剤は、請求項1ないし3のいずれか1項において、該島相の表層部に、前記オレフィン系重合体にアクリル系単重体がグラフト重合してなるグラフト変性オレフィン系重合体を有することを特徴とする。
請求項5の樹脂フィルム用改質剤は、請求項1ないし4のいずれか1項において、該海島構造体が、オレフィン系重合体及びアクリル系単量体を含む水性懸濁液中にて、オレフィン系重合体にアクリル系単量体を含浸させた後、該水性懸濁液中にラジカル開始剤を添加して、該ラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させ、次いで該ラジカル開始剤の10時間半減期温度以上に昇温してグラフト反応させることにより得られたものであることを特徴とする。
請求項6の樹脂フィルム用改質剤は、請求項1ないし5のいずれかにおいて、アンチブロッキング付与剤であることを特徴とする。
請求項7の樹脂フィルム用改質剤は、請求項6において、前記島相のL/Dが1〜1000であることを特徴とする。
本発明の樹脂フィルム用改質剤は、水系含浸重合法により製造された、オレフィン系重合体の海相内にアクリル系重合体で構成される島相が均一に分散した透明な海島構造体よりなり、言わば、アンチブロッキング成分として機能するアクリル系重合体の島相がオレフィン系重合体の海相内に均一分散したマスターバッチである。
しかも、水系含浸重合法によれば、高濃度に島相を含む海島構造体を容易に製造することができ、また、製造条件により、島相の含有量や島相の形状を任意に調整することもできるため、これらを要求性能に応じて調整することにより、樹脂フィルムに対して様々な機能を付与し、様々な用途に用いることができる樹脂フィルム用改質剤が提供される。
この海島構造体は、海相内に島相が均一に分散しており、架橋構造をとることもなく、樹脂フィルム原料に配合した際、島相部分は速やかに分散し、凝集塊となることなく、従って、フィッシュアイ等の欠陥を発生することはない。
しかも、本発明の改質剤は、島相が、後述の如く、その表面において、海相に対してグラフトしているため、樹脂フィルム成膜時の脱落や樹脂フィルム保管時のブリードアウトの問題がない。特に、島相の形状を楕円球状とすることにより、脱落やブリードアウトをより一層効果的に防止することができる。このため、樹脂フィルム成膜時の粒子の脱落によるフィルム表面の傷つき、白濁、ロール汚染、成形機汚染等の問題や、ブリードアウトによるコロナ処理効果低減の問題を解決することができる。
なお、このような島相の脱落の回避により、得られた樹脂フィルムを他のフィルムとラミネート成形する際のアンカーコート剤の塗り残しによる接着不良も解決することができる。即ち、樹脂フィルム成膜時に微粒子が脱落すると、その部分が空孔となり、アンカーコート剤の塗り残し部となり易く、この部分がラミネート時の接着不良箇所となって部分的に浮き上がり、ラミネートフィルムの外観を損なう原因となるが、本発明によれば、このような問題も解決することができる。
また、特に、楕円球状の島相であれば、樹脂フィルム表面に適度な凹凸を形成して樹脂フィルム同士のこすれ合いによる樹脂フィルムの傷付きを防止することもできる。
本発明の樹脂フィルム用改質剤は、それ自体マスターバッチ様のものではあるが、この海島構造体を用いて、更に樹脂フィルム原料のペレットと混練して低濃度マスターバッチを製造することもでき、この場合においても本発明の改質剤は、均一分散性の高い低濃度マスターバッチを製造することができる。
以下に本発明の樹脂フィルム用改質剤の実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明の樹脂フィルム用改質剤を構成する海島構造体の製造方法について説明する。ただし、以下に説明する方法は、本発明の樹脂フィルム用改質剤の製造方法の一例であって、本発明の樹脂フィルム用改質剤を製造する方法は、水系含浸重合法により、海相がオレフィン系重合体よりなり、島相がアクリル系重合体よりなる海島構造体が製造できる方法であれば良く、何ら以下の方法に限定されない。
本発明の樹脂フィルム用改質剤を製造するには、オレフィン系重合体とアクリル系単量体を含む水性懸濁液、好ましくはオレフィン系重合体、アクリル系単量体及びスチレン系単量体等のビニル系単量体を含む水性懸濁液中で、オレフィン系重合体にアクリル系単量体、或いはアクリル系単量体とビニル系単量体を含浸させた後、該水性懸濁液中にラジカル開始剤を添加して、該ラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させ、次いで該ラジカル開始剤の10時間半減期温度以上に昇温してグラフト反応させる。
ここで、オレフィン系重合体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度のα−オレフィンの1種よりなる単独重合体、これらのα−オレフィンの2種以上よりなる共重合体、或いは、これらのα−オレフィンと酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸〔なお、ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は/及び「メタクリル」を意味するものとする。〕、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルトリメトキシシラン等との共重合体等が挙げられる。具体的には、分岐状又は直鎖状のエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体等のエチレン系樹脂、これらのエチレン系樹脂のエチレン成分をプロピレンに代えたプロピレン系樹脂、及び、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のエチレン系エラストマー等が挙げられる。これらのオレフィン系重合体は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらのオレフィン系重合体の中で、本発明においては、分岐状低密度エチレン単独重合体樹脂、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、プロピレン単独重合体樹脂、前述のプロピレン−α−オレフィン共重合体等が特に好ましい。
なお、用いるオレフィン系重合体の分子量(Mw)は通常1万〜100万、好ましくは1万〜30万、より好ましくは3万〜15万程度である。この分子量が小さすぎると、有機相へのなじみが良くなるため含浸工程時に単量体成分に溶解してしまったり(ペレット形状が保持されない)、フィルム成形の際、マスターバッチ作成時に成膜に使用される樹脂との溶融粘度があわずに分散不良を起こしたり、ドライブレンドで成形を行う際にも流動性ムラ(フィルム外観にスジができる)を起こしたりする。この分子量が高すぎると、得られる改質剤の溶融粘度が高くなりすぎてマスターバッチ作成時に成膜に使用される樹脂との溶融粘度があわずに分散不良を起こしたり、ドライブレンドで成形を行う際にも流動性ムラ(フィルム外観にスジができる)を起こしたりする。
また、このオレフィン系重合体の粒径は、小さいほど単量体成分が含浸し易いため、水系含浸重合法に適するが、過度に細かいと、水系に均一に分散させることができず、また、得られた改質剤を使用する際の樹脂フィルム原料のペレットとの均一混合性も悪くなる。このようなことから、原料オレフィン系重合体の粒径は1〜8mmの範囲、平均粒径で1〜6mm、特に1〜4mm程度であることが好ましい。
アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、これらの中で、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)が特に好ましい。
本発明の改質剤の製造に用いられる単量体としては、上記アクリル系単量体以外の他の単量体を併用するのが好ましく、その他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の不飽和モノ或いはジハライド等のビニル系単量体を挙げることができる。これらの中で、芳香族ビニルが好ましく、スチレンが特に好ましい。
本発明の改質剤を製造するには、前記オレフィン系重合体100重量部に対して、前記アクリル系単量体を5〜200重量部、特に10〜150重量部、とりわけ35〜120重量部用いるのが好ましい。アクリル系単量体がこの範囲未満では、得られる海島構造体の島相が少な過ぎ、改質剤として用いた場合の改質効果が不足するおそれがあり、一方、この範囲超過では、海島構造の海相と島相とが反転するおそれがある。
また、スチレン等の他の単量体は、アクリル系単量体のオレフィン系重合体への含浸性の向上のために必要に応じて用いられ、このスチレン等の他の単量体使用量は、用いる単量体の種類によっても異なるが、アクリル系単量体100重量部に対して0〜100重量部、特に0〜50重量部用いることが好ましい。他の単量体の使用量が多過ぎると、得られる改質剤の透明性が低下し好ましくない。
上記アクリル系単量体の使用量と同様な理由で、これらの他の単量体を併用する場合、アクリル系単量体と他の単量体との合計で、オレフィン系重合体100重量部に対して5〜200重量部、特に10〜150重量部、とりわけ35〜120重量部となるように用いることが好ましい。
オレフィン系重合体とアクリル系単量体或いはアクリル系単量体と他の単量体とのグラフト反応条件としては、基本的には、従来公知のラジカル開始剤存在下或いは電子線照射下等での溶融混練法、溶液法、水系含浸重合法等による方法を採り得るが、本発明においては、ラジカル開始剤存在下での水系含浸重合法によるのが好ましい。
このラジカル開始剤存在下での水系含浸重合法で用いるラジカル開始剤としては、10時間半減期温度が40℃以上、更には50〜120℃であって、油溶性であるものが好ましい。10時間半減期温度が40℃未満のものでは、アクリル系単量体の重合が異常に進行して均質な海島構造体が得られにくい傾向となる。なお、ここで、10時間半減期温度とは、ベンゼン1リットル中にラジカル開始剤0.1モルを添加して10時間放置したときにラジカル開始剤の50%が分解するときの温度である。
そのラジカル開始剤としては、例えば、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド(53℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(55℃)、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド(59.5℃)、オクタノイルパーオキサイド(62℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(72.5℃)、o−メチルベンゾイルパーオキサイド(73℃)、ベンゾイルパーオキサイド(74℃)、シクロヘキサノンパーオキサイド(97℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(100℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(104℃)、ジ−t−ブチルジパーオキシフタレート(107℃)、メチルエチルケトンパーオキサイド(109℃)、ジクミルパーオキサイド(117℃)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(124℃)等の有機過酸化物、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(52℃)、アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(65℃)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(67℃)、アゾビスイソブチロニトリル(79℃)等のアゾ化合物等が挙げられ(括弧内の温度は10時間半減期温度である。)、これらのラジカル開始剤は1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。これらの中で、アゾ系化合物が好ましい。
なお、前記ラジカル開始剤の使用量は、前記アクリル系単量体及び必要に応じて用いられる他の単量体の使用量100重量部に対して0.01〜10重量部程度とするのが好ましく、この範囲未満では反応が円滑に進まず、この範囲超過では海島構造体中にゲルが発生し易くなる傾向となる。
本発明において、好適な水系含浸グラフト反応は、前記オレフィン系重合体と前記アクリル系単量体、及び必要に応じて用いられる他の単量体の所定量を含む水性懸濁液を、加熱下に攪拌してアクリル系単量体或いはアクリル系単量体及び他の単量体をオレフィン系重合体に含浸させ、次いで、前記ラジカル開始剤の所定量を添加し、攪拌してラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させた後、ラジカル開始剤の10時間半減期温度以上に昇温してグラフト反応させる方法である。
ここで、オレフィン系重合体とアクリル系単量体、及び必要に応じて用いられる他の単量体の水性懸濁液は、オレフィン系重合体の水性懸濁液に、アクリル系単量体及び他の単量体を加えて攪拌するか、アクリル系単量体及び他の単量体の水性懸濁液に、オレフィン系重合体を加えて攪拌するいずれかの方法によって作製するのが好ましい。
また、その水性懸濁液中におけるオレフィン系重合体とアクリル系単量体及び他の単量体の合計含有量は、水100重量部に対して5〜100重量部程度とするのが好ましく、安定な分散状態を保つために、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース等の水溶性高分子、アルキルベンゼンスルホネート等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、或いは、酸化マグネシウム、燐酸カルシウム等の水不溶性の無機塩等の懸濁安定剤を、単独で又は併用して、水に対して0.001〜10重量%程度用いることが好ましい。
オレフィン系重合体へのアクリル系単量体及び必要に応じて用いられる他の単量体の含浸は、好ましくは40〜100℃、更に好ましくは50〜90℃程度の加熱下で攪拌して、遊離の単量体が単量体全量の80重量%以下となる程度まで、通常は2〜8時間程度行われる。
アクリル系単量体及び必要に応じて用いられる他の単量体をオレフィン系重合体に含浸させた後は、その含浸温度が使用するラジカル開始剤の10時間半減期温度以上の温度である場合等、必要に応じて、ラジカル開始剤の10時間半減期温度未満の温度まで、好ましくはラジカル開始剤の10時間半減期温度より5℃以上低い温度以下まで冷却し、次いで、前記ラジカル開始剤を添加し、攪拌下にオレフィン系重合体に含浸させる。このオレフィン系重合体へのラジカル開始剤の含浸は、好ましくは室温〜100℃、更に好ましくは40〜90℃程度の範囲で、且つ用いるラジカル開始剤の10時間半減期温度未満の温度下で攪拌することにより行われる。
ラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させた後のグラフト反応は、一般的には、攪拌下、50〜150℃程度の温度、常圧〜10kg/cm2程度の圧力で、2〜10時間程度で行われるが、その間の温度及び圧力は、一定である必要はない。
なお、上記水系含浸重合法による海島構造体の製造において、アクリル系単量体或いは他の単量体のオレフィン系重合体へのグラフト鎖長、及びアクリル系単量体の単独重合体或いは他の単量体との共重合体における分子量調節のため、n−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等、或いは、一般にα−メチルスチレンダイマーと称される2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等の連鎖移動剤(分子量調節剤、重合抑制剤)が用いられても良い。このような連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は通常アクリル系単量体と必要に応じて用いられる他の単量体との合計100重量部に対して、0〜1重量部、好ましくは0.01〜0.8重量部程度である。連鎖移動剤は、通常、ラジカル開始剤の添加時に水性懸濁液に添加される。
このようにして得られる本発明の改質剤は、オレフィン系重合体の海相内にアクリル系重合体の微細な島相が均一に分散した高透明性の海島構造体である。この海島構造体の島相は、用いたアクリル系単量体の重合体又は、スチレン等の他の単量体を用いた場合は、アクリル系単量体とスチレン等の他の単量体との共重合体で構成されるが、その表層部分には、オレフィン系重合体にアクリル系単量体(場合によって更に他の単量体)がグラフト重合した変性オレフィン系重合体が形成されており、このグラフト変性オレフィン系重合体により、前述の如く島相の脱落防止効果、及びブリードアウト防止効果が得られる。
このようにして得られる海島構造体は通常平均粒径が1〜10mm、特に3〜7mm程度の粒子状であることが好ましい。
しかして、この海島構造体は、以下のようにして製造条件を調整することにより、島相の含有量や、島相の形状を任意に調整することができる。
(1) 島相の含有量の調整
前述の海島構造体製造時の配合比の範囲において、アクリル系単量体等の単量体成分の使用量を多くすることにより、島相の含有量を多くすることができ、逆に少なくすることにより、島相の含有量を少なくすることができる。
前述の海島構造体製造時の配合比の範囲において、アクリル系単量体等の単量体成分の使用量を多くすることにより、島相の含有量を多くすることができ、逆に少なくすることにより、島相の含有量を少なくすることができる。
本発明の改質剤は島相の含有量を幅広い範囲で制御することができるが、一般的には、海島構造体に占める島相の含有量で1〜60重量%、特に10〜60重量%、とりわけ20〜60重量%、更には25〜55重量%程度であることが好ましい。島相の含有量を過度に多くすることは海島構造が反転するため困難であり、島相の含有量が少な過ぎると、高濃度マスターバッチとしての本発明の改質剤の効果が損なわれる。
(2) 島相の形状
アクリル系単量体等の単量体成分の重合度を制御することにより、島相を球形、楕円球形(ラグビーボール状)、シリンダー状(細長く引き伸ばされた柱状)等の様々な形状に制御することができる。即ち、単量体成分の重合度を下げ、後述の実施例の項で測定される島相部分の分子量を小さくするとL/D(長さ/径比)が大きいシリンダー状の島相が形成され、逆に単量体成分の重合度を上げ、この島相部分の分子量を大きくすると、L/Dの小さい球形の島相が形成される。
アクリル系単量体等の単量体成分の重合度を制御することにより、島相を球形、楕円球形(ラグビーボール状)、シリンダー状(細長く引き伸ばされた柱状)等の様々な形状に制御することができる。即ち、単量体成分の重合度を下げ、後述の実施例の項で測定される島相部分の分子量を小さくするとL/D(長さ/径比)が大きいシリンダー状の島相が形成され、逆に単量体成分の重合度を上げ、この島相部分の分子量を大きくすると、L/Dの小さい球形の島相が形成される。
なお、単量体成分の重合度及び島相の分子量は、前述の連鎖移動剤の配合量により調整することができる。即ち、連鎖移動剤の配合量を多くすると、単量体成分の重合度は抑えられ、島相部分の分子量は小さくなり、連鎖移動剤の配合量を少なくすると、単量体成分の重合度は上昇傾向となり、島相部分の分子量は大きくなる。
島相のL/Dは1〜1000、特に1〜500の範囲で任意の値に調整可能である。また、島相の大きさについては、形状にもより一概には言えないが、L/Dの小さい略球状の島相であれば平均粒径で2〜50μm程度、L/Dの大きいシリンダー状の島相では、その短径の平均値で1〜20μm程度である。
このような粒子状の海島構造体の改質剤を、樹脂フィルム成形時に用いる場合、その樹脂フィルム原料への配合方法には特に制限はなく、例えば、本発明の改質剤をそのまま樹脂フィルム原料に配合(ドライブレンド)して成形に用いても良く、また、添加量が極端に少ない場合は分散性を考慮して他の樹脂に一旦練り込んだ後、樹脂フィルム原料に配合しても良く、樹脂フィルム原料を調整する際に最終配合量を練り込みペレット(粒子状)にした後成形に用いても良い。その際に仕上げるペレット(粒子状)の粒径は成形機に供される大きさであればよく、通常用いられるサイズとして1〜10mm、特に3〜7mm程度である。
次に、このような海島構造体よりなる本発明の樹脂フィルム用改質剤の用途について説明する。
本発明の樹脂フィルム用改質剤は、特に、アンチブロッキング付与剤として有用である。
本発明の樹脂フィルム用改質剤をアンチブロッキング付与剤として樹脂フィルム原料に配合する場合、改質剤の海島構造体の島相の形状は、得られる樹脂フィルムの要求特性に対して重要な要件であり、球状の島相である場合、得られる樹脂フィルムの表面に凹凸を付与する効果が大きく、アンチブロッキング効果が高いため、特にブロッキングしやすい柔軟性のある低密度の樹脂フィルム原料に有効である。ただし、島相が球状である場合、得られる樹脂フィルムの透明性は低下する傾向にある。
また、島相が楕円球状である場合、得られる樹脂フィルムの表面をなだらかな凹凸状とし、透明性を維持した上でアンチブロッキング効果を発揮することができる。
また、島相がシリンダー形状である場合、得られる樹脂フィルムの表面に凹凸を付与する効果は低く、アンチブロッキング効果は低いが、透明性を高くすることができるため、透明性を重視する場合には好適である。
楕円球状ないしシリンダー状の島相であれば、透明性のみならず、前述の如く、樹脂フィルム成膜時の脱落やブリードアウトの防止効果も高く、また、樹脂フィルム同士のこすれ合いによる傷付きも少ないという利点を有するため、本発明の樹脂フィルム用改質剤をアンチブロッキング付与剤として用いる場合には、その要求性能に応じて、島相の形状を制御することが好ましい。
従って、本発明の樹脂フィルム用改質剤をアンチブロッキング付与剤として用いる場合、島相のL/Dは、前述の如く、要求性能に応じて設計されるが、通常の場合1〜1000、特に1〜500、とりわけ1〜100、中でも1〜50であることが好ましい。島相のL/Dが小さ過ぎると透明性が低下し、また、形成される島相による樹脂フィルムの傷付き等の問題を起こす傾向があり、L/Dが大き過ぎるとアンチブロッキング効果が低下する。
本発明の樹脂フィルム用改質剤をアンチブロッキング付与剤として樹脂フィルム原料に配合する場合、その配合量には特に制限はなく、要求特性や適用する樹脂フィルム原料の性状に応じて適宜決定されるが、通常の場合、アンチブロッキング成分である島相の含有量が、得られる樹脂フィルムに対して0.01〜10重量%、特に0.05〜5重量%となるように配合することが好ましい。この配合量が少な過ぎると十分なアンチブロッキング効果を得ることができず、多過ぎると樹脂フィルムの成膜性等が損なわれる。
本発明の樹脂フィルム用改質剤は、上述のようなアンチブロッキング付与剤に限らず、樹脂フィルムに島相のアクリル系重合体を分散させることにより様々な機能を付与する改質剤として用いることができる。例えば、樹脂フィルムに易引き裂き性を付与する易引き裂き性付与剤として用いることができ、本発明の改質剤、特に、L/Dが2以上であるような楕円球状ないしシリンダー形状の島相を有する海島構造体の改質剤を配合することにより、この島相の延在方向に樹脂フィルムを容易に引き裂くことができるようになる。この場合においても、本発明の改質剤の良好な均一分散性、脱落防止、ブリード防止効果により、欠陥のない高品質の易引き裂き性フィルムを得ることができる。
なお、水系含浸重合法により得られる本発明の樹脂フィルム用改質剤は、それ自体がアンチブロッキング成分である島相の高濃度マスターバッチの形態とされているが、本発明の改質剤を更に樹脂フィルム原料のペレットと混練して低濃度マスターバッチを製造し、これを樹脂フィルム原料に配合することもできる。
即ち、例えば本発明の樹脂フィルム用改質剤をアンチブロッキング付与剤として樹脂フィルム原料に配合する場合、高密度で高硬度の樹脂フィルムとなる樹脂フィルム原料に対しては、その添加量はアンチブロッキング成分である島相の量として少量で良い。また、アンチブロッキング性よりも透明性を重視する場合にも、少量の添加量とする必要がある。このように島相を少量添加する場合、高濃度に島相を含む海島構造体よりなる改質剤を樹脂フィルム原料に対して少量配合することはその分散性の面で不利である。従って、このような場合には、水系含浸重合法により製造された海島構造体を更に樹脂フィルム原料のペレットと混練して希釈することにより、低濃度マスターバッチ状の改質剤とすることもできる。この場合においても、本発明に係る海島構造体であれば、良好な均一分散性を示す。
なお、本発明の樹脂フィルム用改質剤が適用される樹脂フィルムの樹脂成分としては特に制限はなく、前述の海相を構成するオレフィン系重合体と同様のポリオレフィン系樹脂の他、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体懸化物(EVOH)、ポリカーボネート樹脂等が挙げられるが、本発明の改質剤は特にポリオレフィンフィン系樹脂フィルムに好適であり、この場合において、改質剤の海島構造体の海相が、配合される樹脂フィルムの樹脂と同様のオレフィン系重合体よりなることが好ましい。
以下に製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
[本発明の改質剤の製造]
製造例1〜3
50リットル容量のオートクレーブに、水20kgと、懸濁剤として第三燐酸カルシウム600gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6gとを入れて水性媒体とし、これに粒径2〜4mmの分岐状エチレン単独重合体樹脂(日本ポリエチレン社製「ノバテックLD LJ802」MFR(190℃)22g/10分、密度0.918g/cm3)粒子6kg(100重量部)を加え、攪拌して水性懸濁液とした。この水性懸濁液に、メタクリル酸メチル(MMA)4.2kg(70重量部)とスチレン(ST)1.8kg(30重量部)の混合物を加え、オートクレーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2(49kPa)に加圧した後、攪拌しながら徐々に温度を上げて60℃で4時間攪拌することにより、メタクリル酸メチルとスチレンをエチレン単独重合体樹脂粒子中に含浸させた。引き続いて、この懸濁系を室温付近まで冷却し、アゾビスイソブチロニトリル24gとα−メチルスチレンダイマー(MSD)を表1に示す量添加し、オートクレーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2(49kPa)に加圧した後、攪拌しながら徐々に温度を上げて50℃で6時間攪拌することにより、アゾビスイソブチロニトリルとMSDをエチレン単独重合体樹脂粒子中に含浸させた。次いで、攪拌しながら1時間かけて徐々に90℃に昇温し、この温度で2時間攪拌してグラフト反応を行い、更に1時間かけて105℃に昇温し、この温度で5時間攪拌して反応を完結させた。冷却後、反応固形物を取り出して水洗して微粉状の副生非含浸重合体を除去し、粒子状の改質剤A〜Cを得た。いずれも収率は92%であった。回収した粒子の粒径は3〜6mmであった。
製造例1〜3
50リットル容量のオートクレーブに、水20kgと、懸濁剤として第三燐酸カルシウム600gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6gとを入れて水性媒体とし、これに粒径2〜4mmの分岐状エチレン単独重合体樹脂(日本ポリエチレン社製「ノバテックLD LJ802」MFR(190℃)22g/10分、密度0.918g/cm3)粒子6kg(100重量部)を加え、攪拌して水性懸濁液とした。この水性懸濁液に、メタクリル酸メチル(MMA)4.2kg(70重量部)とスチレン(ST)1.8kg(30重量部)の混合物を加え、オートクレーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2(49kPa)に加圧した後、攪拌しながら徐々に温度を上げて60℃で4時間攪拌することにより、メタクリル酸メチルとスチレンをエチレン単独重合体樹脂粒子中に含浸させた。引き続いて、この懸濁系を室温付近まで冷却し、アゾビスイソブチロニトリル24gとα−メチルスチレンダイマー(MSD)を表1に示す量添加し、オートクレーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2(49kPa)に加圧した後、攪拌しながら徐々に温度を上げて50℃で6時間攪拌することにより、アゾビスイソブチロニトリルとMSDをエチレン単独重合体樹脂粒子中に含浸させた。次いで、攪拌しながら1時間かけて徐々に90℃に昇温し、この温度で2時間攪拌してグラフト反応を行い、更に1時間かけて105℃に昇温し、この温度で5時間攪拌して反応を完結させた。冷却後、反応固形物を取り出して水洗して微粉状の副生非含浸重合体を除去し、粒子状の改質剤A〜Cを得た。いずれも収率は92%であった。回収した粒子の粒径は3〜6mmであった。
この改質剤A〜CについてGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して求めた重量平均分子量(Mw)と、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)は表1に示す通りであった。
なお、Mwの測定は、熱キシレン中に改質剤を希釈(濃度10重量%以下)したものを熱いうちに貧溶媒であるテトラヒドロフランに注下し(濃度1重量%以下)、沈殿物を濾過した後の溶液をGPCにて測定した。従って、測定された値は、島相のMMA及び/又はST重合部分のMwに相当する。
また、仕込み量(重量)と改質後の収率(重量)から求めた島相含有量と、SEM(走査型電子顕微鏡)観察により求めた島相のL/Dは表1に示す通りであった。
なお、改質剤A〜CのSEM写真を図1(a)〜(c)に示す。
このSEM観察は、製造した改質剤100重量部と希釈樹脂100重量部をドライブレンドしてTダイ成形(樹脂温度240℃)にて2層のフィルムを得、改質剤の配合された層(厚さ30μm)と改質剤を配合しない層(希釈樹脂と同じ樹脂)(厚さ30μm)を2層の共押出フィルムとし、改質剤が配合された面同士をヒートシールし、手で剥離後、剥離界面に金の蒸着工程を行い、その後SEM観察することにより行った。この手法において、希釈樹脂の種類や、濃度によって島相の形状は殆ど変化しないことは確認済みである。
製造例4
製造例1において、分岐状エチレン単独重合体樹脂の代りに、メタロセン触媒で製造されたエチレン−プロピレン−1−ブテン系のエチレン系共重合体樹脂(日本ポリエチレン社製「カーネルKS560T」MFR(190℃):15.6g/10分、密度:0.989g/cm3)を用い、重合体と単量体の配合量及びMSDの添加量を表1に示す量としたこと以外は同様にして改質剤Dを得た。
製造例1において、分岐状エチレン単独重合体樹脂の代りに、メタロセン触媒で製造されたエチレン−プロピレン−1−ブテン系のエチレン系共重合体樹脂(日本ポリエチレン社製「カーネルKS560T」MFR(190℃):15.6g/10分、密度:0.989g/cm3)を用い、重合体と単量体の配合量及びMSDの添加量を表1に示す量としたこと以外は同様にして改質剤Dを得た。
この改質剤DのMw、MFR、島相の含有量及びL/Dは表1に示す通りであった。
製造例5
製造例1において、分岐状エチレン単独重合体樹脂の代りに、プロピレン−エチレン系のプロピレン系共重合体樹脂(日本ポリプロ社製「ノバテックPP FG4」MFR(230℃):7g/10分、密度:0.9g/cm3)を用い、重合体と単量体の配合量及びMSDの添加量を表1に示す量としたこと以外は同様にして改質剤Eを得た。
製造例1において、分岐状エチレン単独重合体樹脂の代りに、プロピレン−エチレン系のプロピレン系共重合体樹脂(日本ポリプロ社製「ノバテックPP FG4」MFR(230℃):7g/10分、密度:0.9g/cm3)を用い、重合体と単量体の配合量及びMSDの添加量を表1に示す量としたこと以外は同様にして改質剤Eを得た。
この改質剤EのMw、MFR、島相の含有量及びL/Dは表1に示す通りであった。
製造例6
製造例2で製造した改質剤Bを20重量%とプロピレン単独重合体(日本ポリプロ社製「ノバテックPP MA3」MFR(230℃):11g/10分、密度:0.9g/cm3)80重量%とを単軸押出機(サーモ40φ)で溶融混練して島相濃度10重量%のマスターバッチを製造して改質剤Fとした。
製造例2で製造した改質剤Bを20重量%とプロピレン単独重合体(日本ポリプロ社製「ノバテックPP MA3」MFR(230℃):11g/10分、密度:0.9g/cm3)80重量%とを単軸押出機(サーモ40φ)で溶融混練して島相濃度10重量%のマスターバッチを製造して改質剤Fとした。
[従来の改質剤]
アンチブロッキング付与剤の比較のために下記表2に示すアンチブロッキング付与剤のマスターバッチを準備した。
アンチブロッキング付与剤の比較のために下記表2に示すアンチブロッキング付与剤のマスターバッチを準備した。
[樹脂フィルム用ベース樹脂]
樹脂フィルム用ベース樹脂として以下のものを準備した。
樹脂フィルム用ベース樹脂として以下のものを準備した。
[評価方法]
得られた樹脂フィルムは下記の方法で評価した。
(1) ブロッキング性
各剤で得られた30μm厚さの単層フィルムをMD方向に100mm、TD方向に20mmの短冊状に切り出し、2枚を1組として、MD方向10mm、MD方向20mmの面積(圧着面積)に20kgの荷重がかかるようにして40℃雰囲気下で24時間放置した。加圧終了直後に引っ張り速度500mm/minにてずり強度を測定した。評価値は測定最大強度を採用する。
(2) 外部ヘーズ
プラスチックの光学的特性試験方法 K7105−1981『5.5 光線透過率及び全光線反射率A法』に則り測定した。
(3) 光沢度
プラスチックの光学的特性試験方法 K7105−1981『5.2 光沢度 20度鏡面光沢度』に則り測定した。光沢度が悪いことは表面凹凸が大きく、フィルム外観に劣ることを示す。
得られた樹脂フィルムは下記の方法で評価した。
(1) ブロッキング性
各剤で得られた30μm厚さの単層フィルムをMD方向に100mm、TD方向に20mmの短冊状に切り出し、2枚を1組として、MD方向10mm、MD方向20mmの面積(圧着面積)に20kgの荷重がかかるようにして40℃雰囲気下で24時間放置した。加圧終了直後に引っ張り速度500mm/minにてずり強度を測定した。評価値は測定最大強度を採用する。
(2) 外部ヘーズ
プラスチックの光学的特性試験方法 K7105−1981『5.5 光線透過率及び全光線反射率A法』に則り測定した。
(3) 光沢度
プラスチックの光学的特性試験方法 K7105−1981『5.2 光沢度 20度鏡面光沢度』に則り測定した。光沢度が悪いことは表面凹凸が大きく、フィルム外観に劣ることを示す。
[実施例及び比較例]
各樹脂フィルム用樹脂100重量部に対して表4〜7に示す種類及び量の改質剤を配合し、30mm径の一軸押出機で溶融混練し、240℃に設定したTダイより厚さ30μmの樹脂フィルムを押し出し成形した。各樹脂フィルムについて評価を行った結果を各々表4〜7に示した。
各樹脂フィルム用樹脂100重量部に対して表4〜7に示す種類及び量の改質剤を配合し、30mm径の一軸押出機で溶融混練し、240℃に設定したTダイより厚さ30μmの樹脂フィルムを押し出し成形した。各樹脂フィルムについて評価を行った結果を各々表4〜7に示した。
表4〜7より、本発明の改質剤によれば、少ないアンチブロッキング成分の配合量で、透明性やフィルム外観を損なうことなく良好なブロッキング防止効果を得ることができることが分かる。
特に、アンチブロッキング成分の配合量が少ない場合においては、低濃度マスターバッチを作製して配合することにより(実施例17,18)、優れた効果が得られることが分かる。
Claims (7)
- 水系含浸重合法により製造された海島構造体であって、海相がオレフィン系重合体で構成され、島相がアクリル系重合体で構成される海島構造体よりなることを特徴とする樹脂フィルム用改質剤。
- 請求項1において、該島相がアクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体であることを特徴とする樹脂フィルム用改質剤。
- 請求項2において、該ビニル系単量体がスチレン系単量体であることを特徴とする樹脂フィルム用改質剤。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該島相の表層部に、前記オレフィン系重合体にアクリル系単重体がグラフト重合してなるグラフト変性オレフィン系重合体を有することを特徴とする樹脂フィルム用改質剤。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該海島構造体が、オレフィン系重合体及びアクリル系単量体を含む水性懸濁液中にて、オレフィン系重合体にアクリル系単量体を含浸させた後、該水性懸濁液中にラジカル開始剤を添加して、該ラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させ、次いで該ラジカル開始剤の10時間半減期温度以上に昇温してグラフト反応させることにより得られたものであることを特徴とする樹脂フィルム用改質剤。
- 請求項1ないし5のいずれかにおいて、アンチブロッキング付与剤であることを特徴とする樹脂フィルム用改質剤。
- 請求項6において、前記島相のL/Dが1〜1000であることを特徴とする樹脂フィルム用改質剤。
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JP2006160986A (ja) * | 2004-12-10 | 2006-06-22 | Mitsubishi Chemicals Corp | 易引き裂き性フィルム |
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2004
- 2004-12-10 JP JP2004358027A patent/JP2006160985A/ja active Pending
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