JP2009108254A - 成形性、外観性に優れたアクリル系樹脂フィルム - Google Patents

成形性、外観性に優れたアクリル系樹脂フィルム Download PDF

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康治 森田
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Abstract

【課題】ペレット成形時の吐出量の変動を抑えて安定的に押出成形を行うことができ、得られた樹脂ペレットの溶融粘性を低下させることにより、フィルム上に発生するダイラインなどの外観不良が低減したアクリル系樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】アクリル酸エステル系架橋弾性体を含むアクリル系架橋弾性体含有グラフト共重合体およびメタクリル酸メチルを80重量%以上含有するメタクリル系重合体からなるアクリル系樹脂組成物(A)100重量部に対し、流動パラフィン(B)を0.02〜1.0重量部配合することにより、上記特性を有するため、フィルム上に発生するダイラインなどの外観不良を低減することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形性、外観性に優れたアクリル系樹脂フィルムに関する。
アクリルフィルムは、透明性、耐候性や基材に貼り合わせた時の意匠性に優れており、基材の劣化防止、美観の維持などの為に、プラスチック、金属、木材などの種々の材料にラミネートする保護フィルム、また、自動車内外装部品にラミネートする塗装、メッキ代替フィルムなどの用途で使用され、強い関心を集めている。
アクリルフィルムは、通常、溶融押出法により製造されており、原材料として押出機に供給されるのは、通常、ペレットである。
ペレット製造の際、アクリル系樹脂組成物を単軸もしくは2軸押出機に供給し、溶融混練されるが、特に単軸押出機を使用する場合、微粉の割合が多いとスクリューへの食込みが悪く、供給が不安定となり、吐出量が変動するため安定的に製造することが難しいという問題がある(例えば、特許文献1参照)。
吐出量に変動が生じると、ペレット形状、ペレット粒子径のばらつきが大きくなってしまう為、Tダイ押出法でのフィルム成形の際にも押出およびダイスからの吐出が安定せず、特に薄膜のフィルム製造では流れ方向および幅方向の膜厚ムラが生じ易く、平滑なフィルムを得ることが難しい。
また、樹脂組成物の溶融粘度が高いと、ダイスのリップ部に傷や目脂という樹脂の塊がある場合にはフィルムにダイラインなどの外観不良が生じ易く(特許文献2参照)、例えばフィルム自体に印刷を施す際に印刷抜けを起こしたり、該フィルムを印刷した基材に貼り合せて積層品を製造する際に意匠性を損なう原因となることが考えられる為、これらの問題を解決する必要があった。
特開2002−307519号 特開2002−283429号
従って、本発明の目的は、アクリル系樹脂組成物を単軸または2軸押出機にてペレット化およびフィルム化成形する際に吐出量の変動を抑制し、樹脂組成物の溶融粘度を低下させることにより、外観不良が低減したアクリル系樹脂フィルムを提供することにある。
本発明者は、アクリル系樹脂組成物に対し、特定の流動パラフィンを特定量配合することにより、押出成形が安定し、樹脂の溶融粘度が低下して流動性が向上するためフィルム加工性を大きく改良することができることを見出し、外観性に優れたアクリル系樹脂フィルムを得るに至った。
すなわち、本発明は、
アクリル系樹脂組成物(A)100重量部に対し、流動パラフィン(B)0.02〜1.0重量部含有することを特徴とする、アクリル系樹脂フィルム(請求項1)、
流動パラフィン(B)の40℃における動粘度が14〜68mm/秒であることを特徴とする、請求項1記載のアクリル系樹脂フィルム(請求項2)、
流動パラフィン(B)の重量平均分子量が300〜600である、請求項1または2記載のアクリル系樹脂フィルム(請求項3)、
アクリル系樹脂組成物(A)が、アクリル系弾性体グラフト共重合体(a−1)5〜100重量%およびメタクリル系重合体(a−2)0〜95重量%からなるアクリル系樹脂組成物[(a−1)および(a−2)の合計量が100重量%]であって、アクリル系弾性体グラフト共重合体(a−1)が、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、共重合可能な他のビニル系単量体0〜49.9重量%および共重合可能な1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.1〜10重量%からなる単量体混合物(a−1a)を重合してなる弾性共重合体5〜85重量部の存在下に、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%および、共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%からなる単量体混合物(a−1b)95〜15重量部を共重合してなる[(a−1a)および(a−1b)の合計量が100重量部]ものであり、メタクリル系重合体(a−2)が、メタクリル酸アルキルエステル80〜100重量%および共重合可能な他のビニル系単量体0〜20重量%からなる単量体混合物を共重合してなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム(請求項4)、
鉛筆硬度(JIS K5600−5−4に基づく測定)が2B以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム(請求項5)、
片面または両面に加飾処理を施してなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム(請求項6)、および
請求項1〜6のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルムを積層してなる、積層品(請求項7)
に関する。
本発明においては、アクリル系樹脂組成物に特定量の流動パラフィンを添加することにより、ペレット成形時に吐出量の変動を抑えて安定的に押出成形を行うことができ、さらに得られた樹脂ペレットの溶融粘性を低下させることができるため、フィルム成形時に発生するダイラインなどの外観不良が低減され、外観意匠性に優れるフィルムを得ることができる。
本発明におけるアクリル系樹脂フィルムは、アクリル系樹脂組成物(A)に流動パラフィン(B)を配合した樹脂組成物を成形してなるフィルムである。
本発明のアクリル系フィルムを得る為の樹脂組成物は、アクリル系樹脂組成物(A)に流動パラフィン(B)を添加することにより、樹脂組成物中の微粉の割合を減少させ、吐出量の変動を抑えて安定的に押出成形を行うことができ、また、樹脂組成物の溶融粘度を低下させ、フィルム上に発生するダイライン等の外観不良を低減することができる。
本発明における流動パラフィン(B)としては、動粘度が14〜68mm/秒のものが好ましく、14〜40mm/秒のものがより好ましく、また、流動点としては、−15〜0℃のものが好ましく、−13〜−5℃のものがより好ましい。上記範囲外であると、樹脂組成物の溶融粘度が上がりすぎて、フィルムの成形性を低下させる傾向がある。
なお、動粘度は、JIS Z8803に基づく方法により、恒温槽を40℃に設定した単一円筒形回転粘度計を用いて測定される値であり、流動点は、JIS K2269に基づき、流動パラフィンを45℃に加熱した後、かき混ぜないで冷却した際に流動する温度を読み取った値である。
本発明における流動パラフィン(B)の重量平均分子量は、300〜600が好ましく、300〜500がより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であれば、アクリル系樹脂組成物(A)との混合物を単軸または2軸押出機を使用して先端に取り付けたTダイスからフィルム状成形品を得る際、流動パラフィンの分解が起こりにくく、ブリードによる金属ロールへの付着のためにフィルムの透明性を損なうことがないため、好ましい。
なお、重量平均分子量は、熱分解ガスクロマトグラフによる定量分析により測定される値である。
本発明における流動パラフィン(B)の密度は、0.5〜1.0g/cmが好ましく、0.7〜0.9g/cmがより好ましい。密度が上記範囲であれば、流動性に優れているため、好ましい。
本発明における流動パラフィン(B)は、アクリル系樹脂組成物との混合物を成形してなるフィルム状成形品の透明性、耐候性を損なわないという観点から、紫外線吸光度が殆どゼロに近い方が好ましい。
本発明における流動パラフィン(B)の具体例としては、(株)松村石油研究所製モレスコホワイトP−70、P−80、P−100、P−120、P−150、P−200、P−260、P−300、P−350、P−350Pなどが挙げられ、分子量が高く、分解しにくい点から、好ましくは、モレスコホワイトP−80、P−100、P−120、P−150、P−200、P−260、P−300、P−350Pであり、適切な粘性および流動性を有する点から、さらに好ましくは、モレスコホワイトP−80、P−100、P−120、P−150、P−200が挙げられる。
本発明における流動パラフィン(B)の製造方法は、特に限定されるものではないが、
特許第2931570号公報、特開2003−155493号公報、特開平10−17539号公報、等に記載の方法と同様に製造する方が好ましい。
本発明のアクリル系フィルムを得る為の樹脂組成物は、アクリル系樹脂組成物(A)100重量部に対して、流動パラフィン(B)を0.02〜1.0重量部含有することが好ましく、0.05〜1.0重量部含有することがより好ましく、0.1〜1.0重量部含有することがさらに好ましい。流動パラフィンの含有量を上記範囲とすることが、Tダイ法によりフィルムを成形する際のブリードおよびガス発生が少なく、加工性に優れ、また、フィルム外観意匠性がより維持されるため、好ましい。
本発明におけるアクリル系樹脂組成物(A)としては、耐衝撃性、耐溶剤性、耐可塑剤移行性、透明性に優れる点から、アクリル系架橋弾性体含有グラフト共重合体(a−1)5〜100重量%およびメタクリル系重合体(a−2)0〜95重量%からなるアクリル系樹脂組成物[(a−1)および(a−2)の合計量が100重量%]が、好ましい。
本発明に用いられる樹脂組成物(A)は、アクリル系架橋弾性体含有グラフト共重合体(a−1)とメタクリル系重合体(a−2)をそれぞれ重合してこれを混合して得ることができるが、製造に際しては同一の反応機でアクリル系グラフト共重合体(a−1)を製造した後、メタクリル系重合体(a−2)を続けて製造することもできる。混合する方法としては、ラテックス状あるいはパウダー、ビーズ、ペレット等で混合が可能である。
本発明に用いるアクリル系架橋弾性体含有グラフト共重合体(a−1)は、アクリル酸エステル系架橋弾性体[アクリル酸エステルを主成分とした架橋弾性体](a−1a)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a−1b)を重合して得られる。
本発明で用いられるアクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)は、アクリル酸エステル50〜99.9重量%、共重合可能な他のビニル系単量体0〜49.9重量%からなる単量体混合物および特定量の1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を重合させてなるものである。単量体および多官能性単量体を全部混合して使用してもよく、また、単量体および多官能性単量体の組成を変化させて2段以上で使用してもよい。
アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)におけるアクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点より、アルキル基の炭素数1〜12のものを用いることができる。その具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等があげられ、これらの単量体は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)におけるアクリル酸エステル量は、50〜99.9重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましく、80〜100重量%が最も好ましい。アクリル酸エステル量が50重量%未満では、耐衝撃性が低下し、引張破断時の伸びが低下し、フィルム切断時にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)における共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜12であるものが好ましく、直鎖状でも分岐状でもよい)、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル誘導体、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸およびその塩、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体、メタクリル酸、メアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸カルシウム等のメタクリル酸およびその塩、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等があげられ、これらの単量体は2種以上が併用されてもよい。これらのうちでも、耐候性、透明性の点より、メタクリル酸エステルが特に好ましい。
アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)における共重合可能な他のビニル系単量体の量は、0〜49.9重量%が好ましく、0〜30重量%がより好ましく、0〜20重量%が最も好ましい。他のビニル系単量体の量が49.9重量%を超えると、耐衝撃性が低下し、引張破断時の伸びが低下し、フィルム切断時にクラックが発生しやすくなる場合がある。
アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)における共重合可能な多官能性単量体の量は、アクリル酸エステル系架橋弾性体の平均粒子径と共に、応力白化、引張破断時の伸びあるいは透明性に大きく影響する。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(a−1a)における多官能性単量体の共重合量は、単量体混合物100重量物に対して、0.1〜10重量部が好ましく、1.0〜4重量部がより好ましい。多官能性単量体の共重合量が0.1〜10重量部であれば、耐折り曲げ性、耐折り曲げ白化性および樹脂の流動性の視点から好ましい。
アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)の平均粒子径は、50〜200nmが好ましく、50〜160nmがより好ましく、50〜120nmがさらに好ましく、60〜120nmが特に好ましい。アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)の平均粒子径が50nm未満では、耐衝撃性等が低下し、引張破断時の伸びが低下しフィルム切断時にクラックが発生しやすくなる傾向がある。また、200nmを超えると、応力白化が発生しやすく、透明性が低下し、さらに真空成形後の透明性が低下する傾向がある。
なお、本発明における平均粒子径は、日機装株式会社製 Microtrac粒度分布測定装置MT3000を使用して、ラテックス状態で光散乱法を用いて測定した値である。
この目的で用いられる多官能性単量体は、通常使用されるものでよく、例えば、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびこれらのアクリレート類などを使用することができる。これらの多官能性単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(a−1)は、前記アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合体(a−1b)を重合させて得られるものである。好ましくは、前記アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)5〜85重量部の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物(a−1b)95〜15重量部を少なくとも1段階以上で重合させることより得られる。
グラフト共重合組成(単量体混合物)(a−1b)中のメタクリル酸エステルは、80重量%以上が好ましく、85重量%がより好ましく、90重量%がさらに好ましい。メタクリル酸エステルが80重量%未満では、得られるフィルムの硬度、剛性が低下する傾向がある。グラフト共重合に用いられる単量体としては、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルであり、具体例としては前記アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)に使用したものが、使用可能である。
この際、グラフト共重合組成(単量体混合物)(a−1b)においては、アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)にグラフト反応せずに、未グラフトの重合体となる成分(フリーポリマー)が生じる。この成分(フリーポリマー)は、メタクリル系重合体(B)の一部または全部を構成する。
アクリル系グラフト共重合体(a−1)の一部((a−1a)およびグラフトされた(a−1b))は、メチルエチルケトンに不溶となる。
アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)に対するグラフト率は、30〜250%が好ましく、50〜230%がより好ましく、70〜220%がさらに好ましい。グラフト率が30%未満では耐折曲げ白化性が低下し、また、透明性が低下したり、引張破断時の伸びが低下しフィルム切断時にクラックが発生しやすくなる傾向がある。250%超では、フィルム成形時の溶融粘度が高くなりフィルムの成形性が低下する傾向がある。
本発明におけるアクリル系グラフト共重合体(a−1)の製造方法は特に限定されず、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法、塊状重合法または溶液重合法が適用可能であるが、乳化重合法が特に好ましい。
本発明における一般式(1)で示す紫外線吸収剤の共重合方法も特に限定されず、アクリル系グラフト共重合体(a−1)の製造中に共重合することが好ましい。共重合方法としては、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法、塊状重合法または溶液重合法が適用可能であるが、乳化重合法が特に好ましい。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)の重合における開始剤としては、公知の有機系過酸化物、無機系過酸化物、アゾ化合物などの開始剤を使用することができる。具体的には、例えば、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパ−オキサイド、スクシン酸パ−オキサイド、パ−オキシマレイン酸t−ブチルエステル、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物や、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、さらにアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの開始剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、ヒドロキシアセトン酸、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウムの錯体なとの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型開始剤として使用してもよい。
前記有機系過酸化物は、重合系にそのまま添加する方法、単量体に混合して添加する方法、乳化剤水溶液に分散させて添加する方法など、公知の添加法で添加することができるが、透明性の点から、単量体に混合して添加する方法あるいは乳化剤水溶液に分散させて添加する方法が好ましい。
また、前記有機系過酸化物は、重合安定性、粒子径制御の点から、2価の鉄塩等の無機系還元剤および/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ソ−ダ、還元糖、アスコルビン酸等の有機系還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤として使用するのが好ましい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に限定はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。具体的には、例えば、アルキルスルフォン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノール類、脂肪族アルコール類とプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤等が示される。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に要すれば、アルキルアミン塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
本発明における得られたアクリル系グラフト共重合体(a−1)の平均粒子径は、100nm超400nm以下が好ましく、100nm超350nm以下がより好ましく、100nm超300nm以下がさらに好ましい。アクリル系グラフト共重合体(a−1)の平均粒子径が100nm以下では、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐衝撃性および耐折曲げ割れ性が低下する傾向があり、400nmを超えるとフィルムの透明性が低下する傾向にある。
得られたアクリル系グラフト共重合体(a−1)ラテックスは、通常の凝固、洗浄および乾燥の操作により、または、スプレ−乾燥、凍結乾燥などによる処理により、樹脂組成物が分離、回収される。
本発明で用いられるメタクリル系重合体(a−2)は、メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するものであり、より好ましくは85重量%以上含有するものであり、さらに好ましくは90重量%以上含有するものである。メタクリル酸メチルが80重量%未満では、得られるフィルムの硬度、剛性が低下する傾向がある。
本発明におけるメタクリル系重合体(a−2)におけるメタクリル酸メチル以外の単量体としては、前記アクリル系グラフト共重合体(a−1)に使用したものがあげられる。これらの単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるメタクリル系重合体(a−2)を、アクリル系グラフト共重合体(a−1)と別個に重合することも可能である。その場合も重合方法は特に限定されず、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法、塊状重合法または溶液重合法が適用可能である。
本発明で用いられるメタクリル系重合体(a−2)の平均粒子径は、80〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。メタクリル系重合体(a−2)の平均粒子径が80μm未満では、耐衝撃性、耐折曲げ割れ性、耐薬品性が低下する傾向があり、500μm超では、透明性が低下する傾向がある。
メタクリル系重合体(a−1b)の前記重合における開始剤としては、公知の有機系過酸化物、無機系過酸化物、アゾ化合物などの開始剤を使用することができる。具体的には、例えば、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、パーオキシマレイン酸t−ブチルエステル、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、イソプロピル−t−ブチルパーオキシカーボネート、過安息香酸ブチル、1,1−ビス(アルキルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(アルキルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、さらにアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物も使用される。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記有機系過酸化物は、重合系にそのまま添加する方法、単量体に混合して添加する方法、乳化剤水溶液に分散させて添加する方法など、公知の添加法で添加することができるが、透明性の点から、単量体に混合して添加する方法が好ましい。
前記懸濁重合に使用される分散剤としては、一般的に懸濁重合に用いられる分散剤、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の高分子分散剤、例えば、リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機塩があげられる。そして、難水溶性無機塩を用いる場合には、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ等のアニオン性界面活性剤を併用すると分散安定性が増すので効果的である。また、これらの分散剤は得られる樹脂粒子の粒子径を調整するために、重合中に1回以上追加することもある。
本発明で用いられる樹脂組成物(A)中のアクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)の含有量は、5〜45重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。アクリル酸エステル系架橋弾性体(a−1a)の含有量が5重量%未満では、得られるフィルムの引張破断時の伸びが低下し、フィルムを切断する際にクラックが発生しやすく、また応力白化が発生しやすくなる傾向がある。45重量%を超えると、得られるフィルムの硬度、剛性が低下する傾向がある。
本発明で用いられる樹脂組成物(A)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度は、0.2〜0.8dl/gが好ましく、0.2〜0.7dl/gがより好ましく、0.2〜0.6dl/gがさらに好ましい。樹脂組成物(A)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.2dl/g未満では、得られるフィルムの引張破断時の伸びが低下しフィルムを切断する際にクラックが発生しやすく、また耐溶剤性が低下する傾向があり、0.8dl/gを超えると、フィルムの成形性が低下する傾向がある。
本発明におけるアクリル樹脂組成物(A)に対する流動パラフィン(B)の混合方法としては、特に限定されず、公知の各種混合方法を使用することができる。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ローラー、リボンブレンダー、等が挙げられ、これら装置は回分的または連続的に運転することができる。
本発明の流動パラフィン添加後の樹脂組成物の粉体状態としては、パウダーまたはビーズ状態であるが、微粉の割合が低減されており、粒子径50μm以下の粒子の割合としては、全体量の0〜10重量%であることが好ましく、0〜5重量%であることがより好ましい。該粒子割合が10重量%超では、ペレット成形時に押出機へ樹脂組成物を供給する際にスクリューに食い込みにくく、一定量供給されずに吐出量が変動する傾向がある。
なお、粉体状態を評価するための粒子径測定は、日機装株式会社製Microtrac粒度分布測定装置MT3000を使用し、光散乱法により行った。
また、樹脂組成物の粉体を容積250mlの容器に満杯まで充填し、床面から20cmの高さより容器を逆さにして粉体を落下させた時に舞い上がった粉塵の全量が自由落下で床面に落ちるまでの時間としては、0〜20秒が好ましく、0〜15秒がより好ましい。該時間が0〜20秒の間であれば、ペレット化工程において、押出機のホッパーに原料として投入した際に、シリンダ内部へ安定的に供給され、スクリューに食い込み易く、好ましい。
本発明の流動パラフィン添加後の樹脂組成物の嵩比重としては、0.5〜0.8g/mlが好ましく、0.5〜0.7g/mlがより好ましい。嵩比重が0.5g/ml未満ではペレット成形時に樹脂組成物をホッパーより投入する際に安定的に供給されにくい傾向があり、0.8g/ml超では、ホッパー内にてブロッキング現象が起きる傾向がある。
本発明の流動パラフィン添加後の樹脂組成物の安息角としては、40〜60°が好ましく、40〜50°がより好ましい。安息角が40°未満では、ペレット成形時に樹脂組成物をホッパーに投入した際に自重により流動してしまい、供給制御が難しくなる傾向にあり、60°超では、樹脂組成物の流動性が悪く、供給されにくい傾向にある。
本発明に用いられるポリエステル系組成物は、得られたブレンド物を、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより、樹脂ペレットを製造することができる。
前記混練機の例としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどが挙げられる。
例えば、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、バレル設定温度を180〜280℃とし、吐出量100〜150kg/hr、スクリュー回転数50〜150rpmで溶融混練し、ダイスよりストランドを引取り、水冷した後に、ストランドカッターを用いて切断して、樹脂ペレットを得ることができる。
本発明により得られた樹脂ペレットのせん断速度122S−1における溶融粘度としては、7000〜20000Pa・sであることが好ましく、10000〜19000Pa・sであることがより好ましい。樹脂ペレットの溶融粘度が7000Pa・s未満では、フィルム成形等において押出機先端部での背圧が立たないため成形品を得難い傾向にあり、溶融粘度が20000Pa・s超では、樹脂圧力が上がりすぎて吐出され難い傾向がある。
本発明により得られた樹脂ペレットの流動性(メルトフローレート)としては、温度230℃、37.5Nの荷重条件において、0.5〜3.0g/10分であることが好ましく、1.0〜2.0g/10分であることがより好ましい。流動性が0.5〜3.0g/分であれば、成形温度が低い場合でも成形し易く、高温成形時に生じる樹脂分解等の問題を解決できる点で、好ましい。
本発明で得られるメタクリル系樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形などの各種プラスチック加工法によって様々な成形品に加工できる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、特にフィルムとして有用であり、例えば、通常の溶融押出法であるインフレーション法やTダイ押出法、あるいはカレンダー法、更には溶剤キャスト法等により良好に加工される。また、必要に応じて、フィルムを成形する際、フィルム両面をロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、特にガラス転移温度以上の温度に加熱したロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、表面性のより優れたフィルムを得ることも可能である。また、目的に応じて、フィルムの積層成形や、二軸延伸によるフィルムの改質も可能である。
また、本発明のアクリル系樹脂組成物(A)には、必要に応じて、ポリグルタルイミド、無水グルタル酸ポリマー、ラクトン環化メタクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等を配合することも可能である。ブレンドの方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明のアクリル系樹脂組成物(A)には、必要に応じて、着色のために無機系顔料または有機系染料を、熱や光に対する安定性を更に向上させるために抗酸化剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などを、あるいは、抗菌剤、脱臭剤、滑剤等を、単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
本発明におけるフィルムの厚みは、20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。フィルムの厚みが20μm以下では耐衝撃性が低下して好ましくなく、300nmを超える場合にはフィルムの成形性が低下する傾向がある。
本発明におけるアクリルフィルムは、必要に応じて、適当な印刷法により印刷したものが用いられる。成形時には印刷面を基材樹脂との接着面にすることが印刷面の保護や高級感の付与から好ましい。
本発明で得られるアクリルフィルムは積層品を構成する基材樹脂は、アクリルフィルムと溶融接着可能なものであることが必要であり、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、あるいは、これらを主成分とする樹脂があげられる。
アクリルフィルム積層品は、自動車内装材、自動車外装材などの塗装代替用途、窓枠、 浴室設備、壁紙、床材などの建材用部材、家具や電気機器のハウジング、ファクシミリなどのOA機器のハウジング、玩具、日用雑貨品などとして用いることができる。
本発明のフィルムを用いた積層品の製造法は、特に制限されるものではないが、特公昭63−6339号公報、特公平4−9647号公報、特開平7−9484号公報、特開平8−323934号公報、特開平10−279766号公報、等に記載の方法と同様な、フィルムインモールド成形法またはフィルムインサート成形法により製造することが好ましい。すなわち、真空成形等により予め形状を付与した、または付与しなかったフィルムを、射出成形金型間に挿入し、フィルムを挟んだ状態で金型を閉じ型締めし、基材樹脂の射出成形を行うことにより、射出された基材樹脂成形体の表面にフィルムを溶融一体化させることが好ましい。その際、樹脂温度、射出圧力等の射出条件は、基材樹脂の種類等を勘案して適宜設定される。
以下に実施例、比較例により本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における評価方法を、以下にまとめる。
(平均粒子径、粒度分布)
アクリル系樹脂組成物(A)と流動パラフィン(B)との混合物の平均粒子径および粒度分布を、ラテックス状態で測定した。測定装置としては、日機装株式会社製Microtrac粒度分布測定装置MT3000を使用し、光散乱法により体積平均粒子径(μm)、面積平均粒子径(μm)、最小粒子径(μm)、粒子径50μm以下の粒子の割合(%)を測定した。
(粉体特性)
アクリル系樹脂組成物(A)とおよび流動パラフィン(B)のブレンド物の粉体特性として、JIS K7365に従って嵩比重(g/ml)を、JIS R9301−2−2に従って安息角(°)を測定した。
(粉塵)
アクリル系樹脂組成物(A)および流動パラフィン(B)のブレンド物の粉体特性として、ブレンド物を容積250mlの容器に満杯まで充填し、床面から20cmの高さより容器を逆さにして粉体を落下させた際に舞い上がった粉塵の全量が自由落下で床面に落ちるまでの時間を計測した。
(流動性)
得られた樹脂ペレットの流動性としてのメルトフローレート(g/10分)は、JIS K7210に従い、温度230℃、37.5Nの荷重条件にて測定した。
(溶融粘度)
得られたペレットの溶融粘度(Pa・s)は、JIS K7199に従い、溶融粘度測定装置(東洋精機製作所製、キャピログラフ1D)を使用して、ダイス温度230℃、せん断速度122S−1、キャピラリーダイ径1mmの条件にて測定した。
(ペレットの成形性)
バレル温度を200℃に温度調整した40mmφ単軸押出機(大阪精機工作(株)製)を使用して、表1に示した割合で混合した樹脂組成物を供給し、スクリュー回転数90rpm、吐出量15kg/hrにて溶融混練を行い、ストランド状に引き取り、水槽にて冷却後、ペレタイザーを用いて切断して、樹脂ペレットを製造した。この際のスクリューモーターの負荷変動幅(A)および押出機先端部での樹脂圧力変動幅(MPa)を測定し、評価した。
(フィルムの成形性)
得られたペレットを、バレル温度を200℃に温度調整した40mmφ単軸押出機(東洋精機製作所製、)を使用して、先端に取り付けたTダイ(230℃に温度調整)よりフィルム状成形品を製造した。Tダイスのリップクリアランスを0.5mm、エアギャップを5〜10mm、金属鏡面ロールでの引き取り速度を3.0〜7.5m/分の速度に設定し、フィルムの膜厚を50μmまたは75μmに調整した。
この際の成形性を、以下に従って評価した。
○:50μmの膜厚調整で操業時間3分間においてフィルムの破断無し。
△:50μmの膜厚調整で操業開始と同時にフィルム破断有り、75μmの膜厚調整で操業時間3分間においてフィルムの破断無し。
×:75μmの膜厚調整で操業開始と同時にフィルム破断有り。
(表面硬度)
表面硬度としては、上記フィルム成形条件において引き取り速度を1.7m/分に設定することにより得られた膜厚125μmのフィルムに対し、JIS K5600−5−4に従い、鉛筆硬度を測定して評価した。
(フィルムの表面外観性)
得られた膜厚125μmのフィルムにおいて、広さ1mの表面において目視観察し、次の評価を行った。
○:ダイラインおよびヤケ、樹脂流動性不良に寄る表面ムラが、殆ど認められない。
△:ダイライン、ヤケ、表面ムラのいずれかが、認められる。
×:ダイライン、ヤケ、表面ムラのいずれかが、著しい。
(実施例1)
<グラフト共重合体(a−1)の製造方法>
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、モノマー供給管、還流冷却器を備えた8リットル重合機に以下の物質
水(イオン交換水) 200部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.15部
硫酸第一鉄・2水塩 0.0015部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.006部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.0015部
を仕込み、器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、BA42部、MMA4部、ST4部、AMA0.50部、CHP0.05部の混合物を15部/時間の割合で連続的に添加し、重合させた。添加終了後更に1時間重合を継続し、重合転化率を98%以上にし、弾性共重合体(a−1a)を得た。
次に、弾性共重合体(a−1a)の存在下、MMA45部、BA5部、tDM0.40部、CHP0.2部の混合物を10部/時間の割合で連続的に添加して重合させ、更に1時間重合を継続し、重合転化率を98%以上にして、多層構造アクリル系樹脂(a−1)のラテックスを得た。前記ラテックスを塩化カルシウムで塩析し、水洗、乾燥を行い、グラフト系共重合体(a−1)の樹脂粉末を得た。
得られた樹脂粉末の体積平均粒子径は150μm、面積平均粒子径は80μmであり、粒子径50μm以下の粒子割合は22%、パウダー状である。
<メタクリル系重合体(a−2)>
アクリル系熱可塑性樹脂(a−2)として、メタクリル酸メチル・アクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)製、スミペックスMM、ビーズ状、体積平均粒子径224μm、面積平均粒子径171μm、粒子径50μm以下の粒子割合0%)
<アクリル系樹脂組成物(A)>
アクリル系樹脂組成物(A)は、上記の如く得られたグラフト系共重合体(a−1)70部およびメタクリル系高分子重合体(a−2)30部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。
<流動パラフィンのブレンド方法>
アクリル系樹脂組成物(A)100部に対して、流動パラフィン((株)松村石油研究所製、モレスコホワイトP−80;動粘度14.6mm/秒、分子量300)0.05部を添加して、ヘンシェルミキサーにて撹拌混合することにより、ブレンド物を得た。
得られたブレンド物の粉体特性に関して評価を行い、その結果を表1に示した。
<ペレット化>
バレル温度を200℃に温度調整した40mmφ単軸押出機(大阪精機工作(株)製)を使用し、表1に示した割合で混合した樹脂組成物を供給し、スクリュー回転数90rpm、吐出量15kg/時間にて溶融混練を行い、ストランド状に引き取り、水槽にて冷却後、ペレタイザーを用いて切断して、樹脂ペレットを製造した。
ペレット製造時のスクリューモーターの負荷変動および押出機先端部での樹脂圧力変動を、表2に示した。
得られた樹脂ペレットの樹脂特性に関して評価を行い、その結果を表1に示した。
<フィルム化>
得られた樹脂ペレットを、バレル温度を200℃に温度調整した40mmφ単軸押出機(東洋精機製作所(株)製)を使用し、先端に取り付けたTダイ(240℃に温度調整)より、フィルム状成形品を製造した。
フィルム成形性および得られたフィルムの特性に関して評価を行い、表2に示した。
(実施例2)
流動パラフィンの添加量を0.1部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
(実施例3)
流動パラフィンの添加量を0.5部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
(実施例4)
流動パラフィンの添加量を1.0部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
(実施例5)
流動パラフィン種を(株)松村石油研究所製モレスコホワイトP−100(動粘度19.4mm/秒、分子量357)に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
(実施例6)
流動パラフィンの添加種を、(株)松村石油研究所製モレスコホワイトP−200(動粘度39.3mm/秒、分子量400)に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
(実施例7)
流動パラフィンの添加種を、(株)松村石油研究所製モレスコホワイトP−40(動粘度4.3mm/秒、分子量250)に変更した以外は、実施例3と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
(比較例1)
流動パラフィンを添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
(比較例2)
流動パラフィンの添加量を0.01部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
(比較例3)
流動パラフィンの添加量を2.0部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
(比較例4)
樹脂をアクリル系高分子重合体(a−2)のみとし、流動パラフィンを添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作により、ペレットおよびフィルムを得た。
それぞれの評価結果を、表1および表2に示した。
Figure 2009108254
Figure 2009108254
表1、2に示した結果から、本発明の実施例1〜4に記載の樹脂組成物は流動パラフィンの割合が増加すると共に微粉の割合が減りペレット化時に安定した押出挙動を示す。また、溶融粘度が減少して流動性が向上し、フィルム成形性にも優れており、外観性も良好であることが分かる。これは実施例5〜7に示したように流動パラフィンの配合種が異なる場合でも同様である。
更に、比較例1に記載の樹脂組成物はアクリル系樹脂組成物(A)のみからなり流動パラフィンを含有していない為、粒度分布および粉体特性の値が低く、ペレット押出し成形性、フィルム成形性、表面硬度、表面外観性全てにおいて劣る。また、流動パラフィンの配合量が0.02〜1.0重量%の範囲外である場合、比較例2のように配合量が0.01重量%であれば比較例1と同様に粒度分布および粉体特性の値が低く、ペレット押出し成形性、フィルム成形性、表面硬度、表面外観性全てにおいて劣り、比較例3のように配合量が2.0重量%であれば量が多過ぎる為、ブリードのよるフィルム表面外観性が悪化する傾向にある。さらに、比較例4に記載のアクリル系高分子量重合体のみからなる樹脂組成物は、流動性に劣る為、ペレット押出成形性、フィルム成形性、表面外観性においても劣る。
このように、本発明にかかるアクリル系樹脂フィルムは、適正な範囲内で流動パラフィンを特定量配合することにより成形時の加工性が著しく改良され、優れた外観性を有する。

Claims (7)

  1. アクリル系樹脂組成物(A)100重量部に対し、流動パラフィン(B)0.02〜1.0重量部含有するアクリル系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする、アクリル系樹脂フィルム。
  2. 流動パラフィン(B)の40℃における動粘度が14〜68mm/秒であることを特徴とする、請求項1記載のアクリル系樹脂フィルム。
  3. 流動パラフィン(B)の重量平均分子量が300〜600であることを特徴とする、請求項1または2記載のアクリル系樹脂フィルム。
  4. アクリル系樹脂組成物(A)が、アクリル系弾性体グラフト共重合体(a−1)5〜100重量%およびメタクリル系重合体(a−2)0〜95重量%からなるアクリル系樹脂組成物[(a−1)および(a−2)の合計量が100重量%]であって、
    アクリル系弾性体グラフト共重合体(a−1)が、アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、共重合可能な他のビニル系単量体0〜49.9重量%および共重合可能な1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.1〜10重量%からなる単量体混合物(a−1a)を重合してなる弾性共重合体5〜85重量部の存在下に、
    メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%および、共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%からなる単量体混合物(a−1b)95〜15重量部を共重合してなる[(a−1a)および(a−1b)の合計量が100重量部]ものであり、
    メタクリル系重合体(a−2)が、メタクリル酸アルキルエステル80〜100重量%および共重合可能な他のビニル系単量体0〜20重量%からなる単量体混合物を共重合してなるものであることを特徴とする、
    請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム。
  5. 鉛筆硬度(JIS K5600−5−4に基づく測定)が2B以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム。
  6. 片面または両面に加飾処理を施してなる、請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルムを積層してなる、積層品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102251169B1 (ko) * 2020-01-16 2021-05-12 (주)벤투스 폐분체도료를 이용한 사출물 및 그 제조방법

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